以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものではなく、また第1の実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。本発明は、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
[第1の実施形態]
(画像形成装置の全体構成及び動作)
まず、第1の実施形態の画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。図1は、電子写真方式の画像形成装置の全体概略図を示す。図2は、画像形成部の概略構成図を示す。
第1の実施形態の画像形成装置100は、該画像形成装置100本体に接続された原稿読み取り装置或いは該画像形成装置100本体に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータPC等のホスト機器からの画像情報に従って記録材10に画像を形成する。例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色フルカラー画像を後述の電子写真方式の画像形成手段を利用して記録シート、プラスチックシート、布等の記録材10に形成する。
第1の実施形態の画像形成装置100は、4連タンデム式の画像形成装置100であり、複数の画像形成部を有する。複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部PY,PM,PC,PKを有する。そして、転写装置5が備える中間転写体となる中間転写ベルト51が図2の矢印方向に移動して各画像形成部PY~PKを通過する間に、中間転写ベルト51上に各画像形成部PY~PKにおいて各色の画像が重ねられる。そして、中間転写ベルト51上で重ね合わされた多重トナー画像を記録材10に転写することで記録画像が得られる。プロセススピードは400mm/sである。
尚、第1の実施形態では、各画像形成部PY,PM,PC,PKの構成は、現像色が異なる以外は実質的に同一とされる。以下、特に区別を要しない場合は、何れかの画像形成部PY~PKに属する要素であることを示すために符号に与えた添え字Y,M,C,Kは省略し、画像形成部Pのように総括的に説明する。
画像形成部Pは、画像情報に応じて静電潜像を担持する静電潜像担持体としてのドラム状の感光体からなる感光体ドラム1(像担持体)を有する。感光体ドラム1の外周には、帯電装置となる帯電ローラ2、レーザー露光光学系からなる露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置7が設けられている。8はトナーカートリッジである。転写装置5は、中間転写体としての中間転写ベルト51を有する。中間転写ベルト51は複数のローラに掛け回されて、図2の矢印方向に回転する。また、中間転写ベルト51を介して各感光体ドラム1に対向する位置には一次転写部材52が配置されている。また、中間転写ベルト51が掛け回されたローラのうち一つに対向する位置に二次転写部材53が設けられている。
画像形成時には、まず、帯電ローラ2によって、回転する感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる。次いで、帯電した感光体ドラム1の表面を、露光装置3により画像情報信号に応じて走査露光することによって、感光体ドラム1上に静電潜像を形成する。感光体ドラム1に形成された静電潜像は、現像装置4を用いて現像剤のトナーによりトナー画像として顕像化される。
感光体ドラム1上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト51と感光体ドラム1とが当接する一次転写ニップ部において、一次転写部材52に印加される一次転写バイアス電圧の作用によって中間転写ベルト51上に一次転写される。例えば、4色フルカラー画像の形成時には、画像形成部PYから順次に、各感光体ドラム1から中間転写ベルト51上にトナー画像が転写され、該中間転写ベルト51上に4色のトナー画像が重ね合わされた多重トナー画像が形成される。
一方、給送カセット9に収容されている記録材10がピックアップローラ、搬送ローラ及びレジストローラ等によって、中間転写ベルト51と二次転写部材53とが当接する二次転写ニップ部に中間転写ベルト51上のトナー画像と同期がとられて搬送される。そして、中間転写ベルト51上の多重トナー画像は、二次転写ニップ部において、二次転写部材53に印加される二次転写バイアス電圧の作用により、記録材10上に転写される。
その後、中間転写ベルト51から分離された記録材10は定着装置6へと搬送される。記録材10上に転写されたトナー画像は、定着装置6によって加熱、加圧されることによって溶融混合されると共に、記録材10上に定着される。その後、記録材10は機外へ排出される。
一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留したトナー等の付着物は、クリーニング装置7によって回収される。これにより、感光体ドラム1は、次の画像形成工程に備える。また、二次転写工程後に中間転写ベルト51上に残留したトナー等の付着物は、中間転写体クリーナ54によって除去される。
尚、第1の実施形態の画像形成装置100は、例えばブラック単色の画像など、所望の単色または4色のうちいくつかの色用の画像形成部を用いて、単色またはマルチカラーの画像を形成することも可能である。
(現像装置の基本構成)
次に、図3及び図4を参照して現像装置4の構成について更に説明する。
現像装置4は、非磁性トナーと磁性キャリアとを備える二成分現像剤(以降、単に現像剤とも呼ぶ)を収容する現像容器41を有する。現像容器41には、回転可能な現像剤担持体(現像回転体)としての現像スリーブ44、現像スリーブ44の内部に固定して配置された磁界発生手段としての磁石からなるマグネットロール44aが設けられる。更に現像スリーブ44の表面に現像剤の薄層を形成する現像ブレード42、現像容器41の内部の現像剤を攪拌し且つ搬送するスクリュー部材41d、41eが配置されている。
現像容器41の内部は垂直方向に延在する隔壁41cによって現像室41aと攪拌室41bとに区画されている。そして、現像室41aにスクリュー部材41dが配置され、攪拌室41bにスクリュー部材41eが配置されている。隔壁41cの長手方向両端部(図4左側及び右側)には、現像室41aと攪拌室41bとの間での現像剤の通過を許容する受渡し部41f、41gが設けられている。
第1の実施形態では、スクリュー部材41f、41gは、それぞれ、磁性体の軸(回転軸)の周りに、搬送部としての螺旋状羽根を設けて形成されている。また、スクリュー部材41eには、螺旋状羽根に加えて、軸からその半径方向に突出し、現像剤の搬送方向に所定の幅を有する攪拌リブ41e1が設けられている。攪拌リブ41e1は、軸の回転に伴って現像剤を攪拌する。
スクリュー部材41dは現像室41a内の現像剤を攪拌し且つ搬送する。また、スクリュー部材41eは、自動トナー補給制御(以下、「ATR :Automatic Toner Replenisher」制御という)のもとでトナー濃度を均一化する。即ち、トナー補給部49において供給されたトナーと、既に攪拌室41b内にあるトナーと磁性キャリアとからなる現像剤とを攪拌し且つ搬送してトナー濃度を均一化する。
スクリュー部材41d、41eは、現像スリーブ44の回転軸方向に沿って略平行に配置されている。そして、スクリュー部材41dと、スクリュー部材41eとは、現像スリーブ44の回転軸方向に沿って互いに逆方向に現像剤を搬送する。こうして、現像剤はスクリュー部材41d、41eによって受渡し部41f,41gを介して現像容器41の内部を循環する。つまり、スクリュー部材41d、41eの搬送力により、現像工程でトナーが消費されてトナー濃度が低下した現像室41a内の現像剤が、一方の受渡し部41f(図4の左側)を介して攪拌室41b内へ移動する。
また、攪拌室41bの最上流部にはトナーを補給するためのトナー補給口46が設けられており、図5に示す補給用トナーが収容される補給容器となる補給用現像剤収容器8へと連絡している。そして、ATR制御によって画像形成時の画像比率、トナー濃度センサとしてのインダクタンスセンサ45、パッチ画像濃度検知センサによるパッチ画像の濃度検知結果に応じて補給用現像剤収容器8の動作を制御しトナーを攪拌室41bの最上流部に補給する。
そして、トナーが補給されて攪拌された攪拌室41b内の現像剤が他方の受渡し部41g(図4の右側)を介して現像室41aへ移動する。また、現像装置4の現像室41aは、感光体ドラム1に対面した現像領域に相当する位置が開口しており、この現像容器41の開口部に、一部露出するようにして現像スリーブ44が回転可能に配置されている。第1の実施形態では、現像スリーブ44は非磁性材料で構成され、現像動作時には図3の矢印方向に回転する。そして、現像スリーブ44の内部には、磁界発生手段としての周方向(現像スリーブ44の回転方向)に沿って複数の磁極を有するマグネットロール44aが固定されている。マグネットロール44aは、現像スリーブ44の回転方向に沿って、吸着用磁極S2(汲み上げ極)、規制用磁極N1(規制極)、現像用磁極S1(現像極)、搬送用磁極N2(搬送極)、離間用磁極S3(剥ぎ取り極)を含む複数の磁極を有する。吸着用磁極S2は、現像スリーブ44の回転方向に関して離間用磁極S3よりも下流側に隣り合い、且つ、吸着用磁極S2は、離間用磁極S3に対して同極である。搬送用磁極N2は、現像スリーブ44の回転方向に関して離間用磁極S3よりも上流側に隣り合い、且つ、搬送用磁極N2は、離間用磁極S3に対して異極である。
現像室41a内の現像剤は、スクリュー部材41dにより現像スリーブ44に供給され、現像スリーブ44に供給された現像剤は、マグネットロール44aが発生する吸着用磁極S2により現像スリーブ44上に所定の量が担持され現像剤溜まりを形成する。現像スリーブ44上の二成分現像剤は、現像スリーブ44が回転することによって、現像剤溜まりを通過して現像ブレード42によって層厚が規制されると共に、感光体ドラム1と対向する現像領域へと搬送される。現像領域で、現像スリーブ44上の現像剤は現像用磁極S2にて穂立ちして磁気穂を形成する。
その後、現像スリーブ44上の現像剤は、搬送用磁極N2により、現像スリーブ44の表面に対する現像剤の吸着を維持し、現像容器41の内部へと現像剤を搬送する。そして、現像容器41の内部へと搬送された現像剤は、離間用磁極S3により現像スリーブ44の表面から離間される。現像スリーブ44は、十分にトナーを供給するために感光体ドラム1に対して周速差をつけており、680mm/s(対ドラム周速170%)で回転している。
第1の実施形態では、現像容器41(現像枠体)に対して上蓋41k(カバー枠体)が固定されている。上蓋41kは、現像スリーブ44の長手方向の全域に亘って現像スリーブ44の外周面の一部がカバーされるように現像容器41の開口の一部をカバーする。このとき、上蓋41kは、現像スリーブ70の感光体ドラム1と対向する現像領域が露出するように現像容器41の開口の一部をカバーしている。
(補給装置の構成)
図5に補給構成断面を示す。本補給構成は、補給用現像剤収容器8の排出口82から補給用搬送経路83が延び、現像装置4の補給口46に連結している構成を基とする。
まず、従来構成としてひとつの補給用搬送経路83を用いた補給構成について説明する。上述の現像装置4において、補給口46は攪拌室41b最上流且つ現像剤循環経路の外側に備えられている。補給口46の近傍の現像剤搬送部材には、現像剤循環経路の現像剤は殆ど存在しなく、補給用現像剤が通過するのみである。そして、補給口46は補給用搬送経路83である正方形断面の筒状部材下方端部と連結している。また、筒状部材はもう一方の端部である上方端部は補給用現像剤収容器8の排出口82と連結している。
補給用現像剤収容器8は、円筒状の容器に内壁に螺旋状の溝を掘った構成となっており、補給用現像剤収容器8自体が回転することで長手方向へと搬送力を発生させて排出口82へと補給用現像剤を搬送する。排出口82まで搬送された補給用現像剤は、排出口82を通って補給用搬送経路83に排出される。そして、補給用搬送経路83を通って現像装置4の補給口46に到達する。
(トナー飛散の概要)
次に、現像容器41の上蓋41kと現像スリーブ44とで構成される、現像容器41の内部と現像容器41の外部との連通口からのトナー飛散について図6を用いて説明する。
ここでのトナー飛散とは、現像剤の攪拌・搬送やトナー補給によって現像容器4内に生じる遊離トナーが連通口を通って現像容器41の外部に排出され、現像容器41に回収しきれないもののことをさす。
まず、トナー遊離について説明する。現像容器41に収容されている二成分現像剤は攪拌室41b及び現像室41aにおいて摩擦帯電され、摩擦帯電によって生じる静電付着力及び表面性などによって生じる非静電付着力によってトナーはキャリアに付着している。このキャリアに付着しているトナーに対し衝撃やせん断力を加えられると、トナーがキャリアから引き剥がされ現像容器内で遊離する。このときの衝撃やせん断力として、現像スリーブ44による現像剤搬送の際の現像剤挙動がある。前述したとおり、現像剤は現像スリーブ44の磁極上で磁力線に沿ったチェーン状の構造である磁気穂を形成する。磁極直前に磁気穂が前方に立ち上がり、磁極上を通過すると磁気穂は前傾し倒れる。このとき、磁気穂の回転方向は現像スリーブ44の方向と同一方向である。この磁気穂が倒れるときの衝撃や遠心力によってトナーがキャリアから引き剥がされる事がトナー遊離の原因となっている。
現像スリーブ44での現像剤搬送のうち、トナー遊離への寄与の大きいものは反発磁界を生成する離間用磁極S3によるものである。離間用磁極S3では現像剤を現像スリーブ44から剥離するため、磁極によって現像スリーブ44と逆方向の磁気力を加え、現像剤の速度を落とし滞留させる。このとき、前述した磁気穂の長さが長くなるため、磁気穂が倒れるときの衝撃や遠心力が大きくなり、トナー遊離量が増加する傾向がある。なお磁気穂が倒れるときの衝撃は現像用磁極S2や搬送用磁極N2でも発生するため、離間用磁極S3よりは少ないものの現像用磁極S2や搬送用磁極N2でもトナー遊離は発生する。
また、補給によってトナー補給口46からのトナーが補給される際に、十分に攪拌される前に舞い上がったトナーも現像容器の内部で遊離トナーの要因となっている。前述したとおり、トナー補給口46において供給されたトナーは、既に攪拌室41b内にある現像剤と攪拌且つ搬送される。このとき、補給トナーと現像剤の混合領域では一時的にトナー現像剤混合比が高くなる。トナー現像剤混合比が高い場合、トナーの一部がキャリアと接触できず、摩擦帯電されていない未帯電トナーが発生する。未帯電トナーでは、トナーとキャリアとの間の静電付着力が発生せず、トナーとキャリアとの間の付着力が大きく低下する。現像剤と混合しきれなかった補給トナーはスクリュー部材41d、41eによる現像剤の攪拌・搬送時の衝撃で遊離され、遊離トナーが現像容器41の内部で舞いあがることが知られている。
次に、図6を用いて現像装置4の近傍の断面における気流について説明する。
現像装置4の近傍において気流を生成するのは現像スリーブ44及び感光体ドラム1である。ここではそれぞれ説明する。
現像スリーブ44の回転及び磁極上の磁気穂挙動により、現像スリーブ44の回転と同方向に気流を生成する。現像スリーブ44と同方向に気流は、現像容器41の内部と現像容器41の外部の連通口から現像容器41の内部に空気を取り込む寄与を持つ。また、現像容器41にはトナー補給によっても空気が流入する。
現像装置4の長手方向断面を略閉空間と考える。空気は流体であるため連続の方程式が適用できる。空気の流速をv、密度をρとすると、現像室内で空気の湧き出しがないため、以下の式(1)のように記述できる。
∂ρ/∂t+∇ρv=0 ・・・(1)
さらに定常状態を考えると、現像容器41の内部の各領域において密度ρはおおよそ一定となっている。そのため式(1)は、以下の式(2)のように記述できる。
ρ∇v=0 ・・・(2)
式(2)から空気の流量ρvは保存される。現像装置4の近傍の長手方向断面では流量ρvの収支はゼロとなり、現像スリーブ44と補給によって流入する空気流量と同一の量を現像装置4の外部に排出することになる。ここで、現像容器41の上蓋41kと現像スリーブ44とで連通口が構成される。この連通口を通して、現像スリーブ44の回転に伴い現像容器4の内部に空気が流入する。現像容器4の内部に流入する空気流量をQa(現像スリーブ流入)とする。また、排出経路として、現像容器41の内部と現像容器41の外部の連通口から空気が排出される。空気流は、この連通口から取り込まれる流れに対向するように現像容器41の上蓋41k側から排出される。現像容器41の上蓋41k側から排出される空気流量をQb(現像スリーブ排出)とし、現像装置4への補給に伴って流入する空気流量をQd (補給流入)とすると、以下の式(3)の関係が成り立つ。
Qa(現像スリーブ流入)+Qd (補給流入)=Qb(現像スリーブ排出) ・・・(3)
現像スリーブ44によって取り込まれ現像スリーブ44に沿って流れる気流が排出されるためには現像装置4の内部で折り返す必要がある。一般的には離間用磁極S3の現像剤滞留部で現像スリーブ44から離脱し、その後折り返す。このとき、現像容器41の内部で発生した遊離トナーを含有して排出方向に向かう。
このQb(現像スリーブ排出)に含有した遊離トナーが現像容器41の外部へ排出される工程は主に二つである。第一として、連通口から現像装置4の外部に排出されたQb(現像スリーブ排出)が現像容器41の上蓋41kと感光体ドラム1の間隙より直接より排出されるものである。第二として、Qb(現像スリーブ排出)が感光体ドラム1近傍で混合される、もしくは遊離トナーが慣性力で感光体ドラム1が生成する気流gに移ることで、感光体ドラム1が生成する気流に乗って排出されるものである。
飛散トナーは以上の二つのうち少なくとも一つ以上の要因により現像容器41の外部に排出されて現像装置1の周囲、現像容器41の外壁や感光体ドラム1、露光装置3や転写装置5を汚染してしまうためである。この現象は、画像形成装置100の高速化によりプロセススピードが上がり、それに伴って現像スリーブ44の周速が上がるほど現像スリーブ44の回転による流入気流が増加するため顕著になる。
連通口から現像装置4の外部に排出される気流Qb(現像スリーブ排出)を抑制する手段として、図7に示すように現像装置4の壁面に開口部91を設け、空気の排出流路を増やす方法が知られている。尚、第1の実施形態では、離間用磁極S3よりも現像スリーブ44の回転方向下流、且つ、現像用磁極S2よりも現像スリーブ44の回転方向上流において、現像スリーブ44に対向するように上蓋41kに開口部91が設けられている。
すなわち、開口部91から現像装置外に流出する空気流量をQe(開口部排出)とすると、現像装置4の内部に流入する空気流量と現像装置4の外部に流出する空気流量には、次の式(4)の関係が成り立つ。
Qa(現像スリーブ流入)+Qd (補給流入)
=Qb(現像スリーブ排出)+Qe(開口部排出)・・・(4)
開口部91には、Qe(開口部排出)に含まれる飛散トナーを現像装置4の外部に排出することを抑制するために、トナー等の浮遊物を捕捉(集塵)するためのフィルタ90(トナーフィルタ)が設けられている。フィルタ90によってQe(開口部排出)に含まれる飛散トナーを捕集し、現像装置4の外部に排出することを抑制する。フィルタは、例えば、繊維等によって形成される網目状の構成(メッシュ)、または紙、布、不織布、起毛材やスポンジ材、または多孔質からなる合成樹脂等にて構成され、物理ろ過、静電吸着法等で現像剤を捕集できるものが使用される。
従来、フィルタ90は、トナーを通さないようにするためにトナー体積平均粒径よりもフィルタ孔の口径が小さいものが使用されている。しかし、フィルタ孔の口径を小さくすると、フィルタ孔を通過する空気とフィルタ孔の壁面との間で発生する摩擦が大きくなり、空気がフィルタ孔を通過する際に発生する圧力損失が大きくなる。図8にフィルタ孔の口径と圧力損失の関係のグラフを示す。フィルタ孔の口径が小さくなると圧力損失が顕著に増加することがわかる。フィルタによる圧力損失が大きくなると、現像装置4の内圧が増加し、その結果、現像容器41の上蓋41k側から排出される空気流量Qb(現像スリーブ排出)が増加し、連通口から現像装置4の外部に排出される飛散トナー量が増加してしまう。前述したように、フィルタによる圧力損失はフィルタ孔の口径が小さくなると顕著に増加する。そのため、フィルタ孔の口径は、なるべく大きくすることが望まれる。
また、近年、高画質化のためにトナーの体積平均粒径が小さくなる傾向がある。とりわけ、トナーの体積平均粒径が所定の値よりも小さい(例えば、トナーの体積平均粒径が5.0μm以下である)場合について考える。このとき、現像装置4の内部の空気を現像装置4の外部に排出するための開口(開口部91)に配置したフィルタ90の目(フィルタ孔)の口径(フィルタ90の平均開口。フィルタ90の平均開孔径とも呼ぶ)を、トナーの体積平均粒径よりも小さくしたとする。このような場合、フィルタ90を通過する際の空気の圧力損失が大きくなるため、現像装置4の内圧が上昇したときに現像装置4の内部の空気を開口部91から現像装置4の外部へと流す効率が低下する。その結果、現像装置4の内圧が上昇し、これに起因して、現像スリーブ44の回転軸線方向端部における現像装置4の隙間からトナーが飛散しやすくなるので、現像装置4の外部に飛散するトナーの量を低減させることができなくなってしまう。
第1の実施形態では、現像装置4に設けられたフィルタ90の圧力損失を抑制させることと、現像装置4の外部に飛散するトナーの量を低減させることとを両立させるものである。以下にその詳細を説明する。
本発明者らは飛散トナーを捕集し、トナーの粒径分布の測定を行い、現像スリーブ44に担持されたトナー(感光体ドラム1の最大画像領域に対応する現像スリーブ44の領域にコートされた現像剤中のトナー)の粒径分布との比較を行った。トナーの粒径分布は、コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)を用い、測定装置の操作マニュアルに従い測定を行った。具体的には、電解液100ml(ISOTON)に、分散剤として界面活性剤を0.1g加え、さらに測定試料(トナー)を5mg加える。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で約2分間分散処理して測定サンプルとする。アパーチャ-は100μmのアパーチャーとし、試料の個数を、チャンネルごとに測定した。その結果、図9に示すように現像スリーブ44に担持されたトナー(感光体ドラム1の最大画像領域に対応する現像スリーブ44の領域にコートされた現像剤中のトナー)に比べ、飛散トナーでは、トナーの粒径分布が大粒径側に移動していることが判明した。
現像スリーブ44に担持されたトナー(感光体ドラム1の最大画像領域に対応する現像スリーブ44の領域にコートされた現像剤中のトナー)に比べ、飛散トナーではトナー体積平均粒径が大きい理由について説明する。飛散トナーは現像スリーブ44による現像剤搬送の際の衝撃や遠心力によってトナーがキャリアから引き剥がされることで、もしくはスクリュー部材41d、41eによる現像剤の攪拌・搬送時の衝撃によってトナーがキャリアから引き剥がされることで生じる。
衝撃によってトナーがキャリアから引き剥がされる場合を考えると、キャリア同士が衝突するとキャリアに急激な加速もしくは減速が発生する。キャリアに急激な加速もしくは減速が発生すると、キャリアに担持されたトナーにも急激な加速もしくは減速が発生、トナーに加速もしくは減速に応じた力積が掛かる。トナーに掛かる力積F(力積)はトナー質量mと加速度∂v/∂tを用いて、以下の式(5)のように記述できる。
F(力積) = m×∂v/∂t ・・・(5)
トナー質量mはトナー粒径の3乗に比例するため、トナー粒径が大きい方がトナーに掛かるF(力積)が大きくなる。そのため、トナーの粒径分布中の大粒径トナーが飛散する。
遠心力によってトナーがキャリアから引き剥がされる場合を考えると、トナーに掛かる遠心力F(遠心力)は、トナー質量をm、磁気穂の長さをL(磁気穂)、磁気穂が倒れる際の角速度をω(磁気穂)とすると、以下の式(6)のように記述できる。
F(遠心力) = m×L(磁気穂)×(ω(磁気穂))2 ・・・(6)
トナー質量mはトナー粒径の3乗に比例するため、トナー粒径が大きい方がトナーに掛かるF(遠心力)が大きくなる。そのため、トナーの粒径分布中の大粒径トナーが飛散する。
以上のように、現像スリーブ44に担持されたトナー(感光体ドラム1の最大画像領域に対応する現像スリーブ44の領域にコートされた現像剤中のトナー)に比べ、飛散トナーではトナーの体積平均粒径が大きい。このため、従来のように現像スリーブ4に担持されたトナー体積平均粒径よりもフィルタ孔の口径(フィルタ90の平均開口)が小さいものを使用していると、飛散トナーに対し過剰に口径が小さいものを利用することとなる。その結果、プロセススピードの高速時やトナーの小径化対応時に現像容器41の内圧が増加し、連通口から現像装置4の外部に排出される飛散トナー量が増加してしまう。
図9に示した飛散トナーと、現像スリーブ44に担持されたトナーの粒径分布について、トナー小粒径側から体積頻度を累計し、累計体積頻度で比較したグラフを図10に示す。図10よりフィルタ孔の口径(フィルタ90の平均開口)を、現像スリーブ44に担持されたトナーの体積累計頻度が90%になる粒径(以降、「トナー体積d90粒径」と呼ぶ)以下になるように設定する。図10から明らかなように、フィルタ90の平均開口をトナー体積d90粒径以下に設定することにより、フィルタ90を介して飛散トナーを十分に捕集できることがわかる。
なお、フィルタ90を介して飛散トナーを捕集する効果をより高めるために、図10よりフィルタ孔の口径(フィルタ90の平均開口)を、「トナー体積d85粒径」以下になるように設定してもよい。「トナー体積d85粒径」とは、現像スリーブ44に担持されたトナー(感光体ドラム1の最大画像領域に対応する現像スリーブ44の領域にコートされた現像剤中のトナー)の体積累計頻度が85%になる粒径のことである。ただし、フィルタ90の平均開口が「トナー体積d85粒径」であるフィルタ90は、フィルタ90の平均開口が「トナー体積d90粒径」であるフィルタ90と比べて、フィルタ90を通過する圧力損失が大きくなる。即ち、フィルタ90を通過する圧力損失を小さくすることよりも、フィルタ90を介して飛散トナーを捕集する効果をより高めることを優先するのであれば、フィルタ90の平均開口を、「トナー体積d85粒径」以下になるように設定することが好ましい。
第1の実施形態では、離間用磁極S3の位置よりも現像スリーブ44の回転方向下流、且つ、現像用磁極S2の位置よりも現像スリーブ44の回転方向上流において、現像スリーブ44kに対向するように上蓋41kに開口部91を形成している。尚、離間用磁極S3の位置とは、現像スリーブ44の法線方向における離間用磁極S3の磁束密度Brがピークとなる位置のことを指す。また、現像用磁極S2の位置とは、現像スリーブ44の法線方向における現像用磁極S2の磁束密度Brがピークとなる位置のことを指す。更に、第1の実施形態では、開口部91に対向するようにフィルタ90を配置している。
そこで、第1の実施形態では、フィルタ孔の平均口径(フィルタ90の平均開口)を、「トナー体積平均粒径」以上とし、且つ、「トナー体積d90粒径」以下とした。フィルタ孔の平均口径(フィルタ90の平均開口)を、「トナー体積平均粒径」以上「トナー体積d90粒径」以下の範囲とした。このようにすることで、現像装置4に設けられたフィルタ90の圧力損失を抑制させることと、現像装置4の外部に飛散するトナーの量を低減させることとを両立させることが可能となる。
次に、検証実験として、第1の実施形態と比較例の飛散量の比較を行った。まず今回の検証実験で採用したトナー飛散量の計測方法の概略について述べる。現像装置4の長手両端を除く領域では、飛散トナーは、現像容器41の内壁47のドラム対向領域と感光体ドラム1との間である流路を通過して、気流gを経て外部へ飛散する。そこで、現像スリーブ44や感光体ドラム1と垂直になるように流路の略中央に対してラインレーザーを照射する。ラインレーザーとは一定の線幅を持つライン状に照射され扇形の2次元平面の光路を形成するレーザーであり、通常ドットレーザーをシリンドリカルレンズやロッドレンズによって一定方向に散乱させることによって作成する。ラインレーザーの光路上を飛翔している飛散トナーは、レーザー光を散乱させる。そのため、ラインレーザーの照射方向と略垂直な方向からハイスピードカメラなどで観察することにより、レーザーを照射した範囲に存在する飛散トナーの個数や軌跡を計測することが可能である。計測には高出力のレーザー(クラス3R以上)を使用するため、厚生労働省の指針に基づく安全設備(警告表示、レーザー遮蔽設備、インターロックなど)のある環境で実験を行う必要がある。そこで、前述したようにトナー飛散に寄与が大きい現像装置4と感光体ドラム1及びそれらの位置関係・駆動・制御を切りだした実験装置を作成し、安全設備のもと実験を行っている。
ラインレーザーは光源として日本レーザー社製のYAGレーザーを使用し、シリンドリカルレンズを用いた光学系を流路でライン幅が0.5mmとなるように調整し照射した。観察はフォトロン社製 ハイスピードカメラSA-3を使用し、ラインレーザー上の飛散トナーが観察できるようにハイスピードカメラの撮影条件(フレームレートや露光時間)や光学系(レンズなど)を選定している。
以上の方法で得られた、フィルタ通過部及び連通口における流路略中央を通過する飛散トナー数を、ライン幅と観察時間からA4用紙1枚当たりに相当する飛散するトナー数に換算した。今回の換算では画像領域端部の寄与や画像形成装置内部のエアフローによるトナー飛散への影響は考慮していないため実際の画像形成装置100内における、現像装置4の流路からの飛散トナーの個数とは異なる場合がある。ただし、本発明の寄与を調査するには適当な条件であるためこの評価手法を用いる。
フィルタ90は、例えば、繊維等によって形成される網目状の構成(メッシュ)、または紙、布、不織布、起毛材やスポンジ材、または多孔質からなる合成樹脂等にて構成され、物理ろ過、静電吸着法等で現像剤を捕集できるものが使用される。しかし、スポンジ材や多孔質材等は孔が複雑な3次元構造を持っているため、空気が壁面と接触する面積が大きくなり、空気抵抗が大きくなる。そのため、フィルタ90は、繊維等によって形成される網目状の構成(メッシュ)が好ましい。第1の実施形態では、フィルタ90は、合成樹脂繊維によって形成されたメッシュを用いた。第1の実施形態と比較例は、フィルタ平均口径以外は全て同じ条件で評価を行っている。
なお、繊維等によって形成される網目状の構成(メッシュ)をフィルタ90として用いる場合について考える。この場合、メッシュの平均開口径は、メッシュ上の1mm四方の範囲を顕微鏡にて撮影し、1mm四方の範囲内のメッシュ開口径の平均値を平均開口径(フィルタ90の平均開口)とする。
一方、不織布等、複雑な3次元構造を持っているフィルタ90を用いる場合について考える。この場合、(株)島津製作所製オートポアIV9520を用いて、水銀圧入法にて細孔分布を測定し、得られた分布の平均径を平均開口径(フィルタ90の平均開口)とする。
「トナー体積平均粒径」、及び、「トナー体積d90粒径」は、前述したコールターマルチサイザーIIIを用いて測定を行った。本検証で用いたトナーでは、「トナー体積平均粒径」は7.0μm、「トナー体積d90粒径」は9.2μmであった。
上記トナーにおいて、ラインレーザーでカウントされた飛散トナー数と現像装置汚染状況を比較し、A4用紙1枚当たりに相当する飛散するトナー数が150000個以下を○、150000個以上を▲、200000個以上を×と評価した。
表1に、第1の実施形態(実施例1-1と実施例1-2)、比較例におけるフィルタ通過部及び連通口における飛散トナー評価結果を示す。フィルタ平均口径が「トナー体積平均粒径」以上「トナー体積d90粒径」以下である第1の実施形態(実施例1-1と実施例1-2)においては、フィルタ通過部及び連通口どちらにおいても飛散トナー数は抑制できていた。それに対し、フィルタ平均口径が「トナー体積平均粒径」以下であった比較例1-1では、連通口からの飛散トナー数が悪化した。これは、フィルタ平均口径が過剰に小さいためにフィルタ90における圧力損失が大きくなり、現像装置4の内圧が上がり、連通口から現像装置4の外部に排出される飛散トナー量が増加したためである。
一方、フィルタ平均口径が「トナー体積d90粒径」以上であった比較例1-2ではフィルタ通過部からの飛散トナー数が悪化した。これは、フィルタ平均口径が飛散トナー粒径に比べ大きいため、フィルタ90で飛散トナーが十分に捕集できず、フィルタ90を通過して現像装置4の外部に排出されたためである。
次に、トナー体積平均粒径が小さくなった場合の飛散トナーの評価を行った。本検証では、トナー体積平均粒径が5.0μmであり、且つ、トナー体積d90粒径が6.8μmであるトナーを用いた。当該トナーにおいて、ラインレーザーでカウントされた飛散トナー数と現像装置汚染状況を比較し、A4用紙1枚当たりに相当する飛散するトナー数が420000個以下を○、420000個以上を▲、520000個以上を×と評価した。トナー体積平均粒径が7.0μm時とトナー数の基準が異なるのは、装置汚染は飛散したトナーの累計体積に依存しており、同一個数だとトナーが小粒径の方がトナーひとつあたりの体積が小さく、画像不良が発生しにくくなるためである。
第1の実施形態(実施例1-1と実施例1-2)と比較例は、フィルタ平均口径以外は全て同じ条件で評価を行っている。
表2に、第1の実施形態(実施例1-3と実施例1-4)、比較例におけるフィルタ通過部及び連通口における飛散トナー評価結果を示す。フィルタ平均口径が「トナー体積平均粒径」以上「トナー体積d90粒径」以下である第1の実施形態(実施例1-3と実施例1-4)においては、フィルタ通過部及び連通口のどちらにおいても飛散トナー数は抑制できていた。それに対し、フィルタ平均口径が「トナー体積平均粒径」以下であった比較例1-3では連通口からの飛散トナー数が悪化した。これは、フィルタ平均口径が過剰に小さいためにフィルタにおける圧力損失が大きくなり、現像装置4の内圧が上がり、連通口から現像装置4の外部に排出される飛散トナー量が増加したためである。
一方、フィルタ平均口径が「トナー体積d90粒径」以上であった比較例1-4ではフィルタ通過部からの飛散トナー数が悪化した。これは、フィルタ平均口径が飛散トナー粒径に比べ大きいためフィルタで飛散トナーが十分に捕集できず、フィルタ90を通過して現像装置4の外部に排出されたためである。
以上説明した第1の実施形態では、離間用磁極S3よりも現像スリーブ44の回転方向下流、且つ、現像用磁極S2よりも現像スリーブ44の回転方向上流において、現像スリーブ44kに対向するように上蓋41kに開口部91を形成した。更に、第1の実施形態では、開口部91に対向するようにフィルタ90を配置している。このような第1の実施形態では、フィルタ孔の平均口径(フィルタ90の平均開口)を、「トナー体積平均粒径」以上とし、且つ、「トナー体積d90粒径」以下とした。フィルタ孔の平均口径(フィルタ90の平均開口)を、「トナー体積平均粒径」以上「トナー体積d90粒径」以下の範囲とした。このようにすることで、現像装置4に設けられたフィルタ90の圧力損失を抑制させることと、現像装置4の外部に飛散するトナーの量を低減させることとを両立させることが可能となる。このような第1の実施形態では、とりわけ、トナーの体積平均粒径が所定の値よりも小さい(トナーの体積平均粒径が5.0μm以下である)ときにより効果的である。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、離間用磁極S3よりも現像スリーブ44の回転方向下流、且つ、現像用磁極S2よりも現像スリーブ44の回転方向上流において、現像スリーブ44kに対向するように上蓋41kに開口部91を形成した。更に、第1の実施形態では、開口部91に対向するようにフィルタ90を配置した例について説明した。
一方、第2の実施形態では長期にわたってよりフィルタ90の機能が維持できる構成を提案する。第1の実施形態の条件で、現像装置4の寿命であるA4換算で600000枚イメージ相当の空回転で現像剤を定期的に交換しながら行った。第1の実施形態では、初期のトナー飛散量は抑えられていたが、現像装置4の寿命相当の空回転を行った後ではトナー飛散量が増えてしまった。これは、第1の実施形態でのフィルタ90の位置では耐久後にフィルタ90の目詰まりが多少発生してしまい、フィルタ90の圧力損失が上昇して、現像容器41の内圧の上昇を抑制する効果が低下してしまったである。そこで、フィルタへの飛散トナーの過剰侵入を防ぐため、第2の実施形態では、第1の実施形態に対してフィルタ90の位置を更に限定する。
第1の実施形態では、図7のように、離間用磁極S3の極部では現像剤を現像スリーブ44から剥離している。この剥離時にトナーに衝撃や遠心力が加わりトナーが飛散する。この飛散したトナーは気流Qfに乗って現像容器内を移動し得る。このとき、図7のように、離間用磁極S3よりも現像スリーブ44の回転方向下流、且つ、現像用磁極S2よりも現像スリーブ44の回転方向上流において、現像スリーブ44kに対向するように上蓋41kに開口部91が形成されている。これにより、現像スリーブ44の回転に伴い現像容器4内に流入する空気流量Qa(現像スリーブ流入)が全て気流Qfとなり、飛散トナーを巻き込みながら開口部91へと流れていく。そのため、フィルタに飛散トナーが流入しやすい構成となっている。
一方、第2の実施形態では、図11に示すように、図7に示した第1の実施形態に対して、上蓋41kに形成された開口部91の位置、及び、開口部91に対向して設けられたフィルタ90の位置が異なる。具体的に、第2の実施形態では、離間用磁極S3の位置よりも現像スリーブ44の回転方向上流、且つ、搬送用磁極N2の位置よりも現像スリーブ44の回転方向下流において、現像スリーブ44kに対向するように上蓋41kに開口部91が形成されている。尚、離間用磁極S3の位置とは、現像スリーブ44の法線方向における離間用磁極S3の磁束密度Brがピークとなる位置のことを指す。また、搬送用磁極N2の位置とは、現像スリーブ44の法線方向における搬送用磁極N2の磁束密度Brがピークとなる位置のことを指す。更に、第2の実施形態では、開口部91に対向するようにフィルタ90を配置する。これにより、現像スリーブ44の回転に伴い現像容器4内に流入する空気流量Qa(現像スリーブ流入)の一部が、トナーが飛散する離間用磁極S3の極部近くに到達する前に開口部91に流れる。空気流量Qa(現像スリーブ流入)の一部が開口部91に流れる。このため、飛散トナーを巻き込みながら開口部91へと流れていく気流Qfを抑制することができ、長期に渡ってよりフィルタ90の機能が維持できる。
表3に、第1の実施形態(実施例1-4)と第2の実施形態(実施例2)におけるフィルタ通過部及び連通口における飛散トナー評価結果を示す。本検証では、トナー体積平均粒径が5.0μmであり、且つ、トナー体積d90粒径が6.8μmであるトナーを用いた。当該トナーにおいて、ラインレーザーでカウントされた飛散トナー数と現像装置汚染状況を比較し、A4用紙1枚当たりに相当する飛散するトナー数が420000個以下を○、420000個以上を▲、520000個以上を×と評価した。第1の実施形態(実施例1-4)では初期においてはフィルタ通過部及び連通口どちらにおいても飛散トナー数は抑制できていたが、A4換算で600000枚イメージ相当の空回転後では連通口からの飛散トナー数が悪化した。一方、第2の実施形態(実施例2)では初期同様に空回転後でもフィルタ通過部及び連通口のどちらにおいても飛散トナー数が抑制できた。つまり、空気流量Qa(現像スリーブ流入)の一部が開口部91に流れるため、飛散トナーを巻き込みながら開口部91へと流れていく気流Qfを抑制することができ、長期に渡ってよりフィルタ91の機能が維持できる。
このような第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、フィルタ孔の平均口径を、「トナー体積平均粒径」以上とし、且つ、「トナー体積d90粒径」以下とした。フィルタ孔の平均口径を、「トナー体積平均粒径」以上「トナー体積d90粒径」以下の範囲とした。このようにすることで、現像装置4に設けられたフィルタ90の圧力損失を抑制させることと、現像装置4の外部に飛散するトナーの量を低減させることとを両立させることが可能となる。このような第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、とりわけ、トナーの体積平均粒径が所定の値よりも小さい(トナーの体積平均粒径が5.0μm以下である)ときにより効果的である。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
上記実施形態では、現像容器41(現像枠体)と、上蓋41k(カバー枠体)が別体であり(2パーツであり)、現像容器41に上蓋41kが固定されており、且つ、上蓋41kに開口部91が設けられている例について説明したが、これに限られない。現像枠体とカバー枠体が一体であり(1パーツであり)、これらで現像容器41の全体を構成している場合には、開口部91は、現像容器41に設けられている変形例であってもよい。
また、上記実施形態では、図1に示したように、中間転写ベルト51を中間転写体として用いる構成の画像形成装置100を例に説明したが、これに限られない。イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のそれぞれに対応する感光体ドラムに順に記録材10を直接接触させて転写を行う構成の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。現像装置4を備えた画像形成装置100であれば、モノクロ機、カラー機を問わず本発明を適用することが可能である。