JP7354729B2 - 異方性ボンド磁石の成形用金型及びこれを用いた製造方法 - Google Patents
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Description
等方性ボンド磁石は、形状作成時に磁化方向を揃える必要がなく簡易に形状を成形でき、表面磁束密度等の所望の磁束密度波形は形状や着磁ヨークの工夫で得られる。しかし、異方性ボンド磁石に比べて磁力が低く、モータでは小型化、高トルク化、高効率化など、センサでは小型化、高ギャップ化、高精度化等の阻害要因となっていた。
前記阻害要因を解決する手段として、等方性ボンド磁石よりも磁力の強い異方性ボンド磁石の使用が検討される。しかし、異方性ボンド磁石は、形状成形時に磁化方向を揃える必要がある。
特許文献1には、成形すべき異方性ボンド磁石の各磁石に対向して複数の永久磁石からなる配向用磁石を配置し、複数の永久磁石は、対応する磁極の配向磁場方向に沿う磁場を与える主永久磁石と、主永久磁石を挟むように配置されて主永久磁石の磁場方向に対して所定角度で傾斜した方向の磁場を与える対構成の副永久磁石とを有し、更に、磁極と主永久磁石との間には強磁性材からなる配向磁性体を配置するようにした異方性ボンド磁石の成形用金型が開示されている。
異方性ボンド磁石製造中の配向磁場が高ければ高いほど、異方性ボンド磁石中の個々の磁石粉の配向が揃い、磁力が向上するため、金型内の発生磁場をできるだけ高くすることが望ましい。
また、配向用磁石の容積を増やすことで金型内の発生磁場を高くすることも可能であるが、金型内には配向用磁石の設置スペースが限られるため限界がある。例えば円環状のボンド磁石を成形するに際し、内周金型部品と外周金型部品との間に円環状のキャビティを確保し、当該キャビティ内に成形すべきボンド磁石を含む材料を充填し、内周金型部品に配向用磁石を設置し、内周側からボンド磁石の磁場を配向する態様にあっては、内周金型部品の限られたスペース内に配向用磁石を収容する必要がある。
更に、成形すべきボンド磁石を小型化しても、配向用磁石とボンド磁石との間を隔てる仕切り部品(スリーブ)は射出圧力に耐えるために一定の厚みを持つ必要がある。そのため得ようとするボンド磁石が小さいほど内周面積に対する仕切り部品(スリーブ)の割合が増えてしまい、内周金型部品側での配向用磁石の設置割合が少なくなってしまい、その分、配向度が低下してしまう懸念がある。
本発明の第3の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えた異方性ボンド磁石の成形用金型において、前記第1の永久磁石は、前記副永久磁石が前記主永久磁石を挟むように配置されていることを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型である。
本発明の第4の技術的特徴は、第1乃至第3の技術的特徴のいずれかを備えた異方性ボンド磁石の成形用金型において、前記第2の永久磁石は、前記配向用磁性体と共に前記第1の永久磁石の一部に接触して配置されていることを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型である。
本発明の第5の技術的特徴は、第1乃至第4の技術的特徴のいずれかを備えた異方性ボンド磁石の成形用金型において、前記第2の永久磁石は前記配向用磁性体に対して対構成で設けられていることを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型である。
本発明の第6の技術的特徴は、第1乃至第5の技術的特徴のいずれかを備えた異方性ボンド磁石の成形用金型において、前記金型部品のうち前記空洞部と前記配向用磁性体とを隔てる部材は常磁性体であることを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型である。
本発明の第7の技術的特徴は、第1乃至第6の技術的特徴のいずれかを備えた異方性ボンド磁石の成形用金型において、前記金型部品は、円環状空洞部を区画する内周金型部品及び外周金型部品を有し、前記内周金型部品の内側に前記配向用磁性体及び前記配向用磁石を設置することを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型である。
本発明の第8の技術的特徴は、第1乃至第6の技術的特徴のいずれかを備えた異方性ボンド磁石の成形用金型において、前記金型部品は、円環状空洞部を区画する内周金型部品及び外周金型部品を有し、前記外周金型部品の外側に前記配向用磁性体及び前記配向用磁石を設置することを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型である。
特に、第2の永久磁石を有しない態様に比べて、各磁極に対する配向磁場を大きくすることができるほか、成形すべき異方性ボンド磁石の表面磁束密度分布を正弦波状に近似した滑らかな波形形状に調整することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、第1の永久磁石として主永久磁石及び副永久磁石を組み合わせて構成することで、主永久磁石又は副永久磁石のみで第1の永久磁石を構成する場合に比べて、成形対象に対してより強い配向磁場を発生させ、波形形状の調整が容易な磁力に優れた異方性ボンド磁石を製造することができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、第1の永久磁石として、副永久磁石が主永久磁石を挟まない態様に比べて、各磁極に対する配向磁場を大きくすることができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、第2の永久磁石が配向用磁性体のみに面して配置されている態様に比べて、第1の永久磁石の磁場を補強することができ、各磁極に対する配向磁場を大きくすることができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、配向用磁性体の片側に第2の永久磁石を設置した態様に比べて、各磁極に対する配向磁場を大きくすることができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、空洞部と配向用磁性体とを隔てる部材を強磁性体で構成する場合に比べて、各磁極への配向磁場が金型部品の一部から漏洩する事態を抑制することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、外周金型部品の外側に配向用磁性体、配向用磁石を設置する態様に比べて、内周金型部品の内側の狭いスペースを有効利用することで、成形用金型をコンパクトにして、円環状の異方性ボンド磁石を配向・成形することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、内周金型部品の内側に配向用磁性体、配向用磁石を設置する態様に比べて、広いスペースを利用して配向用磁性体、配向用磁石を設置することができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、異方性ボンド磁石を成形するに際し、成形対象に対してより強い配向磁場を発生させ、磁力に優れた異方性ボンド磁石を製造することが可能な成形用金型を用いて、磁力が高い高品質の異方性ボンド磁石を容易に製造することができる。
図1(a)は本発明が適用された異方性ボンド磁石の成形用金型の実施の形態の概要を示す説明図である。
同図において、異方性ボンド磁石の成形用金型1は、成形すべき異方性ボンド磁石の材料を含む組成物Cmが充填可能な空洞部3を区画する金型部品2と、空洞部3に充填された組成物Cmに面して設けられ、成形すべきボンド磁石の複数の各磁極Mpに対向して配置される強磁性材からなる配向用磁性体4と、配向用磁性体4に対して磁場を与え、空洞部3内の組成物Cmの磁石材料を磁気的に配向させる配向用磁石5と、を備え、配向用磁石5は、図1(a)(b)に示すように、配向用磁性体4のうち各磁極Mpに対向する面以外で配向用磁性体4の厚さ方向領域R内に面した周面の全域に配置され且つ配向用磁性体4に対して各磁極Mpの配向に要する第1の磁場を与える第1の永久磁石6と、配向用磁性体4のうち第1の永久磁石6の配置面に隣接する側面に配置され且つ配向用磁性体4に対して第1の永久磁石6の磁場方向に交差する方向で各磁極Mpの配向に要する第2の磁場を与える第2の永久磁石7と、を有するものである。
そして、本例では、配向用磁性体4、第1の永久磁石6及び第2の永久磁石7は磁極Mp毎に別個に設けられ、第1の永久磁石6は、隣接する磁極Mpの第1の永久磁石6と接触して配置され、第2の永久磁石7は、隣接する磁極Mpの第2の永久磁石7とは非接触に配置されている。
また、金型部品2は、成形すべき異方性ボンド磁石の形状に対応した空洞部3を区画するものであればよく、空洞部3としては円環状、円柱状、板状など適宜選定して差し支えない。
更に、配向用磁性体4は成形すべきボンド磁石の各磁極Mpに対向して配置されていればよい。配向用磁性体4は強磁性材からなるものであれば適宜選定して差し支えなく、配向用磁石5からの配向磁場を集中させて各磁極Mpに与える作用を奏する。
ここで、配向用磁石5のうち第1の永久磁石6は、金型部品2の空洞部3を挟んだ片方の部品領域に配向用磁性体4と共に設置されるものである。つまり、空洞部3の形状に合わせて成形されるボンド磁石の磁極Mpに面した領域に配向用磁性体4が設置されると共に、この配向用磁性体4の磁極Mpに対向する面以外で配向用磁性体4の厚さ方向領域R内に面した周面に配置されることとなる。このとき、第1の永久磁石6の大きさ、形状は空洞部3を挟んだ片方の部品領域のスペース内に収容されることが必要であり、特に、空洞部3を挟んだ片方の部品領域が限られたスペースの場合には、第1の永久磁石6による配向磁場が配向用磁性体4を介して各磁極Mpに作用したとしても、各磁極Mpに作用する配向磁場が不足する可能性がある。
このような状況にあっても、本実施の形態では、配向用磁石5として第2の永久磁石7が設けられ、第2の永久磁石7による配向磁場が配向用磁性体4を介して各磁極Mpに足されて作用することから、第1の永久磁石6だけによる配向磁場に比べて、より強い配向磁場を各磁極Mpに作用させることが可能になる。
先ず、配向用磁石5としての第1の永久磁石6の好ましい態様としては、配向用磁性体4のうち各磁極Mpとは反対側に位置する背面に配置され且つ配向用磁性体4に対して各磁極Mpの配向磁場方向に沿う方向の磁場を与える主永久磁石8と、配向用磁性体4のうち各磁極Mpの配列方向側に位置する両側面に配置され且つ配向用磁性体4に対して主永久磁石8の磁場方向に対して交差する方向の磁場を与える副永久磁石9(本例では9a,9b)とを有するものが挙げられる。本例では、強磁性材からなる配向用磁性体4は、第1の永久磁石6としての主永久磁石8及び副永久磁石9(9a,9b)による配向磁場を集中させて各磁極Mpに与えるものである。
このとき、主永久磁石8、対構成の副永久磁石9(9a,9b)は夫々単一のものを用いてもよいが、これに限られず、複数に分割するものを用いるようにしてもよい。そして、主永久磁石8は各磁極Mpに作用させる基本的な配向磁場を与えるものであり、副永久磁石9(9a,9b)は主永久磁石8の配向磁場を補強すると共に、成形すべき異方性ボンド磁石の表面磁束密度波形を正弦波状に調整する上で有効である。
また、第2の永久磁石7の好ましい態様としては、配向用磁性体4には第1の永久磁石6の磁場方向に対して60°乃至90°の角度をもって交差する第2の磁場を与えることが好ましい。本例は、第2の永久磁石7の配向磁場の好ましい態様であって、配向用磁性体4内により多くの磁場量を与えるようにしたものである。ここで、60°以上としたのは、これよりも小さい角度の傾斜では配向用磁性体4に与えられる磁場量が少なくなることによる。
更に、第2の永久磁石7の別の好ましい態様としては、配向用磁性体4に対して対構成で設けられている態様が挙げられる。本例は、配向用磁性体4の両側に対して対構成の第2の永久磁石7を備え、第2の永久磁石7から配向用磁性体4に作用する配向磁場を片側に第2の永久磁石7を備えた態様よりも多く確保するものである。
更に、配向用磁性体4及び配向用磁石5の好ましい配置例としては、金型部品2は、円環状空洞部3を区画する内周金型部品2a及び外周金型部品2bを有し、内周金型部品2aの内側に配向用磁性体4及び配向用磁石5を設置する態様や、あるいは、外周金型部品2bの外側に配向用磁性体4及び配向用磁石5を設置する態様が挙げられる。前者は円環状空洞部3の形状に成形される異方性ボンド磁石の内周側に配向磁場を作用させて磁極Mpを形成するものであり、一方、後者は同異方性ボンド磁石の外周側に配向磁場を作用させて磁極Mpを形成するものである。
◎実施の形態1
図2は実施の形態1に係る異方性ボンド磁石の製造装置の全体構成を示す。
同図において、異方性ボンド磁石の製造装置は、射出成形にて異方性ボンド磁石を製造する射出成形機であって、異方性ボンド磁石を成形する成形用金型(以下金型と略記する)30と、異方性ボンド磁石の材料を含む組成物Cmを金型30内に射出注入する射出ユニット20とを備えている。
ここで、磁石の材料としては、フェライト系、Sm-Co系、Sm-Fe-N系、Nd-Fe-B系等及び/若しくはそれらの混合系から適宜選択することが可能であるが、各材料の飽和磁化に留意することが必要である。すなわち、例えばフェライト系材料で成形した磁石は所望の表面磁束密度波形が得られても、同じ金型で例えばSm-Fe-N系材料で成形した磁石は表面磁束密度波形が異なる場合がある。本例では、磁石の材料を含む組成物Cmとして、例えば異方性Sm-Fe-N微粉末や異方性Nd-Fe-B微粉末等の希土類異方性磁石粉体を1種類以上と熱可塑性樹脂との混合物を使用したものとする。
本例では、射出ユニット20は、磁石材料を含む組成物Cmをホッパ22からシリンダ21内に投入し、シリンダ21内に投入された組成物Cmをヒータ23にて加熱溶融すると共に、シリンダ21内で進退可能なスクリューロッド24で溶融した組成物Cmをシリンダ21の射出口25側に所定量貯めた後、金型30内に射出するものである。
本例では、金型30は、図2及び図3に示すように、固定金型31と可動金型32とを有し、両者間に成形すべき異方性ボンド磁石の形状に対応した空洞部(本例では円環状空洞部)43を確保するようにしたものである。
ここで、固定金型31は所定箇所に固定側取付板33で射出成形機に取り付けられ、射出ユニット20の射出口25に連通し且つ空洞部43に通じる供給経路(ランナーに相当)26を有している。
また、可動金型32は図示外の型締めユニットにて矢印方向に進退可能な可動側取付板34に取り付けられており、型締めユニットの進退で固定金型31と可動金型32とは図示外の位置合わせ機構により、位置合わせされるようになっている。尚、本例では、固定金型31と可動金型32との境界面が金型分割面PLとして機能するようになっている。
そして、可動金型32は、可動側取付板34に固定された可動側型板35の円柱状凹所35a内に金型部品40を組み込んで構成されている。
ここで、内周金型部品41は、円環状空洞部43の内周側を区画する円環状の内周スリーブ45を有し、この内周スリーブ45内には成形すべき異方性ボンド磁石の各磁極Mpに対して配向磁場を与える配向磁場生成ユニット50を組み込んだものである。
本例において、内周スリーブ45は、円環状空洞部43の高さ寸法よりも固定金型31側に張り出した張り出し部45aを有しており、この張り出し部45aが固定金型31の凹部31aに収容されるようになっている。
一方、外周金型部品42は円環状空洞部43の外周側を区画する円環状の外周スリーブ47を有している。本例では、外周スリーブ47は、円環状空洞部43の高さ寸法に対応した高さ寸法を有するものであり、可動側型板35の円柱状凹所35aの深さ寸法と略同等に選定されている。尚、この外周スリーブ47は、可動側型板35とは別体に設けられてもよいし、可動側型板35の円柱状凹所35aの周面に予め一体的に組み込むようにしてもよいことは勿論である。
但し、内周スリーブ45について強磁性体であっても使用可能なものもある。本件発明者等は、例えば磁性材であるが、飽和磁束密度Jsが1.35(T)以下、ロックウェル硬さHRCが50以上であるものは使用可能であることを確認している。ここで、Jsが規定値を超える場合には、内周スリーブ45が隣接する配向磁場生成ユニット50との間の磁気回路として作用してしまい、円環状空洞部43内の組成物Cmの磁石材料に対して作用する磁場が弱くなってしまう。また、HRCが既定値未満である場合には、金型30から異方性ボンド磁石を取り出す際に内周スリーブ45が摩耗し易く、異方性ボンド磁石の表面性が損なわれ易い。
また、外周スリーブ47については、内周スリーブ45とは異なり、配向磁場生成ユニット50との関係が少ないことから、常磁性体である必要性は少なく、また、厚さについては円環状空洞部43内での成形圧などの耐圧を有するものであれば適宜選定して差し支えない。
本例において、成形すべき円環状の異方性ボンド磁石は内周部に予め決められた間隔毎に複数(n個:図4ではn=4)の磁極Mp(N,S,N,S)を具備するものであり、配向磁場生成ユニット50は、各磁極Mpに対応して夫々所定の配向磁場Hを生成して与えるようになっている。
本例では、配向磁場生成ユニット50は、図3乃至図5に示すように、内周スリーブ45に面した箇所のうち円環状空洞部43に対応する領域に設置される基本配向磁場生成ユニット51と、基本配向磁場生成ユニット51に付設され、当該基本配向磁場生成ユニット51により生成される配向磁場を更に強めるアシスト磁石60とを備えている。
本例において、基本配向磁場生成ユニット51は、成形すべき円環状の異方性ボンド磁石の各磁極Mpに対向した箇所に強磁性材(例えばFe)からなる配向用磁性体としての配向ヨーク52を設置し、この配向ヨーク52のうち各磁極Mpに対向する面以外で配向ヨーク52の厚さ方向領域R内に面した周面に配向用磁石53の一要素である第1の永久磁石、具体的には主永久磁石54と副永久磁石55とを設置するようにしたものである。
<配向ヨーク>
ここで、配向ヨーク52は、成形すべきボンド磁石が円環状であることから、部分円環状の形状を有しており、この配向ヨーク52のうち成形すべきボンド磁石の各磁極Mpに対向した箇所は、各磁極Mpに対して略均等な配向磁場を与える上で必要な面積を有している。本例では、配向ヨーク52のうち各磁極Mpに対向した箇所の面積をA1、その反対側の面積をA2とすると、A1>A2を満たす態様に構成されている。
本例では、主永久磁石54は、予め決められた中心角θ1(本例ではθ1=30°~60°)の扇形状に形成されており、配向ヨーク52のうち各磁極Mpとは反対側に位置する背面に接触して配置され、配向ヨーク52に対して各磁極Mpの配向磁場方向に沿う方向の磁場(N又はSの磁力)を与えるものである。
また、副永久磁石55(具体的には55a,55b)は、予め決められた中心角θ2(本例ではθ2=15°~30°)の扇形状に形成されており、主永久磁石54及び配向ヨーク52を挟むように一対配置され、主永久磁石54の磁場方向に対して交差する方向の磁場(N又はSの磁力)を作用させるようになっている。
そして、本例では、各磁極Mpに対する主永久磁石54及び副永久磁石55(55a,55b)のレイアウトは、θ1+2θ2=90°になるようになっている。
尚、図4乃至図6において、主永久磁石54及び副永久磁石55(55a,55b)に表記されている矢印は、配向ヨーク52に向かうものがNの磁力を示し、一方、配向ヨーク52から離れる方向に向かうものがSの磁力を示す。
また、一方の副永久磁石55aは、基準線mに対して予め決められた角度で交差する磁場方向の磁力を有しており、他方の副永久磁石55bは、基準線mに対して一方の副永久磁石55aの磁場方向と線対称となる磁場方向の磁力を有している。
そして、副永久磁石55(55a,55b)の磁場方向としては、主永久磁石54が磁極Mpに向かう磁場方向のNの磁力を有する場合には、主永久磁石54に向かう磁場方向の磁力を有するようにすればよく、逆に、主永久磁石54が磁極Mpから離れる磁場方向のSの磁力を有する場合には、主永久磁石54から離れる磁場方向の磁力を有するようにすればよい。
尚、図4乃至図6において、主永久磁石54及び副永久磁石55(55a,55b)に表記されている矢印マークは、配向ヨーク52に向かうものがNの磁力を示し、一方、配向ヨーク52から離れる方向に向かうものがSの磁力を示す。
特に、本実施の形態では、前述した基本配向磁場生成ユニット51には配向用磁石53の一要素として第2の永久磁石に相当するアシスト磁石60が付設されている。
本例では、アシスト磁石60は、図4乃至図6に示すように、配向ヨーク52の横断面形状と略同様な横断面形状を有しており、配向ヨーク52のうち主永久磁石54及び副永久磁石55(55a,55b)の配置面に隣接する片側の側面に固着されている。更に、このアシスト磁石60は、内周スリーブ45の張り出し部45aの内周面にも固着されている。
そして、本例では、アシスト磁石60は、配向ヨーク52に対して主永久磁石54及び副永久磁石55(55a,55b)の磁場方向に対して交差する方向の磁場を与えるようになっている。
ここで、図7(a)に示すように、各磁極Mpに作用する配向磁場Hの方向に対してアシスト磁石60の磁場方向が角度αであるとすれば、α≧60°であることが好ましい。
また、アシスト磁石60に表記されている矢印マークのうち、配向ヨーク52に向かうものがNの磁力を示し、配向ヨーク52から離れる方向に向かうものがSの磁力を示す。
尚、本例では、アシスト磁石60は、配向ヨーク52にのみ接触して配置されているが、これに限られるものではなく、主永久磁石54又は副永久磁石55(55a,55b)にも接触して配置するようにしても差し支えない。
次に、本実施の形態に係る成形用金型で採用した配向磁場生成ユニット50により生成される配向磁場について説明する。
図4に示すように、成形すべき異方性ボンド磁石の各磁極Mpには、図7(a)に示すように、配向用磁石53として、第1の永久磁石である主永久磁石54、副永久磁石55(55a,55b)及び第2の永久磁石であるアシスト磁石60からの磁場が配向ヨーク52を介して各磁極Mpに配向される。
つまり、図7(a)において、配向用磁石53のうち、主永久磁石54からの磁場が配向ヨーク52に直接作用し、また、副永久磁石55(55a,55b)からの磁場が配向ヨーク52に直接作用するほか、主永久磁石54の磁場を補強すると共に補強された磁場が配向ヨーク52に間接的に作用し、更に、アシスト磁石60からの磁場が配向ヨーク52に直接作用する。このため、円環状空洞部43に充填された組成物Cmのうち成形すべきボンド磁石の各磁極Mpには主永久磁石54、対構成の副永久磁石55(55a,55b)及びアシスト磁石60からの磁場が配向ヨーク52に集中した状態で各磁極Mpに作用することになり、各磁極Mpには強い配向磁場Hがその配向方向を制御した状態で与えられる。
このとき、例えば図7(b)に示すように、基本配向磁場生成ユニット51のみを備えた比較の形態1にあっては、成形すべきボンド磁石の各磁極Mpには、主永久磁石54及び対構成の副永久磁石55(55a,55b)からの磁場が配向ヨーク52を介して各磁極Mpに作用することになり、各磁極Mpには配向磁場H’が与えられる。
この状態において、本実施の形態のように、アシスト磁石60を含む配向磁場生成ユニット50により生成した配向磁場Hと、比較の形態1に係る基本配向磁場生成ユニット51により生成した配向磁場H’とを対比すると、配向磁場Hが配向磁場H’よりもアシスト磁石60による磁場増加分だけ磁場量が多いことが理解される。
次に、本実施の形態に係る異方性ボンド磁石の製造方法について説明する。
先ず、図示外の型締めユニットにより金型30を締めた状態にセットし、この後、射出ユニット20により異方性ボンド磁石の材料を含む組成物Cmを金型30の円環状空洞部43に射出注入して保圧する。この状態で、金型30の円環状空洞部43に充填された組成物Cmには内周金型部品41に組み込んだ配向磁場生成ユニット50による配向磁場が作用し、円環状空洞部43内では異方性ボンド磁石の各磁極Mpの配向が揃えられ、異方性ボンド磁石が成形される。この後、異方性ボンド磁石を冷却、固化させた後、図示外の型締めユニットにて金型30を開き、金型30から異方性ボンド磁石の成形品を取り出すようにすればよい。
このような製造過程で得られた異方性ボンド磁石の成形品については、後述する実施例で示すように、表面磁束密度波形を安定的に形成でき、かつ、金型30から異方性ボンド磁石を取り出す際に成形品の表面性は良好に保たれる。
尚、成形頻度が増すと、成形時に発生するバリ等により、内周スリーブ45や外周スリーブ47の表面に傷が付き、成形されたボンド磁石の外観に影響を及ぼすため、これらの部材は一般的には消耗品として定期的に交換される。
また、フェライト系異方性ボンド磁石では金型30から取り出した成形品を別途着磁することなく、そのまま使用されることがあるが、希土類異方性磁石粉体を用いたボンド磁石(希土類異方性ボンド磁石)では、取り出し後の成形品を着磁装置にて別途着磁した方がばらつきが少ない、強い磁力の磁石を得ることができる。
図8は実施の形態2に係る金型に組み込まれる配向磁場生成ユニットの要部を示す。
同図において、配向磁場生成ユニット50の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、配向ヨーク52のうち主永久磁石54及び副永久磁石55(55a,55b)に隣接する両側面にアシスト磁石60(具体的には60a,60b)を固着するようにしたものである。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態によれば、配向磁場生成ユニット50は、基本配向磁場生成ユニット51の両側にアシスト磁石60(60a,60b)を装備したものであるため、成形すべきボンド磁石の各磁極Mpには主永久磁石54、対構成の副永久磁石55(55a,55b)及び対構成のアシスト磁石60(60a,60b)からの磁場が配向ヨーク52に集中した状態で各磁極Mpに作用することになり、各磁極Mpには強い配向磁場Hがその配向方向を制御した状態で与えられる。
このため、本実施の形態では、配向ヨーク52の両側に位置するアシスト磁石60(60a,60b)の磁場が配向ヨーク52に作用することから、実施の形態1のように、片側にアシスト磁石60を装備した態様に比べて、各磁極Mpに作用する配向磁場Hをより強くすることが可能である。
図9(a)は実施の形態3に係る金型に組み込まれる配向磁場生成ユニットの要部を示す。
同図において、金型30の基本的構成は、実施の形態1,2と略同様に、内周金型部品41と外周金型部品42との間に円環状空洞部43を有し、当該円環状空洞部43に異方性ボンド磁石の材料を含む組成物Cmを充填し、異方性ボンド磁石の各磁極Mp(本例では四つ)に対して配向磁場を与え、かつ、異方性ボンド磁石を成形するものであるが、実施の形態1,2とは異なり、外周金型部品42に配向磁場生成ユニット50を組み込み、異方性ボンド磁石の外周面に所定間隔毎に磁極Mpを形成するものである。
本例において、内周金型部品41は円柱状の内周コア46を有し、外周金型部品42は外周スリーブ47を有し、内周コア46と外周スリーブ47との間に円環状空洞部43を確保するようになっている。そして、外周スリーブ47の外側に配向磁場生成ユニット50が設置されている。
特に、本例では、円環状空洞部43と配向磁場生成ユニット50との間を仕切る部材である外周スリーブ47については、配向磁場生成ユニット50にて生成された配向磁場の一部漏洩を有効に抑制するという観点から、実施の形態1の「内周スリーブ45」と略同様に、常磁性体で構成するなどの対策を施すことが好ましい。
ここで、基本配向磁場生成ユニット51は、成形すべき円環状の異方性ボンド磁石の各磁極Mpに対向した箇所に強磁性材(例えばFe)からなる配向用磁性体としての配向ヨーク52を設置し、この配向ヨーク52のうち各磁極Mpに対向する面以外で配向ヨーク52の厚さ方向領域内に面した周面に配向用磁石53の一要素である第1の永久磁石、具体的には対構成の永久磁石56(本例では56a,56b)を設置するようにしたものである。
特に、本例では、配向ヨーク52のうち対構成の永久磁石56(56a,56b)の配置面に隣接する両側面には対構成のアシスト磁石60(60a,60b)が付設されている。そして、本例では、対構成のアシスト磁石60(60a,60b)は配向ヨーク52の横断面形状と略同様な横断面形状を有している。
尚、本実施の形態では、アシスト磁石60(60a,60b)は基本配向磁場生成ユニット51の両側に設置する態様が開示されているが、いずれか一方の片側にアシスト磁石60(60a又は60b)を設置するようにしてもよいことは勿論である。
特に、本例では、第1の永久磁石の構成が実施の形態1と異なっているが、対構成の永久磁石56(56a,56b)の設置スペースを広く確保することが可能であることから、実施の形態1のような第1の永久磁石の構成(主永久磁石54+対構成の副永久磁石55(55a,55b))を採用しなくても、各磁極Mpには充分に強い配向磁場が与えられる。
また、本実施の形態のように、外周金型部品42に配向磁場生成ユニット50を組み込む態様にあっては、内周金型部品41に配向磁場生成ユニット50を組み込む態様に比べて、配向ヨーク52、対構成の永久磁石56(56a,56b)の設置スペースを広く確保することが可能であるが、生産効率を向上させる観点から、複数の金型を用いて複数個取りする方式を採用する場合には、金型自体の大型化を回避するように、外周スリーブ47の外側において金型30の径寸法があまり嵩まないように、アシスト磁石60を利用した配向磁場生成ユニット50を設置することが好ましい。
図10(a)は実施の形態4に係る金型に組み込まれる配向磁場生成ユニットの要部を示す。
同図において、金型30の基本的構成は、実施の形態3と略同様に、外周金型部品42に配向磁場生成ユニット50を組み込み、異方性ボンド磁石の外周面に所定間隔毎に磁極Mpを形成するものであるが、配向磁場生成ユニット50が実施の形態3と異なる構成を備えている。尚、実施の形態3と同様な構成要素については実施の形態3と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、配向磁場生成ユニット50は、図10(a)(b)に示すように、基本配向磁場生成ユニット51と、この基本配向磁場生成ユニット51に付設されるアシスト磁石60とを備えたものである。
ここで、基本配向磁場生成ユニット51は、実施の形態1,2と略同様な構成を採用したもので、成形すべき円環状の異方性ボンド磁石の各磁極Mpに対向した箇所に強磁性材(例えばFe)からなる配向用磁性体としての配向ヨーク52を設置し、この配向ヨーク52のうち各磁極Mpに対向する面以外で配向ヨーク52の厚さ方向領域内に面した周面に配向用磁石53の一要素である第1の永久磁石、具体的には主永久磁石54と副永久磁石55とを設置するようにしたものである。
更に、本例では、配向ヨーク52のうち主永久磁石54及び副永久磁石55(55a,55b)の配置面に隣接する両側面には対構成のアシスト磁石60(60a,60b)が付設されている。そして、本例では、対構成のアシスト磁石60(60a,60b)は配向ヨーク52及び主永久磁石54を組み合わせた横断面形状と略同様な横断面形状を有しており、本例では配向ヨーク52のみならず、主永久磁石54の両側面にも接触して配置されている。
尚、本実施の形態では、アシスト磁石60(60a,60b)は基本配向磁場生成ユニット51の両側に設置する態様が開示されているが、いずれか一方の片側にアシスト磁石60(60a又は60b)を設置するようにしてもよいことは勿論である。
特に、本例では、アシスト磁石60(60a,60b)は配向ヨーク52に限らず、主永久磁石54にも接触して配置されることから、主永久磁石54の磁場を補強するようにも作用し、補強された磁場が配向ヨーク52を介して各磁極Mpの配向磁場の一部として作用する点で好ましい。
また、本実施の形態のように、外周金型部品42に配向磁場生成ユニット50を組み込む態様にあっては、内周金型部品41に配向磁場生成ユニット50を組み込む態様に比べて、配向ヨーク52、主永久磁石54及び副永久磁石55(55a,55b)の設置スペースを広く確保することが可能であるが、実施の形態3と同様に、金型自体の大型化を回避するという観点からすれば、外周スリーブ47の外側において金型30の径寸法があまり嵩まないように、アシスト磁石60を利用した配向磁場生成ユニット50を設置することが好ましい。
実施例1は、実施の形態1に係る金型(片側アシスト磁石)を具現化して用い、これにより、成形すべき異方性ボンド磁石に配向磁場を与えて成形し、成形された異方性ボンド磁石の表面磁束密度分布を測定した。本例のアシスト磁石は、成形すべき異方性ボンド磁石の各磁極Mpの配向磁場の方向に対して90°の角度で交差する方向の磁場を備えた態様である。
本実施例においては、ボンド磁石の寸法を外径φ10mm、内径8mm、高さ4mmとして金型を作製した。また、内周金型部品としての内周スリーブの厚みは1mm、材質を日立金属株式会社製HPM75とした。更に、配向ヨークはφ6(外径)×φ3.5(内径)×22.5(中心角)とした。
また、住友金属鉱山株式会社製の異方性ボンド磁石材料WellmaxS3A12Mを使用して、異方性ボンド磁石を成形した。
実施例2は、実施例1と略同様の金型であるが、本例のアシスト磁石は、成形すべき異方性ボンド磁石の各磁極Mpの配向磁場の方向に対して60°の角度で交差する方向の磁場を備えた態様である。
◎実施例3
実施例3は、実施の形態2に係る金型(両側アシスト磁石)を具現化して用い、これにより、成形すべき異方性ボンド磁石に配向磁場を与えて成形し、成形された異方性ボンド磁石の表面磁束密度分布を測定した。本例のアシスト磁石は、成形すべき異方性ボンド磁石の各磁極Mpの配向磁場の方向に対して90°の角度で交差する方向の磁場を備えた態様である。尚、その他の条件は実施例1と略同様である。
◎実施例4
実施例4は、実施例3と略同様の金型であるが、本例のアシスト磁石は、成形すべき異方性ボンド磁石の各磁極Mpの配向磁場の方向に対して60°の角度で交差する方向の磁場を備えた態様である。
実施例5は、実施例3と略同様の金型であるが、本例のアシスト磁石は、成形すべき異方性ボンド磁石の各磁極Mpの配向磁場の方向に対して45°の角度で交差する方向の磁場を備えた態様である。
◎実施例6
実施例6は、実施例3と略同様の金型であるが、本例のアシスト磁石は、成形すべき異方性ボンド磁石の各磁極Mpの配向磁場の方向に対して75°の角度で交差する方向の磁場を備えた態様である。
◎比較例1
比較例1は、比較の形態1に係る金型(アシスト磁石無し)を具現化して用い、これにより、成形すべき異方性ボンド磁石に配向磁場を与えて成形し、成形された異方性ボンド磁石の表面磁束密度分布を測定した。
実施例1、実施例3及び比較例1に係る金型を用いて製造された異方性ボンド磁石の表面磁束密度分布を測定したところ、図11に示す結果が得られた。尚、異方性ボンド磁石の表面磁束密度分布の測定方法としては、ガウスメータのプローブをボンド磁石の外周面に接触させ、ボンド磁石を回転させながら測定する手法を採用した。
図11によれば、実施例1、実施例3の異方性ボンド磁石の表面磁束密度分布は、比較例1に比べて、正弦波状に近似した滑らかな波形形状を有し、かつ、充分な配向磁場が得られていることが把握される。
また、実施例1、実施例3及び比較例1について、図11に示す結果から、異方性ボンド磁石の表面磁束密度分布の積分値比を調べたところ、図12に示す結果が得られた。
図12によれば、比較例1の積分値を100%とした場合、実施例1の積分値が106%、実施例3の積分値が114%であることが理解され、アシスト磁石がある態様(実施例1,3)がアシスト磁石無しの態様(比較例1)に比べて、配向度が高いことが理解され、更に、両側アシスト磁石の態様(実施例3)が片側アシスト磁石の態様(実施例1)に比べて更に配向度が高くなることが理解される。
実施例1~4及び比較例1について、異方性ボンド磁石の表面磁束密度分布の積分値比を調べたところ、図12に示す結果が得られた。
図12によれば、例えば片側アシスト磁石の態様においては、アシスト磁石の磁場作用方向がボンド磁石の各磁極Mpに対する配向磁場の方向に対して90°である実施例1は、同60°である実施例2に比べて2%高いことが理解される。このことからすると、アシスト磁石の磁場作用方向は、各磁極Mpに対する配向磁場の方向に対して90°に近い方が配向度が高いことが理解される。
また、両側アシスト磁石の態様についても、アシスト磁石の磁場作用方向がボンド磁石の各磁極Mpに対する配向磁場の方向に対して90°である実施例3は、同60°である実施例4に比べて4%高いことが理解される。このことからすると、アシスト磁石の磁場作用方向は、各磁極Mpに対する配向磁場の方向に対して90°に近い方が配向度が高いことが理解される。
同図によれば、両側アシスト磁石について、ボンド磁石の各磁極Mpへの配向磁場方向に対するアシスト磁石の磁場作用方向を変化させたところ、比較例1に係るボンド磁石の表面磁束密度分布の積分値を100とすると、アシスト磁石の磁場作用方向の角度αが大きい方が配向度が高いことが理解される。ちなみに、配向度は、実施例5(α=45°)<実施例4(α=60°)<実施例6(α=75°)<実施例3(α=90°)であることが確認された。
尚、片側アシスト磁石についても同様に調べたところ、ボンド磁石の各磁極への配向磁場方向に対するアシスト磁石の磁場作用方向を変化させたところ、図13に示す結果と略同様な傾向が確認された。
2 金型部品
2a 内周金型部品
2b 外周金型部品
3 空洞部
4 配向用磁性体
5 配向用磁石
6 第1の永久磁石
7 第2の永久磁石
8 主永久磁石
9(9a,9b) 副永久磁石
Cm 組成物
Mp 磁極
20 射出ユニット
21 シリンダ
22 ホッパ
23 ヒータ
24 スクリューロッド
25 射出口
26 供給経路
30 金型
31 固定金型
31a 凹部
32 可動金型
33 固定側取付板
34 可動側取付板
35 可動側型板
35a 円柱状凹所
40 金型部品
41 内周金型部品
42 外周金型部品
43 空洞部
45 内周スリーブ
45a 張り出し部
46 内周コア
47 外周スリーブ
50 配向磁場生成ユニット
51 基本配向磁場生成ユニット
52 配向ヨーク
53 配向用磁石
54 主永久磁石
55(55a,55b) 副永久磁石
56(56a,56b) 対構成の永久磁石
60(60a,60b) アシスト磁石
H,H’ 配向磁場
m 基準線
Claims (9)
- 成形すべき異方性ボンド磁石の材料を含む組成物が充填可能な空洞部を区画する金型部品と、
前記空洞部に充填された組成物に面して設けられ、成形すべきボンド磁石の複数の各磁極に対向して配置される強磁性材からなる配向用磁性体と、
前記配向用磁性体に対して磁場を与え、前記空洞部内の組成物の磁石材料を磁気的に配向させる配向用磁石と、
を備え、
前記配向用磁石は、前記配向用磁性体のうち前記各磁極に対向する面以外で前記配向用磁性体の厚さ方向領域内に面した周面の全域に配置され且つ前記配向用磁性体に対して前記各磁極の配向に要する第1の磁場を与える第1の永久磁石と、
前記配向用磁性体のうち前記第1の永久磁石の配置面に隣接する側面に配置され且つ前記配向用磁性体に対して前記第1の永久磁石の磁場方向に交差する方向で前記各磁極の配向に要する第2の磁場を与える第2の永久磁石と、
を有し、
前記配向用磁性体、前記第1の永久磁石及び前記第2の永久磁石は前記磁極毎に別個に設けられ、
前記第1の永久磁石は、隣接する前記磁極の前記第1の永久磁石と接触して配置され、
前記第2の永久磁石は、隣接する前記磁極の前記第2の永久磁石とは非接触に配置され、かつ、前記配向用磁性体には前記第1の永久磁石の磁場方向に対して60°乃至90°の角度をもって交差する前記第2の磁場を与えることを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型。 - 請求項1に記載の異方性ボンド磁石の成形用金型において、
前記第1の永久磁石は、前記配向用磁性体のうち前記各磁極とは反対側に位置する背面に配置され且つ前記配向用磁性体に対して前記各磁極の配向磁場方向に沿う方向の磁場を与える主永久磁石と、前記配向用磁性体のうち前記各磁極の配列方向側に位置する両側面に配置され且つ前記配向用磁性体に対して前記主永久磁石の磁場方向に対して交差する方向の磁場を与える副永久磁石とを有することを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型。 - 請求項2に記載の異方性ボンド磁石の成形用金型において、
前記第1の永久磁石は、前記副永久磁石が前記主永久磁石を挟むように配置されていることを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の異方性ボンド磁石の成形用金型において、
前記第2の永久磁石は、前記配向用磁性体と共に前記第1の永久磁石の一部に接触して配置されていることを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の異方性ボンド磁石の成形用金型において、
前記第2の永久磁石は前記配向用磁性体に対して対構成で設けられていることを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の異方性ボンド磁石の成形用金型において、
前記金型部品のうち前記空洞部と前記配向用磁性体とを隔てる部材は常磁性体であることを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の異方性ボンド磁石の成形用金型において、
前記金型部品は、円環状空洞部を区画する内周金型部品及び外周金型部品を有し、前記内周金型部品の内側に前記配向用磁性体及び前記配向用磁石を設置することを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の異方性ボンド磁石の成形用金型において、
前記金型部品は、円環状空洞部を区画する内周金型部品及び外周金型部品を有し、前記外周金型部品の外側に前記配向用磁性体及び前記配向用磁石を設置することを特徴とする異方性ボンド磁石の成形用金型。 - 請求項1乃至8のいずれかに記載の異方性ボンド磁石の成形用金型を用いて異方性ボンド磁石を製造するに際し、
前記成形用金型の空洞部に成形すべき異方性ボンド磁石の材料を含む組成物を充填する充填工程と、
前記充填工程後において前記成形用金型の配向用磁石にて前記空洞部に充填された組成物を磁気的に配向させると共に所定の形状に成形する配向・成形工程と、
前記配向・成形工程にて成形された異方性ボンド磁石を冷却して前記成形用金型から取り出す取出工程と、
を含むことを特徴とする異方性ボンド磁石の製造方法。
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