JP7354087B2 - 反射防止ハードコートフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、外部光源の反射が少なく視認性に優れると共に、耐摩耗性が良好な反射防止ハードコートフィルムに関する。
反射防止ハードコートフィルムは、蛍光灯などの外部光源の反射が少なく視認性が良好であるという特徴から、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどに代表される画像表示装置で広く使用されているが、タッチパネルなどで画像表示面を指で触る場合は、油分や汚れなどの付着で視認性が低下するという問題があり、外部光源の反射率を低くすると共に、防汚性が求められるようになってきている。
反射防止ハードコートフィルムとしては、フィルム基材の表面にハードコート層を設け、その上層に低屈折率の反射防止層を配置する構成が良く知られているが、この反射防止層の防汚性を向上させる方法としては、画像表示面に汚れが付きにくくする、あるいは汚れが付着した場合でも容易に拭き取れるようにする、という2つが考えられる。
例えば拭き取り性に優れる防汚性の反射防止膜として、エチレン性不飽和基含有フッ素重合体とシロキサン骨格を有するシリコーン化合物と(メタ)アクリレート化合物を含有する組成物が提案されている(特許文献1)。こうした組成物を用いることで、防汚性を向上させた反射防止フィルムの製造は可能となってきているが、タッチパネルの普及に伴い、繰り返しの拭き取りや硬い綿布等での拭き取りに対しても傷が付きにくい、より耐摩耗性に優れた反射防止フィルムが求められるようになってきている。
特開2008-19402号公報
本発明の課題は、外部光源の反射が少なく視認性に優れると共に、撥水・撥油性が高いため汚れが付きにくく、また汚れが付いた場合でも繰り返しの拭き取りや硬い綿布等での拭き取りに対して傷が付きにくい、耐摩耗性に優れた反射防止ハードコートフィルムを提供することにある。
上記の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、光透過性を有する基材フィルムにハードコート層、低屈折率層がこの順番で積層されており、前記低屈折率層はバインダー樹脂(A)と、平均粒子径5~100nmの中空シリカ微粒子(B)と、平均粒子径1~100nmのアルミナ微粒子(C)と、反応性官能基を有するフッ素系シリコーン化合物(D)と、を含み、前記(C)の配合量が固形物全量に対し3.9~10.0重量%であり、前記(D)の配合量が固形物全量に対し8.1~18重量%である低屈折率樹脂組成物を用いて形成されたことを特徴とする反射防止ハードコートフィルムを提供する。
請求項2の発明は、前記(B)の配合量が低屈折率層の固形物全量に対し40~70重量%であり、前記(A)の配合量が15~45重量%である低屈折率樹脂組成物を用いて形成されたことを特徴とする請求項1記載の反射防止ハードコートフィルムを提供する。
本発明のハードコートフィルムは、外部光源の反射が少なく視認性に優れると共に、撥水・撥油性が高いため汚れが付きにくく、また汚れが付いた場合でも繰り返しの拭き取りや硬い綿布等での拭き取りに対して傷が付きにくい耐摩耗性に優れているため、画像表示装置用の反射防止フィルムとして有用である。
本発明の反射防止ハードコートフィルムは、ハードコート(以下HC)層を形成するためのHC樹脂組成物と、低屈折率層を形成するための低屈折率樹脂組成物の2種類を用いて製造される。低屈折率樹脂組成物はバインダー樹脂(A)と、中空シリカ微粒子(B)と、アルミナ微粒子(C)と、表面調整剤(D)を含む組成物である。なお、本明細書において(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。
本発明で使用するバインダー樹脂(A)は、前記(B)と(C)を分散させ、低屈折率層を形成する主要樹脂である。短時間で強固な高分子皮膜を形成するため、多官能の光反応性官能基を有することが好ましく、光反応性官能基としては(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。
前記(A)で使用されるバインダーとしては、オリゴマーでは例えばウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリル系(メタ)アクリレート、ジエン系(メタ)アクリレート等が挙げられ、低分子量バインダーとしては脂肪族、脂環族、ポリエーテル骨格、水酸基及びアミノ基等の官能基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記(A)の全固形分に対する配合量は15~45重量%が好ましく、20~40重量%が更に好ましく、22~38重量%が特に好ましい。15重量%以上とすることで十分な皮膜硬化性が確保でき、45重量%以下とすることで屈折率を十分低下させ、反射率を低くすることができる。
本発明で使用する中空シリカ微粒子(B)は、低屈折率層の屈折率を低下させる目的で配合する。(B)は低屈折率層の塗膜強度を保持しつつ、その屈折率を下げる機能を有し、内部に屈折率1の空気を含む空洞を有するシリカ粒子である。中実シリカ粒子の屈折率が1.45程度に対し、(B)の屈折率は内部の空洞の占有率が高くなるにつれて低下し、1.15~1.40程度である。
前記(B)の一次平均粒子径は5~100nmであり、20~80nmが好ましく、40~70nmが更に好ましい。この範囲とすることで、低屈折率層の透明性を損なうことなく、良好な分散性を得られる。特に40~70nmであれば、強度不足とならない外殻の厚みを確保しつつ、空洞の占有率を上げて屈折率を下げることができる。なお平均粒子径は、JISZ8825-1に準拠したレーザー回折・散乱法により測定したメジアン径(d=50)とする。
前記(B)の全固形分に対する配合量は45~70重量%が好ましく、50~65重量%が更に好ましい。45重量%以上とすることで屈折率を十分低くすことができ、70重量%以下とすることで十分な耐摩耗性を確保することができる。市販品としてはスルーリア2320(商品名:日揮触媒化成社製、固形分20.5%、一次平均粒子径50nm)が挙げられる。
本発明で使用するアルミナ微粒子(C)は、低屈折率層の硬度を上げて耐摩耗性を向上させる目的で配合する。(C)の一次平均粒子径は1~100nmであり、5~50nmが好ましく、10~30nmが更に好ましい。1nm以上とすることで耐摩耗性の向上が期待でき、100nm以下とすることでヘイズを高くすることなく十分な全光線透過率を確保することができる。
前記(C)の全固形分に対する配合量は0.7~14.0重量%であり、0.8~12.0重量%が好ましく、0.8~10.0重量%が更に好ましい。0.7重量%未満では十分な耐摩耗性を確保することができず、14.0重量%超では屈折率が上がるため反射率が高くなり、また撥油性が低下するため防汚性が低下する。市販品としてはALMIBK-M47(商品名:CIKナノテック社製、固形分15%、平均粒子径20nm)が挙げられる。
本発明で使用する表面調整剤(D)は、低屈折率層のスリップ性を向上させて耐摩耗性を向上させると共に、撥水撥由性を上げて防汚性を向上させる目的で配合する。例えばシリコーン系、フッ素系、アクリル系等が挙げられるが、硬化後の皮膜からブリード等により経時的に欠落することが無く効果を長期的に持続できる点で、バインダー樹脂と重合して硬化塗膜を形成できる反応性官能基を有することが好ましい。特にフッ素系シリコーン化合物が、低い表面自由エネルギーにより、塗工~乾燥後に塗膜表面に偏析しやすく、耐摩耗性及び防汚性を長期にわたり安定化させることができる点で好ましい。
前記(D)の全固形分に対する配合量は1~25重量%が好ましく、3~20重量%が更に好ましく、5~18重量%が特に好ましい。1重量%以上とすることで耐摩耗性と防汚性を向上させることが期待でき、25重量%以下とすることで十分な硬化性を確保することができる。市販品としてはX-71-1203M(商品名:信越化学工業社製、固形分20%、反応性官能基を有するフッ素系シリコーン化合物)が挙げられる。
本発明の低屈折率層の下層に位置するHC層を形成するためのHC樹脂組成物としては、バインダーとして多官能ウレタン(メタ)アクリレート(以下多官能ウレアク)を含むことが好ましい。
HC樹脂組成物に含むことが好ましい多官能ウレアクは、ウレタン結合に由来する水素結合の凝集力により優れた耐擦傷性を有する。例えばポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応で得ることができる。使用するポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDI)、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、HDIイソシアヌレート体、IPDIイソシアヌレート体などがあり、これらを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。これらの中では耐候性が高く黄変しにくい脂肪族及び脂環族のジイソシアネートが好ましく、特にそれらの中では延伸性が高いHDIが好ましい。
前記多官能ウレアクにおいて使用する水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2官能ではトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなどが、3官能以上ではジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートがある。これらの中では3官能で、硬化性の高いペンタエリスリトールトリアクリレート(以下PETA)が好ましい。
本発明のHC樹脂組成物及び低屈折率樹脂組成物には、紫外線照射による硬化性向上のため光重合開始剤を配合することが好ましい。光重合開始剤は、紫外線や電子線などの照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるもので、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系等汎用の光重合開始剤が使用できる。重合開始剤の光吸収波長を任意に選択することによって、紫外線領域から可視光領域にいたる広い波長範囲にわたって硬化性を付与することができる。具体的にはベンジルケタール系として2.2-ジメトキシ-1.2-ジフェニルエタン-1-オンが、α-ヒドロキシアセトフェノン系として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン及び1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンが、α-アミノアセトフェノン系として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンが、アシルフォスフィンオキサイド系として2.4.6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びビス(2.4.6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド等があり、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
HC樹脂組成物の場合、光重合開始剤は黄変しにくいα-ヒドロキシアセトフェノン系を含むことが好ましく、市販品としてはOmnirad127、Omnirad184、Omnirad2959(商品名:IGM Resins社製)などが挙げられる。これらの中では、特に黄変が少なく耐擦傷性に優れるOmnirad2959が好ましい。光重合開始剤のHC樹脂組成物におけるラジカル重合性分100重量部に対する配合は1~15重量部が好ましく、2~10重量部が更に好ましい。
低屈折率樹脂組成物の場合、光重合開始剤はHC樹脂組成物の場合と同様にα-ヒドロキシアセトフェノン系を含むことが好ましく、特に硬化性の点でOmnirad127が好ましい。光重合開始剤の低屈折率樹脂組成物におけるラジカル重合性分100重量部に対する配合は1~10重量部が好ましく、2~8重量部が更に好ましい。
本発明の組成物には、性能を損なわない範囲で必要に応じて反応性希釈剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、密着促進剤、ブルーイング剤、消泡剤、増粘剤、沈澱防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、有機微粒子等を添加してもよい。
HC樹脂組成物及び低屈折率樹脂組成物を塗工する際には、塗工特性を向上させるため溶剤にて希釈してもよい。希釈溶剤としては、例えばエタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(以下IPA)、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(以下MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、PGM,ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ等のエーテル系溶媒等があげられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。希釈する場合の固形分としては1~70%が例示されるが、特に指定は無く、塗工しやすい粘度となるように適宜設定可能である。
HC樹脂組成物が塗布される基材フィルムとしては、ポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンフィルム、アクリルフィルム、ポリイミドフィルム、ABSフィルム、ポリオレフィンフィルム、PVCフィルム、PVAフィルム等を挙げることができる。なかでも耐候性、加工性、寸法安定性などの点から二軸延伸処理されたポリエステルフィルムが好ましく用いられる。フィルムの厚みは概ね25μm~500μmであればよい。
前記基材フィルムは、HC樹脂組成物との密着性を向上させる目的で、プライマー処理やサンドブラスト法、溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施すことができる。
HC樹脂組成物及び低屈折率樹脂組成物を塗布する方法は、特に制限はなく、公知のスプレーコート、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、ワイヤーバーなどの塗工法またはグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成できる。
HC樹脂組成物の膜厚は乾燥時で1μm~10μmが例示できるが、これに限定されるものではない。ハードコート樹脂層上に塗布する低屈折率樹脂組成物の膜厚は乾燥時で50~200nmであることが好ましく、80~150nmであることが更に好ましい。低屈折率層の厚さがこの範囲であれば、反射率を十分低くすることが可能となる。
HC樹脂組成物及び低屈折率樹脂組成物を硬化させる際に用いる紫外線照射の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、無電極紫外線ランプなどがあり、また照射する雰囲気は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。また紫外線照射時にバックロールの加温や、IRヒーターなどにより塗膜を加熱することで、より硬化性を上げることができる。照射条件としては照射強度500mW/cm~3000mW/cm、露光量50~400mJ/cmが例示されるが、これに限定されるものではない。紫外線照射はフィルム成型後に行うが、成形前に低露光量(例えば15~30mJ/cm)によるセミキュアをしても良い。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合は、室温25℃、相対湿度65%の条件下で測定を行った。また配合量は重量部を示す。
HC樹脂組成物
バインダーとしてHDIとPETAを反応させた6官能ウレアクを、光重合開始剤としてOmnirad2959(商品名:IGM Resins社製)を、表1記載の配合で用い、固形分が40%になるよう酢酸エチルとPGMを用いて希釈し、均一に溶解・分散するまで撹拌してHC樹脂組成物を得た。
低屈折率樹脂組成物配合
前記(A)としてDPHAを、(B)としてスルーリア2320(商品名:日揮触媒化成社製、固形分20%、一次平均粒子径50nm、屈折率1.3)を、(C)としてM47(商品名:CIKナノテック社製、固形分15%、平均粒子径20nm、MIBK希釈)及びEN2400I(商品名:Chemmat社製、固形分40%、平均粒子径20nm、IPA希釈)を、(D)としてX-71-1203M(商品名:信越化学工業社製、固形分20%、反応性官能基含有フッ素系シリコーン化合物)を、光重合開始剤としてOmnirad127(商品名:IGM Resins社製)を、シリカ微粒子としてPGM-AC-2140Y(商品名:日産化学社製、平均粒子径20nm、固形分47%、表面処理有り、MEK希釈)及びMEK-ST(商品名:日産化学社製、平均粒子径20nm、固形分30%、表面処理無し、MEK希釈)を、表1及び表2記載の配合で用い、固形分が3%になるようIPAとPGMを用いて希釈し、均一に溶解・分散するまで撹拌して低屈折率樹脂組成物を得た。
表1
表2
評価方法は以下の通りとした。
HC層の調製
HC樹脂組成物を用い、PETフィルムU403(商品名:東レ社製、厚み100μm、易接着層有)に乾燥膜厚で3μmとなるように塗布し、80℃で1分乾燥した。その後、アイグラフィックス社製の紫外線露光装置ECS-151Uを用い、100mW/cm,800mJ/cmの条件で硬化してHCフィルムを作成した。
反射防止フィルムの作成
上記で作成したハードコート層上に、低屈折率樹脂組成物を乾燥膜厚で100nmとなるように塗布し、80℃で1分乾燥した。その後、アイグラフィックス社製の紫外線露光装置ECS-151Uを用い、100mW/cm,800mJ/cm, 窒素雰囲気下の条件で硬化させ反射防止フィルムを形成した。
ヘイズ:上記反射防止フィルムを、東洋精機製作所社製のHaze-GARD2を用いJIS K7361-1に準拠して測定した。
最小反射率:上記反射防止フィルムを用い、塗工面とは反対面を紙やすりで擦り傷を付け、黒色顔料マーカーで塗りつぶし、更に黒色PETを貼り合せ反対面側の反射率を0%とする。その後HC面側を分光光度計にて300nm~780nmの範囲で1nm毎に反射率をプロットして最低の反射率を測定し、1.5%以下を〇、1.5%超を×とした。
耐摩耗性:スチールウール#0000の上に200g/cm2の荷重を載せて10往復させ、目視による観察で傷が付かないものを○、傷が付くものを×とした。
水接触角:JIS R 3257:1999の静滴法に準じ、協和界面科学社製のDMs-400により、常態のサンプルを用い、室温で水を滴下し30秒静置後の接触角を測定し、105°以上を○、105°未満を×とした。
油性マーカー拭き取り性:ゼブラ社製のMO-120-MC-BK油性マーカーマッキー極細にて、塗工面に長さ5cmの線を1本引く。その後ウエスで線を拭いた際の塗膜外観を評価し、目視にて油性マーカーが残らないものを〇、残るものを×とした。
評価結果
表3
表4
実施例は、ヘイズ、最小反射率、耐摩耗性、水接触角、油性マーカー拭き取り性の全ての面で問題はなく良好であった。
一方、(D)が未配合の比較例1は耐摩耗性、水接触角、マーカー拭き取り性が劣り、(B)が未配合の比較例2は最小反射率が高かった。また(C)が未配合又は配合量が下限未満の比較例3及び4は耐摩耗性が劣っており、配合量が上限超の比較例5は最小反射率及びマーカー拭き取り性が劣っていた。更に(C)の代わりに同じ平均粒子径のシリカを用いた比較例6及び7は耐摩耗性が劣り、いずれも本願発明に適さないものであった。

Claims (2)

  1. 光透過性を有する基材フィルムにハードコート層、低屈折率層がこの順番で積層されており、前記低屈折率層はバインダー樹脂(A)と、平均粒子径5~100nmの中空シリカ微粒子(B)と、平均粒子径1~100nmのアルミナ微粒子(C)と、反応性官能基を有するフッ素系シリコーン化合物(D)と、を含み、前記(C)の配合量が固形物全量に対し3.9~10.0重量%であり、前記(D)の配合量が固形物全量に対し8.1~18重量%である低屈折率樹脂組成物を用いて形成されたことを特徴とする反射防止ハードコートフィルム。
  2. 前記(B)の配合量が低屈折率層の固形物全量に対し40~70重量%であり、前記(A)の配合量が15~45重量%である低屈折率樹脂組成物を用いて形成されたことを特徴とする請求項1記載の反射防止ハードコートフィルム。
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