JP7354055B2 - 内燃機用燃料油組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、内燃機用燃料油組成物に関する。
ＪＩＳ Ｋ２２０５：２００６の３種重油（以下、「Ｃ重油」とも称する。）は、灯油、軽油、Ａ重油（ＪＩＳ Ｋ２２０５：２００６の１種重油）等と比べて単位体積当たりの発熱量が高く、燃料油使用量（体積）を低減することができ、また安価であることから、船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機の燃料油として、また発電用ボイラ等の外燃機の燃料油として広く使用されている。
一方、Ｃ重油は一般に灯油、軽油、Ａ重油等と比べて硫黄分含有量、残留炭素分が多く、環境負荷が大きく、またスラッジも発生しやすく、スラッジの生成により燃料油フィルタの目詰まりが発生しやすくなることが知られている。これに対して、１５℃密度、５０℃動粘度、残留炭素分、アスファルテン分、硫黄分、芳香族分が所定範囲内となるＣ重油組成物が提案されている（例えば、特許文献１参照）。
一方、Ｃ重油は一般に灯油、軽油、Ａ重油等と比べて硫黄分含有量、残留炭素分が多く、環境負荷が大きく、またスラッジも発生しやすく、スラッジの生成により燃料油フィルタの目詰まりが発生しやすくなることが知られている。これに対して、１５℃密度、５０℃動粘度、残留炭素分、アスファルテン分、硫黄分、芳香族分が所定範囲内となるＣ重油組成物が提案されている（例えば、特許文献１参照）。
また、船舶用の燃料油としては、ＩＳＯ８２１７「Ｐｅｔｒｏｌｅｕｍ ｐｒｏｄｕｃｔｓ－Ｆｕｅｌｓ（ｃｌａｓｓ Ｆ）－Ｓｐｅｃｉｆｉｃａｔｉｏｎ ｏｆ ｍａｒｉｎｅ ｆｕｅｌｓ」を満足する燃料油等が知られている。この船舶用の燃料油は、燃料油フィルタの閉塞を生じる場合があるため、硫黄分、残留炭素分、アスファルテン分含有量、１５℃密度、Ｔｏｔａｌ ｓｅｄｉｍｅｎｔ ｂｙ ｈｏｔ ｆｉｌｔｒａｔｉｏｎ（ＩＳＯ １０３０７－１）等の所定性状を備える直接脱硫重油を所定量で含む重油組成物が提案されている（例えば、特許文献２参照）。
しかしながら、上記の通油性を向上した内燃機用燃料油組成物を用いても、とりわけ大型船舶のディーゼルエンジン等の大型ディーゼルエンジンに内燃機用燃料油組成物を用いる場合、通常使用時に燃料油フィルタの閉塞頻度が高くなりやすく、船舶内の燃料油タンク等で長期貯蔵した後に使用すると、閉塞頻度はより高くなる傾向にある。そのため、内燃機用燃料油組成物には、特に長期貯蔵した後であっても常温通油性能を維持する貯蔵安定性能が求められるようになっており、要求される性能はより厳しくなっている。また、このような大型船舶等の船舶用ディーゼルエンジンには、燃料油組成物の前処理装置として遠心分離装置を装備した形式のものが採用されることがあるが、このような形式のディーゼルエンジンには特に厳しい貯蔵安定性が求められる。
また、とりわけ大型船舶のディーゼルエンジン等の大型ディーゼルエンジンの用途においては、内燃機用燃料油組成物の使用環境は著しく変化することから、内燃機用燃料油組成物には、その環境の変化に対応することが求められる。中でも着火遅れ等がない着火性能及び安定した燃焼性能（これらをあわせて「燃焼性能」と称することがある。）を有することは重要である。また、内燃機用に用いられる燃料油組成物には、当然有するべき性能として、高い発熱量を有することによる使用量低減性能、更に硫黄分含有量を少なくすることで環境への負荷を低減する環境性能もあわせて求められる。
しかしながら、従来のＣ重油、また上記の通油性を向上した内燃機用燃料油組成物は、これらの性能の全てを十分に満足するものとはいえないものであり、また燃料油組成物の前処理装置として遠心分離装置を装備した船舶用ディーゼルエンジンのように特に厳しい貯蔵安定性能が求められる用途においては、これらの性能を同時に満足し得ることは極めて困難である。このような状況下、本発明は、極めて厳しい貯蔵安定性能への要求に対応しつつ、他の性能、すなわち燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をも満足する内燃機用燃料油組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討の結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち、本発明は、下記の構成を有する内燃機用燃料油組成物を提供するものである。
［１］下記（ａ）～（ｅ）をいずれも満足する重質分解軽油留分を、組成物全量基準の含有量として３０．０容量％以上７０．０容量％未満で含む、下記（１）～（４）をいずれも満足する内燃機用燃料油組成物。
（ａ）硫黄分含有量が０．５００質量％以下
（ｂ）５０℃における動粘度が１０．０ｍｍ２／ｓ以上５０．０ｍｍ２／ｓ以下
（ｃ）１５℃における密度が０．９９００ｇ／ｃｍ３以上１．０２５０ｇ／ｃｍ３以下
（ｄ）残留炭素分が１．０質量％以下
（ｅ）芳香族分含有量が７０．０質量％以上
（１）硫黄分含有量が０．５００質量％以下
（２）５０℃における動粘度が１０．０ｍｍ２／ｓ以上１００．０ｍｍ２／ｓ以下
（３）総発熱量が４１，９００（ｋＪ／Ｌ）以上
（４）ＣＣＡＩが８６５以下
［２］更に、脱硫重油留分を、３０．０容量％超７０．０容量％以下で含む、上記［１］に記載の内燃機用燃料油組成物。
［３］前処理装置として遠心分離装置を装備する船舶用ディーゼルエンジンに用いられる上記［１］又は［２］に記載の内燃機用燃料油組成物。
（ａ）硫黄分含有量が０．５００質量％以下
（ｂ）５０℃における動粘度が１０．０ｍｍ２／ｓ以上５０．０ｍｍ２／ｓ以下
（ｃ）１５℃における密度が０．９９００ｇ／ｃｍ３以上１．０２５０ｇ／ｃｍ３以下
（ｄ）残留炭素分が１．０質量％以下
（ｅ）芳香族分含有量が７０．０質量％以上
（１）硫黄分含有量が０．５００質量％以下
（２）５０℃における動粘度が１０．０ｍｍ２／ｓ以上１００．０ｍｍ２／ｓ以下
（３）総発熱量が４１，９００（ｋＪ／Ｌ）以上
（４）ＣＣＡＩが８６５以下
［２］更に、脱硫重油留分を、３０．０容量％超７０．０容量％以下で含む、上記［１］に記載の内燃機用燃料油組成物。
［３］前処理装置として遠心分離装置を装備する船舶用ディーゼルエンジンに用いられる上記［１］又は［２］に記載の内燃機用燃料油組成物。
本発明によれば、極めて厳しい貯蔵安定性能への要求に対応しつつ、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をも満足する内燃機用燃料油組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態（以後、単に「本実施形態」と称する場合がある。）に係る内燃機用燃料油組成物について具体的に説明する。なお、本明細書中において、数値範囲の記載に関する「以下」、「以上」及び「～」に係る数値は任意に組み合わせできる数値であり、また実施例の数値は上限値又は下限値として用いられ得る数値である。
〔内燃機用燃料油組成物〕
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、下記（ａ）～（ｅ）をいずれも満足する重質分解軽油留分を、組成物全量基準の含有量として３０．０容量％以上７０．０容量％未満で含む、下記（１）～（４）をいずれも満足する、内燃機用燃料油組成物である。
（ａ）硫黄分含有量が０．５００質量％以下
（ｂ）５０℃における動粘度が１０．０ｍｍ２／ｓ以上５０．０ｍｍ２／ｓ以下
（ｃ）１５℃における密度が０．９９００ｇ／ｃｍ３以上１．０２５０ｇ／ｃｍ３以下
（ｄ）残留炭素分が１．０質量％以下
（ｅ）芳香族分含有量が７０．０質量％以上
（１）硫黄分含有量が０．５００質量％以下
（２）５０℃における動粘度が１０．０ｍｍ２／ｓ以上１００．０ｍｍ２／ｓ以下
（３）総発熱量が４１，９００（ｋＪ／Ｌ）以上
（４）ＣＣＡＩが８６５以下
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、下記（ａ）～（ｅ）をいずれも満足する重質分解軽油留分を、組成物全量基準の含有量として３０．０容量％以上７０．０容量％未満で含む、下記（１）～（４）をいずれも満足する、内燃機用燃料油組成物である。
（ａ）硫黄分含有量が０．５００質量％以下
（ｂ）５０℃における動粘度が１０．０ｍｍ２／ｓ以上５０．０ｍｍ２／ｓ以下
（ｃ）１５℃における密度が０．９９００ｇ／ｃｍ３以上１．０２５０ｇ／ｃｍ３以下
（ｄ）残留炭素分が１．０質量％以下
（ｅ）芳香族分含有量が７０．０質量％以上
（１）硫黄分含有量が０．５００質量％以下
（２）５０℃における動粘度が１０．０ｍｍ２／ｓ以上１００．０ｍｍ２／ｓ以下
（３）総発熱量が４１，９００（ｋＪ／Ｌ）以上
（４）ＣＣＡＩが８６５以下
（内燃機用燃料油組成物の組成及び性状）
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、以下の（１）～（４）で規定された組成及び性状をいずれも満足する。
（１）硫黄分含有量
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の硫黄分含有量は、０．５００質量％以下である。硫黄分含有量が０．５００質量％を超えると、環境性能が低下し、排ガス中の硫黄酸化物の上昇により腐食が生じ、環境への負荷が高くなる場合がある。腐食の発生の抑制及び環境性能の向上を考慮すると、硫黄分含有量は、好ましくは０．４７０質量％以下、より好ましくは０．４００質量％以下、更に好ましくは０．３６０質量％以下、より更に好ましくは０．３５０質量％以下である。また、硫黄分含有量の含有量は少なければ少ないほど好ましく、下限としては特に制限はないが、貯蔵安定性能、潤滑性の向上の観点から、通常０．０１０質量％以上である。
本明細書において、硫黄分含有量は、その含有量に応じて測定方法を選択して測定され、含有量が０．０１～５質量％の場合はＪＩＳ Ｋ ２５４１－４：２００３（原油及び石油製品－硫黄分試験方法－ 第４部：放射線式励起法）に準じて測定される値である。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、以下の（１）～（４）で規定された組成及び性状をいずれも満足する。
（１）硫黄分含有量
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の硫黄分含有量は、０．５００質量％以下である。硫黄分含有量が０．５００質量％を超えると、環境性能が低下し、排ガス中の硫黄酸化物の上昇により腐食が生じ、環境への負荷が高くなる場合がある。腐食の発生の抑制及び環境性能の向上を考慮すると、硫黄分含有量は、好ましくは０．４７０質量％以下、より好ましくは０．４００質量％以下、更に好ましくは０．３６０質量％以下、より更に好ましくは０．３５０質量％以下である。また、硫黄分含有量の含有量は少なければ少ないほど好ましく、下限としては特に制限はないが、貯蔵安定性能、潤滑性の向上の観点から、通常０．０１０質量％以上である。
本明細書において、硫黄分含有量は、その含有量に応じて測定方法を選択して測定され、含有量が０．０１～５質量％の場合はＪＩＳ Ｋ ２５４１－４：２００３（原油及び石油製品－硫黄分試験方法－ 第４部：放射線式励起法）に準じて測定される値である。
（２）５０℃における動粘度
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の５０℃における動粘度は、１０．０ｍｍ２／ｓ以上１００．０ｍｍ２／ｓ以下である。５０℃における動粘度が上記範囲内にないと、ポンプ及び流量計等の各種機器の使用範囲に適合しにくくなり、また潤滑性を確保できず、内燃機用燃料油組成物として使用することができなくなる場合がある。
上記各種機器の使用範囲に適合しやすくし、かつ潤滑性を向上させる観点から、５０℃における動粘度は、好ましくは１５．０ｍｍ２／ｓ以上、より好ましくは２５．０ｍｍ２／ｓ以上、更に好ましくは３０．０ｍｍ２／ｓ以上であり、上限として好ましくは８５．０ｍｍ２／ｓ以下、より好ましくは７０．０ｍｍ２／ｓ以下、更に好ましくは６０．０ｍｍ２／ｓ以下、より更に好ましくは５０．０ｍｍ２／ｓ以下である。
本明細書において、５０℃における動粘度は、ＪＩＳ Ｋ ２２８３：２０００（原油及び石油製品の動粘度試験方法）に準じて測定される値である。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の５０℃における動粘度は、１０．０ｍｍ２／ｓ以上１００．０ｍｍ２／ｓ以下である。５０℃における動粘度が上記範囲内にないと、ポンプ及び流量計等の各種機器の使用範囲に適合しにくくなり、また潤滑性を確保できず、内燃機用燃料油組成物として使用することができなくなる場合がある。
上記各種機器の使用範囲に適合しやすくし、かつ潤滑性を向上させる観点から、５０℃における動粘度は、好ましくは１５．０ｍｍ２／ｓ以上、より好ましくは２５．０ｍｍ２／ｓ以上、更に好ましくは３０．０ｍｍ２／ｓ以上であり、上限として好ましくは８５．０ｍｍ２／ｓ以下、より好ましくは７０．０ｍｍ２／ｓ以下、更に好ましくは６０．０ｍｍ２／ｓ以下、より更に好ましくは５０．０ｍｍ２／ｓ以下である。
本明細書において、５０℃における動粘度は、ＪＩＳ Ｋ ２２８３：２０００（原油及び石油製品の動粘度試験方法）に準じて測定される値である。
（３）総発熱量
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の総発熱量は、４１，９００（ｋＪ／Ｌ）以上である。総発熱量が４１，９００（ｋＪ／Ｌ）未満であると、高い発熱量による優れた使用量低減性能が得られない。すなわち、本明細書において、高い発熱量とは、４１，９００（ｋＪ／Ｌ）以上であることを意味する。
使用量低減性能を向上させる観点から、好ましくは４１，９５０（ｋＪ／Ｌ）以上、より好ましくは４２，０００（ｋＪ／Ｌ）以上、更に好ましくは４２，２５０（ｋＪ／Ｌ）以上、より更に好ましくは４２，４００（ｋＪ／Ｌ）以上である。
本明細書において、総発熱量は、重質分解軽油留分（ＨＣＯ）及び軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）については、ＪＩＳ Ｋ２２７９：２００３（原油及び石油製品－発熱量試験方法及び計算による推定方法－）に準じて測定し、推定（「６．総発熱量推定方法、６．３ ｅ）１）」に規定される原油、灯油、軽油、Ａ重油及びＢ重油の場合の計算式により推定）した。また、燃料油組成物、分解重油留分（ＣＬＯ）、脱硫重油（ＤＳＲＣ）については、ＪＩＳ Ｋ２２７９：２００３（原油及び石油製品－発熱量試験方法及び計算による推定方法－）に準じて測定し、推定（「６．総発熱量推定方法、６．３ ｅ）１）」に規定されるＣ重油の場合の計算式により推定）した。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の総発熱量は、４１，９００（ｋＪ／Ｌ）以上である。総発熱量が４１，９００（ｋＪ／Ｌ）未満であると、高い発熱量による優れた使用量低減性能が得られない。すなわち、本明細書において、高い発熱量とは、４１，９００（ｋＪ／Ｌ）以上であることを意味する。
使用量低減性能を向上させる観点から、好ましくは４１，９５０（ｋＪ／Ｌ）以上、より好ましくは４２，０００（ｋＪ／Ｌ）以上、更に好ましくは４２，２５０（ｋＪ／Ｌ）以上、より更に好ましくは４２，４００（ｋＪ／Ｌ）以上である。
本明細書において、総発熱量は、重質分解軽油留分（ＨＣＯ）及び軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）については、ＪＩＳ Ｋ２２７９：２００３（原油及び石油製品－発熱量試験方法及び計算による推定方法－）に準じて測定し、推定（「６．総発熱量推定方法、６．３ ｅ）１）」に規定される原油、灯油、軽油、Ａ重油及びＢ重油の場合の計算式により推定）した。また、燃料油組成物、分解重油留分（ＣＬＯ）、脱硫重油（ＤＳＲＣ）については、ＪＩＳ Ｋ２２７９：２００３（原油及び石油製品－発熱量試験方法及び計算による推定方法－）に準じて測定し、推定（「６．総発熱量推定方法、６．３ ｅ）１）」に規定されるＣ重油の場合の計算式により推定）した。
（４）ＣＣＡＩ：Ｃａｌｃｕｌａｔｅｄ Ｃａｒｂｏｎ Ａｒｏｍａｔｉｃｉｔｙ Ｉｎｄｅｘ
本実施形態の内燃機用燃料油組成物のＣＣＡＩは８６５以下である。ＣＣＡＩが８６５より大きいと、燃焼性能の確保が困難となる。燃焼性能の向上の観点から、ＣＣＡＩは好ましくは８６３以下、より好ましくは８６０以下である。また、下限としては、燃焼性能の観点から低ければ低いほど好ましく、特に制限はないが、通常８３０以上である。
本明細書において、ＣＣＡＩは、ＩＳＯ ８２１７－２０１２のＡｎｎｅｘ Ｆ記載の計算式より算出される値である。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物のＣＣＡＩは８６５以下である。ＣＣＡＩが８６５より大きいと、燃焼性能の確保が困難となる。燃焼性能の向上の観点から、ＣＣＡＩは好ましくは８６３以下、より好ましくは８６０以下である。また、下限としては、燃焼性能の観点から低ければ低いほど好ましく、特に制限はないが、通常８３０以上である。
本明細書において、ＣＣＡＩは、ＩＳＯ ８２１７－２０１２のＡｎｎｅｘ Ｆ記載の計算式より算出される値である。
また、本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、上記（１）～（４）の性状、組成に加えて、更に以下（５）～（８）の性状、組成から選ばれる少なくとも１つを満足することが好ましく、特に以下（５）～（８）の性状、組成のいずれも満足することが好ましい。
（５）１５℃における密度
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の１５℃における密度は、好ましくは０．９８００ｇ／ｃｍ３以下、より好ましくは０．９７５０ｇ／ｃｍ３以下である。１５℃における密度が上記範囲内であると、大型船舶等の船舶用のディーゼルエンジン等の前に前処理装置として付設される遠心分離装置によるスラッジの分離性能が低減しにくくなるので、貯蔵安定性能が向上する。また、下限としては特に制限はないが、通常０．９３００ｇ／ｃｍ３以上、好ましくは０．９５００ｇ／ｃｍ３以上、より好ましくは０．９６００ｇ／ｃｍ３以上のものを選択するとよい。
本明細書において、１５℃における密度は、ＪＩＳ Ｋ ２２４９－１：２０１１（原油及び石油製品－密度の求め方－ 第１部：振動法）に準じて測定される値である。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の１５℃における密度は、好ましくは０．９８００ｇ／ｃｍ３以下、より好ましくは０．９７５０ｇ／ｃｍ３以下である。１５℃における密度が上記範囲内であると、大型船舶等の船舶用のディーゼルエンジン等の前に前処理装置として付設される遠心分離装置によるスラッジの分離性能が低減しにくくなるので、貯蔵安定性能が向上する。また、下限としては特に制限はないが、通常０．９３００ｇ／ｃｍ３以上、好ましくは０．９５００ｇ／ｃｍ３以上、より好ましくは０．９６００ｇ／ｃｍ３以上のものを選択するとよい。
本明細書において、１５℃における密度は、ＪＩＳ Ｋ ２２４９－１：２０１１（原油及び石油製品－密度の求め方－ 第１部：振動法）に準じて測定される値である。
（６）流動点
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の流動点は、好ましくは１５．０℃以下である。流動点が１５．０℃以下であると、取扱性が向上する。これと同様の観点から、流動点は、より好ましくは１２．５℃以下、更に好ましくは１０．０℃以下、より更に好ましくは７．５℃以下である。また下限については、流動点が低ければ低いほど好ましく、特に制限はないが、通常－１０．０℃以上程度である。
本明細書において、流動点は、ＪＩＳ Ｋ ２２６９：１９８７（原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法）に準じて測定される値である。ここで、燃料油組成物、分解重油留分（ＣＬＯ）、脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）について、測定に用いる試料としては、その５００ｍＬを常温（１０～２０℃）で１６８時間（７日間）放置した後、４５℃に加熱する予備処理を行わなかったものを用いることとする。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の流動点は、好ましくは１５．０℃以下である。流動点が１５．０℃以下であると、取扱性が向上する。これと同様の観点から、流動点は、より好ましくは１２．５℃以下、更に好ましくは１０．０℃以下、より更に好ましくは７．５℃以下である。また下限については、流動点が低ければ低いほど好ましく、特に制限はないが、通常－１０．０℃以上程度である。
本明細書において、流動点は、ＪＩＳ Ｋ ２２６９：１９８７（原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法）に準じて測定される値である。ここで、燃料油組成物、分解重油留分（ＣＬＯ）、脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）について、測定に用いる試料としては、その５００ｍＬを常温（１０～２０℃）で１６８時間（７日間）放置した後、４５℃に加熱する予備処理を行わなかったものを用いることとする。
（７）残留炭素分
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の残留炭素分は、好ましくは４．０質量％以下、より好ましくは３．５質量％以下、更に好ましくは３．０質量％以下、より更に好ましくは２．５質量％以下、特に好ましくは２．０質量％以下であり、下限としては特に制限はないが、通常０．１質量％以上である。残留炭素分が上記範囲内であると、内燃機用燃料油組成物の燃焼性能を維持しやすくなり、また燃焼不良による煤発生の低減効果が向上するため、内燃機のより安定した運転が可能となる。
本明細書において、残留炭素分は、ＪＩＳ Ｋ ２２７０－１：２００９（原油及び石油製品－残留炭素分の求め方－ 第１部：コンラドソン法）に準じて測定される値である。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の残留炭素分は、好ましくは４．０質量％以下、より好ましくは３．５質量％以下、更に好ましくは３．０質量％以下、より更に好ましくは２．５質量％以下、特に好ましくは２．０質量％以下であり、下限としては特に制限はないが、通常０．１質量％以上である。残留炭素分が上記範囲内であると、内燃機用燃料油組成物の燃焼性能を維持しやすくなり、また燃焼不良による煤発生の低減効果が向上するため、内燃機のより安定した運転が可能となる。
本明細書において、残留炭素分は、ＪＩＳ Ｋ ２２７０－１：２００９（原油及び石油製品－残留炭素分の求め方－ 第１部：コンラドソン法）に準じて測定される値である。
（８）潜在セジメント
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の潜在セジメントは、好ましくは０．０６質量％未満、より好ましくは０．０５質量％以下、更に好ましくは０．０３質量％以下、より更に好ましくは０．０２質量％以下である。潜在セジメントが上記範囲内であると、燃料油貯蔵後の燃料油フィルタの通油性が確保され、より優れた貯蔵安定性能が得られる。
本明細書において、潜在セジメントは、試料（本実施形態の内燃機用燃料油組成物）を１００℃で４８時間放置した後、ＪＰＩ－５Ｓ－６０－２０００（原油及び石油製品－セジメント試験方法－）に準じて測定した値である。また、試料の１００℃での４８時間の放置に用いる装置及び方法は、ＪＰＩ－５Ｓ－６０－２０００（原油及び石油製品－セジメント試験方法－）の記載に準拠しており、当該記載では２４時間のところ、４８時間の放置を行うものとする。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物の潜在セジメントは、好ましくは０．０６質量％未満、より好ましくは０．０５質量％以下、更に好ましくは０．０３質量％以下、より更に好ましくは０．０２質量％以下である。潜在セジメントが上記範囲内であると、燃料油貯蔵後の燃料油フィルタの通油性が確保され、より優れた貯蔵安定性能が得られる。
本明細書において、潜在セジメントは、試料（本実施形態の内燃機用燃料油組成物）を１００℃で４８時間放置した後、ＪＰＩ－５Ｓ－６０－２０００（原油及び石油製品－セジメント試験方法－）に準じて測定した値である。また、試料の１００℃での４８時間の放置に用いる装置及び方法は、ＪＰＩ－５Ｓ－６０－２０００（原油及び石油製品－セジメント試験方法－）の記載に準拠しており、当該記載では２４時間のところ、４８時間の放置を行うものとする。
（重質分解軽油留分）
重質分解軽油留分は、常圧蒸留残渣油及び／又は減圧蒸留残渣油を脱硫処理後、流動接触分解して得られる重質の軽油留分のことである。本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、重質分解軽油留分を、組成物全量基準の含有量として、３０．０容量％以上７０．０容量％未満で含む。重質分解軽油留分を含有しないと、極めて厳しい貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をも同時に満足する、本実施形態の内燃機用燃料油組成物は得られない。
重質分解軽油留分は、常圧蒸留残渣油及び／又は減圧蒸留残渣油を脱硫処理後、流動接触分解して得られる重質の軽油留分のことである。本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、重質分解軽油留分を、組成物全量基準の含有量として、３０．０容量％以上７０．０容量％未満で含む。重質分解軽油留分を含有しないと、極めて厳しい貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をも同時に満足する、本実施形態の内燃機用燃料油組成物は得られない。
本実施形態で用いられる重質分解軽油留分は、以下の（ａ）～（ｅ）の性状及び組成を有する軽油留分である。重質分解軽油留分が有する性状及び組成について、順に説明する。
（ａ）硫黄分含有量
重質分解軽油留分の硫黄分含有量は、０．５００質量％以下である。硫黄分含有量が０．５００質量％を超えると、本実施形態の内燃機用燃料油組成物の硫黄分含有量を０．５００質量％以下としにくくなり、環境性能が低下し、また排ガス中の硫黄酸化物の上昇により腐食が生じ、環境への負荷が高くなる場合がある。腐食の発生の抑制及び環境性能の向上を考慮すると、硫黄分含有量は、好ましくは０．４８０質量％以下、より好ましくは０．４００質量％以下、更に好ましくは０．３５０質量％以下、より更に好ましくは０．３００質量％以下である。また、硫黄分含有量の含有量は少なければ少ないほど好ましく、下限としては特に制限はないが、貯蔵安定性能、潤滑性の向上の観点から、通常０．０１質量％以上である。
重質分解軽油留分の硫黄分含有量は、０．５００質量％以下である。硫黄分含有量が０．５００質量％を超えると、本実施形態の内燃機用燃料油組成物の硫黄分含有量を０．５００質量％以下としにくくなり、環境性能が低下し、また排ガス中の硫黄酸化物の上昇により腐食が生じ、環境への負荷が高くなる場合がある。腐食の発生の抑制及び環境性能の向上を考慮すると、硫黄分含有量は、好ましくは０．４８０質量％以下、より好ましくは０．４００質量％以下、更に好ましくは０．３５０質量％以下、より更に好ましくは０．３００質量％以下である。また、硫黄分含有量の含有量は少なければ少ないほど好ましく、下限としては特に制限はないが、貯蔵安定性能、潤滑性の向上の観点から、通常０．０１質量％以上である。
（ｂ）５０℃における動粘度
重質分解軽油留分の５０℃における動粘度は、１０．０ｍｍ２／ｓ以上５０．０ｍｍ２／ｓ以下である。重質分解軽油留分の５０℃における動粘度が上記範囲内にないと、本実施形態の内燃機用燃料油組成物の５０℃における動粘度を１０．０ｍｍ２／ｓ以上１００．０ｍｍ２／ｓ以下としにくくなり、またポンプ及び流量計等の各種機器の使用範囲に適合しにくくなり、また潤滑性を確保できず、内燃機用燃料油組成物として使用することができなくなる場合がある。
上記各種機器の使用範囲に適合しやすくし、かつ潤滑性を向上させる観点から、５０℃における動粘度は、好ましくは１２．５ｍｍ２／ｓ以上、より好ましくは１５．０ｍｍ２／ｓ以上であり、上限として好ましくは４５．０ｍｍ２／ｓ以下、より好ましくは４０．０ｍｍ２／ｓ以下、更に好ましくは３０．００ｍｍ２／ｓ以下、より更に好ましくは２０．０ｍｍ２／ｓ以下である。
重質分解軽油留分の５０℃における動粘度は、１０．０ｍｍ２／ｓ以上５０．０ｍｍ２／ｓ以下である。重質分解軽油留分の５０℃における動粘度が上記範囲内にないと、本実施形態の内燃機用燃料油組成物の５０℃における動粘度を１０．０ｍｍ２／ｓ以上１００．０ｍｍ２／ｓ以下としにくくなり、またポンプ及び流量計等の各種機器の使用範囲に適合しにくくなり、また潤滑性を確保できず、内燃機用燃料油組成物として使用することができなくなる場合がある。
上記各種機器の使用範囲に適合しやすくし、かつ潤滑性を向上させる観点から、５０℃における動粘度は、好ましくは１２．５ｍｍ２／ｓ以上、より好ましくは１５．０ｍｍ２／ｓ以上であり、上限として好ましくは４５．０ｍｍ２／ｓ以下、より好ましくは４０．０ｍｍ２／ｓ以下、更に好ましくは３０．００ｍｍ２／ｓ以下、より更に好ましくは２０．０ｍｍ２／ｓ以下である。
（ｃ）１５℃における密度
重質分解軽油留分の１５℃における密度は、０．９９００ｇ／ｃｍ３以上１．０２５０ｇ／ｃｍ３以下である。重質分解軽油留分の１５℃における密度が上記範囲内であると、大型船舶等の船舶用のディーゼルエンジン等の前に付設されている遠心分離装置によるスラッジの分離性能が低減しにくくなるので、貯蔵安定性能が向上する。これと同様の観点から、好ましくは１．０１００ｇ／ｃｍ３以下、より好ましくは１．００００ｇ／ｃｍ３以下、更に好ましくは０．９９７５ｇ／ｃｍ３以下である。また、下限としては燃料油組成物の発熱量確保の観点から、好ましくは０．９９２０ｇ／ｃｍ３以上、より好ましくは０．９９５０ｇ／ｃｍ３以上のものを選択するとよい。
重質分解軽油留分の１５℃における密度は、０．９９００ｇ／ｃｍ３以上１．０２５０ｇ／ｃｍ３以下である。重質分解軽油留分の１５℃における密度が上記範囲内であると、大型船舶等の船舶用のディーゼルエンジン等の前に付設されている遠心分離装置によるスラッジの分離性能が低減しにくくなるので、貯蔵安定性能が向上する。これと同様の観点から、好ましくは１．０１００ｇ／ｃｍ３以下、より好ましくは１．００００ｇ／ｃｍ３以下、更に好ましくは０．９９７５ｇ／ｃｍ３以下である。また、下限としては燃料油組成物の発熱量確保の観点から、好ましくは０．９９２０ｇ／ｃｍ３以上、より好ましくは０．９９５０ｇ／ｃｍ３以上のものを選択するとよい。
（ｄ）残留炭素分
重質分解軽油留分の残留炭素分は、１．０質量％以下である。残留炭素分が１．０質量％を超えると、内燃機用燃料油組成物の燃焼性能を維持しにくくなり、また燃焼不良による煤発生の低減効果が向上するため、内燃機のより安定した運転がしにくくなる。
燃焼性能の向上等の観点から、重質分解軽油留分の残留炭素分は、好ましくは０．７５質量％以下、より好ましくは０．５質量％以下、更に好ましくは０．４質量％以下である。
重質分解軽油留分の残留炭素分は、１．０質量％以下である。残留炭素分が１．０質量％を超えると、内燃機用燃料油組成物の燃焼性能を維持しにくくなり、また燃焼不良による煤発生の低減効果が向上するため、内燃機のより安定した運転がしにくくなる。
燃焼性能の向上等の観点から、重質分解軽油留分の残留炭素分は、好ましくは０．７５質量％以下、より好ましくは０．５質量％以下、更に好ましくは０．４質量％以下である。
（ｅ）芳香族分含有量
重質分解軽油留分の芳香族分含有量は、７０．０質量％以上である。芳香族分含有量が７０．０質量％未満であると、スラッジ発生による燃料油フィルタ閉塞を抑制しにくくり、優れた貯蔵安定性能が得られなくなる。貯蔵安定性能を向上させる観点から、重質分解軽油留分の芳香族分含有量は、好ましくは７１．０質量％以上、より好ましくは７１．５質量％以上であり、上限としては特に制限はないが、例えば８５．０質量％以下程度であればよい。
本明細書において、重質分解軽油留分（ＨＣＯ）、分解重油留分（ＣＬＯ）、脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）の芳香族分含有量は、ＩＰ－４６９（国際標準試験方法（ＩＰ Ｔｅｓｔ Ｍｅｔｈｏｄｓ））に規定される、ＴＬＣ／ＦＩＤ法により測定される値である。また、軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）については、ＪＰＩ－５Ｓ－４９－２００７に規定される、石油製品－炭化水素タイプ試験方法－高速液体クロマトグラフィー法（Ｈｉｇｈ Ｐｅｒｆｏｒｍａｎｃｅ Ｌｉｑｕｉｄ Ｃｈｒｏｍａｔｏｇｒａｐｈｙ法）により測定される値である。
重質分解軽油留分の芳香族分含有量は、７０．０質量％以上である。芳香族分含有量が７０．０質量％未満であると、スラッジ発生による燃料油フィルタ閉塞を抑制しにくくり、優れた貯蔵安定性能が得られなくなる。貯蔵安定性能を向上させる観点から、重質分解軽油留分の芳香族分含有量は、好ましくは７１．０質量％以上、より好ましくは７１．５質量％以上であり、上限としては特に制限はないが、例えば８５．０質量％以下程度であればよい。
本明細書において、重質分解軽油留分（ＨＣＯ）、分解重油留分（ＣＬＯ）、脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）の芳香族分含有量は、ＩＰ－４６９（国際標準試験方法（ＩＰ Ｔｅｓｔ Ｍｅｔｈｏｄｓ））に規定される、ＴＬＣ／ＦＩＤ法により測定される値である。また、軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）については、ＪＰＩ－５Ｓ－４９－２００７に規定される、石油製品－炭化水素タイプ試験方法－高速液体クロマトグラフィー法（Ｈｉｇｈ Ｐｅｒｆｏｒｍａｎｃｅ Ｌｉｑｕｉｄ Ｃｈｒｏｍａｔｏｇｒａｐｈｙ法）により測定される値である。
また、重質分解軽油留分は、上記（ａ）～（ｅ）の性状、組成に加えて、更に以下（ｆ）～（ｊ）の性状、組成から選ばれる少なくとも１つを満足することが好ましく、以下（ｆ）～（ｊ）の性状、組成のいずれも満足することが好ましい。
（ｆ）流動点
重質分解軽油留分の流動点は、好ましくは１５．０℃以下、より好ましくは１２．５℃以下、更に好ましくは１０．０℃以下、より更に好ましくは７．５℃以下である。流動点が上記範囲内であると、取扱性が向上する。また下限については、流動点が低ければ低いほど好ましく、特に制限はないが、通常－１０．０℃以上程度である。
重質分解軽油留分の流動点は、好ましくは１５．０℃以下、より好ましくは１２．５℃以下、更に好ましくは１０．０℃以下、より更に好ましくは７．５℃以下である。流動点が上記範囲内であると、取扱性が向上する。また下限については、流動点が低ければ低いほど好ましく、特に制限はないが、通常－１０．０℃以上程度である。
（ｇ）実在セジメント
重質分解軽油留分の実在セジメントは、好ましくは０．０２質量％以下、より好ましくは０．０１質量％以下、更に好ましくは０．０１質量％未満である。実在セジメントが上記範囲内であると、貯蔵安定性が向上する。
本明細書において、実在セジメントは、ＪＰＩ－５Ｓ－６０－２０００（原油及び石油製品－セジメント試験方法－）に準じて測定される値である。
重質分解軽油留分の実在セジメントは、好ましくは０．０２質量％以下、より好ましくは０．０１質量％以下、更に好ましくは０．０１質量％未満である。実在セジメントが上記範囲内であると、貯蔵安定性が向上する。
本明細書において、実在セジメントは、ＪＰＩ－５Ｓ－６０－２０００（原油及び石油製品－セジメント試験方法－）に準じて測定される値である。
（ｈ）アスファルテン分含有量
重質分解軽油留分のアスファルテン分含有量は、好ましくは０．３０質量％以下、より好ましくは０．１５質量％以下、更に好ましくは０．０５質量％以下、より更に好ましくは０．０３質量％以下であり、下限については特に制限はなく、少なければ少ないほど好ましい。
本明細書において、アスファルテン分含有量は、試料（重質分解軽油留分等）５０ｇを秤量後、当該試料にｎ－ヘプタン（特級）１５００ｃｃを加え、１時間還流処理を行い、円形定量ろ紙（Ｎｏ．５Ｃ）でろ過し、残渣を、円筒ろ紙に入れた後、円筒ろ紙ごとソックスレー抽出器を用いてｎ－ヘプタン（特級）でソックスレー抽出し、次いでトルエン（特級）で、さらにソックスレー抽出した後、溶媒を除去して得られたｎ－ヘプタン不溶かつトルエン可溶成分を秤量する抽出法による測定値を、アスファルテン分含有量とした。
重質分解軽油留分のアスファルテン分含有量は、好ましくは０．３０質量％以下、より好ましくは０．１５質量％以下、更に好ましくは０．０５質量％以下、より更に好ましくは０．０３質量％以下であり、下限については特に制限はなく、少なければ少ないほど好ましい。
本明細書において、アスファルテン分含有量は、試料（重質分解軽油留分等）５０ｇを秤量後、当該試料にｎ－ヘプタン（特級）１５００ｃｃを加え、１時間還流処理を行い、円形定量ろ紙（Ｎｏ．５Ｃ）でろ過し、残渣を、円筒ろ紙に入れた後、円筒ろ紙ごとソックスレー抽出器を用いてｎ－ヘプタン（特級）でソックスレー抽出し、次いでトルエン（特級）で、さらにソックスレー抽出した後、溶媒を除去して得られたｎ－ヘプタン不溶かつトルエン可溶成分を秤量する抽出法による測定値を、アスファルテン分含有量とした。
（ｉ）飽和分含有量及びレジン分含有量
重質分解軽油留分の飽和分含有量は、好ましくは１５．０質量％以上、より好ましくは２０．０質量％以上、更に好ましくは２５．０質量％以上であり、上限として好ましくは５０．０質量％以下、より好ましくは４０．０質量％以下、更に好ましくは３０．０質量％以下である。
レジン分含有量は、好ましくは１．０質量％以上、より好ましくは１．５質量％以上、更に好ましくは２．０質量％以上であり、上限として好ましくは１０．０質量％以下、より好ましくは５．０質量％以下、更に好ましくは３．０質量％以下である。飽和分が上記範囲内であると燃焼性能が向上し、またレジン分が上記範囲内であると、スラッジの発生による燃料油フィルタ閉塞がより抑制されるので、貯蔵安定性が向上し、また燃焼性能も向上する。
本明細書において、飽和分含有量及びレジン分含有量は、上記芳香族分含有量の測定方法と同じ方法で測定した値である。
重質分解軽油留分の飽和分含有量は、好ましくは１５．０質量％以上、より好ましくは２０．０質量％以上、更に好ましくは２５．０質量％以上であり、上限として好ましくは５０．０質量％以下、より好ましくは４０．０質量％以下、更に好ましくは３０．０質量％以下である。
レジン分含有量は、好ましくは１．０質量％以上、より好ましくは１．５質量％以上、更に好ましくは２．０質量％以上であり、上限として好ましくは１０．０質量％以下、より好ましくは５．０質量％以下、更に好ましくは３．０質量％以下である。飽和分が上記範囲内であると燃焼性能が向上し、またレジン分が上記範囲内であると、スラッジの発生による燃料油フィルタ閉塞がより抑制されるので、貯蔵安定性が向上し、また燃焼性能も向上する。
本明細書において、飽和分含有量及びレジン分含有量は、上記芳香族分含有量の測定方法と同じ方法で測定した値である。
（ｊ）蒸留性状
重質分解軽油留分の蒸留性状として、初留点は好ましくは１５０℃以上、より好ましくは１７０℃以上、上限として好ましくは２４０℃以下、より好ましくは２２０℃以下であり、１０容量％留出温度は好ましくは２７０℃以上、より好ましくは３００℃以上、上限として好ましくは３６０℃以下、より好ましくは３４０℃以下であり、３０容量％留出温度は好ましくは３００℃以上、より好ましくは３２５℃以上、上限として好ましくは４００℃以下、より好ましくは３８０℃以下であり、５０容量％留出温度は好ましくは３２５℃以上、より好ましくは３５０℃以上、上限として好ましくは４２５℃以下、より好ましくは４１０℃以下であり、７０容量％留出温度は好ましくは３５０℃以上、より好ましくは３７５℃以上、上限として好ましくは４５０℃以下、より好ましくは４２０℃以下であり、９０容量％留出温度は好ましくは３７５℃以上、より好ましくは３９５℃以上、上限として好ましくは４８０℃以下、より好ましくは４５０℃以下であり、終点は好ましくは４５０℃以上、より好ましくは４７５℃以上、上限として好ましくは５７０℃以下、より好ましくは５１０℃以下である。蒸留性状が上記条件を満たすと、燃焼性能が向上し、また引火点が上昇するため、取扱い上の安全性が向上し、エンジンの安定運転が容易となる。更に、臭気の低減の点でも有利である。
本明細書において、蒸留性状は、ＪＩＳ Ｋ２２５４：１９９８（石油製品－蒸留試験方法－）に準じて測定される値である。
重質分解軽油留分の蒸留性状として、初留点は好ましくは１５０℃以上、より好ましくは１７０℃以上、上限として好ましくは２４０℃以下、より好ましくは２２０℃以下であり、１０容量％留出温度は好ましくは２７０℃以上、より好ましくは３００℃以上、上限として好ましくは３６０℃以下、より好ましくは３４０℃以下であり、３０容量％留出温度は好ましくは３００℃以上、より好ましくは３２５℃以上、上限として好ましくは４００℃以下、より好ましくは３８０℃以下であり、５０容量％留出温度は好ましくは３２５℃以上、より好ましくは３５０℃以上、上限として好ましくは４２５℃以下、より好ましくは４１０℃以下であり、７０容量％留出温度は好ましくは３５０℃以上、より好ましくは３７５℃以上、上限として好ましくは４５０℃以下、より好ましくは４２０℃以下であり、９０容量％留出温度は好ましくは３７５℃以上、より好ましくは３９５℃以上、上限として好ましくは４８０℃以下、より好ましくは４５０℃以下であり、終点は好ましくは４５０℃以上、より好ましくは４７５℃以上、上限として好ましくは５７０℃以下、より好ましくは５１０℃以下である。蒸留性状が上記条件を満たすと、燃焼性能が向上し、また引火点が上昇するため、取扱い上の安全性が向上し、エンジンの安定運転が容易となる。更に、臭気の低減の点でも有利である。
本明細書において、蒸留性状は、ＪＩＳ Ｋ２２５４：１９９８（石油製品－蒸留試験方法－）に準じて測定される値である。
（重質分解軽油留分の含有量）
本実施形態の内燃機用燃料油組成物において、重質分解軽油留分の組成物全量基準の含有量は、３０．０容量％以上７０．０容量％未満である。上記含有量で含まないと、極めて厳しい貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をも同時に満足することはできない。使用する重質分解軽油留分の種類によってかわるため一概にはいえないが、含有量が３０．０容量％未満になると、高い発熱量が得られにくくなり、使用量低減性能が得られない。また、含有量が７０．０容量％以上であると、燃焼性能が低下する、あるいは硫黄分含有量が増えて、環境性能が得られない場合がある。
より優れた貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をバランスよく向上させる観点から、重質分解軽油留分の含有量は、好ましくは３５．０容量％以上、より好ましくは３８．０容量％以上、更に好ましくは４５．０容量％以上、より更に好ましくは５５．０容量％以上であり、上限として好ましくは６８．０容量％以下、より好ましくは６５．０容量％以下である。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物において、重質分解軽油留分の組成物全量基準の含有量は、３０．０容量％以上７０．０容量％未満である。上記含有量で含まないと、極めて厳しい貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をも同時に満足することはできない。使用する重質分解軽油留分の種類によってかわるため一概にはいえないが、含有量が３０．０容量％未満になると、高い発熱量が得られにくくなり、使用量低減性能が得られない。また、含有量が７０．０容量％以上であると、燃焼性能が低下する、あるいは硫黄分含有量が増えて、環境性能が得られない場合がある。
より優れた貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をバランスよく向上させる観点から、重質分解軽油留分の含有量は、好ましくは３５．０容量％以上、より好ましくは３８．０容量％以上、更に好ましくは４５．０容量％以上、より更に好ましくは５５．０容量％以上であり、上限として好ましくは６８．０容量％以下、より好ましくは６５．０容量％以下である。
（その他の留分）
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、上記の重質分解軽油留分とともに他の留分を含んでもよい。他の留分としては、内燃機用燃料油組成物が上記（１）～（４）の組成及び性状を満足させるものであれば、特に制限はなくいかなる留分を用いることが可能であり、より優れた貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をバランスよく向上させる観点から、以下の軽油留分、重油留分等が好ましく挙げられる。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、上記の重質分解軽油留分とともに他の留分を含んでもよい。他の留分としては、内燃機用燃料油組成物が上記（１）～（４）の組成及び性状を満足させるものであれば、特に制限はなくいかなる留分を用いることが可能であり、より優れた貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をバランスよく向上させる観点から、以下の軽油留分、重油留分等が好ましく挙げられる。
（重油留分）
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、その他の留分の重油留分として、例えば、Ｃ重油、分解重油留分（ＣＬＯ）、脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）、常圧蒸留残渣油留分、減圧蒸留残渣油等留分を含有することができる。
・Ｃ重油
・分解重油留分（直脱重油留分を流動接触分解して得られる重油留分）
・常圧蒸留残渣油留分（原油を常圧蒸留装置で常圧蒸留して得られる残渣油）
・減圧蒸留残渣油留分（常圧蒸留残渣油を減圧蒸留装置で減圧蒸留して得られる残渣油）
・脱硫重油留分（上記の常圧蒸留残渣油留分、減圧蒸留残渣油留分等の残渣油留分を直接脱硫装置で脱硫方法して得られる重油留分）
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、その他の留分の重油留分として、例えば、Ｃ重油、分解重油留分（ＣＬＯ）、脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）、常圧蒸留残渣油留分、減圧蒸留残渣油等留分を含有することができる。
・Ｃ重油
・分解重油留分（直脱重油留分を流動接触分解して得られる重油留分）
・常圧蒸留残渣油留分（原油を常圧蒸留装置で常圧蒸留して得られる残渣油）
・減圧蒸留残渣油留分（常圧蒸留残渣油を減圧蒸留装置で減圧蒸留して得られる残渣油）
・脱硫重油留分（上記の常圧蒸留残渣油留分、減圧蒸留残渣油留分等の残渣油留分を直接脱硫装置で脱硫方法して得られる重油留分）
（その他の重油留分が有する性状）
本実施形態で用いられ得る上記の重油留分が有する性状としては、例えば下記の性状を有していることが好ましい。重油留分が下記の性状を有することで、より優れた貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をバランスよく向上させることができる。
硫黄分含有量は、１．２０質量％以下が好ましく、１．００質量％以下がより好ましく、０．６０質量％以下が更に好ましい。また下限値としては通常０．３０質量％以上である。
１５℃における密度は、好ましくは１．３０００ｇ／ｃｍ３以下、より好ましくは１．２０００ｇ／ｃｍ３以下、更に好ましくは１．１０００ｇ／ｃｍ３以下、より更に好ましくは１．０５００ｇ／ｃｍ３以下であり、下限としては通常０．９０００ｇ／ｃｍ３以上程度である。
５０℃における動粘度は、１９０．０ｍｍ２／ｓ以下が好ましく、１７０．０ｍｍ２／ｓ以下がより好ましく、また下限としては３０．００ｍｍ２／ｓ以上程度、好ましくは５０．００ｍｍ２／ｓ以上である。
流動点は、１５．０℃以下が好ましく、１２．５℃以下がより好ましく、１０．０℃以下が更に好ましい。
総発熱量は、４０，０００（ｋＪ／Ｌ）以上が好ましく、４０，５００（ｋＪ／Ｌ）以上がより好ましく、４１，０００（ｋＪ／Ｌ）以上が更に好ましい。
残留炭素分は、９．０質量％以下が好ましく、８．０質量％以下がより好ましい。
実在セジメントは、好ましくは０．１０質量％以下、より好ましくは０．０８質量％以下、更に好ましくは０．０６質量％以下、より更に好ましくは０．０５質量％以下である。
芳香族分含有量は、好ましくは４０．０質量％以上、より好ましくは５０．０質量％以上、更に好ましくは６０．０質量％以上、より更に好ましくは７０．０質量％以上であり、上限としては特に制限はないが、例えば８５．０質量％以下程度である。
飽和分含有量は、好ましくは１０．０質量％以上、より好ましくは１５．０質量％以上であり、上限として好ましくは４５．０質量％以下、より好ましくは３５．０質量％以下、更に好ましくは２５．０質量％以下であり、レジン分含有量は、好ましくは１．５質量％以上、より好ましくは２．５質量％以上、更に好ましくは３．０質量％以上であり、上限として好ましくは１０．０質量％以下、より好ましくは５．０質量％以下、更に好ましくは４．０質量％以下である。
アスファルテン分含有量は、好ましくは１．０質量％以下、より好ましくは０．７５質量％以下、更に好ましくは０．５０質量％以下であり、下限については特に制限はなく、少なければ少ないほど好ましく、通常０．０１質量％程度である。
蒸留性状としては、初留点が好ましくは２２０．０℃以上、より好ましくは２３５．０℃以上であり、１０容量％留出温度が好ましくは３６０．０℃以上、より好ましくは３８０．０℃以上、３０容量％留出温度が好ましくは４２０．０℃以上、より好ましくは４４０．０℃以上であり、５０容量％留出温度が好ましくは４７５．０℃以上、より好ましくは４９５．０℃以上、７０容量％留出温度が好ましくは５３０．０℃以上、より好ましくは５６０．０℃以上である。
本実施形態で用いられ得る上記の重油留分が有する性状としては、例えば下記の性状を有していることが好ましい。重油留分が下記の性状を有することで、より優れた貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をバランスよく向上させることができる。
硫黄分含有量は、１．２０質量％以下が好ましく、１．００質量％以下がより好ましく、０．６０質量％以下が更に好ましい。また下限値としては通常０．３０質量％以上である。
１５℃における密度は、好ましくは１．３０００ｇ／ｃｍ３以下、より好ましくは１．２０００ｇ／ｃｍ３以下、更に好ましくは１．１０００ｇ／ｃｍ３以下、より更に好ましくは１．０５００ｇ／ｃｍ３以下であり、下限としては通常０．９０００ｇ／ｃｍ３以上程度である。
５０℃における動粘度は、１９０．０ｍｍ２／ｓ以下が好ましく、１７０．０ｍｍ２／ｓ以下がより好ましく、また下限としては３０．００ｍｍ２／ｓ以上程度、好ましくは５０．００ｍｍ２／ｓ以上である。
流動点は、１５．０℃以下が好ましく、１２．５℃以下がより好ましく、１０．０℃以下が更に好ましい。
総発熱量は、４０，０００（ｋＪ／Ｌ）以上が好ましく、４０，５００（ｋＪ／Ｌ）以上がより好ましく、４１，０００（ｋＪ／Ｌ）以上が更に好ましい。
残留炭素分は、９．０質量％以下が好ましく、８．０質量％以下がより好ましい。
実在セジメントは、好ましくは０．１０質量％以下、より好ましくは０．０８質量％以下、更に好ましくは０．０６質量％以下、より更に好ましくは０．０５質量％以下である。
芳香族分含有量は、好ましくは４０．０質量％以上、より好ましくは５０．０質量％以上、更に好ましくは６０．０質量％以上、より更に好ましくは７０．０質量％以上であり、上限としては特に制限はないが、例えば８５．０質量％以下程度である。
飽和分含有量は、好ましくは１０．０質量％以上、より好ましくは１５．０質量％以上であり、上限として好ましくは４５．０質量％以下、より好ましくは３５．０質量％以下、更に好ましくは２５．０質量％以下であり、レジン分含有量は、好ましくは１．５質量％以上、より好ましくは２．５質量％以上、更に好ましくは３．０質量％以上であり、上限として好ましくは１０．０質量％以下、より好ましくは５．０質量％以下、更に好ましくは４．０質量％以下である。
アスファルテン分含有量は、好ましくは１．０質量％以下、より好ましくは０．７５質量％以下、更に好ましくは０．５０質量％以下であり、下限については特に制限はなく、少なければ少ないほど好ましく、通常０．０１質量％程度である。
蒸留性状としては、初留点が好ましくは２２０．０℃以上、より好ましくは２３５．０℃以上であり、１０容量％留出温度が好ましくは３６０．０℃以上、より好ましくは３８０．０℃以上、３０容量％留出温度が好ましくは４２０．０℃以上、より好ましくは４４０．０℃以上であり、５０容量％留出温度が好ましくは４７５．０℃以上、より好ましくは４９５．０℃以上、７０容量％留出温度が好ましくは５３０．０℃以上、より好ましくは５６０．０℃以上である。
上記のその他の留分の重油留分として例示した留分の中でも、より優れた貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をバランスよく向上させる観点から脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）を含むことが好ましい。脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）を含む場合、その組成物全量基準の含有量は、より優れた貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をバランスよく向上させる観点から、好ましくは３０．０容量％超、より好ましくは３２．０容量％以上、更に好ましくは３５．０容量％以上であり、上限として好ましくは７０．０容量％以下、より好ましくは６５．０容量％以下、更に好ましくは６２．０容量％以下、より更に好ましくは５５．０容量％以下、特に好ましくは４５．０容量％以下である。
（軽油留分）
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、その他の留分の軽油留分として、例えば、直留軽油留分、減圧軽油留分、脱硫軽油留分、軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）、脱硫分解軽油留分、直脱軽油留分等の軽油留分を含有することができる。
・直留軽油留分（原油を常圧蒸留装置で常圧蒸留して得られる軽油留分）
・減圧軽油留分（常圧蒸留残渣油を減圧蒸留装置で減圧蒸留して得られる軽油留分）
・脱硫軽油留分（直留軽油留分及び／又は減圧軽油留分を脱硫して得られる軽油留分）
・軽質分解軽油留分（常圧蒸留残渣油及び／又は減圧蒸留残渣油を流動接触分解して得られる軽質の軽油留分）
・脱硫分解軽油留分（分解軽油留分を脱硫して得られる軽油留分）
・直脱軽油留分（常圧蒸留残渣油及び／又は減圧蒸留残渣油を直接脱硫装置で脱硫して得られる軽油留分）
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、その他の留分の軽油留分として、例えば、直留軽油留分、減圧軽油留分、脱硫軽油留分、軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）、脱硫分解軽油留分、直脱軽油留分等の軽油留分を含有することができる。
・直留軽油留分（原油を常圧蒸留装置で常圧蒸留して得られる軽油留分）
・減圧軽油留分（常圧蒸留残渣油を減圧蒸留装置で減圧蒸留して得られる軽油留分）
・脱硫軽油留分（直留軽油留分及び／又は減圧軽油留分を脱硫して得られる軽油留分）
・軽質分解軽油留分（常圧蒸留残渣油及び／又は減圧蒸留残渣油を流動接触分解して得られる軽質の軽油留分）
・脱硫分解軽油留分（分解軽油留分を脱硫して得られる軽油留分）
・直脱軽油留分（常圧蒸留残渣油及び／又は減圧蒸留残渣油を直接脱硫装置で脱硫して得られる軽油留分）
（軽油留分が有する性状）
本実施形態で用いられ得る上記の軽油留分が有する性状としては、例えば下記の性状を有していることが好ましい。軽油留分が下記の性状を有することで、より優れた貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をバランスよく向上させることができる。
硫黄分含有量は、少なければ少ないほど好ましく、例えば０．５０質量％以下、好ましくは０．４０質量％以下、より好ましくは０．３０質量％以下である。
１５℃における密度は、好ましくは１．０４００ｇ／ｃｍ３以下、より好ましくは１．０１００ｇ／ｃｍ３以下、更に好ましくは１．００００ｇ／ｃｍ３以下であり、下限としては特に制限はなく、通常０．９３００ｇ／ｃｍ３以上である。
５０℃における動粘度は、好ましくは５０．００ｍｍ２／ｓ以下、より好ましくは４０．００ｍｍ２／ｓ以下、下限として好ましくは１．０００ｍｍ２／ｓ以上、より好ましくは２．０００ｍｍ２／ｓ以上である。
流動点は、好ましくは１５．０℃以下、より好ましくは１０．０℃以下、更に好ましくは５．０℃以下、より更に好ましくは０．０℃以下である。
総発熱量は、好ましくは４０，０００（ｋＪ／Ｌ）以上、より好ましくは４１，０００（ｋＪ／Ｌ）以上、更に好ましくは４２，０００（ｋＪ／Ｌ）以上である。
残留炭素分は、好ましくは０．５質量％以下、より好ましくは０．３質量％以下、更に好ましくは０．１質量％以下、より更に好ましくは０．０３質量％以下である。
実在セジメントは、好ましくは０．０５質量％以下、より好ましくは０．０３質量％以下、更に好ましくは０．０１質量％以下、より更に好ましくは０．０１質量％未満である。
芳香族分含有量は、好ましくは７０．０容量％以上、より好ましくは７５．０容量％以上、更に好ましくは８０．０容量％以上であり、上限としては特に制限はないが、例えば９０．０容量％以下程度である。なお、芳香族分含有量は、１環芳香族分、２環芳香族分及び３環以上芳香族分の合計である。
飽和分含有量は、好ましくは５．０容量％以上、より好ましくは１０．０容量％以上であり、上限として好ましくは３０．０容量％以下、より好ましくは２５．０容量％以下、更に好ましくは２０．０容量％以下であり、またオレフィン分含有量は、好ましくは０．１容量％以上、より好ましくは０．５容量％以上であり、上限として好ましくは３．０容量％以下、より好ましくは１．０容量％以下である。
アスファルテン分含有量は、好ましくは０．３０質量％以下、より好ましくは０．１５質量％以下、更に好ましくは０．０５質量％以下、より更に好ましくは０．０３質量％以下であり、下限については特に制限はなく、少なければ少ないほど好ましい。
蒸留性状としては、初留点が好ましくは１２０．０℃以上、より好ましくは１３０．０℃以上であり、１０容量％留出温度が好ましくは２００．０℃以上、より好ましくは２１５．０℃以上、５０容量％留出温度が好ましくは２３０．０℃以上、より好ましくは２４５．０℃以上、９０容量％留出温度が好ましくは３１０．０℃以上、より好ましくは３２５℃以上である。
本実施形態で用いられ得る上記の軽油留分が有する性状としては、例えば下記の性状を有していることが好ましい。軽油留分が下記の性状を有することで、より優れた貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をバランスよく向上させることができる。
硫黄分含有量は、少なければ少ないほど好ましく、例えば０．５０質量％以下、好ましくは０．４０質量％以下、より好ましくは０．３０質量％以下である。
１５℃における密度は、好ましくは１．０４００ｇ／ｃｍ３以下、より好ましくは１．０１００ｇ／ｃｍ３以下、更に好ましくは１．００００ｇ／ｃｍ３以下であり、下限としては特に制限はなく、通常０．９３００ｇ／ｃｍ３以上である。
５０℃における動粘度は、好ましくは５０．００ｍｍ２／ｓ以下、より好ましくは４０．００ｍｍ２／ｓ以下、下限として好ましくは１．０００ｍｍ２／ｓ以上、より好ましくは２．０００ｍｍ２／ｓ以上である。
流動点は、好ましくは１５．０℃以下、より好ましくは１０．０℃以下、更に好ましくは５．０℃以下、より更に好ましくは０．０℃以下である。
総発熱量は、好ましくは４０，０００（ｋＪ／Ｌ）以上、より好ましくは４１，０００（ｋＪ／Ｌ）以上、更に好ましくは４２，０００（ｋＪ／Ｌ）以上である。
残留炭素分は、好ましくは０．５質量％以下、より好ましくは０．３質量％以下、更に好ましくは０．１質量％以下、より更に好ましくは０．０３質量％以下である。
実在セジメントは、好ましくは０．０５質量％以下、より好ましくは０．０３質量％以下、更に好ましくは０．０１質量％以下、より更に好ましくは０．０１質量％未満である。
芳香族分含有量は、好ましくは７０．０容量％以上、より好ましくは７５．０容量％以上、更に好ましくは８０．０容量％以上であり、上限としては特に制限はないが、例えば９０．０容量％以下程度である。なお、芳香族分含有量は、１環芳香族分、２環芳香族分及び３環以上芳香族分の合計である。
飽和分含有量は、好ましくは５．０容量％以上、より好ましくは１０．０容量％以上であり、上限として好ましくは３０．０容量％以下、より好ましくは２５．０容量％以下、更に好ましくは２０．０容量％以下であり、またオレフィン分含有量は、好ましくは０．１容量％以上、より好ましくは０．５容量％以上であり、上限として好ましくは３．０容量％以下、より好ましくは１．０容量％以下である。
アスファルテン分含有量は、好ましくは０．３０質量％以下、より好ましくは０．１５質量％以下、更に好ましくは０．０５質量％以下、より更に好ましくは０．０３質量％以下であり、下限については特に制限はなく、少なければ少ないほど好ましい。
蒸留性状としては、初留点が好ましくは１２０．０℃以上、より好ましくは１３０．０℃以上であり、１０容量％留出温度が好ましくは２００．０℃以上、より好ましくは２１５．０℃以上、５０容量％留出温度が好ましくは２３０．０℃以上、より好ましくは２４５．０℃以上、９０容量％留出温度が好ましくは３１０．０℃以上、より好ましくは３２５℃以上である。
上記のその他の留分の経由留分として例示した留分の中でも、より優れた貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をバランスよく向上させる観点から軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）を含むことが好ましい。軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）を含む場合、その組成物全量基準の含有量は、より優れた貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をバランスよく向上させる観点から、好ましくは５．０容量％以上、より好ましくは１０．０容量％以上、更に好ましくは１５．０容量％以上であり、上限として好ましくは３５．０容量％以下、より好ましくは３０．０容量％以下、更に好ましくは２５．０容量％以下である。
（各種添加剤）
本実施形態の内燃機用燃料油組成物には、上記の諸性状を維持しうる範囲で、必要に応じ、各種添加剤として、酸化防止剤、低温流動性向上剤、潤滑性向上剤、セタン価向上剤、燃焼促進剤、清浄剤、スラッジ分散剤、防カビ剤等の各種添加剤を適宜選択して配合することができる。また、軽油引取税の観点よりクマリンを配合してもよい。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物には、上記の諸性状を維持しうる範囲で、必要に応じ、各種添加剤として、酸化防止剤、低温流動性向上剤、潤滑性向上剤、セタン価向上剤、燃焼促進剤、清浄剤、スラッジ分散剤、防カビ剤等の各種添加剤を適宜選択して配合することができる。また、軽油引取税の観点よりクマリンを配合してもよい。
（用途）
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、極めて優れた貯蔵安定性能及び環境性能とともに、使用量低減性能にも優れる燃料油組成物である。そのため、特に前処理装置として遠心分離機を装備した大型船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機等に好適に用いられる。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、極めて優れた貯蔵安定性能及び環境性能とともに、使用量低減性能にも優れる燃料油組成物である。そのため、特に前処理装置として遠心分離機を装備した大型船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機等に好適に用いられる。
〔内燃機用燃料油組成物の製造方法〕
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、上記重質分解軽油留分、必要に応じて用いられるその他軽油留分及び重油留分を、重質分解軽油留分の含有量が３０．０容量％以上７０．０容量％未満となるように配合することにより、製造することができる。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、上記重質分解軽油留分、必要に応じて用いられるその他軽油留分及び重油留分を、重質分解軽油留分の含有量が３０．０容量％以上７０．０容量％未満となるように配合することにより、製造することができる。
重質分解軽油留分、その他の各種軽油留分、重油留分、また各種添加剤の配合順序は特に制限はなく、例えば、重質分解軽油留分に、その他の各種軽油留分、重油留分、さらに各種添加剤を逐次添加して混合してもよいし、各種添加剤を予め混合した後、重質分解軽油留分と、その他の各種軽油留分、重油留分と、を混合してもよいし、またその他の各種軽油留分、重油留分を予め混合した後、重質分解軽油留分と、各種添加剤と、を混合してもよい。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。なお、各基材の性状は、上記のとおり、下記の方法に従って求めた。
〔性状と組成の測定〕
実施例及び比較例で使用した重質分解軽油留分（ＨＣＯ）、軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）、分解重油留分（ＣＬＯ）及び脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）の各種基材の性状及び組成、実施例及び比較例の燃料油組成物の性状及び組成は以下の方法により測定した。各種基材の性状及び組成を第１表に示す。また、燃料油組成物の性状及び組成を第２表に示す。
・硫黄分含有量：ＪＩＳ Ｋ ２５４１－４：２００３（原油及び石油製品－硫黄分試験方法－ 第４部：放射線式励起法）に準じて測定した。
・５０℃における動粘度：ＪＩＳ Ｋ ２２８３：２０００（原油及び石油製品の動粘度試験方法）に準じて測定した。
・総発熱量：重質分解軽油留分（ＨＣＯ）及び軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）については、ＪＩＳ Ｋ２２７９：２００３（原油及び石油製品－発熱量試験方法及び計算による推定方法－）に準じて測定し、推定（「６．総発熱量推定方法、６．３ ｅ）１）」に規定される原油、灯油、軽油、Ａ重油及びＢ重油の場合の計算式により推定）した。また、燃料油組成物、分解重油留分（ＣＬＯ）、脱硫重油（ＤＳＲＣ）については、ＪＩＳ Ｋ２２７９：２００３（原油及び石油製品－発熱量試験方法及び計算による推定方法－）に準じて測定し、推定（「６．総発熱量推定方法、６．３ ｅ）１）」に規定されるＣ重油の場合の計算式により推定）した。
・ＣＣＡＩ：ＩＳＯ ８２１７－２０１２のＡｎｎｅｘ Ｆ記載の計算式より算出した。
・１５℃における密度：ＪＩＳ Ｋ ２２４９－１：２０１１（原油及び石油製品－密度の求め方－ 第１部：振動法）に準じて測定した。
・流動点：重質分解軽油留分（ＨＣＯ）及び軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）はＪＩＳ Ｋ２２６９：１９８７（原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法）に準じて測定し、燃料油組成物、分解重油留分（ＣＬＯ）及び脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）については、その５００ｍＬを常温（１０～２０℃）で１６８時間（７日間）放置した後、４５℃に加熱する予備処理を行わなかったものについて、ＪＩＳ Ｋ２２６９：１９８７（原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法）に準じて測定した。
・残留炭素分：燃料油組成物、直脱重油留分、重質分解軽油については、ＪＩＳ Ｋ ２２７０－１：２００９（原油及び石油製品－残留炭素分の求め方－ 第１部：コンラドソン法）に準じて測定した。
・潜在セジメント：試料（内燃機用燃料油組成物）を１００℃で４８時間放置した後、ＪＰＩ－５Ｓ－６０－２０００（原油及び石油製品－セジメント試験方法－）実在セジメントに準じて測定した。なお、当該試料の１００℃での４８時間の放置に用いる装置及び方法は、ＪＰＩ－５Ｓ－６０－２０００（原油及び石油製品－セジメント試験方法－）潜在セジメントの記載に準拠した。
・飽和分含有量、芳香族分含有量及びレジン分含有量：重質分解軽油留分（ＨＣＯ）、分解重油留分（ＣＬＯ）、脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）の上記各種成分含有量は、ＩＰ－４６９（国際標準試験方法（ＩＰ Ｔｅｓｔ Ｍｅｔｈｏｄｓ））に規定される、ＴＬＣ／ＦＩＤ法により測定した。また、軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）については、ＪＰＩ－５Ｓ－４９－２００７に規定される、石油製品－炭化水素タイプ試験方法－高速液体クロマトグラフィー法（Ｈｉｇｈ Ｐｅｒｆｏｒｍａｎｃｅ Ｌｉｑｕｉｄ Ｃｈｒｏｍａｔｏｇｒａｐｈｙ法）により測定した。
・実在セジメント：ＪＰＩ－５Ｓ－６０－２０００（原油及び石油製品－セジメント試験方法－）に準じて測定した。
・アスファルテン分の含有量：試料（重質分解軽油留分等）５０ｇを秤量後、当該試料にｎ－ヘプタン（特級）１５００ｃｃを加え、１時間還流処理を行い、円形定量ろ紙（Ｎｏ．５Ｃ）でろ過し、残渣を、円筒ろ紙に入れた後、円筒ろ紙ごとソックスレー抽出器を用いてｎ－ヘプタン（特級）でソックスレー抽出し、次いでトルエン（特級）で、さらにソックスレー抽出した後、溶媒を除去して得られたｎ－ヘプタン不溶かつトルエン可溶成分を秤量する抽出法にて測定した値を、アスファルテン分含有量とした。
・蒸留性状（初留点、終点、９０容量％留出温度等）：ＪＩＳ Ｋ２２５４：１９９８（石油製品－蒸留試験方法－）に準じて測定した。
実施例及び比較例で使用した重質分解軽油留分（ＨＣＯ）、軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）、分解重油留分（ＣＬＯ）及び脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）の各種基材の性状及び組成、実施例及び比較例の燃料油組成物の性状及び組成は以下の方法により測定した。各種基材の性状及び組成を第１表に示す。また、燃料油組成物の性状及び組成を第２表に示す。
・硫黄分含有量：ＪＩＳ Ｋ ２５４１－４：２００３（原油及び石油製品－硫黄分試験方法－ 第４部：放射線式励起法）に準じて測定した。
・５０℃における動粘度：ＪＩＳ Ｋ ２２８３：２０００（原油及び石油製品の動粘度試験方法）に準じて測定した。
・総発熱量：重質分解軽油留分（ＨＣＯ）及び軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）については、ＪＩＳ Ｋ２２７９：２００３（原油及び石油製品－発熱量試験方法及び計算による推定方法－）に準じて測定し、推定（「６．総発熱量推定方法、６．３ ｅ）１）」に規定される原油、灯油、軽油、Ａ重油及びＢ重油の場合の計算式により推定）した。また、燃料油組成物、分解重油留分（ＣＬＯ）、脱硫重油（ＤＳＲＣ）については、ＪＩＳ Ｋ２２７９：２００３（原油及び石油製品－発熱量試験方法及び計算による推定方法－）に準じて測定し、推定（「６．総発熱量推定方法、６．３ ｅ）１）」に規定されるＣ重油の場合の計算式により推定）した。
・ＣＣＡＩ：ＩＳＯ ８２１７－２０１２のＡｎｎｅｘ Ｆ記載の計算式より算出した。
・１５℃における密度：ＪＩＳ Ｋ ２２４９－１：２０１１（原油及び石油製品－密度の求め方－ 第１部：振動法）に準じて測定した。
・流動点：重質分解軽油留分（ＨＣＯ）及び軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）はＪＩＳ Ｋ２２６９：１９８７（原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法）に準じて測定し、燃料油組成物、分解重油留分（ＣＬＯ）及び脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）については、その５００ｍＬを常温（１０～２０℃）で１６８時間（７日間）放置した後、４５℃に加熱する予備処理を行わなかったものについて、ＪＩＳ Ｋ２２６９：１９８７（原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法）に準じて測定した。
・残留炭素分：燃料油組成物、直脱重油留分、重質分解軽油については、ＪＩＳ Ｋ ２２７０－１：２００９（原油及び石油製品－残留炭素分の求め方－ 第１部：コンラドソン法）に準じて測定した。
・潜在セジメント：試料（内燃機用燃料油組成物）を１００℃で４８時間放置した後、ＪＰＩ－５Ｓ－６０－２０００（原油及び石油製品－セジメント試験方法－）実在セジメントに準じて測定した。なお、当該試料の１００℃での４８時間の放置に用いる装置及び方法は、ＪＰＩ－５Ｓ－６０－２０００（原油及び石油製品－セジメント試験方法－）潜在セジメントの記載に準拠した。
・飽和分含有量、芳香族分含有量及びレジン分含有量：重質分解軽油留分（ＨＣＯ）、分解重油留分（ＣＬＯ）、脱硫重油留分（ＤＳＲＣ）の上記各種成分含有量は、ＩＰ－４６９（国際標準試験方法（ＩＰ Ｔｅｓｔ Ｍｅｔｈｏｄｓ））に規定される、ＴＬＣ／ＦＩＤ法により測定した。また、軽質分解軽油留分（ＬＣＯ）については、ＪＰＩ－５Ｓ－４９－２００７に規定される、石油製品－炭化水素タイプ試験方法－高速液体クロマトグラフィー法（Ｈｉｇｈ Ｐｅｒｆｏｒｍａｎｃｅ Ｌｉｑｕｉｄ Ｃｈｒｏｍａｔｏｇｒａｐｈｙ法）により測定した。
・実在セジメント：ＪＰＩ－５Ｓ－６０－２０００（原油及び石油製品－セジメント試験方法－）に準じて測定した。
・アスファルテン分の含有量：試料（重質分解軽油留分等）５０ｇを秤量後、当該試料にｎ－ヘプタン（特級）１５００ｃｃを加え、１時間還流処理を行い、円形定量ろ紙（Ｎｏ．５Ｃ）でろ過し、残渣を、円筒ろ紙に入れた後、円筒ろ紙ごとソックスレー抽出器を用いてｎ－ヘプタン（特級）でソックスレー抽出し、次いでトルエン（特級）で、さらにソックスレー抽出した後、溶媒を除去して得られたｎ－ヘプタン不溶かつトルエン可溶成分を秤量する抽出法にて測定した値を、アスファルテン分含有量とした。
・蒸留性状（初留点、終点、９０容量％留出温度等）：ＪＩＳ Ｋ２２５４：１９９８（石油製品－蒸留試験方法－）に準じて測定した。
〔性能の評価基準〕
以下の１～４の各性能の評価を行い、一番悪い評価を総合評価として評価した。Ｄ評価であれば不合格である。各性能の評価を、第２表に示す。
以下の１～４の各性能の評価を行い、一番悪い評価を総合評価として評価した。Ｄ評価であれば不合格である。各性能の評価を、第２表に示す。
１．貯蔵安定性能
各実施例及び比較例の燃料油組成物の貯蔵安定性能について、上記の方法により測定した潜在セジメントに基づき以下の基準で評価した。
Ａ．潜在セジメントが０．０２質量％以下であった。
Ｂ．潜在セジメントが０．０２質量％超０．０４質量％以下であった。
Ｃ．潜在セジメントが０．０４質量％超０．０６質量％以下であった。
Ｄ．潜在セジメントが０．０６質量％超であった。
２．燃焼性能
各実施例及び比較例の燃料油組成物の貯蔵安定性能について、上記の方法により測定したＣＣＡＩに基づき以下の基準で評価した。
Ａ．ＣＣＡＩが８６５以下であった。
Ｄ．ＣＣＡＩが８６５超であった。
３．使用量低減性能
各実施例及び比較例の燃料油組成物の使用量低減性能について、上記の方法により測定した総発熱量に基づき以下の基準で評価した。
Ａ．総発熱量が４２，４００（ｋＪ／Ｌ）以上であった。
Ｂ．総発熱量が４２，０００（ｋＪ／Ｌ）以上４２，４００（ｋＪ／Ｌ）未満であった。
Ｃ．総発熱量が４１，９００（ｋＪ／Ｌ）以上４２，０００（ｋＪ／Ｌ）未満であった。
Ｄ．総発熱量が４１，９００（ｋＪ／Ｌ）未満であった。
４．環境性能
実施例及び比較例の燃料油組成物の環境性能について、硫黄分含有量に基づき以下の基準で評価した。
Ａ．硫黄分含有量が０．３５０質量％以下であった。
Ｂ．硫黄分含有量が０．３５０質量％超０．４００質量％以下であった。
Ｃ．硫黄分含有量が０．４００質量％超０．５００質量％以下であった。
Ｄ．硫黄分含有量が０．５００質量％超であった。
各実施例及び比較例の燃料油組成物の貯蔵安定性能について、上記の方法により測定した潜在セジメントに基づき以下の基準で評価した。
Ａ．潜在セジメントが０．０２質量％以下であった。
Ｂ．潜在セジメントが０．０２質量％超０．０４質量％以下であった。
Ｃ．潜在セジメントが０．０４質量％超０．０６質量％以下であった。
Ｄ．潜在セジメントが０．０６質量％超であった。
２．燃焼性能
各実施例及び比較例の燃料油組成物の貯蔵安定性能について、上記の方法により測定したＣＣＡＩに基づき以下の基準で評価した。
Ａ．ＣＣＡＩが８６５以下であった。
Ｄ．ＣＣＡＩが８６５超であった。
３．使用量低減性能
各実施例及び比較例の燃料油組成物の使用量低減性能について、上記の方法により測定した総発熱量に基づき以下の基準で評価した。
Ａ．総発熱量が４２，４００（ｋＪ／Ｌ）以上であった。
Ｂ．総発熱量が４２，０００（ｋＪ／Ｌ）以上４２，４００（ｋＪ／Ｌ）未満であった。
Ｃ．総発熱量が４１，９００（ｋＪ／Ｌ）以上４２，０００（ｋＪ／Ｌ）未満であった。
Ｄ．総発熱量が４１，９００（ｋＪ／Ｌ）未満であった。
４．環境性能
実施例及び比較例の燃料油組成物の環境性能について、硫黄分含有量に基づき以下の基準で評価した。
Ａ．硫黄分含有量が０．３５０質量％以下であった。
Ｂ．硫黄分含有量が０．３５０質量％超０．４００質量％以下であった。
Ｃ．硫黄分含有量が０．４００質量％超０．５００質量％以下であった。
Ｄ．硫黄分含有量が０．５００質量％超であった。
＊，第１表中の基材は以下の通りである。
ＨＣＯ１：重質分解軽油留分１、ＨＣＯ２：重質分解軽油留分２、ＬＣＯ：軽質分解軽油留分、ＣＬＯ：分解重油留分、ＤＳＲＣ：脱硫重油留分
〔実施例１～６、比較例１～６〕
第１表に示す性状及び組成を有する各種基材を、第２表に示す割合で混合し、実施例１～６、及び比較例１～６の燃料油組成物を作製した。
得られた各燃料油組成物について、上記の方法により測定した組成及び性状を第２表に示す。また、得られた各燃料油組成物について、貯蔵安定性能、燃焼性能、環境性能及び環境性能を上記方法により評価した。その結果を第２表に示す。
第１表に示す性状及び組成を有する各種基材を、第２表に示す割合で混合し、実施例１～６、及び比較例１～６の燃料油組成物を作製した。
得られた各燃料油組成物について、上記の方法により測定した組成及び性状を第２表に示す。また、得られた各燃料油組成物について、貯蔵安定性能、燃焼性能、環境性能及び環境性能を上記方法により評価した。その結果を第２表に示す。
〔性能の評価結果〕
第２表に示されるように、本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能の評価がいずれも良好であることが確認された。また貯蔵安定性能については、いずれもＡ及びＢ評価であることから、船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機、中でも前処理装置として遠心分離装置を装備する大型船舶等の各種船舶のディーゼルエンジン等への使用にも耐え得る極めて厳しい貯蔵安定性能への要求にも満足し得るものであることが分かる。
一方、重質分解軽油留分を特定の含有量で含まない、又は全く含まない比較例の燃料油組成物は、貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能のいずれかの点で満足する性能を有しておらず、貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能を同時に満足するものとはいえないものであった。
第２表に示されるように、本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能の評価がいずれも良好であることが確認された。また貯蔵安定性能については、いずれもＡ及びＢ評価であることから、船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機、中でも前処理装置として遠心分離装置を装備する大型船舶等の各種船舶のディーゼルエンジン等への使用にも耐え得る極めて厳しい貯蔵安定性能への要求にも満足し得るものであることが分かる。
一方、重質分解軽油留分を特定の含有量で含まない、又は全く含まない比較例の燃料油組成物は、貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能のいずれかの点で満足する性能を有しておらず、貯蔵安定性能、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能を同時に満足するものとはいえないものであった。
本実施形態の内燃機用燃料油組成物は、極めて厳しい貯蔵安定性能への要求に対応しつつ、燃焼性能、使用量低減性能及び環境性能をも満足する燃料油組成物であり、内燃機関、特に船舶用ディーゼルエンジン等の内燃機に好適に用いられ、中でも前処理装置として遠心分離装置を装備する大型船舶等の船舶用のディーゼルエンジン等に好適に用いられるものである。
Claims (3)
- 下記（ａ）～（ｅ）をいずれも満足する重質分解軽油留分を、組成物全量基準の含有量として３０．０容量％以上７０．０容量％未満で含む、下記（１）～（４）をいずれも満足する内燃機用燃料油組成物。
（ａ）硫黄分含有量が０．５００質量％以下
（ｂ）５０℃における動粘度が１０．０ｍｍ２／ｓ以上５０．０ｍｍ２／ｓ以下
（ｃ）１５℃における密度が０．９９００ｇ／ｃｍ３以上１．０２５０ｇ／ｃｍ３以下
（ｄ）残留炭素分が１．０質量％以下
（ｅ）芳香族分含有量が７０．０質量％以上
（１）硫黄分含有量が０．５００質量％以下
（２）５０℃における動粘度が１０．０ｍｍ２／ｓ以上１００．０ｍｍ２／ｓ以下
（３）総発熱量が４１，９００（ｋＪ／Ｌ）以上
（４）ＣＣＡＩが８６５以下 - 更に、脱硫重油留分を、３０．０容量％超７０．０容量％以下で含む、請求項１に記載の内燃機用燃料油組成物。
- 前処理装置として遠心分離装置を装備する船舶用ディーゼルエンジンに用いられる請求項１又は２に記載の内燃機用燃料油組成物。
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