JP7350102B2 - 圧電フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、電気音響変換フィルム等に用いられる圧電フィルムに関する。
液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなど、ディスプレイの薄型化および軽量化に対応して、これらの薄型ディスプレイに用いられるスピーカーにも薄型化および軽量化が要求されている。また、プラスチック等の可撓性基板を用いたフレキシブルディスプレイの開発に対応して、これに用いられるスピーカーにも可撓性が要求されている。
従来のスピーカーの形状は、漏斗状のいわゆるコーン型や、球面状のドーム型等が一般的である。しかしながら、このようなスピーカーを上述の薄型のディスプレイに内蔵しようとすると、十分に薄型化を図ることができず、また、軽量性や可撓性を損なう虞れがある。また、スピーカーを外付けにした場合、持ち運び等が面倒である。
そこで、薄型で、軽量性や可撓性を損なうことなく薄型のディスプレイやフレキシブルディスプレイに一体化可能なスピーカーとして、シート状で可撓性を有し、印加電圧に応答して伸縮する性質を有する圧電フィルムを用いることが提案されている。
例えば、本件出願人は、シート状で、可撓性を有し、かつ、高音質な音を安定して再生することができる圧電フィルムとして、特許文献1に開示される圧電フィルム(電気音響変換フィルム)を提案している。
特許文献1に開示される圧電フィルムは、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体と、高分子複合圧電体を挟むように設けられた電極層とを有するものである。特許文献1に記載される圧電フィルムは、好ましい態様として、薄膜電極の表面に形成された保護層を有する。
特開2014-212307号公報
このような圧電フィルムは、例えば、屈曲した状態で維持することで、圧電スピーカーとして機能する。
すなわち、圧電フィルムを屈曲状態で維持し、電極層に駆動電圧を印加することで、圧電体粒子の伸縮によって高分子複合圧電体が伸縮し、この伸縮を吸収するために、圧電フィルムは、面と直交する方向に振動する。圧電フィルムは、この振動によって空気を振動させて、電気信号を音に変換している。
圧電フィルムが面と直交する方向に振動するということは、圧電フィルムを構成する高分子複合圧電体は、面と直交する方向に大きく反った状態と、元に戻った状態とを繰り返すということである。
高分子複合圧電体が面と直交する方向に反った状態では、高分子複合圧電体は、厚さ方向に体積変化の度合いが異なる領域が存在する。すなわち、高分子複合圧電体が沿った状態では、凸側は体積が大きくなり、凹側は体積が小さくなる。
このような厚さ方向の体積変化の違いは、高分子複合圧電体に変形および歪等の大きなストレスを与え、クラックおよび電極層との剥離等の欠陥の発生の原因となる。そのため、圧電フィルムは、使用に伴って、音圧の低下などの音響特性の劣化が生じてしまう。
しかしながら、従来の圧電フィルムでは、このような高分子複合圧電体のストレスによる欠陥に起因する音響特性の劣化については、十分に考慮されていなかった。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、高分子複合圧電体のストレスに起因する欠陥の発生を防止した良好な耐久性を有し、かつ、入力動作電圧に対して十分な音圧が得られる、良好な音響特性を有する圧電フィルムを提供することにある。
この課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 高分子材料を含むマトリックス中に圧電体粒子を含む高分子複合圧電体と、高分子複合圧電体の両面に設けられた電極層とを有し、
厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、高分子複合圧電体を厚さ方向に10等分して、最も離間する2つの領域における圧電体粒子の面積率を測定し、面積率が低い領域の圧電体粒子の面積率を1とした際に、面積率が高い領域の圧電体粒子の面積率が1.2以上であることを特徴とする圧電フィル。
[2] 最も離間する2つの領域における、圧電体粒子の面積率の平均が23%以上である、[1]に記載の圧電フィルム。
[3] 最も離間する2つの領域における、面積率が低い領域の圧電体粒子の面積率を1とした際に、面積率が高い領域の圧電体粒子の面積率が70以下である、[1]または[2]に記載の圧電フィルム。
[4] 厚さ方向に分極されている、[1]~[3]のいずれかに記載の圧電フィルム。
[5] 圧電特性に面内異方性を有さない、[1]~[4]のいずれかに記載の圧電フィルム。
[6] 電極層と外部の電源とを接続するための引き出し線を有する、[1]~[5]のいずれかに記載の圧電フィルム。
[7] 少なくとも一方の電極層の表面に積層される保護層を有する、[1]~[6]のいずれかに記載の圧電フィルム。
[8] 高分子材料がシアノエチル基を有する、[1]~[7]のいずれかに記載の圧電フィルム。
[9] 高分子材料がシアノエチル化ポリビニルアルコールである、[8]に記載の圧電フィルム。
[10] 圧電体粒子が、ペロブスカイト型またはウルツ鉱型の結晶構造を有するセラミックス粒子からなるものである、[1]~[9]のいずれかに記載の圧電フィルム。
このような本発明の圧電フィルムは、高分子複合圧電体のストレスに起因する欠陥の発生を防止した良好な耐久性を有し、かつ、入力動作電圧に対して十分な音圧が得られる、良好な音響特性を有する。
図1は、本発明の圧電フィルムの一例を概念的に示す断面図である。 図2は、図1に示す圧電フィルムの製造方法を説明するための概念図である。 図3は、図1に示す圧電フィルムの製造方法を説明するための概念図である。 図4は、図1に示す圧電フィルムの製造方法を説明するための概念図である。 図5は、図1に示す圧電フィルムの製造方法の別の例を説明するための概念図である。 図6は、図1に示す圧電フィルムを用いる圧電スピーカーの一例を概念的に示す 図7は、実施例における音圧の測定方法を説明するための概念図である。
以下、本発明の圧電フィルムについて、添付の図面に示される好適実施態様を基に、詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、以下に示す図は、いずれも、本発明を説明するための概念的な図であって、各層の厚さ、圧電体粒子の大きさ、および、構成部材の大きさ等は、実際の物とは異なる。
本発明の圧電フィルムは、高分子複合圧電体の両面に電極層を有し、好ましくは、少なくとも一方の電極層の表面に、保護層を有するものである。高分子複合圧電体とは、高分子材料を含むマトリックス中に圧電体粒子を含むものである。また、本発明の圧電フィルムは、好ましくは、両方の電極層の表面に、保護層を有する。
このような本発明の圧電フィルムは、厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscope)で観察して、高分子複合圧電体を厚さ方向に10等分して、最も離間する2つの領域における圧電体粒子の面積率を測定して、面積率が低い領域の圧電体粒子の面積率を1とした際に、面積率が高い領域の圧電体粒子の面積率が1.2以上である。
なお、以下の説明では、特に断りが無い場合には、『断面』とは、圧電フィルムの厚さ方向の断面を示す。圧電フィルムの厚さ方向とは、各層の積層方向である。
本発明の圧電フィルムは、一例として、電気音響変換フィルムとして用いられるものである。具体的には、本発明の圧電フィルムは、圧電スピーカー、マイクロフォンおよび音声センサー等の電気音響変換器の振動板として用いられる。
電気音響変換器は、圧電フィルムへの電圧印加によって、圧電フィルムが面方向に伸長すると、この伸長分を吸収するために、圧電フィルムが、上方(音の放射方向)に移動する。逆に、圧電フィルムへの電圧印加によって、圧電フィルムが面方向に収縮すると、この収縮分を吸収するために、圧電フィルムが、下方に移動する。
電気音響変換器は、この圧電フィルムの伸縮の繰り返しによる振動により、振動(音)と電気信号とを変換するものである。例えば、電気音響変換器は、圧電フィルムに音声電気信号を入力して振動させることによる音の再生、音波を受けることによる圧電フィルムの振動の電気信号への変換、圧電フィルムの振動による触感の付与、および、圧電フィルムの振動による物体の輸送等に利用される。
さらに、本発明の圧電フィルムは、例えば、各種のセンサー、音響デバイス、ハプティクス、超音波トランスデューサ、アクチュエータ、制振材(ダンパー)、および、振動発電装置等、各種の用途に好適に利用可能である。
本発明の圧電フィルムを用いるセンサーとしては、音波センサー、超音波センサー、圧力センサー、触覚センサー、歪みセンサー、および、振動センサー等が例示される。本発明の圧電フィルムを用いるセンサーは、特に、ひび検知等のインフラ点検、および、異物混入検知など、製造現場における検査に有用である。
本発明の圧電フィルムを用いる音響デバイスとしては、マイクロフォン、ピックアップ、スピーカー、および、エキサイター等が例示される。本発明の圧電フィルムを用いる音響デバイスの具体的な用途としては、車、電車、飛行機およびロボット等に使用されるノイズキャンセラー、人工声帯、害虫・害獣侵入防止用ブザー、ならびに、音声出力機能を有する家具、壁紙、写真、ヘルメット、ゴーグル、ヘッドレスト、サイネージおよびロボットなどが例示される。
本発明の圧電フィルムを用いるハプティクスの適用例としては、自動車、スマートフォン、スマートウォッチ、および、ゲーム機等が例示される。
本発明の圧電フィルムを用いる超音波トランスデューサーとしては、超音波探触子、および、ハイドロホン等が例示される。
本発明の圧電フィルムを用いるアクチュエータの用途としては、水滴付着防止、輸送、攪拌、分散、および、研磨等が例示される。
本発明の圧電フィルムを用いる制振材の適用例としては、容器、乗り物、建物、ならびに、スキーおよびラケット等のスポーツ用具などが例示される。
さらに、本発明の圧電フィルムを用いる振動発電装置の適用例としては、道路、床、マットレス、椅子、靴、タイヤ、車輪、および、パソコンキーボード等が例示される。
なお、このような用途に関しては、後述する、本発明の圧電フィルムを、複数層、積層してなる、圧電フィルムの積層体(積層圧電素子)に関しても、同様である。
図1に、本発明の圧電フィルムの一例を断面図で概念的に示す。
図1に示す圧電フィルム10は、圧電体層12と、圧電体層12の一方の面に積層される上部薄膜電極14と、上部薄膜電極14に積層される上部保護層18と、圧電体層12の他方の面に積層される下部薄膜電極16と、下部薄膜電極16に積層される下部保護層20と、を有する。上部薄膜電極14および下部薄膜電極16は、本発明における電極層である。
圧電フィルム10において、圧電体層12は、図1に概念的に示すように、高分子材料を含む高分子マトリックス24中に、圧電体粒子26を含むものである。すなわち、圧電体層12は、本発明の圧電フィルムにおける高分子複合圧電体である。
ここで、高分子複合圧電体(圧電体層12)は、次の用件を具備したものであるのが好ましい。なお、本発明において、常温とは、0~50℃である。
(i) 可撓性
例えば、携帯用として新聞や雑誌のように書類感覚で緩く撓めた状態で把持する場合、絶えず外部から、数Hz以下の比較的ゆっくりとした、大きな曲げ変形を受けることになる。この時、高分子複合圧電体が硬いと、その分大きな曲げ応力が発生し、高分子マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生し、やがて破壊に繋がる恐れがある。従って、高分子複合圧電体には適度な柔らかさが求められる。また、歪みエネルギーを熱として外部へ拡散できれば応力を緩和することができる。従って、高分子複合圧電体の損失正接が適度に大きいことが求められる。
(ii) 音質
スピーカーは、20Hz~20kHzのオーディオ帯域の周波数で圧電体粒子を振動させ、その振動エネルギーによって振動板(高分子複合圧電体)全体が一体となって振動することで音が再生される。従って、振動エネルギーの伝達効率を高めるために高分子複合圧電体には適度な硬さが求められる。また、スピーカーの周波数特性が平滑であれば、曲率の変化に伴い最低共振周波数f0が変化した際の音質の変化量も小さくなる。従って、高分子複合圧電体の損失正接は適度に大きいことが求められる。
スピーカー用振動板の最低共振周波数f0は、下記式で与えられるのは周知である。ここで、sは振動系のスチフネス、mは質量である。

このとき、圧電フィルムの湾曲程度すなわち湾曲部の曲率半径が大きくなるほど機械的なスチフネスsが下がるため、最低共振周波数f0は小さくなる。すなわち、圧電フィルムの曲率半径によってスピーカーの音質(音量、周波数特性)が変わることになる。
以上をまとめると、高分子複合圧電体は、20Hz~20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては柔らかく振る舞うことが求められる。また、高分子複合圧電体の損失正接は、20kHz以下の全ての周波数の振動に対して、適度に大きいことが求められる。
一般に、高分子固体は粘弾性緩和機構を有しており、温度上昇あるいは周波数の低下と共に大きなスケールの分子運動が貯蔵弾性率(ヤング率)の低下(緩和)あるいは損失弾性率の極大(吸収)として観測される。その中でも、非晶質領域の分子鎖のミクロブラウン運動によって引き起こされる緩和は、主分散と呼ばれ、非常に大きな緩和現象が見られる。この主分散が起きる温度がガラス転移点(Tg)であり、最も粘弾性緩和機構が顕著に現れる。
高分子複合圧電体(圧電体層12)において、ガラス転移点が常温にある高分子材料、言い換えると、常温で粘弾性を有する高分子材料をマトリックスに用いることで、20Hz~20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の遅い振動に対しては柔らかく振舞う高分子複合圧電体が実現する。特に、この振舞いが好適に発現する等の点で、周波数1Hzでのガラス転移温度が常温にある高分子材料を、高分子複合圧電体のマトリックスに用いるのが好ましい。
高分子材料は、常温において、動的粘弾性試験による周波数1Hzにおける損失正接Tanδの極大値が、0.5以上であるのが好ましい。
これにより、高分子複合圧電体が外力によってゆっくりと曲げられた際に、最大曲げモーメント部における高分子マトリックス/圧電体粒子界面の応力集中が緩和され、高い可撓性が期待できる。
また、高分子材料は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において100MPa以上、50℃において10MPa以下であるのが好ましい。
これにより、高分子複合圧電体が外力によってゆっくりと曲げられた際に発生する曲げモーメントが低減できると同時に、20Hz~20kHzの音響振動に対しては硬く振る舞うことができる。
また、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以上で有ると、より好適である。これにより、高分子複合圧電体に電圧を印加した際に、高分子マトリックス中の圧電体粒子にはより高い電界が掛かるため、大きな変形量が期待できる。
しかしながら、その反面、良好な耐湿性の確保等を考慮すると、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以下であるのも、好適である。
このような条件を満たす高分子材料としては、シアノエチル化ポリビニルアルコール(シアノエチル化PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニリデンクロライドコアクリロニトリル、ポリスチレン-ビニルポリイソプレンブロック共重合体、ポリビニルメチルケトン、および、ポリブチルメタクリレート等が好適に例示される。
高分子マトリックス24を構成する高分子材料としては、シアノエチル基を有する高分子材料を用いるのが好ましく、シアノエチル化PVAを用いるのが特に好ましい。すなわち、本発明の圧電フィルム10において、圧電体層12は、高分子マトリックス24として、シアノエチル基を有する高分子材料を用いるのが好ましく、シアノエチル化PVAを用いるのが特に好ましい。
以下の説明では、便宜的に、シアノエチル化PVAを代表とする上述の高分子材料を、まとめて『常温で粘弾性を有する高分子材料』とも言う。
なお、これらの常温で粘弾性を有する高分子材料は、1種のみを用いてもよく、複数種を併用(混合)して用いてもよい。
本発明の圧電フィルム10において、圧電体層12の高分子マトリックス24には、必要に応じて、複数の高分子材料を併用してもよい。
すなわち、高分子複合圧電体を構成する高分子マトリックス24には、誘電特性や機械的特性の調節等を目的として、上述した常温で粘弾性を有する高分子材料に加え、必要に応じて、その他の誘電性高分子材料を添加しても良い。
添加可能な誘電性高分子材料としては、一例として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体およびポリフッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系高分子、シアン化ビニリデン-酢酸ビニル共重合体、シアノエチルセルロース、シアノエチルヒドロキシサッカロース、シアノエチルヒドロキシセルロース、シアノエチルヒドロキシプルラン、シアノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルアミロース、シアノエチルヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルジヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルヒドロキシプロピルアミロース、シアノエチルポリアクリルアミド、シアノエチルポリアクリレート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリヒドロキシメチレン、シアノエチルグリシドールプルラン、シアノエチルサッカロースおよびシアノエチルソルビトール等のシアノ基またはシアノエチル基を有するポリマー、ならびに、ニトリルゴムおよびクロロプレンゴム等の合成ゴム等が例示される。
中でも、シアノエチル基を有する高分子材料は、好適に利用される。
また、これらの高分子材料としては、ハイブラー5127(クラレ社製)などの市販品も、好適に利用可能である。
また、圧電体層12の高分子マトリックス24において、これらの誘電性高分子材料は、1種に制限はされず、複数種を添加してもよい。
また、誘電性高分子材料以外にも、高分子マトリックス24のガラス転移点を調節する目的で、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリブテンおよびイソブチレン等の熱可塑性樹脂、ならびに、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂およびマイカ等の熱硬化性樹脂等を添加しても良い。
さらに、粘着性を向上する目的で、ロジンエステル、ロジン、テルペン、テルペンフェノール、および、石油樹脂等の粘着付与剤を添加しても良い。
圧電体層12の高分子マトリックス24において、常温で粘弾性を有する高分子材料以外の高分子材料を添加する際の添加量には制限はないが、高分子マトリックス24に占める割合で30質量%以下とするのが好ましい。
これにより、高分子マトリックス24における粘弾性緩和機構を損なうことなく、添加する高分子材料の特性を発現できるため、高誘電率化、耐熱性の向上、圧電体粒子26や電極層との密着性向上等の点で好ましい結果を得ることができる。
圧電体層12(高分子複合圧電体)は、このような高分子マトリックスに、圧電体粒子26を含有してなるものである。
圧電体粒子26は、好ましくは、ペロブスカイト型またはウルツ鉱型の結晶構造を有するセラミックス粒子からなるものである。
圧電体粒子26を構成するセラミックス粒子としては、一例として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛(PLZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、および、チタン酸バリウムとビスマスフェライト(BiFe3)との固溶体(BFBT)等が例示される。中でも、PZTは好適に利用される。
圧電体粒子26の粒径は、圧電フィルム10のサイズや用途に応じて、適宜、選択すれば良い。圧電体粒子26の粒径は、1~10μmが好ましい。
圧電体粒子26の粒径を上記範囲とすることにより、高い圧電特性とフレキシビリティとを両立できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
圧電フィルム10において、圧電体層12中における高分子マトリックス24と圧電体粒子26との量比は、圧電フィルム10の面方向の大きさや厚さ、圧電フィルム10の用途、圧電フィルム10に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
圧電体層12中における圧電体粒子26の体積分率は、30~70%が好ましく、特に、50%以上が好ましく、従って、50~70%がより好ましい。
高分子マトリックス24と圧電体粒子26との量比を上記範囲とすることにより、高い圧電特性とフレキシビリティとを両立できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
また、圧電フィルム10において、圧電体層12の厚さには制限はなく、圧電フィルム10のサイズ、圧電フィルム10の用途、圧電フィルム10に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
圧電体層12の厚さは、8~300μmが好ましく、8~150μmがより好ましく、15~100μmがさらに好ましく、25~75μmが特に好ましい。
圧電体層12は、厚さ方向に分極処理(ポーリング)されているのが好ましい。分極処理に関しては、後に詳述する。
図1に示す圧電フィルム10は、このような圧電体層12の一面に、上部薄膜電極14を有し、上部薄膜電極14の上に好ましい態様として上部保護層18を有し、圧電体層12の他方の面に、下部薄膜電極16を有し、下部薄膜電極16の上に好ましい態様として下部保護層20を有してなる構成を有する。圧電フィルム10では、上部薄膜電極14と下部薄膜電極16とが電極対を形成する。
言い換えれば、本発明の圧電フィルム10は、圧電体層12の両面を電極対、すなわち、上部薄膜電極14および下部薄膜電極16で挟持し、好ましくは、さらに、上部保護層18および下部保護層20で挟持してなる構成を有する。
このように、上部薄膜電極14および下部薄膜電極16で挾持された領域は、印加された電圧に応じて駆動される。
なお、本発明において、上部薄膜電極14および上部保護層18、ならびに、に下部薄膜電極16および下部保護層20おける上部および下部とは、本発明の圧電フィルム10を説明するために、便宜的に図面に合わせて名称を付しているものである。
従って、本発明の圧電フィルム10における上部および下部には、位置および技術的な意味は無く、また、実際の使用状態とは無関係である。
本発明の圧電フィルム10は、これらの層に加えて、例えば、薄膜電極と圧電体層12とを貼着するための貼着層、および、薄膜電極と保護層とを貼着するための貼着層を有してもよい。
貼着剤は、接着剤でも粘着剤でもよい。また、貼着剤は、圧電体層12から圧電体粒子26を除いた高分子材料すなわち高分子マトリックス24と同じ材料も、好適に利用可能である。なお、貼着層は、上部薄膜電極14側および下部薄膜電極16側の両方に有してもよく、上部薄膜電極14側および下部薄膜電極16側の一方のみに有してもよい。
さらに、圧電フィルム10は、これらの層に加え、上部薄膜電極14および下部薄膜電極16と、外部の電源とを設足するための電極引き出し部(引き出し線)を有するのが好ましい。また、圧電フィルム10は、さらに、圧電体層12が露出する領域を覆って、ショート等を防止する絶縁層等を有していてもよい。
電極引出し部としては、薄膜電極および保護層が、圧電体層の面方向外部に、凸状に突出する部位を設けて電極引出し部としても良いし、あるいは、保護層の一部を除去して孔部を形成して、この孔部に銀ペースト等の導電材料を挿入して導電材料と薄膜電極とを電気的に導通して、電極引出し部としてもよい。
なお、各薄膜電極において、電極引出し部は1つには制限されず、2以上の電極引出し部を有していてもよい。特に、保護層の一部を除去して孔部に導電材料を挿入して電極引出し部とする構成の場合には、より確実に通電を確保するために、電極引出し部を3以上有するのが好ましい。
圧電フィルム10において、上部保護層18および下部保護層20は、上部薄膜電極14および下部薄膜電極16を被覆すると共に、圧電体層12に適度な剛性と機械的強度を付与する役目を担っている。すなわち、本発明の圧電フィルム10において、高分子マトリックス24と圧電体粒子26とを含む圧電体層12は、ゆっくりとした曲げ変形に対しては、非常に優れた可撓性を示す一方で、用途によっては、剛性や機械的強度が不足する場合がある。圧電フィルム10は、それを補うために上部保護層18および下部保護層20が設けられる。
下部保護層20と上部保護層18とは、配置位置が異なるのみで、構成は同じである。従って、以下の説明においては、下部保護層20と上部保護層18とを区別する必要がない場合には、両部材をまとめて、保護層ともいう。
なお、図示例の圧電フィルム10は、より好ましい態様として、両方の薄膜電極に積層して、下部保護層20および上部保護層18を有する。しかしながら、本発明はこれに制限はされず、下部保護層20および上部保護層18の一方のみを有する構成でもよい。
また、本発明の圧電フィルムにおいて、保護層は、好ましい態様として設けられるものであり、必須の構成要件ではない。すなわち、本発明の圧電フィルムは、圧電体層12と、上部薄膜電極14および下部薄膜電極16とから構成されてもよい。
保護層には、制限はなく、各種のシート状物が利用可能であり、一例として、各種の樹脂フィルムが好適に例示される。中でも、優れた機械的特性および耐熱性を有するなどの理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、および、環状オレフィン系樹脂等からなる樹脂フィルムが好適に利用される。
保護層の厚さにも、制限は無い。また、上部保護層18および下部保護層20の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
保護層の剛性が高過ぎると、圧電体層12の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれる。そのため、機械的強度やシート状物としての良好なハンドリング性が要求される場合を除けば、保護層は、薄いほど有利である。
本発明者の検討によれば、上部保護層18および下部保護層20の厚さが、それぞれ、圧電体層12の厚さの2倍以下であれば、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
例えば、圧電体層12の厚さが50μmで下部保護層20および上部保護層18がPETからなる場合、下部保護層20および上部保護層18の厚さはそれぞれ、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、25μm以下がさらに好ましい。
圧電フィルム10において、圧電体層12と上部保護層18との間には上部薄膜電極14が、圧電体層12と下部保護層20との間には下部薄膜電極16が、それぞれ形成される。以下の説明では、上部薄膜電極14を上部電極14、下部薄膜電極16を下部電極16、ともいう。
上部電極14および下部電極16は、圧電フィルム10(圧電体層12)に電界を印加するために設けられる。
なお、下部電極16および上部電極14は、位置が異なる以外は、基本的に同じものである。従って、以下の説明においては、下部電極16と上部電極14とを区別する必要がない場合には、両部材をまとめて、薄膜電極ともいう。
本発明の圧電フィルムにおいて、薄膜電極の形成材料には制限はなく、各種の導電体が利用可能である。具体的には、炭素、パラジウム、鉄、錫、アルミニウム、ニッケル、白金、金、銀、銅、クロム、モリブデン、これらの合金、酸化インジウムスズ、および、PEDOT/PPS(ポリエチレンジオキシチオフェン-ポリスチレンスルホン酸)などの導電性高分子等が例示される。
中でも、銅、アルミニウム、金、銀、白金、および、酸化インジウムスズは、好適に例示される。その中でも、導電性、コストおよび可撓性等の観点から銅がより好ましい。
また、薄膜電極の形成方法にも制限はなく、真空蒸着やスパッタリング等の気相堆積法(真空成膜法)やめっきによる成膜や、上記材料で形成された箔を貼着する方法、塗布する方法等、公知の方法が、各種、利用可能である。
中でも特に、圧電フィルム10の可撓性が確保できる等の理由で、真空蒸着によって成膜された銅やアルミニウムの薄膜は、薄膜電極として、好適に利用される。その中でも特に、真空蒸着による銅の薄膜は、好適に利用される。
上部電極14および下部電極16の厚さには、制限はない。また、上部電極14および下部電極16の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
ここで、上述した保護層と同様に、薄膜電極の剛性が高過ぎると、圧電体層12の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれる。そのため、薄膜電極は、電気抵抗が高くなり過ぎない範囲であれば、薄いほど有利である。
本発明の圧電フィルム10では、薄膜電極の厚さとヤング率との積が、保護層の厚さとヤング率との積を下回れば、可撓性を大きく損なうことがないため、好適である。
例えば、保護層がPET(ヤング率:約6.2GPa)で、薄膜電極が銅(ヤング率:約130GPa)からなる組み合わせの場合、保護層の厚さが25μmだとすると、薄膜電極の厚さは、1.2μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。
上述のように、圧電フィルム10は、高分子材料を含む高分子マトリックス24に圧電体粒子26を含む圧電体層12を、上部電極14および下部電極16で挟持し、さらに、上部保護層18および下部保護層20を挟持してなる構成を有する。
このような圧電フィルム10は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの損失正接(Tanδ)が0.1以上となる極大値が常温に存在するのが好ましい。
これにより、圧電フィルム10が外部から数Hz以下の比較的ゆっくりとした、大きな曲げ変形を受けたとしても、歪みエネルギーを効果的に熱として外部へ拡散できるため、高分子マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生するのを防ぐことができる。
圧電フィルム10は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において10~30GPa、50℃において1~10GPaであるのが好ましい。
これにより、常温で圧電フィルム10が貯蔵弾性率(E’)に大きな周波数分散を有することができる。すなわち、20Hz~20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては柔らかく振る舞うことができる。
また、圧電フィルム10は、厚さと動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)との積が、0℃において1.0×106~2.0×106N/m、50℃において1.0×105~1.0×106N/mであるのが好ましい。
これにより、圧電フィルム10が可撓性および音響特性を損なわない範囲で、適度な剛性と機械的強度を備えることができる。
さらに、圧電フィルム10は、動的粘弾性測定から得られたマスターカーブにおいて、25℃、周波数1kHzにおける損失正接(Tanδ)が、0.05以上であるのが好ましい。
これにより、圧電フィルム10を用いたスピーカーの周波数特性が平滑になり、スピーカー(圧電フィルム10)の曲率の変化に伴い最低共振周波数f0が変化した際の音質の変化量も小さくできる。
上述のように、本発明の圧電フィルム10は、SEMで観察した断面において、圧電体層12を厚さ方向に10等分して最も離間する2つの領域における圧電体粒子26の面積率を算出し、2つの領域のうちの、面積率が低い側の領域における圧電体粒子26の面積率を1とした際に、面積率が高い側の領域における圧電体粒子26の面積率が1.2以上である。
具体的には、一例として、圧電フィルム10を任意の位置で厚さ方向に切断した断面のSEM画像を得る。この断面SEM画像において、上部電極14と圧電体層12との界面と、下部電極と圧電体層12との界面とを、圧電体層12の厚さ方向の上下面として、図1に破線で示すように、圧電体層12を厚さ方向に10等分する。
本発明においては、この厚さ方向に10等分した各領域のうち、最も離間する2つの領域に着目する。すなわち、本発明においては、このように厚さ方向に10等分した領域のうち、上部電極14に隣接する領域と、下部電極16に隣接する領域とに着目する。
以下の説明では、便宜的に、厚さ方向に10等分した圧電体層12の最も離間する2つの領域において、上部電極14に隣接する領域を第1領域12a、下部電極16側を第10領域12bとする。上述の上部および下部と同様、この第1および第10に、技術的な意味等は無い。
このようにして設定した第1領域12aおよび第10領域12bの、それぞれで、圧電体粒子26の面積率を測定する。
圧電体粒子26の面積率とは、断面SEM画像における、第1領域12aおよび第10領域12bにおける圧電体粒子26の合計の面積率である。例えば、第1領域12aにおける圧電体粒子26の面積率であれば、断面SEM画像を画像解析して、第1領域12aの面積と、第1領域12aにおける全ての圧電体粒子26の面積を合計した圧電体粒子26の合計面積とを求めて、第1領域12aにおける圧電体粒子26の面積率を算出すればよい。
一般的に、圧電フィルム10の断面SEM画像(モノクロ画像)において、画像中の濃度(明度)は、『圧電体粒子および薄膜電極>高分子マトリックス(バインダー)および保護層』となる。なお、圧電体層12内に空隙が存在する場合には、空隙が最も高濃度になる。
従って、例えば、圧電フィルム10の断面SEM画像において、上述したように圧電体層12を厚さ方向に10等分して、互いに最も離間する上部電極14側の第1領域12aおよび下部電極16側の第10領域12bを設定する。その後、適宜選択した濃度を閾値として、断面SEM画像を黒(高濃度)と白(低濃度)とに二値化する。この二値化画像を解析して、第1領域12aの面積および第10領域12bの面積と、各領域における圧電体粒子26の合計面積とを求め、各領域における面積率を求めればよい。
本発明においては、一例として、このような第1領域12aおよび第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率の測定を、圧電フィルム10において任意に設定した10個の断面で行う。
この10断面における第1領域12aおよび第10領域12bの圧電体粒子26の面積率の平均値を、この圧電フィルム10の第1領域12aおよび第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率とする。すなわち、本発明においては、一例として、10断面の平均値を、圧電フィルム10における、厚さ方向に10等分した圧電体層12における最も離間する第1領域12aおよび第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率とする。
本発明の圧電フィルム10は、このようにして測定した第1領域12aおよび第10領域12bの圧電体粒子26の面積率において、面積率が低い領域の圧電体粒子26の面積率を1とした際に、面積率が高い領域の圧電体粒子26の面積率が1.2以上である。
言い換えれば、本発明の圧電フィルム10は、上述のように測定した第1領域12aおよび第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率において、面積率が低い領域の圧電体粒子26の面積率を1として規格化した際に、面積率が高い領域の圧電体粒子26の面積率が1.2以上である。
すなわち、本発明の圧電フィルム10は、第1領域12aおよび第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率において、面積率が高い領域における圧電体粒子26の面積率を、面積率が低い領域における面積率で割った面積率の比が、1.2以上である。
例えば、第1領域12aにおける圧電体粒子26の面積率が、第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率よりも高い場合には、第1領域12aにおける圧電体粒子26の面積率を、第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率で割った面積率の比が1.2以上である。すなわち、この場合には、『圧電体粒子26の面積率の比=[第1領域12aにおける圧電体粒子26の面積率]/[第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率]≧1.2』である。
本発明の圧電フィルム10は、このような構成を有することにより、反りに起因する圧電体層12の損傷を防止した高い耐久性を有し、かつ、入力動作電圧に対して十分な音圧が得られる。
上述したように、圧電フィルムを電気音響変換フィルムとして圧電スピーカに用いる場合には、圧電フィルムを屈曲状態で維持して、電極層に駆動電圧を印加することで、圧電フィルムを面方向に伸縮させる。圧電スピーカは、この圧電フィルムの伸縮によって圧電フィルムを面と直交する方向に振動させることで、音を出力する。
この圧電フィルムの振動によって、圧電フィルムは大きな反りを生じる。反りを生じた状態では、圧電フィルムを構成する圧電体層は、厚さ方向に体積変化の度合いが異なる領域が存在する。このような厚さ方向の体積変化の違いは、圧電体層に大きなストレスを与え、クラックおよび電極層との剥離等の欠陥の発生の原因となる。
そのため、従来の圧電フィルムは、使用に伴って、音圧が低下する等の音響特性の劣化等が生じてしまう。
これに対して、本発明の圧電フィルム10は、圧電体層12は、厚さ方向に10等分した最も離間する第1領域12aおよび第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率において、面積率が低い領域における圧電体粒子26の面積率を1とした際に、面積率が高い領域における圧電体粒子26の面積率が1.2以上である。
言い換えれば、本発明の圧電フィルム10は、圧電体層12は、厚さ方向に10等分した最も離間する第1領域12aおよび第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率において、面積率が高い領域における圧電体粒子26の面積率を、面積率が低い領域における圧電体粒子26の面積率で割った面積率の比が、1.2以上である。
すなわち、圧電体層12は、厚さ方向に、相対的に高分子マトリックス24が多い領域と、相対的に高分子マトリックス24が少ない領域とを有する。
圧電体粒子26は、高い剛性を有するものであるが、高分子マトリックス24は、ある程度の柔軟性および弾性を有する。従って、このような本発明の圧電フィルム10では、反りを生じた状態において、高分子マトリックス24が多い領域に存在する高分子マトリックス24が、反りに起因する圧電体層12の厚さ方向の体積変化を吸収する。
その結果、本発明の圧電フィルム10は、圧電フィルム10の反りによって圧電体層12に掛かるストレスを低減して、圧電体層12のクラックの発生および圧電体層12と薄膜電極との剥離等の欠陥の発生を、長期にわたって防止できる。そのため、本発明の圧電フィルム10は、使用に伴う音圧低下などの音響特性の劣化を抑制した、良好な耐久性を有する。
ここで、耐久性の点では、圧電フィルム全体が均一に圧電体粒子26の面積率が低い方が好ましい。しかしながら、圧電体粒子26の面積率が圧電フィルム全体で均一に低いと、入力動作電圧に対する音圧が低いなど、十分な音響特性が得られない。
これに対して、本発明の圧電フィルム10は、厚さ方向に10等分した最も離間する領域すなわち第1領域12aおよび第10領域12bにおいて、一方の領域が、他方の領域の1.2倍以上の圧電体粒子26の面積率を有する。すなわち、本発明の圧電フィルム10は、厚さ方向において、他の領域に比して相対的に圧電体粒子26の面積率が高い領域を有する。
そのため、本発明の圧電フィルム10では、圧電体粒子26の面積率が高い領域が、音響特性を担保できるので、圧電体粒子26の面積率が低い領域を有することによる高い耐久性を有すると共に、入力動作電圧に対して十分な音圧が得られる。
すなわち、本発明によれば、入力動作電圧に対して十分な音圧が得られ、かつ、使用に伴う音圧の低下等の音響特性の劣化等が無く、長期にわたって初期性能を維持できる良好な耐久性を有する、耐久性と音響特性とを両立した圧電フィルム10を実現できる。
本発明の圧電フィルム10は、第1領域12aおよび第10領域12bにおいて、面積率が低い領域の圧電体粒子26の面積率を1とした際に、面積率が高い領域の圧電体粒子26の圧電体粒子26の面積率が1.2以上である。
すなわち、本発明の圧電フィルム10は、第1領域12aおよび第10領域12bにおいて、面積率が高い領域の圧電体粒子26の面積率を、面積率が低い領域の圧電体粒子26の面積率で割った面積率の比が、1.2以上である。
以下の説明では、この第1領域12aおよび第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率の比率、すなわち、『面積率が高い領域の圧電体粒子26の面積率を、面積率が低い領域の圧電体粒子26の面積率で割った面積率の比』を、単に『圧電体粒子26の面積率の比』ともいう。
圧電体粒子26の面積率の比が1.2未満では、使用に伴って音圧の低下等の音響特性の劣化が生じる等の不都合が生じる。
圧電体粒子26の面積率の比は、1.3以上が好ましく、1.4以上がより好ましく、1.5以上がさらに好ましい。
本発明の圧電フィルム10において、音響特性の劣化防止という点では、基本的に、圧電体粒子26の面積率の比は大きい方が好ましい。しかしながら、圧電体粒子26の面積率の比が大きすぎると、圧電体層12の厚さ方向に、部分的に圧電体粒子26の存在比率が低すぎる領域が存在する可能性が生じ、この領域が音響特性に寄与しなくなってしまう可能性が有る。
この点を考慮すると、圧電体粒子26の面積率の比は70以下が好ましく、50以下がより好ましく、12以下がさらに好ましい。
なお、本発明の圧電フィルム10においては、第1領域12aおよび第10領域12bのいずれの領域が他方の領域よりも圧電体粒子26の面積率が高くても、圧電フィルム10の性能には、影響はない。また、上述のように、本発明の圧電フィルム10において第1および第2という文言には、技術的な意味は無く、また、天地方向などの使用状況とも無関係である。
従って、本発明の圧電フィルム10においては、圧電体粒子26の面積率が高いのは、第1領域12aおよび第10領域12bのいずれであってもよい。
本発明の圧電フィルム10において、第1領域12aおよび第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率には、制限はない。基本的に、圧電体層12における圧電体粒子26の面積率が高いほど、圧電フィルム10の音響特性は、高くなる。
圧電フィルム10は、第1領域12aにおける圧電体粒子26の面積率と第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率との平均が23%以上であるのが好ましい。
以下の説明では、第1領域12aにおける圧電体粒子26の面積率と、第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率との平均を、『圧電体粒子26の平均面積率』ともいう。
圧電体粒子26の平均面積率を23%以上とすることにより、圧電フィルム10が、良好な音響特性を発現することができる。
圧電体粒子26の平均面積率は、40%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。
圧電体粒子26の平均面積率の上限には、制限はない。
圧電体粒子26の面積率の比を安定して1.2以上にすること等を考慮すると、圧電体粒子26の平均面積率は、80%以下が好ましい。
なお、この圧電体粒子26の平均面積率は、圧電体層12を厚さ方向に10等分した際における、最も離間する第1領域12aと、第10領域12bとにおける圧電体粒子26の面積率の平均であり、必ずしも、圧電体層12の全域における圧電体粒子26の面積率とは一致しない。
しかしながら、本発明者の検討によれば、厚さ方向に10等分した領域のうちの最も離間する領域である第1領域12aと第10領域12bとにおける圧電体粒子26の面積率は、大方、圧電体層12の厚さ方向の全域の圧電体粒子26の面積率と相関している。
従って、第1領域12aにおける圧電体粒子26の面積率と第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率との平均である、圧電体粒子26の平均面積率を用いることで、圧電体層12の全域における圧電体粒子26の面積率を知見できる。
図2~図4に、圧電フィルム10の製造方法の一例を概念的に示す。
まず、図2に概念的に示すように、下部保護層20の表面に下部電極16が形成されたシート状物34を準備する。
シート状物34は、下部保護層20の表面に、真空蒸着、スパッタリング、めっき等によって下部電極16として銅薄膜等を形成して、作製すればよい。同様に、シート状物38は、上部保護層18の表面に、真空蒸着、スパッタリング、めっき等によって上部薄膜電極14として銅薄膜等を形成して、作製すればよい。
あるいは、保護層の上に銅薄膜等が形成された市販品をシート状物を、シート状物34(後述するシート状物38)として利用してもよい。
なお、保護層が非常に薄く、ハンドリング性が悪い時などは、必要に応じて、セパレータ(仮支持体)付きの保護層を用いても良い。なお、セパレータとしては、厚さ25~100μmのPET等を用いることができる。セパレータは、薄膜電極および保護層の熱圧着後、取り除けばよい。
次いで、図3に概念的に示すように、シート状物34の下部電極16上に、圧電体層12となる塗料(塗布組成物)を塗布した後、加熱乾燥することで硬化して、圧電体層12の下部電極16側の厚さ方向の約半分となる下部側圧電体層12Lを形成して、シート状物34と下部側圧電体層12Lとを積層した下部側積層体36Lを作製する。すなわち、本例では、シート状物34の下部電極16上に、本来、形成する圧電体層12の厚さの、約半分の厚さの下部側圧電体層12Lを形成する。
この圧電体層12の下部電極側の半分である下部側圧電体層12Lの形成では、まず、有機溶媒に、上述した高分子マトリックス24となる高分子材料を溶解し、さらに、PZT粒子等の圧電体粒子26を添加し、攪拌して、圧電体層となる塗料を調製する。
有機溶媒には制限はなく、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン、および、シクロヘキサノン等の各種の有機溶媒が利用可能である。複薄の有機溶媒を混合して用いてもよい。
シート状物34を準備し、かつ、塗料を調製したら、この塗料をシート状物34(下部電極16)にキャスティング(塗布)して、加熱することにより有機溶媒を蒸発して乾燥する。これにより、図3に示すように、下部保護層20の上に下部電極16を有し、下部電極16の上に圧電体層12の下部電極16側の約半分である下部側圧電体層12Lを積層してなる下部側積層体36Lを作製する。
塗料のキャスティング方法には制限はなく、バーコータ、スライドコータおよびドクターナイフ等の公知の方法(塗布装置)が、全て、利用可能である。
あるいは高分子材料が加熱溶融可能な物であれば、高分子材料を加熱溶融して、これに圧電体粒子26を添加してなる溶融物を作製し、押し出し成形等によって、図2に示すシート状物34の上にシート状に押し出し、冷却することにより、図3に示すような、下部側積層体36Lを作製してもよい。
なお、上述のように、圧電フィルム10において、高分子マトリックス24には、常温で粘弾性を有する高分子材料以外にも、PVDF等の高分子圧電材料を添加しても良い。
高分子マトリックス24に、これらの高分子圧電材料を添加する際には、上記塗料に添加する高分子圧電材料を溶解すればよい。あるいは、加熱溶融した常温で粘弾性を有する高分子材料に、添加する高分子圧電材料を添加して加熱溶融すればよい。
次いで、下部側積層体36Lに形成した下部側圧電体層12Lに、分極処理(ポーリング)を行う。
圧電体層の分極処理の方法には制限はなく、公知の方法が利用可能である。例えば、分極処理を行う対象に、直接、直流電界を印加する、電界ポーリングが例示される。なお、電界ポーリングによる分極処理を行う場合には、下部側積層体36Lの下部側圧電体層12Lと、後述する上部側積層体36Uの上部側圧電体層12Uとを別々に分極処理するのではなく、分極処理の前に、後述するように下部側圧電体層12Lに上部側圧電体層12Uを積層して、上部電極14および下部電極16を利用して、電界ポーリング処理を行ってもよい。
また、本発明の圧電フィルム10を製造する際には、分極処理は、圧電体層12(高分子複合圧電体)の面方向ではなく、厚さ方向に分極を行うのが好ましい。
なお、この分極処理の前に、下部側圧電体層12Lの表面を加熱ローラ等を用いて平滑化する、カレンダ処理を施してもよい。このカレンダ処理を施すことで、後述する熱圧着工程が円滑に行える。
一方で、上述したシート状物34と同様の、上部保護層18の表面に上部電極14が形成されたシート状物38を準備する(図2参照)。
このシート状物38に、下部側積層体36Lの下部側圧電体層12Lと同様にして、圧電体層12の上部電極14側の半分である上部側圧電体層12Uを形成して、上部側積層体36Uを作製する。さらに上部側積層体36Uの上部側圧電体層12Uに対して、厚さ方向に分極処理を行う。
なお、上部側圧電体層12Uの分極処理は、分極方向を下部側圧電体層12Lとは逆にする。例えば、電界ポーリングであれば、下部側圧電体層12Lの分極処理で下部電極16側に直流電源の負極を接続した場合には、上部側圧電体層12Uの分極処理では、上部電極14側に直流電源32の正極を接続して、処理を行う。
この上部側圧電体層12Uの形成の際に、上部側圧電体層12Uを形成するための塗料における、高分子マトリックス24(高分子マトリックス24となる高分子材料)に対する圧電体粒子26の量を、下部側圧電体層12Lを形成するための塗料とは異なる量とする。
一例として、上部側圧電体層12Uを形成するための塗料では、高分子マトリックス24に対する圧電体粒子26の量を、下部側圧電体層12Lを形成するための塗料よりも低くする。例えば、下部側圧電体層12Lを形成するための塗料は、高分子マトリックス24を100質量部、圧電体粒子26を100質量部とし、上部側圧電体層12Uを形成するための塗料では、高分子マトリックス24を100質量部、圧電体粒子26を30質量部とする。
逆に、上部側圧電体層12Uを形成するための塗料では、高分子マトリックス24に対する圧電体粒子26の量を、下部側圧電体層12Lを形成するための塗料よりも高くしてもよい。例えば、下部側圧電体層12Lを形成するための塗料は、高分子マトリックス24を200質量部、圧電体粒子26を100質量部とし、上部側圧電体層12Uを形成するための塗料では、高分子マトリックス24を200質量部、圧電体粒子26を200質量部としてもよい。
これにより、第1領域12aと第10領域12bとにおける圧電体粒子の含有率を互いに異なるものにして、第1領域12aにおける圧電体粒子26の面積率と、第10領域12bにおける圧電体粒子26の面積率とが異なる圧電体層12を形成できる。
また、上部側圧電体層12Uを形成する塗料における高分子マトリックス24に対する圧電体粒子26の量と、下部側圧電体層12Lを形成する塗料における高分子マトリックス24に対する圧電体粒子26の量とを、適宜、調節することで、圧電フィルム10の圧電体層12における圧電体粒子26の面積率の比を1.2以上にできる。
なお、圧電体粒子26の面積率は、第10領域12bおよび第1領域12aのいずれが高くても良いのは、前述のとおりである。
このようにして、下部側圧電体層12Lの分極処理を行った下部側積層体36L、および、上部側圧電体層12Uの分極処理を行った上部側積層体36Uを作製したら、図4に示すように、下部側圧電体層12Lと上部側圧電体層12Uとを対面して、下部側積層体36Lと上部側積層体36Uとを積層する。
次いで、この積層体を、下部保護層20および上部保護層18を挟持するようにして、加熱プレス装置および加熱ローラ等を用いて熱圧着して、下部側圧電体層12Lと上部側圧電体層12Uとを貼り合わせ、図1に示すような、本発明の圧電フィルム10を作製する。
以上の例は、シート状物34に圧電体層12の下部側圧電体層12Lを形成し、シート状物38に圧電体層12の上部側圧電体層12Uを形成して、積層している。すなわち、本例では、2枚のシート状物に、最終的に得られる圧電体層の約半分の厚さに対応する圧電体層を形成して、積層することで本発明の圧電フィルム10を作製している。
しかしながら、本発明の圧電フィルム10は、この方法で製造するのに制限はされず、2枚のシート状物に、様々な比率の厚さで圧電体層を形成して、積層することが可能である。例えば、下部電極16側のシート状物34に、圧電体層12の約9/10を形成し、上部電極14側のシート状物38に、圧電体層12の1/10を形成して、両者を積層、熱圧着することで、圧電フィルム10を作製してもよい。あるいは、3層以上を積層することにより、圧電体層12を形成してもよい。
この製造方法でも、各層を形成する塗料における高分子マトリックス24に対する圧電体粒子26の量を、適宜、設定することで、厚さ方向に10等分して、最も離間する第1領域12aと第10領域12bとの圧電体粒子26の面積率の比が1.2以上である本発明の圧電フィルム10を、好適に製造できる。
また、本発明の圧電フィルム10は、このように、圧電体粒子26の含有量が異なる2つの圧電体層を積層することで作製するのに制限はされない。
すなわち、下部電極16および下部保護層20を有するシート状物34に、上述の例と同様にして、高分子マトリックス24となる高分子材料および圧電体粒子26を含有する塗料を用いて圧電体層12を形成し、分極処理を行う。その後、図5に概念的に示すように、上部電極14および上部保護層18を有するシート状物38を積層して、熱圧着することで、本発明の圧電フィルム10を製造してもよい。
ここで、この製造方法では、通常の方法で圧電体層12を形成すると、圧電体層12における第1領域12aと第10領域12bとの圧電体粒子26の面積率の比が1.2以上である本発明の圧電フィルム10を製造できない。
しかしながら、以下に示す方法で、圧電体層12における厚さ方向の圧電体粒子26の存在比率を調節することで、圧電体粒子26の面積率の比を1.2以上にできる。
一例として、下部電極16(上部電極14)に圧電体層12を形成する塗料を塗布した後、塗料の乾燥時間を、通常よりも長くする方法が例示される。
上述したように、圧電体層12は、上述した高分子マトリックス24となる高分子材料を有機溶媒に溶解し、さらに、PZT粒子等の圧電体粒子26を添加し、攪拌して調製した塗料を用いて形成する。
このような塗料を用いて圧電体層12を形成する場合には、通常、有機溶剤の蒸発を促進し、かつ、圧電体粒子の均一な分散状態を保つために、塗料を塗布した後、塗料を加熱することで、塗料を乾燥して硬化する。
これに対して、例えば、塗料の乾燥および硬化を常温、好ましくは常温以下で行う、塗料を5℃以下の低温の状態で塗布する、等の方法で、圧電体層12を形成する塗料の乾燥時間を、通常よりも長くする。
圧電体粒子26の比重は、高分子マトリックス24となる高分子材料よりも高い。従って、塗料の乾燥を長時間かけて行うことにより、圧電体層12となる塗料の中で、圧電体粒子26を十分に沈降させる時間を確保して、圧電体層12における圧電体粒子26の面積率の比を1.2以上にできる。
なお、この際における乾燥時間の長さは、圧電体粒子26の粒径、塗料中における高分子マトリックス24と圧電体粒子26との量比、圧電体層12の膜厚、および、有機溶剤の沸点等に応じて、圧電体層12となる塗料の中で、圧電体粒子26を十分に沈降させることができる時間を、適宜、設定すればよい。
別の方法として、圧電体層12を形成するための塗料において、有機溶媒の量を通常よりも多くして、塗料の粘度を低粘度にする方法が例示される。
塗料の粘度が低粘度であれば、下部電極16(上部電極14)に塗布した塗料中において、圧電体粒子26が沈降し易くなる。従って、圧電体層12を形成するための塗料において、有機溶媒の量を通常よりも多くして、塗料の粘度を低粘度にすることで、圧電体層12における圧電体粒子26の面積率の比を1.2以上にできる。
なお、この際における塗料の粘度は、圧電体粒子26の粒径、塗料中における高分子マトリックス24となる高分子材料と圧電体粒子26との量比、圧電体層12の膜厚、および、有機溶剤の沸点等に応じて、圧電体層12となる塗料の中で、圧電体粒子26を十分に沈降させることができる粘度を、適宜、設定すればよい。
このようにして作製される本発明の圧電フィルム10は、面方向ではなく厚さ方向に分極されており、かつ、分極処理後に延伸処理をしなくても大きな圧電特性が得られる。そのため、本発明の圧電フィルム10は、圧電特性に面内異方性がなく、駆動電圧を印加すると、面方向では全方向に等方的に伸縮する。
このような本発明の圧電フィルム10の製造は、カットシート状のシート状物34等を用いて行っても良いが、好ましくは、ロール・トゥ・ロール(Roll to Roll)を利用する。以下の説明では、ロール・トゥ・ロールを『RtoR』ともいう。
周知のように、RtoRとは、長尺な原材料を巻回してなるロールから、原材料を引き出して、長手方向に搬送しつつ、成膜や表面処理等の各種の処理を行い、処理済の原材料を、再度、ロール状に巻回する製造方法である。
RtoRによって、上述した製造方法で圧電フィルム10を製造する際には、下部電極16等を有する長尺なシート状物34を巻回してなる第1のロール、および、上部電極14等を有する長尺なシート状物38を巻回してなる第2のロールを用いる。
第1のロールおよび第2のロールは、全く、同じものでよい。
この第1のロールからシート状物34を引き出して、長手方向に搬送しつつ、シート状物34の下部電極16上に、高分子材料および圧電体粒子26を含有する塗料を塗布し、加熱等によって乾燥して、下部電極16上に圧電体層12の下部側圧電体層12Lを形成して、シート状物34と下部側圧電体層12Lとを積層した下部側積層体36Lを作製する。
次いで、下部側圧電体層12Lの分極処理を行う。ここで、RtoRによって圧電フィルム10を製造する際には、下部側積層体36Lを搬送しつつ、下部側積層体36Lの搬送方向と直交する方向に延在して配置した棒状の電極によって、下部側圧電体層12Lの分極処理を行う。
一方で、長尺なシート状物38を巻回してなる第2のロールから、シート状物38を引き出し、シート状物38を搬送しつつ、下部側圧電体層12Lと同様に、圧電体層12の上部側圧電体層12Uを形成して上部側積層体36Uを作製し、さらに、上部側積層体36Uの上部側圧電体層12Uに分極処理を行う。
この際においては、第1領域12aにおける圧電体粒子26の面積率を第10領域12bとは異なる面積率とするために、上部側圧電体層12Uを形成する塗料は、下部側圧電体層12Lを形成する塗料に対して、高分子マトリックス24となる高分子材料と、圧電体粒子26との量比を変更するのは、上述のとおりである。また、分極処理における分極方向を、下部側圧電体層12Lとは逆方向にするのも、上述のとおりである。
その後、分極処理を行った下部側積層体36Lおよび上部側積層体36Uを、下部側圧電体層12Lと上部側圧電体層12Uとを対面した状態で長手方向に搬送しつつ、両者を積層する。さらに、加熱ローラ対によって、下部側積層体36Lと上部側積層体36Uとの積層体を挟持搬送することで熱圧着して、本発明の圧電フィルム10を完成し、この圧電フィルム10を、ロール状に巻回する。
なお、以上の例は、RtoRによって、シート状物(積層体)を、1回だけ、長手方向に搬送して、本発明の圧電フィルム10を作製しているが、これに制限はされない。すなわち、何れか1以上の工程が終了したら、長尺なシート状物をロール状に巻回し、その次の工程は、ロールからシート状物を引き出して、行ってもよい。
例えば、第10領域12bの分極処理を行った下部側積層体36Lを、一度、ロール状に巻回する。他方、第1領域12aの分極処理を行った上部側積層体36Uも、一度、ロール状に巻回する。その後、一方のロールから下部側積層体36Lを引き出し、また、他方のロールから上部側積層体36Uを引き出し、同様に下部側圧電体層12Lと上部側圧電体層12Uとを対面して両者を長手方向に搬送しつつ、積層して、熱圧着することで、本発明の圧電フィルム10を完成して、ロール状に巻回してもよい。
図6に、本発明の圧電フィルム10を利用する、平板型の圧電スピーカーの一例の概念図を示す。
この圧電スピーカー40は、本発明の圧電フィルム10を、電気信号を振動エネルギーに変換する振動板として用いる、平板型の圧電スピーカーである。なお、圧電スピーカー40は、マイクロフォンおよびセンサー等として使用することも可能である。
圧電スピーカー40は、圧電フィルム10と、ケース42と、粘弾性支持体46と、枠体48とを有して構成される。
ケース42は、プラスチック等で形成される、一面が開放する薄い筐体である。筐体の形状としては、直方体状、立方体状、および、円筒状とが例示される。
また、枠体48は、中央にケース42の開放面と同形状の貫通孔を有する、ケース42の開放面側に係合する枠材である。
粘弾性支持体46は、適度な粘性と弾性を有し、圧電フィルム10を支持すると共に、圧電フィルムのどの場所でも一定の機械的バイアスを与えることによって、圧電フィルム10の伸縮運動を無駄なく前後運動に変換させるためのものである。一例として、羊毛のフェルトおよびPET等を含んだ羊毛のフェルトなどの不織布、ならびに、グラスウール等が例示される。なお、圧電フィルム10の前後運動とは、上述のように、圧電フィルム10のフィルムの面と直交する方向(垂直な方向)の運動である。
圧電スピーカー40は、ケース42の中に粘弾性支持体46を収容して、圧電フィルム10によってケース42および粘弾性支持体46を覆い、圧電フィルム10の周辺を枠体48によってケース42の上端面に押圧した状態で、枠体48をケース42に固定して、構成される。
ここで、圧電スピーカー40においては、粘弾性支持体46は、高さ(厚さ)がケース42の内面の高さよりも厚い。
そのため、圧電スピーカー40では、粘弾性支持体46の周辺部では、粘弾性支持体46が圧電フィルム10によって下方に押圧されて厚さが薄くなった状態で、保持される。また、同じく粘弾性支持体46の周辺部において、圧電フィルム10の曲率が急激に変動し、圧電フィルム10に、粘弾性支持体46の周辺に向かって低くなる立上がり部が形成される。さらに、圧電フィルム10の中央領域は四角柱状の粘弾性支持体46に押圧されて、(略)平面状になっている。
圧電スピーカー40は、下部電極16および上部電極14への駆動電圧の印加によって、圧電フィルム10が面方向に伸長すると、この伸長分を吸収するために、粘弾性支持体46の作用によって、圧電フィルム10の立上がり部が、立ち上がる方向に角度を変える。その結果、平面状の部分を有する圧電フィルム10は、上方に移動する。
逆に、下部電極16および上部電極14への駆動電圧の印加によって、圧電フィルム10が面方向に収縮すると、この収縮分を吸収するために、圧電フィルム10の立上がり部が、倒れる方向(平面に近くなる方向)に角度を変える。その結果、平面状の部分を有する圧電フィルム10は、下方に移動する。
圧電スピーカー40は、この圧電フィルム10の振動によって、音を発生する。
なお、本発明の圧電フィルム10において、伸縮運動から振動への変換は、圧電フィルム10を湾曲させた状態で保持することでも達成できる。
従って、本発明の圧電フィルム10は、図6に示すような剛性を有する平板状の圧電スピーカー40ではなく、単に湾曲状態で保持することでも、可撓性を有する圧電スピーカーとして機能させることができる。
このような本発明の圧電フィルム10を利用する圧電スピーカーは、良好な可撓性を生かして、例えば丸めて、または、折り畳んで、カバン等に収容することが可能である。そのため、本発明の圧電フィルム10によれば、ある程度の大きさであっても、容易に持ち運び可能な圧電スピーカーを実現できる。
また、上述のように、本発明の圧電フィルム10は、柔軟性および可撓性に優れ、しかも、面内に圧電特性の異方性が無い。そのため、本発明の圧電フィルム10は、どの方向に屈曲させても音質の変化が少なく、しかも、曲率の変化に対する音質変化も少ない。従って、本発明の圧電フィルム10を利用する圧電スピーカーは、設置場所の自由度が高く、また、上述したように、様々な物品に取り付けることが可能である。例えば、本発明の圧電フィルム10を、湾曲状態で洋服など衣料品およびカバンなどの携帯品等に装着することで、いわゆるウエアラブルなスピーカーを実現できる。
さらに、上述したように、本発明の圧電フィルムを可撓性を有する有機EL表示デバイスおよび可撓性を有する液晶表示デバイス等の可撓性を有する表示デバイスに貼着することで、表示デバイスのスピーカーとして用いることも可能である。
上述したように、本発明の圧電フィルム10は、電圧の印加によって面方向に伸縮し、この面方向の伸縮によって厚さ方向に好適に振動するので、例えば圧電スピーカー等に利用した際に、音圧の高い音を出力できる、良好な音響特性を発現する。
このような良好な音響特性すなわち圧電による高い伸縮性能を発現する本発明の圧電フィルム10は、複数枚を積層することにより、振動板等の被振動体を振動させる圧電振動子としても、良好に作用する。本発明の圧電フィルム10は、耐久性が高いので、積層して圧電振動子とした際にも、高い耐久性を発現する。
なお、圧電フィルム10を積層する際には、短絡(ショート)の可能性が無ければ、圧電フィルムは上部保護層18および/または下部保護層20を有さなくてもよい。または、上部保護層18および/または下部保護層20を有さない圧電フィルムを、絶縁層を介して積層してもよい。
一例として、圧電フィルム10の積層体を振動板に貼着して、圧電フィルム10の積層体によって振動板を振動させて音を出力するスピーカーとしてもよい。すなわち、この場合には、圧電フィルム10の積層体を、振動板を振動させることで音を出力する、いわゆるエキサイターとして作用させる。
積層した圧電フィルム10に駆動電圧を印加することで、個々の圧電フィルム10が面方向に伸縮し、各圧電フィルム10の伸縮によって、圧電フィルム10の積層体全体が面方向に伸縮する。圧電フィルム10の積層体の面方向の伸縮によって、積層体が貼着された振動板が撓み、その結果、振動板が、厚さ方向に振動する。この厚さ方向の振動によって、振動板は、音を発生する。振動板は、圧電フィルム10に印加した駆動電圧の大きさに応じて振動して、圧電フィルム10に印加した駆動電圧に応じた音を発生する。
従って、この際には、圧電フィルム10自身は、音を出力しない。
1枚毎の圧電フィルム10の剛性が低く、伸縮力は小さくても、圧電フィルム10を積層することにより、剛性が高くなり、積層体全体としては伸縮力は大きくなる。その結果、圧電フィルム10の積層体は、振動板がある程度の剛性を有するものであっても、大きな力で振動板を十分に撓ませて、厚さ方向に振動板を十分に振動させて、振動板に音を発生させることができる。
圧電フィルム10の積層体において、圧電フィルム10の積層枚数には、制限はなく、例えば振動させる振動板の剛性等に応じて、十分な振動量が得られる枚数を、適宜、設定すればよい。
なお、十分な伸縮力を有するものであれば、1枚の本発明の圧電フィルム10を、同様のエキサイター(圧電振動子)として用いることも可能である。
本発明の圧電フィルム10の積層体で振動させる振動板にも、制限はなく、各種のシート状物(板状物、フィルム)が利用可能である。
一例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる樹脂フィルム、発泡ポリスチレン等からなる発泡プラスチック、段ボール材等の紙材、ガラス板、および、木材等が例示される。さらに、十分に撓ませることができるものであれば、振動板として、表示デバイス等の機器を用いてもよい。
圧電フィルム10の積層体は、隣接する圧電フィルム同士を、貼着層(貼着剤)で貼着するのが好ましい。また、圧電フィルム10の積層体と振動板も、貼着層で貼着するのが好ましい。
貼着層には制限はなく、貼着対象となる物同士を貼着できるものが、各種、利用可能である。従って、貼着層は、粘着剤からなるものでも接着剤からなるものでもよい。好ましくは、貼着後に固体で硬い貼着層が得られる、接着剤からなる接着剤層を用いる。
以上の点に関しては、後述する長尺な圧電フィルム10を折り返してなる積層体でも、同様である。
圧電フィルム10の積層体において、積層する各圧電フィルム10の分極方向には、制限はない。なお、上述のように、本発明の圧電フィルム10の分極方向とは、厚さ方向の分極方向である。
従って、圧電フィルム10の積層体において、分極方向は、全ての圧電フィルム10で同方向であってもよく、分極方向が異なる圧電フィルムが存在してもよい。
ここで、圧電フィルム10の積層体においては、隣接する圧電フィルム10同士で、分極方向が互いに逆になるように、圧電フィルム10を積層するのが好ましい。
圧電フィルム10において、圧電体層12に印加する電圧の極性は、分極方向に応じたものとなる。従って、分極方向が上部電極14から下部電極16に向かう場合でも、下部電極16から上部電極14に向かう場合でも、積層される全ての圧電フィルム10において、上部電極14の極性および下部電極16の極性を、同極性にする。
従って、隣接する圧電フィルム10同士で、分極方向を互いに逆にすることで、隣接する圧電フィルム10の薄膜電極同士が接触しても、接触する薄膜電極は同極性であるので、ショート(短絡)する恐れがない。
圧電フィルム10の積層体は、長尺な圧電フィルム10を、1回以上、好ましくは複数回、折り返すことで、複数の圧電フィルム10を積層する構成としてもよい。
長尺な圧電フィルム10を折り返して積層した構成は、以下のような利点を有する。
すなわち、カットシート状の圧電フィルム10を、複数枚、積層した積層体では、1枚の圧電フィルム毎に、上部電極14および下部電極16を、駆動電源に接続する必要がある。これに対して、長尺な圧電フィルム10を折り返して積層した構成では、一枚の長尺な圧電フィルム10のみで積層体を構成できる。また、長尺な圧電フィルム10を折り返して積層した構成では、駆動電圧を印加するための電源が1個で済み、さらに、圧電フィルム10からの電極の引き出しも、1か所でよい。
さらに、長尺な圧電フィルム10を折り返して積層した構成では、必然的に、隣接する圧電フィルム10同士で、分極方向が互いに逆になる。
以上、本発明の圧電フィルムについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に制限はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明についてより詳細に説明する。なお、本発明はこの実施例に制限されるものでなく、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。
[実施例1]
図2~図4に示す方法で、圧電フィルムを作製した。
まず、下記の組成比で、シアノエチル化PVA(CR-V 信越化学工業社製)をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。その後、この溶液に、圧電体粒子としてPZT粒子を下記の組成比で添加して、プロペラミキサー(回転数2000rpm)で攪拌して、圧電体層を形成するための塗料(塗料Aおよび塗料B)を調製した。
塗料A
・PZT粒子・・・・・・・・・・・300質量部
・シアノエチル化PVA・・・・・・・30質量部
・DMF・・・・・・・・・・・・・・70質量部
塗料B
・PZT粒子・・・・・・・・・・・・10質量部
・シアノエチル化PVA・・・・・・・30質量部
・DMF・・・・・・・・・・・・・・70質量部
なお、PZT粒子は、主成分となるPb酸化物、Zr酸化物およびTi酸化物の粉末を、Pb=1モルに対し、Zr=0.52モル、Ti=0.48モルとなるように、ボールミルで湿式混合してなる混合粉を、800℃で5時間、焼成した後、解砕処理したものを用いた。
一方、厚さ4μmのPETフィルムに、厚さ0.1μmの銅薄膜を真空蒸着してなるシート状物を用意した。すなわち、本例においては、上部電極および下部電極は、厚さ0.1mの銅蒸着薄膜であり、上部保護層および下部保護層は、厚さ4μmのPETフィルムとなる。
下部電極および下部保護層を有するシート状物の下部電極(銅蒸着薄膜)の上に、スライドコーターを用いて、先に調製した圧電体層を形成するための塗料Aを塗布した。
次いで、シート状物に塗料を塗布した物を、120℃のホットプレート上で加熱乾燥することでDMFを蒸発させて、塗料の乾燥および硬化を行った。これにより、PET製の下部保護層の上に銅製の下部薄膜電極を有し、その上に、圧電体層の下部側圧電体層を形成してなる下部側積層体を作製した。
次いで、下部側圧電体層を、厚さ方向に分極処理した。
これにより、下部保護層、下部電極および下部側圧電体層を積層した、下部側圧電体層の分極処理を施した下部側積層体を形成した。
一方、塗料Bを用いた以外は、同様にして、上部電極および上部保護層を有するシート状物の上部電極(銅蒸着薄膜)の上に、圧電体層の上部側圧電体層を形成し、分極処理を行った。これにより、上部保護層、上部電極および圧電体層の上部側圧電体層を積層した、上部側圧電体層の分極処理を施した上部側積層体を形成した。
圧電体層の分極処理を行った下部側積層体と上部側積層体とを、下部側圧電体層および上部側圧電体層とを対面して積層した。
この下部側圧電体層および上部側圧電体層との積層体を、ラミネータ装置を用いて、温度120℃、押圧力0.01MPaで熱圧着することで、第10領域および第1領域とを貼着して接着して、図1に示すような圧電フィルムを作製した。
作製した圧電フィルムの圧電体層の厚さは、96μmであった。
作製した圧電フィルムからサンプルを切り出し、以下の方法で圧電フィルムの第1領域および第10領域における圧電体粒子の面積率を測定した。
まず、圧電フィルムの断面観察のため、圧電フィルムを厚さ方向に切削した。切削はライカバイオシステム社製のRM2265に、Drukker社製のhistoナイフ刃幅8mmを取り付け、スピードをコントローラー目盛り1、噛み合い量を0.25~1μmとして切削して断面を出した。
その断面をSEM(日立ハイテクノロジーズ社製、SU8220)により観察した。
サンプルはプラチナ蒸着で導電処理し、ワークディスタンスは8mmとした。
観察条件はSE(secondary-electron)像(Upper)、加速電圧:1.0kVとし、フォーカス調節と非点収差調節により最もシャープな画像を出し、圧電フィルムが画面全体になる状態で自動明るさ調節(オート設定 ブライトネス:0、コントラスト:0)を実行した。
撮影倍率は上部電極および下部電極が1画面に収まり、かつ、両電極間の幅が、画面の半分以上となるようにとした。また、その際、2枚の電極が画像下部と水平になるようにして撮影を行った。
画像の2値化は画像解析ソフトImageJを使用し、Threshold(閾値)の下限は保護層が着色しない最大の値とし、Thresholdの上限は設定値最大の255とした。
上部電極と下部電極との間において着色した箇所を厚さ方向に10等分した。
10等分した領域の最も上部電極側の領域において、PZT粒子の面積の合計を分子とし、圧電フィルムの面積を分母として、圧電フィルムの面積に占めるPZT粒子の面積率を計算した。これにより、上部電極に隣接する第1領域におけるPZT粒子(圧電体粒子)の面積率を算出した。なお、圧電フィルムの面積は、縦方向(厚さ方向)の幅を電極間の1/10、横方向の幅をSEM画像の両端として、算出した。
また、10等分した領域の最も下部電極側の領域において、PZT粒子の面積の合計を分子とし、圧電フィルムの面積を分母として、圧電フィルムの面積に占めるPZT粒子の面積率を計算した。これにより、下部電極に隣接する第10領域におけるPZT粒子(圧電体粒子)の面積率を算出した。なお、圧電フィルムの面積は、同様に、縦方向(厚さ方向)の幅を電極間の1/10、横方向の幅をSEM画像の両端として、算出した。
このような第1領域および第10領域におけるPZT粒子の面積率の算出を、作製した圧電フィルムの任意の10断面で行った。10断面における第1領域のPZT粒子の面積率および第10領域のPZT粒子の面積率の平均値を算出した。この平均値を、作製した圧電フィルムの圧電体層の第1領域におけるPZT粒子の面積率、および、第10領域におけるPZT粒子の面積率とした。
その結果、第1領域におけるPZT粒子の面積率は2.8%、第10領域におけるPZT粒子の面積率は75.9%であった。
本例では、PZT粒子の面積率は第1領域(上部電極側)の方が低い。
従って、PZT粒子の面積率が高い第10領域におけるPZT粒子の面積率を、PZT粒子の面積率が低い第1領域におけるPZT粒子の面積率で割ることで、PZT粒子の面積率の比を算出した。その結果、PZT粒子の面積率の比は27.5であった。すなわち、面積率が低い第1領域におけるPZT粒子の面積を1とすると、面積率が高い第10領域におけるPZT粒子の面積は27.5である。
また、PZT粒子の平均面積率は39.3%であった。
[実施例2~実施例8、実施例10~実施例15、実施例17~実施例19および、比較例1~比較例5]
上部側積層体および下部側積層体の形成において、圧電体層を形成する塗料の塗布厚、ならびに、塗料Aおよび塗料BにおけるPZT粒子とシアノエチル化PVAとの量比を、種々、変更した以外は、実施例1と同様に、上部側積層体および下部側積層体を形成して、圧電フィルムを作製した。
作製した圧電フィルムについて、実施例1と同様にして、第1領域におけるPZT粒子の面積率および第10領域におけるPZT粒子の面積率を測定して、PZT粒子の面積率の比および平均面積率を算出した。
[実施例9]
塗料AにおけるPZT粒子とシアノエチル化PVAの量比、および、圧電体層を形成する塗料Aの塗布厚を変更した以外は、実施例1における下部側積層体の形成と同様にして、下部保護層、下部電極、および、カレンダ処理と分極処理とを施した圧電体層を有する積層体を作製した。この塗料AにおけるPZT粒子とシアノエチル化PVAの量比は、PZT粒子:シアノエチル化PVA=185:30(質量部)とした。
ただし、塗料Aの乾燥は、120℃のホットプレートを用いず、常温で放置することで行った。すなわち、本例は、圧電体層を形成する塗料の乾燥時間を、通常よりも大幅に長時間にしている。
作製した積層体に、実施例1と同じ上部電極および上部保護層を有するシート状物を、上部電極と圧電体層とを対面して積層した(図5参照)。
作製した圧電フィルムについて、実施例1と同様にして、第1領域におけるPZT粒子の面積率および第10領域におけるPZT粒子の面積率を測定して、PZT粒子の面積率の比および平均面積率を算出した。
[実施例16]
塗料AにおけるDMFの量を210質量部に変更し、さらに、圧電体層を形成する塗料Aの塗布厚を変更した以外は、実施例1における下部側積層体の形成と同様にして、下部保護層、下部電極、および、カレンダ処理と分極処理とを施した圧電体層を有する積層体を作製した。
作製した積層体に、実施例1と同じ上部電極および上部保護層を有するシート状物を、上部電極と圧電体層とを対面して積層した(図5参照)。
作製した圧電フィルムについて、実施例1と同様にして、第1領域におけるPZT粒子の面積率および第10領域におけるPZT粒子の面積率を測定して、PZT粒子の面積率の比および平均面積率を算出した。
[実施例20]
塗料Aおよび塗料Bの塗布厚を9:1(塗料Aが9)とした以外は、実施例1と同様に圧電フィルムを作製した。
作製した圧電フィルムについて、実施例1と同様にして、第1領域におけるPZT粒子の面積率および第10領域におけるPZT粒子の面積率を測定して、PZT粒子の面積率の比および平均面積率を算出した。
[圧電スピーカーの作製、および、音圧の測定]
作製した圧電フィルムを用いて、図6に示す圧電スピーカーを作製した。
まず、作製した圧電フィルムから、210×300mm(A4サイズ)の矩形試験片を切り出した。切り出した圧電フィルムを、図6に示すように、予め粘弾性支持体としてグラスウールを収納した210×300mmのケース上に載せた後、周辺部を枠体で押さえて、圧電フィルムに適度な張力と曲率を与えることで、図6に示すような圧電スピーカーを作製した。
なお、ケースの深さは9mmとし、グラスウールの密度は32kg/m3で、組立前の厚さは25mmとした。また、いずれの圧電スピーカも、圧電フィルムの下部電極側を粘弾性支持体側として作製した。
作製した圧電スピーカーに、入力信号として1kHzのサイン波をパワーアンプを通して入力し、図7に示すように、スピーカーの中心から50cm離れた距離に置かれたマイクロフォン50で音圧を測定した。
音圧の測定は、圧電スピーカーから出力を開始してから30秒後(初期)、および、圧電スピーカーから出力を開始してから36時間後(耐久試験後)の2回、行った。初期音圧(初期)、耐久試験後の音圧(耐久試験後)、および、初期音圧と耐久試験後の音圧との差(劣化)を、表1に示す。
上記の表に示されるように、圧電体層を厚さ方向に10等分して、上部電極に隣接する第1領域と、下部電極に隣接する第10領域について、PZT粒子(圧電体粒子)の面積率が高い領域の面積率を、面積率が低い領域の面積率で割った面積率の比が1.2以上の本発明の圧電フィルムは、初期音圧に対する耐久試験後の音圧の低下が少なく、耐久性に優れている。
また、実施例5と実施例6とに示されるように、本発明の圧電フィルムは、第1領域および第10領域のいずれのPZT粒子の面積率が低い場合でも、同等の効果が得られる。さらに、表1に示されるように、本発明の圧電フィルムは、PZT粒子の面積率の比がと同等の圧電フィルムであれば、圧電体層の厚さによらず、ほぼ同等の効果が得られる。加えて、PZT粒子の平均面積率を23%以上とすることにより、60dBを超える好適な初期音圧をことができる。
これに対して、PZT粒子の面積率の比が1.2未満の比較例は、初期音圧に対する耐久試験後の音圧の低下が大きい。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
10 圧電フィルム
12 圧電体層
12a 第1領域
12b 第10領域
12U 上部側圧電体層
12L 下部側圧電体層
14 上部(薄膜)電極
16 下部(薄膜)電極
18 上部保護層
20 下部保護層
24 高分子マトリックス
26 圧電体粒子
34,38 シート状物
36U 上部側積層体
36L 下部側積層体
40 圧電スピーカー
42 ケース
46 粘弾性支持体
48 枠体
50 マイクロフォン

Claims (10)

  1. 高分子材料を含むマトリックス中に圧電体粒子を含む高分子複合圧電体と、前記高分子複合圧電体の両面に設けられた電極層とを有し、
    厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、前記高分子複合圧電体の前記厚さ方向の断面を厚さ方向に10等分して、最も離間する2つの領域において、前記厚さ方向の断面における前記圧電体粒子の面積率を測定し、面積率が低い前記領域の前記圧電体粒子の面積率を1とした際に、面積率が高い前記領域の前記圧電体粒子の面積率が1.2以上であることを特徴とする圧電フィルム。


  2. 前記最も離間する2つの領域における、前記圧電体粒子の面積率の平均が23%以上である、請求項1に記載の圧電フィルム。
  3. 前記最も離間する2つの領域における、前記面積率が低い前記領域の前記圧電体粒子の面積率を1とした際に、前記面積率が高い前記領域の前記圧電体粒子の面積率が70以下である、請求項1または2に記載の圧電フィルム。
  4. 厚さ方向に分極されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の圧電フィルム。
  5. 圧電特性に面内異方性を有さない、請求項1~4のいずれか1項に記載の圧電フィルム。
  6. 前記電極層と外部の電源とを接続するための引き出し線を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の圧電フィルム。
  7. 少なくとも一方の電極層の表面に積層される保護層を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の圧電フィルム。
  8. 前記高分子材料がシアノエチル基を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の圧電フィルム。
  9. 前記高分子材料がシアノエチル化ポリビニルアルコールである、請求項8に記載の圧電フィルム。
  10. 前記圧電体粒子が、ペロブスカイト型またはウルツ鉱型の結晶構造を有するセラミックス粒子からなるものである、請求項1~9のいずれか1項に記載の圧電フィルム。

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