JP6018108B2 - 高分子複合圧電体 - Google Patents

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Description

本発明は、スピーカやマイクロフォン等に利用される電気音響変換フィルムなどに用いられる高分子複合圧電体に関する。
有機ELディスプレイなど、プラスチック等の可撓性基板を用いたフレキシブルディスプレイの開発が進められている。
このようなフレキシブルディスプレイを、テレビジョン受像機等のように画像と共に音声を再生する画像表示装置兼音声発生装置として使用する場合、音声を発生するための音響装置であるスピーカが必要である。
ここで、従来のスピーカ形状としては、漏斗状のいわゆるコーン型や、球面状のドーム型等が一般的である。しかしながら、これらのスピーカを上述のフレキシブルディスプレイに内蔵しようとすると、フレキシブルディスプレイの長所である軽量性や可撓性を損なう虞れがある。また、スピーカを外付けにした場合、持ち運び等が面倒であり、曲面状の壁に設置することが難しくなり美観を損ねる虞れもある。
このような中、軽量性や可撓性を損なうことなくフレキシブルディスプレイに一体化可能なスピーカとして、シート状で可撓性を有する圧電フィルムを採用することが、例えば、特許文献1に開示されている。
圧電フィルムとは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF:Poly VinyliDene Fluoride)の一軸延伸フィルムを高電圧で分極処理したもので、印加電圧に応答して伸縮する性質を有している。
ここで、圧電フィルムからなるスピーカを一体化した、平面視形状が長方形のフレキシブルディスプレイを、携帯用として新聞や雑誌のように書類感覚で緩く撓めた状態で把持し、画面表示を縦横切り替えて使用する場合、画像表示面は縦方向のみならず横方向にも湾曲できることが好ましい。
ところが、一軸延伸されたPVDFからなる圧電フィルムは、その圧電特性に面内異方性があるため、同じ曲率でも曲げる方向によって音質が大きく異なってしまう。
これに対して、圧電特性に面内異方性がない、シート状で可撓性を有する圧電材料としては、高分子マトリックス中に圧電体粒子を分散させた高分子複合圧電体が挙げられる。
例えば、非特許文献1には、圧電体であるPZTセラミックスの粉末を溶媒流延または熱間混練によりPVDFと混合させた高分子複合圧電体によって、PVDFのしなやかさとPZTセラミックスの高い圧電特性とを両立した高分子複合圧電体が開示されている。
ここで、このような高分子複合圧電体では、圧電特性、すなわち振動エネルギーの伝達効率を高めるためには、マトリックスに対する圧電体粒子の割合を増やすのが好ましい。
非特許文献1によると、圧電体粒子の充填密度が50vol%以上有れば、良好な圧電特性が得られる。その反面、充填密度を上げ過ぎると、硬く、かつ、脆くなることが指摘されている。
この問題を解決する方法として、特許文献2には、室温で粘弾性を有する高分子材料をマトリックスに用いることで、高分子複合圧電体に弾性率の周波数分散を発現せしめ、20Hz以下での優れた可撓性と、オーディオ帯域(20Hz以上20kHz以下)での優れた振動エネルギーの伝達効率を両立させることが開示されている。
このような高分子複合圧電体を用い、高分子複合圧電体を電極で挟持することにより、フレキシブルディスプレイ用のスピーカ等に好適な、良好な可撓性と圧電特性を有する電気音響変換フィルムを作製することができる。
特開2008−294493号公報 国際公開第2013/047875号
北山豊樹、昭和46年電子情報通信学会総合全国大会講演論文集、366(1971)
近年、電子機器に対する省電力化の要求は、ますます、厳しくなっており、より高い圧電特性を有する高分子複合圧電体の出現が望まれている。
しかしながら、特許文献2に記載された電気音響変換フィルムにおける圧電体粒子の充填密度は60vol%と、既に最密充填に近い領域に達しており、これ以上の大幅な圧電特性の向上は難しい。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、高分子マトリックスに圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体であって、圧電体粒子の充填密度および振動エネルギーの伝達効率を向上した、より高い圧電特性を発現する高分子複合圧電体を提供することにある。
このような問題を解決するために、本発明の高分子複合圧電体は、高分子材料からなるマトリックス中に、圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体において、
圧電体粒子が、粒径が高分子圧電体の膜厚の0.25倍以上1倍以下の粒子を5vol%以上30vol%以下含むことを特徴とする高分子複合圧電体を提供する。
このような本発明の高分子複合圧電体において、圧電体粒子の粒度分布が、メジアン径(D50)以上かつ高分子圧電体の膜厚以下の粒径において極大値を有するのが好ましい。
また、圧電体粒子は、粒径が1μm以下の粒子の量が10vol%以下であるのが好ましい。
また、圧電体粒子のメジアン径(D50)が、(1+高分子複合圧電体の膜厚×0.05)以上(1+高分子複合圧電体の膜厚×0.3)以下であるのが好ましい。
また、圧電体粒子がチタン酸ジルコン酸鉛粒子であるのが好ましい。
さらに、マトリックスが、常温で粘弾性を有する高分子材料からなるものであるのが好ましい。
本発明の高分子複合圧電体は、高分子マトリックスに圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体において、圧電体粒子の充填密度および圧電体粒子の振動エネルギーの伝達効率を向上できる。
そのため、本発明の高分子複合圧電体によれば、従来の高分子複合圧電体に比して、高い圧電特性が得られる。
本発明の高分子複合圧電体の一例を概念的に示す図である。 本発明の高分子複合圧電体の粒度分布の一例を示すグラフである。 (A)および(B)は、本発明の高分子複合圧電体を利用する電気音響変換フィルムの一例を概念的に示す図である。
以下、本発明の高分子複合圧電体について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の高分子複合圧電体の一例を概念的に示す。
図1に示すように、本発明の高分子複合圧電体10(以下、複合圧電体10とも言う)は、高分子材料からなるマトリックス12中に、圧電体粒子14を分散してなる構成を有する。
なお、本発明の複合圧電体10において、マトリックス12中の圧電体粒子14は、好ましくは均一に分散されていれば、マトリックス12中に規則的に分散されていても、不規則に分散されていてもよい。
本発明の複合圧電体10において、圧電体粒子14は、圧電特性を示す公知の圧電材料からなる粒子が、各種、利用可能である。
圧電体粒子14は、好ましくは、ペロブスカイト型あるいはウルツ鉱型の結晶構造を有するセラミックス粒子である。圧電体粒子14を構成するセラミックス粒子としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛(PLZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、および、チタン酸バリウムとビスマスフェライト(BiFe3)との固溶体(BFBT)等からなる粒子が好適に例示される。
中でも、高い圧電特性を有する複合圧電体10が得られる等の点で、PZTからなる粒子は、より好適に利用される。
ここで、本発明の複合圧電体10においては、圧電体粒子14は、複合圧電体10の厚さT(以下、単に『厚さT』とする)の0.25倍以上1倍以下の粒径の粒子を5vol%以上30vol%以下含む。言い換えれば、本発明の複合圧電体10は、圧電体粒子14における、粒径が『厚さT×0.25以上厚さT以下』である粒子の割合(含有量)が、5vol%以上30vol%以下である。
本発明の複合圧電体10は、このような粒度分布の圧電体粒子14を用いることにより、従来の高分子複合圧電体に比して、高い圧電特性を有する。
なお、圧電体粒子14の粒子径は、例えばレーザー散乱粒度測定装置で測定すればよい。
圧電体粒子14をマトリックス12に分散してなる複合圧電体10において、高い圧電特性を得るためには、圧電体粒子14の振動エネルギーの伝達効率を高くする必要が有る。高い振動エネルギーの伝達効率を得るためには、圧電体粒子14の粒径が大きい方が好ましい。特に、複合圧電体10の厚さTの0.25倍以上1倍以下の粒径を有する粒子を含むことにより、圧電体粒子14の振動エネルギーの伝達効率を高くできる。
一方、複合圧電体10において、高い圧電特性を得るためには、複合圧電体10における圧電体粒子14の充填密度を、ある程度、高くする必要が有る。
しかしながら、大きな圧電体粒子14ばかりでは、複合圧電体10における圧電体粒子14の充填密度は、十分に高くできない。
これに対して、本発明の複合圧電体10は、圧電体粒子14が、厚さTの0.25倍以上1倍以下の粒径(粒径が0.25T以上T以下)の粒子を全体の5vol%以上30vol%以下含む。
このような構成を有することにより、厚さTの0.25倍以上1倍以下の粒径を有する大きな圧電体粒子14によって、良好な振動エネルギーの伝達効率を実現すると共に、これ以外の小さな圧電体粒子が、大きな圧電体粒子14の間隙に入り込むことにより、複合圧電体10における圧電体粒子14の充填密度を高くできる。
そのため、本発明の複合圧電体10は、高い圧電体粒子14の充填密度と、高い振動エネルギーの伝達効率との相乗効果によって高い圧電特性を得ることができ、また、同じ充填密度からなる従来の高分子複合圧電体に比しても、高い圧電特性を得ることができる。
本発明の複合圧電体10において、厚さTの0.25倍以上1倍以下の粒径の圧電体粒子14の量が5vol%未満では、振動エネルギーの伝達効率が悪く十分な圧電特性が得られない等の不都合が生じる。
厚さTの0.25倍以上1倍以下の粒径の圧電体粒子14の量が30vol%を超えると、十分な圧電体粒子14の充填密度が得られず、圧電特性が低下してしまう等の不都合が生じる。
以上の点を考慮すると、本発明の複合圧電体10において、厚さTの0.25倍以上1倍以下の粒径の圧電体粒子14の量は、10vol%以上30vol%以下であるのが好ましい。
このような本発明の複合圧電体10においては、圧電体粒子14の粒度分布が、メジアン径(D50(d50))以上で、かつ、厚さT以下の範囲に、極大値(ピーク(肩/ショルダー))を有するのが好ましい。
すなわち、本発明の複合圧電体10は、圧電体粒子14の粒度分布が、例えば図2に概念的に示すような、最大の極大値よりも粒径が大きい側に、もう1つの極大値を有するような粒度分布であるのが好ましい。
このような構成を有することにより、厚さTの0.25倍以上1倍以下の粒径を有する大きな圧電体粒子14の間に小さな圧電体粒子14が入り込む、本発明の複合圧電体10の特徴が、より顕著になる。
そのため、より高い圧電特性が得られる等の点で好ましい。
なお、複合圧電体10の厚さTを超える粒径の位置に極大値が有ると、後述する電気音響変換フィルム(図3(A)および図3(B)参照)とされた際に、電極層(特に、一方側(非塗布側))との密着性が劣化して、変換特性が低下するなどの不都合が生じる可能性が有る。
そのため、圧電体粒子14の粒度分布は、メジアン径(D50)以上で、かつ、複合圧電体10の厚さT以下の範囲に、極大値を有するのが好ましい。
また、本発明の複合圧電体10は、圧電体粒子14のメジアン径(D50)が、
(1+厚さT×0.05)μm以上(1+厚さT×0.3)μm以下
であるのが好ましい。すなわち、圧電体粒子14のメジアン径(D50)が、(1+0.05T)μm以上(1+0.3T)μm以下であるのが好ましい。
このような構成を有することにより、均一かつ緻密な複合圧電体の作製が可能になる、高い圧電特性と高いフレキシビリティとを両立できる等の点で好ましい。
また、この点を考慮すると、圧電体粒子14のメジアン径(D50)は、(1+0.05T)μm以上(1+0.25T)μm以下であるのが好ましい。
本発明の複合圧電体10において、圧電体粒子14の粒子径は、厚さTの0.25倍以上1倍以下の粒径の圧電体粒子14を、全ての圧電体粒子14の5vol%以上30vol%以下含むという条件を満たせば、複合圧電体10のサイズや用途に応じて、適宜、選択すれば良い。
しかしながら、圧電体粒子14の粒子径は、厚さT以下であるのが好ましい。前述のように、圧電体粒子14の粒子径が厚さTを超えると、電気音響変換フィルムとされた際に、電極層との密着性が劣化して、変換特性が低下する等の不都合が生じる可能性が有る。
ここで、前述のように、本発明の複合圧電体10においては、厚さTの0.25倍以上1倍以下の粒径の大きな圧電体粒子14を、全ての圧電体粒子14の5vol%以上30vol%以下含むことにより、大きな粒子の間に小さい粒子を充填して、複合圧電体10における圧電体粒子14の充填密度を高くできる。
しかしながら、粒子径が1μm以下の粒子は非常に凝集し易く、圧電体粒子14をマトリックス12の中に均一分散させることを困難にさせる。従って、粒子径が1μm以下の粒子は少ないことが好ましい。そのため、粒子径が1μm以下の圧電体粒子14が、全ての圧電体粒子14の10vol%以下であるのが好ましい。
本発明の複合圧電体10において、マトリックス(高分子マトリックス)12は、公知の高分子複合圧電体に利用されている高分子材料が、各種、利用可能である。
具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、シアノエチル化プルラン、ナイロン等が例示される。
中でも、本発明の複合圧電体10において、マトリックス12は、常温で粘弾性を有する高分子材料からなるマトリックス12は、特に、好適に利用される。なお、本明細書において、「常温」とは、0℃以上50℃程度以下の温度域を指す。
後述するが、本発明の複合圧電体10は、両面に電極層を設けられ(図2(A)参照)、あるいはさらに両電極層の表面に保護層を設けられて(図2(B)参照)電気音響変換フィルムとされて、フレキシブルディスプレイ用のスピーカなど、フレキシブル性を有するスピーカ等に好適に用いられる。
ここで、フレキシブル性を有するスピーカに用いられる複合圧電体10は、次の要件を具備したものであるのが好ましい。
(i) 可撓性
例えば、携帯用として新聞や雑誌のように書類感覚で緩く撓めた状態で把持する場合、絶えず外部から、数Hz以下の比較的ゆっくりとした、大きな曲げ変形を受けることになる。この時、高分子複合圧電体が硬いと、その分大きな曲げ応力が発生し、高分子マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生し、やがて破壊に繋がる恐れがある。従って、高分子複合圧電体には適度な柔らかさが求められる。また、歪みエネルギーを熱として外部へ拡散できれば応力を緩和することができる。従って、高分子複合圧電体の損失正接が適度に大きいことが求められる。
(ii) 音質
スピーカは、20Hz以上20kHz以下のオーディオ帯域の周波数で圧電体粒子を振動させ、その振動エネルギーによって振動板(高分子複合圧電体)全体が一体となって振動することで音が再生される。従って、振動エネルギーの伝達効率を高めるために高分子複合圧電体には適度な硬さが求められる。また、スピーカの周波数特性が平滑であれば、曲率の変化に伴い最低共振周波数fが変化した際の音質の変化量も小さくなる。従って、高分子複合圧電体の損失正接は適度に大きいことが求められる。
以上をまとめると、フレキシブル性を有するスピーカに用いる複合圧電体10は、20Hz以上20kHz以下の振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては柔らかく振る舞うことが求められる。また、複合圧電体10の損失正接は、20kHz以下の全ての周波数の振動に対して、適度に大きいことが求められる。
一般に、高分子固体は粘弾性緩和機構を有しており、温度上昇あるいは周波数の低下と共に大きなスケールの分子運動が貯蔵弾性率(ヤング率)の低下(緩和)あるいは損失弾性率の極大(吸収)として観測される。その中でも、非晶質領域の分子鎖のミクロブラウン運動によって引き起こされる緩和は、主分散と呼ばれ、非常に大きな緩和現象が見られる。この主分散が起きる温度がガラス転移点(Tg)であり、最も粘弾性緩和機構が顕著に現れる。
複合圧電体10において、ガラス転移点が常温にある高分子材料、言い換えると、常温で粘弾性を有する高分子材料をマトリックス12に用いることで、20Hz以上20kHz以下の振動に対しては硬く、数Hz以下の遅い振動に対しては柔らかく振舞う複合圧電体10が実現する。特に、この振舞いが好適に発現する等の点で、周波数1Hzでのガラス転移温度が常温にある高分子材料を、複合圧電体10のマトリックス12に用いるのが好ましい。
常温で粘弾性を有する高分子材料としては、公知の各種のものが利用可能である。好ましくは、常温において、動的粘弾性試験による周波数1Hzにおける損失正接Tanδの極大値が、0.5以上有る高分子材料を用いる。
これにより、複合圧電体10が外力によってゆっくりと曲げられた際に、最大曲げモーメント部におけるマトリックス12/圧電体粒子14界面の応力集中が緩和され、高い可撓性が期待できる。
また、高分子材料は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において100MPa以上、50℃において10MPa以下であることが好ましい。
これにより、複合圧電体10が外力によってゆっくりと曲げられた際に発生する曲げモーメントが低減できると同時に、20Hz以上20kHz以下の音響振動に対しては硬く振る舞うことができる。
また、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以上有ると、より好適である。これにより、高分子複合圧電体に電圧を印加した際に、マトリックス12中の圧電体粒子14にはより高い電界が掛かるため、大きな変形量が期待できる。
しかしながら、その反面、良好な耐湿性の確保等を考慮する場合には、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以下であるのも、好適である。
このような条件を満たす高分子材料としては、シアノエチル化ポリビニルアルコール(シアノエチル化PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニリデンクロライドコアクリロニトリル、ポリスチレン−ビニルポリイソプレンブロック共重合体、ポリビニルメチルケトン、および、ポリブチルメタクリレート等が例示される。また、これらの高分子材料としては、ハイブラー5127(クラレ社製)などの市販品も、好適に利用可能である。
なお、これらの高分子材料は、1種のみを用いてもよく、複数種を併用(混合)して用いてもよい。
このような常温で粘弾性を有する高分子材料を用いるマトリックス12は、必要に応じて、複数の高分子材料を併用してもよい。
すなわち、マトリックス12には、誘電特性や機械特性の調整等を目的として、シアノエチル化PVA等の粘弾性材料に加え、必要に応じて、その他の誘電性高分子材料を添加しても良い。
添加可能な誘電性高分子材料としては、一例として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体およびポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系高分子、シアン化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、シアノエチルセルロース、シアノエチルヒドロキシサッカロース、シアノエチルヒドロキシセルロース、シアノエチルヒドロキシプルラン、シアノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルアミロース、シアノエチルヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルジヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルヒドロキシプロピルアミロース、シアノエチルポリアクリルアミド、シアノエチルポリアクリレート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリヒドロキシメチレン、シアノエチルグリシドールプルラン、シアノエチルサッカロースおよびシアノエチルソルビトール等のシアノ基あるいはシアノエチル基を有するポリマー、ニトリルゴムやクロロプレンゴム等の合成ゴム等が例示される。
中でも、シアノエチル基を有する高分子材料は、好適に利用される。
なお、複合圧電体10のマトリックス12において、シアノエチル化PVA等の常温で粘弾性を有する材料に加えて添加される誘電性ポリマーは、1種に限定はされず、複数種を添加してもよい。
また、誘電性高分子材料以外にも、ガラス転移点(Tg)を調節する目的で、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリブテン、イソブチレン、等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、マイカ、等の熱硬化性樹脂を添加しても良い。
さらに、粘着性を向上する目的で、ロジンエステル、ロジン、テルペン、テルペンフェノール、石油樹脂、等の粘着付与剤を添加しても良い。
複合圧電体10のマトリックス12において、シアノエチル化PVA等の粘弾性材料以外のポリマーを添加する際の添加量には、特に限定は無いが、マトリックス12に占める割合で30質量%以下とするのが好ましい。
これにより、マトリックス12における粘弾性緩和機構を損なうことなく、添加する高分子材料の特性を発現できるため、高誘電率化、耐熱性の向上、圧電体粒子14や電極層との密着性向上等の点で好ましい結果を得ることができる。
本発明の複合圧電体10において、マトリックス12と圧電体粒子14との量比は、複合圧電体10のサイズ(面方向の大きさ)や厚さ、複合圧電体10の用途、複合圧電体10に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
本発明の複合圧電体10の厚さは、複合圧電体10の面方向のサイズ、複合圧電体10の用途、複合圧電体に10に要求される特性、複合圧電体10を形成するマトリックス12および圧電体粒子14の材料等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明者の検討によれば、複合圧電体10の厚さは10μm以上300μm以下が好ましく、20μm以上200μm以下がより好ましく、特に、30μm以上100μm以下が好ましい。
複合圧電体10の厚さを、上記範囲とすることにより、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
複合圧電体10は、公知の高分子複合圧電体と同様の方法で作製できる。
すなわち、有機溶媒に、マトリックス12となる高分子材料を溶解し、さらに、この溶液に圧電体粒子14を添加して、拡散し、高分子材料および有機溶媒に、圧電体粒子14を分散してなる塗料を調製する。
有機溶媒には、特に限定はなく、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等の各種の有機溶媒が利用可能である。
このようにして塗料を調製したら、塗料をシート状物にキャスティング(塗布)して、有機溶媒を蒸発して乾燥して、複合圧電体10とする。ここで、このシート状物としては、後述する電気音響変換フィルムの電極層18や、電極層18と保護層20との積層体を用いてもよい。
この塗料のキャスティング方法には、特に、限定はなく、スライドコータやドクターナイフ等の公知の方法(塗布装置)が、全て、利用可能である。
このようにして複合圧電体10を作製したら、好ましくは、複合圧電体10の分極処理(ポーリング)を行う。複合圧電体10の分極処理は、公知の方法が利用可能である。
また、分極処理の前に、複合圧電体10の表面を加熱ローラ等を用いて平滑化する、カレンダー処理を施してもよい。このカレンダー処理を施すことで、後述する熱圧着工程がスムーズに行える。
好ましい分極処理の方法として、以下の方法が例示される。
すなわち、複合圧電体10を導電性を有するシートの上に載置し(あるいは、複合圧電体10の一面に電極層18を設け)し、ワイヤー状などの一方向に延在するコロナ電極を用い、導電性シートとコロナ電極とに直流電源を接続する。
その上で、複合圧電体10を、加熱手段によって、例えば、温度100℃に加熱保持した状態で、直流電源から導電性シートとコロナ電極との間に、数kV、例えば、6kVの直流電圧を印加してコロナ放電を生じさせる。
この状態から、所定の間隔を維持して、複合圧電体10の上面に沿って、延在方向と直交する方向にコロナ電極を移動(走査)して、複合圧電体10の分極処理を行う。
本発明の複合圧電体10は、例えば、図2(A)に概念的に示すように、両面に電極層18を設けて電気音響変換フィルム16aとされる。あるいは、図2(B)に概念的に示すように、さらに、電極層18の表面に保護層20を設けて、電気音響変換フィルム16bとされる。
なお、電極層18の形成材料としては、銅、アルミニウム、金、銀、白金、および、酸化インジウムスズ等が例示される。
また、保護層20の形成材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、および、環状オレフィン系樹脂が好適に利用される。なお、保護層20が非常に薄く、取り扱い性が悪い場合には、必要に応じて、セパレータ(剥離可能な支持体)付きの保護層20を用いてもよい。
このような電気音響変換フィルム16aや電気音響変換フィルム16bは、例えば、スピーカ、マイクロフォン、および、ギター等の楽器に用いられるピックアップなどの各種の音響デバイス(音響機器)において、電気信号に応じた振動による音の発生(再生)や、音による振動を電気信号に変換する、電気音響変換フィルムとして利用される。
特に、本発明の複合圧電体10が有する圧電特性やフレキシブル性を生かして、フレキシブルディスプレイ用のスピーカなどのフレキシブル性を有するスピーカには好適に利用される。
以上、本発明の(高分子)複合圧電体について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的な実施例を挙げ、本発明の(高分子)複合圧電体について、より詳細に説明する。
[実施例1]
出発原料として、主成分となるPbの酸化物、Zrの酸化物およびTi酸化物の粉末をボールミルで12時間、湿式混合した。このとき、各酸化物の量は、Pb=1モルに対し、Zr=0.52モル、Ti=0.48モルとした。
この原料混合粉を、坩堝に投入して、1000℃で5時間焼成した後、ボールミルで3分間、解砕して、圧電体粒子14を得た。
作製した圧電体粒子14の粒度分布を、レーザー散乱粒度測定装置(日機装社製 Microtrac MT3300)を用いて測定した。その結果、メジアン径(D50)は3.6μm、1μm以下の粒子の割合(V<1μm)は5.3vol%で、メジアン径以上の19.8μmに極大値を有していた。
また、本例では、複合圧電体10の厚さを39μmに設定しており(以下、『設定厚さ』とも言う)、設定厚さの0.25倍以上の粒子の割合は(V>0.25T)は17.7vol%で、設定厚さ以上の粒子は認められなかった。
作製した圧電体粒子14を300質量部、シアノエチル化ポリビニルアルコール(信越化学工業製CR−V)を30質量部、および、ジメチルホルムアミド(DMF)を70質量部を混合して、プロペラミキサー(回転数2000rpm)で混練して、複合圧電体10を作製するための塗料を調製した。
スライドコータを用いて、この塗料を、厚さ300μmのアルミニウム板の上に塗布した。塗布厚は、乾燥塗膜の膜厚が設定厚さである39μmとなるようにした。
次いで、120℃のホットプレート上で1時間、加熱することで、DMFを蒸発させて塗料を乾燥し、アルミニウム板の上に、厚さ39μmの複合圧電体10を作製した。
作製した複合圧電体10をロール温度80℃、圧力0.3MPaでカレンダー処理した。その後、ワイヤー状のコロナ電極とアルミニウム板との間に直流電源を接続し、コロナ電極とアルミニウム板との間に6kVの直流電圧を印加させつつ、コロナ電極によって複合圧電体の上を走査することにより、複合圧電体10の分極処理を行った。なお、分極処理中は、複合圧電体を100℃に加熱した。
分極処理を行った複合圧電体10の表面に、真空蒸着によって、直径15mm、厚さ0.5μmのアルミニウム電極を形成した。
さらに、複合圧電体10の圧電特性(圧電定数)d33を、d33メーター(PIEZO TEST社製 PM-300)を用いて測定した。圧電特性d33の測定は、周波数110Hz、クランピングフォース10N、ダイナミックフォース0.25Nの条件で行った。
その結果、複合圧電体10の圧電特性d33は、89pC/Nであった。
以上の結果を、下記表に示す。
[実施例2]
ボールミルによる解砕時間を10分間とした以外は、実施例1と同様にして圧電体粒子14を作製した。
得られた圧電体粒子14の粒度分布を、実施例1と同様に測定した。その結果、メジアン径(D50)は3.5μm、1μm以下の粒子の割合(V<1μm)は7.5vol%で、メジアン径以上の15.0μmに極大値を有していた。
また、本例は設定厚さを19μmとし、設定厚さの0.25倍以上の粒子の割合は(V>0.25T)は15.6vol%で、設定厚さ以上の粒子は認められなかった。
次いで、実施例1と同様にして、この圧電体粒子14を含有する塗料を調製した。
実施例1と同様にして、スライドコータを用いて、この塗料を、厚さ300μmのアルミニウム板の上に塗布した。塗布厚は、乾燥塗膜の膜厚が設定厚さである19μmとなるようにした。
次いで、120℃のホットプレート上で1時間、加熱することで、DMFを蒸発させて塗料を乾燥し、アルミニウム板の上に、厚さ19μmの複合圧電体10を作製した。さらに、実施例1と同様に、カレンダー処理および分極処理を行った。
得られた複合圧電体10について、実施例1と同様にして、アルミニウム電極を形成して、複合圧電体10の圧電特性を測定した。
その結果、複合圧電体10の圧電特性d33は、86pC/Nであった。
以上の結果を、下記表に併記する。
[実施例3]
ボールミルによる解砕時間を20分間とした以外は、実施例1と同様にして圧電体粒子14を作製した。
得られた圧電体粒子14の粒度分布を、実施例1と同様に測定した。その結果、メジアン径(D50)は3.2μm、1μm以下の粒子の割合(V<1μm)は7.8vol%で、メジアン径以上の8.2μmに極大値を有していた。
また、本例は設定厚さを11μmとし、設定厚さの0.25倍以上の粒子の割合は(V>0.25T)は28vol%で、設定厚さ以上の粒子は認められなかった。
次いで、実施例1と同様にして、この圧電体粒子14を含有する塗料を調製した。
実施例1と同様にして、スライドコータを用いて、この塗料を、厚さ300μmのアルミニウム板の上に塗布した。塗布厚は、乾燥塗膜の膜厚が設定厚さである11μmとなるようにした。
次いで、120℃のホットプレート上で1時間、加熱することで、DMFを蒸発させて塗料を乾燥し、アルミニウム板の上に、厚さ11μmの複合圧電体10を作製した。さらに、実施例1と同様に、カレンダー処理および分極処理を行った。
得られた複合圧電体10について、実施例1と同様にして、アルミニウム電極を形成して、複合圧電体10の圧電特性を測定した。
その結果、複合圧電体10の圧電特性d33は、85pC/Nであった。
以上の結果を、下記表に併記する。
[実施例4]
ボールミルによる解砕時間を4時間とした以外は、実施例1と同様にして圧電体粒子14を作製した。
得られた圧電体粒子14の粒度分布を、実施例1と同様に測定した。その結果、メジアン径(D50)は3.2μm、1μm以下の粒子の割合(V<1μm)は7.9vol%で、メジアン径以上には、極大値を有していなかった。
また、本例は設定厚さを40μmとし、設定厚さの0.25倍以上の粒子の割合は(V>0.25T)は10.5vol%で、設定厚さ以上の粒子は認められなかった。
次いで、実施例1と同様にして、この圧電体粒子14を含有する塗料を調製した。
実施例1と同様にして、スライドコータを用いて、この塗料を、厚さ300μmのアルミニウム板の上に塗布した。塗布厚は、乾燥塗膜の膜厚が設定厚さである40μmとなるようにした。
次いで、120℃のホットプレート上で1時間、加熱することで、DMFを蒸発させて塗料を乾燥し、アルミニウム板の上に、厚さ40μmの複合圧電体10を作製した。さらに、実施例1と同様に、カレンダー処理および分極処理を行った。
得られた複合圧電体10について、実施例1と同様にして、アルミニウム電極を形成して、複合圧電体10の圧電特性を測定した。
その結果、複合圧電体10の圧電特性d33は、76pC/Nであった。
以上の結果を、下記表に併記する。
[比較例1]
焼成時間を8時間とした以外は、実施例1と同様にして圧電体粒子を作製した。
得られた圧電体粒子の粒度分布を、実施例1と同様に測定した。その結果、メジアン径(D50)は8.2μm、1μm以下の粒子の割合(V<1μm)は5vol%で、メジアン径以上には、極大値を有していなかった。
また、本例は設定厚さを42μmとし、設定厚さの0.25倍以上の粒子の割合は(V>0.25T)は33vol%で、設定厚さ以上の粒子は認められなかった。
次いで、実施例1と同様にして、この圧電体粒子を含有する塗料を調製した。
実施例1と同様にして、スライドコータを用いて、この塗料を、厚さ300μmのアルミニウム板の上に塗布した。塗布厚は、乾燥塗膜の膜厚が設定厚さである42μmとなるようにした。
次いで、120℃のホットプレート上で1時間、加熱することで、DMFを蒸発させて塗料を乾燥し、アルミニウム板の上に、厚さ42μmの複合圧電体を作製した。さらに、実施例1と同様に、カレンダー処理および分極処理を行った。
得られた複合圧電体について、実施例1と同様にして、アルミニウム電極を形成して、複合圧電体の圧電特性を測定した。
その結果、複合圧電体の圧電特性d33は、50pC/Nであった。
以上の結果を、下記表に併記する。
[比較例2]
ボールミルによる解砕時間を24時間とした以外は、実施例1と同様にして圧電体粒子を作製した。
得られた圧電体粒子の粒度分布を、実施例1と同様に測定した。その結果、メジアン径(D50)は3μm、1μm以下の粒子の割合(V<1μm)は15vol%で、メジアン径以上には、極大値を有していなかった。
また、本例は設定厚さを37μmとし、設定厚さの0.25倍以上の粒子の割合は(V>0.25T)は4.9vol%で、設定厚さ以上の粒子は認められなかった。
次いで、実施例1と同様にして、この圧電体粒子を含有する塗料を調製した。
実施例1と同様にして、スライドコータを用いて、この塗料を、厚さ300μmのアルミニウム板の上に塗布した。塗布厚は、乾燥塗膜の膜厚が設定厚さである37μmとなるようにした。
次いで、120℃のホットプレート上で1時間、加熱することで、DMFを蒸発させて塗料を乾燥し、アルミニウム板の上に、厚さ37μmの複合圧電体を作製した。さらに、実施例1と同様に、カレンダー処理および分極処理を行った。
得られた複合圧電体について、実施例1と同様にして、アルミニウム電極を形成して、複合圧電体の圧電特性を測定した。
その結果、複合圧電体の圧電特性d33は、45pC/Nであった。
以上の結果を、下記表に併記する。
上記表に示されるように、複合圧電体が含有する圧電体粒子において、厚さTの0.25倍以上1倍以下の圧電体粒子14を5vol%以上30vol%以下含む本発明の複合圧電体10は、大きな粒子による高い振動エネルギーの伝達効率と、大きな粒子の間に入り込む小さい粒子による高い圧電体粒子14の充填密度との相乗効果によって、良好な圧電特性を発現している。また、圧電体粒子14の粒度分布が、メジアン径以上の粒径に極大値を有する粒子を用いることで、複合圧電体10は、より高い、圧電特性を有していることがわかる。
さらに、高い圧電特性を有する複合圧電体10は、圧電体粒子14が厚さTの0.25倍以上1倍以下の圧電体粒子を5vol%以上30vol%以下含むという条件を満たした上で、粒径1μm以下の粒子が10vol%以下であり、かつ、メジアン径の値が(1+高分子複合圧電体の膜厚×0.05)以上(1+高分子複合圧電体の膜厚×0.3)以下の範囲にある。
これに対し、厚さTの0.25倍以上1倍以下の圧電体粒子が33vol%である比較例1の複合圧電体は、大きな粒子が多すぎて体積密度が十分ではないと考えられ、他方、厚さTの0.25倍以上1倍以下の圧電体粒子が4.9vol%である比較例1は、大きな粒子が少ないために振動エネルギーの伝達効率が十分ではないと考えられ、共に、本発明の複合圧電体に比して、圧電特性が低い。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
10 (高分子)複合圧電体
12 マトリックス
14 圧電体粒子
16a,16b 電気音響変換フィルム
18 電極層
20 保護層

Claims (6)

  1. 高分子材料からなるマトリックス中に、圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体において、
    前記圧電体粒子が、粒径が高分子圧電体の膜厚の0.25倍以上1倍以下の粒子を、粒子全体の5vol%以上30vol%以下含むことを特徴とする高分子複合圧電体。
  2. 前記圧電体粒子の粒度分布が、メジアン径(D50)以上かつ高分子圧電体の膜厚以下の粒径において極大値を有する請求項1に記載の高分子複合圧電体。
  3. 前記圧電体粒子は、粒径が1μm以下の粒子の量が10vol%以下である請求項1または2に記載の高分子複合圧電体。
  4. 前記圧電体粒子のメジアン径(D50)が、
    (1+高分子複合圧電体の膜厚×0.05)μm以上(1+高分子複合圧電体の膜厚×0.3)μm以下
    である請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子複合圧電体。
  5. 前記圧電体粒子がチタン酸ジルコン酸鉛粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子複合圧電体。
  6. 前記マトリックスが、常温で粘弾性を有する高分子材料からなるものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子複合圧電体。
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