以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る降雪装置10は、人工的に雪を生成して、生成された雪を降らせる装置である。降雪装置10は、氷晶生成部12と、造雪部14と、蓄雪部16と、調節部18と、降雪部20と、を備えている。
氷晶生成部12は、雪を成長させるための核となる氷晶を生成するように構成されている。氷晶は、超音波加湿器等からなる加湿器13によって生成された微細な水滴を凍らせることによって作られる。氷晶生成部12は、微細な水滴が噴霧される低温の空間を有する中空状のケース12aを備えている。ケース12a内は、例えば-40℃以下の温度に調整されている。したがって、加湿器13によって生成されてケース12a内に噴霧された霧状の微細な水滴がケース12a内で凍り、氷晶が生成される。氷晶は、自然落下しないで空気中に浮遊する程度の大きさの氷粒である。氷晶生成部12で生成された氷晶は、配管を通して造雪部14のタンク14a内に導入される。
造雪部14は、雪を作るための部位であり、雪を成長させる空間を形成するタンク14aを有する。タンク14aには、氷晶生成部12で生成された氷晶が導入され、その一方でタンク14a内では低温の水滴がノズル14bによって噴霧される。ノズル14bはタンク14a内の下部に配置され、上に向けて水滴を霧状に噴射する。ノズル14bは、タンク14aの側面の複数箇所に配置されている。ノズル14bは二流体ノズルによって構成されていてもよい。氷晶はタンク14a内の上部からタンク14a内に供給される。タンク14a内は、後述する造雪循環路22の冷却器26により、-20℃程度の温度に調整されている。タンク14a内では、氷晶と霧状の水滴が接触し、氷晶が核となって雪片に成長する。成長した雪片は、後述する送風機22cの作動により、タンク14a上部から後述の搬入路22aに導出される。多数の雪片すなわち雪は、搬入路22aを通して蓄雪部16に導入される。
蓄雪部16は、造雪部14で生成された雪が導入される容器16aと、容器16aに接続された循環路16bとを有している。蓄雪部16は、雪を導入する導入口16cを有する。導入口16cは、容器16aに設けられている。容器16aは、設定された試験時間等の所定時間で降らせる雪を一時に溜めることができる大きさに形成されている。容器16aの下部は、中央部ほど下の位置になる傾斜状に形成されている。このため、雪が中央部に向けて流れ落ちやすい。
循環路16bは、一端部が容器16aの下部に接続され、他端部は容器16aの上部に接続されている。循環路16bには送風機16dが設けられている。したがって、蓄雪部16では、送風機16dの作動により、容器16a内の雪が空気に搬送されて、容器16aの下部から循環路16bに吸引されるとともに、循環路16bを流れる雪を伴った空気は、容器16a内にその上部から戻る。このような循環が繰り返される。言い換えると、蓄雪部16は、雪を伴った空気を循環させる構造を有している。なお、循環路16bには、送風機16dの上流側の位置において、図示しない空気導入口が設けられている。これにより、後述する供給路28を介した雪の供給をする場合においても、送風機16dの上流側において循環路16bが真空に近い低圧になることが防止される。
雪が空気に搬送されて容器16a及び循環路16bを循環するため、容器16a内では、雪が積もった状態で溜まっているのではなく、流動した状態で溜まる。したがって、蓄雪部16において雪は長時間固まることなく、雪の状態に保たれる。すなわち、蓄雪部16は、該蓄雪部16内の雪を、固まらない状態に保つ手段を有している。
造雪部14のタンク14a及び蓄雪部16の容器16aは、造雪循環路22によって互いに接続されている。造雪循環路22は、造雪部14と蓄雪部16との間で雪を伴った空気を循環させるために設けられている。なお、本実施形態では、造雪循環路22に後述するように冷却器26が設けられているため、造雪循環路22は、造雪部14及び蓄雪部16を所定の温度に保つ機能をも有する。
造雪循環路22は、造雪部14のタンク14a内の雪を蓄雪部16の容器16aに搬入するための搬入路22aと、蓄雪部16の容器16a内に存在する雪のうち、質量の小さな雪片を造雪部14のタンク14aに戻すための戻し路22bと、を有する。つまり、造雪部14で作られた雪を蓄雪部16に搬入する一方で、成長しきっていない質量の小さな雪片については、蓄雪部16から造雪部14に戻し、造雪部14にて更に成長させるようにしている。
搬入路22aの一端部は、造雪部14のタンク14aにおける上部に接続され、搬入路22aの他端部は、蓄雪部16の容器16aにおける上部に接続されている。蓄雪部16の容器16aは、上から見ると円形を有しており、搬入路22aの他端部は、容器16aの中央に向けて容器16aに接続されているのではなく、容器16aの中央縦軸から側方にずれた位置に向けて容器16aに接続されている。すなわち、搬入路22aは、容器16a内において空気が中央縦軸周りに周回する循環流れが生ずるように、容器16aに接続されている。
戻し路22bの一端部は、容器16aの上面における中央部を貫通するとともに、蓄雪部16の容器16a内の上部に配置されている。このため、容器16a内の雪のうち、主として、中央縦軸近傍に位置する雪を吸い込む。戻し路22bには、送風機22cが設けられている。送風機22cの作動により、造雪部14のタンク14aと蓄雪部16の容器16aとの間で空気が循環する。
戻し路22bの送風機22cの作動により、容器16a内の空気は、戻し路22bの前記一端部から吸引される。容器16a内では、前述したように、空気が中央縦軸周りに周回する循環流れが生じている。このため、質量の大きな雪片は容器16a内における周囲に偏る一方で、質量の小さな雪片は、容器16a内において、水平面内の中央に偏る傾向にある。したがって、戻し路22bには、質量の小さな雪片が吸引されやすい。
造雪循環路22には冷却器26が配置されている。このため、造雪部14と蓄雪部16との間で循環する空気は、冷却器26によって冷却される。したがって、蓄雪部16の容器16a、造雪循環路22及び造雪部14のタンク14a内は、-20℃程度の温度に調整される。なお、本実施形態では、冷却器26が戻し路22bに配置されているが、これに限られるものではなく、例えば、搬入路22aに配置されてもよく、あるいは、造雪循環路22とは別個の配管に配置されてもよい。
循環路16bには、降雪部20に繋がる供給路28が接続されている。したがって、循環路16bを流れる雪を伴った空気の少なくとも一部を、供給路28を通して降雪部20に導くことができる。
調節部18は、蓄雪部16から降雪部20への雪の供給量を調整する。具体的に、調節部18は、降雪量設定器30からの指令を受けて、雪を伴った空気の降雪部20への供給流量を調節する。調節部18は、循環路16bにおける供給路28の接続部よりも下流に配置された第1ダンパ18aと、供給路28に配置された第2ダンパ18bと、を有する。降雪量設定器30は、設定された降雪量に応じて、第1ダンパ18a及び第2ダンパ18bのそれぞれの開度を制御する。なお、降雪量設定器30に設定される降雪量は、単位時間当たりに降り積もる雪の量を表すものとする。
降雪部20には、循環路16bを流れる雪を伴った空気の少なくとも一部が導入される。降雪部20は、導入された雪を降らせる雪出口20aを有している。雪出口20aからの雪は、図示しない拡散部材により拡散されて降雪される。降雪装置10が試験室(図示省略)に設けられる場合には、降雪部20は、試験室内における供試体が配置されるエリアの上方や、試験室内における供試体が配置されるエリアの上方から外れたエリアに配置されていてもよい。なお、雪出口20aは、雪を試験室内で降らせるように配置されるのではなく、例えば供試体が配置されるエリアの側方に配置されて、雪を供試体に向けて吹き付けるように配置されていてもよいし、供試体に向けて直接雪を吹き付けるのではなく、供試体の方とは異なる方向に雪出口20aから吹き出された雪が結果的に供試体に供給される構成であってもよい。この場合、供試体が配置されるエリアから外れたエリアの上方等に配置されていてもよい。あるいは、降雪装置10が屋外で使用される場合には、降雪部20が屋外に配置されてもよい。
また、供給路28を構成するダクトを雪出口20aにおいて絞ることなく雪出口20aから直接雪を吹き出す構成でもよいが、この構成に代え、雪出口20aが、供給路28を構成するダクトを絞る降雪ノズルによって構成され、この降雪ノズルから雪を降らせる構成であってもよい。
降雪部20に導入される雪は乾雪である。このため、降雪部20には、導入された乾雪に水を噴霧するノズル32が設けられている。これにより、降雪部20から、湿雪を降らせることができる。なお、ノズル32を省略して、降雪部20が乾雪を降らせる構成であってもよい。
雪に向けて水を噴霧するノズル32は、ノズル32に水を供給する水供給配管33に接続されている。水供給配管33には水量調整弁33aが設けられている。水量調整弁33aは、含水率設定器34からの指令を受けて、噴霧量を調整するように構成されている。含水率設定器34は、降雪部20が降らせる雪の含水率を設定するための器具であり、設定された含水率に応じた指令を出力する。水量調整弁33aはこの指令によって開度を調整する。これにより、ノズル32からの水の噴霧量が調整される。すなわち、降雪部20は、設定含水率に応じた雪を降らせるように構成されている。なお、含水率設定器34は、設定含水率を変更可能に構成されていてもよい。この場合、種々の含水率の雪を降らせることができ、雪質の変更が可能になる。水量調整弁33aによる水量調整に際しては、降雪量設定器30による設定降雪量が考慮されてもよい。また、降雪部20が一定の含水率の湿雪を降らせる構成の場合には、ノズル32は一定量の水を噴霧する構成であってもよい。この場合、含水率設定器34は省略される。ただし、含水率設定器34が省略される場合において、降雪量を変える場合には、水量調整弁33aは、降雪量設定器30による設定降雪量に応じて、水量を調整するように構成される。また、ノズル32で直接水の噴霧量を調整する構成としてもよい。
含水率設定器34に代え、噴霧量設定器が設けられていてもよい。この場合、噴霧量設定器によって設定された噴霧量になるように、水量調整弁33aの開度又はノズル32による噴霧量が調整される。この構成でも、降雪部20から降らせる雪の含水率を調整することができる。
ここで、第1実施形態に係る降雪装置10によって行われる降雪方法について説明する。まず、氷晶生成部12において氷晶を生成する。氷晶を生成するには、加湿器13によって微細な水滴を生成するとともに、この水滴を氷晶生成部12のケース12a内に噴霧する。氷晶生成部12のケース12a内は例えば-40℃以下の温度に調整されているので、噴霧された霧状の微細な水滴が凍り、氷晶が生成される。
氷晶生成部12で生成された氷晶は、造雪部14のタンク14aに導入される。造雪部14のタンク14a内では、-20℃程度の温度に調整されるとともに、ノズル14bから微細な水滴が噴霧されているので、氷晶が核となって雪片に成長する。多数の雪片すなわち雪は搬入路22aを通して蓄雪部16に導入される。すなわち、造雪部14で生成された雪が、蓄雪部16の導入口16cを通して蓄雪部16の容器16a内に導入される。
蓄雪部16では、送風機16dの作動により、容器16a内の雪が空気に搬送されて、容器16aの下部から循環路16bに吸引されるとともに、循環路16bを流れる雪を伴った空気は、容器16a内にその上部から戻る。このような循環が繰り返される。これにより、蓄雪部16では、雪が固まらない状態に保たれながら溜められる。
一方、成長しきっていない質量の小さな雪片については、蓄雪部16の容器16aから戻し路22bを通して造雪部14に戻される。造雪部14では、小さな雪片を更に成長させ、成長した雪片を搬入路22aを通して蓄雪部16の容器16aに導入する。
蓄雪部16に雪を溜める動作は、雪を降らせる動作に先立って行われる。したがって、降雪量設定器30からの指令が調節部18に送られる前に予め雪を作って溜めておくことができる。このとき、第2ダンパ18bが閉じられ、第1ダンパ18aは全開となっている。このため、蓄雪部16においては、雪を伴った空気が降雪部20に送られることなく、容器16aと循環路16bとの間を循環している。
降雪量設定器30から調節部18に指令が送られると、調節部18は、指令に応じた空気流量に調整されるように、第1ダンパ18a及び第2ダンパ18bの開度を調整する。これにより、循環路16bを流れる雪の少なくとも一部が供給路28を通して降雪部20に導かれる。なお、降雪量設定器30からの指令を送ることにより、降雪中に降雪量を変更することもできる。この場合、降雪を行いつつ、降雪量を変えることができる。
降雪部20では、含水率設定器34からの指令を受けて水量調整弁33aの開度が調整される。これにより、ノズル32からの水の噴霧量が調整され、雪が所望の含水率の湿雪となる。この湿雪となった雪は、雪出口20aから噴出される。また、水の噴霧量の調整については、降雪量設定器30による設定降雪量が考慮されてもよい。
以上説明したように、本実施形態では、蓄雪部16に溜められた雪を降雪部20によって降らせる又は供試体に供給する構成となっている。すなわち、例えば、蓄雪部16が造雪部14で生成された雪を導入する場合において、蓄雪部16から降雪部20に単位時間当たりに導入される雪の量は、造雪部14による単位時間当たりの造雪能力を超えていてもよい。また、降雪部20によって所定時間内で降らせる又は供試体に供給する量の雪を蓄雪部16に溜めておいてもよい。このため、雪を作りながら順次降らせる構成と異なり、造雪能力によって降雪量又は雪の供給量が制限されてしまうという事態が生じない。したがって、この降雪装置10では、造雪能力に左右されない降雪量又は雪の供給量を得ることができる。しかも、蓄雪部16においては、雪が固まらない状態に保たれるため、蓄雪部16で溜められた雪を降雪部20に導入すれば、降雪部20から雪を降らせることができる。なお、蓄雪部16は、雪が固まらない状態で雪を保持できればいいため、雪を成長させる機能を有する必要はなく、また雪を生成する機能を有する必要もない。
また本実施形態では、蓄雪部16から降雪部20への雪の搬送量を調整する調節部18が設けられているので、降雪部20が降らせる雪の量を変えることができる。したがって、降雪量を変化させることも可能となる。
また本実施形態では、雪を固まらない状態に保つ手段が設けられているので、蓄雪部16に溜められた雪が固まりにくい。そのため、雪の状態に保たれる時間を長くすることができる。すなわち、蓄雪部16に溜められた雪が一時的に固まらないというだけでなく、雪が固まらないように維持するための手段が蓄雪部16に設けられる。これにより、長時間に亘って雪の状態に保つことができる。
また本実施形態では、蓄雪部16が、雪を伴った空気を循環させる構造を有している。このため、雪が静止せずに動き続けながら蓄雪部16に溜められる。したがって、蓄雪部16内において、長時間に亘って雪を固まらない状態に保つことができる。
また本実施形態では、循環路16bに配置された送風機16dの作動によって循環路16bを空気が流れる。これにより、蓄雪部16の容器16a内の雪が空気に搬送されて循環路16bを流れる。循環路16bを流れる雪を伴った空気は容器16aに戻る。このように、雪を伴った空気が循環路16bを通して循環するため、雪が固まらないように保つことができる。また、容器16a内のみで雪を伴った空気を循環させる構成に比べ、容器16aの大型化を抑制することができる。
また本実施形態では、調節部18が、循環路16bを流れる雪を伴った空気の少なくとも一部が降雪部20に導入されるように、循環路16bからの空気の分流割合を調整する。つまり、循環路16bを循環する雪と降雪部20に導入される雪との比率を調整するだけで、降雪部20への雪の搬送量を調節することができる。
また本実施形態では、降雪部20が設定含水率に応じた水を雪に噴霧するので、所望の雪質の雪を降らせることができる。また、設定含水率が変更可能である場合には、雪質の変更が可能になる。
また本実施形態では、造雪部14が設けられているので、蓄雪部16に溜める雪を降雪装置10の外部から搬入する必要がなくなる。蓄雪部16から降雪部20に単位時間当たりに導入される雪の量は、造雪部14による単位時間当たりの造雪能力を超えていてもよい。したがって、造雪部14による造雪能力を超えた量の雪を降らせる又は供試体に供給することができる。
また本実施形態では、造雪部14と蓄雪部16との間で雪を伴った空気を循環させる造雪循環路22が設けられている。このため、成長しきっていない雪が造雪部14から蓄雪部16に導入されたとしても、この成長しきっていない雪を造雪部14に戻すことにより、雪を成長させることができる。
また本実施形態では、氷晶生成部12が設けられて、造雪部14において氷晶を用いて雪を作るので、雪を成長し易くすることができる。したがって、造雪部14内の温度を-40℃程度まで下げなくても雪を作ることができる。
なお、第1実施形態では、氷晶生成部12が設けられ、造雪部14は、氷晶を核として成長させて雪片を生成する構成であるが、この構成に限られない。図2に示すように、氷晶生成部12が省略されるとともに、造雪部14のタンク14a内の空間が例えば-40℃以下に調整される構成としてもよい。すなわち、造雪部14は、ノズル14bから噴霧された微小な水滴から雪片を生成する製氷機によって構成される。なお、別の方式の製氷機により造雪部を構成してもよい。
また、図3に示すように、造雪部14自体を省略することも可能である。この場合、降雪装置10の外部で作られた雪を、蓄雪部16の容器16aに導入口16cを通して導入すればよい。なお、導入口16cの位置は、図3の位置に限られるものではなく、例えば、容器16aの天井の部分に配置されていてもよい。
(第2実施形態)
第1実施形態では、蓄雪部16が容器16aと循環路16bとを有し、雪を伴った空気が容器16a及び循環路16bを循環する構成としている。これに対し、第2実施形態では、循環路16bが省略されるとともに、図4に示すように、容器16aの下部から容器16a内に低温の空気を吹き込む空気供給部38が設けられている。この構成では、吹き込まれた空気によって、容器16a内の雪が流動した状態で溜まることになる。つまり、蓄雪部16は、該蓄雪部16内の雪を、固まらない状態に保つ手段を有する。この構成では、循環路16bが省略されるため、供給路28が蓄雪部16の容器16aにおける下部に接続され、供給路28に送風機28aが配置される構成となる。そして、調節部18は、供給路28に配置されたダンパ18bを備えた構成となる。
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第2実施形態に援用することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、図5に示すように、蓄雪部16内の雪を固まらない状態に保つ手段が、容器16aに振動を与える振動部39によって構成されていている。具体的に振動部39は、容器16aの下部を下からたたく等して、容器16aに衝撃を与えて容器16aを振動させるように構成される。この構成でも循環路16bが省略されるため、供給路28が蓄雪部16の容器16aにおける下部に接続され、供給路28に送風機28aが配置される構成となる。そして、調節部18は、供給路28に配置されたダンパ18bを備えた構成となる。
振動部39は、供給路28を振動させて供給路28内に雪が付着するのを抑制するようにしてもよい。
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第3実施形態に援用することができる。
(第4実施形態)
第1実施形態では、氷晶生成部12において氷晶を生成する構成としているのに対し、第4実施形態では、図6に示すように、-40℃程度の空気を造雪部14のタンク14a内に導入する構成としている。この場合、タンク14aに空気を導く配管61が接続される。そして、配管61内を流れる空気を-40℃程度(例えば、-35℃~-45℃)に冷却する冷却装置60が設けられる。なお、タンク14aに導入される空気は、乾燥空気であることが望ましい。
冷却装置60によって冷却された空気は、配管61を通して造雪部14のタンク14aに導入される。配管61は、図7に示すように、タンク14a内に配置されたノズル14bから噴射される水に向けて噴出されるようにタンク14aに接続されている。なお、ノズル14bもタンク14aの側面に沿う方向に水を噴出するように配置されている。このノズル14bは、超音波加湿器によって生成された微細な水滴を霧状に噴出するように構成されている。ただし、ノズル14bは、側面に沿う方向に水を噴出するように配置されるのではなく、タンク14aの中心側に向けて水を噴出するように配置されていてもよい。
第1実施形態では、戻し路22bがタンク14aの下面に接続された構成となっているのに対し、第4実施形態では、戻し路22bは、タンク14aの側面における下部に接続されている。図7に示すように、戻し路22bは、タンク14aの側面に沿って周方向に雪を伴った空気を流入させるように、タンク14aの中央縦軸から側方にずれた位置に向けてタンク14aに接続されている。このため、タンク14a内においては、雪を伴った空気が縦軸周りに旋回する旋回流が生ずる。一方、図6に示すように、搬入路22aは、タンク14aの上面における中央部に配置されているため、タンク14a内の空気は旋回しながら上に向けて流れる。タンク14a内においてらせん状の気流を起こさせることにより、タンク14aの内面に付着した雪を落とすことができるため、タンク14aの内面に雪が付着することを抑制することができる。また、らせん状の気流を起こさせることにより、タンク14a内において雪が固まらない状態に保つことができる。なお、タンク14aの内面に、撥水処理、親水処理、鏡面仕上げにする等の表面処理を施してもよい。
図6に示すように、造雪部14のタンク14a又は搬入路22aを振動させる励振部62が設けられていてもよい。タンク14a又は搬入路22aが振動することにより、タンク14a内及び搬入路22a内に雪が付着することを抑制することができる。励振部62は、タンク14a又は搬入路22aに衝撃を与えたり、タンク14a又は搬入路22aを揺らすことによって、タンク14a又は搬入路22aを振動させるように構成されている。励振部62は省略可能である。
励振部62は、戻し路22bを振動させるように構成されていてもよい。この場合には、戻し路22b内に雪が付着することを抑制することができる。また、蓄雪部16の容器16a又は循環路16bを振動させる励振部(図示省略)や、第1ダンパ18aを振動させる励振部(図示省略)が設けられていてもよい。造雪部14を振動させる励振部62及び蓄雪部16を振動させる励振部、第1ダンパ18aを振動させる励振部は、図1~図3の形態においても設けられていてもよい。
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1~第3実施形態の説明を第4実施形態に援用することができる。
(第5実施形態)
第1実施形態では、蓄雪部16の容器16aと造雪部14のタンク14aとが別体に構成されている。これに対し、第5実施形態では、図8に示すように、造雪部14のタンク14aが、蓄雪部16の容器16aと一体的に形成されており、タンク14aと容器16aとは、1つに繋がった内部空間を形成する中空体63によって構成されている。
中空体63内にはノズル14bが配置されており、ノズル14bは超音波加湿器によって生成された微細な水滴を霧状に噴出する。ノズル14bから噴出される水滴には、配管61から噴出される-40℃程度に冷却された空気が吹き付けられる。ノズル14bの周辺及びその上側において雪が生成されるため、中空体63におけるノズル14b周辺及びその上側が造雪部14のタンク14aとして機能する。タンク14a内で生成された雪はノズル14bよりも下方に落下する。
後述するように、ノズル14bよりも下方において、中空体63には、循環路16bが接続されている。したがって、中空体63におけるノズル14bよりも下側の部位が蓄雪部16の容器16aとして機能する。したがって、容器16aの導入口16cは、中空体63における、ノズル14bの下側で且つ循環路16bの吹き出し側端部の上側に位置する部位によって形成されている。
循環路16bの一方の端部(容器16a内に空気を導入する吹き出し側端部)は、ノズル14bよりも下の位置において、中空体63の側部(蓄雪部16の容器16aの側部)に接続されている。この吹き出し側端部は、図9に示すように、容器16aの上下に延びる中心線16eに対して側方にずれた方向に向けて空気が流入するように容器16aの側部に接続されている。具体的には、容器16aは、上面視で円形状に形成されていて、循環路16bは、延長線がこの円の中心線16eからずれた位置を通るように、容器16aに接続されている。循環路16bのもう一方の端部(容器16a内から空気を吸い込む側の端部)は、中空体63の底部、即ち容器16aの底部に接続されている。
このため、循環路16bに配置された送風機16dが作動すると、容器16aの底部から雪を伴った空気が循環路16bに吸い込まれる。この空気は、循環路16bを流れた後、循環路16bから容器16a内に吹き出される。これにより、容器16a内では、雪を伴った空気が容器16aの内面に沿って周回するように、雪を伴った空気の循環流れが生ずる。したがって、タンク14a内で生成された雪及び循環路16bから容器16a内に吹き出された雪が流動しつつ容器16a内に溜められる。つまり、容器16a内では、雪が積もった状態で溜まっているのではなく、流動した状態で溜められる。したがって、蓄雪部16において雪は長時間固まることなく、雪の状態に保たれる。すなわち、蓄雪部16は、該蓄雪部16内の雪を、固まらない状態に保つ手段を有している。
循環路16bには接続路64が分岐している。接続路64は、一端部が循環路16bにおける送風機16dの下流側の部位に接続され、他端部がタンク14a(中空体63)の天井部に接続されている。接続路64には、循環路16bを流れる雪を伴った空気の一部が流入する。この空気には、質量の小さな雪片が含まれる。接続路64の他端部がタンク14aに接続されているので、造雪部14のタンク14a内に質量の小さな雪片が供給される。造雪部14ではノズル14bから微細な水滴が噴霧されているので、質量の小さな雪片を成長させることができる。また、接続路64の他端部が、タンク14aの天井部における中央部に接続されているので、接続路64からタンク14a内に吹き出された雪はタンク14aの内壁面に付着しにくい。
接続路64には、接続路64を流れる雪を伴った空気を冷却する冷却器65が配置されている。冷却器65は、タンク14a内で雪が生成される温度、又はタンク14a内において細かな雪片が成長する温度に、空気を冷却する能力を有する。冷却器65は、例えば蒸気圧縮式冷凍機の蒸発器によって構成されている。なお、冷却器65は、接続路64ではなく、循環路16bに配置されていてもよい。
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1~第4実施形態の説明を第5実施形態に援用することができる。
(第6実施形態)
第5実施形態では、蓄雪部16の容器16aの上側に造雪部14のタンク14aが位置する構成であるのに対し、第6実施形態では、図10に示すように、造雪部14のタンク14aが、蓄雪部16の容器16aの中に配置されている。
タンク14aは、筒状の壁部14cと、壁部14cの下端に繋がるテーパー状の傾斜部14dとを備えている。壁部14cの上端部は、容器16aの天井部に接続されているが、容器16aの天井部との間にすき間を形成していてもよい。筒状の壁部14cは、容器16aの側部から内側に離れた位置に配置され、傾斜部14dは、容器16aの底部から内側に離れた位置に配置されている。このため、容器16a内には、タンク14aによって仕切られた内側空間及び外側空間が形成されている。タンク14a内にノズル14bが配置されている。したがって、ノズル14bは、内側空間に配置されている。
傾斜部14dの下端部には、内側空間と外側空間とを連通する開口14eが形成されている。タンク14a内で生成された雪は、この開口14eを通して落下し、外側空間に導入される。したがって、開口14eは、蓄雪部16における容器16aの導入口16cとして機能する。循環路16bの一端部(吸込側の端部)は、容器16aの底部に接続され、循環路16bの他端部(吹き出し側の端部)は、容器16aの側部に接続されている。循環路16bには送風機16dが設けられている。循環路16bの他端部は、ノズル14bよりも高い位置に配置されているが、ノズル14bよりも低い位置に配置されてもよい。
循環路16bには接続路64が分岐している。接続路64は、一端部が循環路16bにおける送風機16dよりも下流側の部位に接続され、他端部が造雪部14のタンク14aの天井部における中央部に接続されている。このため、接続路64を流れる雪を伴う空気は、タンク14a内に導入される。接続路64には、ダンパ66が配置されている。ダンパ66は、タンク14a内での雪の生成が終了すると閉じられる。なお、ダンパ66は省略可能である。
冷却器65は、図10では循環路16bに配置されているが、接続路64に配置されていてもよい。
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1~第5実施形態の説明を第6実施形態に援用することができる。
(第7実施形態)
第5実施形態では、タンク14a内で生成された雪を自然落下させて容器16a内に導くのに対し、第7実施形態では、図11に示すように、タンク14a内で生成された雪が第2の循環路68を通してノズル14bの下方の容器16a内に導入される。
具体的には、第7実施形態では、接続路64が省略されるとともに、循環路16bと別体に構成された第2の循環路68が設けられている。第2の循環路68の一端部は中空体63(タンク14a)の天井部に接続され、第2の循環路68の他端部は、中空体63におけるノズル14bよりも下方の部位に接続されている。第2の循環路68には、送風機69が配置されていて、送風機69が作動すると、タンク14a内で造雪された雪を伴った空気を、第2の循環路68を通して中空体63内におけるノズル14bよりも下部に導く。冷却器65は、循環路16bではなく第2の循環路68に配置されている。中空体63内の上部では、下から上に向かう空気の流れができるため、細かな雪片はノズル14bの下方において、ノズル14bよりも上方に向かう。これにより、細かな雪片は成長する。一方、大きな雪片は、上記の空気の流れにかかわらず、中空体63内をノズル14bよりも下方に自然落下する。容器16aの導入口16cは、中空体63における、第2の循環路68の吹き出し側端部の下側で且つ循環路16bの吹き出し側端部の上側に位置する部位によって形成されている。
中空体63内の下部、すなわち、容器16aの側部における循環路16bの接続部よりも下方においては、上から下に向かって空気が流動する。
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1~第6実施形態の説明を第7実施形態に援用することができる。
(第8実施形態)
第8実施形態は、第1実施形態に係る降雪装置10を備えた人工気象室50である。実施形態1の降雪装置10は、人工気象室50に配置される場合に限定されず、例えば、屋内外で雪を降らせるために用いられてもよい。これに対し、第8実施形態では、降雪装置10が人工気象室50において雪を降らせるのに用いられる。
図12に示すように、第8実施形態に係る人工気象室50は、降雪装置10と試験室52とを備えている。尚、以下具体的に説明するが、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
試験室52は、供試体(図示省略)を収容するとともに雪を降らせることが可能な大きさに形成されている。試験室52内は、図外の空調部により、例えば-20℃程度の温度や5℃程度の温度に調整されている。
降雪装置10は、氷晶生成部12と、造雪部14と、蓄雪部16と、調節部18と、降雪部20と、を備えている。氷晶生成部12には、微細な水滴を生成する加湿器13が接続されている。加湿器13は、試験室52の外側に配置される。一方、氷晶生成部12、造雪部14、蓄雪部16、調節部18及び降雪部20は、試験室52内に配置されている。氷晶生成部12のケース12a、造雪部14のタンク14a、蓄雪部16の容器16a、循環路16b及び造雪循環路22は、断熱材で覆われていても覆われていなくてもよい。循環路16bに設けられた送風機16dを駆動するモータ54及び戻し路22bに設けられた送風機22cを駆動するモータ55等の極低温環境に配置しない方が望ましい機器は、試験室52の外側に配置されている。
なお、氷晶生成部12、造雪部14、蓄雪部16及び調節部18は、試験室52内に配置されていなくてもよい。図13に示すように、氷晶生成部12、造雪部14、蓄雪部16及び調節部18は、試験室52の外側に配置されていてもよい。この場合、氷晶生成部12、造雪部14、蓄雪部16及び調節部18は、断熱材58で覆われる。一方、降雪部20の雪出口20aは試験室52内に配置される。この構成では、試験室52内の温度を造雪や蓄雪に影響を与えない程度の低温に下げる必要はなく、供試体の試験に要求される環境に適した温度に試験室52内の温度を調整した上で降雪試験を行うことができる。したがって、試験室52内の温度に関して自由度を持たせることができる。
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、第1~第7実施形態の説明を第8実施形態に援用することができる。
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、降雪部20への雪の搬送量を調整する調節部18が設けられた構成としたが、調節部18は省略されていてもよい。つまり、降雪部20への雪の供給量を調整するのではなく、一定量の雪を供給する構成であってもよい。この場合、供給路28に開閉弁(又はダンパ)が配置されていて、蓄雪部16において雪を溜めておくときには開閉弁を閉じておき、降雪部20に雪を搬送するときに開閉弁を開く構成であってもよい。調節部18は、第1ダンパ18a及び第2ダンパ18bを備える構成に限られない。例えば、調節部18は、三方弁等による1つの弁によって構成されていてもよい。
前記実施形態では、前記調節部18が第1ダンパ18aと第2ダンパ18bとを有する構成としたが、これに代え、例えば、調節部18は、図1において第1ダンパ18aの位置に配置された第1送風機と、第2ダンパ18bの位置に配置された第2送風機とを有する構成であってもよい。第1送風機は、蓄雪部16において雪を伴った空気を循環させるときに駆動され、第2送風機は、蓄雪部16から供給路28を通して降雪部20に雪を伴った空気を送るときに駆動される。
前記実施形態では、造雪循環路22が搬入路22aと戻し路22bとを有する構成としたが、これに限られない。例えば、所定質量以上の雪片のみを供給することができる場合や、所定質量未満の雪片が混合された雪を降雪部から降らせることが許容できる場合等であれば、戻し路22bが省略された構成であってもよい。この場合、冷却器26は戻し路22bに配置されるのではなく、造雪部14に低温空気を供給する空気配管に配置されることとなる。
ここで、前記実施形態について、概説する。
(1)前記実施形態に係る降雪装置は、導入口を有し、前記導入口を通して導入された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪部と、前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備えている。
前記実施形態では、蓄雪部に溜められた雪を降雪部によって降らせる又は供試体に供給する構成となっている。すなわち、例えば、蓄雪部が造雪装置で生成された雪を導入する場合において、蓄雪部から降雪部に単位時間当たりに導入される雪の量は、造雪装置による単位時間当たりの造雪能力を超えていてもよい。また、降雪部によって所定時間内で降らせる又は供試体に供給するトータルの量の雪を蓄雪部に溜めておいてもよい。このため、雪を作りながら順次降らせる構成と異なり、造雪能力によって降雪量又は雪の供給量が制限されてしまうという事態が生じない。したがって、この降雪装置では、造雪能力に左右されない降雪量又は雪の供給量を得ることができる。しかも、蓄雪部においては、雪が固まらない状態に保たれるため、蓄雪部で溜められた雪を降雪部に導入すれば、降雪部から雪を降らせることができる。なお、蓄雪部は、雪が固まらないように雪の状態で雪を保持できればいいため、雪を成長させる機能を有する必要はなく、また雪を生成する機能を有する必要もない。蓄雪部において、雪が固まらないように雪が保持されるとはいえ、雪の全てが全く固まらないことまでも意味しているわけではなく、固まらない状態に保とうとした結果、部分的に雪が固まることがあってもよい。要は、降雪部に雪が供給できる状態に蓄雪部において雪が保たれていればよい。
(2)前記降雪装置は、前記蓄雪部から前記降雪部への雪の供給量を調整する調節部を備えていてもよい。この態様では、降雪部が降らせる雪の量を変えることができる。したがって、降雪量を変化させることも可能となる。
(3)前記降雪装置において、前記蓄雪部は、該蓄雪部内の雪が固まらない状態に保つ手段を有してもよい。この態様では、蓄雪部に溜められた雪が固まり難い。そのため、雪の状態に保たれる時間を長くすることができる。すなわち、蓄雪部に溜められた雪が一時的に固まらないというだけでなく、雪が固まらないように維持するための手段が蓄雪部に設けられる。これにより、長時間に亘って雪が固まらない状態に保つことができる。蓄雪部において、雪が固まらないように雪が保持されるとはいえ、雪の全てが全く固まらないことまでも意味しているわけではなく、前記手段によって、雪が固まらない状態に保とうとした結果、部分的に雪が固まることがあってもよい。要は、雪が固まらない状態に保つ手段は、降雪部に雪が供給できる状態に蓄雪部において雪が保たれていればよい。
(4)前記降雪装置において、前記蓄雪部は、雪を伴った空気を循環させる構造を有していてもよい。この態様では、蓄雪部内において、空気が雪を伴って循環する。このため、雪が静止せずに動き続けながら蓄雪部に溜められる。したがって、蓄雪部内において、長時間に亘って雪を固まらない状態に保つことができる。
(5)前記降雪装置において、前記蓄雪部は、容器と、前記容器に両端が繋がり送風機が設けられた循環路と、を備え、前記容器内の雪が空気に搬送されて前記循環路を流れた後、再び前記容器内に戻るように構成されていてもよい。この態様では、送風機の作動によって循環路を空気が流れる。これにより、容器内の雪が空気に搬送されて循環路を流れる。循環路を流れる雪を伴った空気は容器に戻る。このように、雪を伴った空気が循環路を通して循環するため、雪が固まらないように保つことができる。また、容器内のみで雪を伴った空気を循環させる構成に比べ、容器の大型化を抑制することができる。
(6)前記降雪装置において、前記蓄雪部は、容器と、前記容器に両端が繋がり送風機が設けられた循環路と、を備え、前記容器内の雪が空気に搬送されて前記循環路を流れた後、再び前記容器内に戻るように構成されてもよい。この場合、前記調節部は、前記循環路を流れる雪を伴った空気のうち前記降雪部に導入する空気の量を調整するように構成されていてもよい。
この態様では、送風機の作動によって循環路を空気が流れる。これにより、容器内の雪が空気に搬送されて循環路を流れる。そして、循環路を流れる雪を伴った空気は容器に戻る。このように、雪を伴った空気が循環路を通して循環する。調節部は、循環路を流れる雪を伴った空気の少なくとも一部が降雪部に導入されるように、循環路からの分流割合を調整する。つまり、循環路を通して循環する雪と降雪部に導入される雪との比率を調整するだけで、降雪部への雪の搬送量を調節することができる。
(7)前記降雪装置において、前記降雪部は、水を雪に噴霧して所望の含水率の雪にするように構成されていてもよい。この態様では、所望の雪質の雪を降らせることができる。また、設定含水率が変更可能である場合には、雪質の変更が可能になる。
(8)前記降雪装置は、雪を作る造雪部を備えてもよい。この場合、前記蓄雪部は、前記造雪部によって作られた雪を前記導入口から導入してもよい。この態様では、蓄雪部に溜める雪を降雪装置の外部から搬入する必要がなくなる。蓄雪部から降雪部に単位時間当たりに導入される雪の量は、造雪部による単位時間当たりの造雪能力を超えていてもよい。したがって、造雪部による造雪能力を超えた量の雪を降らせる又は供試体に供給することができる。
(9)前記降雪装置は、前記造雪部と前記蓄雪部との間で雪を伴った空気を循環させる造雪循環路を備えてもよい。この態様では、成長しきっていない雪が造雪部から蓄雪部に導入されたとしても、この成長しきっていない雪を造雪部に戻すことにより、雪を成長させることができる。
(10)前記造雪部は、水を噴霧するノズルを有し、冷却された空気と前記ノズルから噴霧された水とによって生成された氷晶を用いて雪を作ってもよい。この態様では、造雪部において、冷却された空気とノズルから噴霧された水とによって生成された氷晶を用いて雪を作るので、雪を成長し易くすることができる。したがって、造雪部内の温度を-40℃等の極低温の温度にまで下げなくても雪を作ることができる。
(11)前記降雪装置は、前記造雪部又は前記造雪循環路を振動させる励振部を備えていてもよい。この態様では、造雪部又は前記造雪循環路に雪が付着することを抑制することができる。
(12)前記実施形態に係る人工気象室は、前記降雪装置と、供試体を配置する空間を有する試験室と、を備え、前記降雪装置は、前記試験室内で雪を降らせるか又は供試体に雪を供給する。
(13)前記実施形態に係る降雪方法は、蓄雪部の導入口を通して前記蓄雪部内に雪を導入し、前記蓄雪部内において、雪を固まらない状態に保ちつつ溜め、前記蓄雪部内の雪を降雪部に導入し、前記降雪部によって雪を降らせるか又は供試体に供給する。