以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図面においては、説明の便宜上、適宜縮尺を変更して表現する。水平面に沿った一方向をX方向と表記し、X方向に直交する水平方向をY方向とし、鉛直方向をZ方向とする。上下の語は、鉛直方向の上下方向に対応する。
図1、図2及び図3に示されるように、天井保管システムSYSは、例えば半導体製造工場のクリーンルームにおいて、物品Mを搬送及び保管するためのシステムである。天井保管システムSYSは、天井搬送車100と、保管棚4と、システムコントローラ5と、を備える。物品Mは、例えば、半導体ウエハを収容するFOUP、あるいはレチクルを収容するレチクルPod等である。物品Mは、側部が開口する箱状の容器本体M0と、容器本体M0の上面に設けられたフランジ部Maと、容器本体M0の当該側部に着脱可能に設けられた蓋Mbと、を含む。
天井搬送車100は、天井保管システムSYSのレールRに沿って移動し、物品Mを搬送する。天井搬送車100は、建屋の天井近傍を走行するため、天井走行車と称する場合がある。天井搬送車100は、例えば複数台用いられてもよい。複数の天井搬送車100によって物品Mを搬送することにより、高密度な搬送が可能となり、物品Mの搬送効率を向上させることが可能となる。
レールRは、クリーンルーム等の建屋の天井又は天井付近に敷設されている。レールRは、複数の第1レールR1と、複数の第2レールR2と、複数の交差点レールR3と、を有する格子状レールである。レールRは、その少なくとも一部が格子状に配置されている。第1レールR1は、格子状の桟部分を構成する部位であって、X方向(第1方向)に沿って設けられている。第2レールR2は、格子状の桟部分を構成する部位であって、Y方向(第2方向)に沿って設けられている。交差点レールR3は、格子状の交差部分を構成する部位であって、第1レールR1の端部及び第2レールR2の端部のそれぞれに対して隙間Dをあけて配置されている。
レールRは、第1レールR1と第2レールR2とが直交する方向に沿って設けられることで、平面視で複数のセルC(区画)が隣り合う状態となっている。セルCは、レールRの当該格子状の一つのマス目を構成する。セルCは、Y方向に並ぶ一対の第1レールR1と、X方向に並ぶ一対の第2レールR2と、により画成された領域である。なお、図3ではレールRの一部について示しており、レールRは、図示している構成からX方向及びY方向に同様の構成が連続して形成されている。
第1レールR1、第2レールR2及び交差点レールR3は、吊下げ部材H(図3参照)によって天井に吊下げ支持されている。吊下げ部材Hは、第1レールR1を吊り下げるための第1部分H1と、第2レールR2を吊り下げるための第2部分H2と、交差点レールR3を吊り下げるための第3部分H3と、を有する。第1部分H1及び第2部分H2は、それぞれ第3部分H3を挟んだ二か所に設けられている。
第1レールR1、第2レールR2及び交差点レールR3は、それぞれ、天井搬送車100の後述する走行車輪21が走行する走行面R1a、R2a、R3aを有する。隙間Dは、天井搬送車100が第1レールR1を走行して第2レールR2を横切る際、あるいは第2レールR2を走行して第1レールR1を横切る際に、天井搬送車100の一部である後述の連結部30が通過する部分である。隙間Dは、連結部30が通過可能な幅に設けられている。第1レールR1、第2レールR2、及び交差点レールR3は、同じ水平面に沿って設けられる。
図1及び図2に示されるように、天井搬送車100は、レールRに沿って走行可能な搬送車であって、本体部10と、走行部20と、連結部30と、台車コントローラ(制御部)50と、を有する。本体部10は、レールRの下方に配置される。本体部10は、平面視で例えば矩形状に形成される。本体部10は、平面視でレールRにおける1つのセルCに収まる寸法に形成される。このため、隣り合う第1レールR1又は第2レールR2を走行する他の天井搬送車100とすれ違うことが可能となる。本体部10は、走行部20から懸垂され、レールRの下側で物品Mを保持する。本体部10は、上部ユニット17と、移載装置18とを備える。
上部ユニット17は、連結部30を介して走行部20に吊下げ支持される。上部ユニット17は、例えば平面視で矩形状であり、上面17aに4つのコーナー部を有する。本体部10の4つのコーナー部のそれぞれには、走行車輪21、連結部30及び方向転換機構34が設けられている。
移載装置18は、少なくとも保管棚4及びロードポート62に対して物品Mを移載可能な装置である。移載装置18は、上部ユニット17の下方に設けられる。移載装置18は、物品Mを保持する物品保持部13と、物品保持部13を鉛直方向に昇降させる昇降駆動部14と、昇降駆動部14に設けられたルックダウンセンサSと、昇降駆動部14をスライド移動させるスライド駆動部11と、スライド駆動部11を保持する回動部12と、本体部10に対してスライド駆動部11を第1垂直軸AX1まわりに水平旋回(回転駆動)させる第1旋回駆動部15と、スライド駆動部11に対して昇降駆動部14を第2垂直軸AX2まわりに水平旋回させる第2旋回駆動部16と、を有する。
昇降駆動部14及びスライド駆動部11は、物品保持部13が直線的に移動するように駆動する直線駆動部を構成する。第1旋回駆動部15及び第2旋回駆動部16は、物品保持部13が水平旋回するように駆動する旋回駆動部を構成する。水平旋回とは、鉛直方向に沿う軸を回転軸として旋回することを意味する。
スライド駆動部11は、例えばZ方向に重ねて配置された複数の可動板を有する。可動板は、Y方向に移動可能である。最下層の可動板には、第2旋回駆動部16が取り付けられている。スライド駆動部11は、不図示の駆動装置により可動板を移動させ、最下層の可動板に取り付けられた昇降駆動部14及び物品保持部13を走行方向に対して一方向に、つまり一直線方向のうちの一方向に突出するようスライド移動させることができる。回動部12は、スライド駆動部11と上部ユニット17との間において第1旋回駆動部15に取り付けられ、スライド駆動部11を保持する。
物品保持部13は、物品Mのフランジ部Maを把持することにより、物品Mを吊り下げて保持する。物品保持部13は、例えば、水平方向に移動可能な爪部13aを有するチャックであり、爪部13aを物品Mのフランジ部Maの下方に進入させ、物品保持部13を上昇させることで、物品Mを保持する。物品保持部13は、ワイヤあるいはベルトなどの吊下げ部材13bに接続されている。
昇降駆動部14は、第2旋回駆動部16に取り付けられている。昇降駆動部14は、例えばホイストであり、吊下げ部材13bを繰り出すことにより物品保持部13を下降させ、吊下げ部材13bを巻き取ることにより物品保持部13を上昇させる。昇降駆動部14は、台車コントローラ50に制御され、所定の速度で物品保持部13を下降あるいは上昇させる。昇降駆動部14は、台車コントローラ50に制御され、物品保持部13を目標の高さに保持する。昇降駆動部14は、物品保持部13で保持している物品Mの蓋Mb側よりもその反対側が、水平方向に突き出るように構成されている。具体的には、昇降駆動部14は、物品保持部13で物品Mを保持する際、水平方向において、中心から蓋Mb側の反対側の端部までの寸法が、中心から物品Mの蓋Mb側の端部までの寸法よりも大きい。
ルックダウンセンサSは、下方に向かって、例えばレーザ光等の指向性を有する検出波を出力する。ルックダウンセンサSは、超音波等の他の検出波を照射する構成であってもよい。ルックダウンセンサSは、昇降駆動部14においてほぼ真下に検出波を出力するように設けられている。例えばルックダウンセンサSは、水平方向において昇降駆動部14の突き出る側の端部(中心からの距離が大きい一方側の端部)に取り付けられている。ルックダウンセンサSは、上方から見て物品保持部13で保持している物品Mに対して蓋Mb側と反対側に所定長α離れて配置される。つまり、物品Mを物品保持部13で保持する際には、例えば第2旋回駆動部16が駆動されて、ルックダウンセンサSが蓋Mb側と反対側に必ず位置するように昇降駆動部14が配置される。
ルックダウンセンサSは、物品保持部13の降下先の外側近傍に向けてレーザ光L0(図7参照)を出射し、その反射光を受光する。ルックダウンセンサSは、受光したレーザ光L0の反射光に基づいて、物品保持部13で保持している物品Mの蓋Mb側と反対側に障害物が存在するか否かを検出する。例えば、ルックダウンセンサSは、ロードポート62(図7参照)よりも通路側(処理装置6と反対側)の昇降経路内に、作業者等の障害物が存在するか否かを検出する。
第1旋回駆動部15は、電動モータ等が用いられ、回動部12を第1垂直軸AX1まわりに回転させる。第1旋回駆動部15は、回動部12の回転とともに、スライド駆動部11を第1垂直軸AX1まわりに回転させることができる。第1旋回駆動部15によりスライド駆動部11が第1垂直軸AX1まわりに回転する場合、スライド駆動部11の下側に取り付けられる第2旋回駆動部16、昇降駆動部14、及び物品保持部13が一体で第1垂直軸AX1まわりに回転する。第2旋回駆動部16は、電動モータ等が用いられ、昇降駆動部14を第2垂直軸AX2まわりに回転させる。第2旋回駆動部16により昇降駆動部14を第2垂直軸AX2まわりに回転させる場合、昇降駆動部14の下側に取り付けられる物品保持部13が一体で第2垂直軸AX2まわりに回転する。
図1、図2及び図3に示されるように、走行部20は、レールR上を走行する。走行部20は、走行車輪21と、補助車輪22とを有する。走行車輪21は、上部ユニット17(本体部10)の上面17aの4つのコーナー部にそれぞれ配置される。走行車輪21のそれぞれは、連結部30に設けられた不図示の車軸に取り付けられている。車軸は、XY平面に沿って平行又はほぼ平行に設けられている。走行車輪21のそれぞれは、後述する走行駆動部33の駆動力により回転する。走行車輪21のそれぞれは、レールR上を転動する。走行車輪21のそれぞれは、レールRにおいて、第1レールR1、第2レールR2、及び交差点レールR3の走行面R1a、R2a、R3aを転動し、天井搬送車100を走行させる。なお、4つの走行車輪21の全てが走行駆動部33の駆動力により回転駆動される構成に限定されず、4つの走行車輪21のうちの一部についてのみ回転駆動される構成であってもよい。
走行車輪21は、旋回軸AX3を中心として旋回可能に設けられる。走行車輪21は、後述する方向転換機構34によって水平旋回し、その結果、天井搬送車100の走行方向を変更することができる。補助車輪22は、走行車輪21の走行方向の前後にそれぞれ1つずつ配置される。補助車輪22のそれぞれは、走行車輪21と同様に回転可能となっている。補助車輪22の下端は、走行車輪21の下端より高くなるように設定されている。従って、走行車輪21が走行面R1a、R2a、R3aを走行しているときは、補助車輪22は、走行面R1a、R2a、R3aに接触しない。また、走行車輪21が隙間D(図3参照)を通過する際には、補助車輪22が走行面R1a、R2a、R3aに接触して、走行車輪21の落ち込みを抑制する。なお、1つの走行車輪21に2つの補助車輪22を設けることに限定されず、例えば、1つの走行車輪21に1つの補助車輪22が設けられてもよいし、補助車輪22が設けられなくてもよい。
図1に示されるように、走行部20では、移載装置18及び移載装置18に保持されている物品Mを囲むようにカバーWが設けられてもよい。カバーWは、下端を開放した形状であって、且つ、スライド駆動部11の可動板が突出する部分(スライド移動する部分)を切り欠いた形状を有している。カバーWは、上端が回動部12に取り付けられており、回動部12の回動に伴って第1垂直軸AX1まわりに回動する。
連結部30は、本体部10の上部ユニット17と走行部20とを連結する。連結部30は、上部ユニット17(本体部10)の上面17aの4つのコーナー部にそれぞれ設けられる。この連結部30によって本体部10は、吊り下げられた状態となり、レールRより下方に配置される。連結部30は、支持部材31と、接続部材32とを有する。支持部材31は、走行車輪21の回転軸及び補助車輪22の回転軸を回転可能に支持する。支持部材31により、走行車輪21と補助車輪22との相対位置を保持する。支持部材31は、例えば板状に形成され、隙間Dを通過可能な厚さに形成される。
接続部材32は、支持部材31から下方に延びて上部ユニット17の上面17aに連結され、上部ユニット17を保持する。接続部材32は、後述する走行駆動部33の駆動力を走行車輪21に伝達する伝達機構を内部に備える。この伝達機構は、チェーン又はベルトが用いられる構成であってもよいし、歯車列が用いられる構成であってもよい。接続部材32は、旋回軸AX3を中心として回転可能に設けられる。この接続部材32が旋回軸AX3を中心として回転することで、走行車輪21を水平旋回させることができる。
連結部30には、走行駆動部33と、方向転換機構34とが設けられる。走行駆動部33は、接続部材32に装着される。走行駆動部33は、走行車輪21を駆動する駆動源であり、例えば電気モータ等が用いられる。4つの走行車輪21は、それぞれ走行駆動部33によって駆動されて駆動輪となる。4つの走行車輪21は、同一又はほぼ同一の回転数となるように台車コントローラ50によって制御される。なお、4つの走行車輪21のうち何れかを駆動輪としない場合は、その接続部材32に走行駆動部33は装着されない。
方向転換機構34は、本体部10に対して連結部30の接続部材32を、旋回軸AX3を中心として旋回させることにより、走行車輪21水平旋回させる。走行車輪21を水平旋回させることにより、天井搬送車100の走行方向をX方向とする第1状態から走行方向をY方向とする第2状態に、又は走行方向をY方向とする第2状態から走行方向をX方向とする第1状態に切り替えることが可能である。
方向転換機構34は、駆動源35と、ピニオンギア36と、ラック37とを有する。駆動源35は、走行駆動部33において旋回軸AX3から離れた側面に取り付けられている。駆動源35は、例えば電気モータ等が用いられる。ピニオンギア36は、駆動源35の下面側に取り付けられており、駆動源35で発生した駆動力により回転する。ピニオンギア36は、平面視で円形状であり、外周の周方向に複数の歯を有する。ラック37は、上部ユニット17の上面17aに固定される。ラック37は、上部ユニット17の上面17aの4つのコーナー部にそれぞれ設けられ、走行車輪21の旋回軸AX3を中心とした円弧状に設けられる。ラック37は、外周の周方向に、ピニオンギア36の歯と噛み合う複数の歯を有する。ピニオンギア36及びラック37は、互いの歯が噛み合った状態で配置される。ピニオンギア36が回転することにより、ラック37の外周に沿うようにピニオンギア36が旋回軸AX3を中心とする円周方向に移動する。このピニオンギア36の移動により、接続部材32が旋回し、走行駆動部33及び方向転換機構34がピニオンギア36とともに旋回軸AX3を中心とする円周方向に旋回する。
方向転換機構34の旋回により、上面17aの4つのコーナー部に配置された走行車輪21及び補助車輪22のそれぞれが旋回軸AX3を中心として水平旋回する。方向転換機構34の駆動は、台車コントローラ50によって制御される。台車コントローラ50は、4つの走行車輪21の旋回動作を同一のタイミングで行うように指示してもよいし、異なるタイミングで行うように指示してもよい。走行車輪21及び補助車輪22を旋回させることにより、走行車輪21が第1レールR1及び第2レールR2の一方に接触した状態から他方に接触した状態に移行する。このため、天井搬送車100の走行方向をX方向とする第1状態と、走行方向をY方向とする第2状態とで切り替えることができる。
台車コントローラ50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなるコンピュータである。台車コントローラ50は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。台車コントローラ50は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。台車コントローラ50は、一つの装置で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよい。複数の装置で構成されている場合には、これらがインターネット又はイントラネット等の通信ネットワークを介して接続されることで、論理的に一つの台車コントローラ50が構築される。台車コントローラ50は、本体部10に設けられるが、本体部10の外部に設けられてもよい。
台車コントローラ50は、天井搬送車100の各部の動作を統括的に制御する。台車コントローラ50は、搬送指令に基づいて、天井搬送車100の動作を制御する。台車コントローラ50は、走行駆動部33、方向転換機構34等を制御することにより、天井搬送車100の走行を制御する。台車コントローラ50は、搬送指令に基づいて、天井搬送車100の移載動作を制御する。台車コントローラ50は、移載装置18等を制御することにより、天井搬送車100の移載動作を制御する。台車コントローラ50は、周期的に状態情報を生成し更新する。台車コントローラ50は、状態情報をシステムコントローラ5に送信する。状態情報は、例えば、天井搬送車100の現在位置の情報、正常又は異常等の天井搬送車100の現在の状態を示す情報、搬送指令等の各種指令の天井搬送車100による実行状態(実行中、実行完了、実行失敗)に関する情報である。
図4、図5及び図6に示されるように、保管棚4は、レールRの下方に配置され、物品Mを保管する棚である。保管棚4は、天井搬送車100の走行経路の下方において、吊下げ状態で配置された物品Mの仮置き用の棚である。保管棚4は、吊り棒41によって天井に吊下げ支持されている。吊り棒41は、例えば吊下げ部材H(図3参照)に連結されている。
保管棚4は、水平方向に沿って延びる複数の桁部材42と、桁部材42と交差(ここでは、直交)する方向に沿って延びる複数の梁部材43と、保管棚4の周縁に沿って配置された柵部材44と、を含む。桁部材42及び梁部材43としては、例えば下方に開口するリップ溝形鋼(C形鋼)が用いられている。梁部材43は、桁部材42上に固定されている。梁部材43の上面は、物品Mを載置する載置面を構成する。柵部材44は、物品Mの保管棚4からの落下を防止する部材である。柵部材44は、梁部材43よりも上方に突出する。なお、保管棚4は、特に限定されず、例えば、床上に設置され上下方向に並設された複数の棚板を有する構造物等であってもよい。
図5に示されるように、保管棚4において、セルCに対応する保管領域4Cには、移載装置18により物品Mを載置可能な物品載置領域45が複数設定されている。図示する例は、2つの物品載置領域45が保管領域4Cに設定されている一例である。保管領域4Cは、上方から見てセルCと重複する、保管棚4上の矩形領域である。例えば保管領域4Cは、上方から見て、4つの交差点レールR3の各中心を結んでなる矩形と等しい、保管棚4上の矩形領域である。
物品載置領域45は、保管領域4Cにおける物品Mの形状に対応する領域である。物品載置領域45は、上方から見て物品Mの形状と等しい、保管領域4Cの一部領域である。複数の物品載置領域45のそれぞれには、位置決めピン46が設けられている。位置決めピン46は、上方に突出するように梁部材43に設けられている。位置決めピン46は、保管棚4の物品載置領域45に物品Mを載置した際、物品Mの底面の溝部に入り込んで物品Mを位置決めする。
保管棚4は、複数の物品載置領域45のそれぞれに、蓋Mbが保管領域4Cの外側を向いた状態である物品Mを載置可能な(受け入れる)構成となっている。つまり、複数の物品載置領域45のそれぞれには、蓋Mbが保管領域4Cの外側を向いた状態の物品Mが載置される。保管棚4は、物品Mの蓋Mb側と反対側が向き合うように、複数の物品載置領域45のそれぞれに物品Mが載置されるようになっている。つまり、複数の物品載置領域45のそれぞれには、蓋Mb側と反対側が保管領域4Cの内側を向いた状態の物品Mが載置される。複数の物品載置領域45のそれぞれには、蓋Mbが保管領域4Cの外縁に沿うように、物品が載置される。複数の物品載置領域45には、互いに近接して複数の物品Mが載置される。保管領域4Cの縁と当該縁に近接する物品載置領域45との間の距離βは、物品保持部13で保持する物品MとルックダウンセンサSと間の所定長α(図1参照)よりも小さい。
図1に戻り、システムコントローラ5は、CPU、ROM及びRAM等からなるコンピュータである。システムコントローラ5は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。システムコントローラ5は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。システムコントローラ5は、一つの装置で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよい。複数の装置で構成されている場合には、これらがインターネット又はイントラネット等の通信ネットワークを介して接続されることで、論理的に一つのシステムコントローラ5が構築される。
システムコントローラ5は、搬送指令を生成する。システムコントローラ5は、物品Mを搬送可能な複数の天井搬送車100のうちの何れかを選択し、選択した天井搬送車100に搬送指令を割付ける。搬送指令は、搬送元への走行を実行させる走行指令と、搬送元に載置された物品Mの荷つかみ指令と、搬送先への走行を実行させる走行指令と、保持している物品Mの搬送先への荷下ろし指令と、を含む。レールRにおいて搬送元のロードポート62へ走行する際に辿る走行経路は、種々の公知手法により取得することができる。レールRにおいて搬送先のロードポート62へ走行する際に辿る走行経路は、同様に、種々の公知手法により取得することができる。
搬送元及び搬送先は、保管棚4及びロードポート62(図7参照)を含む。ロードポート62は、物品Mに対して各種の処理を行う処理装置6(図7参照)における載置台である。ロードポート62は、処理装置6の装置本体61(図7参照)よりも通路側に配置される。ロードポート62には向きがあり、例えばロードポート62の通路側が正面の向きである。ロードポート62上には、蓋Mbが装置本体61に向くように物品Mが載せられる。搬送元及び搬送先に関する情報は、例えば、上位コントローラ(不図示)から受信することができる。
本実施形態の天井搬送車100では、例えば搬送元を保管棚4とし且つ搬送先をロードポート62とする搬送指令がシステムコントローラ5から割り付けられると、台車コントローラ50において以下の処理を実行する。
図6に示される例では、セルCとして、搬送する物品Mが載置された物品載置領域45を含む保管領域4Cに対応する第1セルC1と、この第1セルC1に隣接する第2セルC2と、が存在している。まず、台車コントローラ50は、第1セルC1上に天井搬送車100を停止させる。台車コントローラ50は、第1セルC1上に天井搬送車100を停止させた状態で、第1セルC1の当該物品載置領域45から移載装置18により物品Mを移載(荷つかみ)させる。つまり、台車コントローラ50は、セルC上に天井搬送車100を停止させた状態でセルCの何れかの物品載置領域45との間で移載装置18により物品Mを移載させる移載制御(以下、単に「移載制御」ともいう)を実行する。
移載制御では、例えば第2旋回駆動部16が駆動されて昇降駆動部14が水平旋回し、ルックダウンセンサSが蓋Mb側と反対側に配置されるように昇降駆動部14が配置される。この状態で、物品Mが物品保持部13によって保持される。ルックダウンセンサSは昇降駆動部14において水平方向に突き出た部分に設けられていることから、移載制御では、昇降駆動部14は蓋Mb側と反対側(第1セルC1の内側)に突出する一方で、昇降駆動部14は蓋Mb側(第1セルC1の外側)には突出しない。すなわち、移載制御を実行している際には、上方から見て、移載装置18は第2セルC2にはみ出さずに第1セルC1内に収まっている。なお、保管棚に対する移載制御では、ルックダウンセンサSはOFFとしている。
台車コントローラ50は、物品Mを荷つかみした状態で、搬送先のロードポート62との間で物品Mを移載可能な位置まで、搬送指令の走行経路に沿って天井搬送車100を走行させる。図7に示されるように、台車コントローラ50は、天井搬送車100を停止させた状態で、ロードポート62へ移載装置18により物品Mを移載(荷下ろし)させる。ロードポート62との間で物品Mを移載させる際には、ルックダウンセンサSをONとし、ルックダウンセンサSからレーザ光L0を下方に向けて出射し、ロードポート62よりも昇降経路の通路側に、作業者等の障害物が存在するか否かを検出する。
なお、搬送先を保管棚4の物品載置領域45とする搬送指令が割り付けられた場合には、台車コントローラ50は、物品Mを荷つかみしている天井搬送車100を、当該物品載置領域45に対応するセルC上に停止させた状態で、上述した移載制御と同様な移載制御を実行して、保管棚4へ物品Mを移載(荷下ろし)させる。搬送元をロードポート62とする搬送指令が割り付けられた場合には、当該ロードポート62との間で物品Mを移載可能な位置へ天井搬送車100を走行及び停止させ、当該ロードポート62から移載装置18により物品Mを移載(荷つかみ)させる。
以上、天井保管システムSYSでは、保管棚4において1つのセルCに対応する保管領域4Cには、移載装置18により物品Mを載置可能な物品載置領域45が複数設定されている。したがって、例えば保管棚4を拡げずに多くの物品Mを保管することができ、物品Mの保管効率を高めることが可能となる。
天井保管システムSYSでは、レールRは、X方向に沿って延びる複数の第1レールR1と、Y方向に沿って延びる複数の第2レールR2と、第1レールR1及び第2レールR2の端部のそれぞれに対して隙間Dをあけて配置された複数の交差点レールR3と、を含む。セルCは、Y方向に並ぶ一対の第1レールR1と、X方向に並ぶ一対の第2レールR2と、により画成された領域である。これにより、格子状に配置されたレールRに沿って天井搬送車100を走行させる構成を、具体的に実現することが可能となる。
天井保管システムSYSでは、台車コントローラ50は、セルC上に天井搬送車100を停止させた状態で、当該セルCに対応する保管領域4Cの複数の物品載置領域45の何れかとの間で移載装置18により物品Mを移載させる移載制御を実行する。この場合、保管領域4Cの複数の物品載置領域45の何れかとの間の移載、ひいては、複数の物品載置領域45の何れかを搬送元及び搬送先とする搬送を、具体的に実現することが可能となる。
天井保管システムSYSでは、セルCとして、第1セルC1と第1セルC1に隣接する第2セルC2とが存在する。移載制御では、第1セルC1上に天井搬送車100を停止させた状態で、当該第1セルC1に対応する保管領域4Cの複数の物品載置領域45の何れかとの間で物品Mを移載させる。移載制御を実行している際、上方から見て、移載装置18は第2セルC2にはみ出さずに第1セルC1内に収まっている。この場合、ある天井搬送車100が第1セルC1上にて移載制御を実行中には、当該天井搬送車100の移載装置18の第2セルC2へのはみ出し(以下、単に「はみ出し」ともいう)を抑制できる。別の他の天井搬送車100による第2セルC2上の走行が妨げられることなく、別の他の天井搬送車100が第2セルC2上を通過することが可能となる。これにより、搬送効率も高めることが可能となる。また、天井搬送車100同士の干渉を防止することも可能となる。
天井保管システムSYSでは、物品Mは、容器本体M0と、容器本体M0の側部に設けられた蓋Mbと、を含む。保管棚4では、複数の物品載置領域45のそれぞれに、蓋Mbが保管領域4Cの外側を向いた状態の物品Mを載置可能である。移載装置18は、物品保持部13と昇降駆動部14とルックダウンセンサSとを有する。ルックダウンセンサSは、昇降駆動部14に設けられ、上方から見て物品保持部13で保持している物品Mに対して蓋Mb側と反対側に所定長α離れて配置され、下方に向かってレーザ光L0を出力する。蓋Mbが保管領域4Cの外側を向いた状態で物品載置領域45に物品Mが載置されることから、蓋Mbが保管領域4Cの内側を向いた状態で物品載置領域45に物品Mが載置される場合と異なり、移載制御の実行中には、ルックダウンセンサS(昇降駆動部14において物品Mよりも水平方向に突き出る部分)が平面視で保管領域4C内に位置することになる。これにより、移載制御の実行中において、ルックダウンセンサSの存在に起因した移載装置18のはみ出しを抑制することが可能となる。
天井保管システムSYSでは、保管領域4Cの縁と当該縁に近接する物品載置領域45との間の距離β(図5参照)は、所定長α(図1参照)よりも小さい。このように距離βが所定長αよりも小さいと、蓋Mbが保管領域4Cの内側を向いた状態で物品載置領域45に物品Mを載置する場合には、移載制御の実行中にルックダウンセンサSが平面視で保管領域4C外に位置しやすい。よってこの場合には、移載制御の実行中において、ルックダウンセンサSの存在に起因した移載装置18のはみ出しが生じやすいため、移載装置18のはみ出しを抑制するという上記効果は顕著となる。
天井保管システムSYSでは、天井搬送車100が格子状のレールR上を走行するため、天井搬送車100の走行経路を自由に選択しやすくなり、渋滞の発生を抑え、搬送効率を向上させることが可能となる。
以上、実施形態について説明したが、本発明の一態様は、上記実施形態に限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成の一部は、本発明の一態様の要旨を逸脱しない範囲で適宜に省略可能である。