JP7347579B2 - ベーパーチャンバー - Google Patents
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Description
熱源からの熱を輸送した気体状態の作動流体は熱源から離れた位置にまで移動し、周囲に熱を吸収されることで冷却されて凝縮し、液体状態に相変化する。相変化した液体状態の作動流体は凝縮液用流路を通り、熱源の位置にまで戻ってまた熱源からの熱を受けて蒸発して気体状態に変化する。
以上のような循環により熱源から発生した熱が熱源から離れた位置に輸送され熱源が冷却される。
第一シート10は、内面10a、該内面10aとは反対側となる外面10b及び内面10aと外面10bとを連結して厚さを形成する側面10cを備え、内面10a側に作動流体が還流する流路のためのパターンが形成されている。後述するようにこの第一シート10の内面10aと第二シート20の内面20aとが対向するようにして重ね合わされることで密閉空間2が形成される。
注入部12は第一シート10と第二シート20により形成された密閉空間2(例えば図12参照)に対して作動流体を注入する部位であり、本形態では本体11の平面視長方形である一辺から突出する平面視四角形のシート状である。本形態では第一シート10の注入部12は内面10a側も外面10b側も平坦面とされている。
また、第一シート10を構成する材料も特に限定されることはないが、熱伝導率が高い金属であることが好ましい。これには例えば銅、銅合金を挙げることができる。
図2(b)、図3にAで示した外周接合部13の幅は必要に応じて適宜設定することができるが、0.8mm以上3mm以下であることが好ましい。この幅が0.8mmより小さくなると第一シートと第二シートとの接合時における位置ずれが生じた際に接合面積が不足する虞がある。また、この幅が3mmより大きくなると、密閉空間の内容積が小さくなり蒸気流路や凝縮液流路が十分確保できなくなる虞がある。
ここで液流路溝14は溝であることから、その断面形状において、底部、及び底部とは向かい合わせとなる反対側の部位に開口を備えている。
本形態では図5で示したように1つの液流路溝14aの該溝を挟んで幅方向(液流路溝14aが延びる方向に直交する方向)の同じ位置に対向するように液連通開口部14cが配置されている。ただしこれに限定されることはなく、例えば図6に示したように、1つの液流路溝14aの該溝を挟んで幅方向(液流路溝14aが延びる方向に直交する方向)で異なる位置に液連通開口部14cが配置されてもよい。すなわち、いわゆる千鳥配列状に液連通開口部14cが配置されている。
図2(b)、図3、図4(a)、図4(b)にBで示した外周液流路部14の幅は、ベーパーチャンバー全体の大きさ等から適宜設定することができるが、0.3mm以上2mm以下であることが好ましい。この幅が0.3mmより小さいと外側を還流する液の量が十分得られない虞がある。またこの幅が2mmを超えると内側の液流路や蒸気流路のための空間が十分にとれなくなる虞がある。
そして当該幅Bは第二シートの外周液流路部24の幅S(図11参照)よりも大きいことが好ましい。これにより、後述するように、外周液流路部14のうち少なくとも一部において、液流路溝14aの開口が蒸気流路4の一部を形成するように配置され、ここから凝縮液が入りやすくなるため、より円滑に凝縮液を還流させることができる。
流路の毛管力をより強く発揮する観点から、C/Dで表される流路断面におけるアスペクト比(縦横比)は、1.0よりも大きい、又は1.0よりも小さいことが好ましい。その中でも製造の観点からC>Dであることが好ましく、アスペクト比は1.3より大きいことが好ましい。
このなかでも、入隅による角部があることにより表面張力が働きやすく、毛管力によって液の還流が円滑に行われる傾向にあることから、四角形であることが好ましい。
また、図5にFで示した液流路溝14aが延びる方向における隣り合う液連通開口部14cのピッチは300μm以上2700μm以下であることが好ましい。
各内側液流路部15には、内側液流路部15が延びる方向に平行な溝である液流路溝15aが形成され、複数の液流路溝15aが、該液流路溝15aが延びる方向とは異なる方向に所定の間隔で配置されている。従って、図3、図8(a)からわかるように内側液流路部15ではその断面において凹部である液流路溝15aと液流路溝15aの間である凸部15bとが凹凸を繰り返して形成されている。
ここで液流路溝15aは溝であることから、その断面形状において、底部、及び底部とは向かい合わせとなる反対側の部位に開口を備えている。
この連通開口部15cについても、連通開口部14cと同様に、図6に示した例に倣って、いわゆる千鳥配列状に連通開口部が配置されてもよい。
図2(b)、図3、図8にGで示した内側液流路部15の幅は、100μm以上200μm以下であることが好ましい。そして当該幅Gは第二シート20の内側液流路部25の幅T(図11(a)参照)よりも大きいことが好ましい。これにより、後述するように、内側液流路部15のうち少なくとも一部において、液流路溝15aの開口を蒸気流路4の一部を形成するように配置させることができ、ここから凝縮液が入りやすいため、より円滑な凝縮液の還流をさせることができる。
また、複数の内側液流路部15のピッチは200μm以上4000μm以下であることが好ましい。これにより蒸気流路の流路抵抗を十分に下げ、蒸気の移動と、凝縮液の還流をバランスよく行うことができる。
流路の毛管力をより強く発揮する観点から、H/Jで表される流路断面におけるアスペクト比(縦横比)は、1.0よりも大きい、又は1.0よりも小さいことが好ましい。その中でも製造の観点からH>Jであることが好ましく、アスペクト比は1.3より大きいことが好ましい。
この中でも入隅による角部があることにより表面張力が働きやすく、毛管力で液の還流が円滑に行われる傾向にあることから、四角形であることが好ましい。
また、図8(b)にLで示した、液流路溝15aが延びる方向における隣り合う液連通開口部15cのピッチは300μm以上2700μm以下であることが好ましい。
ここで蒸気流路溝16は溝であることから、その断面形状において、底部、及び該底部とは向かい合わせとなる反対側の部位に開口を備えている。
図2(b)、図3にMで示した蒸気流路溝16の幅は、少なくとも上記した液流路溝14a、15aの幅C、幅Hより大きく形成され、100μm以上2000μm以下であることが好ましい。また、蒸気流路溝16のピッチは、内側液流路部15のピッチにより決まるのが通常である。
一方、図3にNで示した蒸気流路溝16の深さは、少なくとも上記した液流路溝14a、15aの深さD、深さJより大きく形成され、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
このように、蒸気流路溝の流路断面積を液流路溝よりも大きくすることにより、作動流体の性質上、凝縮液よりも体積が大きくなる蒸気を円滑に還流することができる。
蒸気流路は蒸気の流動抵抗を小さくすることにより、作動流体の円滑に還流させることができるので、かかる観点から流路断面の形状を決定することもできる。
図2(b)、図4(b)にPで示した蒸気流路連通溝17の幅は、100μm以上1000μm以下であることが好ましい。
また、図4(b)にQで示した蒸気流路連通溝17の深さは、10μm以上300μm以下であることが好ましく、その中でも蒸気流路溝16の深さNと同じであることが好ましい。これにより製造が容易になる。
蒸気流路連通溝は蒸気の流動抵抗を小さくすることにより作動流体の円滑な還流をさせることができるので、かかる観点から流路断面の形状を決定することもできる。
第二シート20は、内面20a、該内面20aとは反対側となる外面20b及び内面20aと外面20bとを連結し厚さを形成する側面20cを備え、内面20a側に作動流体が還流するパターンが形成されている。後述するようにこの第二シート20の内面20aと上記した第一シート10の内面10aとが対向するようにして重ね合わされることで密閉空間が形成される。
注入部22は第一シート10と第二シート20とにより形成された密閉空間2(図12参照)に対して作動流体を注入する部位であり、本形態では本体21の平面視長方形である一辺から突出する平面視四角形のシート状である。本形態では第二シート20の注入部22には内面20a側に注入溝22aが形成されており、第二シート20の側面20cから本体21の内側(密閉空間2となるべき部位)に連通している。
このような第二シート20の厚さ及び構成する材料は第一シート10と同様に考えることができる。
図10(b)、図11(a)、図11(b)にR示した外周接合部23の幅は上記した本体11の外周接合部13の幅Aと同じであることが好ましい。
なお、このように第二シート20では外周接合部23と外周液流路部24とが面一な平坦面であるため、構造的には両者を区別する境界線は存在しない。しかし、わかり易さのため、図10(b)では点線により両者の境界を表している。
図10(b)、図11(a)、図11(b)にSで示した外周液流路部24の幅は、第一シート10の外周液流路部14の幅Bよりも小さいことが好ましい。これにより、後述するように、外周液流路部14のうち少なくとも一部において、液流路溝14aの開口が外周液流路部24により閉鎖されずに開口し、ここから凝縮液が入りやすいため、より円滑な凝縮液の還流をさせることができる。
かかる観点から、幅Sの大きさは、図4(a)に示した、第一シート10の外周液流路部14の幅Bとの関係で、B/2≦S≦B1であることが好ましい。ここでB1は、外周液流路部14に配置された液流路溝14aのうち、最も蒸気流路溝16側の液流路溝14aの幅の半分である位置と、外周液流路部14の外周接合部13側端部と、の距離を意味する。幅SがB/2より小さいと開口の閉鎖をすることができる液流路溝14aが少なくなるため、凝縮液流路3における毛管力が不足する虞がある。また、幅SがB1より大きくなると蒸気流路4に露出される液流路溝14aの開口が少なくなり、凝縮液の液流路溝14aへの流入が不足する虞がある。
本形態で各内側液流路部25は、その内面20a側の表面が平坦面により形成されている。これにより上記した第一シート10の複数の液流路溝15aのうち少なくとも一部の液流路溝15aの開口を閉鎖して凝縮液流路3を形成する。
かかる観点から、幅Tの大きさは、図8(a)に示した、第一シート10の内側液流路部15の幅Gとの関係で、G2≦T≦G1であることが好ましい。
ここでG1は、図8(a)に示したように、複数の液流路溝15aのうち、蒸気流路溝16側から1つ目の液流路溝15aの幅の半分となる位置間の距離である。
またG2は、図8(a)に示したように、複数の液流路溝15aのうち、蒸気流路溝16側から2つ目の液流路溝15aの蒸気流路溝16側端部間の距離である。
幅TがG2より小さいと開口の閉鎖をすることができる液流路溝15aが少なくなるため、凝縮液流路3における毛管力が不足する虞がある。また、幅TがG1より大きくなると蒸気流路4に露出される液流路溝15aの開口が少なくなり、凝縮液の液流路溝15aへの流入が不足する虞がある。
ここで蒸気流路溝26は溝であることから、その断面形状において、底部、及び該底部とは向かい合わせとなる反対側の部位に開口を備えている。
一方、図11(a)にVで示した蒸気流路溝26の深さは、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
蒸気流路は蒸気の流動抵抗を小さくすることにより作動流体を円滑に還流させることができるので、かかる観点から流路断面の形状を決定することもできる。
一方、図11(b)にXで示した蒸気流路連通溝27の深さは、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
蒸気流路は蒸気の流動抵抗を小さくすることにより円滑な還流させることができるので、かかる観点から流路断面の形状を決定することもできる。
図12には、図1(a)にXII-XIIで示したy方向に沿ってベーパーチャンバー1を厚さ方向に切断した切断面を表した。この図は第一シート10における図3に表した図と、第二シート20における図11(a)に表した図とが組み合わされてこの部位におけるベーパーチャンバー1の切断面が表されたものである。
図13には図12にXIIIで示した部位を拡大した図、図14(a)には図13のうち内側液流路部15と内側液流路部25とが重なった部分をさらに拡大した図、図14(b)には図13のうち外周液流路部14と外周液流路部24とが重なった部分をさらに拡大した図をそれぞれ表した。
図15には、図1(a)にXV-XVで示したx方向に沿ってベーパーチャンバー1の厚さ方向に切断した切断面を表した。この図は、第一シート10における図4(b)に表した図と、第二シート20における図11(b)に表した図とが組み合わされてこの部位におけるベーパーチャンバー1の切断面が表されたものである。
ここで、図12~図15よりわかるように、本形態では、第一シート10の外周液流路部14の幅Bの方が、第二シート20の外周液流路部24の幅Sよりも大きく形成されている。これにより、外周液流路部14に設けられた複数の液流路溝14aのうち蒸気流路4側となる液流路溝14aについては第二シート20の外周液流路部24が重ならないため、開口が塞がらない。従って、この部位では図13~図15にαで示したように第二シート20に対向するような開口が形成され、該開口が蒸気流路4の一部を形成するようになり、蒸気流路4に連通している。
このように凝縮液流路の一部が蒸気流路内に配置されることにより、凝縮液が凝縮液流路である液流路溝14a内に流入し易くなり作動流体の還流がより円滑になる。
ここで、図12~図15よりわかるように、本形態では、第一シート10の内側液流路部15の幅Gの方が、第二シート20の内側液流路部25の幅Tよりも大きく形成されている。これにより、内側液流路部15に設けられた複数の液流路溝15aのうち蒸気流路4側となる液流路溝15aについては第二シート20の内側液流路部25が重ならないため、開口が塞がらない。従って、この部位では図13~図15にβで示したように第二シート20に対向するような開口が形成され、該開口が蒸気流路4の一部を形成するようになり、蒸気流路4に連通している。
このように凝縮液流路の少なくとも一部が蒸気流路内に配置されることにより、凝縮液が凝縮液流路である液流路溝15a内に流入し易くなり作動流体の還流がより円滑になる。
ここで、図12~図14よりわかるように、本形態では、第二シート20の蒸気流路溝26の幅Uの方が、第一シート10の蒸気流路溝16の幅Mよりも大きく形成されている。これにより、上記したように凝縮液流路の少なくとも一部が蒸気流路に配置され、凝縮液が凝縮液流路である液流路溝15aの開口から該液流路溝15aに流入し、作動流体の還流がより円滑になる。
ここで、本形態では、第二シート20の蒸気流路連通溝27の幅Wの方が、第一シート10の蒸気流路連通溝17の幅Pよりも大きく形成されている。これにより、上記したように凝縮液流路の少なくとも一部が蒸気流路に配置され、凝縮液が凝縮液流路である液流路溝14a、15aの開口から該液流路溝14a、15a内に流入し、作動流体の還流がより円滑になる。
図15に表れているように、蒸気流路連通部17、27による蒸気流路4では、内側液流路部15、25の長手方向端部において内側液流路部15の液流路溝15aの開口が蒸気流路4に露出し、この部位では図15にγで示したように第二シート20に対向するように液流路部15aの開口が現れ、蒸気流路4に連通している。これによっても凝縮液流路の少なくとも一部が蒸気流路内に配置されることになり、凝縮液が凝縮液流路3である液流路溝15a内に流入し易くなり作動流体の還流がより円滑になる。
ただし、注入流路5から密閉空間2に対して作動流体を注入した後は、注入流路5は閉鎖されるので、最終的な形態のベーパーチャンバー1では外部と密閉空間2とは連通していない。
第一シート10及び第二シート20の外周形状を有する金属シートに対して、液流路溝14a、15a、蒸気流路溝16、26、及び蒸気流路連通溝17、27をハーフエッチングにより形成する。
次いで、第一シート10及び第二シート20の内面10a、20aを向かい合わせるように重ね、位置決め手段としての穴13a、23aを用いて位置決めし、仮止めを行う。仮止めの方法は特に限定されることはないが、抵抗溶接、超音波溶接、及び接着剤による接着等を挙げることができる。
そして仮止め後に拡散接合を行い恒久的に第一シート10と第二シート20とを接合する。なお、拡散接合の代わりにろう付けにより接合してもよい。
ベーパーチャンバー1は携帯型端末等の筐体内に設置され、CPU等の冷却すべき対象物に取り付けられる。冷却対象物はベーパーチャンバー1の外面10b又は外面20bに直接、又は、熱伝導性の高い粘着剤、シート、テープ等を介して取り付けられる。外面10a、10bのうちどの位置に冷却対象物が取り付けられるかは特に限定されることはなく、携帯型端末等において他の部材の配置との関係により適宜設定される。本形態では図1(a)に点線で示したように、冷却すべき熱源である冷却対象物30を第一シート10の外面10aのうち、本体11のxy方向中央に配置した。従って図1(a)において冷却対象物30は死角となって見えない位置なので点線で表している。
図16には作動流体の流れを説明する図を表した。説明のし易さのため、この図では第二シート20は省略し、第一シート10の内面10aが見えるように表示している。
蒸気流路4内の蒸気は熱源である冷却対象物30から離れ、比較的温度が低いベーパーチャンバー1の外周部に移動し、当該移動の際に順次第一シート10及び第二シート20に熱を奪われながら冷却される。蒸気から熱を奪った第一シート10及び第二シート20はその外面10b、20bに接触した携帯型端末の筐体等に熱を伝え、最終的に熱が外気に放出される。
さらに本形態のベーパーチャンバー1では、凝縮液流路3の一部が蒸気流路4内に設けられているので、凝縮液は図13、図15に矢印Z3で示したように厚さ方向からも蒸気で押し込まれるように、凝縮液流路3に移動する。従って、凝縮液が凝縮液流路3に入りやすく、円滑に作動流体の還流が可能である。
特に、蒸気流路4内に配置されていない一部の凝縮液流路3については、第二シート20により液流路溝14a、15aの開口が塞がれているので断面においてその四方が壁となり、毛管力を高めることができる。これにより、さらに円滑な凝縮液の移動が可能とされている。
そして再度熱源である冷却対象物30からの熱により気化して上記を繰り返す。
また、第二シート20’は、一部(本形態では2つ)の内側液流路部25’が第一シートの内側液流路部よりも長く形成されている。そして、その端部が外周液流路部24にまで達している。
これによれば、図18(b)を図18(a)と対比してわかるように、内側液流路部25’により一部の蒸気流路が狭くなるとともに、この部位については凝縮液流路が蒸気流路に配置される部位がなくなる。
ただし、これによれば、この部位において蒸気流路連通溝がないため、第二シート20’の強度を高めることができ、ベーパーチャンバー全体としても強度を高めることができる。特にベーパーチャンバーはその製造工程において真空引きや接合を行うため変形し易い。これに対してベーパーチャンバー51では少なくとも一部において内側液流路部25’のような構造とすることにより変形を抑制することが可能となる。
また、第一シート10’は、内側液流路部15’が第二シート20の内側液流路部25よりも長く形成されている。そして、蒸気流路連通溝が形成されず、端部が外周液流路部14にまで達している。
これによれば、図20からわかるように、内側液流路部15’に関して蒸気流路が狭くなるが、凝縮液流路(液流路溝)が蒸気流路内に配置される大きさを増加させることができる。従って、当該部位においてさらに凝縮液が凝縮液流路に入り易くなり、作動流体の円滑な還流が向上する。
また、この部位において蒸気流路連通溝がないため、第一シート10’の強度を高めることができ、ベーパーチャンバー全体としても強度を高めることができる。特にベーパーチャンバーではその製造工程において真空引きや接合を行うため変形し易い。これに対してベーパーチャンバー61では内側液流路部15’のような構造とすることにより変形を抑制することが可能となる。
また、第二シート20”では、第二シート20”の内側液流路部25を、第一シート10の内側液流路部15よりも長く形成し、当該部位において蒸気流路連通溝27”を第二シート20の蒸気流路連通溝27に比べてその幅を狭くして外周液流路部24側に寄るように配置している。
これによれば、図22を図15と対比してわかるように、蒸気流路連通溝において、この部位において蒸気流路が狭くなるとともに、この部位においては内側液流路部15の凝縮液流路が蒸気流路内に配置されない。ただし外周液流路部14については蒸気流路4内に配置された形態をとることができる。
これによれば、蒸気流路連通溝が狭く形成されているため、第二シート20”の強度を高めることができ、ベーパーチャンバー全体としても強度を高めることができる。特にベーパーチャンバーではその製造工程において真空引きや接合を行うため変形し易い。これに対してベーパーチャンバー71では変形を抑制することが可能となる。
一方、外周液流路部14については蒸気流路4内に形成された形態をとることができるためこれまで説明したように凝縮液の還流を円滑にすることが可能である。
2 密閉空間
3 凝縮液流路
4 蒸気流路
10 第一シート
10a 内面
10b 外面
10c 側面
11 本体
12 注入部
13 外周接合部
14 外周液流路部
14a 液流路溝
14c 液連通開口
15 内側液流路部
15a 液流路溝
15c 液連通開口
16 蒸気流路溝
17 蒸気流路連通溝
20 第二シート
20a 内面
20b 外面
20c 側面
21 本体
22 注入部
23 外周接合部
24 外周液流路部
25 内側液流路部
26 蒸気流路溝
27 蒸気流路連通溝
Claims (6)
- 内部に密閉された空間が形成されており、該空間に作動流体が封入されたベーパーチャンバーであって、
前記空間には、
前記作動流体が凝縮した液が流れる凝縮液流路を具備する複数の液流路部と、
前記液流路部と同じ方向に延び、前記作動流体が気化した蒸気が流れる複数の蒸気流路と、
前記複数の液流路部の端部及び前記複数の蒸気流路の端部に形成され、前記複数の蒸気流路を連通する蒸気流路連通溝と、を備え、
前記蒸気流路連通溝の厚さ方向の寸法は前記液流路部に隣接する部位のうち少なくとも一部において前記蒸気流路に隣接する部位よりも小さくされている、
ベーパーチャンバー。 - 複数のシートが重なることにより前記空間が形成されており、
前記液流路部は前記複数のシートのうちの少なくとも1つのシートのシート面に設けられた凸部、前記蒸気流路は前記複数のシートのうちの少なくとも1つのシートのシート面に設けられた凹部により形成され、
前記蒸気流路連通溝は前記複数のシートのうち2つのシートのシート面に設けられた凹部同士の重ね合わせにより形成されている、請求項1に記載のベーパーチャンバー。 - 前記液流路部は複数の前記シートのうちの2つのシートのシート面に設けられた凸部同士の重ね合わせにより形成され、
前記2つのシートのうち一方のシートの前記シート面に設けられた前記凸部の、前記凝縮液流路が延びる方向に沿った長さが、他方のシートの前記シート面に設けられた前記凸部の、前記凝縮液流路が延びる方向に沿った長さよりも長いことにより、前記蒸気流路連通溝の流路断面が液流路部に隣接する部位において蒸気流路に隣接する部位よりも狭くされている、請求項2に記載のベーパーチャンバー。 - 内部に密閉された空間が形成されており、該空間に作動流体が封入されたベーパーチャンバーであって、
複数のシートが重なることにより前記空間が形成されており、前記空間には、
前記作動流体が凝縮した液が流れる凝縮液流路を具備する複数の液流路部と、
前記液流路部と同じ方向に延び、前記作動流体が気化した蒸気が流れる複数の蒸気流路と、
前記複数の液流路部の端部及び前記複数の蒸気流路の端部に形成され、前記複数の蒸気流路を連通する蒸気流路連通溝と、を備え、
前記液流路部は複数の前記シートのうちの2つのシートのシート面に設けられた凸部同士の重ね合わせにより形成され、
前記蒸気流路は前記複数のシートのうちの少なくとも1つのシートのシート面に設けられた凹部により形成され、
前記蒸気流路連通溝は前記複数のシートのうち2つのシートのシート面に設けられた凹部同士の重ね合わせにより形成されており、
前記2つのシートのうち一方のシートの前記シート面に設けられた前記凸部の、前記凝縮液流路が延びる方向に沿った長さが、他方のシートの前記シート面に設けられた前記凸部の、前記凝縮液流路が延びる方向に沿った長さよりも長いことにより、前記蒸気流路連通溝の流路断面が前記液流路部に隣接する部位において前記蒸気流路に隣接する部位よりも狭くされている、
ベーパーチャンバー。 - 前記蒸気流路内に前記凝縮液流路の一部が形成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のベーパーチャンバー。
- 前記蒸気流路連通溝内に前記凝縮液流路の一部が形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のベーパーチャンバー。
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