JP7102718B2 - ベーパーチャンバー - Google Patents
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Description
熱源からの熱を輸送した気体状態の作動流体は熱源から離れた位置にまで移動し、周囲に熱を吸収されることで冷却されて凝縮し、液体状態に相変化する。相変化した液体状態の作動流体は凝縮液用流路を通り、熱源の位置にまで戻ってまた熱源からの熱を受けて蒸発して気体状態に変化する。
以上のような作動流体の還流により熱源から発生した熱が熱源から離れた位置に輸送され熱源が冷却される。
このような知見を得て発明者は蒸気流路と連通蒸気流路との交差部分があっても、作動流体の相変化及び還流を円滑に行ない、熱輸送能力を高めることができる構造を具体化して本発明を完成させた。以下、本発明について説明する。ここではわかり易さのため図面の符号を合わせて記載するが、本発明はこの形態に限定されるものではない。
第一シート10は、内面10a、該内面10aとは反対側となる外面10b及び内面10aと外面10bとを連結して厚さを形成する側面10cを備え、内面10a側に作動流体が還流する流路のためのパターンが形成されている。後述するようにこの第一シート10の内面10aと第二シート20の内面20aとが対向するようにして重ね合わされることで密閉空間2が形成される。
注入部12は第一シート10と第二シート20により形成された密閉空間2(例えば図13参照)に対して作動流体を注入する部位であり、本形態では本体11の平面視長方形である一辺から突出する平面視四角形のシート状である。本形態では第一シート10の注入部12は内面10a側も外面10b側も平坦面とされている。
また、第一シート10を構成する材料も特に限定されることはないが、熱伝導率が高い金属であることが好ましい。これには例えば銅、銅合金を挙げることができる。
図2(b)、図3にAで示した外周接合部13の幅は必要に応じて適宜設定することができるが、0.8mm以上3mm以下であることが好ましい。この幅が0.8mmより小さくなると第一シートと第二シートとの接合時における位置ずれが生じた際に接合面積が不足する虞がある。また、この幅が3mmより大きくなると、密閉空間の内容積が小さくなり蒸気流路や凝縮液流路が十分確保できなくなる虞がある。
ここで液流路溝14は溝であることから、その断面形状において、底部、及び底部とは向かい合わせとなる反対側の部位に開口を備えている。
本形態では図5に示したように1つの液流路溝14aの該溝を挟んで幅方向(液流路溝14aが延びる方向に直交する方向)の同じ位置に対向するように液連通開口部14cが配置されている。ただしこれに限定されることはなく、例えば図6に示したように、1つの液流路溝14aの該溝を挟んで幅方向(液流路溝14aが延びる方向に直交する方向)で異なる位置に液連通開口部14cが配置されてもよい。すなわち、この例ではいわゆる千鳥配列状に液連通開口部14cが配置されている。
図2(b)、図3、図4(a)、図4(b)にBで示した外周液流路部14の幅は、ベーパーチャンバー全体の大きさ等から適宜設定することができるが、0.3mm以上2mm以下であることが好ましい。この幅が0.3mmより小さいと外側を還流する液の量が十分得られない虞がある。またこの幅が2mmを超えると内側の液流路や蒸気流路のための空間が十分にとれなくなる虞がある。
そして当該幅Bは第二シートの外周液流路部24の幅S(図11参照)よりも大きいことが好ましい。これにより、後述するように、外周液流路部14のうち少なくとも一部において、液流路溝14aの開口が蒸気流路4に突出して配置され、ここから凝縮液が入りやすくなるため、より円滑に凝縮液を還流させることができる。
流路の毛管力をより強く発揮する観点から、C/Dで表される流路断面におけるアスペクト比(縦横比)は、1.0よりも大きい、又は1.0よりも小さいことが好ましい。その中でも製造の観点からC>Dであることが好ましく、アスペクト比は1.3より大きいことが好ましい。
このなかでも、入隅による角部があることにより表面張力が働きやすく、毛管力によって液の還流が円滑に行われる傾向にあることから、四角形であることが好ましい。
また、図5にFで示した液流路溝14aが延びる方向における隣り合う液連通開口部14cのピッチは300μm以上2700μm以下であることが好ましい。
各内側液流路部15には、内側液流路部15が延びる方向に平行な溝である液流路溝15aが形成され、複数の液流路溝15aが、該液流路溝15aが延びる方向とは異なる方向に所定の間隔で配置されている。従って、図3、図8(a)からわかるように内側液流路部15ではその断面において凹部である液流路溝15aが凹条を形成し、液流路溝15aの間である凸部15bが凸条を形成して、これらが凹凸を繰り返して構成されている。
ここで液流路溝15は溝であることから、その断面形状において、底部、及び底部とは向かい合わせとなる反対側の部位に開口を備えている。
この連通開口部15cについても、連通開口部14cと同様に、図6に示した例に倣って、いわゆる千鳥配列状に連通開口部が配置されてもよい。
図2(b)、図3、図8にGで示した内側液流路部15の幅は、100μm以上200μm以下であることが好ましい。そして当該幅Gは第二シート20の内側液流路部25の幅T(図11(a)参照)よりも大きいことが好ましい。これにより、後述するように、内側液流路部15のうち少なくとも一部において、液流路溝15aの開口を蒸気流路4に突出して配置させることができ、ここから凝縮液が入りやすいため、より円滑な凝縮液の還流をさせることができる。
また、複数の内側液流路部15のピッチは200μm以上4000μm以下であることが好ましい。これにより蒸気流路の流路抵抗を十分に下げ、蒸気の移動と、凝縮液の還流をバランスよく行うことができる。
流路の毛管力をより強く発揮する観点から、H/Jで表される流路断面におけるアスペクト比(縦横比)は、1.0よりも大きい、又は1.0よりも小さいことが好ましい。その中でも製造の観点からH>Jであることが好ましく、アスペクト比は1.3より大きいことが好ましい。
この中でも入隅による角部があることにより表面張力が働きやすく、毛管力で液の還流が円滑に行われる傾向にあることから、四角形であることが好ましい。
また、図8(b)にLで示した、液流路溝15aが延びる方向における隣り合う液連通開口部15cのピッチは300μm以上2700μm以下であることが好ましい。
ここで蒸気流路溝16は溝であることから、その断面形状において、底部、及び底部とは向かい合わせとなる反対側の部位に開口を備えている。
図2(b)、図3にMで示した蒸気流路溝16の幅は、少なくとも上記した液流路溝14a、15aの幅C、幅Hより大きく形成され、100μm以上2000μm以下であることが好ましい。また、蒸気流路溝16のピッチは、内側液流路部15のピッチにより決まるのが通常である。
一方、図3にNで示した蒸気流路溝16の深さは、少なくとも上記した液流路溝14a、15aの深さD、深さJより大きく形成され、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
このように、蒸気流路溝の流路断面積を液流路溝よりも大きくすることにより、作動流体の性質上、凝縮液よりも体積が大きくなる蒸気を円滑に還流することができる。
蒸気流路は蒸気の流動抵抗を小さくすることにより円滑に還流させることができるので、かかる観点から流路断面の形状を決定することもできる。
図2(a)、図2(b)には見易さのために蒸気流路連通溝17と蒸気流路溝16との境界を点線で示したが、これは必ずしも実際には存在しない線である。
図2(b)、図4(b)にPで示した蒸気流路連通溝17の幅は、100μm以上1000μm以下であることが好ましい。
また、図4(b)にQで示した蒸気流路連通溝17の深さは、10μm以上300μm以下であることが好ましく、その中でも蒸気流路溝16の深さNと同じであることが好ましい。これにより製造が容易になる。
蒸気流路連通溝は蒸気の流動抵抗を小さくすることにより円滑な還流させることができるので、かかる観点から流路断面の形状を決定することもできる。
第二シート20は、内面20a、該内面20aとは反対側となる外面20b及び内面20aと外面20bとを連結して厚さを形成する側面20cを備え、内面20a側に作動流体が還流するパターンが形成されている。後述するようにこの第二シート20の内面20aと上記した第一シート10の内面10aとが対向するようにして重ね合わされることで密閉空間2が形成される。
注入部22は第一シート10と第二シート20とにより形成された密閉空間2(図13等参照)に対して作動流体を注入する部位であり、本形態では本体21の平面視長方形である一辺から突出する平面視四角形のシート状である。本形態では第二シート20の注入部22には内面20a側に注入溝22aが形成されており、第二シート20の側面20cから本体21の内側(密閉空間2となるべき部位)とが連通している。
このような第二シート20の厚さ及び構成する材料は第一シート10と同様に考えることができる。
図10(b)、図11にRで示した外周接合部23の幅は上記した本体11の外周接合部13の幅Aと同じであることが好ましい。
なお、このように第二シート20では外周接合部23と外周液流路部24とが面一な平坦面であるため、構造的には両者を区別する境界線は存在しない。しかし、わかり易さのため、図10(a)、図10(b)では点線により両者の境界を表している。
図10(b)、図11にSで示した外周液流路部24の幅は、第一シート10の外周液流路部14の幅Bよりも小さいことが好ましい。これにより、後述するように、外周液流路部14のうち少なくとも一部において、液流路溝14aの開口が外周液流路部24により閉鎖されずに開口し、ここから凝縮液が入りやすいため、より円滑な凝縮液の還流をさせることができる。
かかる観点から、幅Sの大きさは、図4(a)に示した、第一シート10の外周液流路部14の幅Bとの関係で、B/2≦S≦B1であることが好ましい。ここでB1は、外周液流路部14に配置された液流路溝14aのうち、最も蒸気流路溝16側の液流路溝14aの幅の半分である位置と、外周液流路部14の外周接合部13側端部と、の距離を意味する。幅SがB/2より小さいと開口の閉鎖をすることができる液流路溝14aが少なくなるため、凝縮液流路3における毛管力が不足する虞がある。また、幅SがB1より大きくなると蒸気流路4に露出される液流路溝14aの開口が少なくなり、凝縮液の液流路溝14aへの流入が不足する虞がある。
本形態で各内側液流路部25は、その内面20a側の表面が平坦面により形成されている。これにより上記した第一シート10の複数の液流路溝15aのうち少なくとも一部の液流路溝15aの開口を閉鎖して凝縮液流路3を形成する。
かかる観点から、幅Tの大きさは、図8(a)に示した、第一シート10の内側液流路部15の幅Gとの関係で、G2≦T≦G1であることが好ましい。
ここでG1は、図8(a)に示したように、複数の液流路溝15aのうち、蒸気流路溝16側から1つめの液流路溝15aの幅の半分となる位置間の距離である。
またG2は、図8(a)に示したように、複数の液流路溝15aのうち、蒸気流路溝16側から2つめの液流路溝15aの蒸気流路溝16側端部間の距離である。
幅TがG2より小さいと開口の閉鎖をすることができる液流路溝15aが少なくなるため、凝縮液流路3における毛管力が不足する虞がある。また、幅TがG1より大きくなると蒸気流路4に露出される液流路溝15aの開口が少なくなり、凝縮液の液流路溝15aへの流入が不足する虞がある。
ここで蒸気流路溝26は溝であることから、その断面形状において、底部、及び底部とは向かい合わせとなる反対側の部位に開口を備えている。
一方、図11にVで示した蒸気流路溝26の深さは、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
蒸気流路は蒸気の流動抵抗を小さくすることにより作動流体を円滑に還流させることができるので、かかる観点から流路断面の形状を決定することもできる。
ただし、図10(b)に表れているように、突起28のうち注入部22の注入溝22aに隣接する(溝22aの延長上に存する)突起28については該注入溝22aに達しないように間隔が設けられている。注入溝22aの端部を塞ぐことを防止して作動流体の注入を阻害しないように構成されている。
一方、図12(a)にXで示した蒸気流路連通溝27の深さは、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
蒸気流路は蒸気の流動抵抗を小さくすることにより円滑な還流させることができるので、かかる観点から流路断面の形状を決定することもできる。
図13には、図1にXIII-XIIIで示したy方向に沿ってベーパーチャンバー1を厚さ方向に切断した切断面を表した。この図は第一シート10における図3に表した図と、第二シート20における図11に表した図とが組み合わされてこの部位におけるベーパーチャンバー1の切断面が表されたものである。
図14には図13にXIVで示した部位を拡大した図、図15(a)には図14のうち内側液流路部15と内側液流路部25とが重なった部分をさらに拡大した図、図15(b)には図14のうち外周液流路部14と外周液流路部24とが重なった部分をさらに拡大した図をそれぞれ表した。
図16(b)には、図1(a)、図16(a)にXVIb-XVIbで示したx方向に沿ってベーパーチャンバー1の厚さ方向に切断した切断面を表した。この図は第一シート10における蒸気流路連通溝17と第二シート20における蒸気流路連通溝27とが重ねられて連通蒸気流路5が形成された部位における切断面で、連通蒸気流路5の突起28が配置される方向に直交する方向で、いわゆる流路横断面方向における切断面のうち突起28が配置された部位である。
ここで、図13~図15よりわかるように、本形態では、第一シート10の外周液流路部14の幅Bの方が、第二シート20の外周液流路部24の幅Sよりも大きく形成されている。これにより、外周液流路部14に設けられた複数の液流路溝14aのうち蒸気流路4側となる液流路溝14aについては第二シート20の外周液流路部24が重ならないため、開口が塞がらない。従って、この部位では図14、図15(b)にαで示したように第二シート20に対向するような開口が形成され、蒸気流路4に連通している。
このように凝縮液流路3の少なくとも一部が蒸気流路に突出するように配置されることにより、凝縮液が凝縮液流路である液流路溝14a内に流入し易くなり作動流体の還流がより円滑になる。
ここで、図13~図15よりわかるように、本形態では、第一シート10の内側液流路部15の幅Gの方が、第二シート20の内側液流路部25の幅Tよりも大きく形成されている。これにより、内側液流路部15に設けられた複数の液流路溝15aのうち蒸気流路4側となる液流路溝15aについては第二シート20の内側液流路部25が重ならないため、開口が塞がらない。従って、この部位では図14、図15(a)にβで示したように第二シート20に対向するような開口が形成され、蒸気流路4に連通している。
このように凝縮液流路の少なくとも一部が蒸気流路に突出するように配置されることにより、凝縮液が凝縮液流路3である液流路溝15a内に流入し易くなり作動流体の還流がより円滑になる。
ここで、図13、図14よりわかるように、本形態では、第二シート20の蒸気流路溝26の幅Uの方が、第一シート10の蒸気流路溝16の幅Mよりも大きく形成されている。これにより、上記したように凝縮液流路の少なくとも一部が蒸気流路の突出するように配置され、凝縮液が凝縮液流路3である液流路溝15aの開口から該液流路溝15aに流入し、作動流体の還流がより円滑になる。
ここで、本形態では連通蒸気流路5に突起28が設けられている。これにより連通蒸気流路5において内表面積を大きくすることができる。そのため、連通蒸気流路5において蒸気が流路内表面に接触する機会が増え凝縮しやすくなり、作動流体の相変化及び円滑な還流が可能となるため、熱輸送能力を高めることができる。
ただし、注入流路6から密閉空間2に対して作動流体を注入した後は、注入流路6は閉鎖されるので、最終的な形態のベーパーチャンバー1では外部と密閉空間2とは連通していない。
第一シート10及び第二シート20の外周形状を有する金属シートに対して、液流路溝14a、15a、蒸気流路溝16、26、及び蒸気流路連通溝17、27をハーフエッチングにより形成する。
次いで、第一シート10及び第二シート20の内面10aと内面20aとを向かい合わせるように重ね、位置決め手段としての穴13a及び穴23aを用いて位置決めし、仮止めを行う。仮止めの方法は特に限定されることはないが、抵抗溶接、超音波溶接、及び接着剤による接着等を挙げることができる。
そして仮止め後に拡散接合を行い恒久的に第一シート10と第二シート20とを接合する。なお、拡散接合の代わりにろう付けにより接合してもよい。
ベーパーチャンバー1は携帯端末等の筐体内に設置され、CPU等の冷却すべき対象物に取り付けられる。この冷却対象物はベーパーチャンバー1の外面10b又は外面20bに直接、又は、熱伝導性の高い粘着剤、シート、テープ等を介して取り付けられる。外面10a、外面10bのうちどの位置に冷却対象物が取り付けられるかは特に限定されることはなく、携帯端末等において他の部材の配置との関係により適宜設定される。本形態では図1(a)に点線で示したように、冷却すべき熱源である冷却対象物30を第一シート10の外面10aのうち、本体11のxy方向中央に配置した。従って図1(a)において冷却対象物30は死角となって見えない位置なので点線で表している。
図17には作動流体の流れを説明する図を表した。説明のし易さのため、この図では第二シート20は省略し、第一シート10の内面10aが見えるように表示している。
蒸気流路4内の蒸気は熱源である冷却対象物30から離れ、比較的温度が低いベーパーチャンバー1の外周部である連通蒸気流路5に移動し、当該移動の際に順次第一シート10及び第二シート20に熱を奪われながら冷却される。蒸気から熱を奪った第一シート10及び第二シート20はその外面10b、20bに接触した携帯端末の筐体等に熱を伝え、最終的に熱が外気に放出される。
ここで、本形態では図16に表れているように連通蒸気流路5に突起28が設けられて内表面積が大きくされているので、連通蒸気流路5に達した蒸気は凝縮しやすい。従って凝縮、作動流体の還流が円滑に行われて熱輸送量を高めることができる。
さらに本形態では突起28が内側液流路部25を延在するように形成されているので、突起表面で生じた凝縮液がそのまま凝縮液流路3に流れ込むこともでき、これによっても円滑な還流が図られる。
さらに本形態のベーパーチャンバー1では、凝縮液流路3の一部が蒸気流路4に突出するように設けられているので、凝縮液は図14に矢印Z3で示したように厚さ方向からも蒸気で押し込まれるように、凝縮液流路3に移動する。従って、凝縮液が凝縮液流路3に入りやすく、円滑に作動流体の還流が可能である。
特に、蒸気流路4に突出していない一部の凝縮液流路3については、第二シート20により液流路溝14a、15aの開口が塞がれているので断面においてその四方が壁となり、毛管力を高めることができる。これにより、さらに円滑な凝縮液の移動が可能とされている。
そして再度熱源である冷却対象物30からの熱により気化して上記を繰り返す。
また、凝縮液流路3が開口して蒸気流路4に突出するように構成すれば、凝縮液流路への凝縮液の入流が円滑に行われるため、作動流体の還流が良好であり、さらに熱輸送量を高めることができる。
図19(b)は、図18(a)、図18(b)、図19(a)にXIXb-XIXbで示した部位におけるベーパーチャンバー1’の切断面である。
本形態の突起18’は、蒸気流路連通溝17’のうち、第一シート10’の蒸気流路溝16が延びる方向(x方向)の端面に隣接する位置(蒸気流路溝16の延長上)に配置されている。これにより、蒸気流路溝16(蒸気流路4)を移動してきた蒸気が直接突起18’に衝突するように接触するため、効率よく凝縮が進行する。
第一シート10’の蒸気流路連通溝17’において、突起18’が存在しなかった場合の当該蒸気流路連通溝17’の容積(蒸気流路連通溝17’の幅×深さ×長さで算出できる。)をV1(μm3)とし、突起18’の体積の合計をV2(μm3)としたとき、V1/V2が次の範囲にあることが好ましい。
1/24<V2/V1<1/2
これが1/24以下であると突起としての機能が低くなりすぎるとともに、微小であるため製造の観点からも困難となる。一方、1/2以上であると蒸気流路4が狭くなりすぎ、蒸気流路を連通させるという機能が低くなる虞がある。
また、本形態の突起18’の形態は直方体であるがこれに限らず、半球、錐、柱状等であってもよい。
これによれば、連通蒸気流路5に突起18’と突起28とが交互に配列される態様となり、さらに連通蒸気流路5の内表面積を大きくすることができ、作動流体の凝縮を円滑にし、熱輸送量を高めることが可能である。
図24は、図23(a)、図23(b)にXXIV-XXIVで示した部位におけるベーパーチャンバー1’’’の切断面である。この切断面はベーパーチャンバー1’’’における蒸気流路4の横断面が表れる切断面である。
図25(a)は、図23(a)、図23(b)にXXVa-XXVaで示した部位におけるベーパーチャンバー1’’’の切断面である。この切断面はベーパーチャンバー1’’’における連通蒸気流路5が延びる方向で、突起18’が配列される方向の切断面である。
図25(b)は、図23(a)、図23(b)、図24(a)にXXVb-XXVbで示した部位におけるベーパーチャンバー1’’’の切断面である。
さらに、第二シート20’’’では蒸気流路溝が形成されておらず、図24からわかるように、内面側が平坦な面から形成されている。ただし、図23(a)で点線で示したように蒸気流路4を形成する面である蒸気流路形成面26’’’として機能する。図23(a)では実際には面一であるため境界線は現れないが、機能が異なる部分を区別して見やすいようにその境界を点線で表している。
2 密閉空間
3 凝縮液流路
4 蒸気流路
5 連通蒸気流路
10、10’ 第一シート
10a 内面
10b 外面
10c 側面
11 本体
12 注入部
13 外周接合部
14 外周液流路部
14a 液流路溝
14c 液連通開口
15 内側液流路部
15a 液流路溝
15c 液連通開口
16 蒸気流路溝
17、17’ 蒸気流路連通溝(連通蒸気流路用溝)
18’ 突起
20、20’、20’’’ 第二シート
20a 内面
20b 外面
20c 側面
21 本体
22 注入部
23 外周接合部
24 外周液流路部
25 内側液流路部
26 蒸気流路溝
27、27’ 蒸気流路連通溝(連通蒸気流路用溝)
28 突起
Claims (4)
- 第一シート、及び前記第一シートに重ねて接合された第二シートを有し、前記第一シートと前記第二シートとの間には密閉された空間が形成されており、該空間に作動流体が封入されたベーパーチャンバーであって、
前記空間には、前記第一シートと前記第二シートとの重ね合わせにより、前記作動流体が凝縮した液が流れる凝縮液流路と、前記作動流体が気化した蒸気が流れる複数の蒸気流路と、前記複数の蒸気流路を連通する流路である連通蒸気流路と、が形成されており、
前記連通蒸気流路には、流路内に突起が設けられ、
前記連通蒸気流路は前記第一シートの連通蒸気流路用溝と前記第二シートの連通蒸気流路用溝とが重なることにより形成されており、
前記連通蒸気流路の前記突起は、前記第一シートの前記連通蒸気流路用溝及び前記第二シートの前記連通蒸気流路用溝の両方に設けられ、前記第一シートの前記突起と前記第二シートの前記突起とは対向しない位置に配置されている、
ベーパーチャンバー。 - 前記凝縮液流路は、前記第一シートの凸条と前記第二シートの凸条とが重なることにより形成されており、
前記連通蒸気流路の前記突起は、前記第一シートの凸条又は前記第二シートの凸条が前記連通蒸気流路内に延びていることにより形成されている、請求項1に記載のベーパーチャンバー。 - 前記蒸気流路は前記第一シートの溝と前記第二シートの溝とが重なることにより形成されており、
前記連通蒸気流路の前記突起は前記溝の端部に隣接して配置される請求項1又は2に記載のベーパーチャンバー。 - 前記凝縮液流路、及び、前記蒸気流路は、前記第一シート又は前記第二シートの一方に設けられた溝と他方に具備された平坦面とが重なることにより形成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のベーパーチャンバー。
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