JP7347548B2 - リニアアクチュエーター、交換レンズ及び撮像装置 - Google Patents

リニアアクチュエーター、交換レンズ及び撮像装置 Download PDF

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Description

本技術はマグネットと可動コイルを有し可動コイルに通電が行われることにより動作されるリニアアクチュエーター、リニアアクチュエーターを備えた交換レンズ及びリニアアクチュエーターを備えた撮像装置についての技術分野に関する。
マグネットと可動コイルを有し可動コイルに通電が行われることにより可動体に駆動力を付与して移動させるリニアアクチュエーターがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
このようなリニアアクチュエーターは、例えば、交換レンズや撮像装置等を含む各種の電子機器において用いられる。交換レンズや撮像装置等においては、例えば、ズームレンズやフォーカスレンズとして機能する可動レンズと可動レンズを保持するレンズホルダーとが可動体として設けられ、リニアアクチュエーターの駆動力によって可動レンズがレンズホルダーとともに光軸方向へ移動されることによりズーミングやフォーカシング等が行われる。
特許文献1に記載されたリニアアクチュエーターは、マグネットと鉄が交互に結合されて固定ロッドが構成され、ヨークに保持された可動コイルに固定ロッドが挿入され、可動コイルに通電が行われることにより可動コイルに対して固定ロッドが軸方向へ移動する構成にされている。
特許文献2に記載されたリニアアクチュエーターは、マグネットと鉄が交互に結合されて固定ロッドが構成され、ヨークに保持された可動コイルに固定ロッドが挿入され、可動コイルに通電が行われることにより固定ロッドに対して可動コイルとヨークが一体になって軸方向へ移動する構成にされている。
特開2016-86617号公報 特開2015-173580号公報
ところで、上記のようなリニアアクチュエーターにおいて、可動体の安定した動作状態を確保するためには、大きな推力を発生する構成にして駆動力の向上が図られることが必要であり、マグネットとヨークの間に生じる磁気吸着力であるディテント力(残留力)の発生が抑制されることが望ましい。ディテント力は非励磁状態において駆動力が付与されたときのトルク脈動として発生する力である。
ところが、特許文献1及び特許文献2に記載されたリニアアクチュエーターにおいては、可動側又は固定側の一方にマグネットが設けられ可動側又は固定側の他方にヨークが設けられた構成にされており、何れにおいても駆動時にディテント力が発生してしまい、駆動力の低下を来すおそれがある。
また、リニアアクチュエーターにおいては、漏れ磁束の発生による推力の低下によっても駆動力の低下を来すだけでなく、他の電子部品に対するノイズの原因にもなるため、漏れ磁束の発生が抑制されることが望ましい。
そこで、本技術リニアアクチュエーター、交換レンズ及び撮像装置は、駆動時におけるディテント力の発生や漏れ磁束の発生を抑制して駆動力の向上を図り可動体の安定した動作状態を確保することを目的とする。
第1に、本技術に係るリニアアクチュエーターは、少なくとも二つのマグネットと少なくとも一つの内ヨークとを有し前記マグネットと前記内ヨークが交互に結合され角柱状に形成されると共に前記内ヨークには両側に位置された前記マグネットの同極が結合され、前記マグネットの同極面同士が前記内ヨークを挟んで互いに前記マグネットと前記内ヨークの結合方向に吸着力が生じた状態で組まれた固定ロッドと、前記固定ロッドが挿通され前記固定ロッドに対して前記マグネットと前記内ヨークの結合方向へ移動可能な筒状の可動コイルと、固定された状態で前記固定ロッドと離隔して配置され前記固定ロッドと前記可動コイルの外周面における三面を前記結合方向に直交する方向から覆う外ヨークとを備えたものである。
これにより、内ヨークとマグネットを有する固定ロッドとが何れも固定された状態で配置されると共に固定された状態で配置された外ヨークによって固定ロッドと可動コイルの少なくとも一部が外周側から覆われる。また、固定ロッドと可動コイルを扁平な形状に形成することが可能になると共に固定ロッドと可動コイルの形状が簡素になる。
第2に、上記した本技術に係る交換レンズにおいては、前記外ヨークによって前記固定ロッドの前記結合方向における全体が覆われることが望ましい。
これにより、全てのマグネットと内ヨークが外ヨークによって覆われた状態で可動コイルに通電が行われるため、漏れ磁束の発生を効率的に抑制することが可能になる。
に、上記した本技術に係る交換レンズにおいては、前記内ヨークの前記結合方向における長さが前記マグネットと前記内ヨークの前記結合方向における合計の長さに対して30%から65%にされることが望ましい。
これにより、可動コイルに生じる推力の変動が小さくなる。
に、上記した本技術に係る交換レンズにおいては、前記内ヨークの前記結合方向における長さが前記マグネットと前記内ヨークの前記結合方向における合計の長さに対して30%から50%にされることが望ましい。
これにより、隣り合うマグネットと内ヨークの間に生じる吸着力の推力に対する影響が大きくなり過ぎない。
に、上記した本技術に係る交換レンズにおいては、前記結合方向に延びる連結板と前記結合方向に離隔した状態で前記連結板に連結された複数の前記内ヨークとを有する保持フレームが設けられ、前記結合方向において隣り合う前記内ヨーク間に前記マグネットが挿入されることが望ましい。
これにより、内ヨークが離隔した状態で予め連結板に連結された保持フレームにマグネットが挿入されることにより内ヨークに結合される。
に、上記した本技術に係る交換レンズにおいては、前記内ヨークと前記マグネットに跨がった状態で前記固定ロッドに取り付けられる非磁性板が設けられることが望ましい。
これにより、非磁性板によってマグネットと内ヨークの間の結合力が高くなる。
に、上記した本技術に係る交換レンズにおいては、前記固定ロッドを外周側から封止するフィルムチューブが設けられることが望ましい。
これにより、フィルムチューブの補強効果によってマグネットと内ヨークの間の結合力が高くなる。
に、上記した本技術に係る交換レンズにおいては、前記フィルムチューブが熱収縮性を有する材料によって形成され、前記固定ロッドが前記フィルムチューブに挿入された状態で前記フィルムチューブが加熱されることが望ましい。
これにより、固定ロッドが挿入された状態でフィルムチューブが加熱されることによりフィルムチューブが固定ロッドに外周側から密着される。
に、上記した本技術に係る交換レンズにおいては、少なくとも一つの前記マグネットの前記結合方向における長さが他の前記マグネットの前記結合方向における長さと異なる長さにされ、前記マグネットは前記内ヨークに結合される数に応じて前記結合方向における長さが定められることが望ましい。
これにより、少なくとも一つのマグネットの長さが、結合されるマグネットの数に応じて他のマグネットに対して異なる長さにされ、結合方向における部分的な推力の高低を抑制して推力の変動量を小さくすることが可能になる。
10に、上記した本技術に係る交換レンズにおいては、前記マグネットは前記結合方向における中央の断面積が前記結合方向における両端の面積より大きくされることが望ましい。
これにより、結合方向における各位置の磁束密度の差が低減されるため、リニアアクチュエーターにおける推力の急峻な変動状態の発生が抑制される。
11に、上記した本技術に係る交換レンズにおいては、前記マグネットは前記結合方向における中央から両端に近付くに従って断面積が小さくなる形状に形成されることが望ましい。
これにより、結合方向においてマグネットの断面積が変化するため、マグネットの小型化及び軽量化を図った上でリニアアクチュエーターにおける推力の急峻な変動状態の発生が抑制される。
12に、本技術に係る交換レンズは、光軸方向へ移動可能な可動体と前記可動体を光軸方向へ移動させるリニアアクチュエーターとを備え、前記リニアアクチュエーターは、少なくとも二つのマグネットと少なくとも一つの内ヨークとを有し前記マグネットと前記内ヨークが交互に結合され角柱状に形成されると共に前記内ヨークには両側に位置された前記マグネットの同極が結合され、前記マグネットの同極面同士が前記内ヨークを挟んで互いに前記マグネットと前記内ヨークの結合方向に吸着力が生じた状態で組まれた固定ロッドと、前記固定ロッドが挿通され前記固定ロッドに対して前記マグネットと前記内ヨークの結合方向へ移動可能な筒状の可動コイルと、固定された状態で前記固定ロッドと離隔して配置され前記固定ロッドと前記可動コイルの外周面における三面を前記結合方向に直交する方向から覆う外ヨークとを備えたものである。
これにより、リニアアクチュエーターにおいて、内ヨークとマグネットを有する固定ロッドとが何れも固定された状態で配置されると共に固定された状態で配置された外ヨークによって固定ロッドと可動コイルの少なくとも一部が外周側から覆われる。また、固定ロッドと可動コイルを扁平な形状に形成することが可能になると共に固定ロッドと可動コイルの形状が簡素になる。
13に、本技術に係る撮像装置は、光学像を電気的信号に変換する撮像素子と光軸方向へ移動可能な可動体と前記可動体を光軸方向へ移動させるリニアアクチュエーターとを備え、前記リニアアクチュエーターは、少なくとも二つのマグネットと少なくとも一つの内ヨークとを有し前記マグネットと前記内ヨークが交互に結合され角柱状に形成されると共に前記内ヨークには両側に位置された前記マグネットの同極が結合され、前記マグネットの同極面同士が前記内ヨークを挟んで互いに前記マグネットと前記内ヨークの結合方向に吸着力が生じた状態で組まれた固定ロッドと、前記固定ロッドが挿通され前記固定ロッドに対して前記マグネットと前記内ヨークの結合方向へ移動可能な筒状の可動コイルと、固定された状態で前記固定ロッドと離隔して配置され前記固定ロッドと前記可動コイルの外周面における三面を前記結合方向に直交する方向から覆う外ヨークとを備えたものである。
これにより、リニアアクチュエーターにおいて、内ヨークとマグネットを有する固定ロッドとが何れも固定された状態で配置されると共に固定された状態で配置された外ヨークによって固定ロッドと可動コイルの少なくとも一部が外周側から覆われる。また、固定ロッドと可動コイルを扁平な形状に形成することが可能になると共に固定ロッドと可動コイルの形状が簡素になる。
図2乃至図43と共に本技術リニアアクチュエーター、交換レンズ及び撮像装置の実施の形態を示すものであり、本図は、交換レンズと撮像装置を示す斜視図である。 交換レンズの内部構造を一部を切り欠いて示す斜視図である。 交換レンズの内部構造を一部を切り欠き外ヨークを分離して示す斜視図である。 図2のIV-IV線に沿う断面図である。 図2のV-V線に沿う断面図である。 図2のVI-VI線に沿う断面図である。 リニアアクチュエーターの斜視図である。 リニアアクチュエーターの断面図である。 可動コイルの構成を示す概念図である。 レンズホルダーのコイル取付部等を示す拡大斜視図である。 リニアアクチュエーターにおける磁束の発生状態を示す概念図である。 マグネットから発生する磁束の状態を示す概念図である。 マグネットと内ヨークにおいて生じる各力を示す概念図である。 外ヨークの作用を説明するための図であり、上段は外ヨークを有する構成におけるグラフ図であり、下段は外ヨークを有さない構成におけるグラフ図である。 固定ロッドが円柱状に形成されたリニアアクチュエーターの例を示す斜視図である。 可動コイルに二つの円弧部が設けられた例を示す断面図である。 可動コイルに一つの円弧部が設けられた例を示す断面図である。 第1の測定試験の測定結果を示すグラフ図である。 図19乃至図26と共に第2の測定試験の測定結果を示すものであり、本図は、マグネットと内ヨークの合計の長さに対する内ヨークの比が5%の場合を示すグラフ図である。 マグネットと内ヨークの合計の長さに対する内ヨークの比が10%の場合を示すグラフ図である。 マグネットと内ヨークの合計の長さに対する内ヨークの比が20%の場合を示すグラフ図である。 マグネットと内ヨークの合計の長さに対する内ヨークの比が30%の場合を示すグラフ図である。 マグネットと内ヨークの合計の長さに対する内ヨークの比が40%の場合を示すグラフ図である。 マグネットと内ヨークの合計の長さに対する内ヨークの比が50%の場合を示すグラフ図である。 マグネットと内ヨークの合計の長さに対する内ヨークの比が65%の場合を示すグラフ図である。 マグネットと内ヨークの合計の長さに対する内ヨークの比が80%の場合を示すグラフ図である。 第2の測定試験の測定結果に基づいて算出した推力のムラの発生状態を示すグラフ図である。 図29及び図30と共に保持フレームを用いて固定ロッドを構成する例を示すものであり、本図は、保持フレームにマグネットが取り付けられる前の状態を示す分解斜視図である。 保持フレームの断面図である。 保持フレームにマグネットが取り付けられた状態を示す斜視図である。 図32と共に非磁性板が固定ロッドに取り付けられる例を示すものであり、本図は、非磁性板が固定ロッドに取り付けられる前の状態を示す斜視図である。 非磁性板が固定ロッドに取り付けられた状態を示す断面図である。 図34及び図35と共にフィルムチューブが固定ロッドに取り付けられる例を示すものであり、本図は、フィルムチューブが固定ロッドに取り付けられる前の状態を示す分解斜視図である。 フィルムチューブが固定ロッドに取り付けられた状態を示す斜視図である。 フィルムチューブが傾斜面を有する固定ロッドに取り付けられた状態を示す概念図である。 図37及び図38と共にマグネットの結合方向における長さと推力の変動との関係に関する例を示すものであり、本図は、奇数個が配置されたマグネットの結合方向における長さが同じにされた固定ロッドと奇数個が配置されたマグネットの結合方向における長さが異なる長さにされた固定ロッドとを示す概念図である。 マグネットの結合方向における位置に対する推力の大きさを示すグラフ図である。 偶数個が配置されたマグネットの結合方向における長さが同じにされた固定ロッドと偶数個が配置されたマグネットの結合方向における長さが異なる長さにされた固定ロッドとを示す概念図である。 図40と共にマグネットの形状と推力の変動との関係に関する例を示すものであり、本図は、結合方向における断面積が同じ大きさのマグネットを有する固定ロッドにおける推力の変動状態を示す概念図である。 結合方向における断面積が異なる大きさのマグネットを有する固定ロッドにおける推力の変動状態を示す概念図である。 図42と共にマグネット等の結合方向における長さと可動コイルのコイル部間の間隔との関係に関する例を示すものであり、本図は、マグネット等の結合方向における長さが短い場合の例を示す概念図である。 マグネット等の結合方向における長さが長い場合の例を示す概念図である。 撮像装置のブロック図である。
以下に、本技術を実施するための形態を添付図面を参照して説明する。
以下に示した実施の形態は、本技術リニアアクチュエーターをスチルカメラである撮像装置に着脱される交換レンズに設けられるリニアアクチュエーターに適用したものである。尚、本技術の適用範囲は交換レンズに設けられるリニアアクチュエーターに限られることはなく、撮像装置に設けられるリニアアクチュエーターに適用することもでき、撮像装置以外の各種の電子機器に設けられるリニアアクチュエーターに適用することもできる。
以下の説明にあっては、撮像装置による撮影時において撮影者から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、被写体側(物体側)が前方となり、像面側が後方となる。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
また、以下に示すレンズ群は、単数又は複数のレンズにより構成されたものの他、これらの単数又は複数のレンズと絞りやアイリス等の他の光学素子を含んでもよい。
<撮像装置の構成>
先ず、交換レンズ1が着脱される撮像装置100の構成について説明する(図1参照)。
撮像装置100は筐体101の内外に所要の各部が配置されて成る。筐体101には、例えば、上面や後面に各種の操作部102、102、・・・が配置されている。操作部102としては、例えば、電源釦、シャッター釦、ズーム摘子、モード切替摘子等が設けられている。
筐体101の後面には図示しないディスプレイ(表示部)が配置されている。
筐体101の前面には円形状の開口101aが形成され、開口101aの周囲の部分に交換レンズ1を装着するためのマウント部103が設けられている。マウント部103は円環状の結合リング103aと結合リング103aから内方に張り出された円弧状のマウント係合部103b、103b、103bとを有し、マウント係合部103b、103b、103bが周方向に離隔して設けられている。
筐体101の内部にはCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子104が配置され、撮像素子104は開口101aの後方に位置されている。
マウント部103の内側における下端部には円弧状の接点部105が配置されている。
<交換レンズの構成>
次に、交換レンズ1の構成について説明する(図1乃至図10参照)。
交換レンズ1は撮像装置100に着脱可能にされ、外筒2の内外に所要の各部が配置されて成る(図1参照)。
外筒2の外周面には調整用リング3、3が前後に並んだ状態で回転可能に支持されている。調整用リング3、3は、例えば、フォーカシング調整やズーミング調整や絞りの光量調整等を行う機能を有している。
外筒2の内部には複数のレンズ群4、4、・・・が光軸方向(前後方向)に離隔して配置されている。レンズ群4は少なくとも一つのレンズを有し、外筒2の内部にはレンズ群4の各一部として最も前側に位置された前側レンズ4aと前側レンズ4aの後側に位置された他のレンズとが配置されている。
外筒2の後端部にはレンズマウント5が取り付けられている。レンズマウント5には外方に張り出された係合突部5a、5a、5aが周方向に離隔して設けられている。レンズマウント5の後端面には図示しない接続端子が設けられている。
交換レンズ1はレンズマウント5がマウント部103に結合されることにより撮像装置100に装着される。交換レンズ1の撮像装置100への装着は、交換レンズ1の全体を撮像装置100に対して光軸回り方向へ回転させることにより行うことができる。
交換レンズ1が撮像装置100に装着された状態においては、接続端子が撮像装置100の接点部105に接続される。従って、交換レンズ1と撮像装置100の間での信号の授受や電力の供給が可能な状態にされる。
交換レンズ1の撮像装置100からの取り外しは、交換レンズ1の全体を撮像装置100に対して光軸回り方向へ装着時とは反対方向へ回転させ、撮像装置100から引き離すことにより行うことができる。
交換レンズ1の内部には機構ユニット6が配置されている(図2乃至図6参照)。機構ユニット6は内筒7に所要の各部が配置又は支持されて成る。尚、交換レンズ1においては、内筒7が外筒2の一部として外筒2に一体に設けられていてもよい。
内筒7は樹脂材料等の非磁性材料又は磁性材料によって形成され、光軸方向(前後方向)が軸方向にされた円筒状の本体部8と本体部8の軸方向における一端部から内方に張り出された内フランジ部9とを有している。
本体部8の軸方向における一端部には内方に突出された第1の軸受突部10が設けられている。本体部8の軸方向における略中央部には内方に突出された第2の軸受突部11が設けられ、第2の軸受突部11は第1の軸受突部10に対して周方向において略180度反対側に位置されている。
本体部8には中心軸を挟んで反対側の位置に挿入孔8a、8aが形成されている。挿入孔8a、8aは第1の軸受突部10と第2の軸受突部11に対して周方向において、例えば、90度離隔した位置に形成され、本体部8の軸方向においては本体部8の軸方向における一端寄りの位置から他端部に亘る位置に形成されている。尚、挿入孔8a、8aの形成位置は第1の軸受突部10と第2の軸受突部11に対して周方向に90度離隔した位置でなくてもよい。
内フランジ部9にはそれぞれ挿入孔8a、8aの近傍に保持突部12、12が設けられている。保持突部12は直線状の基部12aと基部12aの長手方向における両端部から同じ方向に突出された端部12b、12bとから成る。
内フランジ部9には中心軸を挟んで反対側の位置に取付孔9a、9aが形成されている(図4参照)。取付孔9a、9aは保持突部12、12に対して周方向において、例えば、90度離隔した位置に形成されている。尚、取付孔9a、9aの形成位置は保持突部12、12に対して周方向に90度離隔した位置でなくてもよい。内フランジ部9には保持突部12、12の近傍にそれぞれネジ挿通孔9b、9bと図示しない二つずつの位置決めピンが設けられている(図5参照)。
本体部8の第1の軸受突部10と第2の軸受突部11にはそれぞれ軸受13、13が取り付けられ、内フランジ部9の取付孔9a、9aにもそれぞれ軸受13、13が取り付けられている(図4参照)。
内筒7にはガイド軸14、14が取り付けられている(図2乃至図4参照)。一方のガイド軸14は第1の軸受突部10に取り付けられた軸受13と一方の取付孔9aに取り付けられた軸受13とを介して内筒7に取り付けられ、他方のガイド軸14は第2の軸受突部11に取り付けられた軸受13と他方の取付孔9aに取り付けられた軸受13とを介して内筒7に取り付けられている。
内筒7にはリニアアクチュエーター15、15が本体部8の中心軸を挟んで反対側に配置されている(図2、図3、図5及び図6参照)。リニアアクチュエーター15は固定ロッド16と可動コイル17と外ヨーク18を有している(図7及び図8参照)。
固定ロッド16は少なくとも二つのマグネット19、19、例えば、四つのマグネット19、19、・・・と少なくとも一つの内ヨーク20、例えば、三つの内ヨーク20、20、20とを有し、マグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、20が、例えば、接着等によって交互に一直線状に結合されている。固定ロッド16はマグネット19と内ヨーク20の結合方向に直交する方向の断面形状が、例えば、略矩形状に形成され、全体として扁平な形状に形成されている。固定ロッド16は、略矩形の断面形状において、寸法の小さい方向が厚み方向にされ、寸法の大きい方向が幅方向にされる。
マグネット19はN極とS極がマグネット19と内ヨーク20の結合方向において着磁されている(図8参照)。従って、内ヨーク20を介して隣り合うマグネット19、19においては、同じ極が隣り合うマグネット19、19の間に位置する内ヨーク20に結合され、N極とN極が向き合い又はS極とS極が向き合った状態にされている。
マグネット19、19、・・・は結合方向における長さLmが、例えば、同じにされ、内ヨーク20、20、20は結合方向における長さLyが、例えば、同じにされている。マグネット19の結合方向における長さLmは内ヨーク20の結合方向における長さLyより長くされている。マグネット19、19、・・・はN極とS極の境界19a、19a、・・・が結合方向において所定の位置になるように設定されている。従って、マグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・の結合方向におけるそれぞれの長さに拘わらず、境界19a、19a、・・・の位置はそれぞれ所定の位置に定められている。
内ヨーク20は鉄等の磁性材料によって形成されている。内ヨーク20は、厚みがマグネット19の厚みと、例えば、略同じにされ、幅もマグネット19の幅と、例えば、略同じにされている。
固定ロッド16には結合方向における両端部に結合部材21、21が設けられ、結合部材21、21がそれぞれマグネット19、19に、例えば、接着等によって取り付けられている(図7及び図8参照)。結合部材21にはネジ止め孔21aと位置決め孔21b、21bが形成されている。
可動コイル17は固定ロッド16の形状に応じて全体として略角筒状に形成され、2相構成にされている。可動コイル17は第1相を構成するコイル部17a、17aと第2相を構成するコイル部17b、17bとから成り、コイル部17aとコイル部17bが交互に並んで構成されている。従って、可動コイル17は軸方向においてコイル部17aとコイル部17bとコイル部17aとコイル部17bが順に並らび、コイル部17a、17b、17a、17b間には巻き線17c、17dを通すための所定の隙間M、M、Mが形成されている(図9参照)。
可動コイル17は隙間M、M、Mに接着剤が充填されることによりコイル部17a、17b、17a、17bが順に結合されて構成される。コイル部17a、17aには反対向きの駆動電流が供給され、コイル部17b、17bにも反対向きの駆動電流が供給される(図9に駆動電流の向きを矢印で示す。)。
尚、上記したように、可動コイル17において、コイル部17aとコイル部17aを1本の巻き線17cで接続し、コイル部17bとコイル部17bを1本の巻き線17dで接続することにより、コイル部17a、17b、17a、17bを各別に形成して後工程としてコイル部17aとコイル部17aを接続すると共にコイル部17bとコイル部17bを接続する必要がなく、可動コイル17の形成を容易かつ短時間で行うことができる。尚、第1相を構成するコイル部17aと第2相を構成するコイル部17bの数は任意であり、それぞれ一つでもよく、それぞれ三つ以上であってもよい。
可動コイル17には固定ロッド16が挿通されている(図5、図7及び図8参照)。可動コイル17に通電が行われると、固定ロッド16に発生する磁束との関係において駆動コイル17に推力が発生し、可動コイル17に対する通電の向きに応じて可動コイル17が固定ロッド16の結合方向(光軸方向)に移動される。従って、リニアアクチュエーター15においては、固定ロッド16が固定部として機能し可動コイル17が可動部として機能する。
外ヨーク18は鉄等の磁性材料によって形成されている。外ヨーク18は固定ロッド16と可動コイル17の少なくとも一部を外周側から覆い、板状の材料が所定の形状に折り曲げられて形成されている。外ヨーク18は最も面積の大きいベース面部18aとベース面部18aの両端縁に対して直交する同じ方向に屈曲された側面部18b、18bとから成る。外ヨーク18の長手方向における大きさは固定ロッド16の結合方向における長さと略同じにされている。
上記のように構成されたリニアアクチュエーター15、15は固定ロッド16、16が内筒7に取り付けられる(図4乃至図6参照)。固定ロッド16の内筒7への取付は、フランジ部9に設けられた位置決めピンがそれぞれ一方の結合部材21の位置決め孔21b、21bに挿入されて内筒7に対して位置決めされ、取付ネジ200がフランジ部9のネジ挿通孔9bに挿通され結合部材21のネジ止め孔21aに螺合されることにより行われる。このとき一方の結合部材21の端部が保持突部12の内面に接した状態で配置される。
固定ロッド16は他方の結合部材21が保持部材22によって保持される(図5参照)。保持部材22は樹脂材料等の非磁性材料によって形成され、平板状の保持ベース23と保持ベース23の厚み方向における一方の面から突出された保持枠部24とを有している。保持ベース23における保持枠部24の内側には厚み方向に貫通されたネジ挿通孔23aが形成されている。保持ベース23にはネジ挿通孔23aを挟んだ反対側にそれぞれ図示しない位置決めピンが設けられている。
他方の結合部材21は端部が保持部材22の保持枠部24の内側に挿入され、保持部材22の位置決めピンがそれぞれ位置決め孔21b、21bに挿入されて結合部材21に対して位置決めされ、取付ネジ200が保持部材22のネジ挿通孔23aに挿通され結合部材21のネジ止め孔21aに螺合され、固定ロッド16が保持部材22に保持される。
固定ロッド16を保持した保持部材22は一部が内筒7に形成された挿入孔8aの開口縁に接着等によって固定され、固定ロッド16が保持部材22を介して内筒7に取り付けられる。尚、固定ロッド16は可動コイル17に挿通された状態で保持部材22を介して内筒7に取り付けられる。
外ヨーク18は固定ロッド16が内筒7に取り付けられた状態において、内筒7の本体部8に形成された挿入孔8aに本体部8の外周面側から挿入され、接着等によって内筒7と保持部材22に取り付けられる(図2及び図3参照)。外ヨーク18は長手方向における両端部がフランジ部9に設けられた保持突部12と保持部材22に設けられた保持枠部24とに外側から嵌合された状態で接着等によって内筒7と保持部材22に取り付けられる。
このように外ヨーク18は内筒7と保持部材22に取り付けられるため固定部として機能する。従って、リニアアクチュエーター15においては、固定ロッド16と外ヨーク18が固定部として機能し可動コイル17が可動部として機能する。
外ヨーク18が内筒7と保持部材22に取り付けられた状態においては、外ヨーク18によって固定ロッド16と可動コイル17の各三面が覆われる。即ち、外ヨーク18によって固定ロッド16と可動コイル17における内筒7の中心軸側を向く面以外の面が覆われる。尚、外ヨーク18は、後述するコイル取付部に干渉しない位置であれば固定ロッド16と可動コイル17に対して何れの位置に配置されていてもよい。
ガイド軸14、14には可動体として設けられたレンズホルダー25とレンズ4bが光軸方向へ移動可能に支持されている(図2乃至図6参照)。レンズ4bはレンズ群4の一つであり、レンズホルダー25に保持され、例えば、フォーカスレンズ又はズームレンズとして機能する。
レンズホルダー25は、枠状のレンズ保持部26とレンズ保持部26から外周側において反対方向に突出された被支持部27、27と、レンズ保持部26から外周側において反対方向に突出されたコイル取付部28、28と、レンズ保持部26から外周側においてそれぞれ所定の方向に突出された取付突部29、29とを有している。被支持部27、27とコイル取付部28、28はレンズ保持部26から互いに直交する方向に突出されている。
レンズ保持部26にはレンズ4bが保持されている。レンズ4bはレンズ保持部26に接着や圧入等によって取り付けられている。
被支持部27、27はそれぞれガイド軸14、14に摺動可能に支持されている。従って、レンズホルダー25とレンズ4bは一体になってガイド軸14、14に案内されて光軸方向へ移動される。
コイル取付部28は光軸方向に並ぶ接合部28a、28a、・・・を有し、接合部28a、28a、・・・がレンズ保持部26の径方向において外側に開口する凹状に形成されている(図10参照)。接合部28a、28a、・・・にはそれぞれ可動コイル17のコイル部17a、17b、17a、17bが接着等によって取り付けられている(図3及び図6参照)。従って、可動コイル17に通電が行われ可動コイル17が固定ロッド16に対して光軸方向へ移動されることにより、レンズホルダー25とレンズ4bが可動コイル17に伴って光軸方向へ移動され、可動コイル17とレンズ4bとレンズホルダー25が可動体として機能する。
レンズ4bが光軸方向へ移動されることにより、例えば、フォーカシング又はズーミングが行われる。
取付突部29には光軸方向に延びる検出バー30が取り付けられている(図2、図3及び図6参照)。検出バー30はレンズホルダー25に伴って光軸方向へ移動される。
内筒7における本体部8の内周面には、検出バー30、30に対向する位置にそれぞれ検出器31、31が取り付けられている。検出器31によってレンズホルダー25の移動時における検出バー30の位置が検出され、検出バー30の位置が検出されることによりレンズ4bの光軸方向における位置の検出又は光軸方向における移動量の検出が行われる。
<磁束と可動コイルの関係等>
次に、リニアアクチュエーター15において生じる磁束と可動コイル17の関係等について説明する(図11乃至図13参照)。尚、図11乃至図13はリニアアクチュエーター15において生じる磁束と可動コイル17の関係等を容易に説明するために概念図として示している。
上記したように、リニアアクチュエーター15の固定ロッド16はマグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・が交互に結合されており、マグネット19はN極とS極が結合方向において着磁され、内ヨーク20を介して隣り合うマグネット19、19において同じ極であるN極とN極又はS極とS極が内ヨーク20の両面に結合されている(図11参照)。
尚、図11には、駆動コイル17のコイル部17a又はコイル部17bの結合方向における中央がマグネット19又は内ヨーク20の結合方向における中央に一致して位置されている状態を示す。
マグネット19において生じる磁束Jは、N極からマグネット19の一方の面に結合された内ヨーク20を通って可動コイル17を横切り、外ヨーク18を通ってマグネット19の他方の面に結合された内ヨーク20を通りS極に達する。このときマグネット19のN極側の一端面19bに内ヨーク20が結合されマグネット19のS極側の他端面19cに内ヨーク20が結合されており、磁束JはN極から一端面19bの外周における全周方向へ向かい他端面19cの外周における全周方向からS極へ向かう(図12参照)。
従って、可動コイル17の全周を磁束Jが横切るため、略100%の磁束が可動コイル17の推力に寄与して可動コイル17の全周において推力が発生し、リニアアクチュエーター15における高い駆動効率を確保することができる。
また、可動コイル17の全周において推力が発生してリニアアクチュエーター15における高い駆動効率を確保することができるため、その分、リニアアクチュエーター15における各部を小型にしても十分な駆動力を確保することが可能であり、リニアアクチュエーター15の小型化及び軽量化を図ることができる。
さらに、可動コイル17を横切った磁束Jは可動コイル17の外周側に位置された外ヨーク18を通ってS極へ向かうため、外ヨーク18によって磁束漏れが低減され、駆動コイル17の一層の推力の向上を図ることができる。
特に、リニアアクチュエーター15は外ヨーク18によって結合方向における固定ロッド16の全体が覆われる構成にされている。
従って、全てのマグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・が外ヨーク18によって覆われた状態で可動コイル17に通電が行われるため、漏れ磁束の発生を効率的に抑制することが可能になり、可動コイル17において大きな推力が発生しリニアアクチュエーター15の駆動力の一層の向上を図ることができる。
さらに、リニアアクチュエーター15は、隣り合うマグネット19、19において同じ極が内ヨーク20に結合されている(図13参照)。従って、隣り合うマグネット19、19間において斥力Pが発生するが、リニアアクチュエーター15においては隣り合うマグネット19、19間に内ヨーク20が配置されているため、内ヨーク20とマグネット19、19の間で吸着力Qが生じ、マグネット19、19間に生じる斥力Pが低減される。
また、隣り合うマグネット19、19間に内ヨーク20が配置されているため、その分、隣り合うマグネット19、19が一定の間隔を有した状態で配置され、これによってもマグネット19、19間に生じる斥力Pが低減される。
従って、マグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・の結合時における斥力Pの発生による固定ロッド16の組立の困難性が低減され、隣り合うマグネット19、19において同じ極が内ヨーク20に結合される構成の固定ロッド16を容易かつ安定した状態で組み立てることができる。
尚、図14に外ヨーク18の有無による可動コイル17に生じる推力の大きさについて測定した結果を示す。図14の上段に示すグラフ図は外ヨーク18を有するリニアアクチュエーター15における推力を示し、図14の下段に示すグラフ図は外ヨーク18を有さないリニアアクチュエーターにおける推力を示している。
図14において、横軸は可動コイル17の結合方向における位置を示し、縦軸は可動コイル17に生じる推力を示している。図14には、可動コイル17の第1相と第2相にそれぞれ生じる推力と可動コイル17の第1相と第2相に生じる推力の合力とを示している。第1相はコイル部17a、17aであり、第2相はコイル部17b、17bである。
図14に示すように、外ヨーク18を有するリニアアクチュエーター15において生じる推力は外ヨーク18を有さないリニアアクチュエーターにおいて生じる推力に対して大きくされており、外ヨーク18によって漏れ磁束の発生が抑制され、外ヨーク18が可動コイル17に生じる推力の発生に大きく貢献することが実証されている。
<固定ロッドと可動コイルの形状>
次いで、固定ロッド16と可動コイル17等の形状について説明する(図7、図8、図15乃至図17参照)。
上記したように、固定ロッド16は結合方向における断面形状が、例えば、略矩形状に形成され、可動コイル17が略角筒状に形成されている(図7及び図8参照)。
このように固定ロッド16が角柱状に形成され可動コイル17が角筒状に形成されることにより、固定ロッド16と可動コイル17を扁平な形状に形成することが可能になると共に固定ロッド16と可動コイル17の形状が簡素であるため、リニアアクチュエーター15の薄型化を図ることができると共にリニアアクチュエーター15を容易に形成することができる。
また、固定ロッド16と可動コイル17を扁平な形状に形成することにより、リニアアクチュエーター15が上記のような交換レンズ1に用いられる場合に、フォーカスレンズ又はズームレンズとして機能するレンズ4bの外周側においてリニアアクチュエーター15の配置スペースを小さくすることが可能になり、リニアアクチュエーター15が用いられる装置の小型化を図ることができる。
一方、リニアアクチュエーター15は、例えば、固定ロッド16が円柱状に形成され、可動コイル17が円筒状に形成されてもよい(図15参照)。
このように固定ロッド16が円柱状に形成され可動コイル17が円筒状に形成されることにより、固定ロッド16と可動コイル17の大きさを最小限の大きさにすることが可能であると共に固定ロッド16と可動コイル17の形状が簡素であるため、リニアアクチュエーター15の小型化を図ることができると共にリニアアクチュエーター15を容易に形成することができる。
また、リニアアクチュエーター15において、可動コイル17には対向して位置された第1の円弧部32と第2の円弧部33が設けられ、可動コイル17における第1の円弧部32と第2の円弧部33の間の部分がそれぞれ連結部34、34として設けられ、可動コイル17の内周面に対向する固定ロッド16の外周面が可動コイル17の内周面に相似する形状に形成されてもよい(図16参照)。
固定ロッド16と可動コイル17がこのような形状に形成される場合に、外ヨーク18は第1の円弧部32と連結部34、34にそれぞれ対向する部分を有する形状に形成される。
このように可動コイル17が第1の円弧部32と第2の円弧部33を有し、固定ロッド16が可動コイル17に応じた形状に形成されることにより、固定ロッド16と可動コイル17が全体として円弧状の形状に形成される。従って、交換レンズ1等の円筒部分を有する装置にリニアアクチュエーター15が用いられる場合に、リニアアクチュエーター15を円筒部分の外周に沿って配置することによりスペースの有効活用による装置の小型化を図ることができる。
さらに、リニアアクチュエーター15において、可動コイル17には対向して位置された円弧部35と平面部36が設けられ、可動コイル17における円弧部35と平面部36の間の部分がそれぞれ連結部37、37として設けられ、円弧部35の凸の方向が平面部36から離隔する方向にされ、可動コイル17の内周面に対向する固定ロッド16の外周面が可動コイル17の内周面に相似する形状に形成されてもよい(図17参照)。
固定ロッド16と可動コイル17がこのような形状に形成される場合に、外ヨーク18は円弧部35と連結部37、37にそれぞれ対向する部分を有する形状に形成される。
このように可動コイル17が円弧部35と平面部36を有し、固定ロッド16が可動コイル17に応じた形状に形成されることにより、可動コイル17の環状の形状において内側に凹む部分を形成する必要がない。従って、巻き線17c、17dを内側に凹むように巻回して可動コイル17を形成する必要がなく、巻き線17c、17dの困難な巻回作業を行わなくて済み、可動コイル17を容易に形成することが可能になりリニアアクチュエーター15の製造コストの低減を図ることができる。
また、交換レンズ1等の円筒部分を有する装置にリニアアクチュエーター15が用いられる場合にも、リニアアクチュエーター15を円筒部分の外周に沿って配置することによりスペースの有効活用による装置の小型化を図ることができる。
<リニアアクチュエーターの性能>
続いて、リニアアクチュエーター15の性能について説明する(図18乃至図27参照)。
リニアアクチュエーター15の性能を確認するために第1の測定試験(図18参照)と第2の測定試験(図19乃至図26参照)を行い、第1の測定試験において「可動コイル17に生じる推力」と「マグネット19、19間に生じる斥力」との関係を測定し、第2の測定試験において「可動コイル17に生じる推力」を測定した。尚、第1の測定試験と第2の測定試験は固定ロッド16が円柱状に形成されたリニアアクチュエーター15(図15参照)を用いて行った。
第1の測定試験においては、マグネット19と内ヨーク20の結合方向における長さを変更し、マグネット19と内ヨーク20の長さの比を変化させたときの推力と斥力の大きさを測定した(図18参照)。
図18において、横軸は「内ヨーク20の結合方向における長さの比率」を示し、具体的には、「マグネット19と内ヨーク20の合計の長さに対する内ヨーク20の長さの比率」を示している。図18において、縦軸は「可動コイル17に生じる推力」と「マグネット19、19間に生じる斥力」とを示している。尚、図18に示す推力は、コイル部17a、17a、17b、17bに生じる推力の平均値である。
図18に示すように、推力については、内ヨーク20の長さの比率が20%の付近で最大になり、内ヨーク20の長さの比率が5%から50%までの範囲で3.5ニュートン以上の値になり良好な結果が得られた。
また、図18に示すように、斥力については、内ヨーク20の長さの比率が30%の付近でゼロになり、内ヨーク20の長さの比率がそれ以上になると吸着力が働く結果が得られた。従って、内ヨーク20の長さの比率が大きい範囲ではマグネット19と内ヨーク20の間に生じる力が吸着力になり、固定ロッド16の組立が容易になる。
このように内ヨーク20の結合方向における長さがマグネット19と内ヨーク20の結合方向における合計の長さに対して5%から50%にされることにより、可動コイル17を動作させるための大きな推力を確保した上で固定ロッド16の組立性の向上を図ることができる。
特に、内ヨーク20の結合方向における長さがマグネット19と内ヨーク20の結合方向における合計の長さに対して10%から30%にされることにより、可動コイル17を動作させるための大きな推力を確保することが可能になり、リニアアクチュエーター15の良好な駆動状態を確保することができる。
また、内ヨーク20の結合方向における長さがマグネット19と内ヨーク20の結合方向における合計の長さに対して30%以上にされることにより、斥力が大きく低減されるため、斥力Pの発生による固定ロッド16の組立の困難性が低減され、隣り合うマグネット19、19において同じ極が内ヨーク20に結合される構成の固定ロッド16を容易かつ安定した状態で組み立てることができる。
第2の測定試験においては、マグネット19と内ヨーク20の結合方向における長さを変更し、内ヨーク20の長さの比が変更されたときの可動コイル17に生じる推力の大きさを測定した(図19乃至図26参照)。
図19乃至図26において、横軸は「可動コイル17の結合方向における位置」を示している。図19乃至図26において、縦軸は「可動コイル17の第1相と第2相にそれぞれ生じる推力」と「可動コイル17の第1相と第2相に生じる推力の合力」とを示している。尚、図19乃至図26に示す推力は、コイル部17a、17a、17b、17bに生じる推力の平均値である。第1相はコイル部17a、17aであり、第2相はコイル部17b、17bである。
図27は、図19乃至図26に示す結果に基づいて算出した「推力のムラ」を示している。図27において、横軸は「内ヨーク20の結合方向における長さの比」を示し、具体的には、「マグネット19と内ヨーク20の合計の長さに対する内ヨーク20の長さの比率」を示している。図27において、縦軸は「推力のムラ」を示している。「推力のムラ」は、可動コイル17の第1相と第2相に生じる推力の合力において、最大値に対する最大値と最小値の差を比率として算出した値である。従って、値が大きいほど「推力のムラ」が大きいことを示している。
図27に示すように、推力のムラについて、マグネット19と内ヨーク20の長さの比率が50%の付近で最小になり、内ヨーク20の長さの比率が5%から65%までの範囲で0.2未満の値になり良好な結果が得られた。
このように内ヨーク20の結合方向における長さがマグネット19と内ヨーク20の結合方向における合計の長さに対して5%から65%にされることにより、可動コイル17に生じる推力の変動が小さくなり、リニアアクチュエーター15における推力のムラの発生を抑制して可動コイル17の円滑な動作状態を確保することができる。
<リニアアクチュエーターに関する構成例>
次に、リニアアクチュエーター15に関する各構成例について説明する(図28乃至図34参照)。
第1の構成例は予め組み立てられた保持フレーム38にマグネット19、19、・・・が結合されて固定ロッド16が構成される例である(図28乃至図30参照)。
保持フレーム38は一対の連結板39、39と連結板39、39に連結された内ヨーク20、20、・・・とを有している(図28及び図29参照)。連結板39は、例えば、樹脂材料、アルミニウムや真鍮等の金属材料、カーボン等の非磁性材料によって結合方向に延びる形状に形成されている。内ヨーク20は結合方向に直交する方向における両端部にそれぞれ挿入用凹部20a、20aを有している。
内ヨーク20は挿入用凹部20a、20aにそれぞれ連結板39、39が挿入され、連結板39、39にネジ止め等によって固定されている。内ヨーク20、20、・・・は連結板39、39が延びる方向において等間隔に離隔して位置され、内ヨーク20、20、・・・間にはそれぞれ配置用空間40、40、・・・が形成されている。
保持フレーム38の配置用空間40、40、・・・にはそれぞれマグネット19、19、・・・が挿入されて配置され、マグネット19、19、・・・が隣り合う内ヨーク20、20、・・・に接着等によって結合される(図30参照)。従って、マグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・が交互に結合された固定ロッド16が構成される。尚、マグネット19、19、・・・は配置用空間40、40、・・・に挿入された状態において、連結板39、39にネジ止め等によって取り付けられて隣り合う内ヨーク20、20、・・・に結合されてもよい。
上記のように、リニアアクチュエーター15においては、結合方向に延びる連結板39、39と結合方向に離隔した状態で連結板39、39に連結された内ヨーク20、20、・・・とを有する保持フレーム38が設けられ、結合方向において隣り合う内ヨーク20、20、・・・間にマグネット19、19、・・・が挿入される
従って、内ヨーク20、20、・・・が離隔した状態で予め連結板39、39に連結された保持フレーム38の配置用空間40、40、・・・にそれぞれマグネット19、19、・・・が挿入されることにより内ヨーク20、20、・・・に結合されるため、リニアアクチュエーター15の生産性の向上を図ることができる。
また、交互に位置されるマグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・を積み重ねて結合する場合には、マグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・の加工上の公差が積み上がったり接着剤の厚みのバラツキによりマグネット19、19、・・・の各位置に関する位置精度が低下するおそれがあるが、保持フレーム38が用いられる場合には内ヨーク20、20、・・・が連結板39、39に予め固定されているため、マグネット19、19、・・・の加工上の公差が積み上がることがない。
従って、保持フレーム38が用いられることにより、マグネット19、19、・・・の位置精度が高くなり、リニアアクチュエーター15の良好な駆動状態を確保することができる。
さらに、保持フレーム38が用いられることにより連結板39、39がマグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・の結合力に対して補強を行う補強板としても機能するため、マグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・の間の高い結合力を確保することができる。
さらにまた、保持フレーム38は内ヨーク20、20、・・・が離隔した状態で連結板39、39に連結された構成にされているため、固定ロッド16に外力が付与されたり歪みが生じたときに内ヨーク20、20、・・・に力が分散され、固定ロッド16の高い強度を確保することができると共に固定ロッド16の変形を防止することができる。
加えて、保持フレーム38がマグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・に結合方向において貫通する連結孔を形成して貫通孔に連結部材を挿入してマグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・を連結する構成にされていないため、貫通孔の形成による推力の低下を来すことがなく、リニアアクチュエーター15における大きな推力の維持を図ることができる。
第2の構成例は固定ロッド16に非磁性板41、41が取り付けられる例である(図31及び図32参照)。
非磁性板41、41は固定ロッド16における最大の面積を有する両側面に接着等によって取り付けられ、磁性を有さないため可動コイル17に発生する推力に影響を及ぼさない。非磁性板41は、例えば、樹脂材料、アルミニウムや真鍮等の金属材料、カーボン等の磁性を有さない各種の材料によって形成されている。
非磁性板41が固定ロッド16に取り付けられた状態においては、非磁性板41がマグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・に跨がった状態にされる。
従って、非磁性板41、41によってマグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・の間の結合力が高くなり、リニアアクチュエーター15に発生する推力に影響を及ぼすことなく固定ロッド16の強度を高くすることができる。
また、非磁性板41を黒色等の暗色にしたり非磁性板41の表面に反射防止フィルム等を貼付することにより、非磁性板41での光の反射が抑制され、交換レンズ1や撮像装置100における光の不要な反射による不具合の発生を防止することができる。
第3の構成例は固定ロッド16にフィルムチューブ42が取り付けられる例である(図33乃至図35参照)。
フィルムチューブ42は、例えば、熱収縮性を有し非磁性のフィルム状の材料によって筒状に形成されている(図33参照)。尚、フィルムチューブ42は伸縮性(弾性)を有するゴムや樹脂等の薄手の材料によって形成されていてもよい。
フィルムチューブ42は固定ロッド16を外周側から覆う状態で加熱され、加熱により収縮されて固定ロッド16の外周面に密着される(図34参照)。従って、固定ロッド16は結合方向における両端面を除く部分がフィルムチューブ42によって封止され、マグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・は全体がフィルムチューブ42によって封止される。
このように固定ロッド16を外周側から封止するフィルムチューブ42が設けられることにより、フィルムチューブ42の補強効果によってマグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・の間の結合力が高くなり、リニアアクチュエーター15に発生する推力に影響を及ぼすことなく固定ロッド16の強度を高くすることができる。
また、フィルムチューブ42はフィルム状であるため、厚みが薄く軽量の材料である。従って、フィルムチューブ42が固定ロッド16に取り付けられることにより、リニアアクチュエーター15の大型化及び大重量化を来すことなく、固定ロッド16の強度を高くすることができる。
さらに、フィルムチューブ42が熱収縮性を有する材料によって形成され、固定ロッド16が挿入された状態でフィルムチューブ42が加熱されることによりフィルムチューブ42が固定ロッド16に外周側から密着されるため、固定ロッド16をフィルムチューブ42によって良好な密着状態で容易に封止することができる。
尚、フィルムチューブ42は加熱により収縮されるため、収縮の程度やフィルムチューブ42の収縮前の軸方向における長さによってはフィルムチューブ42の軸方向における両端の位置にバラツキが生じる可能性がある。このようなバラツキが生じると、軸方向における端縁42a、42aがマグネット19と結合部材21の境界の近傍に位置され(図35の左上図参照)、フィルムチューブ42の十分な補強効果が得られなくなるおそれがある。逆に、十分な補強効果を得るためにフィルムチューブ42の軸方向における長さに大きな余裕を持たせると、軸方向における端縁42a、42aが固定ロッド16から外側にはみ出し(図35の右上図参照)、後工程としてフィルムチューブ42のはみ出した部分を切断する必要が生じるおそれがある。
そこで、固定ロッド16における結合部材21、21の結合方向における両端部に、結合方向において両端に近付くに従って外形状が小さくなる傾斜面21c、21cを形成し、フィルムチューブ42の両端部がそれぞれ傾斜面21c、21cに密着される構成にすることが望ましい(図35の下図参照)。
このように結合部材21、21に傾斜面21c、21cを形成しフィルムチューブ42の両端部がそれぞれ傾斜面21c、21cに密着されることにより、フィルムチューブ42が結合方向において伸縮し難くなり、フィルムチューブ42の両端部が傾斜面21c、21c上に保持され易くなる。
従って、端縁42a、42aがマグネット19と結合部材21の境界の近傍に位置されないと共に軸方向における端縁42a、42aの固定ロッド16からの外側へのはみ出しを防止することができ、フィルムチューブ42の固定ロッド16に対する十分な補強効果を得ることができると共にフィルムチューブ42の一部を切断すると言う後工程を不要にすることができる。
<マグネットの結合方向における長さ等>
次いで、マグネット19の結合方向における長さ等について説明する(図36乃至図40参照)。
リニアアクチュエーター15においては、マグネット19、19、・・・が結合方向において配置され同じ極が内ヨーク20に結合された構成にされており、固定ロッド16の構成としては、奇数個のマグネット19が配置された構成と偶数個のマグネット19が配置された構成とがある。
このような構成にされたリニアアクチュエーター15においては、固定ロッド16の隣り合うマグネット19、19で発生する磁束が影響し、マグネット19、19、・・・の配置された数に応じたマグネット19、19、・・・の結合方向における各長さにより、結合方向において推力の変動が発生するおそれがある。
固定ロッド16に奇数個のマグネット19が配置された構成、例えば、五つのマグネット19、19、・・・が配置された構成(図36参照)において、マグネット19、19、・・・の結合方向における長さが同じである場合(図36の上段の図参照)には、中央のマグネット19Aが位置する付近と中央のマグネット19Aの両側に位置するマグネット19B、19B、・・・が位置する付近とにおいて推力の変動が大きくなり易い(図37の破線参照)。
尚、図37は、結合方向における位置に応じた推力の変動状態を示すグラフ図であり、変動量をVで示し、同じ長さの五つのマグネット19、19、・・・が配置された構成における推力の変動量をV1として示している。
そこで、リニアアクチュエーター15においては、マグネット19、19、・・・の結合方向における長さを位置に応じて変化させることが望ましい(図36の下段の図参照)。具体的には、マグネット19Aの結合方向における長さを長くし、マグネット19Aの長さを長くした分、マグネット19B、19Bの長さを短くする構成にすることが望ましい。
この場合に、マグネット19、19、・・・の長さを変更する前後において、境界19a、19a、・・・の位置は変更されないことが望ましい。
マグネット19Aの結合方向における長さを長くし、マグネット19Aの長さを長くした分、マグネット19B、19Bの長さを短くする構成においては、推力の変動量V2が推力の変動量V1より小さくされている(図37の実線参照)。
また、推力の変動量を小さくするために、例えば、マグネット19Aとマグネット19C、19Cの結合方向における長さを長くし、マグネット19A、19C、19Cの長さを長くした分、マグネット19B、19Bの長さを短くする構成にすることも可能である。この場合にも、マグネット19、19、・・・の長さを変更する前後において、境界19a、19a、・・・の位置は変更されないことが望ましい。
一方、固定ロッド16に偶数個のマグネット19が配置され、マグネット19、19、・・・の結合方向における長さが同じである構成(図38の上段の図参照)においても、推力の変動量が大きくなるおそれがある。
そこで、例えば、四つのマグネット19、19、・・・が配置された構成において、中央に位置する二つのマグネット19A、19Aの結合方向における長さを長くし、マグネット19A、19Aの結合方向における長さを長くした分、両側に位置するマグネット19B、19Bの長さを短くする構成にすることが望ましい(図38の下段の図参照)。
この場合にも、マグネット19、19、・・・の長さを変更する前後において、境界19a、19a、・・・の位置は変更されないことが望ましい。
このようにマグネット19A、19Aの結合方向における長さを長くしマグネット19B、19Bの長さを短くした構成においては、マグネット19、19、・・・の結合方向における長さが同じにされた場合に比し、推力の変動を小さくすることが可能である。
上記のように、リニアアクチュエーター15においては、少なくとも一つのマグネット19の結合方向における長さが他のマグネット19の結合方向における長さと異なる長さにされ、マグネット19は内ヨーク20に結合される数に応じて各マグネット19の結合方向における長さが定められる構成にされることが望ましい。
このような構成にすることにより、少なくとも一つのマグネット19の長さが、結合されるマグネット19の数に応じて他のマグネット19に対して異なる長さにされ、結合方向における部分的な推力の高低を抑制して推力の変動量を小さくすることが可能になり、可動コイル17の円滑な動作状態を確保することができる。
また、マグネット19、19、・・・と内ヨーク20、20、・・・が交互に結合された固定ロッド16において、マグネット19の結合方向に直交する方向における断面積が結合方向において同一の形状に形成されている場合(図39参照)、例えば、固定ロッド16が直方体形状や円柱形状に形成されている場合には、推力が急峻に変化する可能性がある(図39の推力F1参照)。推力F1は、マグネット19の境界19a付近で最小になり、内ヨーク20が存在する付近で最大になる。
そこで、推力の急峻な変動状態の発生を抑制するために、マグネット19は結合方向における中央の断面積が結合方向における両端の面積より大きくされることが望ましい(図40参照)。
マグネット19がこのような構成にされることにより、結合方向における各位置の磁束密度の差が低減されるため、リニアアクチュエーター15における推力の急峻な変動状態の発生が抑制され(図39の推力F2参照)、可動コイル17の円滑な動作状態を確保することができる。
特に、図40に示すように、マグネット19は結合方向における中央から両端に近付くに従って断面積が小さくなる形状に形成されることがより望ましい。
マグネット19がこのような形状に形成されることにより、結合方向においてマグネット19の断面積が変化するため、マグネット19の小型化及び軽量化を図った上でリニアアクチュエーター15における推力の急峻な変動状態の発生を抑制して可動コイル17の円滑な動作状態を確保することができる。
<その他>
リニアアクチュエーター15においては、マグネット19と内ヨーク20の結合方向における長さを必要とされる推力等に応じて任意に設定することが可能である。従って、設定されたマグネット19と内ヨーク20の結合方向における長さに応じて可動コイル17のコイル部17a、17b、17a、17bの各位置もそれぞれ所定の位置に設定されることが望ましい。
例えば、設定されたマグネット19と内ヨーク20の結合方向における長さが短い場合には、コイル部17a、17b、17a、17b間の間隔Sが小さくされ(図41参照)、設定されたマグネット19と内ヨーク20の結合方向における長さが長い場合には、コイル部17a、17b、17a、17b間の間隔Sが大きくされることが望ましい(図42参照)。
このようにマグネット19と内ヨーク20の結合方向における長さに応じてコイル部17a、17b、17a、17b間の間隔Sを設定することにより、推力の変動を抑制することが可能になると共に大きな推力を得ることが可能になり、可動コイル17の円滑な動作状態を確保することができる。
また、上記には、マグネット19が角筒状又は円柱状に形成された例を示したが、マグネット19の形状は角筒状又は円柱状に限られることはなく、断面積が楕円にされた形状等の他の形状であってもよい。
<まとめ>
以上に記載した通り、リニアアクチュエーター15、リニアアクチュエーター15を備えた交換レンズ1及びリニアアクチュエーター15を備えた撮像装置100にあっては、マグネット19と内ヨーク20が交互に結合されると共に内ヨーク20には両側に位置されたマグネット19の同極が結合された固定ロッド16と、固定ロッド16が挿通され固定ロッド16に対して結合方向へ移動可能な筒状の可動コイル17と、固定された状態で配置され固定ロッド16と可動コイル17の少なくとも一部を外周側から覆う外ヨーク18とを備えている。
従って、内ヨーク20とマグネット19を有する固定ロッド16とが何れも固定された状態で配置されると共に固定された状態で配置された外ヨーク18によって固定ロッド16と可動コイル17の少なくとも一部が外周側から覆われる。これにより、外ヨーク18とマグネット19と内ヨーク20が何れも固定部とされ可動コイル17が可動部とされており、固定部と可動部の間でディテント力が発生しない構成にされるため、駆動時におけるディテント力の発生や漏れ磁束の発生を抑制して駆動力の向上を図り、可動体、例えば、レンズ4b及びレンズホルダー25の安定した動作状態を確保することができる。
<撮像装置の一実施形態>
以下に、本技術撮像装置の一実施形態の構成例について説明する(図43参照)。
撮像装置100は、撮像機能を担うカメラブロック90が装着され、撮影された画像信号のアナログ-デジタル変換等の信号処理を行うカメラ信号処理部91と、画像信号の記録再生処理を行う画像処理部92とを有している。また、撮像装置100は、撮影された画像等を表示する表示部93と、メモリー99への画像信号の書込及び読出を行うR/W(リーダ/ライタ)94と、撮像装置100の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)95と、カメラブロック90に配置されたレンズの駆動を制御するレンズ駆動制御部96と、ユーザーによって所要の操作が行われる各種のスイッチ等の操作部97(102)とを有している。
カメラブロック90は、例えば、交換レンズ1である。
撮像装置100には、カメラブロック90によって取り込まれた光学像を電気的信号に変換するCCDやCMOS等の撮像素子98(104)が設けられている。
カメラ信号処理部91は、撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行う。
画像処理部92は、所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理等を行う。
表示部93はユーザーの操作部97に対する操作状態や撮影した画像等の各種のデータを表示する機能を有している。尚、撮像装置100においては、表示部93が設けられていなくてもよく、撮影された画像データが他の表示装置に送出されて画像が表示されるように構成されていてもよい。
R/W94は、画像処理部92によって符号化された画像データのメモリー99への書込及びメモリー99に記録された画像データの読出を行う。
CPU95は、撮像装置100に設けられた各回路ブロックを制御する制御処理部として機能し、操作部97からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御する。
レンズ駆動制御部96は、CPU95からの制御信号に基づいてレンズを移動させる駆動源を制御する。
操作部97はユーザーによる操作に応じた指示入力信号をCPU95に対して出力する。
メモリー99は、例えば、R/W94に接続されたスロットに対して着脱可能な半導体メモリー又は撮像装置100の内部に予め組み込まれている半導体メモリーである。
以下に、撮像装置100における動作を説明する。
撮影の待機状態では、CPU95による制御の下で、撮影された画像信号がカメラ信号処理部91を介して表示部93に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、操作部97からの指示入力信号が入力されると、CPU95がレンズ駆動制御部96に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部96の制御に基づいてレンズが移動される。
操作部97からの指示入力信号により撮影動作が行われると、撮影された画像信号がカメラ信号処理部91から画像処理部92に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデータフォーマットのデジタルデータに変換される。変換されたデータはR/W94に出力され、メモリー99に書き込まれる。
メモリー99に記録された画像データを再生する場合には、操作部97に対する操作に応じて、R/W94によってメモリー99から所定の画像データが読み出され、画像処理部92によって伸張復号化処理が行われた後に、再生画像信号が表示部93に出力されて再生画像が表示される。
尚、本技術において、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理から、カメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理、画像処理部92による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理、R/W94によるメモリー99への画像信号の書込処理までの一連の処理の一部のみ、または全てを含む処理のことを言う。
即ち、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理のみを指してもよく、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理までを指してもよく、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理を経て、画像処理部92による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理までを指してもよく、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理、及び画像処理部92による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理までを指してもよく、R/W94によるメモリー99への画像信号の書込処理までを指してもよい。
<本技術>
本技術は、以下のような構成にすることができる。
(1)
少なくとも二つのマグネットと少なくとも一つの内ヨークとを有し前記マグネットと前記内ヨークが交互に結合されると共に前記内ヨークには両側に位置された前記マグネットの同極が結合された固定ロッドと、
前記固定ロッドが挿通され前記固定ロッドに対して前記マグネットと前記内ヨークの結合方向へ移動可能な筒状の可動コイルと、
固定された状態で配置され前記固定ロッドと前記可動コイルの少なくとも一部を外周側から覆う外ヨークとを備えた
リニアアクチュエーター。
(2)
前記外ヨークによって前記固定ロッドの前記結合方向における全体が覆われた
前記(1)に記載のリニアアクチュエーター。
(3)
前記固定ロッドが角柱状に形成され、
前記可動コイルが角筒状に形成された
前記(1)又は前記(2)に記載のリニアアクチュエーター。
(4)
前記固定ロッドが円柱状に形成され、
前記可動コイルが円筒状に形成された
前記(1)又は前記(2)に記載のリニアアクチュエーター。
(5)
前記可動コイルには対向して位置された第1の円弧部と第2の円弧部が設けられ、
前記可動コイルの内周面に対向する前記固定ロッドの外周面が前記内周面に相似する形状に形成された
前記(1)又は前記(2)に記載のリニアアクチュエーター。
(6)
前記可動コイルには対向して位置された円弧部と平面部が設けられ、
前記円弧部の凸の方向が前記平面部から離隔する方向にされ、
前記可動コイルの内周面に対向する前記固定ロッドの外周面が前記内周面に相似する形状に形成された
前記(1)又は前記(2)に記載のリニアアクチュエーター。
(7)
前記内ヨークの前記結合方向における長さが前記マグネットと前記内ヨークの前記結合方向における合計の長さに対して5%から65%にされた
前記(1)から前記(6)の何れかに記載のリニアアクチュエーター。
(8)
前記内ヨークの前記結合方向における長さが前記マグネットと前記内ヨークの前記結合方向における合計の長さに対して5%から50%にされた
前記(1)から前記(7)の何れかに記載のリニアアクチュエーター。
(9)
前記結合方向に延びる連結板と前記結合方向に離隔した状態で前記連結板に連結された複数の前記内ヨークとを有する保持フレームが設けられ、
前記結合方向において隣り合う前記内ヨーク間に前記マグネットが挿入される
前記(1)から前記(8)の何れかに記載のリニアアクチュエーター。
(10)
前記内ヨークと前記マグネットに跨がった状態で前記固定ロッドに取り付けられる非磁性板が設けられた
前記(1)から前記(8)の何れかに記載のリニアアクチュエーター。
(11)
前記固定ロッドを外周側から封止するフィルムチューブが設けられた
前記(1)から前記(8)の何れかに記載のリニアアクチュエーター。
(12)
前記フィルムチューブが熱収縮性を有する材料によって形成され、
前記固定ロッドが前記フィルムチューブに挿入された状態で前記フィルムチューブが加熱される
前記(11)に記載のリニアアクチュエーター。
(13)
少なくとも一つの前記マグネットの前記結合方向における長さが他の前記マグネットの前記結合方向における長さと異なる長さにされ、
前記マグネットは前記内ヨークに結合される数に応じて前記結合方向における長さが定められた
前記(1)から前記(12)の何れかに記載のリニアアクチュエーター。
(14)
前記マグネットは前記結合方向における中央の断面積が前記結合方向における両端の面積より大きくされた
前記(1)から前記(13)の何れかに記載のリニアアクチュエーター。
(15)
前記マグネットは前記結合方向における中央から両端に近付くに従って断面積が小さくなる形状に形成された
前記(14)に記載のリニアアクチュエーター。
(16)
光軸方向へ移動可能な可動体と前記可動体を光軸方向へ移動させるリニアアクチュエーターとを備え、
前記リニアアクチュエーターは、
少なくとも二つのマグネットと少なくとも一つの内ヨークとを有し前記マグネットと前記内ヨークが交互に結合されると共に前記内ヨークには両側に位置された前記マグネットの同極が結合された固定ロッドと、
前記固定ロッドが挿通され前記固定ロッドに対して前記マグネットと前記内ヨークの結合方向へ移動可能な筒状の可動コイルと、
固定された状態で配置され前記固定ロッドと前記可動コイルの少なくとも一部を外周側から覆う外ヨークとを備えた
交換レンズ。
(17)
光学像を電気的信号に変換する撮像素子と光軸方向へ移動可能な可動体と前記可動体を光軸方向へ移動させるリニアアクチュエーターとを備え、
前記リニアアクチュエーターは、
少なくとも二つのマグネットと少なくとも一つの内ヨークとを有し前記マグネットと前記内ヨークが交互に結合されると共に前記内ヨークには両側に位置された前記マグネットの同極が結合された固定ロッドと、
前記固定ロッドが挿通され前記固定ロッドに対して前記マグネットと前記内ヨークの結合方向へ移動可能な筒状の可動コイルと、
固定された状態で配置され前記固定ロッドと前記可動コイルの少なくとも一部を外周側から覆う外ヨークとを備えた
撮像装置。
100 撮像装置
104 撮像素子
1 交換レンズ
15 リニアアクチュエーター
16 固定ロッド
17 可動コイル
18 外ヨーク
19 マグネット
20 内ヨーク
32 第1の円弧部
33 第2の円弧部
35 円弧部
36 平面部
38 保持フレーム
39 連結板
41 非磁性板
42 フィルムチューブ
19A マグネット
19B マグネット
19C マグネット
98 撮像素子

Claims (13)

  1. 少なくとも二つのマグネットと少なくとも一つの内ヨークとを有し前記マグネットと前記内ヨークが交互に結合され角柱状に形成されると共に前記内ヨークには両側に位置された前記マグネットの同極が結合され、前記マグネットの同極面同士が前記内ヨークを挟んで互いに前記マグネットと前記内ヨークの結合方向に吸着力が生じた状態で組まれた固定ロッドと、
    前記固定ロッドが挿通され前記固定ロッドに対して前記マグネットと前記内ヨークの結合方向へ移動可能な筒状の可動コイルと、
    固定された状態で前記固定ロッドと離隔して配置され前記固定ロッドと前記可動コイルの外周面における三面を前記結合方向に直交する方向から覆う外ヨークとを備えた
    リニアアクチュエーター。
  2. 前記外ヨークによって前記固定ロッドの前記結合方向における全体が覆われた
    請求項1に記載のリニアアクチュエーター。
  3. 前記内ヨークの前記結合方向における長さが前記マグネットと前記内ヨークの前記結合方向における合計の長さに対して30%から65%にされた
    請求項1に記載のリニアアクチュエーター。
  4. 前記内ヨークの前記結合方向における長さが前記マグネットと前記内ヨークの前記結合方向における合計の長さに対して30%から50%にされた
    請求項1に記載のリニアアクチュエーター。
  5. 前記結合方向に延びる連結板と前記結合方向に離隔した状態で前記連結板に連結された複数の前記内ヨークとを有する保持フレームが設けられ、
    前記結合方向において隣り合う前記内ヨーク間に前記マグネットが挿入される
    請求項1に記載のリニアアクチュエーター。
  6. 前記内ヨークと前記マグネットに跨がった状態で前記固定ロッドに取り付けられる非磁性板が設けられた
    請求項1に記載のリニアアクチュエーター。
  7. 前記固定ロッドを外周側から封止するフィルムチューブが設けられた
    請求項1に記載のリニアアクチュエーター。
  8. 前記フィルムチューブが熱収縮性を有する材料によって形成され、
    前記固定ロッドが前記フィルムチューブに挿入された状態で前記フィルムチューブが加熱される
    請求項7に記載のリニアアクチュエーター。
  9. 少なくとも一つの前記マグネットの前記結合方向における長さが他の前記マグネットの前記結合方向における長さと異なる長さにされ、
    前記マグネットは前記内ヨークに結合される数に応じて前記結合方向における長さが定められた
    請求項1に記載のリニアアクチュエーター。
  10. 前記マグネットは前記結合方向における中央の断面積が前記結合方向における両端の面積より大きくされた
    請求項1に記載のリニアアクチュエーター。
  11. 前記マグネットは前記結合方向における中央から両端に近付くに従って断面積が小さくなる形状に形成された
    請求項10に記載のリニアアクチュエーター。
  12. 光軸方向へ移動可能な可動体と前記可動体を光軸方向へ移動させるリニアアクチュエーターとを備え、
    前記リニアアクチュエーターは、
    少なくとも二つのマグネットと少なくとも一つの内ヨークとを有し前記マグネットと前記内ヨークが交互に結合され角柱状に形成されると共に前記内ヨークには両側に位置された前記マグネットの同極が結合され、前記マグネットの同極面同士が前記内ヨークを挟んで互いに前記マグネットと前記内ヨークの結合方向に吸着力が生じた状態で組まれた固定ロッドと、
    前記固定ロッドが挿通され前記固定ロッドに対して前記マグネットと前記内ヨークの結合方向へ移動可能な筒状の可動コイルと、
    固定された状態で前記固定ロッドと離隔して配置され前記固定ロッドと前記可動コイルの外周面における三面を前記結合方向に直交する方向から覆う外ヨークとを備えた
    交換レンズ。
  13. 光学像を電気的信号に変換する撮像素子と光軸方向へ移動可能な可動体と前記可動体を光軸方向へ移動させるリニアアクチュエーターとを備え、
    前記リニアアクチュエーターは、
    少なくとも二つのマグネットと少なくとも一つの内ヨークとを有し前記マグネットと前記内ヨークが交互に結合され角柱状に形成されると共に前記内ヨークには両側に位置された前記マグネットの同極が結合され、前記マグネットの同極面同士が前記内ヨークを挟んで互いに前記マグネットと前記内ヨークの結合方向に吸着力が生じた状態で組まれた固定ロッドと、
    前記固定ロッドが挿通され前記固定ロッドに対して前記マグネットと前記内ヨークの結合方向へ移動可能な筒状の可動コイルと、
    固定された状態で前記固定ロッドと離隔して配置され前記固定ロッドと前記可動コイルの外周面における三面を前記結合方向に直交する方向から覆う外ヨークとを備えた
    撮像装置。
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