JP2006136051A - リニアモーター - Google Patents
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Abstract
【課題】リニアモーターのコストの大半を占める磁石のコストを低減し、リニアモーターを安価に提供する。
【解決手段】パイプ状部材21に複数の磁石体24を収納してなる固定子20と、コイルを備える可動子30とからなるリニアモーター10である。パイプ状部材21には隣り合う磁石体24同士が互いに反発しあうように収納されており、磁石体24は固定子20の両端部の磁束密度が中央部の磁束密度よりも高くなるように配置されているので、可動子30が加速または減速する固定子20の両端部で充分な推力を得ることができ、また磁束密度が低い中央部でも可動子30が一定速度で移動するのに充分な推力を得ることができ、固定子20の磁束密度が低い中央部に用いる磁石のコストを最低限に抑えることができる。
【選択図】図2
【解決手段】パイプ状部材21に複数の磁石体24を収納してなる固定子20と、コイルを備える可動子30とからなるリニアモーター10である。パイプ状部材21には隣り合う磁石体24同士が互いに反発しあうように収納されており、磁石体24は固定子20の両端部の磁束密度が中央部の磁束密度よりも高くなるように配置されているので、可動子30が加速または減速する固定子20の両端部で充分な推力を得ることができ、また磁束密度が低い中央部でも可動子30が一定速度で移動するのに充分な推力を得ることができ、固定子20の磁束密度が低い中央部に用いる磁石のコストを最低限に抑えることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、リニアモーターに関する。
OA機器における印字ヘッドや露光操作ヘッド、医療機器における露光操作手段等の搬送精度が要求される部位には、リニアモーターを利用することが提案されている。リニアモーターを利用した機器の一例として、放射線画像読取装置がある。
X線画像のような放射線画像は、病気診断などに多く用いられている。従来では、このような放射線画像を得るために、被写体を通過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じさせてこの可視光を通常の写真を撮るときと同じように銀塩を使用したフィルムに照射して現像した、いわゆる放射線写真が利用されていた。しかし、近年銀塩を塗布したフィルムを使用しないで蛍光体層から直接画像を取り出す手法が工夫されるようになった。
この手法の一例としては、患者などの被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後、この蛍光体を例えば、光又は熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出して画像化するものがある。支持体上に輝尽性蛍光体層を形成した輝尽性蛍光体プレートを使用するもので、この輝尽性蛍光体プレートの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当てて、被写体各部の放射線透過度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて潜像を形成し、しかる後に、この輝尽性蛍光体層を輝尽励起光で走査することによって、各部の蓄積された放射線エネルギーを放射させて、これを光に変換し、この光の強弱をフォトマルチプライヤーなどの光電変換手段を介して画像信号に変換して、デジタル画像データとして放射線画像を得るものである。
このようなデジタル画像データに基づいて、銀塩フィルムに画像形成が行われ、あるいはCRT等に画像が出力されて可視化される。また、デジタル画像データは、半導体記憶装置、磁気記憶装置、光ディスク記憶装置等の画像記憶装置に格納され、その後、必要に応じてこれら画像記憶装置から取り出されて銀塩フィルム、CRT等を介して可視化することができる。
ところで、輝尽性蛍光体プレートを輝尽励起光で走査する場合に、輝尽性蛍光体プレートに対して画像読取部(光学ユニット)を一定の速度で精密に相対移動させなければならない。すなわち、搬送体における等速性が要求されており、高性能な速度制御を行うことが必要とされている。
このため、従来技術においては、搬送体の駆動源としてリニアモーターと、ガイド部材によって輝尽性蛍光体プレートを案内しつつ輝尽性蛍光体プレートを画像読取部に対して移動させる画像読取装置が知られており、これによって搬送体を滑らかに移動させている(例えば、特許文献1参照)。
リニアモーターとしては、例えば、特許文献1等に記載されているように、中心に貫通孔のある円筒磁石を用い、複数の円筒磁石の貫通孔に中心軸を通すとともに、これをパイプ状部材に挿入して固定子(シャフト)を作成し、固定子に沿ってコイルを備える可動子を移動可能に配置したシャフト型リニアモーターがある。このようなシャフト型リニアモーターは、従来の平板状磁石を用いたリニアモーターに比べ、速度性能や省スペースという点でOA機器等における精密搬送に適している。
特開2003−248276号公報
特開平10−313566号公報
ところで、固定子の両端部では、可動子が始動または停止するのに大きな推力が必要となる。一方、固定子の中央部は可動子が一定速度で移動するため、小さな推力で充分である。しかし、推力が必要な両端部に合わせて磁束密度が高い磁石を固定子全体に用いると、磁石にかかるコストが大きくなる。また、小さな推力で充分な中央部に合わせて磁束密度が低い磁石を固定子全体に用いると、両端部では可動子が始動または停止するのに充分な推力が得られない。
本発明の課題は、リニアモーターのコストの大半を占める磁石のコストを低減しながら、可動子の推力を得るのに充分な磁束密度を固定子が備えたリニアモーターを安価に提供することである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば図2に示すように、パイプ状部材21に複数の磁石体24を収納してなる固定子20と、コイルを備える可動子30とからなるリニアモーター10において、前記パイプ状部材21には隣り合う前記磁石体24同士が互いに反発しあうように収納されており、前記磁石体24は前記固定子20の両端部の磁束密度が中央部の磁束密度よりも高くなるように配置されていることを特徴とする。
ここで、磁石体とは、全体として単一の磁極対を構成するものである。磁石体24として1つの磁石を用いてもよいし、磁石体24を複数の磁石から構成してもよい。
請求項1に記載の発明によれば、固定子20の両端部の磁束密度が中央部の磁束密度よりも高いので、可動子30が加速または減速する固定子20の両端部で充分な推力を得ることができ、また磁束密度が低い中央部でも可動子30が一定速度で移動するのに充分な推力を得ることができ、固定子20の中央部に用いる磁石体24のコストを最低限に抑えることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリニアモーター10であって、前記固定子20は、両端部から中央部に向かって磁束密度が徐々に減少するように構成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、固定子20の両端部から中央部に向かって磁束密度が徐々に減少するように構成されているので、磁束密度の変化に伴い可動子30の推力が急激に変化することなく安定した搬送を行うことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のリニアモーター10であって、前記固定子20の両端部側ほど磁束密度が高い磁石体24が、中央部側ほど磁束密度が低い磁石体24が配置されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、高い磁束密度が要求される固定子20の両端部ほど磁束密度が高い磁石体24を配置するとともに、高い磁束密度が要求されない中央部側ほど磁束密度が低い安価な磁石体24を配置するので、リニアモーター10にかかる磁石のコストを抑えることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリニアモーター10であって、前記磁石体24は前記固定子20の両端部では隣り合う磁石体24と密着して配置されるとともに、前記固定子20の中央部側ほど隣り合う磁石体24との間隔を離間させて配置されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、高い磁束密度が要求される固定子20の両端部ほど隣り合う磁石体24同士を密着させて配置するとともに、高い磁束密度が要求されない中央部側ほど隣り合う磁石体24との間隔を離間させて配置するので、リニアモーター10にかかる磁石のコストを抑えることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のリニアモーター10であって、前記磁石体24の軸方向の長さは前記固定子20の両端部側ほど長く、中央部ほど短いことを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、隣り合う磁石体24同士が密着する固定子20の両端部では長い磁石体24を用いるとともに、隣り合う磁石体24との間隔を離間させて配置される固定子20の中央部側ほど短い磁石体24を用いることで、磁石の使用量が減り、コスト面及び重量面で有利となる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリニアモーター10であって、前記磁石体24は互いに吸着する方向に向けられた一対の磁石241の間に、前記一対の磁石241と互いに吸着する方向に向けられた磁石241、及び/または、磁性体(スペーサー242)を少なくとも1つ挟み、一体に形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、一対の磁石241の間に挟む磁石241及び/または磁性体(スペーサー242)の組み合わせを適宜変更して、磁石体24を一体に形成することで、任意の磁束密度及び軸方向の長さである磁石体24を形成することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリニアモーター10であって、前記磁石体24は互いに吸着する方向に向けられた一対の磁石241の間に、前記一対の磁石241と互いに吸着する方向に向けられかつ前記一対の磁石241と同じ磁気特性を有する磁石、及び/または、前記一対の磁石241に吸着する方向に向けられかつ前記一対の磁石241よりも低い磁気特性を有する磁石を少なくとも1つ挟み、一体に形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、一対の磁石241の間に挟む磁石の強度の組み合わせを適宜変更して、磁石体24を一体に形成することで、任意の磁束密度及び軸方向の長さである磁石体24を形成することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載のリニアモーター10であって、前記磁石体24は前記固定子20の軸方向に一定の長さに形成されており、前記磁石体24の軸方向の長さに対する前記磁性体(スペーサー242)の軸方向の長さの割合は前記固定子20の中央部ほど多く、両端部ほど少ないことを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、磁石体24が一定の長さに形成されており、磁石体24の軸方向の長さに対する磁性体(スペーサー242)の軸方向の長さの割合を固定子20の中央部ほど多く、両端部ほど少なくすることで、固定子20の磁束密度を中央部から両端部に向かって高くなるように磁束密度の分布を形成することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項6に記載のリニアモーター10であって、前記磁石体24は前記固定子20の軸方向に一定の長さに形成されており、前記磁石体24の軸方向の長さに対する前記低い磁気特性を有する磁石の軸方向の長さの割合は前記固定子20の中央部ほど多く、両端部ほど少ないことを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、磁石体24が一定の長さに形成されており、磁石体24の軸方向の長さに対する前記低い磁気特性を有する磁石の軸方向の長さの割合を固定子20の中央部ほど多く、両端部ほど少なくすることで、固定子20の磁束密度を中央部から両端部に向かって高くなるように磁束密度の分布を形成することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項6〜9のいずれか一項に記載のリニアモーター10であって、前記磁石241及び前記磁性体(スペーサー242)は、固定子20の軸方向に一定の長さに形成され、前記磁石体24は前記磁石241及び/または前記磁性体を一定数合わせてなることを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、固定子20の軸方向に一定の長さに形成された磁石241及び/または磁性体(スペーサー242)を一定数合わせて、一定の長さの磁石体24を形成することができ、磁極ピッチを均等に保つことができる。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のリニアモーター10であって、前記磁石体24の外形は円柱形状であることを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、磁石体24の外形が円柱形状であるので、円筒形のパイプ状部材21の内部に効率よく磁石体24を収納することができる。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のリニアモーターであって、前記磁石体24には希土類磁石が用いられていることを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、磁力が強い希土類磁石を用いることで、他の磁石に比べて高い推力を得ることができるので、磁石体24を小さくして固定子20を細くし、リニアモーター10を小型化することができる。
本発明によれば、可動子が加速または減速する固定子の両端部で充分な推力を得ることができるとともに、磁束密度が低い中央部でも可動子が一定速度で移動するのに充分な推力を得ることができ、固定子に用いる磁石のコストを最低限に抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。
図1は本発明の適用された放射線画像読取装置1である。放射線画像読取装置1は、光学ユニット5、搬送台3、リニアモーター10、直動ガイド4、リニアエンコーダ7、プレート支持部6とを主な構成要素とし、これらを支持するベース2と、これらを覆う外装カバー8とから概略構成されている。なお、本実施の形態では、リニアモーター10により光学ユニット5を搬送する構成の放射線画像読取装置1について説明するが、本発明はこれに限らず、後述する輝尽性蛍光体プレート9を搬送する構成としてもよい。
ベース2の上部には、リニアモーター10、搬送台3、直動ガイド4、リニアエンコーダ7、光学ユニット5、プレート支持部6等が設けられている。
リニアモーター10は、棒状の固定子20と、可動子30とからなる。固定子20はパイプ状部材21の内部に複数個の磁石体24を隣り合う磁石体24同士が互いに反発しあうように収納しており、両端を固定子保持部40に保持されてベース2と平行に固定されている。また固定子20は可動子30の中央に挿通されている。
可動子30は搬送台3の下面に固定されている。可動子30の内部にはコイルが収納されている。コイルとしては複数相、例えば三相からなるコイル群を用いることができるが、これに限定されない。また、可動子30には固定子20を挿通させる挿通孔が設けられている。コイルに交流電流を流すと、可動子30は固定子20に収納された磁石体24と反発する磁力を得て、固定子20の軸方向に移動する。
搬送台3は、光学ユニット5を支持しており、下面に固定された可動子30とともに固定子20の軸方向へ移動する。直動ガイド4は、ベース2上に固定子20と平行に配設され、搬送台3の移動を補助する。リニアエンコーダ7は、ベース2上に固定子20と平行に配設されたスケール71と、搬送台3に設けられ、一定の間隔を保ちつつスケール71に沿って移動するヘッド72とからなる。リニアエンコーダ7は搬送台3の位置を計測する。
光学ユニット5は、レーザ光を光学ユニット5の移動方向と直交する方向に走査させながら輝尽性蛍光体プレート9に対して照射するレーザ光照射装置(図示せず)と、レーザ光照射装置により輝尽性蛍光体プレート9にレーザ光が照射されることで励起された輝尽発光光を導く導光板51と、導光板51により導かれた輝尽発光光を集光する集光管52と、集光管52により集光された輝尽発光光を電気信号に変換する光電変換器53とを有している。
なお、本発明の画像読取装置には、図示しないが光学ユニット5により放射線エネルギーの読取処理がなされた後、輝尽性蛍光体プレート9に残留する放射線エネルギーを放出させるために輝尽性蛍光体プレート9に対して消去光を照射する消去装置が設けられている。
プレート支持部6は、X線撮影された輝尽性蛍光体プレート9を、光学ユニット5が移動する方向と平行に支持する。輝尽性蛍光体プレート9には、X線撮影により透過された潜像が記録されており、レーザ光照射装置によりレーザ光が照射され線量に応じた輝尽発光光を発する。輝尽発光光は光電変換器53により光電変換され、デジタル画像データが得られる。得たデジタル画像データは、しかる手段により放射線画像として可視化することができる。
外装カバー8は、これらの装置を覆うように設けられている。外装カバー8には輝尽性蛍光体プレート9を装置内部に投入、または排出するための投入・排出口81が設けられている。
ここで、リニアモーター10の固定子20についてさらに詳細に説明する。固定子20は、図2に示すように、パイプ状部材21と、キャップ23と、複数の磁石体24とからなる。
パイプ状部材21の材料としては、アルミニウム合金、銅合金、非磁性ステンレス鋼等の非磁性材料を用いることが好ましい。また、パイプ状部材21は、その外側に配置される可動子30に作用させる磁界を減少させないように、できるだけ薄いほうが好ましい。例えば、ステンレス鋼を用いて厚さ約1mmのパイプ状部材21を形成することができる。
パイプ状部材21の両端は磁石体24をパイプ状部材21の内部に収納するために開口しており、それぞれの開口を塞ぐキャップ23が設けられている。キャップ23はパイプ状部材21と同様の非磁性材料を用いて形成することができる。
パイプ状部材21の内部には、複数の磁石体24が隣接する磁石体24と互いに反発するように同じ磁極を対向させ、所望の磁極ピッチが得られるように収納されており、キャップ23はパイプ状部材21の両端部から磁石体24が反発力により抜け出ることを規制する。
ここで、磁石体とは、全体として単一の磁極対を構成するものである。磁石体24としては1つの磁石を用いてもよいし、後述するように複数の磁石や磁性体から構成してもよいが、磁石体24の最大寸法は、所望の磁極ピッチ以下となるようにする。
磁石体24は、パイプ状部材21に効率よく収納されるように円柱形状であることが好ましいが、外形が円柱形状であれば、中心に貫通孔が設けられた円筒形状の磁石を用いてもよい。磁石体24に用いる磁石の材料としては、高い磁気特性を有する希土類磁石が好ましい。特に、希土類磁石は、ネオジム系磁石、例えばネオジム−鉄−ボロン磁石(Nd−Fe−B磁石)が好ましく、他の磁石に比べて高い推力が得られる。
磁石体24はパイプ状部材21に収納される位置により、異なる磁束密度のものが用いられており、パイプ状部材21の端部に収納されるほど高い磁束密度の磁石体24が、中央部に収納されるほど低い磁束密度の磁石体24が用いられている。この固定子20の端部から中央部にかけての磁束密度の変化は緩やかであることが好ましい。
固定子20の端部は可動子30が始動または停止する場所であり、加速または減速するために大きな推力が必要となる。一方、固定子20の中央部は可動子30が一定速度で移動するため、小さな推力で充分である。推力が必要な固定子20の両端部で磁束密度が高い磁石体24を用いて大きな推力を可動子30に与える一方、小さな推力で充分な中央部では磁束密度が低い磁石体24を用いることで、磁石体24にかかるコストを低減することができる。
固定子20の磁束密度を変化させる手法として、例えば次のような2つの方法がある。まず第1の方法は、図3に示すように、磁石体24を軸方向の長さが短い複数の磁石241に、磁石241と軸方向の長さが等しく磁性体、例えば鉄からなるスペーサー242を必要に応じて加えて構成する。ここで磁性体とは、鉄の他、ニッケル、コバルトのように磁場の中で磁化される強磁性体を示す。
1つの磁石体24を構成する磁石241の磁極の向きは同一方向にそろえる。また、磁石体24の軸方向の長さを一定に保ち、磁極ピッチを一定にするために、1つの磁石体24を構成する磁石241の数とスペーサー242の数との和を一定にする。
なお、図3では、4つの磁石241の間に1つのスペーサー242が挟んでいるため、スペーサー242は磁石241に吸着され、全体として1つの磁石体24を構成している。そして、隣り合う磁石体24同士は互いに反発するように、N極同士、またはS極同士を向かい合わせて配置されている。
磁石241の磁束密度が全て等しい場合には、全て磁石241で構成した磁石体24の磁束密度が最も高く、スペーサー242の構成割合が大きくなるほど磁石体24の磁束密度は低くなる。固定子20に収納される磁石体24におけるスペーサー242の構成割合を、端部側ほど少なく、中央部ほど多くしていくことで、磁石体24の磁束密度が端部側ほど高く、中央部ほど低くすることができる。なお、磁性体からなるスペーサー242の代わりに、例えば安価なフェライト磁石等の低い磁気特性を有する磁石を用いてもよい。
第2の方法では、磁石体24として同じ磁気特性の磁石を用いる。そして、図4に示すように、固定子20の端部ほど、磁石体24として軸方向の長さが長い磁石を用い、中央部ほど、磁石体24として軸方向の長さが短い磁石を用い、固定子20の端部では磁石体24同士を密着させるのに対し、中央部では磁石体24同士に間隔を設けて磁石体24を配置する。固定子20の端部では隣り合う磁石体24が密着することにより、互いの反発する力によって外に出る磁束(モレ磁束)が大きくなる。一方、磁石体24同士の間隔が空くと、互いの反発する力が弱くなるため、モレ磁束は小さくなる。
なお、磁石体24を第1の方法と同様に磁石241を組み合わせて構成し、磁石241の数により磁石体24の軸方向の長さを変化させてもよい。また、磁石体24同士の間隔を規制するための手段として、例えばプラスチック等の非磁性体からなるスペーサー(図示せず)を挟んでもよい。
このように、軸方向の長さが異なる磁石体24を配置することで、磁極ピッチを一定に保ったまま、可動子30内のコイルに作用するモレ磁束を固定子20の端部側ほど高く、中央部ほど低くすることができる。したがって、固定子20の両端部では可動子30が加速または減速するのに充分な推力を得ることができ、また磁束密度が低い中央部でも可動子30が一定速度で移動するのに充分な推力を得ることができ、固定子20に用いる磁石のコスト及び固定子20の重量を最低限に抑えることができる。
なお、以上の実施の形態においては放射線画像読取装置1について説明したが、本発明はこれに限らず、他のOA機器や医療機器における精密搬送装置に適用してもよい。
10 リニアモーター
20 固定子
21 パイプ状部材
24 磁石体
30 可動子
241 磁石
242 スペーサー
20 固定子
21 パイプ状部材
24 磁石体
30 可動子
241 磁石
242 スペーサー
Claims (12)
- パイプ状部材に複数の磁石体を収納してなる固定子と、コイルを備える可動子とからなるリニアモーターにおいて、
前記パイプ状部材には隣り合う前記磁石体同士が互いに反発しあうように収納されており、
前記磁石体は前記固定子の両端部の磁束密度が中央部の磁束密度よりも高くなるように配置されていることを特徴とするリニアモーター。 - 前記固定子は、両端部から中央部に向かって磁束密度が徐々に減少するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のリニアモーター。
- 前記固定子の両端部側ほど磁束密度が高い磁石体が、中央部側ほど磁束密度が低い磁石体が配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリニアモーター。
- 前記磁石体は前記固定子の両端部では隣り合う磁石体と密着して配置されるとともに、前記固定子の中央部側ほど隣り合う磁石体との間隔を離間させて配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリニアモーター。
- 前記磁石体の軸方向の長さは前記固定子の両端部側ほど長く、中央部ほど短いことを特徴とする請求項4に記載のリニアモーター。
- 前記磁石体は互いに吸着する方向に向けられた一対の磁石の間に、前記一対の磁石と互いに吸着する方向に向けられた磁石、及び/または、磁性体を少なくとも1つ挟み、一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のリニアモーター。
- 前記磁石体は互いに吸着する方向に向けられた一対の磁石の間に、前記一対の磁石と互いに吸着する方向に向けられかつ前記一対の磁石と同じ磁気特性を有する磁石、及び/または、前記一対の磁石と互いに吸着する方向に向けられかつ前記一対の磁石よりも低い磁気特性を有する磁石を少なくとも1つ挟み、一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のリニアモーター。
- 前記磁石体は前記固定子の軸方向に一定の長さに形成されており、前記磁石体の軸方向の長さに対する前記磁性体の軸方向の長さの割合は前記固定子の中央部ほど多く、両端部ほど少ないことを特徴とする請求項6に記載のリニアモーター。
- 前記磁石体は前記固定子の軸方向に一定の長さに形成されており、前記磁石体の軸方向の長さに対する前記低い磁気特性を有する磁石の軸方向の長さの割合は前記固定子の中央部ほど多く、両端部ほど少ないことを特徴とする請求項7に記載のリニアモーター。
- 前記磁石及び前記磁性体は、固定子の軸方向に一定の長さに形成され、
前記磁石体は前記磁石及び/または前記磁性体を一定数合わせてなることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載のリニアモーター。 - 前記磁石体の外形は円柱形状であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のリニアモーター。
- 前記磁石体には希土類磁石が用いられていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のリニアモーター。
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