JP7346884B2 - ガラス - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス、並びに当該ガラスを含む固体電解質、及び結着用バインダーに関する。
ガラス材料は、結晶からなるセラミックス材料と比較すると低い温度で焼結させることが可能である。この性質を利用して、ガラス粉末は例えば低温同時焼成セラミックス多層基板のセラミックス粉末や電極粉末等の粉末材料の結着用バインダーとして使用されてきた。低温焼結可能なガラス粉末を結着用バインダーとして使用することで、熱により変性しやすい粉末材料も、その変性を抑制しつつ結着することができる。
ガラスの軟化点を下げてより低い温度で焼結できるようにするためには、ガラスにアルカリ金属を添加することが有効であり、特にリチウムを添加することが有効である。
リチウムを含有するガラスは、例えば機能性セラミックス粉体と混合して、高密度回路基板における誘電体層(絶縁体層)を形成するための材料として用いられることが期待される。また、金属などの導電性粉体と混合して、導電性層を形成する材料として用いられることも期待される。
また、リチウムを含有するガラスはイオン伝導性が高いため、固体電解質の材料としても期待される。例えば特許文献1及び2において、LiOを所定量含有するガラスを電解質として用いることが開示されている。
特開2015-63447号公報 特公平3-61286号公報
特許文献1及び2において開示されるガラス電解質は、イオン伝導度が十分に高いとは言えず、改善が望まれていた。
また、特許文献1及び2において開示されるようなLiOを含有するガラスは、その組成によっては加熱されて軟化した際に、融点の高い結晶が析出する。このような結晶は軟化ガラス中において溶融せずに存在するので、軟化ガラスの流動性を低下させる。軟化ガラスの流動性が低下すると、軟化ガラスが粉末材料間の空隙を十分に充填できなくなるため緻密な焼結体が得られなくなり、結果として得られる多層基板や固体電解質の性能に悪影響を及ぼす。
したがって、軟化時の流動性が高いガラスが望まれていた。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、イオン伝導度が高く、さらに軟化時の流動性が高いガラスを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明のガラスは、カチオン%表記で、Liを50%以上90%未満、および、B3+を10%超50%以下、含有するとともに、アニオン%表記で、O2-を30%以上100%未満、SO 2-を0%超60%以下、および、Clを0%超30%以下含有する。
本発明のガラスの一態様においては、結晶化開始温度Tc1-onとガラス転移点Tgとの差((Tc1-on)-Tg)が30℃以上であってもよい。
本発明のガラスの一態様においては、ガラス転移点Tgが200℃以上450℃以下であってもよい。
本発明のガラスの一態様においては、イオン伝導度が7.0×10-7S/cm以上であってもよい。
本発明のガラスの一態様においては、下記方法により測定した軟化流動性が10%以上であってもよい。
(軟化流動性の測定方法)
前記ガラス乳鉢を用いて粉砕し、300メッシュの篩を通してガラス粉末を得る。得られたガラス粉末100mgを内径5mm深さ5mmのDTAセルに充填する。この際、充填されたガラス粉末群の径をR1とする。続いて、ガラス粉末群を加熱し、ガラス粉末群の径が最小になった際の径をR2とする。これらを用いて下記式により軟化流動性を求める。
軟化流動性(%)={(R1-R2)/R1}×100
また、本発明の固体電解質は、本発明のガラスを含む。
また、本発明の結着用バインダーは、本発明のガラスを含む。
本発明のガラスは、イオン伝導度が高く、さらに溶融時の流動性が高い。
図1(A)及び(B)は、軟化流動性の測定方法を説明する図であり、(A)は加熱前のDTAセルの上面図であり、(B)は加熱中のDTAセルの上面図である。 図2は、本発明のガラスを積層セラミックスコンデンサに用いた例を模式的に示した図である。 図3は、本発明のガラスを低温同時焼成セラミックス多層基板に用いた例を模式的に示した図である。 図4は、本発明のガラスをリチウムイオン二次電池に用いた例を模式的に示した図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本明細書において「カチオン%」とは、ガラスの構成成分をカチオン成分とアニオン成分とに分け、ガラス中に含まれる全カチオン成分の合計含有モル量に対する各カチオン成分の含有モル量を百分率で表記した単位である。本明細書において、カチオン成分の含有量を%表記で表した場合、特に説明のない限りはカチオン%を意味する。
ガラス中に含まれる各カチオン成分の含有量は、得られたガラスの誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES:Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectroscopy)の結果から求められる。
本明細書において「アニオン%」とは、ガラスの構成成分をカチオン成分とアニオン成分とに分け、ガラス中に含まれる全アニオン成分の合計含有モル量に対する各アニオン成分の含有モル量を百分率で表記した単位である。本明細書において、アニオン成分の含有量を%表記で表した場合、特に説明のない限りはアニオン%を意味する。
ガラス中に含まれる各アニオン成分の含有量は石英管燃焼イオンクロマトグラフ法の結果から求められる。
本明細書において「モル%」とは、ガラスの全構成成分の合計含有モル量に対する各構成成分の含有モル量を百分率で表記した単位である。
<ガラス>
本実施形態のガラスは、カチオン%表記で、Liを50%以上90%未満、および、B3+を10%超50%以下、含有するとともに、アニオン%表記で、O2-を30%以上100%未満、SO 2-を0%超60%以下、および、Clを0%超30%以下含有する。
以下、本実施形態のガラスについて詳細に説明する。
(カチオン成分)
LiはガラスのTgを低下させ、さらに、イオン伝導度を向上させる元素である。
本実施形態のガラスのカチオン成分におけるLiの含有量が少なすぎると、Tgを十分に低下させることができず、また、十分なイオン伝導度を得ることができない。したがって、本実施形態のガラスのカチオン成分におけるLiの含有量は50%以上、好ましくは53%以上、より好ましくは55%以上とする。
一方、本実施形態のガラスのカチオン成分におけるLiの含有量が多すぎると、ガラス形成元素であるB3+の含有量が相対的に少なくなるため、ガラスの安定性が低下する。したがって、本実施形態のガラスのカチオン成分におけるLiの含有量は90%未満、好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下とする。
3+はガラス形成元素であり、ガラスの安定性の向上に寄与する元素である。
本実施形態のガラスのカチオン成分におけるB3+の含有量が少なすぎると、ガラスの安定性が低下する。したがって、本実施形態のガラスのカチオン成分におけるB3+の含有量は10%超、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上とする。
一方、本実施形態のガラスのカチオン成分におけるB3+の含有量が多すぎると、イオン伝導度の向上に寄与するLiの含有量が相対的に少なくなるため、イオン伝導度が低下する。したがって、本実施形態のガラスのカチオン成分におけるB3+の含有量は50%以下、好ましくは45%以下、より好ましくは43%以下とする。
更に、本実施形態のガラスはカチオン成分としてSi4+を含有してもよい。Si4+はB3+と同様にガラス形成元素である。Si4+はB3+と比較して、少量の含有量であれば、熱処理に対してガラスを安定化させる効果が大きい。しかし、イオン伝導度を低下させやすいため、含有量を多くすることは好ましくない。また、含有量が多い場合、熱処理によってケイ酸リチウム系の結晶を析出させるため、含有量を多くすることは好ましくない。
本実施形態のガラスのカチオン成分におけるSi4+の含有量は0%であってもよいが、ガラスの安定性の観点から好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは0.8%以上である。
一方、本実施形態のガラスのカチオン成分におけるSi4+の含有量が多すぎると、イオン伝導度の向上に寄与するLiの含有量が相対的に少なくなり、Liイオンを拘束する酸素(O)が多くなり、また、LiとSiとOから構成されるケイ酸リチウム系の結晶を析出させるポテンシャルが上がるため、イオン伝導度が低下したり、熱処理での安定性を損ねたりする。したがって、本実施形態のガラスのカチオン成分におけるSi4+の含有量は、7%以下、好ましくは6%以下、より好ましくは5%以下とする。
本実施形態のガラスは、本発明の効果を奏する範囲の含有量であれば、上記以外のカチオン成分を含有してもよい。例えば本実施形態のガラスはカチオン成分としてMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Si4+、Zr4+、Ge4+、P5+、Ta5+、W6+、Fe2+、Fe3+、Sc3+、Y3+、La3+、Ce3+、Ce4+、Gd3+、Ti4+、Cr3+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Co2+、Co3+、Ni2+、Ni3+、Cu2+、Zn2+、Al3+、Ga3+、In3+、Sn2+、Sn4+、Sb3+、Sb5+、Bi3+等を含有してもよい。なお、これらはあくまで例示であり、本実施形態のガラスがLi、B3+、及びSi4+以外に含有し得るカチオン成分はこれらに限定されない。
(アニオン成分)
酸化物を主体とするガラス(以下「酸化物系ガラス」とも記載する)は、化学的安定性が高い。しかし、酸化物系ガラスのアニオン成分であるO2-はLiを強く拘束するので、酸化物系ガラスはイオン電導度が低い。酸化物系ガラスのO2-を、Liの拘束力が弱いアニオン成分に交換することにより、化学的安定性が高く、イオン伝導度も高いガラスが得られると考えられる。
ガラス中のO をLiの拘束力が弱いClに交換することにより、ガラスのイオン伝導度を向上させることができる。しかし、ガラス中のO をClのみで交換した場合、加熱されて軟化した際に融点の高いLiClの結晶が析出し、流動性が悪化する。本発明者らは、ガラス中のO をClとSO 2-とで交換することにより、イオン伝導度の向上と、軟化時の流動性の低下の抑制を両立できることを見出した。このようなガラスでは、加熱されて軟化した際にLiClとLiSOとの共晶化合物が析出し、LiClの析出は抑制される。このような共晶化合物は融点が低く、ガラスの焼結時において軟化ガラス内で溶融して流動性を向上させる成分である。
本実施形態のガラスのアニオン成分におけるSO 2-の含有量は0%超であればよいが、イオン伝導性やガラスの軟化時の流動性をより一層向上させる観点からは、0.5%以上が好ましく、1.0%以上がより好ましい。
一方、本実施形態のガラスのアニオン成分におけるSO 2-の含有量が多すぎると結晶が析出しやすくなり、また、O2-の含有量が相対的に少なくなってガラスの安定性が悪化する恐れがある。更に、Cl-の含有量が相対的に少なくなり、イオン伝導度が低下する。したがって、本実施形態のガラスのアニオン成分におけるSO 2-の含有量は60%以下、好ましくは55%以下、より好ましくは30%以下とする。
本実施形態のガラスのアニオン成分におけるClの含有量は0%超であればよいが、イオン伝導性やガラスの軟化時の流動性をより一層向上させる観点からは、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上である。
一方、本実施形態のガラスのアニオン成分におけるClの含有量が多すぎると熱処理によりLiClの結晶が析出しやすくなり、また、SO 2-やO2-の含有量が相対的に少なくなる。したがって、本実施形態のガラスのアニオン成分におけるClの含有量は30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下とする。
本実施形態のガラスのアニオン成分におけるO2-の含有量は100%未満である。また、イオン伝導性をより一層向上させる観点からは、本実施形態のガラスのアニオン成分におけるO2-の含有量は90以下が好ましく、85以下がより好ましい。
一方、本実施形態のガラスのアニオン成分におけるO2-の含有量が少なすぎるとガラスの安定性が悪化する。したがって、本実施形態のガラスのアニオン成分におけるO2-の含有量は30%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上とする。
本実施形態のガラスは、本発明の効果を奏する範囲の含有量であれば、上記以外のアニオン成分を含有してもよい。例えば本実施形態のガラスはアニオン成分としてBr、I、S2-等を含有してもよい。なお、これらはあくまで例示であり、本実施形態のガラスがO2-、SO 2-、及びCl以外に含有し得るアニオン成分はこれらに限定されない。
(ガラスの特性)
本実施形態のガラスを結着用バインダーとして用いる際には、本実施形態のガラスと結着する粉末等を混合し、また、必要に応じて樹脂材料を混合してペースト化し、それを加熱して焼結させる。この際の加熱温度は、通常は、焼結を十分に進行させて緻密な焼結体を得るためにガラス転移点Tg以上とし、結晶の析出を抑制するために結晶化開始温度Tc1-on以下とする。
ここで、当該焼結時の加熱温度が高すぎると、結着する粉末(例えば電極材料粉末など)とガラスとが反応してしまう恐れがある。この反応を抑制する観点からは、ガラスは低温で焼結できることが好ましく、すなわちTgが低いことが好ましい。したがって、本実施形態のガラスのTgは450℃以下が好ましく、430℃以下がより好ましく、400℃以下が更に好ましい。
一方、当該焼結時の加熱温度が低すぎると、ペースト化に用いた樹脂材料が十分に熱分解せず、得られる焼結体の内部に樹脂材料が残留し、緻密な焼結体が得られにくくなる恐れがある。したがって、緻密な焼結体を得るためには、樹脂材料の熱分解が十分に進行する温度で焼結を行うことが好ましい。本実施形態のガラスのTgが200℃以上であれば、焼結時の温度は樹脂材料が十分に熱分解する温度となり、緻密な焼結体が得られるため好ましい。
また、焼結時の加熱温度が不足して緻密な焼結体が得られなかったり、加熱温度が高すぎて結晶が析出したりすることを防ぐには、本実施形態のガラスのTgとTc1-onの差が大きいことが好ましい。
したがって、本実施形態のガラスのTgとTc1-onの差((Tc1-on)-Tg)は30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。
TgおよびTc1-onは、ガラスの示差熱分析(DTA)により、発熱-吸熱量を示すDTA曲線の変曲点、ピーク等を用いて求めることができる。TgおよびTc1-onは、いずれもガラスの組成に固有の温度である。
本実施形態のガラスは、高いイオン伝導度を有する。本実施形態のガラスのイオン伝導度は、7.0×10-7S/cm以上が好ましく、8.0×10-7S/cm以上がより好ましく、1.0×10-6S/cm以上がさらに好ましい。
本明細書において、イオン伝導度は、室温(20℃~25℃)での交流インピーダンス測定により得られたイオン伝導度を意味する。イオン伝導度は、両面に電極を形成したサンプルを用い、交流インピーダンス法により測定される。具体的には、印加電圧50mV、測定周波数域1Hz~1MHzとし、交流インピーダンス測定により得られたNiquistプロットの円弧径から算出される。
また、本実施形態のガラスは軟化時の流動性が高い。ガラスの軟化時の流動性は種々の方法で評価できるが、例えば、本実施形態のガラスを粉末化して焼結した際の収縮の度合いで評価できる。具体的には、以下の方法で測定した軟化流動性を用いて評価できる。下記の軟化流動性は、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上が更に好ましい。
(軟化流動性の測定方法)
まず、乳鉢を用いてガラスを粉砕し、粉砕されたガラスフレークを300メッシュの篩を通してガラス粉末を得る。次いで、得られたガラス粉末を100mg秤量し、図1(A)に示すように内径5mm深さ5mmのDTAセル1に充填する。この際の充填されたガラス粉末群2の径を初期径R1とする。続いて、ガラス粉末群2が加熱されて焼結が進むと、ガラス粉末群2が収縮し、その径が小さくなる。図1(B)に示すようにガラス粉末群2の径が最小になった際の径をR2とする。求められたR1及びR2を用いて下記式により軟化流動性を求めることができる。
軟化流動性(%)={(R1-R2)/R1}×100
(ガラスの製造方法)
本実施形態のガラスの製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下に示す方法が挙げられる。
まず、原料を混合して原料混合物を準備する。原料は、通常の酸化物系ガラスの製造に用いる原料であれば特に限定されず、酸化物や炭酸塩等を用いることができる。得られるガラスの組成が上記の範囲となるように、原料の種類および割合を適宜調整して原料混合物とする。
次に、原料混合物を公知の方法で加熱して溶融物を得る。加熱する温度(溶融温度)は、800~1400℃が好ましく、900~1300℃がより好ましい。加熱する時間は、10~50分が好ましく、20~40分がより好ましい。
その後、溶融物を冷却し固化することにより、本実施形態のガラスを得ることができる。冷却方法は特に限定されない。例えば、ロールアウトマシン、プレスマシン等を用いて冷却することができ、冷却液体への滴下等により急冷することもできる。得られるガラスは完全に非晶質であり、すなわち結晶化度が0%である。
こうして得られる本発明のガラスは、いかなる形態であってもよい。例えば、ブロック状、板状、薄い板状(フレーク状)、粉末状等であってもよい。
<複合体>
本実施形態のガラスに結晶体を添加して複合体として用いてもよい。
本実施形態のガラスに結晶体を添加することで、強度、熱膨張係数、化学耐久性、光学機能、イオン伝導度、電子伝導度、電極機能など、各種の性質を調節することが可能である。
添加する結晶体は、本実施形態のガラスから析出した結晶体であってもよく、それ以外に添加される結晶体であってもよく、その両方であってもよい。本実施形態のガラスと、本実施形態のガラスから析出した結晶体を含有する複合体は、例えば、本発明のガラスの製造に際して充分な熱履歴を加える、本発明のガラスをTc1-on以上で熱処理する等の方法により製造できる。本発明のガラスから析出した結晶体としては、例えば、セラミックスやイオン伝導性結晶が挙げられる。
複合体における結晶体の含有量は、複合体全量に対して合計で0体積%超であればよいが、1体積%以上が好ましい。
複合体における結晶体の含有量は、焼結性の観点から、複合体全量に対して合計で70体積%以下が好ましく、50体積%以下がより好ましい。
複合体における本実施形態のガラスの含有量は、焼結性の観点から、複合体全量に対して30体積%以上が好ましく、50体積%以上が好ましい。
複合体における本実施形態のガラスの含有量は複合体全量に対して100体積%未満であればよいが、99体積%以下が好ましい。
<結着用バインダー>
本実施形態のガラスは低温で焼結が可能なことから、粉末材料の結着用バインダーとして有用である。以下に本実施形態のガラスを含む結着用バインダー(以下「本実施形態の結着用バインダー」ともいう)について説明する。
本実施形態の結着用バインダーは本実施形態のガラスのみからなってもよいが、他の成分を含んでもよい。例えば、本実施形態の結着用バインダーは、結晶体を含んでもよい。すなわち、本実施形態の結着用バインダーは上記の複合体であってもよい。また、本実施形態の結着用バインダーは複数種類の本実施形態のガラスを含有してもよく、また、本実施形態のガラスに加えて本実施形態のガラス以外のガラスを含んでもよい。
<積層セラミックスコンデンサ>
本実施形態のガラスは、積層セラミックスコンデンサを製造する際の結着用バインダーとして有用である。低温で焼結できる本実施形態のガラスを用いると、高温で劣化しやすい機能性セラミックスや電極材料を用いても安定的に緻密な積層セラミックスコンデンサが得られる。
以下に、本実施形態のガラスを用いて製造された積層セラミックスコンデンサについて説明する。
積層セラミックスコンデンサは、電極層間に誘電体層が配置された積層体(以下「積層ユニット」ともいう)から構成される。積層セラミックスコンデンサは、当該積層ユニットを1個有する構成であってもよく、2個以上の積層ユニットが積層された構成であってもよい。誘電体層を薄くして電極層間の距離を小さくすること、また、積層ユニット数を多くすることで、小型でありながら電気容量の大きな積層セラミックスコンデンサを得ることができる。
図2に積層セラミックスコンデンサの構成の一例を概略的に示す。積層セラミックスコンデンサ10は、誘電体層11と内部電極層12が順次積層された積層体(ただし、最下層と最上層は誘電体層11である。)と該積層体を挟持する1対の外部電極13を備え、内部電極層12は交互に外部電極13のいずれか一方に接続している。このような積層セラミックスコンデンサ10において、本実施形態のガラスは、例えば、誘電体層11の形成に用いられる。軟化時の流動性が高い本実施形態のガラスを用いると、緻密で薄い誘電体層が得られやすいので、小型かつ電気容量の大きな積層セラミックスコンデンサを容易に得ることができる。積層セラミックスコンデンサ10の形成方法としては、印刷法、グリーンシート法があるが、以下にグリーンシート法を簡単に説明する。
まず、誘電体層11を構成するために必要な機能性セラミックスの粉末に、本実施形態のガラスの粉末を混合して混合粉末を得る。機能性セラミックスは適宜選択すればよいが、比誘電率を大きくする場合は、ペロブスカイト型構造をとるチタン酸バリウム(BaTiO)などを用いればよい。混合粉末の全量に対する本実施形態のガラス粉末の含有量は、1~10体積%が好ましい。
次に、混合粉末と、樹脂材料を溶媒に溶解したビヒクル、および可塑剤や分散剤とを適宜混合し、誘電体ペーストもしくはスラリーと呼ばれる粘性液体を調製し、これをフィルム基材の上にシート状に成型し、乾燥させることでグリーンシートを得る。
樹脂材料としては、例えばポリビニルブチラール樹脂、アクリル、メタアクリル系樹脂ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸ブチルセルロース、酢酸プロピルセルロース、ポリαメチルスチレン、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネートなどを使用することができる。
ポリビニルブチラール樹脂はペースト、スラリーの安定性を高めるのに好適であり、グリーンシートの強度、柔軟性、積層時の熱圧着性を得やすいが、熱分解性に乏しく、特に低温焼成した場合、熱分解残渣が残りやすく、グリーンシートの焼結性を損ねたり、焼結体にその熱分解ガスによる膨れを生じたりする恐れがある。
アクリル、メタアクリル系樹脂は、熱分解性が良好であり、特に低温焼成した場合に良好な焼結体を得るために好適である。反面、グリーンシートの強度、柔軟性、積層時の熱圧着性を得にくいが、各種官能基を付与したものを共重合させることにより、その欠点を抑制することができる。
フィルム基材としては、例えば離型処理などの表面処理を施したPET(ポリエチレンテレフタレート)等を使用することができる。
ペーストもしくはスラリーをフィルム基材上にシート状に成型する方法は特に限定されないが、例えばスクリーン印刷、転写、ドクターブレード法等が挙げられる。
上記のようにし得てられたグリーンシートは、混合粉末が樹脂材料などで粘結されたものである。
次に、グリーンシート上の必要な部分に内部電極層を形成するために、銀や銅を主成分とする導電性ペーストを塗布する。その後、導電性ペーストが塗布されたグリーンシートを複数枚積層して、適宜、熱や圧力を加えて圧着して一体化し、積層シートを得る。
導電性ペーストにも本実施形態のガラスを添加することにより、層間接着性を向上させることができる。導電性ペーストを塗布する方法は特に限定されず、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷が挙げられる。
圧着時の加熱温度は、例えば40~80℃とする。
次に、得られた積層シートをカットして個片化(チップ化)し、加熱して樹脂材料成分などを燃焼させた後、本実施形態のガラスを焼結させ、焼成積層体を得る。
このように、積層シートの一括焼成により積層セラミックスコンデンサを形成すると、各層間の密着性に優れ、誘電性能や経時安定性に優れる積層セラミックスコンデンサを得ることができる。
加熱は例えば大気中、不活性ガス中、真空中など所定の雰囲気で焼成炉を用いて行う。加熱の温度は、本実施形態のガラスのTgより30℃以上高く、かつ、Tc1-on未満の温度で行うことが好ましい。具体的には加熱の温度は280~600℃が好ましく、焼成の促進、製造コストの低減の点で、280~550℃がより好ましい。加熱の時間は、例えば1~3時間とする。
その後、必要に応じて焼成積層体に外部電極となる導電性ペーストを塗布、乾燥、焼成し、さらに必要に応じてNiやSnのメッキを施す。
必要に応じ、焼成積層体に導電性ペーストを塗布、乾燥、焼成して外部電極13を形成し、さらに必要に応じてNiやSnのメッキを施して、積層セラミックスコンデンサを得る。
この導電性ペーストにも本実施形態のガラスを添加することにより、層間接着性を向上することができる。
なお、上記では本実施形態のガラスを結着用バインダーとして用いる例を説明したが、本実施形態のガラスと結晶体を含む複合体を結着用バインダーとして用いてもいいし、他の材料を含む結着用バインダーを用いてもよい。いずれの結着用バインダーを用いる場合でも、混合粉末の全量に対する本実施形態のガラスの割合が1~10体積%となるように混合粉末を作製することが好ましい。
<低温同時焼成セラミックス多層基板>
本実施形態のガラスは、低温同時焼成セラミックス多層基板を製造する際の結着用バインダーとして有用である。低温で焼結できる本実施形態のガラスを用いると、高温で劣化しやすい機能性セラミックスや電極材料を用いても安定的に緻密な低温同時焼成セラミックス多層基板が得られる。
以下に、本実施形態のガラスを用いて製造された低温同時焼成セラミックス多層基板について説明する。
低温同時焼成セラミックス多層基板は、電極配線層が絶縁体層で隔離配置された立体配線を形成する積層体(以下「積層ユニット」ともいう)から構成される。低温同時焼成セラミックス多層基板は、当該積層ユニットを1個有する構成であってもよく、2個以上の積層ユニットが積層された構成であってもよい。絶縁体層を薄くして、電極配線層間の距離を小さくすること、また、積層ユニットを多く積層することで、小型でありながら複雑な配線基板を得ることができる。
図3に低温同時焼成セラミックス多層基板の構成の一例を概略的に示す。図3に示す低温同時焼成セラミックス多層基板20は、基板本体が誘電体(絶縁体)層21で構成され、基板本体の内部および外部に、基板本体の主面に平行する主面を有する複数の平面電極22を有する。さらに、基板本体の内部に所定の平面電極22同士を電気的に接続するように配置された、基板本体の主面に直交する主面を有する内部垂直電極23を有する。また、基板本体の内部に内部実装部品25が(内部)平面電極22と接触するように配置され、表面実装部品24が(外部)平面電極22と接触するように配置されている。表面実装部品24は電極を有し、該電極と上記とは別の(外部)平面電極22が給電ワイヤ27により電気的に接続されている。低温同時焼成セラミックス多層基板20は、基板本体を貫通するように放熱ビア26を有し、その直上に表面実装部品24が実装された構成である。
このような低温同時焼成セラミックス多層基板20において、本実施形態のガラスは、例えば、誘電体層21の形成に用いられる。軟化時の流動性が高い本実施形態のガラスを用いると、緻密で薄い誘電体層が得られやすいので、小型でありながら複雑な配線基板を容易に得ることができる。低温同時焼成セラミックス多層基板の形成方法としては、印刷法、グリーンシート法があるが以下にグリーンシート法を簡単に説明する。
まず、誘電体層21を構成するために必要な機能性セラミックスの粉末に、本実施形態のガラスの粉末を混合して混合粉末を得る。機能性セラミックスは適宜選択すればよいが、強度を高くする場合は、アルミナなどを用いればよい。混合粉末の全量に対する本実施形態のガラス粉末の含有量は、40~70体積%が好ましい。
次に、先述の積層セラミックスコンデンサの製造方法と同様にして、グリーンシートを得る。
次に、グリーンシート上の必要な部分に内部配線もしくは最外部の場合、外部配線となる平面電極層を形成するために、銀や銅を主成分とする導電性ペーストを塗布する。導電性ペーストにも本実施形態のガラスを添加することにより、層間接着性を向上することができる。また、抵抗体層を形成する場合は、酸化ルテニウムを主成分とする抵抗体ペーストを塗布する。内部垂直電極は、グリーンシートに予め穴あけ処理を施しておき、その部分に銀や銅を主成分とする導電性ペーストを穴埋め塗布し、形成する。放熱ビアも同様にグリーンシートに予め穴あけ処理を施しておき、その部分に銀や銅を主成分とする熱伝導性の高い材料で構成されるペーストを穴埋め塗布し、形成する。また、必要に応じて内部実装部品を載置してもよい。
これらのペーストを塗布する方法は特に限定されず、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷が挙げられる。
その後、これらのシートを複数枚積層して、適宜、熱や圧力を加えて圧着し一体化し、積層シートを得る。圧着時の加熱温度は、例えば40~80℃とする。
次に、得られた積層シートを加熱して樹脂材料成分などを燃焼させた後、本実施形態のガラスを焼結させ、焼成積層体を得る。
このように、積層シートの一括焼成に低温同時焼成セラミックス多層基板を製造することで、各層間の密着性に優れ、信頼性の高い経時安定性に優れる低温同時焼成セラミックス多層基板を得ることができる。
加熱は例えば大気中、不活性ガス中、真空中など所定の雰囲気で焼成炉を用いて行う。加熱の温度は、本実施形態のガラスのTgより30℃以上高く、かつ、Tc1-on未満の温度で行うことが好ましい。具体的には加熱の温度は280~600℃が好ましく、焼成の促進、製造コストの低減の点で、280~550℃がより好ましい。加熱の時間は、例えば1~3時間とする。
その後、必要に応じて焼成積層体の外部電極となる部分にNiやAuのメッキを施す。また、必要に応じて、焼成する前に積層シートをハーフカットしておき、焼成後に割断し、チップ化する。もしくは、ダイシングソーなどを用いて、チップ化する。さらに、例えば、外部電極上に表面実装部品や表面実装部品が有する電極と外部電極を接続する給電ワイヤを設ける。
なお、上記では本実施形態のガラスを結着用バインダーとして用いる例を説明したが、本実施形態のガラスと結晶体を含む複合体を結着用バインダーとして用いてもいいし、他の材料を含む結着用バインダーを用いてもよい。いずれの結着用バインダーを用いる場合でも、混合粉末の全量に対する本実施形態のガラスの割合が40~70体積%となるように混合粉末を作製することが好ましい。
<固体電解質>
本実施形態のガラスは、固体電解質の材料として有用である。低温で焼結でき、軟化時の流動性が高い本実施形態のガラスを用いると、高温で劣化しやすい材料を用いても安定的に特に緻密な固体電解質が得られる。また、本実施形態のガラスはイオン伝導度が高いため、本実施形態のガラスを用いると、イオン伝導度が高い固体電解質が得られる。以下に、本実施形態のガラスを含む固体電解質(以下「本実施形態の固体電解質」ともいう)について説明する。
本実施形態の固体電解質は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で本実施形態のガラス以外の成分を含んでいてもよい。本実施形態の固体電解質が含有し得るその他の成分としては、イオン伝導性結晶等が挙げられる。本実施形態の固体電解質における本実施形態のガラスの含有量は、40~100体積%が好ましく、より好ましくは70~100体積%、さらに好ましくは100体積%である。
なお、本実施形態の固体電解質の材料として本実施形態のガラスと結晶体とを含む複合体を用いてもよい。ただし、該複合体がすでにイオン伝導性結晶等の固体電解質用の結晶成分を十分な量含む場合には、固体電解質にさらにそのような結晶成分を添加する必要はない。
<全固体リチウムイオン二次電池>
本実施形態の固体電解質は高いイオン伝導性を有するため、全固体リチウムイオン二次電池の固体電解質層に好適である。以下に、本実施形態の固体電解質を備える全固体リチウムイオン二次電池について説明する。
全固体リチウムイオン二次電池(以下、単に「リチウムイオン二次電池」とも記載する)は、正極、負極、および前記正極と前記負極の間に配置された固体電解質層を有する。
リチウムイオン二次電池は、固体電解質層を挟んで正極および負極が配置された積層体(以下「積層ユニット」という。)を1単位として、これを1個有する構成であってもよく、2個以上の積層ユニットが積層された構成(以下、「多層構造」ともいう)であってもよい。固体電解質層を薄くして、電極層間の距離を小さくすること、また、積層ユニットを多く積層することで、エネルギー密度が大きなリチウムイオン二次電池を得ることができる。
図4に、多層構造でありかつ直列型のリチウムイオン二次電池の構成を概略的に示す。リチウムイオン二次電池30は、正極(カソード電極)31、負極(アノード電極)32、および正極31と負極32との間に配設された固体電解質層33を有する複数の積層ユニット34が、電子伝導体層35を介して積層され、直列に接続された構造を有する。図4中、丸でかこまれた「+」および「-」の符号は、それぞれ正極端子および負極端子を示す。
正極31には、例えば、LiCoO、LiMn、LiFePO等が使用される。負極32には、例えば、金属リチウム、グラファイトまたはLiTi12等が使用される。ただし、これらは、一例であって、正極31および負極32に、その他の電極材料を使用してもよい。
また、図4に示すような直列型の多層全固体型のリチウムイオン二次電池30において、積層ユニット34は上記以外の層を有していてもよい。さらに、リチウムイオン二次電池30は、積層ユニット34や電子伝導体層35以外の層を有していてもよい。
また、多層全固体型リチウムイオン二次電池を並列型とする場合、例えば、図4に示す直列型のリチウムイオン二次電池30において、電子伝導体層35を絶縁体層に変えるとともに、各積層ユニット34中の各正極31を、配線(正極配線)を介して一括して正極端子に接続し、さらに、各積層ユニット34中の各負極32を、配線(負極配線)を介して一括して負極端子に接続すればよい。
以下に、図4に示す多層全固体型リチウムイオン二次電池の製造方法の例を説明する。
まず、正極活物質、本実施形態のガラスを含む固体電解質材料、負極活物質、および電子伝導性材料を、それぞれペーストもしくはスラリー化し、塗布し乾燥してグリーンシートを作製する。
ペースト化の方法は、特に限定されないが、例えば、ビヒクルに各材料の粉末を混合する方法が挙げられる。ペーストもしくはスラリーの塗布方法は、特に限定されず、ダイコート、スクリーン印刷、転写、ドクターブレード法等の公知の方法を採用することができる。なお、平面のパターンを形成したい時は、グリーンシートにパンチングや切断を施す、ペーストを基材にスクリーン印刷やグラビア印刷する等の手法をとればよい。
次に、作製された各グリーンシートを順に積み重ね、必要に応じてアライメント、切断等を行い、積層体を作製する。なお、必要に応じて、正極の端面と負極の端面が一致しないようにアライメントを行い、積層してもよい。
次に、作製された積層体を一括して圧着し、その後大気雰囲気で加熱し焼成を行うことで、多層構造のリチウムイオン二次電池が得られる。
上記圧着時の加熱温度は、例えば、40~80℃とする。
上記焼成時の加熱温度は、本実施形態のガラスのTgより30℃以上高く、かつ該ガラスのTc1-on未満の温度範囲とするのが好ましく、具体的には280~600℃が好ましく、焼成の促進、製造コストの低減の点で、280~550℃の範囲がより好ましい。焼成時の加熱時間は、例えば1~3時間とする。
このように一括焼成により多層構造のリチウムイオン二次電池を製造することで、各層間の密着性に優れ、電池性能や経時安定性に優れるリチウムイオン二次電池が得られる。本実施形態のガラスは低温焼結性に優れるので、このような一括焼成を容易に行うことができる。さらに、本実施形態のガラスは軟化時の流動性が高く一括焼成時の熱処理によって緻密で薄い固体電解質層が得られやすいこと、また、イオン伝導度が高いことから、本実施形態のガラスを用いることで、電池性能の特に高いリチウムイオン二次電池が得られる。
なお、多層構造のリチウムイオン二次電池30の製造においては、正極31、固体電解質層33、負極32からなる積層ユニット34について個々の単位で上記と同様にして一括焼成を行い、得られた積層ユニット34を電子伝導体層35ペーストを介して積層し、電子伝導体層35ペーストの焼成条件に応じて焼成する方法を採用してもよい。
また、多層構造のリチウムイオン二次電池30の製造方法は上記のような一括焼成による方法に限定されず、例えば、正極31、負極32、固体電解質層33、電子伝導体層35の各層を別々に製造した後にこれらを順に積層し加熱圧着等により一体化する方法も採用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
[ガラスの製造]
表1に示す仕込み組成となるように、各原料粉末を秤量し混合した。原料には、LiCO、SiO、B、MgO、CaCO、SrCO、BaCO、LiPO、BPO、MgP、CaP、SrP、BaP、Y2O3、ZrO2、ZrSiO4、LiCl、LiSOを組み合わせて使用した。次に、混合した原料を白金るつぼに入れ、900℃で30分間加熱して原料を溶融させた後、溶融した原料をロールアウトマシンにより急冷し、フレーク(薄片)状にして、各例のガラス(以下、ガラスフレークという。)を作製した。得られた各例のガラスフレークを顕微鏡で観察したところ、いずれのガラスフレークにおいても結晶体は見られなかった。
得られたガラスフレークについて、以下の方法でDTA測定を行い、ガラス転移点Tg、結晶化開始温度Tc1-on、及び結晶化ピーク温度Tc1pをそれぞれ求め、さらに測定時のガラスを観察して軟化時の流動性を評価した。また、以下の方法で、ガラスフレークのイオン伝導度を測定した。
[DTA測定]
得られた各例のガラスフレークを乳鉢で粉砕して300メッシュの篩を通してDTA測定用のガラス粉末を作製した。このガラス粉末の重量が100±15mgとなるように計量して、内径5±0.5mmφ、深さ5±0.5mmのアルミニウム製DTAセルに詰めてDTA測定を行った。DTAの測定は、示差熱分析計(リガク社製、商品名:Themo plus EVO2 試料観察TG-DTA)を使用して行った。得られたDTA曲線から、Tg、Tc1-on、及びTc1pを求めた。これらの結果を表1に示す。
また、昇温過程のDTAセル内のサンプル(ガラス粉末群)の画像を記録し、焼結収縮が最大になった温度(サンプルの径が最小になった温度)を特定し、その時点でのサンプルの径R2を画像上で計測し、同様に画像上で計測した収縮前のサンプルの径R1(初期径)との差から、下記式により軟化流動性を算出した。
軟化流動性(%)={(R1-R2)/R1}×100
[イオン伝導度の測定]
ガラスフレークの両面に、蒸着法により金電極(直径6mm)を形成した。次いで、両面の金電極の間に50mVの測定電圧を印加し、交流インピーダンス法により、ガラスフレークのインピーダンスを測定した。測定には、FRA(周波数応答アナライザ)を備えるソーラトロンSI1287(Solartron社製)を使用し、測定周波数は、10Hz~0.1Hzとした。Nyquistプロットで求められる円弧径より、イオン伝導度を求めた。測定結果を表1に示す。
Figure 0007346884000001
比較例1のガラスは、イオン伝導度は高いものの、軟化流動性が低かった。
一方、実施例1~9、11~17のガラスは、イオン伝導度が高く、更に軟化流動性も高かった。
1 DTAセル
2 ガラス粉末群
10 積層セラミックスコンデンサ
11 誘電体層
12 内部電極層
13 外部電極
20 低温同時焼成セラミックス多層基板
21 誘電体層
22 平面電極
23 内部垂直電極
24 表面実装部品
25 内部実装部品
26 放熱ビア
27 給電ワイヤ
30 リチウムイオン二次電池
31 正極
32 負極
33 固体電解質層
34 積層ユニット
35 電子伝導体層

Claims (7)

  1. カチオン%表記で、
    Liを50%以上70%以下、および、
    3+30%以上50%以下、
    含有するとともに、
    アニオン%表記で、
    2-70%以上100%未満、
    SO 2-を0%超6.8%以下、および、
    Cl5%以上30%未満含有するガラス。
  2. 結晶化開始温度Tc1-onとガラス転移点Tgとの差((Tc1-on)-Tg)が30℃以上である請求項1に記載のガラス。
  3. ガラス転移点Tgが200℃以上450℃以下である請求項1又は2に記載のガラス。
  4. イオン伝導度が7.0×10-7S/cm以上である請求項1~3のいずれか1項に記載のガラス。
  5. 下記方法により測定した軟化流動性が10%以上である請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス。
    (軟化流動性の測定方法)
    前記ガラスを乳鉢を用いて粉砕し、300メッシュの篩を通してガラス粉末を得る。得られたガラス粉末100mgを内径5mm深さ5mmのDTAセルに充填する。この際、充填されたガラス粉末群の径をR1とする。続いて、ガラス粉末群を加熱し、ガラス粉末群の径が最小になった際の径をR2とする。これらを用いて下記式により軟化流動性を求める。
    軟化流動性(%)={(R1-R2)/R1}×100
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のガラスを含む固体電解質。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載のガラスを含む結着用バインダー。
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