JP2023141130A - ガラス、該ガラスを含む固体電解質、及び、該ガラスを含む結着用バインダー - Google Patents

ガラス、該ガラスを含む固体電解質、及び、該ガラスを含む結着用バインダー Download PDF

Info

Publication number
JP2023141130A
JP2023141130A JP2022047281A JP2022047281A JP2023141130A JP 2023141130 A JP2023141130 A JP 2023141130A JP 2022047281 A JP2022047281 A JP 2022047281A JP 2022047281 A JP2022047281 A JP 2022047281A JP 2023141130 A JP2023141130 A JP 2023141130A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
less
content
solid electrolyte
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022047281A
Other languages
English (en)
Inventor
徳克 ▲萱▼▲場▼
Norikatsu Kayaba
哲 藤峰
Satoshi Fujimine
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2022047281A priority Critical patent/JP2023141130A/ja
Publication of JP2023141130A publication Critical patent/JP2023141130A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)
  • Ceramic Capacitors (AREA)

Abstract

【課題】イオン伝導度が高いガラスを提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、カチオン%表記で、Li+を50%以上67%以下、B3+を5%以上21%未満、および、P5+を12%以上30%以下、含有するとともに、アニオン%表記で、O2-を77%以上93%未満、および、Cl-を7%超23%以下含有するガラスに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス、並びに当該ガラスを含む固体電解質、及び当該ガラスを含む結着用バインダーに関する。
ガラス材料は、結晶からなるセラミックス材料と比較すると低い温度で焼結させることが可能である。この性質を利用して、ガラス粉末は例えば低温同時焼成セラミックス多層基板のセラミックス粉末や電極粉末等の粉末材料の結着用バインダーとして使用されてきた。低温焼結可能なガラス粉末を結着用バインダーとして使用することで、熱により変性しやすい粉末材料も、その変性を抑制しつつ結着できる。
ガラスの軟化点を下げてより低い温度で焼結するには、ガラスにアルカリ金属を添加することが有効であり、特にリチウムを添加することが有効である。
リチウムを含有するガラスは、例えば機能性セラミックス粉体と混合して、高密度回路基板における誘電体層(絶縁体層)を形成するための材料として用いられることが期待される。また、金属などの導電性粉体と混合して、導電性層を形成する材料として用いられることも期待される。
また、リチウムを含有するガラスはイオン伝導性が高いため、固体電解質の材料としても期待される。例えば特許文献1及び2において、LiOを所定量含有するガラスを電解質として用いることが開示されている。
特開2015-63447号公報 特公平3-61286号公報
特許文献1及び2において開示されるガラス電解質は、イオン伝導度が十分に高いとは言えず、改善が望まれていた。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、イオン伝導度が高いガラスを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明のガラスは、カチオン%表記で、Liを50%以上67%以下、B3+を5%以上21%未満、および、P5+を12%以上30%以下、含有するとともに、アニオン%表記で、O2-を77%以上93%未満、および、Clを7%超23%以下含有する。
本発明のガラスの一態様において、カチオン%表記でAl3+を0%超8%以下含有することが好ましい。
本発明のガラスの一態様において、カチオンとしてTa5+を含有しない又は実質的に含有しないことが好ましい。
本発明のガラスの一態様において、カチオンとしてWa6+を含有しない又は実質的に含有しないことが好ましい。
本発明のガラスの一態様において、イオン伝導度が1.0×10-6S/cm以上であることが好ましい。
また、本発明の固体電解質は、本発明のガラスを含む。
また、本発明の結着用バインダーは、本発明のガラスを含む。
本発明のガラスは、優れたイオン伝導度を示す。
図1は、本発明のガラスを積層セラミックスコンデンサに用いた例を模式的に示した図である。 図2は、本発明のガラスを低温同時焼成セラミックス多層基板に用いた例を模式的に示した図である。 図3は、本発明のガラスをリチウムイオン二次電池に用いた例を模式的に示した図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本明細書において「カチオン%」とは、ガラスの構成成分をカチオン成分とアニオン成分とに分け、ガラス中に含まれる全カチオン成分の合計含有モル量に対する各カチオン成分の含有モル量を百分率で表記した単位である。本明細書において、カチオン成分の含有量を%表記で表した場合、特に説明のない限りはカチオン%を意味する。
ガラス中に含まれる各カチオン成分の含有量は、得られたガラスの誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES:Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectroscopy)の結果から求められる。
本明細書において「アニオン%」とは、ガラスの構成成分をカチオン成分とアニオン成分とに分け、ガラス中に含まれる全アニオン成分の合計含有モル量に対する各アニオン成分の含有モル量を百分率で表記した単位である。本明細書において、アニオン成分の含有量を%表記で表した場合、特に説明のない限りはアニオン%を意味する。
ガラス中に含まれる各アニオン成分の含有量は石英管燃焼イオンクロマトグラフ法の結果から求められる。
本明細書において「モル%」とは、ガラスの全構成成分の合計含有モル量に対する各構成成分の含有モル量を百分率で表記した単位である。
本明細書において、ガラスの構成成分を「実質的に含有しない」とは、原料等から混入する不可避的不純物以外には含有しないこと、すなわち、意図的に含有させないことを意味する。
本明細書において、カチオン成分を「含有しない又は実質的に含有しない」とは、具体的には例えば、ガラス中に含まれる全カチオン成分の合計含有モル量に対する含有量が、好ましくは0.3%以下(例えば、0~0.3%)、より好ましくは0.2%以下(例えば、0~0.2%)、さらに好ましくは0.1%以下(例えば、0~0.1%)、特に好ましくは0.01%以下(例えば、0~0.01%)である。
本明細書において、アニオン成分を「含有しない又は実質的に含有しない」とは、具体的には例えば、ガラス中に含まれる全アニオン成分の合計含有モル量に対する含有量が、好ましくは0.3%以下(例えば、0~0.3%)、より好ましくは0.2%以下(例えば、0~0.2%)、さらに好ましくは0.1%以下(例えば、0~0.1%)、特に好ましくは0.01%以下(例えば、0~0.01%)である。
<ガラス>
本実施形態のガラスは、カチオン%表記で、Liを50%以上67%以下、B3+を5%以上21%未満、および、P5+を12%以上30%以下、含有するとともに、アニオン%表記で、O2-を77%以上93%未満、および、Clを7%超23%以下含有する。
以下、本実施形態のガラスについて詳細に説明する。
(カチオン成分)
Liはガラスのイオン伝導度を向上させ、さらにTgを低下させる元素である。
本実施形態のガラスのカチオン成分におけるLiの含有量は50%以上67%以下である。Liの含有量が50%以上であると、十分なイオン伝導度が得られ、また、Tgが十分に低下する。Liの含有量は、好ましくは52%以上、より好ましくは53%以上、さらに好ましくは55%以上とする。
また、Liの含有量を67%以下とすることにより、ガラス形成元素であるB3+およびP5+の含有量が相対的に増加し、ガラスの安定性が向上する。Liの含有量は好ましくは65%以下、より好ましくは63%以下、さらに好ましくは62%以下とする。
3+はガラス形成元素であり、ガラスの安定性の向上に寄与する元素である。
本実施形態のガラスのカチオン成分におけるB3+の含有量は、5%以上21%未満である。B3+の含有量が5%以上であると、ガラスの安定性が向上する。B3+の含有量は、好ましくは7%以上、より好ましく9%以上、さらに好ましくは10%以上とする。
また、B3+の含有量が21%未満であると、イオン伝導度の向上に寄与するLiの含有量が相対的に増加し、イオン伝導度が向上する。B3+の含有量は、好ましくは20%以下、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下とする。
5+はガラス形成元素であり、ガラスの安定性の向上に寄与する元素である。本実施形態のガラスは、Pを主骨格とするガラスであり、さらにガラス形成元素であるB3+をともに含有するため、優れた安定性を示す。
本実施形態のガラスのカチオン成分におけるP5+の含有量は12%以上30%以下である。P5+の含有量が12%以上であることでガラスが安定し得る。P5+の含有量は好ましくは14%以上、より好ましくは16%以上、さらに好ましくは17.5%以上である。
5+の含有量を30%以下とすることで高いイオン伝導度が実現可能である。P5+の含有量は、好ましくは28%以下、より好ましくは26%以下、さらに好ましくは25%以下である。
更に、本実施形態のガラスはカチオン成分としてSi4+を含有してもよい。Si4+はB3+やP5+と同様にガラス形成元素である。Si4+はB3+およびP5+と比較して、少量の含有量であれば、熱処理に対してガラスを安定化させる効果が大きい。
本実施形態のガラスのカチオン成分におけるSi4+の含有量は0%(含有しない)であってもよいが、ガラスの安定性の観点から好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは0.8%以上である。
また、Si4+の含有量は、7%以下が好ましい。Si4+の含有量を7%以下とすることにより、イオン伝導度の向上に寄与するLiの含有量が相対的に増加するため、イオン伝導度が向上する。また、LiとSiとOから構成されるケイ酸リチウム系の結晶の析出が抑制されるため、熱処理での安定性が向上する。Si4+の含有量はより好ましくは6%以下、さらに好ましくは5%以下とする。
更に、本実施形態のガラスはカチオン成分としてAl3+を含有してもよい。本実施形態のガラスにおいて、Al3+を添加することで、ガラス形成ネットワークが強固となり化学的安定性が向上する。
Al3+を含有する場合、Al3+の含有量は好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上である。
また、Al3+の含有量は8%以下が好ましい。Al3+の含有量は8%以下であることにより、イオン伝導度の向上に寄与するLiの含有量が相対的に増加するため、イオン伝導度が向上する。Al3+の含有量はより好ましくは6%以下、さらに好ましくは5%以下である。
本実施形態のガラスは、本発明の効果を奏する範囲の含有量であれば、上記以外のカチオン成分を含有してもよい。例えば本実施形態のガラスはカチオン成分としてMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zr4+、Ge4+、P5+、Fe2+、Fe3+、Sc3+、Y3+、La3+、Ce3+、Ce4+、Gd3+、Ti4+、Cr3+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Co2+、Co3+、Ni2+、Ni3+、Cu2+、Zn2+、Al3+、Ga3+、In3+、Sn2+、Sn4+、Sb3+、Sb5+、Bi3+等を含有してもよい。なお、これらはあくまで例示であり、本実施形態のガラスがLi、B3+、及びP5+以外に含有し得るカチオン成分はこれらに限定されない。
なお、本実施形態のガラスは、カチオン成分としてTa5+を含有しない又は実質的に含有しないことが好ましい。Ta5+は原料が高価なため、非含有とすることで生産コストを削減できる。また、Ta5+はガラスの溶解温度を高温にするため、非含有とすることで、ガラス溶融時のハロゲン元素の揮発を抑制できる。
更に、本実施形態のガラスは、カチオン成分としてW6+を含有しない又は実質的に含有しないことが好ましい。W6+は価数が変化しやすいため、電池を構成する材料として本実施形態のガラスを用いた場合に、電池の挙動が不安定になる場合がある。
(アニオン成分)
本実施形態のガラスは、酸化物を主体とすることに特徴がある。酸化物は化学的安定性が高く、安全性の高い電気化学デバイスに用いることができる。しかしながら、酸化物系のガラスにおいて、O2-はLiを大きく拘束することが考えられる。酸素イオンをLiの拘束が小さいアニオンに交換することにより、Liの伝導性を向上できることが考えられる。
電気陰性度の観点から考察すると、酸素の電気陰性度以下であれば、Liの拘束力が小さくなる。電気陰性度が3.0のClは、酸素の電気陰性度(3.5)よりも小さいために、Liの伝導性を向上できると考えられる。
本実施形態のガラスのアニオン成分におけるClの含有量は7%超23%以下である。Clの含有量が7%超であることにより、イオン伝導性が向上する。Clの含有量は、8%以上が好ましく、9%以上がより好ましく、9.5%以上がさらに好ましい。
また、熱処理によるLiCl系の結晶析出を抑制し、ガラスを安定化させる観点から、Clの含有量は23%以下、好ましくは21%以下、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下である。
本実施形態のガラスのアニオン成分におけるO2-の含有量は77%以上93%未満である。イオン伝導性をより一層向上させる観点から、O2-の含有量は93%未満であり、92%以下が好ましく、91%以下がより好ましい。
また、ガラスの安定性を確保する観点から、O2-の含有量は77%以上、好ましくは79%以上、より好ましくは81%以上である。
本実施形態のガラスにおいて、Cl+O2-で示される、Cl+およびO2-の合計含有量は85%以上であることが好ましい。該合計含有量が88%以上であれば、より高い伝導度とガラスの安定性を両立できる。該合計含有量はより好ましくは91%以上であり、さらに好ましくは93%以上である。
更に、本実施形態のガラスはアニオン成分としてBrを含有してもよい。BrはClと同様にOより電気陰性度が小さい成分ため、イオン伝導度を向上できる。さらに、Clと共に含有させることで、酸化物系のガラスのO2-をBrとClとで交換し、LiCl系の結晶の析出を抑制しつつ、十分なイオン伝導度を得ることができる。したがって、本実施形態のガラスはアニオン成分としてBrを含有してもよい。
本実施形態のガラスにアニオン成分としてBrを含有させる場合、その含有量は好ましくは0.1%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上である。
また、O2-の含有量を確保し、ガラスの安定性を確保する観点から、Brの含有量は15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、7%以下がさらに好ましい。
本実施形態のガラスは、本発明の効果を奏する範囲の含有量であれば、上記以外のアニオン成分を含有してもよい。例えば、F、I、S2-等を含有してもよい。なお、これらはあくまで例示であり、本実施形態のガラスがO2-、及びCl以外に含有し得るアニオン成分はこれらに限定されない。
なお本実施形態のガラスにおいて、アニオン成分としてSO 2-を含有しない又は実質的に含有しないことが好ましい。SO 2-を含有しない又は実質的に含有しないことにより、ガラスの成形性の制御が容易となる。さらに、ガラス生産時において、SO 2-を含有するガスの発生を抑制できる。
(ガラスの特性)
本実施形態のガラスは、高いイオン伝導度を有する。本実施形態のガラスのイオン伝導度は、1.0×10-6S/cm以上が好ましく、2.0×10-6S/cm以上がより好ましく、3.0×10-6S/cm以上がさらに好ましい。
本明細書において、イオン伝導度は、室温(20℃~25℃)での交流インピーダンス測定により得られたイオン伝導度を意味する。イオン伝導度は、両面に電極を形成したサンプルを用い、交流インピーダンス法により測定される。具体的には、印加電圧50mV、測定周波数域1Hz~1MHzとし、交流インピーダンス測定により得られたNyquistプロットの円弧径から算出される。
本実施形態のガラスは、当該ガラスの結晶化開始温度をTc1-on、ガラス転移点をTgとしたときに、((Tc1-on)-Tg)が50℃以上であることが好ましい。例えば、((Tc1-on)-Tg)が50℃以上であることで、ガラスはその粉砕品を焼結したときに緻密で安定なガラス(非晶質)組織を有することができる。
本実施形態のガラスは、低温で焼結できることが好ましい。したがって、ガラス転移点Tgが250℃以上550℃以下であるのが好ましく、260℃以上500℃以下がより好ましく、280℃以上480℃以下がさらに好ましく、280℃以上460℃以下が特に好ましい。本実施形態のガラスは、高密度回路基板の結着用バインダーガラスとして用いる場合には、通常、Tgを超えTc1-on未満の温度で結晶化が起きないように焼結して用いられる。その場合、後述のようにして本発明のガラスを含む組成物、および電極材料をそれぞれペースト化後、積層して一括焼成により低温同時焼成セラミックス多層基板等の高密度回路基板の積層ユニットを作製する場合がある。
その場合、Tgが550℃以下であれば、ガラスと電極材料などの構成材料との反応を抑制することができる。この観点から、Tgは低いほど良いが、低すぎるとガラスを含む組成物をペースト化するときに用いる樹脂材料が焼成時に熱分解するのを阻害する場合がある。Tgが250℃以上であれば、その樹脂材料の熱分解阻害を抑制でき、その結果、樹脂材料が熱分解した後に残る熱分解残留物の量を低減できる。そのため熱分解残留物による発泡が抑制され、緻密な焼結体を得ることができ、信頼性の高い高密度回路基板を得ることが可能となる。
ここで、TgおよびTc1-onは、いずれもガラスの組成に固有の温度であり、ガラスの示差熱分析(DTA)により、発熱-吸熱量を示すDTA曲線の変曲点、ピークの裾とベースラインの交点等を用いて求めることができる。
より具体的には、Tc1-onは次の方法で求めることができる。まず、DTA曲線において、ガラスの結晶化による発熱反応があった領域を特定する。そして、当該領域の低温側からは、単調変化を示す範囲をベースラインとしてそれを高温側に外挿した直線を引くとともに、高温側からは、変曲点(微分曲線においてピークとなる点)における接線を引き、これらの線の交点における温度を結晶化開始温度(Tc1-on)として求めることができる。
(ガラスの製造方法)
本実施形態のガラスの製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下に示す方法が挙げられる。
まず、原料を混合して原料混合物を準備する。原料は、通常の酸化物系ガラスの製造に用いる原料であれば特に限定されず、酸化物や炭酸塩等を用いることができる。得られるガラスの組成が上記の範囲となるように、原料の種類および割合を適宜調整して原料混合物とする。
次に、原料混合物を公知の方法で加熱して溶融物を得る。加熱する温度(溶融温度)は、800℃以上が好ましく、900℃以上がより好ましく、また、1400℃以下が好ましく、1300℃以下がより好ましい。加熱する時間は、10分以上が好ましく、20分以上がより好ましく、また、50分以下が好ましく、40分以下がより好ましい。
その後、溶融物を冷却し固化することにより、本実施形態のガラスを得ることができる。冷却方法は特に限定されない。例えば、ロールアウトマシン、プレスマシン等を用いて冷却することができ、冷却液体への滴下等により急冷することもできる。得られるガラスは好ましくは完全に非晶質であり、すなわち結晶化度が好ましくは0%である。本実施形態のガラスは結晶化度が好ましくは0%であることにより、熱処理時のガラスの結晶化の制御が不要となり、熱処理時の安定性が向上する。
こうして得られる本実施形態のガラスは、いかなる形態であってもよい。例えば、ブロック状、板状、薄い板状(フレーク状)、粉末状等であってもよい。
<複合体>
本実施形態のガラスに結晶体を添加して複合体として用いてもよい。
本実施形態のガラスに結晶体を添加することで、強度、熱膨張係数、化学耐久性、光学機能、イオン伝導度、電子伝導度、電極機能など、各種の性質を調節することが可能である。
添加する結晶体は、本実施形態のガラスから析出した結晶体であってもよく、それ以外に添加される結晶体であってもよく、その両方であってもよい。本実施形態のガラスと、本実施形態のガラスから析出した結晶体を含有する複合体は、例えば、本実施形態のガラスの製造に際して充分な熱履歴を加える、本実施形態のガラスをTc1-on以上の温度で熱処理する等の方法により製造できる。本実施形態のガラスから析出した結晶体としては、例えば、セラミックスやイオン伝導性結晶が挙げられる。
複合体における結晶体の含有量は、複合体全量に対して合計で0体積%超であればよいが、1体積%以上が好ましい。
複合体における結晶体の含有量は、焼結性の観点から、複合体全量に対して合計で70体積%以下が好ましく、50体積%以下がより好ましい。
複合体における本実施形態のガラスの含有量は、焼結性の観点から、複合体全量に対して30体積%以上が好ましく、50体積%以上が好ましい。
複合体における本実施形態のガラスの含有量は複合体全量に対して100体積%未満であればよいが、99体積%以下が好ましい。
<結着用バインダー>
本実施形態のガラスは、粉末材料の結着用バインダーとして有用である。以下に本実施形態のガラスを含む結着用バインダー(以下「本実施形態の結着用バインダー」ともいう)について説明する。
本実施形態の結着用バインダーは本実施形態のガラスのみからなってもよいが、他の成分を含んでもよい。例えば、本実施形態の結着用バインダーは、結晶体を含んでもよい。すなわち、本実施形態の結着用バインダーは上記の複合体であってもよい。また、本実施形態の結着用バインダーは複数種類の本実施形態のガラスを含有してもよく、また、本実施形態のガラスに加えて本実施形態のガラス以外のガラスを含んでもよい。
<積層セラミックスコンデンサ>
本実施形態のガラスは、積層セラミックスコンデンサを製造する際の結着用バインダーとして有用である。以下に、本実施形態のガラスを用いて製造された積層セラミックスコンデンサについて説明する。
積層セラミックスコンデンサは、電極層間に誘電体層が配置された積層体(以下「積層ユニット」ともいう)から構成される。積層セラミックスコンデンサは、当該積層ユニットを1個有する構成であってもよく、2個以上の積層ユニットが積層された構成であってもよい。誘電体層を薄くして電極層間の距離を小さくすること、また、積層ユニット数を多くすることで、小型でありながら電気容量の大きな積層セラミックスコンデンサを得ることができる。
図1に積層セラミックスコンデンサの構成の一例を概略的に示す。積層セラミックスコンデンサ10は、誘電体層11と内部電極層12が順次積層された積層体と該積層体を挟持する1対の外部電極13を備える。積層体の最下層と最上層は誘電体層11である。内部電極層12は交互に外部電極13のいずれか一方に接続している。このような積層セラミックスコンデンサ10において、本実施形態のガラスは、例えば、誘電体層11の形成に用いられる。積層セラミックスコンデンサ10の形成方法としては、印刷法、グリーンシート法があるが、以下にグリーンシート法を簡単に説明する。
まず、誘電体層を構成するために必要な機能性セラミックスの粉末に、本実施形態のガラスの粉末を混合して混合粉末を得る。機能性セラミックスは適宜選択すればよいが、比誘電率を大きくする場合は、ペロブスカイト型構造をとるチタン酸バリウム(BaTiO)などを用いればよい。混合粉末の全量に対する本実施形態のガラス粉末の含有量は、1~10体積%が好ましい。
次に、混合粉末と、樹脂材料を溶媒に溶解したビヒクル、および可塑剤や分散剤とを適宜混合し、誘電体ペーストもしくはスラリーと呼ばれる粘性液体を調製し、これをフィルム基材の上にシート状に成型し、乾燥させることでグリーンシートを得る。
樹脂材料としては、例えばポリビニルブチラール樹脂、アクリル・メタアクリル系樹脂ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸ブチルセルロース、酢酸プロピルセルロース、ポリ-α-メチルスチレン、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネートなどを使用することができる。
ポリビニルブチラール樹脂はペースト、スラリーの安定性を高めるのに好適であり、グリーンシートの強度、柔軟性、積層時の熱圧着性を得やすい。一方で、熱分解性に乏しく、特に低温焼成した場合、熱分解残渣が残りやすく、グリーンシートの焼結性を損ねたり、焼結体にその熱分解ガスによる膨れを生じたりする恐れがある。
アクリル・メタアクリル系樹脂は、熱分解性が良好であり、特に低温焼成した場合に良好な焼結体を得るために好適である。反面、グリーンシートの強度、柔軟性、積層時の熱圧着性を得にくいが、各種官能基を付与したものを共重合させることにより、その欠点を抑制することができる。
フィルム基材としては、例えば離型処理などの表面処理を施したPET(ポリエチレンテレフタレート)等を使用することができる。
ペーストもしくはスラリーをフィルム基材上にシート状に成型する方法は特に限定されないが、例えばスクリーン印刷、転写、ドクターブレード法等が挙げられる。
上記のようにして得られたグリーンシートは、混合粉末が樹脂材料などで粘結されたものである。
次に、グリーンシート上の必要な部分に内部電極層を形成するために、銀や銅を主成分とする導電性ペーストを塗布する。その後、導電性ペーストが塗布されたグリーンシートを複数枚積層して、適宜、熱や圧力を加えて圧着して一体化し、積層シートを得る。
導電性ペーストにも本実施形態のガラスを添加することにより、層間接着性を向上させることができる。導電性ペーストを塗布する方法は特に限定されず、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷が挙げられる。
圧着時の加熱温度は、例えば40~80℃とする。
次に、得られた積層シートをカットして個片化(チップ化)し、加熱して樹脂材料成分などを燃焼させて除去した後、本実施形態のガラスを焼結させ、焼成積層体を得る。
このように、積層シートの一括焼成により積層セラミックスコンデンサを形成すると、各層間の密着性に優れ、誘電性能や経時安定性に優れる積層セラミックスコンデンサを得ることができる。
加熱は例えば大気中、不活性ガス中、真空中など所定の雰囲気で焼成炉を用いて行う。加熱の温度は、本実施形態のガラスのTgより30℃以上高く、かつ、Tc1-on未満の温度で行うことが好ましい。具体的には加熱の温度は280~600℃が好ましく、焼成の促進、製造コストの低減の点で、280~550℃がより好ましい。加熱の時間は、例えば1~3時間とする。
その後、必要に応じて焼成積層体に外部電極となる導電性ペーストを塗布、乾燥、焼成し、さらに必要に応じてNiやSnのメッキを施す。
必要に応じ、焼成積層体に導電性ペーストを塗布、乾燥、焼成して外部電極を形成し、さらに必要に応じてNiやSnのメッキを施して、積層セラミックスコンデンサを得る。
この導電性ペーストにも本実施形態のガラスを添加することにより、層間接着性を向上することができる。
なお、上記では本実施形態のガラスを結着用バインダーとして用いる例を説明したが、本実施形態のガラスと結晶体を含む複合体を結着用バインダーとして用いてもいいし、他の材料を含む結着用バインダーを用いてもよい。いずれの結着用バインダーを用いる場合でも、混合粉末の全量に対する本実施形態のガラスの割合が1~10体積%となるように混合粉末を作製することが好ましい。
<低温同時焼成セラミックス多層基板>
本実施形態のガラスは、低温同時焼成セラミックス多層基板を製造する際の結着用バインダーとして有用である。
以下に、本実施形態のガラスを用いて製造された低温同時焼成セラミックス多層基板について説明する。
低温同時焼成セラミックス多層基板は、電極配線層が絶縁体層で隔離配置された立体配線を形成する積層体(以下「積層ユニット」ともいう)から構成される。低温同時焼成セラミックス多層基板は、当該積層ユニットを1個有する構成であってもよく、2個以上の積層ユニットが積層された構成であってもよい。絶縁体層を薄くして、電極配線層間の距離を小さくすること、また、積層ユニットを多く積層することで、小型でありながら複雑な配線基板を得ることができる。
図2に低温同時焼成セラミックス多層基板の構成の一例を概略的に示す。図2に示す低温同時焼成セラミックス多層基板20は、基板本体が誘電体(絶縁体)層21で構成され、基板本体の内部および外部に、基板本体の主面に平行する主面を有する複数の平面電極22を有する。さらに、基板本体の内部に所定の平面電極22同士を電気的に接続するように配置された、基板本体の主面に直交する主面を有する内部垂直電極23を有する。また、基板本体の内部に内部実装部品25が(内部)平面電極22と接触するように配置され、表面実装部品24が(外部)平面電極22と接触するように配置されている。表面実装部品24は電極を有し、該電極と上記とは別の(外部)平面電極22が給電ワイヤ27により電気的に接続されている。低温同時焼成セラミックス多層基板20は、基板本体を貫通するように放熱ビア26を有し、その直上に表面実装部品24が実装された構成である。
このような低温同時焼成セラミックス多層基板20において、本実施形態のガラスは、例えば、誘電体層21の形成に用いられる。低温同時焼成セラミックス多層基板の形成方法としては、印刷法、グリーンシート法があるが以下にグリーンシート法を簡単に説明する。
まず、誘電体層を構成するために必要な機能性セラミックスの粉末に、本実施形態のガラスの粉末を混合して混合粉末を得る。機能性セラミックスは適宜選択すればよいが、強度を高くする場合は、アルミナなどを用いればよい。混合粉末の全量に対する本実施形態のガラス粉末の含有量は、40~70体積%が好ましい。
次に、先述の積層セラミックスコンデンサの製造方法と同様にして、グリーンシートを得る。
次に、グリーンシート上の必要な部分に内部配線もしくは最外部の場合、外部配線となる平面電極層を形成するために、銀や銅を主成分とする導電性ペーストを塗布する。導電性ペーストにも本実施形態のガラスを添加することにより、層間接着性を向上することができる。また、抵抗体層を形成する場合は、酸化ルテニウムを主成分とする抵抗体ペーストを塗布する。内部垂直電極は、グリーンシートに予め穴あけ処理を施しておき、その部分に銀や銅を主成分とする導電性ペーストを穴埋め塗布し、形成する。放熱ビアも同様にグリーンシートに予め穴あけ処理を施しておき、その部分に銀や銅を主成分とする熱伝導性の高い材料で構成されるペーストを穴埋め塗布し、形成する。また、必要に応じて内部実装部品を載置してもよい。
これらのペーストを塗布する方法は特に限定されず、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷が挙げられる。
その後、これらのシートを複数枚積層して、適宜、熱や圧力を加えて圧着し一体化し、積層シートを得る。圧着時の加熱温度は、例えば40~80℃とする。
次に、得られた積層シートを加熱して樹脂材料成分などを燃焼させた後、本実施形態のガラスを焼結させ、焼成積層体を得る。
このように、積層シートの一括焼成により低温同時焼成セラミックス多層基板を製造することで、各層間の密着性に優れ、信頼性の高い経時安定性に優れる低温同時焼成セラミックス多層基板を得ることができる。
加熱は例えば大気中、不活性ガス中、真空中など所定の雰囲気で焼成炉を用いて行う。加熱の温度は、本実施形態のガラスのTgより30℃以上高く、かつ、Tc1-on未満の温度で行うことが好ましい。具体的には加熱の温度は280~600℃が好ましく、焼成の促進、製造コストの低減の点で、280~550℃がより好ましい。加熱の時間は、例えば1~3時間とする。
その後、必要に応じて焼成積層体の外部電極となる部分にNiやAuのメッキを施す。また、必要に応じて、焼成する前に積層シートをハーフカットしておき、焼成後に割断し、チップ化する。もしくは、ダイシングソーなどを用いて、チップ化する。さらに、例えば、外部電極上に表面実装部品や表面実装部品が有する電極と外部電極を接続する給電ワイヤを設ける。
なお、上記では本実施形態のガラスを結着用バインダーとして用いる例を説明したが、本実施形態のガラスと結晶体を含む複合体を結着用バインダーとして用いてもいいし、他の材料を含む結着用バインダーを用いてもよい。いずれの結着用バインダーを用いる場合でも、混合粉末の全量に対する本実施形態のガラスの割合が40~70体積%となるように混合粉末を作製することが好ましい。
<固体電解質>
本実施形態のガラスは優れたイオン伝導度を示すため、固体電解質の材料として有用である。以下に、本実施形態のガラスを含む固体電解質(以下「本実施形態の固体電解質」ともいう)について説明する。
本実施形態の固体電解質は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で本実施形態のガラス以外の成分を含んでいてもよい。本実施形態の固体電解質が含有し得るその他の成分としては、イオン伝導性結晶等が挙げられる。本実施形態の固体電解質における本実施形態のガラスの含有量は、40体積%以上が好ましく、70体積%以上がより好ましく、さらに好ましくは100体積%である。
なお、本実施形態の固体電解質の材料として本実施形態のガラスと結晶体とを含む複合体を用いてもよい。ただし、該複合体がすでにイオン伝導性結晶等の固体電解質用の結晶成分を十分な量含む場合には、固体電解質にさらにそのような結晶成分を添加する必要はない。
<全固体リチウムイオン二次電池>
本実施形態の固体電解質は高いイオン伝導性を有するため、全固体リチウムイオン二次電池の固体電解質層に好適である。以下に、本実施形態の固体電解質を備える全固体リチウムイオン二次電池について説明する。
全固体リチウムイオン二次電池(以下、単に「リチウムイオン二次電池」とも記載する)は、正極、負極、および前記正極と前記負極の間に配置された固体電解質層を有する。
リチウムイオン二次電池は、固体電解質層を挟んで正極および負極が配置された積層体(以下「積層ユニット」という。)を1単位として、これを1個有する構成であってもよく、2個以上の積層ユニットが積層された構成(以下、「多層構造」ともいう)であってもよい。固体電解質層を薄くして、電極層間の距離を小さくすること、また、積層ユニットを多く積層することで、エネルギー密度が大きなリチウムイオン二次電池を得ることができる。
図3に、多層構造でありかつ直列型のリチウムイオン二次電池の構成を概略的に示す。リチウムイオン二次電池30は、正極(カソード)31、負極(アノード)32、および正極31と負極32との間に配設された固体電解質層33を有する複数の積層ユニット34が、電子伝導体層35を介して積層され、直列に接続された構造を有する。図3中、丸でかこまれた「+」および「-」の符号は、それぞれ正極端子および負極端子を示す。
正極31には、例えば、LiCoO、LiMn、LiFePO等が使用される。負極32には、例えば、金属リチウム、グラファイトまたはLiTi12等が使用される。ただし、これらは、一例であって、正極31および負極32に、その他の電極材料を使用してもよい。
また、図3に示すような直列型の多層全固体リチウムイオン二次電池30において、積層ユニット34は上記以外の層を有していてもよい。さらに、リチウムイオン二次電池30は、積層ユニット34や電子伝導体層35以外の層を有していてもよい。
また、多層全固体リチウムイオン二次電池を並列型とする場合、例えば、図3に示す直列型のリチウムイオン二次電池30において、電子伝導体層35を絶縁体層に変えるとともに、各積層ユニット34中の各正極31を、配線(正極配線)を介して一括して正極端子に接続し、さらに、各積層ユニット34中の各負極32を、配線(負極配線)を介して一括して負極端子に接続すればよい。
以下に、図3に示す多層全固体リチウムイオン二次電池の製造方法の例を説明する。
まず、正極活物質、本実施形態のガラスを含む固体電解質材料、負極活物質、および電子伝導性材料を、それぞれペーストもしくはスラリー化し、塗布し乾燥してグリーンシートを作製する。
ペースト化の方法は、特に限定されないが、例えば、ビヒクルに各材料の粉末を混合する方法が挙げられる。ペーストもしくはスラリーの塗布方法は、特に限定されず、ダイコート、スクリーン印刷、転写、ドクターブレード法等の公知の方法を採用することができる。なお、平面にパターンを形成したい時は、グリーンシートにパンチングや切断を施す、ペーストを基材にスクリーン印刷やグラビア印刷する等の手法をとればよい。
次に、作製された各グリーンシートを順に積み重ね、必要に応じてアライメント、切断等を行い、積層体を作製する。なお、必要に応じて、正極の端面と負極の端面が一致しないようにアライメントを行い、積層してもよい。
次に、作製された積層体を一括して圧着し、その後大気雰囲気で加熱し焼成を行うことで、多層構造のリチウムイオン二次電池が得られる。
上記圧着時の加熱温度は、例えば、40~80℃とする。
上記焼成時の加熱温度は、本実施形態のガラスのTgより30℃以上高く、かつ該ガラスのTc1-on未満の温度範囲とするのが好ましく、具体的には280~600℃が好ましく、焼成の促進、製造コストの低減の点で、280~550℃の範囲がより好ましい。焼成時の加熱時間は、例えば1~3時間とする。
このように一括焼成により多層構造のリチウムイオン二次電池を製造することで、各層間の密着性に優れ、電池性能や経時安定性に優れるリチウムイオン二次電池が得られる。本実施形態のガラスはイオン伝導度が高いため、本実施形態のガラスを用いることで、電池性能の高いリチウムイオン二次電池を得ることができる。
なお、多層構造のリチウムイオン二次電池30の製造においては、正極31、固体電解質層33、負極32からなる積層ユニット34について個々の単位で上記と同様にして一括焼成を行い、電子伝導体層35ペーストを介して得られた積層ユニット34を積層し、電子伝導体層35ペーストの焼成条件に応じて焼成する方法を採用してもよい。
また、多層構造のリチウムイオン二次電池30の製造方法は上記のような一括焼成による方法に限定されず、例えば、正極31、負極32、固体電解質層33、電子伝導体層35の各層を別々に製造した後にこれらを順に積層し加熱圧着等により一体化する方法も採用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
[ガラスの製造]
表1に示す仕込み組成となるように、各原料粉末を秤量し混合した。原料には、LiCO、B、LiPO、LiCl、Al、ZrOを組み合わせて使用した。次に、混合した原料を白金るつぼに入れ、900℃で30分間加熱して原料を溶融させた後、溶融した原料をロールアウトマシンにより急冷し、フレーク(薄片)状にして、各例のガラス(以下、ガラスフレークという。)を作製した。得られた各例のガラスフレークを顕微鏡で観察したところ、いずれのガラスフレークにおいても結晶体は見られなかった。なお、例1~例17が実施例であり、例18~20が比較例である。
[イオン伝導度の測定]
ガラスフレークの両面に、蒸着法により金電極(直径6mm)を形成した。次いで、両面の金電極の間に50mVの測定電圧を印加し、交流インピーダンス法により、ガラスフレークのインピーダンスを測定した。測定には、FRA(周波数応答アナライザ)を備えるソーラトロンSI1287(Solartron社製)を使用し、測定周波数は、10Hz~0.1Hzとした。Nyquistプロットで求められる円弧径より、イオン伝導度を求めた。測定結果を表1及び表2に示す。
Figure 2023141130000001
Figure 2023141130000002
表1及び表2に示すように、実施例である例1~17のガラスは、比較例である例18~20のガラスと比して、イオン伝導度が高かった。比較例である例18及び19はB3+の含有量が多過ぎる例である。また、比較例である例20は、P5+の含有量が多過ぎる例である。
10 積層セラミックスコンデンサ
11 誘電体層
12 内部電極層
13 外部電極
20 低温同時焼成セラミックス多層基板
21 誘電体層
22 平面電極
23 内部垂直電極
24 表面実装部品
25 内部実装部品
26 放熱ビア
27 給電ワイヤ
30 リチウムイオン二次電池
31 正極
32 負極
33 固体電解質層
34 積層ユニット
35 電子伝導体層

Claims (7)

  1. カチオン%表記で、
    Liを50%以上67%以下、
    3+を5%以上21%未満、および、
    5+を12%以上30%以下、
    含有するとともに、
    アニオン%表記で、
    2-を77%以上93%未満、および、
    Clを7%超23%以下含有するガラス。
  2. カチオン%表記でAl3+を0%超8%以下含有する、請求項1に記載のガラス。
  3. カチオンとしてTa5+を含有しない又は実質的に含有しない、請求項1または2に記載のガラス。
  4. カチオンとしてW6+を含有しない又は実質的に含有しない、請求項1~3のいずれか1項に記載のガラス。
  5. イオン伝導度が1.0×10-6S/cm以上である請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のガラスを含む固体電解質。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載のガラスを含む結着用バインダー。
JP2022047281A 2022-03-23 2022-03-23 ガラス、該ガラスを含む固体電解質、及び、該ガラスを含む結着用バインダー Pending JP2023141130A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022047281A JP2023141130A (ja) 2022-03-23 2022-03-23 ガラス、該ガラスを含む固体電解質、及び、該ガラスを含む結着用バインダー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022047281A JP2023141130A (ja) 2022-03-23 2022-03-23 ガラス、該ガラスを含む固体電解質、及び、該ガラスを含む結着用バインダー

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023141130A true JP2023141130A (ja) 2023-10-05

Family

ID=88206002

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022047281A Pending JP2023141130A (ja) 2022-03-23 2022-03-23 ガラス、該ガラスを含む固体電解質、及び、該ガラスを含む結着用バインダー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023141130A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7115609B2 (ja) ガラス
JP5312966B2 (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
WO2010110201A1 (ja) 誘電体磁器組成物、多層誘電体基板、電子部品、及び誘電体磁器組成物の製造方法
CN111699582B (zh) 全固体电池
JP2016001597A (ja) リチウムイオン二次電池
WO2010058697A1 (ja) ガラスセラミック組成物およびガラスセラミック基板
JP2001114554A (ja) 低温焼成セラミック組成物及びセラミック多層基板
JP5887074B2 (ja) セラミックス組成物、セラミックス焼結体及び電子部品
JP7346884B2 (ja) ガラス
JP6620578B2 (ja) ガラス
JP6720681B2 (ja) ガラス
JP2023141130A (ja) ガラス、該ガラスを含む固体電解質、及び、該ガラスを含む結着用バインダー
JP6901021B2 (ja) ガラス
JPWO2020175291A1 (ja) ガラス
JP3605260B2 (ja) 非還元性誘電体磁器組成物
KR20110057507A (ko) 내환원성 ltcc용 고주파 유전체 세라믹 조성물 및 이를 이용한 적층 세라믹 커패시터
KR100478127B1 (ko) 유전체 세라믹 조성물
WO2023157545A1 (ja) 積層セラミック電子部品
JP6545492B2 (ja) 固体イオンキャパシタおよび固体イオンキャパシタの製造方法
CN115103822A (zh) 玻璃组合物和复合粉末材料