JP7340809B2 - ナノカーボン複合セラミックス及びその製造方法 - Google Patents
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また、複数種類の農作物が混合された対象物を乾燥する場合、均一な乾燥ができないという問題があった。
セラミックス粒子中にナノカーボン材料の50%以上が凝集体を構成することなく均一に分散し、
前記セラミックス粒子は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、コーディエライト、又は、これらの配合物を90重量%以上含有してなり、
前記ナノカーボン材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン、又は、これらの配合物であり、
前記セラミックス粒子に対する前記ナノカーボン材料の添加量が、0.5重量%~5.0重量%の範囲内であり、
25℃における波長域1.67μm~25μmの赤外線の放射率が80%以上であることを特徴とする。
セラミックス粒子中にナノカーボン材料の50%以上が凝集体を構成することなく均一に分散し、
前記セラミックス粒子は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、コーディエライト、又は、これらの配合物を90重量%以上含有してなり、
前記ナノカーボン材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン、又は、これらの配合物であり、
前記セラミックス粒子に対する前記ナノカーボン材料の添加量が、0.5重量%~5.0重量%の範囲内であり、
300℃における波長域1.67μm~25μmの赤外線の全放射率が85%以上であることを特徴とする。
前記ナノカーボン材料は、粒度分布がD90<50nmであることを特徴とする。
前記ナノカーボン材料に加え、セルロースナノファイバーを含有してなることを特徴とする。
請求項1~3のいずれか1つに記載のナノカーボン複合セラミックスを製造する方法であって、
前記セラミックス粒子からなるセラミックススラリーを調整する工程と、
前記ナノカーボン材料を含有し、粒度分布がD90<50nmであるナノカーボン‐水系分散液を調整する工程と、
前記セラミックススラリーに前記ナノカーボン‐水系分散液を混合して混合スラリーを調整する工程と、
前記混合スラリーから成形用材料を調整する工程と、
調整した成形用材料を所定の容器に収容して予備成形体を準備する工程と、
前記予備成形体をアルカリ固化反応、加熱硬化、又は、焼成する固化工程とを有することを特徴とする。
また、本発明に係るナノカーボン複合セラミックスの製造方法は、請求項6の記載によれば、
請求項4に記載のナノカーボン複合セラミックスを製造する方法であって、
前記セラミックス粒子からなるセラミックススラリーを調整する工程と、
前記ナノカーボン材料を含有し、粒度分布がD90<50nmであるナノカーボン‐水系分散液を調整する工程と、
前記セラミックススラリーに前記ナノカーボン‐水系分散液を混合して混合スラリーを調整する工程と、
前記混合スラリーから成形用材料を調整する工程と、
調整した成形用材料を所定の容器に収容して予備成形体を準備する工程と、
前記予備成形体をアルカリ固化反応、又は、加熱硬化する固化工程とを有することを特徴とする。
請求項1~3のいずれか1つに記載のナノカーボン複合セラミックスを製造する方法であって、
前記セラミックス粒子からなるセラミックススラリーを調整する工程と、
前記ナノカーボン材料を含有し、粒度分布がD90<50nmであるナノカーボン‐水系分散液を調整する工程と、
前記セラミックススラリーに前記ナノカーボン‐水系分散液を混合して混合スラリーを調整する工程と、
前記混合スラリーを釉薬として別途成形したセラミックス予備成形体に施釉する工程と、
施釉したセラミックス予備成形体を焼成する固化工程とを有することを特徴とする。
本第1実施形態は、焼成固化により製造したナノカーボン複合セラミックスに関するものである。
本第1実施形態においては、この工程で、セラミックス粒子からなるセラミックススラリーを調整する。ナノカーボン複合セラミックスに使用するセラミックス粒子は、特に限定するものではない。例えば、アルミナ、ムライト、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどであってもよく、これらの配合物であってもよい。
本第1実施形態においては、この工程で、先の工程で準備したセラミックススラリーに混合するナノカーボン‐水系分散液を調整する。本発明において使用するナノカーボン材料とは、ナノサイズ又はマイクロサイズの微小炭素系物質である。通常のカーボン材料であるカーボンブラック(CB)やカーボンファイバー(CF)を使用して赤外線の放射率を上げようとすると、セラミックス放射体に対して15重量%程度の添加が必要となり、物性に優れたセラミックス放射体を成形することができない。
本第1実施形態においては、この工程で、先の工程で調整したセラミックススラリーとナノカーボン‐水系分散液とを混合して混合スラリーを調整する。まず、撹拌容器にセラミックススラリーを投入して撹拌する。次に、撹拌しながらナノカーボン‐水系分散液を加える。更に、所定時間撹拌を継続して混合スラリーを調整する。なお、撹拌装置、及び、撹拌のトルクと撹拌時間は、セラミックススラリーの粘度やナノカーボン‐水系分散液の混合量などにより適宜選定すればよい。
本第1実施形態においては、この工程で、先の工程で調整した混合スラリーから成形用材料を調整する。まず、混合スラリーの水分量や粘度を調整して成形を容易にするためのバインダーとよばれる補助成分を混合して成形用材料を調整する。バインダー成分としては、後工程の焼成などで消滅する有機高分子などが使用される。例えば、ワックスエマルション、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリエーテル樹脂などである。
本第1実施形態においては、この工程で、先の工程で調整した成形用材料を所定の容器に収容して予備成形体を準備する。具体的には、造粒などで調整した成形用材料を乾式金型プレス装置などで予備成形体に成形する。なお、成形用材料の成形装置や成形方法は、特に限定するものではなく、セラミックス用の成形機を使用すればよい。
本第1実施形態においては、この工程で、先の工程で準備した予備成形体の固化を完結する。本第1実施形態においては、焼成による固化を行う。なお、本第1実施形態に係る予備成形体は、ナノカーボン材料を含有しているので、大気中焼成ではなく窒素雰囲気下又はアルゴン雰囲気下で焼成する。焼成温度や昇温時間などの条件は、特に限定するものではないが、例えば、100℃~250℃/h前後の温度で昇温し、1000℃~1400℃前後の温度で0.5時間~2時間程度焼成すればよい。
本第2実施形態は、焼成することなくアルカリ固化反応又は加熱硬化により製造したナノカーボン複合セラミックスに関するものである。
本第2実施形態においては、上記第1実施形態と同様にセラミックス粒子からなるセラミックススラリーを調整する。また、セラミックススラリーの調整には、上記第1実施形態と同様の操作を行えばよい。なお、本第2実施形態においては、アルカリ水和反応やいわゆるセラミックス接着剤を利用することができる。アルカリ水和反応は、低温でも固化するがセラミックス接着剤の固化には100℃~200℃程度の加熱硬化が必要である。
本第2実施形態においては、上記第1実施形態と同様にセラミックススラリーに混合するナノカーボン‐水系分散液を調整する。なお、使用するナノカーボン材料は、上記第1実施形態と同様である。なお、本第2実施形態においては、焼成を行わないのでナノカーボン‐水系分散液に他の有機物を混合することができる。
本第2実施形態においては、上記第1実施形態と同様にセラミックススラリーとナノカーボン‐水系分散液とを混合して混合スラリーを調整する。本第2実施形態における混合スラリーの調整法は、上記第1実施形態と同様の方法を利用することができる。
本第2実施形態においては、上記第1実施形態と同様に混合スラリーから成形用材料を調整する。なお、アルカリ固化反応又は加熱硬化を利用する場合には、成形用材料はスラリー状(増粘したスラリー)で使用するので造粒の必要はない。また、アルカリ固化反応を行う場合には、この工程において混合スラリーに所定量のアルカリ水溶液などを混合して、成形用材料(スラリー状)を調整する。
本第2実施形態においては、上記第1実施形態と同様に成形用材料を所定の容器に収容して予備成形体を準備する。本第2実施形態においては、成形用材料はスラリー状であり乾式金型プレス装置などは使用しない。ここでは、シリコン型などの所定形状の容器を使用する。この時使用する容器の形状と大きさは、使用目的によって適宜選定すればよい。なお、本第2実施形態においては、予備成形体を準備する代わりに、既存のセラミックス成形体の表面に、スラリー状の成形用材料を塗布するようにしてもよい。
本第2実施形態においては、上記第1実施形態と同様に予備成形体の固化を完結する。本第2実施形態においては、アルカリ固化反応又は加熱硬化による固化を行う。アルカリ固化反応の場合には、セラミックス材料とアルカリ水溶液との反応が完結するまで硬化反応を行う。硬化反応は、室温から高温までどのような温度範囲で行ってもよい。例えば、室温~130℃の温度の常圧下で行うことができる。一方、セラミックス接着剤などの場合には、加熱硬化による固化を行う。加熱固化は、例えば、100℃~200℃前後の温度で1時間~2時間程度加熱すればよい。
本第3実施形態は、調整した混合スラリーを釉薬として使用したナノカーボン複合セラミックスに関するものである。
本第3実施形態においては、上記第1実施形態と同様にセラミックス粒子からなるセラミックススラリーを調整する。また、セラミックススラリーの調整には、上記第1実施形態と同様の操作を行えばよい。なお、本第3実施形態においては、混合スラリーを釉薬として使用するので、釉薬に使用されるセラミックス粉体を使用する。例えば、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化カルシウム(CaO)、ジルコニア(ZrO2)、一酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ナトリウム(Na2O)を所定量配合して透明釉を調整する。
本第3実施形態においては、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様にしてナノカーボン‐水系分散液を調整する。
本第3実施形態においては、セラミックススラリーとして調整した透明釉とナノカーボン‐水系分散液とを混合して混合スラリー(ナノカーボン配合釉薬)を調整する。本第3実施形態における混合スラリーの調整法は、上記第1実施形態と同様の方法を利用することができる。
本第3実施形態においては、別途成形したセラミックス予備成形体に混合スラリー(ナノカーボン配合釉薬)を施釉する。この操作は、通常の施釉と同様にして行う。
本第3実施形態においては、上記第1実施形態と同様にして焼成による固化を行う。なお、焼成に関する操作及び条件は、上記第1実施形態と同様である。
アルミナ粒子2kgと分散剤を含有した略同量の純水を容量10Lのナイロンポットミル(ボール重量3.2kg)に投入して62時間混練して、セラミックス粒子が水中に分散したセラミックススラリーを調整した。アルミナ粒子に対する水の量は、次の工程で混合するナノカーボン‐水系分散液の量との関係で個々に調節した。
まず、所定量の脱イオン水とDMSO(Dimethyl Sulfoxide)を含む湿潤液に所定量のCNT(MWCNT:Nanocyl社製、NC7000、直径9.5nm、長さ1.5μm)を添加し、ボールミル(直径20mmのジルコニアビーズを50%充填)を使用して所定時間の湿潤処理を行った。次に、湿潤処理したCNTスラリーを取り出し、これに所定量の界面活性剤等を添加し、ビーズミル(直径0.3mmのジルコニアビーズを70%充填)を使用して、粒度分布がD90<50nmになるまで分散処理を行い、所定濃度のナノカーボン‐水系分散液を調整した。ここで、所定濃度とは、アルミナ粒子に対するCNTの3水準の添加量を考慮して調整した。なお、比較例1のナノカーボンなし、CB3重量%及びCF3重量%についても同様にして調整した。
上記各工程で調整したセラミックススラリーとナノカーボン‐水系分散液とを混合して混合スラリーを調整した。攪拌機にセラミックススラリーを投入し、約400rpmで撹拌しながら各水準のナノカーボン‐水系分散液を投入した。投入後2時間撹拌を行い、均一に混合されたCNTの3水準の混合スラリーを調整した。なお、比較例1のCB3重量%及びCF3重量%についても同様にして混合スラリーを調整した。
得られた各水準の混合スラリーにバインダーを添加した。各混合スラリーに対して、ワックスエマルション(セルナWF-610、中京油脂製)1.5重量%、水溶性アクリル樹脂(セランダーAP-5、ユケン工業製)1.0重量%、水溶性ポリエーテル樹脂(メルポールF-220、三洋化成工業製)0.5重量%、及び、アンモニア水と消泡剤を添加して混合した。
造粒した各水準の成形用材料を乾式金型プレス装置で予備成形体に成形した。プレス条件は、180N(200kg/cm2)で2分間保持した。このようにして、CNTの3水準の予備成形体を準備した。なお、比較例1のナノカーボンなし、CB3重量%及びCF3重量%についても同様にして予備成形体を準備した。
本実施例1においては、焼成固化により各水準の予備成形体の固化を完結した。焼成条件は、窒素雰囲気下で200℃/hで昇温し、1350℃の温度で1時間焼成した。このようにして、アルミナ粒子に対するCNTの添加量を0.5重量%、3重量%、及び、4重量%の3水準としたナノカーボン複合セラミックスを作製した。また、比較例1として、アルミナ粒子に対してナノカーボンを添加しないセラミックス、アルミナ粒子に対してCB3重量%又はCF3重量%を添加したカーボン複合セラミックスを作製した。
本実施例1においては、赤外線の放射率の測定を一般財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)の方法(以下「JFCC法」という)で測定した。この方法は、従来の黒体と試料との放射率の比を取る方法に比べ、ノイズが少なく分解能に優れたフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を使用し、室温での測定を可能にした。赤外線の波長域の光を試料に照射して、その反射エネルギーを積分級で捉える。吸収エネルギーと放射エネルギーは反比例の等価であるという理論に基づく。室温のスペクトルから指定温度の全放射率をJIS R 1693-2に準拠して計算する。なお、JFCC法は公知であるので、ここでは測定法の詳細は省略する。
本実施例2においては、セラミックススラリーを調整する前にコーディエライト配合粒子を調整した。まず、コーディエライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)15重量%、溶融シリカ55重量%、蛙目粘土24重量%及びカオリン6重量%を配合して、乾粉を調整した。次に、この乾粉2kgに対して40重量%の水を配合して湿式調合により粉砕混合を行った。その後、脱水して原料ケーキ(水分量19%)とし、50℃で乾燥してコーディエライト配合粒子を得た。
本実施例2においては、上記実施例1と同様にしてCNT(MWCNT:Nanocyl社製、NC7000、直径9.5nm、長さ1.5μm)を分散したナノカーボン‐水系分散液を調整した。ここで、ナノカーボン‐水系分散液の濃度は、コーディエライト配合粒子に対するCNTの添加量2.4重量%を考慮して調整した。
上記各工程で調整したセラミックススラリーとナノカーボン‐水系分散液とを混合して混合スラリーを調整した。上記実施例1と同様にして攪拌機にセラミックススラリーを投入し、約400rpmで撹拌しながら各水準のナノカーボン‐水系分散液を投入した。投入後2時間撹拌を行い、均一に混合されたCNTを添加した混合スラリーを調整した。なお、比較例2においては、ナノカーボン‐水系分散液を投入することなく、セラミックススラリーに純水を添加してコーディエライト配合粒子のみからなる混合スラリーを調整した。
本実施例2においては、得られた混合スラリーにバインダーを添加して造粒することなく、水分量を調整して成形用材料を調整した。なお、比較例2についても同様にして成形用材料を調整した。
石膏型を取付けた加圧成形機に成形用材料を投入し、1kg/cm3の加圧で予備成形体を準備した。なお、比較例2についても同様にして予備成形体を準備した。
本実施例2においては、上記実施例1と同様に焼成固化により予備成形体の固化を完結した。焼成条件は、窒素雰囲気下で6時間を要して1050℃まで昇温し、1050℃の温度で0.5時間焼成した。このようにして、コーディエライト配合粒子に対するCNTの添加量を2.4重量%としたナノカーボン複合セラミックスを作製した。また、比較例2として、CNTを添加しないコーディエライト配合粒子のみからなるセラミックスを作製した。
本実施例2においては、上記実施例1と同様にしてJFCC法によって、ナノカーボン複合セラミックス、及び、比較例2のセラミックスに対して全放射率を測定した。なお、本実施例2においては、200℃と300℃における波長域1.67μm~25μm(波数域400~6000cm-1)の赤外線の全放射率を測定した。測定した赤外線の全放射率の値を表2に示す。なお、ここに示していないが、本実施例2のナノカーボン複合セラミックスに対して、曲げ強度などの物性を確認したところ、赤外線放射体としての実用的な物性を示していた。
本実施例3に使用したセラミックス接着剤は、固形分比率でシリカ(SiO2)80重量%、アルミナ(Al2O3)11重量%、ジルコニア(ZrO2)4.8重量%、酸化カルシウム(CaO)4.2重量%のものを使用した。これらの固形分83重量%に対して、水分17重量%からなるセラミックススラリーを調整した。
本実施例3においては、上記実施例1と同様にしてGTF(MWCNT 1.5重量%、GP 0.5重量%、CNF 0.12重量%)を純水中に分散したナノカーボン‐水系分散液(GTF分散液)を調整した。ここで、GTF分散液の濃度は、セラミックス接着剤(固形分)に対するGTFの添加量1重量%を考慮して調整した。なお、使用した材料は、CNT(MWCNT:Nanocyl社製、NC7000、直径9.5nm、長さ1.5μm)、GP(伊藤黒鉛工業株式会社製、膨張黒鉛を分散して使用、厚さ2~5nm、GP3~8枚、幅1~5μmのサイズにして使用)、CNF(第一工業製薬株式会社製、レオクリスタ、直径3nm、長さ5μm以上)であった。
上記各工程で調整したセラミックススラリーとナノカーボン‐水系分散液とを混合して混合スラリーを調整した。本実施例3においては、セラミックス接着剤の粘度が高く攪拌機を使用できないので、乳鉢を用いて混合スラリーを調整した。なお、比較例3においては、GTF分散液を投入することなく、セラミックススラリーに純水を添加してセラミックス接着剤のみからなる混合スラリーを調整した。
本実施例3においては、得られた混合スラリーを造粒することなく、水分量を調整して成形用材料を調整した。なお、比較例3についても同様にして成形用材料を調整した。
本実施例3においては、調整した成形用材料をシリコン型に入れて予備成形体を準備した。なお、比較例3についても同様にして予備成形体を準備した。
本実施例3においては、焼成することなく加熱硬化により予備成形体の固化を完結した。加熱条件は、200℃の温度で1時間加熱した。
本実施例3においては、上記実施例1と同様にしてJFCC法によって、ナノカーボン複合セラミックス、及び、比較例3のセラミックスに対して全放射率を測定した。なお、本実施例2においては、100℃と300℃における波長域1.67μm~25μm(波数域400~6000cm-1)の赤外線の全放射率を測定した。測定した赤外線の全放射率の値を表3に示す。なお、ここに示していないが、本実施例3のナノカーボン複合セラミックスに対して、曲げ強度などの物性を確認したところ、赤外線放射体としての実用的な物性を示していた。
本実施例4においては、セラミックススラリーとして釉薬を調整した。まず、シリカ(SiO2)53.2重量%、アルミナ(Al2O3)16.9重量%、酸化カルシウム(CaO)14.2重量%、ジルコニア(ZrO2)9.3重量%、一酸化ジルコニウム(ZrO)5.6重量%、酸化ナトリウム(Na2O)0.8重量%を水中に分散したセラミックススラリーを調整した。
本実施例4においては、上記実施例1と同様にしてCNT(MWCNT:Nanocyl社製、NC7000、直径9.5nm、長さ1.5μm)を分散したナノカーボン‐水系分散液を調整した。ここで、ナノカーボン‐水系分散液の濃度は、釉薬粒子に対するCNTの添加量を考慮して調整した。
上記各工程で調整したセラミックススラリーとナノカーボン‐水系分散液とを混合して混合スラリーを調整した。上記実施例1と同様にして攪拌機によりCNTを添加した混合スラリー(CNT釉薬)を調整した。なお、比較例4においては、ナノカーボン‐水系分散液を投入することなく、セラミックススラリーに純水を添加して釉薬粒子のみからなる混合スラリー(透明釉)を調整した。
本実施例4においては、別途成形したセラミックス予備成形体に対して施釉した。具体的には、上記実施例2において比較例として準備したCNTを添加しないコーディエライト配合粒子のみからなる予備成形体と同じものを使用した。このセラミックス予備成形体に対して、本実施例4のCNT1重量%釉薬、CNT5重量%釉薬、及び、比較例4の透明釉をそれぞれ施釉した。
本実施例4においては、上記実施例2と同様に焼成固化により予備成形体の固化を完結した。焼成条件は、窒素雰囲気下で6時間を要して1050℃まで昇温し、1050℃の温度で0.5時間焼成した。このようにして、釉薬粒子に対するCNTの添加量を1重量%と5重量%の2水準としたナノカーボン複合セラミックスを作製した。また、比較例4として、CNTを添加しない透明釉からなるセラミックスを作製した。
本実施例4においては、上記実施例1と同様にしてJFCC法によって、ナノカーボン複合セラミックス、及び、比較例4のセラミックスに対して全放射率を測定した。なお、本実施例4においては、200℃と300℃における波長域1.67μm~25μm(波数域400~6000cm-1)の赤外線の全放射率を測定した。測定した赤外線の全放射率の値を表4に示す。
縦120mm、横120mm、厚さ10mmの赤外線ヒーターを実施例4と同様にして作製した。なお、赤外線ヒーターの内部には、予め加熱用ニクロム線を内蔵しておいた。ニクロム線に通電することにより、赤外線ヒーターが加熱され赤外線が放射される。なお、比較例5として、同一サイズの既存の遠赤外線セラミックスヒーターを使用した。
加熱対象として厚さ3mmのアクリル板を用意して、その裏面3か所に温度センサーを取り付けた。断熱室の内部に赤外線ヒーターとアクリル板を120mmの間隔で対抗するように配置した。なお、赤外線ヒーターの出力は、100V‐400Wとした。赤外線ヒーターへの通電を開始し、経過時間と共にアクリル板の加熱温度(3点の平均値)を記録した。なお、比較例5に対しても同様にして測定した。図4は、赤外線ヒーターの性能試験における加熱対象であるアクリル板の昇温曲線を示すグラフである。
乾燥機に内蔵する赤外線ヒーターには、縦120mm、横120mm、厚さ10mmの赤外線ヒーターを実施例3と同様にして4台作製した。なお、赤外線ヒーターの内部には、予め加熱用ニクロム線を内蔵しておいた。ニクロム線に通電することにより、赤外線ヒーターが加熱され赤外線が放射される。この4台の赤外線ヒーターを容量90L(幅450mm、奥行450mm、高さ450mm)の熱風乾燥機の内部に配置した。赤外線ヒーターの位置は、試料台の上部100mmの位置に2台、試料台の下部100mmの位置に2台配置した。なお、赤外線ヒーターの出力は、100V‐300Wとした。一方、熱風乾燥機は、熱風用ヒーター(1.2kW)と送付機(ファンモーターシロッコファン1個、コンデンサ形モータ10W)を内蔵している。
乾燥対象として同一ロット内の椎茸を使用し、各乾燥条件に対して、それぞれ約2gを乾燥した。本実施例6として、条件1及び条件2の2水準で実施した。また、比較例6として、条件3及び条件4の2水準で実施した。温度の制御は、室温から38℃まで0.5時間かけて昇温した。その後、38℃から60℃まで15時間又は18時間かけて昇温した。更に、60℃に達してから1時間維持した。冷却は、自然冷却とした。なお、温度制御は、椎茸の傘の部分に差し込んだJIS規格熱電対Kで測温し制御した。
条件1:赤外線ヒーターと送風(熱風とせず)・昇温15時間・温度維持1時間
条件2:赤外線ヒーターのみ・昇温18時間・温度維持1時間
条件3:熱風乾燥のみ・昇温15時間・温度維持1時間
条件4:熱風乾燥のみ・昇温18時間・温度維持1時間
であった。
Claims (7)
- セラミックス粒子中にナノカーボン材料の50%以上が凝集体を構成することなく均一に分散し、
前記セラミックス粒子は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、コーディエライト、又は、これらの配合物を90重量%以上含有してなり、
前記ナノカーボン材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン、又は、これらの配合物であり、
前記セラミックス粒子に対する前記ナノカーボン材料の添加量が、0.5重量%~5.0重量%の範囲内であり、
25℃における波長域1.67μm~25μmの赤外線の放射率が80%以上であることを特徴とするナノカーボン複合セラミックス。 - セラミックス粒子中にナノカーボン材料の50%以上が凝集体を構成することなく均一に分散し、
前記セラミックス粒子は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、コーディエライト、又は、これらの配合物を90重量%以上含有してなり、
前記ナノカーボン材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン、又は、これらの配合物であり、
前記セラミックス粒子に対する前記ナノカーボン材料の添加量が、0.5重量%~5.0重量%の範囲内であり、
300℃における波長域1.67μm~25μmの赤外線の全放射率が85%以上であることを特徴とするナノカーボン複合セラミックス。 - 前記ナノカーボン材料は、粒度分布がD90<50nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のナノカーボン複合セラミックス。
- 前記ナノカーボン材料に加え、セルロースナノファイバーを含有してなることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のナノカーボン複合セラミックス。
- 請求項1~3のいずれか1つに記載のナノカーボン複合セラミックスを製造する方法であって、
前記セラミックス粒子からなるセラミックススラリーを調整する工程と、
前記ナノカーボン材料を含有し、粒度分布がD90<50nmであるナノカーボン‐水系分散液を調整する工程と、
前記セラミックススラリーに前記ナノカーボン‐水系分散液を混合して混合スラリーを調整する工程と、
前記混合スラリーから成形用材料を調整する工程と、
調整した成形用材料を所定の容器に収容して予備成形体を準備する工程と、
前記予備成形体をアルカリ固化反応、加熱硬化、又は、焼成する固化工程とを有することを特徴とするナノカーボン複合セラミックスの製造方法。 - 請求項4に記載のナノカーボン複合セラミックスを製造する方法であって、
前記セラミックス粒子からなるセラミックススラリーを調整する工程と、
前記ナノカーボン材料を含有し、粒度分布がD90<50nmであるナノカーボン‐水系分散液を調整する工程と、
前記セラミックススラリーに前記ナノカーボン‐水系分散液を混合して混合スラリーを調整する工程と、
前記混合スラリーから成形用材料を調整する工程と、
調整した成形用材料を所定の容器に収容して予備成形体を準備する工程と、
前記予備成形体をアルカリ固化反応、又は、加熱硬化する固化工程とを有することを特徴とするナノカーボン複合セラミックスの製造方法。 - 請求項1~3のいずれか1つに記載のナノカーボン複合セラミックスを製造する方法であって、
前記セラミックス粒子からなるセラミックススラリーを調整する工程と、
前記ナノカーボン材料を含有し、粒度分布がD90<50nmであるナノカーボン‐水系分散液を調整する工程と、
前記セラミックススラリーに前記ナノカーボン‐水系分散液を混合して混合スラリーを調整する工程と、
前記混合スラリーを釉薬として別途成形したセラミックス予備成形体に施釉する工程と、
施釉したセラミックス予備成形体を焼成する固化工程とを有することを特徴とするナノカーボン複合セラミックスの製造方法。
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