JP7338605B2 - 車両ドア用保持装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両ドアを保持する車両ドア用保持装置に関する。
従来、ミニバンなどの車両では、車両後方にバックドアを全開するのに十分なスペースが確保できない状況や、ユーザが全開位置にあるバックドアに手が届きにくい状況等が発生し得る。そこで、このような状況に対処するために、ユーザがバックドアを全開位置と全閉位置との間の任意の中間位置で保持できる技術が望まれている。
下記の特許文献1には、自動車のバックドアの開度保持装置が開示されている。この保持装置は、概して、ケーブルを巻き取るための回転ドラムと、一端部が回転ドラムに係止され他端部がバックドアに係止されたケーブルと、回転ドラムのケーブル巻出し方向(バックドアの開方向)のみの回転を拘束する一方向回転状態と回転ドラムの両方向(バックドアの開方向及び閉方向)の回転を許容する拘束解除状態を切り替える回転制御機構と、を備えている。
回転制御機構は、外周に複数の係合歯を有しドラムと一体回転する歯車であるラチェットホイールと、回動軸であるピンを中心に回動可能なロック部材であるラチェット爪と、ラチェット爪を弾性付勢するバネと、を有する。ラチェットホイールは、ラチェット爪がバネによる弾性付勢力によって係合歯に近づく方向に動いて係合歯と噛み合うことで回転がロックされる。また、ラチェット爪がバネによる弾性付勢力によって係合歯から遠ざかる方向に動いて係合歯との噛み合いが解除されることで回転のロックが解除される。
特開2011-46280号公報
ところで、車両に設けられるこの種の保持装置では、ラチェットホイールのような歯車がラチェット爪のようなロック部材でロックされたとき、歯車がドア側から回転方向に大きな荷重を受ける過負荷状態が生じることが想定される。そこで、このような過負荷状態が生じたときにロック部材による歯車のロックを解除できるようにするのが好ましい。
上記の回転制御機構のように、ロック部材が単に回動軸を中心に回動する構造の場合、ロック部材を係合歯から受ける荷重によって回動軸を中心に回動しながら係合歯から摺動しながら離脱させることができる。このとき、ロック部材を歯車の係合歯から確実に離脱でさせるためには、ロック部材と係合歯のそれぞれの噛み合い形状を精密に設計する必要がある。
そこで、その他の手段として、歯車と相対回転可能な固定部材に、ボール或いはピンからなる押圧部材がバネにより弾性付勢された状態で歯車に押し付けられるように構成された複数のプランジャーを用いることができる。このようなプランジャータイプのクラッチ機構は、歯車が回転方向に通常荷重を受けたときには押圧部材による押し付け荷重によって歯車の回転を阻止する一方で、歯車が回転方向に過負荷荷重を受けたときには押圧部材が動いて押し付け歯車の回転を許容する。ところが、プランジャータイプのクラッチ機構は、複数のプランジャーを用いるため構造が複雑であり、またプランジャーの組み直しが難しいという点で不利である。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、クラッチ機構の構造を簡素化できる車両ドア用保持装置を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、
車両ドア用保持装置であって、
外周に係合歯を有し周方向に回転自在に支持された歯車と、
回動軸部を中心として上記歯車の上記係合歯に噛み合うロック位置と上記係合歯との噛み合いを解除するアンロック位置との間で回動可能に設けられたロック部材と、
上記歯車と上記ロック部材の間の荷重伝達を調整するクラッチ機構と、
を備え、
上記クラッチ機構は、上記ロック部材を上記ロック位置と上記係合歯から外れた過負荷解除位置との間でスライド方向にガイドするガイド部と、上記回動軸部を上記スライド方向に弾性付勢する弾性部材と、を備え、
上記クラッチ機構は、上記ロック部材が上記ロック位置にある状態で上記係合歯から上記歯車の回転方向の通常荷重を受けたときには、上記弾性部材による弾性付勢力にしたがって上記ロック部材を上記ロック位置に保持し、上記ロック部材が上記ロック位置にある状態で上記係合歯から上記通常荷重を上回る上記回転方向の過負荷荷重を受けたときには、この過負荷荷重を、上記回動軸部を上記弾性部材の弾性付勢力に抗して動かして上記ロック部材を上記過負荷解除位置までスライドさせる力に変換するように構成されている、車両ドア用保持装置、
にある。
上記の車両ドア用保持装置において、歯車とロック部材の間の荷重伝達を調整するクラッチ機構には、ロック部材をロック位置と過負荷解除位置との間でスライド方向にガイドするガイド部と、ロック部材の回動軸部をスライド方向に弾性付勢する弾性部材と、が設けられている。このクラッチ機構によれば、ロック部材がロック位置にある状態で歯車の係合歯から回転方向の通常荷重を受けたときには、弾性部材による弾性付勢力にしたがってロック部材をロック位置に保持することができる。また、ロック部材がロック位置にある状態で歯車の係合歯から回転方向の過負荷荷重を受けたときには、ロック部材の回動軸部を記弾性部材の弾性付勢力に抗して動かしてロック部材を過負荷解除位置までスライドさせることができる。
このようなクラッチ機構は、過負荷状態でロック部材をロック位置から過負荷解除位置までスライドさせる構造を用いることで、ロック部材と歯車の係合歯とのそれぞれの噛み合い形状を精密に設計する必要がなく、また、プランジャータイプのクラッチ機構に比べて構造が簡単になるとう利点である。
以上のごとく、上記の態様によれば、クラッチ機構の構造を簡素化できる車両ドア用保持装置を提供することができる。
車体の後部を側方から視た側面図であって、実施形態1にかかるバックドアが任意の中間位置にあるときの様子を示す図。 実施形態1の車両ドア用保持装置の初期状態を模式的に示す断面図。 図2の車両ドア用保持装置のドア開操作状態を模式的に示す断面図。 図2の車両ドア用保持装置のドア閉操作状態を模式的に示す断面図。 図2の車両ドア用保持装置のドア保持状態を模式的に示す断面図。 図5の部分拡大図。 図6においてラチェットがロック位置から過負荷解除位置までスライドしたときの様子を示す図。 図6において調整部によりクラッチ荷重を弱める方向に調整したときの様子を示す図。 図6において調整部によりクラッチ荷重を強める方向に調整したときの様子を示す図。 実施形態2の車両ドア用保持装置について図5に対応した断面図。
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
上記の車両ドア用保持装置において、上記クラッチ機構は、上記弾性部材によって上記回動軸部に付与されるクラッチ荷重を調整可能な調整部を備えるのが好ましい。
この保持装置によれば、クラッチ機構に調整部を設けることによって、ユーザは、この調整部を操作してクラッチ荷重を適宜に調整することができる。このため、保持装置の組付け後に、クラッチ荷重のばらつきを修正したり、クラッチ荷重を所望の状態に調整したりすることができる。
上記の車両ドア用保持装置において、上記弾性部材は、上記スライド方向を伸縮方向として上記伸縮方向の一端部が上記回動軸部に連結されたバネ部材であり、上記調整部は、上記バネ部材の上記伸縮方向の他端部に連結されたネジ部材を有し、上記ネジ部材のネジ回し操作によって上記バネ部材の上記他端部の位置が上記伸縮方向に調整されるように構成されているのが好ましい。
この保持装置によれば、調整部において、ネジ部材のネジ回し操作によってバネ部材の他端部が一端部から遠ざかる方向に調整されると、バネ部材が調整前よりも伸びることでクラッチ荷重が弱まる。また、ネジ部材のネジ回し操作によってバネ部材の他端部が一端部に近づく方向に調整されると、バネ部材が調整前よりも縮まることでクラッチ荷重が強まる。このため、ユーザは、ネジ部材のネジ回し操作によってクラッチ荷重の調整を簡単に行うことが可能になる。
上記の車両ドア用保持装置は、上記歯車及び上記ロック部材を収容するケースを備え、上記調整部は、上記ネジ部材の上記ケースの外部でのネジ回し操作が可能となるように構成されているのが好ましい。
この保持装置によれば、ユーザはケースを開放することなくケースの外部で、調整部のネジ部材をネジ回し操作することでクラッチ荷重の調整を簡単に行うことが可能になる。
以下、車体と車両後部のバックドアとの間に取付けられる、車両ドア用保持装置の具体的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、この実施形態を説明するための図面において、特にことわらない限り、車両前方を矢印FRで示し、車両上方を矢印UPで示すものとする。
車両ドア用保持装置については、車載状態において、車幅方向に相当する左右方向を矢印Xで示し、車長方向に相当する前後方向を矢印Yで示し、車高方向に相当する上下方向を矢印Zで示し、左右方向Xを中心とした周方向を矢印Dで示している。このとき、前後方向Yのうちの一方向を第1スライド方向Y1とし、その逆方向を第2スライド方向ZYとする。また、上下方向Zのうちの一方向を第1スライド方向Z1とし、その逆方向を第2スライド方向Z2とする。また、周方向Dのうちの一方向を第1回転において方向D1とし、その逆方向を第2回転方向D2とする。
(実施形態1)
図1に示されるように、車体1の後部2には、車両ドアとしてのバックドア6と、実施形態1の車両ドア用保持装置(以下、単に「保持装置」ともいう。)10と、が設けられている。
バックドア6は、回動軸7を介して全閉位置P1から中間位置(「半開位置」ともいう。)P3を経て全開位置P2までの間で回動可能な跳上げ式の車両ドアである。このバックドア6の回動動作によって、最後列シート3の後方のラゲッジルーム4を開閉することができる。ラゲッジルーム4は、その後方がバックドア6によって区画され、その両側が左右のピラートリム5によって区画されている。
このバックドア6は、右端部及び左端部のそれぞれが、既知の油圧式のダンパステー8によって車体1の後部2に連結されている。このため、ユーザによるバックドア6の開閉操作がダンパステー8によってアシストされるようになっている。例えば、ユーザがバックドア6から中間位置P3で手を離したとき、ダンパステー8はバックドア6が自重で全閉位置P1に向けて動くのを防ぐことができる。また、ダンパステー8によれば、ユーザがバックドア6を中間位置P3から全開位置P2に向けて跳ね上げるのに要する力を軽減できる。
保持装置10は、全閉位置P1と全開位置P2との間の任意の中間位置P3でケーブル部材25を介してバックドア6を保持する機能を有する。ケーブル部材25は、金属製の素線を複数組み合わせたワイヤロープとして構成されている。必要に応じて、ワイヤロープをベルトや巻尺のような部材に変更することもできる。
図2に示されるように、保持装置10は車体1に設けられている。この保持装置10は、車体1に固定されるケース11を有し、このケース11に、回転ドラム20と、トルク伝達部30と、ロック部40と、トリガ機構部50と、を含む複数の構成要素が収容されている。
回転ドラム20は、ケース11に左右方向Xに延びるように設けられた軸部20aを中心に周方向Dに回転自在に支持された回転体である。この回転ドラム20は、巻取り及び巻出しが可能なケーブル部材25によってバックドア6に連結されている。ケーブル部材25は、ケース11に設けられた開口12を通じて回転ドラム20からバックドア6側に巻出される。この回転ドラム20は、いずれも同軸であり且つ一体化されたリール部21と、第1ギア部22と、第2ギア部23と、を有する歯車として構成されている。
リール部21は、周方向Dの外周にケーブル部材25のための巻取り面を有し、回転ドラム20が軸部20aを中心に回転することによって、ケーブル部材25の巻取り及び巻出しが可能とされた部位である。このリール部21について、第1回転方向D1がケーブル部材25の巻出し方向であり、第2回転方向D2がケーブル部材25の巻取り方向である。このリール部21は、バネ部材24によって第2回転方向D2に常時に弾性付勢されている。
第1ギア部22は、ロック部40のラチェット41に対応して設けられたラチェット用の歯車であり、この第1ギア部22には、その周方向Dの外周全体にわたって複数の係合歯22aが設けられている。複数の係合歯22aは、径方向の仮想線に対して傾いた方向に延びている。図2では、便宜上、一部の係合歯22aの記載を省略している。
第2ギア部23には、その周方向Dの外周全体にわたって複数の係合歯23aが設けられている。図2では、便宜上、一部の係合歯23aの記載を省略している。本実施形態では、第2ギア部23が第1ギア部22よりも小径である場合について例示している。
トルク伝達部30は、アイドルギア31と、駆動ギア32と、トルクリミッター35と、を有し、回転ドラム20の回転時のトルクをトリガ機構部50にトルクリミッター35を介して伝達する機能を有する。
アイドルギア31は、回転ドラム20と駆動ギア32との間に介装された中間ギアである。このアイドルギア31は、ケース11に回転ドラム20の軸部20aと平行に延びるように設けられた軸部31aを中心に周方向Dに回転自在に支持された回転体である。このアイドルギア31には、その周方向Dの外周全体にわたって複数の係合歯31bが設けられている。図2では、便宜上、一部の係合歯31bの記載を省略している。このアイドルギア31は、複数の係合歯31bにおいて回転ドラム20の第2ギア部23の複数の係合歯23aと噛み合う。このため、アイドルギア31は、回転ドラム20の回転時にこの回転ドラム20と連動して回転するように構成されている。
駆動ギア32は、回転ドラム20及びアイドルギア31に連動して回転することで、後述の可動部材51を駆動するギアである。この駆動ギア32は、ケース11にアイドルギア31の軸部31aと平行に延びるように設けられた軸部32aを中心に周方向Dに回転自在に支持された回転体である。この駆動ギア32は、いずれも同軸である第1ギア部33及び第2ギア部34と、を有する。
第1ギア部33には、その周方向Dの外周全体にわたって複数の係合歯33aが設けられている。図2では、便宜上、一部の係合歯33aの記載を省略している。
第2ギア部34には、その周方向Dの外周全体にわたって複数の係合歯34aが設けられている。この第2ギア部34は、複数の係合歯34aにおいてアイドルギア31の複数の係合歯31bと噛み合う。このため、駆動ギア32は、アイドルギア31の回転時にこのアイドルギア31と連動して回転するように構成されている。本実施形態では、第2ギア部34が第1ギア部33よりも小径である場合について例示している。
トルクリミッター35は、駆動ギア32の第1ギア部33と第2ギア部34との間に設けられている。このトルクリミッター35は、過負荷時に伝達するトルクを遮断する機能を有する。このため、駆動ギア32において、周方向Dに作用するトルクが基準値を下回るときに第1ギア部33と第2ギア部34が周方向Dに一体回転する一方で、周方向Dに作用するトルクが基準値を超えたときに、トルクリミッター35の機能にしたがって第1ギア部33と第2ギア部34が相対回転可能な状態になる。
トルクリミッター35の構造は特に限定されるものではないが、一例として、回転体としてのロータと、このロータがオイルを介して回転自在となるように収容されるステータと、を有する既知の構造の回転式オイルダンパーを採用することができる。このオイルダンパーの具体的な構造については、例えば、特開2001-234962号公報に開示の回転式オイルダンパーの構造を参照することができる。
また、上記の回転式オイルダンパーに代わる構造として、第1ギア部33と第2ギア部34との間に介在するボール部材が過負荷時に離脱する構造や、電磁クラッチの制御によって過負荷時に第1ギア部33と第2ギア部34を切り離すような構造などを利用することもできる。
ロック部40は、回転ドラム20の回転をロックするロック状態と回転ドラム20の回転を許容するアンロック状態とのいずれかに設定される。ロック部40は、ロック部材としてのラチェット41と、このラチェット41に連結された支持アーム43と、を有する。
ラチェット41は、係止爪42を有し、ケース11に左右方向Xに延びるように設けられた回動軸部41aを中心に、回転ドラム20に対するロック位置Q1(二点鎖線で示される位置)からアンロック位置Q2(実線で示される位置)までの間で回動可能に構成されている。ロック位置Q1は、ラチェット41が係止爪42において第1ギア部22の係合歯22aに噛み合う位置である。アンロック位置Q2は、ラチェット41が係止爪42において第1ギア部22の係合歯22aとの噛み合いを解除する位置である。
支持アーム43は、一端部に設けられた連結ピン43aがラチェット41に設けられた長穴41bに係合することによって、ラチェット41に連結されている。このとき、連結ピン43aは、ラチェット41の長穴41bを長手方向にスライドできるように構成されている。
支持アーム43は、他端部に設けられた連結ピン43bを介して、トリガ機構部50の後述のリンクアーム56に連結されている。この支持アーム43は、特に図示しないものの、ラチェット41を回転ドラム20に対するアンロック位置に向けて動かすように、バネ部材(図示省略)によって常時に弾性付勢されている。
このため、ラチェット41がバネ部材から受ける弾性付勢力がトリガ機構部50から受ける荷重を上回るときに、ラチェット41がアンロック状態になる。これに対して、ラチェット41がトリガ機構部50から受ける荷重がバネ部材から受ける弾性付勢力を上回るときに、ラチェット41は、回動軸部41aを中心に回転ドラム20に向けて回動して、その係止爪42が回転ドラム20の係合歯22aに係合したときにロック状態になる。
ロック部40には、回転ドラム20の歯車である第1ギア部22とラチェット41との間の荷重伝達を調整するクラッチ機構44が設けられている。このクラッチ機構44は、ガイド部45と、バネ部材46と、調整部47と、を有する。
ガイド部45は、ラチェット41をロック位置Q1と過負荷解除位置Q3(図7を参照)との間でスライド方向である前後方向Yにガイドする機能を有する。このガイド部45は、ケース11の内壁面に立設された支持片45aと、ケース11に開口形成された長穴45bと、ラチェット41の長穴41bと、によって構成されている。
ここで、過負荷解除位置Q3は、ラチェット41の係止爪42が第1ギア部22の係合歯22aから遠ざかることによって係止爪42から係合歯22aから外れた位置である。この過負荷解除位置Q3は、ロック位置Q1に対するスライド位置であり、ロック位置Q1に対する回動位置であるアンロック位置Q2とは異なる位置である。
支持片45aは、ラチェット41がロック位置Q1にあるときにその前端部を下方から支持するように構成されている。長穴45bは、前後方向Yに延びるガイド穴であり、この長穴45bにラチェット41の回動軸部41aが挿入されている。長穴45bは、回動軸部41aの前後方向Yのスライド動作を許容する一方で、回動軸部41aの上下方向Zの動きを阻止するように構成されている。長穴41bは、支持アーム43の連結ピン43aの係合に使用される一方で、ラチェット41を前後方向Yにガイドする機能を兼務している。このため、長穴41bは、ラチェット41がロック位置Q1にあるときに、前後方向Yに延びるように形成されている。
バネ部材46は、ラチェット41の回動軸部41aを後方へ引っ張る引張バネである。このバネ部材46は、前後方向Yを伸縮方向としてこの伸縮方向の一端部46aが回動軸部41aに連結された弾性部材として構成されている。このバネ部材46によれば、ラチェット41の回動軸部41aが第1スライド方向Y1に常時に弾性付勢されるため、この回動軸部41aに第1スライド方向Y1の引っ張り荷重が付与される。
なお、ラチェット41の回動軸部41aを第1スライド方向Y1に常時に弾性付勢することができるバネであればよく、バネ部材46に代えて、回動軸部41aを前方から圧縮する圧縮バネを用いることもできる。
調整部47は、バネ部材46によってラチェット41の回動軸部41aに付与される弾性付勢力(クラッチ荷重)を調整可能に構成されている。調整部47は、ネジ部材48と、ネジ部材48を弾性付勢するバネ部材49と、を有する。
ネジ部材48は、ケース11に設けられた縦壁部13に螺合するネジ軸部48aと、ネジ軸部48aの一端部に設けられた頭部48bと、を有するボルト部材として構成されている。ネジ部材48は、ネジ軸部48aの他端部がバネ部材46の他端部46bに連結されている。
ネジ部材48は、頭部48bにおける一方向のネジ回し操作によってバネ部材49の弾性付勢力にしたがって縦壁部13に対して第1スライド方向Y1に移動する。また、このネジ部材48は、頭部48bにおける逆方向のネジ回し操作によってバネ部材49の弾性付勢力に抗して縦壁部13に対して第2スライド方向Y2に移動する。
ネジ部材48のネジ回し操作によって、バネ部材46の他端部46bの位置が伸縮方向である前後方向Yに調整される。これにより、バネ部材46から回動軸部41aに付与される弾性付勢力を調整することができる。
ネジ部材48の頭部48bは、ケース11の外部に露出した状態で配置されている。このため、ユーザは、ケース11の外部でのネジ部材48のネジ回し操作が可能である。
なお、上記構成の調整部47では、必要に応じて、ネジ部材48にナット部材を適宜に組み合わせた構造を採用することもできる。
トリガ機構部50は、ロック部40を駆動するためのものである。このトリガ機構部50は、可動部材51と、ハートカム機構53と、2つのストッパー58,59と、を有する。
可動部材51は、上下方向Zに延在するラック部52を有し、第1位置Q1(図5を参照)と第2位置Q2(図2及び図4を参照)との間でスライド可能である。ラック部52には、駆動ギア32の第1ギア部33に設けられている複数の係合歯33aと噛み合うように、スライド方向である上下方向Zに沿って複数のラック歯52aが設けられている。これにより、駆動ギア32の回転が可動部材51の上下方向Zの動きに変換される。このとき、可動部材51は、バックドア6の開閉時にトルク伝達部30から伝達されたトルクによって回転ドラム20に連動して第1位置Q1と第2位置Q2との間で移動するように構成されている。
2つのストッパー58,59は、可動部材51を第1位置Q1と第2位置Q2のそれぞれで停止させる機能を有する。このため、可動部材51の上下方向Zの動きは、ラック部52の上下方向Zの両側に配置された2つのストッパー58,59によって阻止される。
具体的には、可動部材51は、第2スライド方向Z2へスライドするときには、ラック部52がストッパー58に当接した第1位置Q1で停止状態となり、それ以上の第2スライド方向Z2へのスライドが阻止される。また、可動部材51は、第1スライド方向Z1へスライドするときには、ラック部52がストッパー59に当接した第2位置Q2で停止状態となり、それ以上の第1スライド方向Z1へのスライドが阻止される。
ハートカム機構53は、ハートカム形状のカム溝54と、カム溝54に係合するカムピン55と、2つのリンクアーム56,57と、を有する。2つのリンクアーム56,57は、ハートカム機構53のカムピン55と可動部材51とを連結するためのものであり、リンクアーム56にカムピン55が設けられている。このとき、可動部材51は、2つのリンクアーム56,57を介して、ロック部40の支持アーム43に連結されている。
カム溝54には、その溝経路上に、第1カム領域54aと、第2カム領域54bと、第3カム領域54cと、第4カム領域54dと、が含まれている。第1カム領域54a及び第3カム領域54cは、カム溝54のうち上下方向Zの最高所の領域とされる。第4カム領域54dは、カム溝54のうち上下方向Zの最低所の領域とされる。第2カム領域54bは、カム溝54のうち第1カム領域54a及び第3カム領域54cよりも低所であり且つ第4カム領域54dよりも高所に位置する領域とされる。
なお、ハートカム機構53のより具体的な構造や変更例については、例えば、特開2009-140037号公報に開示のハートカム機構の構造を参照することができる。
また、ハートカム機構53と同様の機能を有する別の機構を採用することもできる。別の機構として、例えば、ノック式ボールペン構造を採用することができる。この構造では、ノック棒が一方向へのワンプッシュ動作を繰り返すたびに、替芯が、ノック棒と替芯との間に介在するカム機構を介してロック状態とアンロック状態に交互に切り替わるようになっている。この構造と対比した場合、可動部材51がノック棒に相当し、ロック部40が替芯に相当し、ハートカム機構53がカム機構に相当する。
トリガ機構部50は、可動部材51が第1位置Q1と第2位置Q2との間で移動するときに、ハートカム機構53のカムピン55がカム溝54に沿ってガイドされる動きを利用してロック部40をロック状態とアンロック状態とのいずれかに設定するように構成されている。
このとき、可動部材51の上下方向Zのスライド動作がカムピン55のカム溝54に沿った循環動作に変換され、更にロック部40の支持アーム43の上下方向Zのスライド動作に変換される。
また、可動部材51は、バックドア6の中間位置P3(図1を参照)における閉動作時に第1位置Q1と第2位置Q2との間で一方向(図2中の第1スライド方向Z1)に移動し、その移動を繰り返すたびにロック部40をロック状態とアンロック状態に交互に切り替える。つまり、可動部材51のワンプッシュ動作に相当する動きを繰り返すことで、ロック部40をロック状態とアンロック状態に交互に切り替えることができる。
一方で、トルク伝達部30は、トリガ機構部50の可動部材51の停止状態では伝達するトルクをトルクリミッター35で遮断して可動部材51と回転ドラム20との連動を解除するように構成されている。
次に、図2~図8を参照しながら、上記の保持装置10の動作について説明する。
(初期状態)
図2に示される保持装置10は、バックドア6が全閉位置P1(図1を参照)にあるときの初期状態についてのものである。このとき、トリガ機構部50において、可動部材51は、ラック部52がストッパー59に当接した第2位置Q2にあり、ハートカム機構53のカムピン55は、カム溝54の第1カム領域54aにある。このとき、ロック部40はアンロック状態にある。
なお、特に図示しないものの、この保持装置10には、初期状態でロック部40がロック状態になるのを阻止するためのキャンセラー機構が搭載されている。このキャンセラー機構の一例として、バックドア6が全閉位置P1に達したときに、アイドルギア31に連動して動く可動体、或いはアクチュエータによって動く可動体が、ロック部40をアンロック状態とするように付勢する構造を採用することができる。これにより、ユーザがバックドア6を全閉位置P1まで閉操作した後で全閉位置P1から開操作するときに、この開操作が阻止されるのをキャンセラー機構によって防ぐことができる。
(ドア開操作状態)
図3に示される保持装置10は、ユーザがバックドア6を全閉位置P1から中間位置P3(図1を参照)まで開操作したときのドア開操作状態についてのものである。このとき、バックドア6の開動作に連動して、回転ドラム20はケーブル部材25を巻き出しつつ軸部20aを中心に第1回転方向D1に回転する。また、これに連動して、駆動ギア32は軸部32aを中心に第1回転方向D1に回転する。
トリガ機構部50では、可動部材51は、駆動ギア32の回転に伴って第1位置P1に向けて第2スライド方向Z2に下降し、ハートカム機構53のカムピン55は、カム溝54を二点鎖線で示される第1カム領域54aから実線で示される第2カム領域54bへとガイドされる。カムピン55がカム溝54の第2カム領域54bにあるとき、可動部材51は第2スライド方向Z2のスライド動作が阻止された停止状態にあり、またロック部40はアンロック状態にある。
このとき、ユーザがバックドア6を更に開操作すると、停止状態の可動部材51に対して駆動ギア32が第1回転方向D1に回転しようとして過負荷状態になるため、駆動ギア32から可動部材51へのトルクの伝達がトルクリミッター35によって遮断される。これにより、可動部材51と回転ドラム20との連動が解除されるため、バックドア6を任意の中間位置P3まで開操作することが許容される。
(ドア閉操作状態)
図4に示される保持装置10は、ユーザがバックドア6を任意の中間位置P3から一時的に閉操作したドア閉操作状態についてのものである。このとき、バックドア6の閉動作に連動して、回転ドラム20はケーブル部材25を巻き取りつつ軸部20aを中心に第2回転方向D2に回転する。また、これに連動して、駆動ギア32は軸部32aを中心に第2回転方向D2に回転する。
トリガ機構部50では、可動部材51は、駆動ギア32の回転に伴って第2位置P2に向けて第1スライド方向Z1に上昇し、ハートカム機構53のカムピン55は、カム溝54を二点鎖線で示される第2カム領域54bから実線で示される第3カム領域54cへとガイドされる。カムピン55がカム溝54の第3カム領域54cにあるとき、可動部材51は、ストッパー59によって第1スライド方向Z1のスライド動作が阻止された停止状態にあり、またロック部40はアンロック状態にある。
このとき、ユーザがバックドア6を更に閉操作すると、停止状態の可動部材51に対して駆動ギア32が第2回転方向D2に回転しようとして過負荷状態になるため、駆動ギア32から可動部材51へのトルクの伝達がトルクリミッター35によって遮断される。これにより、可動部材51と回転ドラム20との連動が解除されるため、バックドア6を閉操作することが許容される。
(ドア保持状態)
図5に示される保持装置10は、ユーザがバックドア6の一時的な閉操作を止めることによってバックドア6の開閉操作がロックされたドア保持状態についてのものである。このとき、バックドア6がダンパステー8のアシスト力によって開方向に動くことによって、回転ドラム20はケーブル部材25を巻き出しつつ軸部20aを中心に第1回転方向D1に回転する。また、これに連動して、駆動ギア32は軸部32aを中心に第1回転方向D1に回転する。
トリガ機構部50では、可動部材51は、駆動ギア32の回転に伴って第1位置P1に向けて第2スライド方向Z2に下降し、ハートカム機構53のカムピン55は、カム溝54を二点鎖線で示される第3カム領域54cから実線で示される第4カム領域54dへとガイドされる。カムピン55がカム溝54の第4カム領域54dにあるとき、可動部材51は、ストッパー58によって第2スライド方向Z2のスライド動作が阻止された停止状態にある。また、ロック部40は、可動部材51のスライド動作に伴ってラチェット41が回動軸部41aを中心に回転ドラム20に向けて回動し、その係止爪42が回転ドラム20側の係合歯22aに係合することによって、ロック状態になる。その結果、バックドア6を任意の中間位置P3で保持することができる。
図5のドア保持状態では、バックドア6の任意の中間位置P3から全閉位置P1に向かう閉操作は許容される。この閉操作の際、トリガ機構部50では、可動部材51は、第2位置P2に向けて第1スライド方向Z1に上昇し、ハートカム機構53のカムピン55は、カム溝54を第4カム領域54d(図5を参照)から第1カム領域54a(図2を参照)へとガイドされる。従って、この保持装置10は、ロック部40のラチェット41の係止爪42が回転ドラム20側の係合歯22aとの係合を解除したアンロック状態に切り替わり、バックドア6が全閉位置P1に至るまで、図2の初期状態と同様の状態を維持する。このため、ユーザがバックドア6を全閉位置P1まで閉操作すると、保持装置10は、図2の初期状態に復帰する。
これに対して、バックドア6を全閉位置P1に至るまでの間に閉操作を止めると、保持装置10は、図3のドア開操作状態と同様の状態になり、ロック部40のアンロック状態が維持される。このように、保持装置10は、トリガ機構部50の可動部材51が第1スライド方向Z1への移動を繰り返すたびに、図5のドア保持状態と図3のドア開操作状態とが交互に切り替わるようになっている。その結果、ロック部40がロック状態とアンロック状態に交互に切り替わる。
(過負荷状態)
図6に示されるように、ラチェット41がロック位置Q1にある状態で、回転ドラム20の第1回転方向D1のトルクによって、ラチェット41の係止爪42が第1ギア部22の係合歯22aから第1回転方向D1の荷重Fを受ける。この荷重Fは、バックドア6からケーブル部材25を介して入力される。この荷重Fは、ラチェット41の係止爪42と第1ギア部22の係合歯22aとの接触点を通る、軸部20aを中心とした仮想円について、この仮想円上のこの接触点における接線方向に形成される。
ここで、荷重Fが通常荷重F1であるとき、クラッチ機構44のバネ部材46による弾性付勢力にしたがって回動軸部41aが第1位置R1に保持される。即ち、バネ部材46の弾性付勢力によるクラッチ荷重Fcが通常荷重F1の分力Faを上回るように設定されている。これにより、ラチェット41がロック位置Q1に保持されるため、ラチェット41による回転ドラム20のロック状態を維持することができる。このときの通常荷重F1の分力Fbは支持片45aによって受けられる。
図7に示されるように、荷重Fが通常荷重F1を上回る過負荷荷重F2であるとき、クラッチ機構44は、この過負荷荷重F2を、ラチェット41の回動軸部41aをバネ部材46の弾性付勢力に抗して第1位置R1から第2位置R2まで動かす力に変換する。即ち、バネ部材46の弾性付勢力によるクラッチ荷重Fcが過負荷荷重F2の分力Faを下回るように設定されている。
このとき、ラチェット41は、ガイド部25によってロック位置Q1と過負荷解除位置Q3との間で前後方向Yにスライド可能にガイドされているため、過負荷荷重F2の分力Faによってロック位置Q1から過負荷解除位置Q3まで第2スライド方向Y2にスライドする。
ラチェット41は、支持片45aによって下方から支持された状態で、ラチェット41の回動軸部41aが長穴45b内を第2スライド方向Y2にスライドし、且つ支持アーム43の連結ピン43aが相対的にラチェット41の長穴41b内を第1スライド方向Y1にスライドすることによって、第2位置R2まで第2スライド方向Y2にスライドすることができる。これにより、ラチェット41による回転ドラム20のロック状態を一時的に解除することができる。このときの過負荷荷重F2の分力Fbは、通常荷重F1の場合と同様に支持片45aによって受けられる。
その後、荷重Fが過負荷荷重F2を下回ると、バネ部材46による弾性付勢力にしたがって回動軸部41aが第2位置R2から第1位置R1へと動いて、ラチェット41が過負荷解除位置Q3からロック位置Q1に復帰する。これにより、ラチェット41による回転ドラム20のロック状態を再び維持することができる。
(クラッチ荷重調整)
ユーザは、調整部47のネジ部材48を操作することによって、バネ部材46の弾性付勢力によるクラッチ荷重Fcを調整することができる。
例えば、ネジ部材48の頭部48bの一方向のネジ回し操作によって、このネジ部材48を図6に示される第1位置S1から図8に示される第2位置S2まで第1スライド方向Y1に移動させることができる。これにより、バネ部材46の長さが伸びるためクラッチ荷重Fcを弱める方向の調整が可能になる。クラッチ荷重Fcを低く設定すれば、必要とされる部品強度を下げることができ、部品の原価を低減することができる。
また、ネジ部材48の頭部48bの逆方向のネジ回し操作によって、このネジ部材48を図6に示される第1位置S1から図9に示される第3位置S3まで第2スライド方向Y2に移動させることができる。これにより、バネ部材46の長さが縮まるためクラッチ荷重Fcを強める方向の調整が可能になる。
上述の実施形態1によれば、以下のような作用効果が得られる。
上記の保持装置10において、回転ドラム20の第1ギア部22とラチェット41との間の荷重伝達を調整するクラッチ機構44には、ラチェット41をロック位置Q1と過負荷解除位置Q3との間で前後方向Yにガイドするガイド部45と、ラチェット41の回動軸部41aを前後方向Yに弾性付勢するバネ部材46と、が設けられている。
このクラッチ機構44によれば、ラチェット41がロック位置Q1にある状態で第1ギア部22の係合歯22aから第1回転方向D1の通常荷重F1を受けたときには、バネ部材46による弾性付勢力にしたがってラチェット41をロック位置Q1に保持することができる。また、ラチェット41がロック位置Q1にある状態で第1ギア部22の係合歯22aから第1回転方向D1の過負荷荷重F2(>F1)を受けたときには、ラチェット41の回動軸部41aをバネ部材46の弾性付勢力に抗して動かしてラチェット41を過負荷解除位置Q3までスライドさせることができる。
このようなクラッチ機構44は、過負荷状態でラチェット41をロック位置Q1から過負荷解除位置Q3までスライドさせる構造を用いることで、ラチェット41の係止爪42と第1ギア部22の係合歯22aとのそれぞれの噛み合い形状を精密に設計する必要がなく、また、プランジャータイプのクラッチ機構に比べて構造が簡単になるという利点がある。
従って、上述の実施形態1によれば、クラッチ機構44の構造を簡素化できる保持装置10を提供することができる。
上記の保持装置10によれば、クラッチ機構44に調整部47を設けることによって、ユーザは、この調整部47を操作してクラッチ荷重Fcを適宜に調整することができる。このため、保持装置10の組付け後に、クラッチ荷重Fcのばらつきを修正したり、クラッチ荷重Fcを所望の状態に調整したりすることができる。その結果、製品の検査工数を低減することができる。
上記の保持装置10によれば、調整部47において、ネジ部材48のネジ回し操作によってバネ部材46の他端部46bが一端部46aから遠ざかる方向に調整されると、バネ部材46が調整前よりも伸びることでクラッチ荷重Fcが弱まる。また、ネジ部材48のネジ回し操作によってバネ部材46の他端部46bが一端部46aに近づく方向に調整されると、バネ部材46が調整前よりも縮まることでクラッチ荷重Fcが強まる。このため、ユーザは、ネジ部材48のネジ回し操作によってクラッチ荷重Fcの調整を簡単に行うことが可能になる。
上記の保持装置10によれば、ユーザはケース11を開放することなくケース11の外部で、調整部47のネジ部材48をネジ回し操作することでクラッチ荷重Fcの調整を簡単に行うことが可能になる。
次に、上述の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明を省略する。
(実施形態2)
図10に示されるように、実施形態2の保持装置110は、調整部47に相当する要素を備えていない点で、実施形態1の保持装置10と相違している。
保持装置10のクラッチ機構44において、バネ部材46は、一端部46aが回動軸部41aに連結され、他端部16bがケース11の縦壁部13に固定されている。このバネ部材46によるクラッチ荷重の調整は、バネ部材46自体を交換することによって可能になる。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
実施形態2の保持装置110によれば、実施形態1の保持装置10に比べて、クラッチ機構44の構造を簡素化することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、上述の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上述の実施形態では、ラチェット41をロック位置Q1と過負荷解除位置Q3との間でスライド可能にガイドするガイド部45を、ケース11の支持片45aと、ケース11の長穴45bと、ラチェット41の長穴41bと、によって構成する場合について例示したが、2つの長穴45b,長穴41bによってガイド機能を達成することができるときには、支持片45aを省略し、2つの長穴45b,長穴41bのみでガイド部45を構成するようにしてもよい。
上述の実施形態では、バックドア用の保持装置10,110について例示したが、この保持装置10,110の特徴の1つのであるクラッチ機構44を、バックドア以外の別のドアに適用することもできる。別のドアとして、例えば、ユーザが手前に引いて開けるタイプのドアであって、ドアチェック機構を有するドアが挙げられる。ドアチェック機構は、全閉位置から全開位置までの間の中間位置でドアを仮保持する一方で、ドアが中間位置で人などとの接触により基準荷重を上回まわる過負荷荷重を受けたときに仮保持を解除するように動作するものである。このため、本実施形態のクラッチ機構44の構造をドアチェック機構にも好適に使用することができる。
10,110 車両ドア用保持装置(保持装置)
11 ケース
44 クラッチ機構
22 第1ギア部(歯車)
22a 係合歯
41 ラチェット(ロック部材)
41a 回動軸部
41b 長穴(ガイド部)
44 クラッチ機構
45 ガイド部
45a 支持片(ガイド部)
45b 長穴(ガイド部)
46 バネ部材(弾性部材)
46a 一端部
46b 他端部
47 調整部
48 ネジ部材
D 周方向(回転方向)
F1 通常荷重
F2 過負荷荷重
Fc クラッチ荷重
Q1 ロック位置
Q2 アンロック位置
Q3 過負荷解除位置
Y 前後方向(スライド方向)

Claims (4)

  1. 外周に係合歯を有し周方向に回転自在に支持された歯車と、
    回動軸部を中心として上記歯車の上記係合歯に噛み合うロック位置と上記係合歯との噛み合いを解除するアンロック位置との間で回動可能に設けられたロック部材と、
    上記歯車と上記ロック部材の間の荷重伝達を調整するクラッチ機構と、
    を備え、
    上記クラッチ機構は、上記ロック部材を上記ロック位置と上記係合歯から外れた過負荷解除位置との間でスライド方向にガイドするガイド部と、上記回動軸部を上記スライド方向に弾性付勢する弾性部材と、を備え、
    上記クラッチ機構は、上記ロック部材が上記ロック位置にある状態で上記係合歯から上記歯車の回転方向の通常荷重を受けたときには、上記弾性部材による弾性付勢力にしたがって上記ロック部材を上記ロック位置に保持し、上記ロック部材が上記ロック位置にある状態で上記係合歯から上記通常荷重を上回る上記回転方向の過負荷荷重を受けたときには、この過負荷荷重を、上記回動軸部を上記弾性部材の弾性付勢力に抗して動かして上記ロック部材を上記過負荷解除位置までスライドさせる力に変換するように構成されている、車両ドア用保持装置。
  2. 上記クラッチ機構は、上記弾性部材によって上記回動軸部に付与されるクラッチ荷重を調整可能な調整部を備える、請求項1に記載の車両ドア用保持装置。
  3. 上記弾性部材は、上記スライド方向を伸縮方向として上記伸縮方向の一端部が上記回動軸部に連結されたバネ部材であり、
    上記調整部は、上記バネ部材の上記伸縮方向の他端部に連結されたネジ部材を有し、上記ネジ部材のネジ回し操作によって上記バネ部材の上記他端部の位置が上記伸縮方向に調整されるように構成されている、請求項2に記載の車両ドア用保持装置。
  4. 上記歯車及び上記ロック部材を収容するケースを備え、
    上記調整部は、上記ネジ部材の上記ケースの外部でのネジ回し操作が可能となるように構成されている、請求項3に記載の車両ドア用保持装置。
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