JP7338297B2 - 車両検知装置、及びホームドア制御システム - Google Patents

車両検知装置、及びホームドア制御システム Download PDF

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Description

本発明は、軌道において列車の車両が停止している範囲を検知する装置に関する。
従来、ホームに停車する列車の各車両の前端及び後端に対応する位置にそれぞれ測拒センサを配置し、測拒センサにより検出された車両の前端の位置及び後端の位置に基づいて車両の長さを算出する装置がある(特許文献1参照)。特許文献1の装置は、算出された車両の長さに基づいて車両の車種を判別し、判別された車種に基づいて、ホームに設置されたホームドア装置のドア部を開いている。
特許第6081549号公報
ところで、特許文献1の装置では、ホームドア装置のドア部を開く前提として、軌道において車両が停止している範囲を検知するために、多数の測拒センサを必要とする。このため、特許文献1の装置では、装置の導入コストやメンテナンスコストが高くなることが避けられない。
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、軌道において列車の車両が停止している範囲を検知するために必要なセンサの数を減少させることのできる車両検知装置を提供することにある。
上記課題を解決するための第1の手段は、
軌道に列車の各車両が停止し得る範囲が車両単位で各停車範囲として予め設定されており、車両が停止している前記各停車範囲を検知する車両検知装置であって、
複数の前記各停車範囲を走査するように、所定角度毎にレーザ光を投光する投光部と、
前記投光部により投光された各レーザ光が物体で反射された各反射光を受光し、受光した各反射光の強度が時間に対して変化するパターンである強度パターンを検出する受光部と、
前記各停車範囲と前記レーザ光の投光角度との対応関係と、前記投光部により投光された各レーザ光が前記車両で遮られない状態で前記受光部により予め検出した前記強度パターンと、前記受光部により現在検出した前記強度パターンとの相違とに基づいて、前記車両が停止している前記各停車範囲を検知する検知部と、
を備える。
上記構成によれば、軌道に列車の各車両が停止し得る範囲が車両単位で各停車範囲として予め設定されている。車両検知装置は、車両が停止している各停車範囲を検知する。なお、車両が停止している各停車範囲を検知することができれば、ホームドア装置において車両が停止している各停車範囲に対応する位置のドア部を開くことができる。
ここで、投光部は、複数の各停車範囲を走査するように、所定角度毎にレーザ光を投光する。このため、各停車範囲に車両が停止していない場合は、各停車範囲を走査するように投光されたレーザ光は、各停車範囲の先の物体で反射され、車両で反射されない。一方、各停車範囲に車両が停止している場合は、各停車範囲を走査するように投光されたレーザ光は、各停車範囲の先の物体で反射されず、車両で反射される。そして、受光部は、投光部により投光された各レーザ光が物体で反射された各反射光を受光し、受光した各反射光の強度が時間に対して変化するパターンである強度パターンを検出する。このとき、各停車範囲の先の物体で反射された反射光と車両で反射された反射光とでは、強度パターンが互いに異なる。
各停車範囲とレーザ光の投光角度との対応関係は、投光部の配置、各車両の大きさ、及び各車両の適正な停止位置により予め決まっている。また、投光部により投光された各レーザ光が車両で遮られない状態で受光部により強度パターンを予め検出しておくことができ、この状態は、各停車範囲に車両が停止していない場合に相当する。したがって、検知部は、各停車範囲とレーザ光の投光角度との対応関係と、投光部により投光された各レーザ光が車両で遮られない状態で受光部により予め検出した強度パターンと、受光部により現在検出した強度パターンとの相違とに基づいて、車両が停止している各停車範囲を検知することができる。さらに、投光部は複数の各停車範囲を走査するため、1つの投光部及び受光部(センサ)により複数の各停車範囲について車両が停止しているか否かを検知することができ、必要なセンサの数を減少させることができる。
第2の手段では、前記投光部は、全ての前記各停車範囲を走査するように、前記所定角度毎に前記レーザ光を投光する。こうした構成によれば、1つの投光部及び受光部により全ての各停車範囲について車両が停止しているか否かを検知することができ、必要なセンサの数を最少にすることができる。
第3の手段では、前記投光部は、前記複数の前記各停車範囲を走査する際に、前記軌道を挟んだホームの側面に向けて前記レーザ光を投光する。こうした構成によれば、各停車範囲に車両が停止していない場合に、ホームの側面でレーザ光を安定して反射することができる。したがって、投光部により投光された各レーザ光が車両で遮られない状態で、受光部により強度パターンを予め安定して検出しておくことができ、車両が停止している各停車範囲を検知する精度を向上させることができる。
車両が停止している各停車範囲に対応する投光角度のレーザ光では、レーザ光が車両で遮られない状態で受光部により予め検出した強度パターンと、受光部により現在検出した強度パターンとが相違する。
この点、第4の手段では、前記検知部は、前記投光部により投光された各レーザ光が前記車両で遮られない状態で前記受光部により予め検出した前記強度パターンと、前記受光部により現在検出した前記強度パターンとの相違度合が、所定度合よりも大きいと判定した前記投光角度に対応する前記各停車範囲を、前記車両が停止している前記各停車範囲として検知する。したがって、車両が停止している各停車範囲を容易に検知することができる。
反射光の強度パターンが変化する際には、強度パターンの幅、すなわち強度パターンにおける強度が所定値になっている時間が変化する。そして、レーザ光を投光してから反射光を受光するまでの時間に基づいて、物体までの距離を検出するセンサでは、強度パターンにおける強度が閾値を超えたか否かを判定する回路を有していることが多い。
この点、第5の手段では、前記検知部は、前記強度パターンにおける前記強度が閾値を超えている時間に基づいて、前記相違度合が前記所定度合よりも大きいか否か判定する。このため、車両検知装置が、強度パターンにおける強度が閾値を超えたか否かを判定する回路を予め有している場合に、その回路を流用して相違度合が所定度合よりも大きいか否かを容易に判定することができる。
反射光の強度パターンが変化する際には、強度パターンにおける強度のピーク値が変化する。したがって、第6の手段のように、前記検知部は、前記強度パターンにおける前記強度のピーク値に基づいて、前記相違度合が前記所定度合よりも大きいか否か判定する、といった構成を採用することもできる。
第7の手段では、前記軌道に前記列車の先頭部が停止すべき適正停止位置が予め設定されており、前記適正停止位置と前記レーザ光の投光角度との対応関係と、前記投光部により投光された各レーザ光が前記車両で遮られない状態で前記受光部により予め検出した前記強度パターンと、前記受光部により現在検出した前記強度パターンとの相違とに基づいて、前記先頭部が前記適正停止位置に停止しているか否か判定する判定部を備える。
上記構成によれば、軌道に列車の先頭部が停止すべき適正停止位置が予め設定されている。適正停止位置に列車の先頭部が停止していない場合は、適正停止位置に対応する投光角度に投光されたレーザ光は、適正停止位置に対応する物体で反射され、車両で反射されない。一方、適正停止位置に列車の先頭部が停止している場合は、適正停止位置に対応する投光角度に投光されたレーザ光は、適正停止位置に対応する物体で反射されず、車両で反射される。このため、適正停止位置に列車の先頭部が停止しているか否かによって、適正停止位置に対応する投光角度において反射光の強度パターンが相違する。したがって、判定部は、適正停止位置とレーザ光の投光角度との対応関係と、投光部により投光された各レーザ光が車両で遮られない状態で受光部により予め検出した強度パターンと、受光部により現在検出した強度パターンとの相違とに基づいて、列車の先頭部が適正停止位置に停止しているか否か判定することができる。
第8の手段では、前記受光部は、前記検知部により前記車両が停止している前記各停車範囲を検知するに先立って、前記投光部により投光された各レーザ光が前記車両で遮られない状態で前記強度パターンを予め検出する。
上記構成によれば、検知部により車両が停止している各停車範囲を検知するに先立って、投光部により投光された各レーザ光が車両で遮られない状態で強度パターンを予め検出しておくことができる。
第9の手段は、ホームドア制御システムであって、第1~第8のいずれか1つの手段の車両検知装置と、各ドア部を有して前記各停車範囲に対応して設けられたホームドア装置と、を備え、前記検知部により前記車両が停止していると検知された前記各停車範囲に対応する前記各ドア部を開く。
上記構成によれば、ホームドア制御システムは、第1~第8のいずれか1つの手段の車両検知装置と、各ドア部を有して前記各停車範囲に対応して設けられたホームドア装置と、を備えている。そして、検知部により車両が停止していると検知された各停車範囲に対応する各ドア部を開くため、ホームに列車の車両が停止した位置に合わせてホームドア装置のドア部を開くことができる。
各ホームドア装置と各停車範囲との位置関係を示す模式図。 1つのホームドア装置の平面図。 ホームドア制御システムの側面図。 車両検知装置のブロック図。 レーザ光の投光態様を示す模式図。 4両編成の列車が停止した時のホームドア装置の制御態様を示す模式図。 6両編成の列車が停止した時のホームドア装置の制御態様を示す模式図。 ホームドア装置のドア部を開く手順を示すフローチャート。 停車範囲Noと投光角度θnとの対応関係を示す模式図。 投光角度θnと停車範囲Noとの対応関係を示す表。 投光角度θnにおける基準パルス幅を示すグラフ。 投光角度θnと基準パルス幅との対応関係を示す表。 2両編成の列車にレーザ光を投光する態様を示す模式図。 投光角度θnにおける基準パルス幅及び現在パルス幅を示すグラフ。 投光角度θnと基準パルス幅と現在パルス幅との関係を示す表。 4両編成の列車にレーザ光を投光する態様を示す模式図。 投光角度θnにおける基準パルス幅及び現在パルス幅を示すグラフ。 投光角度θnと基準パルス幅と現在パルス幅との関係を示す表。 列車が適正停止位置に停止しなかった態様を示す模式図。 投光角度θnにおける基準パルス幅及び現在パルス幅を示すグラフ。 投光角度θnと基準パルス幅と現在パルス幅との関係を示す表。 停車範囲Noと投光角度θnとの対応関係の変更例を示す模式図。
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、駅のホームにおいて列車の車両が停止している停車範囲を検知する車両検知装置として具現化している。
図1に示すように、列車60は軌道50を走行する。軌道50は、図示しない2本のレール等を備えている。列車60(鉄道車両)は、2本のレールの上を走行する。
矢印で示す列車60の走行方向(以下、「走行方向」という)を前方として、軌道50の左側方にはホーム71が設けられており、軌道50の右側方にはホーム72が設けられている。
ホーム72には、ホーム72の縁に沿って8つのホームドア装置30が設けられている。1つのホームドア装置30は、列車60の1つの車両に対応している。
図2に示すように、ホームドア装置30は、本体部31とドア部32とを備えている。本体部31は、ドア部32を収納可能であり、ドア部32が出入する。ドア部32の位置は、ホーム71,72に停止した車両の扉の位置に対応している。すなわち、列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止した状態で、各車両の扉に対向する位置に各ドア部32が設けられている。本体部31には、ドア部32を駆動する図示しない駆動部が収納されている。
No1のホームドア装置30には車両検知装置20が取り付けられており、他のホームドア装置30には車両検知装置20が取り付けられていない。車両検知装置20は、本体部31において走行方向の先端に取り付けられている。図3に示すように、車両検知装置20は、本体部31の下部に、下方に若干傾けて取り付けられている。
図4は、車両検知装置20のブロック図である。車両検知装置20は、投光部21、受光部22、検知部24等を備えている。
投光部21は、前方の略190°の検出範囲をレーザ光で所定面に沿って、例えば33ms周期(所定周期)で走査することが可能である。本実施形態では、所定面は水平面から若干下方へ傾いた面である。レーザ光には、例えば赤外線や、可視光、紫外線等を利用することができる。投光部21は、投光部21を中心として、例えば0.25°(所定角度)間隔でパルス状のレーザ光を投光することが可能である。列車60の車両の停車範囲を検知する際に、投光部21がレーザ光を投光する方向(投光角度)については後述する。
受光部22は、投光部21により投光された各レーザ光が物体で反射された反射光を受光し、受光した各反射光の強度が時間に対して変化するパターン(パルス)である強度パターンを検出する。受光部22は、投光部21によりレーザ光が投光される度に、受光した反射光の強度パターンを検出する。
検知部24は、受光部22により検出した強度パターンに基づいて、列車60の車両が停止している各停車範囲40を検知する。この検知の詳細については後述する。なお、検知部24は、投光部21によりレーザ光を投光してから受光部22により反射光を受光するまでの時間に基づいて、物体までの距離を検出する機能を有している。そして、検知部24は、この機能を実現するために、強度パターンにおける強度が閾値Erを超えたか否かを判定する回路を有している。
図1に示すように、軌道50には、列車60の各車両が停止し得る範囲が車両単位で各停車範囲40として予め設定されている。No1~8の停車範囲40は、それぞれNo1~8のホームドア装置30に対応して予め設定されている。走行方向において、No1~8の停車範囲40の位置は、それぞれNo1~8のホームドア装置30の位置と一致(対応)している。平面視において、No1~8の停車範囲40の大きさは、車両の大きさと一致(対応)している。
車両検知装置20は、車両が停止している各停車範囲40を検知する。図5に示すように、車両検知装置20の投光部21は、全て(複数)の各停車範囲40を走査するように、所定角度(例えば7°)毎にレーザ光を投光する。具体的には、投光部21は、ホーム71の側面71aに垂直な方向(走行方向に垂直な方向)から、左回りに所定角度毎にレーザ光を投光する。図3に示すように、車両検知装置20の投光部21は、全ての各停車範囲40を走査する際に、軌道50を挟んだホーム71の側面71aに向けてレーザ光を投光する。なお、車両検知装置20及びNo1~8のホームドア装置30により、ホームドア制御システムが構成されている。
図6は、4両編成の列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止した状態を示している。この場合、ホームドア制御システムは、No1~4の停車範囲40にNo1~4の車両62が停止していると検知する。そして、ホームドア制御システムは、No1~4の停車範囲40に対応するNo1~4のホームドア装置30のドア部32を開き、No5~8のホームドア装置30のドア部32を閉じたままとする。
図7は、6両編成の列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止した状態を示している。この場合、ホームドア制御システムは、No1~6の停車範囲40にNo1~6の車両62が停止していると検知する。そして、ホームドア制御システムは、No1~6の停車範囲40に対応するNo1~6のホームドア装置30のドア部32を開き、No7~8のホームドア装置30のドア部32を閉じたままとする。
次に、図8のフローチャートを参照して、ホームドア装置30のドア部32を開く手順を説明する。この一連の処理は、基本的には車両検知装置20により実行される。ここでは、説明を簡便にするために、停車範囲40がNo1~4のみである場合を例にして説明する。
まず、投光角度θnの添字nをn=1とする(S10)。n=1のときにθnはθ1となり、n=kのときにθnはθkとなる。
続いて、停車範囲40のNoと投光角度θnとの対応関係を設定する(S11)。具体的には、図9に示すように、No1~4の停車範囲40に列車60のNo1~4の車両62が停止している状態で、投光角度θnのレーザ光がNo1~4の各車両62のいずれに照射されるかを設定する。この設定は、車両検知装置20の配置、車両62の大きさ、及び列車60の適正停止位置41に基づいて、図面やCAD(Computer Aided Design)等を用いて行うことができる。そして、No1~4の各車両62に照射されるレーザ光の投光角度θnを、それぞれNo1~4の停車範囲40に設定する。
続いて、nを1増加させ(S12)、nが最終番号を超えたか否か判定する(S13)。この判定において、nが最終番号を超えていないと判定した場合(S13:NO)、S11の処理から再度実行する。一方、nが最終番号を超えたと判定した場合(S13:YES)、S14の処理へ進む。S10~S13の処理により、図10に示すように、No1の停車範囲40に投光角度θ1~θ3が対応させられ、No2の停車範囲40に投光角度θ4~θ8が対応させられ、No3の停車範囲40に投光角度θ9~θ10が対応させられ、No4の停車範囲40に投光角度θ11~θ12が対応させられる。なお、S10~13の処理を、ユーザ(作業者)が予め行っておくこともできる。
S14の処理では、n=1とする。投光部21により投光角度θnで投光されたレーザ光が車両62で遮られない状態で、基準パルス幅d1(n)を取得する(S15)。具体的には、図5に示すように、車両検知装置20の投光部21により投光された各レーザ光が車両62で遮られない状態で、投光部21は投光角度θnへレーザ光を投光する。受光部22はレーザ光がホーム71の側面71aで反射された反射光を受光し、受光した反射光の強度が時間に対して変化するパターン(パルス)である強度パターンを検出する。検知部24は、パルスの強度が閾値Erを超えている時間である基準パルス幅d1(n)を取得する。そして、検知部24は、基準パルス幅d1(n)を記憶する(S16)。
続いて、nを1増加させ(S17)、nが最終番号を超えたか否か判定する(S18)。この判定において、nが最終番号を超えていないと判定した場合(S18:NO)、S15の処理から再度実行する。一方、nが最終番号を超えたと判定した場合(S18:YES)、S19の処理へ進む。S14~S18の処理により、図11に示すように、投光角度θ1~θ12で、それぞれ基準パルス幅d1(n)が取得される。ここでは、投光角度θ1から投光角度θ12へ変化するに伴って、ホーム71の側面71aまでの距離が長くなるとともに、側面71aに対する角度が小さくなるため、受光エネルギーが順に減少している。そして、図12に示すように、投光角度θ1~θ12の基準パルス幅d1(1)~d1(12)がそれぞれ記憶される。
続いて、列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止したか否か判定する(S19)。具体的には、列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止したか否かを、ホームドア制御システムとは別の判定装置で判定している。そして、判定装置から、列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止したことを示す所定信号を受信した場合に適正停止位置41に停止したと判定し、所定信号を受信していない場合に適正停止位置41に停止していないと判定する。この判定において、列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止していないと判定した場合(S19:NO)、S19の判定を再度実行する。一方、列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止したと判定した場合(S19:YES)、n=1とする(S20)。
続いて、投光部21により投光角度θnでレーザ光を投光して、現在パルス幅d2(n)を取得する(S21)。具体的には、図13に示すように、列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止した状態で、投光部21は投光角度θnへレーザ光を投光する。受光部22はレーザ光が車両62又はホーム71の側面71aで反射された反射光を受光し、受光した反射光の強度が時間に対して変化するパターン(パルス)である強度パターンを検出する。検知部24は、パルスの強度が閾値Erを超えている時間である現在パルス幅d2(n)を取得する。
続いて、現在パルス幅d2(n)が基準パルス幅d1(n)と等しいとみなせるか否か判定する(S22)。具体的には、現在パルス幅d2(n)と基準パルス幅d1(n)との相違度合が所定度合よりも小さい場合に、現在パルス幅d2(n)が基準パルス幅d1(n)と等しいとみなせると判定する。詳しくは、現在パルス幅d2(n)と基準パルス幅d1(n)との差の絶対値が所定値よりも小さい場合に、現在パルス幅d2(n)が基準パルス幅d1(n)と等しいとみなせると判定する。一方、現在パルス幅d2(n)と基準パルス幅d1(n)との相違度合が所定度合よりも大きい場合に、現在パルス幅d2(n)が基準パルス幅d1(n)と等しいとみなせないと判定する。なお、現在パルス幅d2(n)と基準パルス幅d1(n)との比が所定比の範囲内である場合に、現在パルス幅d2(n)が基準パルス幅d1(n)と等しいとみなせると判定することもできる。
S22の判定において、現在パルス幅d2(n)が基準パルス幅d1(n)と等しいとみなせないと判定した場合(S22:NO)、投光角度θnに対応する停車範囲Noを“車両あり”と判定する(S23)。一方、S22の判定において、現在パルス幅d2(n)が基準パルス幅d1(n)と等しいとみなせると判定した場合(S22:YES)、S24の処理へ進む。
続くS24の処理では、nを1増加させる。そして、nが最終番号を超えたか否か判定する(S25)。この判定において、nが最終番号を超えていないと判定した場合(S25:NO)、S21の処理から再度実行する。一方、nが最終番号を超えたと判定した場合(S25:YES)、S26の処理へ進む。S20~S25の処理により、図14に示すように、投光角度θ1~θ12で、それぞれ現在パルス幅d2(n)が取得される。図13では、車両検知装置20からホーム71の側面71aまでの距離よりも、車両検知装置20から車両62までの距離が短いため、基準パルスよりも現在パルスが大きくなっている。そして、図15に示すように、投光角度θ1~θ12(すなわちNo1~4の停車範囲40)において、それぞれ基準パルス幅d1(1)~d1(12)と現在パルス幅d2(1)~d2(12)とが比較され、それぞれ車両62がある(車両62が停止している)か否か判定される。図13の例では、図15にハッチングで示すようにNo1,2の停車範囲40が車両ありと判定され、No3,4の停車範囲40が車両なしと判定される。
続いて、“車両あり”と判定した停車範囲40のNoを出力する(S26)。すなわち、車両62が停止している各停車範囲40を検知する。要するに、検知部24は、各停車範囲40とレーザ光の投光角度θnとの対応関係と、投光部21により投光された各レーザ光が車両62で遮られない状態で受光部22により予め検出した反射光の強度のパルス(強度パターン)と、受光部22により現在検出した反射光の強度のパルスとの相違とに基づいて、車両62が停止している各停車範囲40を検知する。ここでは、1つの停車範囲40に属する全ての投光角度θnにおいて、“車両あり”と判定した停車範囲40のNoを出力する。なお、車両62が停止している各停車範囲40の数から、列車60の車両数を検知することもできる。すなわち、車両62が停止している各停車範囲40の数は、列車60の車両数と等しい。
続いて、出力したNoの停車範囲40に対応するホームドア装置30のドア部32を開かせる(S27)。図13の例では、No1,2のホームドア装置30のドア部32を開かせ、No3,4(その他のNo)のホームドア装置30のドア部32を閉じたままとさせる。その後、この一連の処理を終了する(END)。
また、図16の例では、図17に示すように、現在パルス幅d2(n)が取得される。そして、図18にハッチングで示すようにNo1~4の停車範囲40が車両ありと判定され、No1~4のホームドア装置30のドア部32が開かれる。
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
・受光部22は、投光部21により投光された各レーザ光が物体で反射された各反射光を受光し、受光した各反射光の強度が時間に対して変化するパターン(パルス)である強度パターンを検出する。このとき、各停車範囲40の先の物体で反射された反射光と車両62で反射された反射光とでは、強度パターンが互いに異なる。各停車範囲40とレーザ光の投光角度θnとの対応関係は、投光部21の配置、各車両62の大きさ、及び各車両62の適正な停止位置により予め決まっている。また、投光部21により投光された各レーザ光が車両62で遮られない状態で受光部22により強度パターン(基準パルス)を予め検出しておくことができ、この状態は、各停車範囲40に車両62が停止していない場合に相当する。したがって、検知部24は、各停車範囲40とレーザ光の投光角度θnとの対応関係と、投光部21により投光された各レーザ光が車両62で遮られない状態で受光部22により予め検出した強度パターンと、受光部22により現在検出した強度パターン(現在パルス)との相違とに基づいて、車両62が停止している各停車範囲40を検知することができる。
・投光部21は複数の各停車範囲40を走査するため、1つの投光部21及び受光部22(センサ)により複数の各停車範囲40について車両62が停止しているか否かを検知することができ、必要なセンサの数を減少させることができる。
・投光部21は、全ての各停車範囲40を走査するように、所定角度毎にレーザ光を投光する。こうした構成によれば、1つの投光部21及び受光部22により全ての各停車範囲40について車両62が停止しているか否かを検知することができ、必要なセンサの数を最少にすることができる。
・投光部21は、複数の各停車範囲40を走査する際に、軌道50を挟んだホーム71の側面71aに向けてレーザ光を投光する。こうした構成によれば、ホーム71の側面71aは一様に形成されていることが多いため、各停車範囲40に車両62が停止していない場合に、ホーム71の側面71aでレーザ光を安定して反射することができる。したがって、投光部21により投光された各レーザ光が車両62で遮られない状態で、受光部22により強度パターンを予め安定して検出しておくことができ、車両62が停止している各停車範囲40を検知する精度を向上させることができる。
・検知部24は、投光部21により投光された各レーザ光が車両62で遮られない状態で受光部22により予め検出した強度パターンと、受光部22により現在検出した強度パターンとの相違度合が、所定度合よりも大きいと判定した投光角度θnに対応する各停車範囲40を、車両62が停止している各停車範囲40として検知する。したがって、車両62が停止している各停車範囲40を容易に検知することができる。
・検知部24は、強度パターンにおける強度が閾値Erを超えている時間に基づいて、相違度合が所定度合よりも大きいか否か判定する。このため、車両検知装置20が、強度パターンにおける強度が閾値Erを超えたか否かを判定する回路を予め有しており、その回路を流用して相違度合が所定度合よりも大きいか否かを容易に判定することができる。
・受光部22は、検知部24により車両62が停止している各停車範囲40を検知するに先立って、投光部21により投光された各レーザ光が車両62で遮られない状態で強度パターンを予め検出する。こうした構成によれば、検知部24により車両62が停止している各停車範囲40を検知するに先立って、投光部21により投光された各レーザ光が車両62で遮られない状態で強度パターンを予め検出しておくことができる。
・ホームドア制御システムは、車両検知装置20と、各ドア部32を有して各停車範囲40に対応して設けられたホームドア装置30と、を備えている。そして、検知部24により車両62が停止していると検知された各停車範囲40に対応する各ドア部32を開くため、ホーム71,72に列車60の車両62が停止した位置に合わせてホームドア装置30のドア部32を開くことができる。
・1つの停車範囲40に属する全ての投光角度θnにおいて、“車両あり”と判定した停車範囲40のNoを出力している。このため、車両62が停止している停車範囲40を正確に判定することができる。
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
・図8のS26の処理において、1つの停車範囲40に属する過半数の投光角度θnにおいて、“車両あり”と判定した停車範囲40のNoを出力することもできる。こうした構成によれば、特定の投光角度θnにおいて、ノイズ等により“車両なし”と誤判定された場合であっても、車両62が停止している停車範囲40を正しく判定することができる。
・図14,17に示すように、反射光の強度パターン(パルス)が変化する際には、強度パターンにおける強度のピーク値が変化する。したがって、検知部24は、強度パターンにおける強度のピーク値に基づいて、相違度合が所定度合よりも大きいか否か判定することもできる。
・車両検知装置20は、適正停止位置41とレーザ光の投光角度θnとの対応関係と、投光部21により投光された各レーザ光が車両62で遮られない状態で受光部22により予め検出した強度パターンと、受光部22により現在検出した強度パターンとの相違とに基づいて、列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止しているか否か判定する判定部を備えていてもよい。
適正停止位置41に列車60の先頭部61が停止していない場合は、適正停止位置41に対応する投光角度θnに投光されたレーザ光は、適正停止位置41に対応する物体で反射され、車両62で反射されない。一方、適正停止位置41に列車60の先頭部61が停止している場合は、適正停止位置41に対応する投光角度θnに投光されたレーザ光は、適正停止位置41に対応する物体で反射されず、車両62で反射される。このため、適正停止位置41に列車60の先頭部61が停止しているか否かによって、適正停止位置41に対応する投光角度θnにおいて反射光の強度パターンが相違する。したがって、上記判定部は、適正停止位置41とレーザ光の投光角度θnとの対応関係と、投光部21により投光された各レーザ光が車両62で遮られない状態で受光部22により予め検出した強度パターンと、受光部22により現在検出した強度パターンとの相違とに基づいて、列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止しているか否か判定することができる。
図19は、列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止しなかった態様を示す模式図である。図19では、列車60の先頭部61は適正停止位置41よりも手前の停止位置42に停止している。この場合、図20に示すように、現在パルス幅d2(n)が取得される。そして、図21に示すように、No1の停車範囲40に属する投光角度θ1~θ3のうち、投光角度θ1において基準パルス幅d1(1)と現在パルス幅d2(1)との相違度合が所定度合よりも小さいため、投光角度θ1のみが車両なしと判定される。投光角度θ1は、適正停止位置41に対応する投光角度である。このため、投光角度θ1が車両なしと判定されている場合に、列車60の先頭部61が適正停止位置41に停止していないと判定することができる。なお、車両検知装置20が上記判定部を備える場合は、図8のS19の処理を判定部により実行することができる。
・図22は、停車範囲40のNoと投光角度θnとの対応関係の変更例を示す模式図である。同図に示すように、走行方向において、車両検知装置20を適正停止位置41よりも手前に配置することもできる。この場合であっても、投光角度θnと停車範囲40のNoとの対応関係を予め設定しておくことにより、車両62が停止している各停車範囲40を検知することができる。
・投光部21及び受光部22を2組備え、各組の投光部21が4つ(半分)の各停車範囲40を走査するように、所定角度毎にレーザ光を投光することもできる。こうした構成によっても、2組の投光部21及び受光部22により全ての各停車範囲40について車両62が停止しているか否かを検知することができ、必要なセンサの数を減少させることができる。なお、1つの投光部21が全体の1/3や1/4の各停車範囲40を走査するように、所定角度毎にレーザ光を投光することもできる。
・列車60が地下鉄等である場合には、投光部21は、複数の各停車範囲40を走査する際に、駅の構内において軌道50を挟んだ壁に向けてレーザ光を投光することもできる。その場合、車両検知装置20を、下方に若干傾けず、水平に取り付けてもよい。
・No1~8の停車範囲40に対して、適正停止位置41は、走行方向においてNo1の停車範囲40の先端に限らず、No2の停車範囲40の先端や、No3の停車範囲40の先端等であってもよい。これらの場合であっても、車両検知装置20は、車両62が停止している各停車範囲40を検知することができる。
・列車60の車両数は任意であり、車両数に応じてホームドア装置30の数及び停車範囲40の数を設定すればよい。列車60の種類(機関車、電車、気動車等)も任意である。
・ホームドア装置30は、図2に示した本体部31及びドア部32を備える構成に限らない。例えば、ホームドア装置30は、1つの車両62の全長に対応する長さのロープ及びそのロープを上下動させる機構を備えていてもよい。そして、車両検知装置20は、車両62が停止している各停車範囲40に対応するホームドア装置30においてロープを上げさせ、車両62が停止していない各停車範囲40に対応するホームドア装置30においてロープを下げたままとしてもよい。
20…車両検知装置、21…投光部、22…受光部、24…検知部、30…ホームドア装置、32…ドア部、40…停車範囲、50…軌道、60…列車、61…先頭部、62…車両、71…ホーム、71a…側面、72…ホーム。

Claims (6)

  1. 軌道に列車の各車両が停止し得る範囲が車両単位で各停車範囲として予め設定されており、車両が停止している前記各停車範囲を検知する車両検知装置であって、
    複数の前記各停車範囲を走査するように、所定角度毎にレーザ光を投光する投光部と、
    前記投光部により投光された各レーザ光が物体で反射された各反射光を受光し、受光した各反射光の強度が時間に対して変化するパターンである強度パターンを検出する受光部と、
    前記各停車範囲と前記レーザ光の投光角度との対応関係と、前記投光部により投光された各レーザ光が前記車両で遮られない状態で前記受光部により予め検出した前記強度パターンと、前記受光部により現在検出した前記強度パターンとの相違とに基づいて、前記車両が停止している前記各停車範囲を検知する検知部と、
    を備え
    前記検知部は、前記投光部により投光された各レーザ光が前記車両で遮られない状態で前記受光部により予め検出した前記強度パターンと、前記受光部により現在検出した前記強度パターンとの相違度合が、所定度合よりも大きいと判定した前記投光角度に対応する前記各停車範囲を、前記車両が停止している前記各停車範囲として検知し、前記強度パターンにおける前記強度が閾値を超えている時間に基づいて、前記相違度合が前記所定度合よりも大きいか否か判定する、車両検知装置。
  2. 前記投光部は、全ての前記各停車範囲を走査するように、前記所定角度毎に前記レーザ光を投光する、請求項1に記載の車両検知装置。
  3. 前記投光部は、前記複数の前記各停車範囲を走査する際に、前記軌道を挟んだホームの側面に向けて前記レーザ光を投光する、請求項1又は2に記載の車両検知装置。
  4. 前記軌道に前記列車の先頭部が停止すべき適正停止位置が予め設定されており、
    前記適正停止位置と前記レーザ光の投光角度との対応関係と、前記投光部により投光された各レーザ光が前記車両で遮られない状態で前記受光部により予め検出した前記強度パターンと、前記受光部により現在検出した前記強度パターンとの相違とに基づいて、前記先頭部が前記適正停止位置に停止しているか否か判定する判定部を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の車両検知装置。
  5. 前記受光部は、前記検知部により前記車両が停止している前記各停車範囲を検知するに先立って、前記投光部により投光された各レーザ光が前記車両で遮られない状態で前記強度パターンを予め検出する、請求項1~のいずれか1項に記載の車両検知装置。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の車両検知装置と、
    各ドア部を有して前記各停車範囲に対応して設けられたホームドア装置と、を備え、
    前記検知部により前記車両が停止していると検知された前記各停車範囲に対応する前記各ドア部を開く、ホームドア制御システム。
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