JP7337251B2 - 情報提供システム、情報提供方法、およびプログラム - Google Patents

Description

本発明は、鞍乗型車両の運転者に情報を提供する情報提供システム、情報提供方法、およびプログラムに関するものである。

特許文献１には、複数の車両から急ブレーキの発生個所を含む走行情報を取得し、急ブレーキの発生個所を危険個所として示す地図をユーザに提供することが開示されている。

特開２０１４－１９１７７４号公報

二輪車両などの鞍乗型車両では、走行に影響する道路環境が四輪車両と異なることがある。例えば、道路環境には、マンホールや道路上の穴（凹凸）など、四輪車両にとっては影響が小さいが鞍乗型車両にとっては影響が大きい構造物や状況が存在しうる。そのため、鞍乗型車両の運転者に注意を促す箇所として、特許文献１に記載されているように急ブレーキの発生個所を通知するだけでは不十分である。

そこで、本発明は、道路環境について鞍乗型車両に適した情報を運転者に提供することを目的とする。

請求項１の本発明に係る情報提供システムは、鞍乗型車両（ＳＶ）の運転者へ情報を提供する情報提供システム（１００）であって、前記鞍乗型車両の進路に関する情報を取得する取得手段（１１ａ）と、前記取得手段で取得された前記進路において、前記運転者に注意を促すべき注意箇所を特定する特定手段（１１ｂ）と、前記特定手段で特定された前記注意箇所を前記運転者に通知する通知手段（１１ｄ）と、を備え、前記特定手段は、前記進路を過去に走行した参照車両の前記進路上での傾きを示す傾き情報に基づいて前記注意箇所を特定するとともに、前記参照車両としての鞍乗型車両の前記進路上での走行経路と前記参照車両としての四輪車両の前記進路上での走行経路との差である経路差に基づいて前記注意箇所を特定する、ことを特徴とする。

請求項２の本発明は、前記特定手段は、前記傾き情報において前記参照車両の傾きが特異となる特異箇所を前記注意箇所として特定する、ことを特徴とする。

請求項３の本発明は、前記特定手段は、前記進路の道路形状に基づいて前記進路上での前記参照車両の適正傾きを求め、前記傾き情報における前記参照車両の傾きと前記適正傾きとの差が所定値以上となる箇所を前記注意箇所として特定する、ことを特徴とする。

請求項４の本発明は、前記傾き情報は、前記参照車両の傾きデータ、角速度データ、および角加速度データの少なくとも１つ情報を含む、ことを特徴とする。

請求項５の本発明に係る状況提供システムは、鞍乗型車両（ＳＶ）もしくは四輪車両の運転者へ情報を提供する情報提供システム（１００）であって、前記鞍乗型車両もしくは四輪車両の進路に関する情報を取得する取得手段（１１ａ）と、前記取得手段で取得された前記進路において、前記運転者に注意を促すべき注意箇所を特定する特定手段（１１ｂ）と、前記特定手段で特定された前記注意箇所を前記運転者に通知する通知手段（１１ｄ）と、を備え、前記特定手段は、前記進路を過去に走行した参照車両としての鞍乗型車両の前記進路上での走行経路と前記参照車両としての四輪車両の前記進路上での走行経路との差である経路差に基づいて前記注意箇所を特定する、ことを特徴とする。

請求項６の本発明は、前記特定手段は、前記差の変化量が所定値以上である箇所を前記注意箇所として特定する、ことを特徴とする。

請求項７の本発明は、前記特定手段で特定された前記注意箇所における鞍乗型車両への影響度を判断する判断手段（１１ｃ）を更に備え、前記通知手段は、前記判断手段で判断された前記影響度に応じて通知態様を変更する、ことを特徴とする。

請求項１の本発明によれば、四輪車両にとっては影響が小さいが鞍乗型車両にとっては影響が大きい箇所、即ち、鞍乗型車両にとって特に注意が必要となる箇所を、鞍乗型車両の運転者に通知することができる。したがって、鞍乗型車両にとって有益な情報を適切に運転者に通知することができる。また、過去に走行した参照車両の傾き情報を用いることで、鞍乗型車両にとって特に注意が必要となる箇所の特定精度を高めることができる。また、請求項１の本発明によれば、参照車両としての四輪車両の走行経路を基準とすることで、参照車両としての鞍乗型車両の走行経路が異常（特異）であった箇所を適切に判断し、鞍乗型車両にとって特に注意が必要となる箇所を精度よく特定することができる。

請求項２の本発明によれば、参照車両の傾き情報に基づいて、鞍乗型車両にとって特に注意が必要となる箇所を精度よく特定することができる。

請求項３の本発明によれば、道路形状に応じた適正傾きを求めることで、参照車両の傾きが異常（特異）であった箇所を適切に判断し、鞍乗型車両にとって特に注意が必要となる箇所を精度よく特定することができる。

請求項４の本発明によれば、参照車両の傾き情報として適切なデータを用いることができる。

請求項５の本発明によれば、参照車両としての四輪車両の走行経路と、参照車両としての鞍乗型車両の走行経路との差を用いることで、鞍乗型車両もしくは四輪車両にとって特に注意が必要となる箇所を運転者に通知することができる。

請求項６の本発明によれば、参照車両としての鞍乗型車両と四輪車両との経路差に基づいて、鞍乗型車両（もしくは四輪車両）にとって特に注意が必要となる箇所を精度よく特定することができる。

請求項７の本発明によれば、鞍乗型車両への影響度が比較的高い箇所については運転者に確実に認識させるとともに、鞍乗型車両への影響度が比較的低い箇所が頻繁に通知される煩わしさを低減させることができる。

本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。

添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
情報提供システムの構成を示すブロック図 鞍乗型車両に情報端末を搭載した例を示す図 車両に生じる事象とその検出に用いられる情報との対応図 情報提供プログラムが実行されたときの処理を示すフローチャート 注意箇所の特定処理を示すフローチャート 参照車両の傾き情報の一例を示す図 参照車両の傾き情報の一例を示す図 参照車両の傾き情報の一例を示す図 参照車両の傾き情報の一例を示す図 参照車両の走行経路情報の一例を示す図 参照車両の走行経路情報の一例を示す図

以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。

＜第１実施形態＞
［システム構成］
本発明に係る第１実施形態について説明する。図１は、本実施形態の情報提供システム１００の構成を示すブロック図である。本実施形態の情報提供システム１００は、例えばネットワークＮＴＷを介して互いに通信可能に接続された情報端末１０およびサーバ装置（情報管理サーバ）２０を含みうる。ここで、以下で説明する図１の構成のそれぞれは、プログラムに係る本発明を実施するコンピュータとなりうる。

まず、情報端末１０の構成について説明する。情報端末１０は、鞍乗型車両に取り付けられた（固定された）車載装置として構成されてもよいが、本実施形態では携帯端末として構成されうる。携帯端末とは、例えば、近年において一般に広く普及しているスマートフォンやタブレット端末など、通話機能に加えて様々な機能を有する機器のことであり、例えば図２に示すように、専用の保持機構ＨＭにより鞍乗型車両ＳＶに対して着脱可能に構成されうる。図２は、専用の保持機構ＨＭを用いて、携帯端末としての情報端末１０を鞍乗型車両ＳＶに搭載した例を示している。また、本実施形態の情報端末１０が搭載される鞍乗型車両ＳＶとしては、自動二輪車であってもよいし、自転車や三輪車などの他の形式の鞍乗型車両であってもよい。

本実施形態の情報端末１０は、例えば、処理部１１と、記憶部１２と、表示部１３と、音声出力部１４と、通信部１５と、検出部１６とを含みうる。情報端末１０の各部は、システムバス１７を介して相互に通信可能に接続されている。

処理部１１は、ＣＰＵに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスのインターフェース等を含みうる。記憶部１２には、プロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納されており、処理部１１は、記憶部１２に記憶されたプログラムをメモリ等の記憶デバイスに読み出して実行することができる。本実施形態の場合、記憶部１２には、注意個所に関する情報を鞍乗型車両の運転者に提供するためのアプリケーションプログラム（以下では、「情報提供プログラム」と呼ぶことがある）が格納されており、処理部１１は、記憶部１２に記憶された情報提供プログラムをメモリ等の記憶デバイスに読み出して実行しうる。

本実施形態の処理部１１には、例えば、取得部１１ａと、特定部１１ｂと、判断部１１ｃと、通知部１１ｄとが設けられる。取得部１１ａは、鞍乗型車両ＳＶの進路（走行予定経路）に関する情報を取得する。特定部１１ｂは、取得部で取得された鞍乗型車両ＳＶの進路において、鞍乗型車両ＳＶの運転者に注意を促すべき注意箇所を特定する。判断部１１ｃは、特定部１１ｂで特定された注意箇所における鞍乗型車両ＳＶへの影響度を判断する。通知部１１ｄは、特定部１１ｂで特定された注意箇所を、表示部１３および／または音声出力部１４を介して鞍乗型車両ＳＶの運転者に通知する。

表示部１３は、画像の表示により運転者に対して情報を通知するディスプレイを含みうる。本実施形態の場合、表示部１３（ディスプレイ）は、例えばタッチパネル式ＬＣＤ（Liquid Crystal Display）などを含み、画像を表示する機能に加えて、運転者からの情報の入力を受け付ける入力部としての機能を有する。或いは、画像を表示する機能のみを表示部１３（ディスプレイ）に持たせ、表示部１３とは独立して入力部（例えばキーパッド）を設けてもよい。また、音声出力部１４は、情報端末１０の周囲に向けて音声を出力するスピーカを含みうる。

通信部１５は、ネットワークＮＴＷを介してサーバ装置２０と通信可能に接続される。具体的には、通信部１５は、ネットワークＮＴＷを介してサーバ装置２０に情報を送信する送信部としての機能と、ネットワークＮＴＷを介してサーバ装置２０から情報を受信する受信部としての機能とを有する。

検出部１６は、例えば、位置センサ１６ａと、速度センサ１６ｂと、加速度センサ１６ｃと、傾きセンサ１６ｄと、角速度センサ１６ｅと、角加速度センサ１６ｆとを含みうる。位置センサ１６ａは、例えばＧＰＳセンサを含み、情報端末１０の現在位置を鞍乗型車両ＳＶの現在位置として検出する。速度センサ１６ｂは、情報端末１０の速度を鞍乗型車両ＳＶの速度として検出する。加速度センサ１６ｃは、情報端末１０の加速度を鞍乗型車両ＳＶの加速度として検出する。傾きセンサ１６ｄは、情報端末１０の傾きを鞍乗型車両ＳＶの傾き（バンク角）として検出する。角速度センサ１６ｅは、情報端末１０の角速度を鞍乗型車両ＳＶの角速度（例えば、ヨー軸角速度）として検出する。角加速度センサ１６ｆは、情報端末１０の角加速度を鞍乗型車両ＳＶの角加速度（例えば、ヨー軸角加速度）として検出する。傾きセンサ１６ｄ、角速度センサ１６ｅおよび角加速度センサ１６ｆは、例えばジャイロセンサによって構成されうる。

ここで、本実施形態の情報端末１０は、鞍乗型車両ＳＶの位置データ、速度データ、加速度データ、傾きデータ（バンク角データ）、角速度データおよび角加速度データを検出部１６の各センサで検出する構成であるが、それに限られるものではない。例えば、情報端末１０は、鞍乗型車両ＳＶの内部センサで検出された鞍乗型車両ＳＶの各データを、Bluetooth（登録商標）等を用いた無線通信やケーブル等を用いた有線通信などを用いて取得するように構成されてもよい。

次に、サーバ装置２０の構成について説明する。サーバ装置２０は、処理部２１と、記憶部２２（データベース）と、通信部２３とを含みうる。処理部２１は、ＣＰＵに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインターフェース等を含む。記憶部２２には、プロセッサが実行するプログラムや、プロセッサが処理に使用するデータ等が格納されており、処理部２１は、記憶部２２に記憶されたプログラムをメモリ等の記憶デバイスに読み出して実行することができる。また、通信部２３は、ネットワークＮＴＷを介して情報端末１０と通信可能に接続される。具体的には、通信部２３は、ネットワークＮＴＷを介して情報端末１０から情報を受信する受信部としての機能と、ネットワークＮＴＷを介して情報端末１０に情報を送信する送信部としての機能とを有する。

本実施形態の場合、サーバ装置２０（記憶部２２）には、複数の車両の各々から取得した走行状態情報が記憶されている。走行状態情報とは、各車両においてセンサ等で走行中に取得された情報であり、例えば、経時的に互いに関連付けられた位置情報、速度情報、傾き情報およびＡＢＳ作動情報を含みうる。位置情報は、各車両の位置を示す情報であり、位置データを含みうる。速度情報は、各車両の速度・加速度を示す情報であり、速度データおよび加速度データの少なくとも１つを含みうる。傾き情報は、各車両の傾きを示す情報であり、傾きデータ、角速度データおよび角加速度データの少なくとも１つを含みうる。また、ＡＢＳ作動情報は、ＡＢＳ（Antilock Brake System）が作動したことを示す情報である。ここで、走行状態情報が取得される複数の車両としては、自動二輪車に限られず、自転車や三輪車などの鞍乗型車両、および四輪車両が含まれうる。

このような走行状態情報を用いることにより、各車両が急制動（急ブレーキ）や危険回避行動、転倒などを起こした箇所（場所）、および／または低μ路である箇所（場所）を特定することができる。一例として、図３に示すように、各車両が急制動を起こした箇所は、各車両から取得した位置情報、速度情報およびＡＢＳ作動情報などから特定することができる。各車両が危険回避行動や転倒を起こした箇所は、各車両から取得した位置情報および傾き情報などから特定することができる。また、低μ路の箇所は、各車両から取得した位置情報およびＡＢＳ作動情報などから特定することができる。

［情報端末での処理］
次に、情報提供プログラムが実行されたときに情報端末１０で行われる処理について説明する。図４は、情報提供プログラムが実行されたときの情報端末１０の処理部１１で行われる処理を示すフローチャートである。

Ｓ１１では、処理部１１（取得部１１ａ）は、鞍乗型車両ＳＶの進路（走行予定経路）に関する進路情報を取得する。例えば、取得部１１ａは、運転者から受け付けた目的地情報と、位置センサ１６ａで検出された現在位置情報とをサーバ装置２０に送信する。目的地情報と現在位置情報とを受信したサーバ装置２０（処理部２１）では、記憶部２２に記憶された地図情報に基づいて、鞍乗型車両ＳＶの現在位置から目的地までの走行予定経路を示す情報を進路情報として算出（決定）する。これにより、取得部１１ａは、サーバ装置２０から進路情報を取得することができる。ここで、本実施形態では、進路情報をサーバ装置２０の処理部２１で算出したが、それに限られず、進路情報を情報端末１０の処理部１１で算出してもよい。

Ｓ１２では、処理部１１（特定部１１ｂ）は、Ｓ１１で取得された鞍乗型車両ＳＶの進路において、運転者に注意を促すべき注意箇所を特定する。上述したように、道路環境には、マンホールや道路上の穴（凹凸）など、四輪車両にとっては影響が小さいが鞍乗型車両にとっては影響が大きい構造物や状況が存在しうる。そのため、本実施形態の処理部１１（特定部１１ｂ）は、Ｓ１１で取得された鞍乗型車両ＳＶの進路を過去に走行した車両の走行状態情報に基づいて、四輪車両にとっては影響が小さいが鞍乗型車両にとって影響が大きい箇所を注意箇所として特定する。注意箇所を特定する具体的な処理については後述する。

ここで、処理部１１（特定部１１ｂ）は、Ｓ１２において、急制動（急ブレーキ）が行われた箇所や低μ路の箇所など、鞍乗型車両（二輪車両）と四輪車両とで共通に注意を促すべき注意箇所を特定してもよい。このような共通の注意箇所は、上述したように、Ｓ１１で取得された鞍乗型車両ＳＶの進路を過去に走行した車両の当該進路上での速度情報および／またはＡＢＳ作動情報などに基づいて特定されうる。なお、以下では、Ｓ１１で取得された鞍乗型車両ＳＶの進路を過去に走行した車両を「参照車両」と称することがある。

Ｓ１３では、処理部１１は、Ｓ１２において注意箇所が特定されたか否かを判断する。Ｓ１２で注意箇所が特定された場合にはＳ１４に進み、Ｓ１２で注意箇所が特定されなかった場合にはＳ１５に進む。

Ｓ１４では、処理部１１（通知部１１ｄ）は、Ｓ１２で特定された注意箇所を運転者に通知する。注意箇所の通知は、表示部１３（ディスプレイ）に表示された鞍乗型車両ＳＶの進路（走行予定経路）上に、記号などを用いて注意箇所を重畳表示することで行われてもよいし、音声出力部１４から音声を出力することで行われてもよい。また、注意箇所の通知は、例えば、鞍乗型車両ＳＶが走行を開始する前に全ての注意箇所を通知してもよいし、走行中の鞍乗型車両ＳＶが近づいた注意箇所ごとに通知してもよい。後者の場合の一例として、処理部１１（通知部１１ｄ）は、Ｓ１２で特定された複数の注意箇所のうち、鞍乗型車両ＳＶとの距離が所定値以下となった注意箇所について運転者に通知してもよい。ここで、本実施形態では、Ｓ１２で特定された注意箇所を、鞍乗型車両ＳＶの運転者に通知する例を示したが、それに限られず、例えば、注意箇所に近づいた四輪車両の運転者に対して当該注意箇所を通知してもよい。

Ｓ１５では、処理部１１は、情報提供プログラムを終了するか否かを判断する。例えば、処理部１１は、鞍乗型車両ＳＶが目的地に到着した場合や、運転者からプログラム終了の指示を受け付けた場合、運転者により情報端末１０の電源ボタンが押された場合などに、情報提供プログラムを終了すると判断することができる。情報提供プログラムを終了すると判断した場合には当該プログラムを終了し、情報提供プログラムを終了しないと判断した場合にはＳ１１に戻る。

［注意箇所の特定処理］
次に、注意箇所を特定する処理（Ｓ１２）について説明する。図５は、Ｓ１２の工程で行われる注意箇所の特定処理を示すフローチャートである。

Ｓ１２－１～Ｓ１２－３は、参照車両から得られた傾き情報に基づいて注意箇所を特定する工程である。 Ｓ１２－１では、特定部１１ｂ（処理部１１）は、Ｓ１１で取得された鞍乗型車両ＳＶの進路上における参照車両の傾き情報をサーバ装置２０から取得する。本工程において傾き情報が取得される参照車両としては、鞍乗型車両が選択されうる。傾き情報とは、上述したように、傾きデータ（バンク角データ）、角速度データおよび角加速度データ等を含みうる。本工程では、Ｓ１１で取得された鞍乗型車両ＳＶの進路において、部分ごとに異なる参照車両の傾き情報が取得されてもよいし、当該進路における同一部分について複数の参照車両の傾き情報が取得されてもよい。後者の場合、本工程で取得された複数の参照車両の傾き情報は、以下の工程では平均化して用いられうる。

Ｓ１２－２では、特定部１１ｂは、Ｓ１２－１で取得した参照車両の傾き情報において、参照車両の傾きが特異となる特異箇所があるか否かを判断する。参照車両の傾き情報に特異箇所があると判断された場合にはＳ１２－３に進み、特異箇所がないと判断された場合にはＳ１２－４に進む。Ｓ１２－３では、特定部１１ｂは、Ｓ１２－２で決定された参照車両の傾きの特異箇所を、注意箇所として特定する。

例えば、特定部１１ｂは、参照車両の傾き情報に含まれる経時的な傾きデータにおいて、参照車両の傾きが一時的（部分的）に変化している箇所や、参照車両の傾きが異常な傾向を示している箇所を、注意箇所（特異箇所）として特定することができる。図６Ａ～図６Ｂ、および図７Ａ～図７Ｂは、鞍乗型車両ＳＶの進路を過去に走行した参照車両の傾き情報（経時的な傾きデータ）から注意箇所を特定する例を示す図である。図６Ａ～図６Ｂは、進路の一部としての直線道路上での参照車両の傾き情報から注意箇所を特定する例を示しており、図７Ａ～図７Ｂは、進路の一部としてのカーブ上での参照車両の傾き情報から注意箇所を特定する例を示している。図６Ａおよび図７Ａは、例えばマンホールや凹凸などの障害物３０が存在する道路上における参照車両の走行経路３１を示しており、図６Ｂおよび図７Ｂは、当該道路上における参照車両の傾きデータを示している。

図６Ａおよび図７Ａで示される走行経路３１のように、参照車両は、障害物３０を回避するように道路上を走行しており、この場合、図６Ｂおよび図７Ｂで示すように、障害物３０の回避時において参照車両の傾きが一時的に変化（増加）する。特定部１１ｂは、このように参照車両の傾きが一時的に変化した箇所を注意箇所（特異箇所）として特定することができる。具体的な処理として、特定部１１ｂは、進路の道路形状（例えば道路の曲率）に基づいて当該進路上での参照車両の適正傾きＴ_０を求めることにより、参照車両の実際の傾きと適正傾きＴ_０との差が所定値以上（閾値ＴＨ_１以上）となる箇所を注意箇所（特異箇所）として特定することができる。ここで、図６Ａ～図６Ｂ、および図７Ａ～図７Ｂでは、参照車両の傾きが一時的に増加する例を示したが、参照車両の傾きが一時的に減少する場合にも、同様の処理を用いて注意箇所を特定することができる。

Ｓ１２－４～Ｓ１２－７は、参照車両としての鞍乗型車両と四輪車両との走行経路の差に基づいて注意箇所を特定する工程である。参照車両の走行経路情報は、当該参照車両から得られた位置情報（例えば、経時的な位置データ）に基づいて取得することができる。

Ｓ１２－４では、特定部１１ｂは、Ｓ１１で取得された鞍乗型車両ＳＶの進路上における参照車両の走行経路情報をサーバ装置２０から取得する。本工程において走行経路情報が取得される参照車両としては、鞍乗型車両および四輪車両が選択されうる。以下では、参照車両としての鞍乗型車両を「参照二輪車両」と呼び、参照車両としての四輪車両を「参照四輪車両」と呼ぶことがある。また、走行経路情報は、上述したように、位置情報（経時的な位置データ）に基づいて求められうる。ここで、本工程では、Ｓ１１で取得された鞍乗型車両ＳＶの進路の各部分において、参照二輪車両の走行経路情報および参照四輪車両の走行経路情報が少なくとも１つずつ取得される。この条件を満たせば、当該進路において、部分ごとに異なる参照車両の走行経路情報が用いられてもよく、当該進路における同一部分について複数の参照車両の走行経路情報が用いられてもよい。後者の場合、本工程で取得された複数の参照車両の走行経路情報は、以下の工程では平均化して用いられうる。

Ｓ１２－５では、特定部１１ｂは、Ｓ１２－４で取得された参照二輪車両の走行経路と参照四輪車両の走行経路との経路差を求める。Ｓ１２－６では、特定部１１ｂは、Ｓ１２－５で求めた経路差に特異箇所があるか否かを判断する。特異箇所があると判断された場合にはＳ１２－７に進み、特異箇所がないと判断された場合にはＳ１２の工程を終了する。

例えば、特定部１１ｂは、Ｓ１２－５で求めた経路差が一時的（部分的）に変化している箇所や、異常な傾向を示している箇所を、注意箇所（特異箇所）として特定することができる。図８Ａ～図８Ｂは、鞍乗型車両ＳＶの進路を過去に走行した参照車両（参照二輪車両、参照四輪車両）の当該進路上での走行経路情報（経時的な位置データ）から注意箇所を特定する一例を示す図である。図８Ａは、例えばマンホールや凹凸などの障害物３０が存在する道路上における参照二輪車両の走行経路３１および参照四輪車両の走行経路３２を示しており、図８Ｂは、当該道路上における参照二輪車両と参照四輪車両との経路差を示している。

図８Ａにおいて、参照二輪車両は、障害物３０を回避するような走行経路３１を示しているのに対し、参照四輪車両は、障害物３０の存在に関わらず、直線的な走行経路３２を示している。この場合、図８Ｂに示すように、参照二輪車両での障害物３０の回避動作により、参照二輪車両の走行経路３１と参照四輪車両の走行経路３２との経路差が一時的に変化した箇所が生じるため、この箇所を注意箇所（特異箇所）として特定することができる。具体的な処理として、特定部１１ｂは、経路差の変化量が所定値以上（閾値ＴＨ_２以上）となる箇所を注意箇所（特異箇所）として特定することができる。

上述したように、本実施形態では、鞍乗型車両ＳＶの進路を過去に走行した参照車両の傾き情報および／または走行経路情報に基づいて、運転者に注意を促すべき注意箇所を特定する。これにより、四輪車両にとっては影響が小さいが鞍乗型車両ＳＶにとっては影響が大きい箇所、即ち、鞍乗型車両ＳＶにとって特に注意が必要となる箇所を、鞍乗型車両ＳＶの運転者に通知することができる。したがって、鞍乗型車両ＳＶにとって有益となる情報を適切に運転者に通知することができる。また、過去に走行した参照車両の傾き情報を用いることで、鞍乗型車両ＳＶにとって特に注意が必要となる箇所の特定精度を高めることができる。

＜第２実施形態＞
本発明に係る第２実施形態について説明する。本実施形態は、基本的に第１実施形態を引き継ぐものである。本実施形態では、図４に示すフローチャートのＳ１４の工程において、処理部１１（判断部１１ｃ）は、Ｓ１２で特定された注意箇所における鞍乗型車両ＳＶへの影響度を判断する。そして、処理部１１（通知部１１ｄ）は、判断部１１ｃで判断された鞍乗型車両ＳＶへの影響度に応じて通知態様を変更する。

例えば、判断部１１ｃは、図６Ａ～図６Ｂ、および図７Ａ～図７Ｂに示される参照車両の実際の傾きと適正傾きＴ_０との差が大きいほど、および／または図８Ａ～図８Ｂに示される経路差が大きいほど、注意箇所における鞍乗型車両ＳＶへの影響度が大きいと判断することができる。また、通知部１１ｄは、判断部１１ｃで判断された影響度に応じて、表示部１３における注意箇所の表示の色や大きさを変更することができる。一例として、通知部１１ｄは、判断部１１ｃで判断された影響度が大きいほど、運転者による注意箇所の認識（注目度）が高くなるように当該注意箇所の表示（通知態様）を変更するとよい。これにより、鞍乗型車両ＳＶへの影響度が比較的高い注意箇所については運転者に確実に認識させるとともに、鞍乗型車両ＳＶへの影響度が比較的低い注意箇所が頻繁に通知される煩わしさを低減させることができる。

発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。

本願は、２０２０年３月９日提出の日本国特許出願特願２０２０－０３９９０５を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。

１０：情報端末、１１：処理部、１１ａ：取得部、１１ｂ：特定部、１１ｃ：判断部、１１ｄ：通知部、１６：検出部、２０：サーバ（情報管理サーバ）、１００：情報提供システム

Claims (12)

1. 鞍乗型車両の運転者へ情報を提供する情報提供システムであって、
   前記鞍乗型車両の進路に関する情報を取得する取得手段と、
   前記取得手段で取得された前記進路において、前記運転者に注意を促すべき注意箇所を特定する特定手段と、
   前記特定手段で特定された前記注意箇所を前記運転者に通知する通知手段と、
   を備え、
   前記特定手段は、前記進路を過去に走行した参照車両の前記進路上での傾きを示す傾き情報に基づいて前記注意箇所を特定するとともに、前記参照車両としての鞍乗型車両の前記進路上での走行経路と前記参照車両としての四輪車両の前記進路上での走行経路との差である経路差に基づいて前記注意箇所を特定する、ことを特徴とする情報提供システム。
2. 前記特定手段は、前記傾き情報において前記参照車両の傾きが特異となる特異箇所を前記注意箇所として特定する、ことを特徴とする請求項１に記載の情報提供システム。
3. 前記特定手段は、前記進路の道路形状に基づいて前記進路上での前記参照車両の適正傾きを求め、前記傾き情報における前記参照車両の傾きと前記適正傾きとの差が所定値以上となる箇所を前記注意箇所として特定する、ことを特徴とする請求項１又は２に記載の情報提供システム。
4. 前記傾き情報は、前記参照車両の傾きデータ、角速度データ、および角加速度データの少なくとも１つ情報を含む、ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載の情報提供システム。
5. 鞍乗型車両もしくは四輪車両の運転者へ情報を提供する情報提供システムであって、
   前記鞍乗型車両もしくは四輪車両の進路に関する情報を取得する取得手段と、
   前記取得手段で取得された前記進路において、前記運転者に注意を促すべき注意箇所を特定する特定手段と、
   前記特定手段で特定された前記注意箇所を前記運転者に通知する通知手段と、
   を備え、
   前記特定手段は、前記進路を過去に走行した参照車両としての鞍乗型車両の前記進路上での走行経路と前記参照車両としての四輪車両の前記進路上での走行経路との差である経路差に基づいて前記注意箇所を特定する、ことを特徴とする情報提供システム。
6. 前記特定手段は、前記差の変化量が所定値以上である箇所を前記注意箇所として特定する、ことを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載の情報提供システム。
7. 前記特定手段で特定された前記注意箇所における鞍乗型車両への影響度を判断する判断手段を更に備え、
   前記通知手段は、前記判断手段で判断された前記影響度に応じて通知態様を変更する、ことを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載の情報提供システム。
8. 前記通知手段は、前記特定手段で前記経路差に基づいて特定された前記注意箇所の通知態様を、前記経路差の大きさに応じて変更する、ことを特徴とする請求項１乃至７のいずれか１項に記載の情報提供システム。
9. 前記通知手段は、前記特定手段で前記経路差に基づいて特定された前記注意箇所の通知態様を、前記経路差が大きいほど前記運転者の注目度が高くなるように変更する、ことを特徴とする請求項８に記載の情報提供システム。
10. 請求項１乃至９のいずれか１項に記載の情報提供システムの各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
11. 情報端末により、鞍乗型車両の運転者へ情報を提供する情報提供方法であって、
    前記鞍乗型車両の進路に関する情報を取得する取得工程と、
    前記取得工程で取得された前記進路において、前記運転者に注意を促すべき注意箇所を特定する特定工程と、
    前記特定工程で特定された前記注意箇所を前記運転者に通知する通知工程と、
    を備え、
    前記特定工程では、前記進路を過去に走行した参照車両の前記進路上での傾きを示す傾き情報に基づいて前記注意箇所を特定するとともに、前記参照車両としての鞍乗型車両の前記進路上での走行経路と前記参照車両としての四輪車両の前記進路上での走行経路との差である経路差に基づいて前記注意箇所を特定する、ことを特徴とする情報提供方法。
12. 情報端末により、鞍乗型車両もしくは四輪車両の運転者へ情報を提供する情報提供方法であって、
    前記鞍乗型車両もしくは四輪車両の進路に関する情報を取得する取得工程と、
    前記取得工程で取得された前記進路において、前記運転者に注意を促すべき注意箇所を特定する特定工程と、
    前記特定工程で特定された前記注意箇所を前記運転者に通知する通知工程と、
    を備え、
    前記特定工程では、前記進路を過去に走行した参照車両としての鞍乗型車両の前記進路上での走行経路と前記参照車両としての四輪車両の前記進路上での走行経路との差である経路差に基づいて前記注意箇所を特定する、ことを特徴とする情報提供方法。

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