JP7336932B2 - ホスホニウム化合物及び硬化促進剤 - Google Patents

ホスホニウム化合物及び硬化促進剤 Download PDF

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Description

本発明は、ホスホニウム化合物及び硬化促進剤に関する。
従来から、成形材料、積層板用材料、接着剤用材料等の分野において、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂が広範囲で使用されている。これらの硬化性樹脂には、生産性向上の観点から速硬化性が要求されるため、硬化性樹脂組成物には硬化反応を促進する化合物、すなわち硬化促進剤が一般に用いられている。また、トランジスタ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等の電子部品の素子の封止技術の分野では、硬化性樹脂の中でも、特にエポキシ樹脂をベースとした組成物が広く用いられている。その理由としては、エポキシ樹脂が成形性、電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性においてバランスがとれているためである。特に、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノールノボラック型硬化剤との組み合わせは、上記諸特性において優れたバランスを有するため、IC封止用成形材料のベース樹脂として主流になっている。そして、そのようなエポキシ樹脂組成物においても、一般に、3級アミン、イミダゾール等のアミン化合物、ホスフィン類、ホスホニウム等のリン化合物などといった硬化促進剤が使用されている。
一方、近年、電子部品の素子の封止技術の分野では、電子部品のプリント配線板への高密度実装化が進んでおり、これに伴い従来のピン挿入型パッケージよりも表面実装型パッケージが主流となりつつある。しかしながら、ピン挿入型パッケージと比較して表面実装型パッケージでは、はんだ付け時のパッケージクラックに対する耐性、いわゆる耐リフロークラック性が低下する傾向にある。すなわち、IC、LSI等の表面実装型ICでは、実装密度を高くするために素子のパッケージに対する占有体積がしだいに大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなっている。さらに、表面実装型パッケージは、そのはんだ付け工程において、ピン挿入型パッケージよりも、より過酷な条件下にさらされることになる。より具体的には、ピン挿入型パッケージでは、ピンを配線板に挿入した後に配線板裏面からはんだ付けを行うため、パッケージが高温に直接さらされることがない。それに対し、表面実装型ICでは配線板表面に仮止めを行った後に、はんだバス、リフロー装置等で処理を行うため、パッケージは高温のはんだ付け温度に直接さらされることになる。その結果、ICパッケージが吸湿した場合、はんだ付け時に吸湿された水分が急激に膨張してパッケージクラックに至ることがあり、パッケージ成形における大きな問題になっている。
このような状況下、表面実装型パッケージにおける耐リフロークラック性を改良するために、無機充填材の含有量を高めたエポキシ樹脂組成物が報告されている。しかし、無機充填材の含有量の増加に伴って、樹脂組成物の流動性が低下し、成形時に充填不良、ボイド発生等の成形上の障害、ICチップのボンディングワイヤの断線による導通不良の発生などといった、パッケージの性能低下を招くことが多い。そのため無機充填材の含有量の増加には限界があり、その結果として耐リフロークラック性の著しい改善を達成することは困難であった。特に、そのようなエポキシ樹脂組成物に速硬化性の観点からトリフェニルホスフィン等のリン系硬化促進剤、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等のアミン系硬化促進剤などを添加した場合には、樹脂組成物の流動性が著しく低下する傾向があるため、パッケージの耐リフロークラック性の改善に加えて、樹脂組成物の流動性の改善が望まれているのが現状である。
無機充填材を高比率で含有するエポキシ樹脂組成物の流動性を改善するために、例えば、トリフェニルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物を硬化促進剤として用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。別法として、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートを硬化促進剤として用いる方法がある(例えば、特許文献2を参照)。
特開平9-157497号公報 特公昭51-24399号公報
しかしながら、トリフェニルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物を硬化促進剤として用いる特許文献1に記載の方法によると、エポキシ樹脂組成物は外気湿度の影響を受けやすく保存安定性に劣る傾向がある。そのため、パッケージ特性にばらつきが生じ易く、また、製造、輸送及び使用時の環境における厳密な管理が必要となり、取り扱い性に劣る傾向がある。
また、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートを硬化促進剤として用いる特許文献2に記載の方法によると、エポキシ樹脂組成物は優れた保存安定性を示す一方で、硬化物が一定硬度を達成するまでに時間がかかり、封止作業時の生産性を低下させる傾向がある。
本開示は上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、エポキシ樹脂の硬化促進剤として用いたときの保存安定性及び硬化性に優れる新規なホスホニウム化合物及びそれを含む硬化促進剤を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(I)で表されるホスホニウム化合物。
(一般式(I)において、R1Aは、各々独立に、炭素数1~18の置換又は非置換の炭化水素基を示す。3つのR1Aから任意に選択される2つのR1Aは互いに連結して、R1Aが結合するリン原子と共に環状構造を形成してもよい。R1Bは、各々独立に、炭素数1~18の置換又は非置換の炭化水素基を示す。nは、0~3の整数を示す。nが2又は3の場合、2つのR1Bは互いに連結して、環状構造を形成してもよい。aは、1又は2を示す。aが1の場合、Xa-は、下記一般式(IA)で表される1価の陰イオンを示し、aが2の場合、Xa-は、下記一般式(IB)で表される2価の陰イオンを示す。)
(一般式(IA)において、R1Cは、各々独立に、アルキル基、水酸基、アミノ基又はアルコキシ基を示す。pは、0~4の整数を示す。一般式(IB)において、R1Dは、各々独立に、アルキル基、水酸基、アミノ基又はアルコキシ基を示す。qは、0~2の整数を示す。)
<2> <1>に記載のホスホニウム化合物を含む硬化促進剤。
本開示によれば、エポキシ樹脂の硬化促進剤として用いたときの保存安定性及び硬化性に優れる新規なホスホニウム化合物及びそれを含む硬化促進剤を提供することができる。
実施例1で得られたホスホニウム化合物1のH-NMRスペクトルである。 実施例1で得られたホスホニウム化合物1のIRスペクトルである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、各成分には、該当する物質が複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において、各成分に該当する粒子には、複数種の粒子が含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
<ホスホニウム化合物>
本開示のホスホニウム化合物は、下記一般式(I)で表される。
一般式(I)において、R1Aは、各々独立に、炭素数1~18の置換又は非置換の炭化水素基を示す。3つのR1Aから任意に選択される2つのR1Aは互いに連結して、R1Aが結合するリン原子と共に環状構造を形成してもよい。R1Bは、各々独立に、炭素数1~18の置換又は非置換の炭化水素基を示す。nは、0~3の整数を示す。nが2又は3の場合、2つのR1Bは互いに連結して、環状構造を形成してもよい。aは、1又は2を示す。aが1の場合、Xa-は、下記一般式(IA)で表される1価の陰イオンを示し、aが2の場合、Xa-は、下記一般式(IB)で表される2価の陰イオンを示す。
一般式(IA)において、R1Cは、各々独立に、アルキル基、水酸基、アミノ基又はアルコキシ基を示す。pは、0~4の整数を示す。一般式(IB)において、R1Dは、各々独立に、アルキル基、水酸基、アミノ基又はアルコキシ基を示す。qは、0~2の整数を示す。
一般式(I)において、R1A又はR1Bで示される炭素数1~18の置換又は非置換の炭化水素基は、炭素数が1~18の炭化水素基であって、置換基を有する脂肪族炭化水素基、置換基を有さない脂肪族炭化水素基、置換基を有する芳香族炭化水素基、及び置換基を有さない芳香族炭化水素基を含む。なお、炭化水素基が置換基を有する場合、炭化水素基の炭素数には、置換基に含まれる炭素数は含まれないものとする。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であっても、直鎖状又は分岐鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。炭素数は1~18であるが、保存安定性の観点から、炭素数は1~12であることが好ましく、3~8であることがより好ましい。
脂肪族炭化水素基としてより具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の飽和脂肪族炭化水素基;アリル基、ビニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、脂環式炭化水素基であってもよい。また脂環式炭化水素基は脂環式飽和炭化水素基であっても、脂環式不飽和炭化水素基であってもよい。脂環式炭化水素基として具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
脂肪族炭化水素基は置換基を有していてもよい。脂肪族炭化水素基における置換基としては、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が置換基を有する場合、置換基の位置及び置換基の数は特に制限されない。また2以上の置換基を有する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
芳香族炭化水素基は、炭素数が6~18であることが好ましく、6~14であることがより好ましい。芳香族炭化水素基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等を挙げることができる。芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。芳香族炭化水素基における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、置換基の位置及び置換基の数は特に制限されない。また2以上の置換基を有する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
置換又は非置換の芳香族炭化水素基としてより具体的には、フェニル基、ナフチル基等のアリール基;トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、n-ブチルフェニル基、t-ブチルフェニル基等のアルキル基置換アリール基;メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、t-ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基などが挙げられる。それらはさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換したものであってもよい。
一般式(I)における3つのR1Aから任意に選択される2つのR1Aは、互いに連結してR1Aが結合するリン原子と共に環状構造を形成してもよい。2つのR1Aとリン原子とが環状構造を形成する場合、形成される環の数は1つであっても、2つ以上であってもよい。また環状構造は架橋環構造を含んでいてもよい。
リン原子と共に環状構造を形成し得るR1Aとして具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等のアルキレン基;エチレニル基、プロピレニル基、ブチレニル基等のアルケニル基;メチレンフェニレン基等のアラルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン等のアリーレン基などが挙げられる。これらは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
1Aは、原料の入手しやすさの観点から、フェニル基、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、p-メトキシフェニル基、m-メトキシフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-ヒドロキシフェニル基、m-ヒドロキシフェニル基、o-ヒドロキシフェニル基、2,5-ジヒドロキシフェニル基、4-(4-ヒドロキシフェニル)フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-(2-ヒドロキシナフチル)基、1-(4-ヒドロキシナフチル)基等の非置換アリール基及び置換アリール基、並びにメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基からなる群より選択される1価の基であることが好ましい。
さらに、フェニル基、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、p-メトキシフェニル基、m-メトキシフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-ヒドロキシフェニル基、m-ヒドロキシフェニル基、o-ヒドロキシフェニル基、2,5-ジヒドロキシフェニル基、4-(4-ヒドロキシフェニル)フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-(2-ヒドロキシナフチル)基、1-(4-ヒドロキシナフチル)基等の非置換アリール基及び置換アリール基からなる群より選択される1価の基であることがより好ましい。
一般式(I)において、nは、0~3の整数を示し、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
nが2又は3の場合、2つのR1Bは互いに連結して、環状構造を形成してもよい。nが3の場合、3つのR1Bから任意に選択される2つのR1Bが環状構造を形成してもよい。
2つのR1Bが環状構造を形成する場合、形成される環の数は1つであっても、2つ以上であってもよい。また環状構造は架橋環構造を含んでいてもよい。
環状構造を形成し得るR1Bの具体例は、上述したリン原子と共に環状構造を形成し得るR1Aの具体例と同様である。
一般式(IA)において、R1Cで示されるアルキル基としては、炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
一般式(IA)において、R1Cで示されるアルコキシ基としては、炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられ、メトキシ基が好ましい。
一般式(IA)において、pは、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
一般式(IA)で表される1価の陰イオンの元となる化合物としては、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ヒドロキシフタル酸、4-アミノフタル酸、4-メトキシフタル酸等が挙げられる。
一般式(IB)において、R1Dで示されるアルキル基の具体例及び好ましい例は、R1Cで示されるアルキル基の場合と同様である。
一般式(IB)において、R1Dで示されるアルコキシ基の具体例及び好ましい例は、R1Cで示されるアルコキシ基の場合と同様である。
一般式(IB)において、qは、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
一般式(IB)で表される2価の陰イオンの元となる化合物としては、ピロメリット酸等が挙げられる。
a-で表される1価又は2価の陰イオンの元となる化合物としては、フタル酸が好ましい。
本開示のホスホニウム化合物としては、2,5-ジヒドロキシフェニル(トリフェニル)ホスホニウムハイドロジェンフタレート、2,5-ジヒドロキシフェニル(トリフェニル)ホスホニウムハイドロジェン4-メチルフタレート、2,5-ジヒドロキシフェニル(トリフェニル)ホスホニウムハイドロジェン4-ヒドロキシフタレート、2,5-ジヒドロキシフェニル(トリ-p-トリル)ホスホニウムハイドロジェンフタレート、2,5-ジヒドロキシフェニル(トリ-p-トリル)ホスホニウムハイドロジェン4-メチルフタレート、2,5-ジヒドロキシフェニル(トリ-p-トリル)ホスホニウムハイドロジェン4-ヒドロキシフタレート、2,5-ジヒドロキシフェニル(トリ-n-ブチル)ホスホニウムハイドロジェンフタレート、2,5-ジヒドロキシフェニル(トリ-n-ブチル)ホスホニウムハイドロジェン4-メチルフタレート、2,5-ジヒドロキシフェニル(トリ-n-ブチル)ホスホニウムハイドロジェン4-ヒドロキシフタレート、ビス[2,5-ジヒドロキシフェニル(トリフェニル)ホスホニウム]ジハイドロジェンピロメリテート、ビス[2,5-ジヒドロキシフェニル(トリ-p-トリル)ホスホニウム]ジハイドロジェンピロメリテート、ビス[2,5-ジヒドロキシフェニル(トリ-n-ブチル)ホスホニウム]ジハイドロジェンピロメリテート、1,4-ジヒドロキシナフタレニル(トリフェニル)ホスホニウムハイドロジェンフタレート、1,4-ジヒドロキシナフタレニル(トリ-p-トリル)ホスホニウムハイドロジェンフタレート、1,4-ジヒドロキシナフタレニル(トリ-n-ブチル)ホスホニウムハイドロジェンフタレート、ビス[1,4-ジヒドロキシナフタレニル(トリフェニル)ホスホニウム]ジハイドロジェンピロメリテート、ビス[1,4-ジヒドロキシナフタレニル(トリ-p-トリル)ホスホニウム]ジハイドロジェンピロメリテート、ビス[1,4-ジヒドロキシナフタレニル(トリ-n-ブチル)ホスホニウム]ジハイドロジェンピロメリテート等が挙げられる。
本開示のホスホニウム化合物は、エポキシ樹脂の硬化促進剤として好適に使用することができる。
<ホスホニウム化合物の製造方法>
本開示のホスホニウム化合物は、いかなる方法により製造されたものであってもよい。
例えば、P(R1Aで表されるホスフィン化合物の溶液とp-キノン化合物の溶液とを室温~80℃の温度条件下で撹拌し、析出した黄褐色結晶をろ過して取り出すことでホスフィン化合物とp-キノン化合物との付加反応物を得ることができる。この場合、有機溶媒としてメタノール、メタノールと水との混合溶媒、アセトン、アセトンとトルエンとの混合溶媒等を用いることができる。
他の方法としては、例えば、ホスフィン化合物と、芳香環に置換した2つの水酸基及び芳香環に置換したハロゲン原子を同一分子内に持つハロゲン置換ジフェノール化合物とを、必要に応じてカップリング触媒を用いたり、紫外線を照射する等の手法を用いたりして反応させた後に、必要に応じて塩基性化合物等を用いて脱ハロゲン化水素反応させることで製造する方法、ホスフィンジハライド化合物とハロゲン置換ジフェノール化合物とを反応させた後に、これを脱ハロゲン化水素反応させることで製造する方法等が挙げられる。
次いで、得られた付加反応物に無機酸、有機酸等の酸を加えて分子間塩を形成させた後、この分子間塩と、Xa-で表される1価又は2価の陰イオンの元となる化合物のアルカリ金属塩とを、室温~100℃の範囲で加熱撹拌しながら反応させ、分子間塩のアニオン部を交換反応する方法によって、本開示のホスホニウム化合物を製造することができる。
得られたホスホニウム化合物は、定法に従って精製してもよい。
酸の具体例としては、ホスフィン化合物及びp-キノン化合物を反応させて生成する付加反応物と塩を形成するブレンステッド酸であれば、特に限定されるものではない。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられるが、これらに限られるものではない。有機酸としては、シュウ酸、酢酸、安息香酸等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
付加反応物と酸との分子間塩を形成する際に、反応溶媒を用いることもできる。ホスフィン化合物及びp-キノン化合物の付加反応物とXa-で表される1価又は2価の陰イオンの元となる化合物のアルカリ金属塩との反応を達成するのに好ましい反応溶媒としては、上記反応を達成することができるものであれば特に限定されるものではなく、メタノール、メタノール/水混合溶媒等が挙げられる。
<硬化促進剤>
本開示の硬化促進剤は、本開示のホスホニウム化合物を含む。本開示の硬化促進剤は、エポキシ樹脂の硬化を促進する成分として有効である。
本開示の硬化促進剤には、本開示のホスホニウム化合物以外に、ホスホニウム化合物の合成に使用された原料又は溶剤、合成の際に生じた副生成物等が含まれていてもよい。
<エポキシ樹脂組成物>
本開示のホスホニウム化合物は、エポキシ樹脂の硬化促進剤として好適に使用することが可能である。
本開示のホスホニウム化合物を含むエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、本開示のホスホニウム化合物と、必要に応じて硬化剤、無機充填材等のその他の成分を含有してもよい。
-ホスホニウム化合物-
エポキシ樹脂組成物は、本開示のホスホニウム化合物を含有する。本開示のホスホニウム化合物は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂組成物中のホスホニウム化合物の含有率は、エポキシ樹脂と必要に応じて用いられる硬化剤の合計量に対して、0.1質量%~20質量%であることが好ましく、0.5質量%~15質量%であることがより好ましく、1.0質量%~10質量%であることがさらに好ましい。
-エポキシ樹脂-
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂の種類は特に限定されず、公知のエポキシ樹脂を使用することができる。
具体的には、例えば、フェノール化合物(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA及びビスフェノールF)並びにナフトール化合物(例えば、α-ナフトール、β-ナフトール及びジヒドロキシナフタレン)からなる群より選択される少なくとも1種と、アルデヒド化合物(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びサリチルアルデヒド)とを、酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂);ビスフェノール(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF及びビスフェノールS)及びビフェノール(例えば、アルキル置換又は非置換のビフェノール)からなる群より選択される少なくとも1種のジグリシジルエーテル;フェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物;フェノール化合物とジシクロペンタジエン及びテルペン化合物からなる群より選択される少なくとも1種との付加物又は重付加物のエポキシ化物;多塩基酸(例えば、フタル酸及びダイマー酸)とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ポリアミン(例えば、ジアミノジフェニルメタン及びイソシアヌル酸)とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酸(例えば、過酢酸)で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;並びに脂環族エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
IC等の素子上のアルミニウム配線又は銅配線の腐食防止の観点から、エポキシ樹脂の純度は高い方が好ましく、加水分解性塩素量は少ない方が好ましい。エポキシ樹脂組成物の耐湿性の向上の観点からは、加水分解性塩素量は質量基準で500ppm以下であることが好ましい。
ここで、加水分解性塩素量は、試料のエポキシ樹脂1gをジオキサン30mlに溶解し、1N-KOHメタノール溶液5mlを添加して30分間リフラックスした後、電位差滴定により求めた値である。
エポキシ樹脂組成物に占めるエポキシ樹脂の含有率は、2.5質量%~10質量%であることが好ましく、3.0質量%~8.0質量%であることがより好ましく、3.5質量%~7.5質量%であることがさらに好ましい。
必要に応じて用いられる無機充填材を除くエポキシ樹脂組成物に占めるエポキシ樹脂の含有率は、40質量%~99質量%であることが好ましく、45質量%~98質量%であることがより好ましく、48質量%~97質量%であることがさらに好ましい。
-硬化剤-
エポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含有してもよい。硬化剤の種類は特に限定されず、公知の硬化剤を使用することができる。
具体的には、例えば、フェノール化合物(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA及びビスフェノールF)並びにナフトール化合物(例えば、α-ナフトール、β-ナフトール及びジヒドロキシナフタレン)からなる群より選択される少なくとも1種と、アルデヒド化合物(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びサリチルアルデヒド)とを、酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂;フェノール・アラルキル樹脂;ビフェニル・アラルキル樹脂;並びにナフトール・アラルキル樹脂;が挙げられる。硬化剤は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
硬化剤の官能基(例えば、ノボラック樹脂の場合にはフェノール性水酸基)の当量がエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5当量~1.5当量になるように、硬化剤が配合されることが好ましく、特に、0.7当量~1.2当量になるように硬化剤が配合されることが好ましい。
-無機充填材-
エポキシ樹脂組成物は、無機充填材を含有してもよい。エポキシ樹脂組成物が無機充填材を含むことで、エポキシ樹脂組成物の吸湿性が低減し、硬化状態での強度が向上する傾向にある。
無機充填材は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
無機充填材を2種類以上併用する場合としては、例えば、成分、平均粒子径、形状等が異なる無機充填材を2種類以上用いる場合が挙げられる。
無機充填材の形状は特に制限されず、例えば、角状、粉状、球状、繊維状等が挙げられる。エポキシ樹脂組成物の成形時の流動性及び金型摩耗性の点からは、球状であることが好ましい。
無機充填材としては、アルミナ及びシリカの少なくとも一方を含んでいることが好ましく、高熱伝導性の観点からアルミナを含むことがより好ましい。シリカとしては、球状シリカ、結晶シリカ等が挙げられる。
アルミナ及びシリカの少なくとも一方と併用可能なその他の無機充填材としては、ジルコン、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ベリリア、ジルコニア等が挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填材としては水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛等が挙げられる。
無機充填材の含有率としては、吸湿性、線膨張係数の低減、強度向上及びはんだ耐熱性の観点から、エポキシ樹脂組成物の全体に対して50体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがより好ましく、75体積%以上であることがさらに好ましい。無機充填材の含有率は、95体積%以下であってもよい。
無機充填材の平均粒子径としては、高熱伝導性の観点からアルミナを用いる場合、4μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物の硬化物の熱伝導率は、無機充填材の平均粒子径が大きくなる程、高くなる傾向にある。
無機充填材の平均粒子径としては、狭ギャップ充填性の観点から、75μm以下であることが好ましく、55μm以下であることがより好ましく、45μm以下であることがさらに好ましい。
無機充填材の平均粒子径は、以下の方法により測定することができる。
溶媒(純水)に、測定対象の無機充填材を1質量%~5質量%の範囲内で界面活性剤1質量%~8質量%とともに添加し、110Wの超音波洗浄機で30秒~5分間振動し、無機充填材を分散する。分散液の約3mL程度を測定用セルに注入して25℃で測定する。測定装置は、レーザー回折式粒度分布計(株式会社堀場製作所、LA920)を用い、体積基準の粒度分布を測定する。平均粒子径は、体積基準の粒度分布において小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50%)として求められる。
無機充填材の比表面積としては、流動性及び成形性の観点から、0.7m/g~6.0m/gであることが好ましく、0.9m/g~5.5m/gであることがより好ましく、1.0m/g~5.0m/gであることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物の流動性は、無機充填材の比表面積が小さくなる程、高くなる傾向にある。
本開示において、無機充填材の比表面積は、少なくとも2種類の無機充填材が併用されている場合には無機充填材の混合物の比表面積をいう。
無機充填材の比表面積(BET比表面積)は、JIS Z 8830:2013に準じて窒素吸着能から測定することができる。評価装置としては、QUANTACHROME社:AUTOSORB-1(商品名)を用いることができる。試料表面及び構造中に吸着している水分がガス吸着能に影響を及ぼすと考えられることから、BET比表面積の測定を行う際には、まず、加熱による水分除去の前処理を行うことが好ましい。
前処理では、0.05gの測定試料を投入した測定用セルを、真空ポンプで10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した後、減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却する。この前処理を行った後、評価温度を77Kとし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満として測定する。
-硬化促進剤-
エポキシ樹脂組成物は、本開示のホスホニウム化合物以外のその他の硬化促進剤をさらに含有してもよい。その他の硬化促進剤の種類は特に制限されず、公知の硬化促進剤を使用することができる。
具体的には、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]ノネン、5,6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等のシクロアミジン化合物、シクロアミジン化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂などのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物、3級アミン化合物の誘導体、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、イミダゾール化合物の誘導体、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、N-メチルモルホリニウムテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボレート塩、テトラフェニルボレート塩の誘導体、トリフェニルホスフィン-トリフェニルボラン錯体、モルホリン-トリフェニルボラン錯体等のトリフェニルボラン錯体などが挙げられる。硬化促進剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
硬化促進剤の含有率は、エポキシ樹脂と必要に応じて用いられる硬化剤の合計量に対して、0.1質量%~20質量%であることが好ましい。
(イオントラップ剤)
エポキシ樹脂組成物は、イオントラップ剤をさらに含有してもよい。
本開示において使用可能なイオントラップ剤は、半導体装置の製造用途に用いられる封止材において、一般的に使用されているイオントラップ剤であれば特に制限されるものではない。イオントラップ剤としては、例えば、下記一般式(VI-1)又は下記一般式(VI-2)で表される化合物が挙げられる。
Mg1-aAl(OH)(COa/2・uHO (VI-1)
(一般式(VI-1)中、aは0<a≦0.5であり、uは正数である。)
BiO(OH)(NO (VI-2)
(一般式(VI-2)中、bは0.9≦b≦1.1、cは0.6≦c≦0.8、dは0.2≦d≦0.4である。)
イオントラップ剤は、市販品として入手可能である。一般式(VI-1)で表される化合物としては、例えば、「DHT-4A」(協和化学工業株式会社、商品名)が市販品として入手可能である。また、一般式(VI-2)で表される化合物としては、例えば、「IXE500」(東亞合成株式会社、商品名)が市販品として入手可能である。
また、上記以外のイオントラップ剤として、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等から選ばれる元素の含水酸化物などが挙げられる。
イオントラップ剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂組成物がイオントラップ剤を含有する場合、イオントラップ剤の含有量は、充分な耐湿信頼性を実現する観点からは、エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上であることが好ましい。他の成分の効果を充分に発揮する観点からは、イオントラップ剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して15質量部以下であることが好ましい。
また、イオントラップ剤の平均粒子径は0.1μm~3.0μmであることが好ましく、最大粒子径は10μm以下であることが好ましい。イオントラップ剤の平均粒子径は、無機充填材の場合と同様にして測定することができる。
(カップリング剤)
エポキシ樹脂組成物は、カップリング剤をさらに含有してもよい。カップリング剤の種類は、特に制限されず、公知のカップリング剤を使用することができる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤及びチタンカップリング剤が挙げられる。カップリング剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-[ビス(β-ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(β-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N-(β-(N-ビニルベンジルアミノ)エチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート及びテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートが挙げられる。
エポキシ樹脂組成物がカップリング剤を含有する場合、カップリング剤の含有率は、エポキシ樹脂組成物の全体に対して10質量%以下であることが好ましく、その効果を発揮させる観点からは、0.1質量%以上であることが好ましい。
(離型剤)
エポキシ樹脂組成物は、離型剤をさらに含有してもよい。離型剤の種類は特に制限されず、公知の離型剤を使用することができる。具体的には、例えば、高級脂肪酸、カルナバワックス及びポリエチレン系ワックスが挙げられる。離型剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂組成物が離型剤を含有する場合、離型剤の含有率は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量に対して、10質量%以下であることが好ましく、その効果を発揮させる観点からは、0.5質量%以上であることが好ましい。
(着色剤及び改質剤)
エポキシ樹脂組成物は、着色剤(例えば、カーボンブラック)を含有してもよい。また、エポキシ樹脂組成物は、改質剤(例えば、シリコーン及びシリコーンゴム)を含有してもよい。着色剤及び改質剤は、それぞれ、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
着色剤としてカーボンブラック等の導電性粒子を用いる場合、導電性粒子は、粒子径10μm以上の粒子の含有率が1質量%以下であることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物が導電性粒子を含有する場合、導電性粒子の含有率は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量に対して3質量%以下であることが好ましい。
<エポキシ樹脂組成物の作製方法>
エポキシ樹脂組成物の作製方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。例えば、所定の配合量の原材料の混合物をミキサー等によって充分混合した後、熱ロール、押出機等によって混練し、冷却、粉砕等の処理を経ることによって作製することができる。エポキシ樹脂組成物の状態は特に制限されず、粉末状、固体状、液体状等であってよい。
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、下記実施例において、%は特に断りのない限り、質量%を示す。
H-NMR測定]
結晶10mgを約0.5mlの重DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解し、φ5mmの試料管に入れ、株式会社JEOL RESONANCE製JNM-ECS400でH-NMRスペクトルを測定した。シフト値は、DMSO(δ=2.49ppm)を基準とした。
[IR測定]
ブルカー・オプティクス株式会社製ALPHAを用い、ATR法でIRスペクトルを測定した。
[実施例1]
特開平9-157497号公報に記載の方法で合成したトリフェニルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物370gをメタノール2000mLに懸濁させたスラリーに、35%塩酸104gを30分かけて滴下し、次いで水2000mLとフタル酸水素カリウム204gとを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。反応液を10℃まで冷却した後、析出した結晶をろ過し、精製水1000mLで2回洗浄した。
得られた粗結晶にメタノールと精製水とを各1200mL加え、80℃で1時間加熱撹拌した。反応液を10℃まで冷却した後、析出した結晶をろ過し、精製水1000mLで2回洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し、2,5-ジヒドロキシフェニル(トリフェニル)ホスホニウムハイドロジェンフタレート(ホスホニウム化合物1)を387g(収率72.1%)得た。ホスホニウム化合物1の融点は206℃であった。
ホスホニウム化合物1について、H-NMR測定を実施した。測定結果は以下の通りである。合わせて、H-NMRスペクトルを図1に、IRスペクトルを図2に示す。
H-NMR:20.35ppm(1H、br)、10.97ppm(1H、br)、9.57ppm(1H、br)、8.20ppm~8.10ppm(2H、dd)、7.93ppm~7.82ppm(3H、t)、7.80ppm~7.60ppm(12H、m)、7.52ppm~7.43ppm(2H、dd)、7.23ppm~7.15ppm(1H、m)、7.03ppm~6.89ppm(1H、m)、6.38ppm~6.25ppm(1H、m)
[実施例2]
特開平9-157497号公報に記載の方法と同様の方法で合成したトリ-n-ブチルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物310gをメタノール1250mLに懸濁させたスラリーに、35%塩酸104gを30分かけて滴下し、次いで水1250mLとフタル酸水素カリウム204gとを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。反応液に水1250mLを加えた後、減圧濃縮によりメタノールを留去し、トルエン1250mLを加えて10℃まで冷却した後、析出した結晶をろ過し、精製水1000mLで2回洗浄した。
得られた粗結晶にメタノール400mLと精製水800mLとを加え、80℃で1時間加熱撹拌した。反応液にトルエン1250mLを加えた後、減圧濃縮によりメタノールを留去し、10℃まで冷却した後、析出した結晶をろ過し、精製水1000mLで2回洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し、2,5-ジヒドロキシフェニル(トリ-n-ブチル)ホスホニウムハイドロジェンフタレート(ホスホニウム化合物2)を404g(収率84.8%)得た。ホスホニウム化合物2の融点は132℃であった。
ホスホニウム化合物2について、H-NMR測定を実施した。測定結果は以下の通りである。
H-NMR:20.57ppm(1H、br)、10.73ppm(1H、br)、9.59ppm(1H、br)、8.25ppm~8.15ppm(2H、dd)、7.58ppm~7.47ppm(2H、dd)、7.13ppm~7.05ppm(1H、m)、7.00ppm~6.85ppm(2H、m)、2.62ppm~2.42ppm(6H、m)、1.55ppm~1.32ppm(12H、m)、1.00ppm~0.80ppm(9H、t)
[実施例3]
純度85%の水酸化カリウム132gを水4000mLに溶解させた水溶液に、無水ピロメリット酸218gを加え、60℃で30分加熱撹拌し、ピロメリット酸ジカリウム水溶液を得た。
トリフェニルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物740gをメタノール4000mLに懸濁させたスラリーに、35%塩酸208gを30分かけて滴下し、次いでピロメリット酸ジカリウム水溶液を加え、80℃で1時間加熱撹拌した。減圧濃縮により反応液からメタノールを留去し、10℃まで冷却した後、析出した結晶をろ過し、精製水3000mLで2回洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し、ビス[2,5-ジヒドロキシフェニル(トリフェニル)ホスホニウム]ジハイドロジェンピロメリテート(ホスホニウム化合物3)を876g(収率88.0%)得た。ホスホニウム化合物3の融点は260℃であった。
ホスホニウム化合物3について、H-NMR測定を実施した。測定結果は以下の通りである。
H-NMR:20.65ppm(2H、br)、10.89ppm(2H、br)、9.56ppm(2H、br)、8.93ppm(2H、s)、7.93ppm~7.82ppm(6H、t)、7.81ppm~7.61ppm(24H、m)、7.23ppm~7.15ppm(2H、m)、7.03ppm~6.89ppm(2H、m)、6.38ppm~6.25ppm(2H、m)
-保存安定性-
エポキシ樹脂組成物を密閉袋に入れ、高温高湿器中にて25℃50%RH環境下で168時間放置した。経時による粘度変化に関して、初期値に対して何%上昇したかを調査した。せん断速度は実際の成型条件を加味し、175℃、100s-1での上昇率を調査し、表1に記載した。
-硬化性-
硬化性は、エポキシ樹脂組成物を175℃、90sec、圧力7MPaの条件で成形したときの、ショアD硬度計を用いて測定された値を用いた。
表1に示す材料の詳細は、下記のとおりである。表1において「-」は、該当する材料を使用しなかったことを意味する。
〔エポキシ樹脂〕
・NC-3000(商品名、日本化薬株式会社製)
〔硬化剤〕
・MEHC-7851SS(商品名、明和化成株式会社製)
〔硬化促進剤〕
・硬化促進剤A・・・2,5-ジヒドロキシフェニル(トリフェニル)ホスホニウムハイドロジェンフタレート
・硬化促進剤B・・・トリフェニルホスフィン-ベンゾキノン付加体
・硬化促進剤C・・・トリパラトリルホスフィン-ベンゾキノン付加体
・硬化促進剤D・・・トリ-n-ブチルホスフィン-ベンゾキノン付加体
〔シラン化合物〕
・KBM-403(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔顔料〕
・MA600MJ(商品名、三菱ケミカル株式会社製)
〔添加剤〕
・DHT-4A(商品名、協和化学工業株式会社製)
〔無機充填剤〕
・シリカ粒子A・・・平均粒子径0.5μmのシリカ粒子
・シリカ粒子B・・・平均粒子径10μmのシリカ粒子

Claims (2)

  1. 下記一般式(I)で表されるホスホニウム化合物。

    (一般式(I)において、R1Aは、各々独立に、炭素数1~18の置換又は非置換の炭化水素基を示す。3つのR1Aから任意に選択される2つのR1Aは互いに連結して、R1Aが結合するリン原子と共に環状構造を形成してもよい。R1Bは、各々独立に、炭素数1~18の置換又は非置換の炭化水素基を示す。nは、0~3の整数を示す。nが2又は3の場合、2つのR1Bは互いに連結して、環状構造を形成してもよい。aは、1又は2を示す。aが1の場合、Xa-は、下記一般式(IA)で表される1価の陰イオンを示し、aが2の場合、Xa-は、下記一般式(IB)で表される2価の陰イオンを示す。)

    (一般式(IA)において、R1Cは、各々独立に、アルキル基、水酸基、アミノ基又はアルコキシ基を示す。pは、0~4の整数を示す。一般式(IB)において、R1Dは、各々独立に、アルキル基、水酸基、アミノ基又はアルコキシ基を示す。qは、0~2の整数を示す。)
  2. 請求項1に記載のホスホニウム化合物を含む硬化促進剤。
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