JP7336650B2 - ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペースト - Google Patents
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前記ポリビニルアセタール樹脂および前記セルロース系樹脂の含有量の合計に対する、前記ポリビニルアセタール樹脂の含有量の比率が、0.3以上、0.8以下の範囲にあり、
前記界面活性剤は、アニオン系界面活性剤と、ノニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種とを含み、前記アニオン系界面活性剤の含有量と、カチオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種の含有量との比率が、1:4~4:1の範囲にあり、および、
前記ポリビニルアセタール樹脂および前記セルロース系樹脂の含有量の合計に対する、前記界面活性剤の含有量は、10質量部以上、45質量部以下の範囲にある、
ことを特徴とする。
本発明のペースト用樹脂組成物は、無機粒子分散ペースト用の樹脂組成物であって、ポリビニルアセタール樹脂およびセルロース系樹脂を含む樹脂バインダーと、有機溶剤と、界面活性剤とを少なくとも含む。
本発明のペースト用樹脂組成物は、樹脂バインダー(有機ビヒクル)として、ポリビニルアセタール樹脂およびセルロース系樹脂を含む。なお、樹脂バインダーは、本発明の効果を阻害しない範囲で他の樹脂を少量含むことができる。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させてアセタール化した樹脂である。ポリビニルアセタール樹脂は、本発明の無機粒子分散ペーストが印刷される、ガラス基板、セラミック基板、セラミックグリーンシートなどの基材に含まれており、基材と無機粒子分散ペーストとの密着性を確保する機能を有する。
セルロース系樹脂は、セルロースおよび各種のセルロース誘導体(変性物などのセルロース由来の化合物)を包含する概念である。セルロース誘導体の用語は、セルロース化合物、および、セルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する化合物のいずれも含む意味で用いられる。セルロース誘導体としては、セルロースの構成単位であるグルコース残基のヒドロキシ(OH)基をエーテル化あるいはエステル化した誘導体が挙げられる。セルロース系樹脂は、樹脂バインダーおよび粘度(流動性)調整剤として好適に機能し得る。
本発明のペースト用樹脂組成物を構成する樹脂バインダーにおける、ポリビニルアセタール樹脂の含有量(X)およびセルロース系樹脂の含有量(Y)の合計に対する、ポリビニルアセタールの含有量の比率は、0.3以上、0.8以下の範囲(0.3≦X/(X+Y)≦0.8)にある。このポリビニルアセタール樹脂の比率は、0.4以上、0.7以下であることが好ましい(0.4≦X/(X+Y)≦0.7)。
本発明の有機溶剤は、ポリビニルアセタール樹脂とセルロース系樹脂を溶解し、および、無機粒子分散ペーストの粘度を調整する機能を有する。有機溶剤は、特に限定されず、従来の有機溶剤から適宜選択される。有機溶剤は、1種類だけでも用いることができるが、2種類以上の有機溶剤を組み合わせて用いることもできる。なお、有機溶剤の沸点は、100℃を超えていることが好ましい。有機溶剤の沸点が100℃以下の場合、無機粒子分散ペーストの製造時に、有機溶剤が蒸発してしまうおそれがある。
本発明のペースト用樹脂組成物は、無機粒子の凝集を防止し、無機粒子にペースト中における分散性を付与するための分散剤として、界面活性剤を含む。特に、本発明のペースト用樹脂組成物においては、界面活性剤が、アニオン系界面活性剤と、カチオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種とを含むことに特徴がある。すなわち、本発明では、界面活性剤として、アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤との組み合わせ、および/または、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤との組み合わせが用いられる。すなわち、本発明のペースト用樹脂組成物において、アニオン系界面活性剤と、カチオン系界面活性剤あるいはノニオン系界面活性剤のいずれかとを組み合わせれば十分であるが、アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤とを併用することもできる。
アニオン系界面活性剤は、無機粒子表面への吸着力が大きく、その表面改質作用により無機粒子の分散性の向上に寄与する。また、アニオン系界面活性剤は、塗膜の平滑性や、無機粒子分散ペーストの乾燥膜密度を向上させる機能も有する。
カチオン系界面活性剤は、無機粒子表面に吸着することにより、無機粒子分散ペーストにおいて、無機粒子と溶剤や樹脂バインダーなどとの相溶性および分散性を向上させる機能を有する。
ノニオン系界面活性剤は、基材表面に対する無機粒子分散ペーストの濡れ性を改善させ、無機粒子分散ペーストの塗布性を向上させ、無機粒子分散ペーストの乾燥膜を均一に形成する機能を有する。
本発明のペースト用樹脂組成物は、界面活性剤として、アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤との組み合わせ、および/または、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤との組み合わせを用いることに特徴がある。
本発明のペースト用樹脂組成物において、アニオン系界面活性剤と、ノニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種とを含む、界面活性剤の含有量は、2種類以上の樹脂バインダーの相溶性の改善効果との関係で規定され、具体的には、ポリビニルアセタール樹脂およびセルロース系樹脂の含有量の合計を100質量部とした場合に、10質量部以上、45質量部以下の範囲で設定される。この界面活性剤の含有量の比率は、好ましくは12質量部以上、45質量部以下の範囲で設定され、より好ましくは、15質量部以上、45質量部以下の範囲で設定され、さらに好ましくは20質量部以上、45質量部以下の範囲で設定される。
本発明のペースト用組成物の相溶性は、ペースト用組成物の光線透過性および/またはペースト用組成物のガラス転移点(Tg)により評価することができる。
本発明のペースト用樹脂組成物の相溶性は、ペースト用樹脂組成物を、厚さ1mmの板ガラスに塗布し、乾燥処理し、膜厚10±2μmの塗膜を得て、該塗膜について波長400~800nmで測定した場合の光線透過率を用いて確認することができる。
本発明のペースト用樹脂組成物の相溶性は、ペースト用樹脂組成物を、厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗布し、乾燥処理し、PETフィルムから剥離することで膜厚10±2μmの塗膜を得て、該塗膜について24℃~500℃の温度範囲で測定した、示差走査熱量測定(DSC)スペクトルを用いたガラス転移点(Tg)の検出の有無により確認することができる。
本発明の無機粒子分散ペーストは、無機粒子およびペースト用樹脂組成物からなり、このペースト用樹脂組成物として、上記した本発明のペースト用樹脂組成物が用いられていることに特徴がある。
本発明のペースト用樹脂組成物の製造方法の一例を示す。本発明のペースト用樹脂組成物の製造方法は、ポリビニルアセタール樹脂および/またはセルロース系樹脂と有機溶剤を含む樹脂バインダー(有機ビヒクル)を調整する工程(工程1)、および、有機ビヒクルと界面活性剤を混合し、ペースト用樹脂組成物を調整する工程(工程2)を備える。
<有機ビヒクルの調整>
実施例1では、ポリビニルアセタール樹脂として、ポリビニルブチラールを、セルロース系樹脂として、エチルセルロースを用いた。
実施例1では、アニオン系界面活性剤として、ステアリン酸を、カチオン系界面活性剤として、ロジンアミンを用いた。
得られたペースト用樹脂組成物の光線透過率を測定し、相溶性の確認を行った。具体的には、エタノール洗浄済みの板ガラス(50mm角、厚さ1mm)に、アプリケーター(塗膜厚254μm用)をセットし、自動塗工装置(テスター産業株式会社製、PI-1210)を用いて、ペースト用樹脂組成物を塗布した。その後、電気オーブン(アドバンテック東洋株式会社製、DRA330DA)を用いて、120℃で40分間の乾燥処理を行った。ダイヤルゲージを用いて、塗膜厚を測定したところ、ペースト用樹脂組成物の乾燥膜厚は、10±2μmであった。
ペースト用樹脂組成物の示差走査熱量測定(DSC)を行い、ガラス転移点(Tg)の検出の有無による相溶性の確認を行った。具体的には、PETフィルム(厚さ0.05mm)に、アプリケーター(塗膜厚254μm)をセットし、自動塗工装置(テスター産業株式会社製、Pl-1210)を用いて、ペースト用樹脂組成物を塗布した。その後、電気オーブン(アドバンテック東洋株式会社製、DRA330DA)を用いて、120℃で40分間乾燥処理を行った。ダイヤルゲージを用いて、塗膜厚を測定したところ、ペースト用樹脂組成物の乾燥膜厚は、10±2μmであった。
得られたペースト用樹脂組成物と酸化チタンとを、ペースト用樹脂組成物が63.0質量%、酸化チタンが37.0質量%となるように、ボールミルで混合し、無機粒子分散ペーストを調整した。得られた無機粒子分散ペースト100mlを容器に分取し、1日静置した。その後、無機粒子分散ペーストにパレットナイフを垂直に差し込み、有機成分の浮きの有無を判断した。その結果、実施例1の無機粒子分散ペーストでは、有機成分の浮きがなく、樹脂バインダーの分離は確認されなかった。その結果を、表2に示す。なお、その他の実施例および比較例についても同様である。
カチオン系界面活性剤として、ステアリルアミンを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、ステアリン酸の含有量を10質量部、ステアリルアミンの含有量を10質量部(合計で20質量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、78.5%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
アニオン系界面活性剤として、オレイン酸を、カチオン系界面活性剤として、ラウリルアミンを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、オレイン酸の含有量を10質量部、ラウリルアミンの含有量を5質量部(合計で15質量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、78.0%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
アニオン系界面活性剤として、オレイン酸を、カチオン系界面活性剤として、ロジンアミンを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、オレイン酸の含有量を30質量部、ロジンアミンの含有量を15質量部(合計で45質量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、86.0%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
アニオン系界面活性剤として、ラウロイルサルコシンを、カチオン系界面活性剤として、ラウリルアミンを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、ラウロイルサルコシンの含有量を20質量部、ラウリルアミンの含有量を10質量部(合計で30質量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、82.0%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
アニオン系界面活性剤として、ラウロイルサルコシンを、カチオン系界面活性剤として、ラウリルアミンを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、ラウロイルサルコシンの含有量を5質量部、ラウリルアミンの含有量を15質量部(合計で20質量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、78.0%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
カチオン系界面活性剤に代替して、ノニオン系界面活性剤を用い、このノニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレンモノステアレートを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、ステアリン酸の含有量を20質量部、ポリオキシエチレンモノステアレートの含有量を20質量部(合計で40質量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、85.5%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
アニオン系界面活性剤として、オレイン酸を、ノニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレンモノラウレートを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、オレイン酸の含有量を10質量部、ポリオキシエチレンモノラウレートの含有量を10質量部(合計で20質量部)としたこと以外は、実施例7と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、80.5%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
アニオン系界面活性剤として、オレオイルサルコシンを、ノニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレン-ラウリルエーテルを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、オレオイルサルコシンの含有量を30質量部、ポリオキシエチレン-ラウリルエーテルの含有量を15質量部(合計で45質量部)としたこと以外は、実施例7と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、85.0%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
アニオン系界面活性剤として、オレオイルサルコシンを、ノニオン系界面活性剤として、ココアルキルアミン-酸化エチレン付加物を用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、オレオイルサルコシンの含有量を20質量部、ココアルキルアミン-酸化エチレン付加物の含有量を10質量部(合計で30質量部)としたこと以外は、実施例7と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、81.5%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
アニオン系界面活性剤として、オレイン酸を、ノニオン系界面活性剤として、N,N-ジ(ヒドロキシエチル)-ラウリルアミンを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、オレイン酸の含有量を20質量部、N,N-ジ(ヒドロキシエチル)-ラウリルアミンの含有量を10質量部(合計で30質量部)としたこと以外は、実施例7と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、82.0%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
アニオン系界面活性剤として、オレイン酸を、ノニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレン-ラウリルアミンを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、オレイン酸の含有量を10質量部、ポリオキシエチレン-ラウリルアミンの含有量を10質量部(合計で20質量部)としたこと以外は、実施例7と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、78.0%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
アニオン系界面活性剤として、オレイン酸を、ノニオン系界面活性剤として、牛脂脂肪酸ジエタノールアミドを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、オレイン酸の含有量を10質量部、牛脂脂肪酸ジエタノールアミドの含有量を10質量部(合計で20質量部)としたこと以外は、実施例7と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、78.0%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
アニオン系界面活性剤として、オレイン酸を、ノニオン系界面活性剤として、オレイン酸ジエタノールアミドを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、オレイン酸の含有量を10質量部、オレイン酸ジエタノールアミドの含有量を10質量部(合計で20質量部)としたこと以外は、実施例7と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、80.0%であり、そのDSCスペクトルではTgは検出されず、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きも確認されなかった。
カチオン系界面活性剤として、ステアリルアミンを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、ステアリン酸の含有量を4質量部、ステアリルアミンの含有量を1質量部(合計で5質量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、73.0%であった。また、比較例1のペースト用組成物について、実施例1と同様にDSCを行ったところ、そのDSCスペクトルにおいて、67℃と135℃においてTgが検出された。図2に、比較例1のDSCスペクトルを示す。さらに、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きが確認された。
界面活性剤として、アニオン系界面活性剤であるステアリン酸のみを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、ステアリン酸の含有量を20質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、67.7%であり、そのDSCスペクトルにおいて、65℃と135℃においてTgが検出された。また、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きが確認された。
界面活性剤として、カチオン系界面活性剤であるステアリルアミンのみを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、ステアリルアミンの含有量を20質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、62.6%であり、そのDSCスペクトルにおいて、66℃と135℃においてTgが検出された。また、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きが確認された。
界面活性剤として、ノニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンモノステアレートのみを用い、ポリビニルブチラールおよびエチルセルロースの固形分の含有量を100質量部とした場合、ポリオキシエチレンモノステアレートの含有量を20質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、65.0%であり、そのDSCスペクトルにおいて、66℃と137℃においてTgが検出された。また、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きが確認された。
界面活性剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ペースト用樹脂組成物および無機粒子分散ペーストを作製した。ペースト用樹脂組成物についての550nmの光線透過率は、71.5%であり、そのDSCスペクトルにおいて、65℃と135℃においてTgが検出された。また、無機粒子分散ペーストにおける有機成分の浮きが確認された。
Claims (9)
- ポリビニルアセタール樹脂およびセルロース系樹脂を含む樹脂バインダーと、有機溶剤と、界面活性剤とを少なくとも含み、
前記ポリビニルアセタール樹脂および前記セルロース系樹脂の含有量の合計に対する、前記ポリビニルアセタール樹脂の含有量の比率が、0.3以上、0.8以下の範囲にあり、
前記界面活性剤は、アニオン系界面活性剤と、カチオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種とを含み、前記アニオン系界面活性剤の含有量と、ノニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種の含有量との比率が、1:4~4:1の範囲にあり、
前記ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレン-ラウリルエーテル、ココアルキルアミン-酸化エチレン付加物、N,N-ジ(ヒドロキシエチル)-ラウリルアミン、ポリオキシエチレン-ラウリルアミン、牛脂脂肪酸ジエタノールアミド、および、オレイン酸ジエタノールアミドのうちから選択される少なくとも1種であり、
および、
前記ポリビニルアセタール樹脂および前記セルロース系樹脂の含有量の合計に対する、前記界面活性剤の含有量は、10質量部以上、45質量部以下の範囲にある、
ペースト用樹脂組成物。 - 前記アニオン系界面活性剤の炭素数は、12以上である、請求項1に記載のペースト用樹脂組成物。
- 該ペースト用樹脂組成物を、厚さ1mmの板ガラスに塗布し、乾燥処理し、膜厚10±2μmの塗膜を得て、該塗膜について、紫外可視近赤外分光光度計を用い、波長400~800nmで測定した場合の光線透過率が、75%以上である、請求項1または2に記載のペースト用樹脂組成物。
- 前記ペースト用樹脂組成物を、厚さ0.05mmのPETフィルムに塗布し、乾燥処理し、該PETフィルムより剥離することで膜厚10±2μmの塗膜を得て、該塗膜について24℃~500℃の温度範囲で示差走査熱量測定を行った場合の、得られた示差走査熱量測定スペクトルにおいて、ガラス転移点が検出されない、請求項1~3のいずれかに記載のペースト用樹脂組成物。
- 前記アニオン系界面活性剤が、ステアリン酸、オレイン酸、ラウロイルサルコシン、および、オレオイルサルコシンのうちから選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれかに記載のペースト用組成物。
- 前記カチオン系界面活性剤が、ロジンアミン、ステアリルアミン、および、ラウリルアミンのうちから選択される少なくとも1種である、請求項1~5のいずれかに記載のペースト用樹脂組成物。
- 前記界面活性剤が、前記アニオン系界面活性剤と前記ノニオン系界面活性剤とにより構成され、かつ、前記アニオン系界面活性剤の含有量と前記ノニオン系界面活性剤の含有量との比率は、1:1~4:1の範囲である、請求項1~5のいずれかに記載のペースト用樹脂組成物。
- 前記ポリビニルアセタール樹脂および前記セルロース系樹脂の含有量の合計に対する、前記界面活性剤の含有量は、15質量部以上、45質量部以下の範囲にある、請求項1~7のいずれかに記載のペースト用樹脂組成物。
- 無機粒子、および、
ポリビニルアセタール樹脂およびセルロース系樹脂を含む樹脂バインダーと、有機溶剤と、界面活性剤とを少なくとも含む、ペースト用樹脂組成物、
を備え、
前記ペースト用樹脂組成物は、請求項1~8のいずれかに記載されたペースト用樹脂組成物からなり、
前記ペースト用樹脂組成物の含有量は、全ペースト量に対して、10質量%以上、70質量%以下の範囲にある、
無機粒子分散ペースト。
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