JP7335963B2 - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法 Download PDFInfo
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Description
このような中で、本発明者らは、従来の厚膜レジスト膜形成用のレジスト組成物について検討したところ、特に断面形状のアスペクト比(パターンの線幅又はパターンのスペース幅とパターンの膜厚の比、即ち、(パターンの膜厚)/(パターンの線幅又はパターンのスペース幅))が非常に大きいパターンを形成する場合、そのパターンの断面形状(特に、パターントップの形状)に関して、改善の余地があることを見出した。
厚膜レジスト膜形成用レジスト組成物を用いて、厚膜レジスト膜を形成する場合、高温での露光前加熱(PreBake)に晒されることがしばしばあり、かかる状況においても断面形状の矩形性に非常に優れたパターンを形成することが求められている。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
<1>
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂、
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び
酸拡散制御剤を含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
上記組成物が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-ヘプタノン、3-メトキシプロピオン酸メチル、酢酸3-メトキシブチル、及び酢酸ブチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶剤を含み、
上記酸拡散制御剤の分子量が200以上であり、上記酸拡散制御剤が下記一般式(Q-1)又は下記一般式(Q-2)で表される化合物であり、
上記酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターが15~30MPa0.5であり、
上記酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターと上記樹脂のハンセン溶解度パラメーターの差の絶対値が、5MPa0.5以下である、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(Q-1)中、
R1~R3は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R1~R2が結合して環構造(但し、芳香環構造を除く)を形成してもよい。
Xqは、-NRN-、-S-、又は-O-を表す。RNは水素原子又は1価の有機基を表す。
一般式(Q-2)中、
R4、R5は、それぞれ独立に置換基を表す。
Xrは、-NRN1-、-S-、又は-O-を表す。RN1は水素原子又は1価の有機基を表す。
pは0~4の整数を示す。また、pが2以上の場合、複数のR4が結合して環構造を形成してもよい。
<2>
上記樹脂が、アセタール構造を有さない<1>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<3>
R1~R3、及びRNの少なくとも一つが、下記一般式(Q-3)で表される基である、<1>又は<2>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(Q-3)中、R6は、水素原子又は置換基を表す。
mは、1以上の整数を表す。
pは、1以上の整数を表す。ただし、mとpは異なる整数を表す。
m1は、1以上の整数を表す。
p1は、0以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
<4>
R4~R5、RN1の少なくとも一つが、下記一般式(Q-3)で表される基である、<1>又は<2>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(Q-3)中、R6は、水素原子又は置換基を表す。
mは、1以上の整数を表す。
pは、1以上の整数を表す。ただし、mとpは異なる整数を表す。
m1は、1以上の整数を表す。
p1は、0以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
<5>
R1~R3、及びRNの少なくとも一つが、下記一般式(Q-4)又は下記一般式(Q-5)で表される基である、<1>~<3>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(Q-4)中、
R7は、水素原子又は置換基を表す。
nは、1以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
一般式(Q-5)中、
R8は、水素原子又は置換基を表す。
n1は、0以上の整数を表す。
n2は、1以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
<6>
R4~R5、RN1の少なくとも一つが、下記一般式(Q-4)又は下記一般式(Q-5)で表される基である、<1>~<2>、<4>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(Q-4)中、
R7は、水素原子又は置換基を表す。
nは、1以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
一般式(Q-5)中、
R8は、水素原子又は置換基を表す。
n1は、0以上の整数を表す。
n2は、1以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
<7>
以下の式で表される、上記樹脂に対する上記酸拡散制御剤の質量比率が、0.1以下である、<1>~<6>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
質量比率=(酸拡散制御剤の含有量)/(樹脂の含有量)
<8>
上記活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の含有量が、上記組成物の全固形分を基準として、20質量%未満である、<1>~<7>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<9>
上記組成物の固形分濃度が10質量%以上である、<1>~<8>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<10>
上記酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターが18MPa0.5以上22MPa0.5以下である、<1>~<9>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<11>
支持体上に、<1>~<10>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によって、感活性光線性又は感放射線性膜を形成する工程、
上記感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射する工程、及び、
上記活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像する工程、を有するパターン形成方法。
<12>
<11>に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
本発明は、上記<1>~<12>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記[1]~[13])についても記載している。
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂、
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び
酸拡散制御剤を含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
上記酸拡散制御剤の分子量が200以上であり、上記酸拡散制御剤が下記一般式(Q-1)又は下記一般式(Q-2)で表される化合物であり、
上記酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターと上記樹脂のハンセン溶解度パラメーターの差の絶対値が、5MPa0.5以下である、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
R1~R3は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R1~R2が結合して環構造(但し、芳香環構造を除く)を形成してもよい。
Xqは、-NRN-、-S-、又は-O-を表す。RNは水素原子又は1価の有機基を表す。
一般式(Q-2)中、
R4、R5は、それぞれ独立に置換基を表す。
Xrは、-NRN1-、-S-、又は-O-を表す。RN1は水素原子又は1価の有機基を表す。
pは0~4の整数を示す。また、pが2以上の場合、複数のR4が結合して環構造を形成してもよい。
上記樹脂が、アセタール構造を有さない[1]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
R1~R3、及びRNの少なくとも一つが、下記一般式(Q-3)で表される基である、[1]又は[2]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
mは、1以上の整数を表す。
pは、1以上の整数を表す。ただし、mとpは異なる整数を表す。
m1は、1以上の整数を表す。
p1は、0以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
R4~R5、RN1の少なくとも一つが、下記一般式(Q-3)で表される基である、[1]又は[2]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
mは、1以上の整数を表す。
pは、1以上の整数を表す。ただし、mとpは異なる整数を表す。
m1は、1以上の整数を表す。
p1は、0以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
R1~R3、及びRNの少なくとも一つが、下記一般式(Q-4)又は下記一般式(Q-5)で表される基である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
R7は、水素原子又は置換基を表す。
nは、1以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
一般式(Q-5)中、
R8は、水素原子又は置換基を表す。
n1は、0以上の整数を表す。
n2は、1以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
R4~R5、RN1の少なくとも一つが、下記一般式(Q-4)又は下記一般式(Q-5)で表される基である、[1]~[2]、[4]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
R7は、水素原子又は置換基を表す。
nは、1以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
一般式(Q-5)中、
R8は、水素原子又は置換基を表す。
n1は、0以上の整数を表す。
n2は、1以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
以下の式で表される、上記樹脂に対する上記酸拡散制御剤の質量比率が、0.1以下である、[1]~[6]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
質量比率=(酸拡散制御剤の含有量)/(樹脂の含有量)
上記活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の含有量が、上記組成物の全固形分を基準として、20質量%未満である、[1]~[7]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[9]
上記組成物の固形分濃度が10質量%以上である、[1]~[8]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
上記酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターが18MPa0.5以上22MPa0.5以下である、[1]~[9]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[11]
[1]~[10]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成された感活性光線性又は感放射線性膜。
支持体上に、[1]~[10]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によって、感活性光線性又は感放射線性膜を形成する工程、
上記感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射する工程、及び、
上記活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像する工程、を有するパターン形成方法。
[13]
[12]に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)、X線、軟X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。本明細書中における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー株式会社製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶剤:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー株式会社製TSK gel Multipore HXL-M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
置換基Tとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert-ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp-トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;水酸基;カルボキシ基;ホルミル基;スルホ基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;モノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基;アリールアミノ基;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう)は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び酸拡散制御剤を含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、上記酸拡散制御剤の分子量が200以上であり、上記酸拡散制御剤が下記一般式(Q-1)又は下記一般式(Q-2)で表される化合物であり、上記酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターと上記樹脂のハンセン溶解度パラメーターの差の絶対値が5MPa0.5以下である、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物である。
R1~R3は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R1~R2が結合して環構造(但し、芳香環構造を除く)を形成してもよい。
Xqは、-NRN-、-S-、又は-O-を表す。RNは水素原子又は1価の有機基を表す。
一般式(Q-2)中、
R4、R5は、それぞれ独立に置換基を表す。
Xrは、-NRN1-、-S-、又は-O-を表す。RN1は水素原子又は1価の有機基を表す。
pは0~4の整数を示す。また、pが2以上の場合、複数のR4が結合して環構造を形成してもよい。
また、本発明の組成物は、化学増幅型のレジスト組成物であることが好ましく、化学増幅型のポジ型レジスト組成物であることがより好ましい。
本発明に用いる酸拡散制御剤は、分子量が200以上であり、上記一般式(Q-1)又は上記一般式(Q-2)で表される化合物であり、酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターと後述の酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂のハンセン溶解度パラメーターの差が、5MPa0.5以下である、酸拡散制御剤である。
本発明者らは、鋭意検討の結果、酸拡散制御剤として用いる上記一般式(Q-1)又は(Q-2)で表される化合物の分子量を200以上とし、かつ、酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターと酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂のハンセン溶解度パラメーターの差の絶対値を5MPa0.5以下とすることにより、厚膜の(例えば、1μm以上の厚さを有する)感活性光線性感放射線性膜から断面形状のアスペクト比が非常に高い(例えば、5以上)パターンを形成する場合においても、断面形状の矩形性に非常に優れたパターンを形成できることを見出した。
このような断面形状の矩形性に非常に優れたパターンを形成できるメカニズムとしては、詳細は明らかになっていないが、本発明者らは以下のように推定している。
先ず、感活性光線性感放射線性膜は、典型的には、基板上に感活性光線性感放射線性組成物を塗布して得られる塗布膜中の溶剤を揮発させることにより、形成されるものであるが、溶剤の揮発過程においては、上記塗布膜の表層から順次溶剤が揮発するものと考えられる。そのため、溶剤の揮発過程の初期から中期にかけては、塗布膜の表層において樹脂の濃度がより高くなっているものと考えられる。
ここで、本発明の組成物においては、酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターと酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂のハンセン溶解度パラメーターの差の絶対値が5MPa0.5以下であるため、酸拡散制御剤と樹脂との親和性は大きいものと考えられる。
よって、塗布膜の表層においては、樹脂の濃度のみならず、樹脂との親和性が高い酸拡散制御剤の濃度もより高くなっており、その後、溶剤の揮発過程を終え、感活性光線性感放射線性膜が形成されても、樹脂及び酸拡散制御剤の膜表面側への上記偏在は、ある程度、維持されているものと考えられる。
ところで、アスペクト比が非常に高い(例えば、5以上)パターンを形成しようとする場合、換言すれば、そのパターン形成における露光領域の断面形状のアスペクト比が非常に高い(例えば、5以上)場合、しばしば、感活性光線性感放射線性膜中の、狭く、かつ、深さのある所定領域に対して露光する必要があるが、一般に、光は、膜の深さ方向に進むにつれて減衰する。そのため、膜底部に充分な量の光が到達するような露光量とした場合、かえって、膜の表面側が過露光となる傾向があり、ひいては、膜の表面側において、樹脂と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(酸発生剤)から発生する酸との反応が進行しすぎる結果、得られるパターンの断面形状における矩形性が損なわれる傾向となる。
このような現象は、特に、感活性光線性感放射線性膜の膜厚が厚膜(例えば、1μm以上)である場合、光が膜の深部により到達しにくいため、より顕著となっているものと考えられる。
しかしながら、本発明によれば、上述したように、感活性光線性感放射線性膜の膜表面側に、酸拡散制御剤がある程度偏在していることにより、厚膜の感活性光線性感放射線性膜から断面形状のアスペクト比が非常に高いパターンを形成する際に、上述のように、膜の表面側が過露光となったとしても、酸発生剤から発生した過剰の酸は、上記酸拡散制御剤に捕捉される傾向となるため、断面形状の矩形性に非常に優れたパターンを形成できたものと考えられる。
なお、後述するように、露光前に、残存する溶剤を揮発させる等の目的で、感活性光線性感放射線性膜を加熱する場合があり、特に、感活性光線性感放射線性膜の膜厚が厚膜である場合、残存溶剤の量がより多い傾向にあるため、例えば、より高温(例えば、150℃程度)による加熱処理を行うことが好ましい場合がある。ここで、酸拡散制御剤として分子量が200未満の化合物を使用した場合は、このような加熱処理により、酸拡散制御剤が膜表面側に移動しやすくなり過ぎることにより、膜の表面において、酸発生剤から発生した過剰の酸を捕捉する以上の過剰の酸拡散制御剤が偏在する結果、樹脂と酸との反応が所望に行われず、かえって、形成されるパターンの断面形状における矩形性が損なわれる傾向となる。
また、酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターと酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂のハンセン溶解度パラメーターの差の絶対値を5MPa0.5超過とした場合は、酸拡散制御剤と樹脂との親和性が低く、塗布膜における溶剤の揮発過程を経ても、本発明のような酸拡散制御剤の膜表面側への偏在は起こりにくい。その結果、上述のような、膜の表面側における過露光に伴って酸発生剤から発生した過剰の酸は、未露光部においても、樹脂と反応しやすくなることから、形成されるパターンの断面形状における矩形性が損なわれる傾向となる。
本発明に用いる酸拡散制御剤の分子量は200以上である。酸拡散制御剤の分子量は、好ましくは250以上であり、更に好ましくは300以上である。
酸拡散制御剤の分子量が200未満の場合、パターンの断面形状における矩形性を担保することができない。
酸拡散制御剤の分子量の上限値は特に限定されないが、通常、1000以下であり、600以下が好ましい。
本発明における酸拡散制御剤は、下記一般式(Q-1)又は下記一般式(Q-2)で表される化合物である。
R1~R3は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
Xqは、-NRN-、-S-、又は-O-を表す。RNは水素原子又は1価の有機基を表す。
一般式(Q-2)中、
R4、R5は、それぞれ独立に置換基を表す。
Xrは、-NRN1-、-S-、又は-O-を表す。RN1は水素原子又は1価の有機基を表す。
pは0~4の整数を示す。また、pが2以上の場合、複数のR4が結合して環構造を形成してもよい。
R1~R3が置換基を表す場合の置換基中の総炭素数は、特に限定されないが、それぞれ、1~30であることが好ましく、3~25であることがより好ましく、5~20であることが更に好ましい。
置換基としては特に限定されないが、1価の有機基又はニトロ基であることが好ましい。1価の有機基としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基(直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数1~20であることが好ましく、炭素数3~15であることがより好ましい)、アルコキシ基(直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数1~20であることが好ましく、炭素数3~15であることがより好ましく、炭素数5~10であることが更に好ましい)、アルキルカルボニル基(直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数2~20であることが好ましく、炭素数4~15であることがより好ましく、炭素数6~10であることが更に好ましい)、アルキルカルボニルオキシ基(直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数2~20であることが好ましく、炭素数4~15であることがより好ましく、炭素数6~10であることが更に好ましい)、アルキルカルボニルアミノ基(直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数2~20であることが好ましく、炭素数4~15であることがより好ましく、炭素数6~12であることが更に好ましい)、アルキルオキシカルボニル基(直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数2~20であることが好ましく、炭素数4~15であることがより好ましく、炭素数6~10であることが更に好ましい)、アルキルスルホニル基(直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数1~20であることが好ましく、炭素数1~10であることがより好ましい)、アリール基(炭素数6~20であることが好ましく、炭素数6~15であることがより好ましく、炭素数6~10であることが更に好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6~20であることが好ましく、炭素数6~15であることがより好ましく、炭素数6~10であることが更に好ましい)、アリールカルボニル基(炭素数7~20であることが好ましく、炭素数7~15であることがより好ましく、炭素数7~10であることが更に好ましい)、アリールカルボニルオキシ基(炭素数7~20であることが好ましく、炭素数7~15であることがより好ましく、炭素数7~10であることが更に好ましい)、アリールオキシカルボニル基(炭素数7~20であることが好ましく、炭素数7~15であることがより好ましく、炭素数7~10であることが更に好ましい)、ヘテロアリール基(炭素数1~8であることが好ましく、1~6であることがより好ましい。具体例としては、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピロリル基、イミダゾリル基等が挙げられる)、シクロアルキル基(炭素数3~20であることが好ましく、炭素数4~15であることがより好ましく、炭素数5~10であることが更に好ましい)、シクロアルキルオキシ基(炭素数3~20であることが好ましく、炭素数4~15であることがより好ましく、炭素数5~10であることが更に好ましい)、シクロアルキルカルボニル基(炭素数4~20であることが好ましく、炭素数5~15であることがより好ましく、炭素数6~10であることが更に好ましい)、シクロアルキルオキシカルボニル基(炭素数4~20であることが好ましく、炭素数5~15であることがより好ましく、炭素数6~10であることが更に好ましい)、又はこれらを組み合わせてなる基等が挙げられる。
これらの1価の有機基は置換基を有していてもよく、上記置換基としては、上記置換基Tが挙げられ、好ましくは、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子又はこれらを組み合わせてなる基が挙げられる。
R1~R2が結合して環構造(但し、芳香環構造を除く)を形成してもよい。
RNが1価の有機基を表す場合の1価の有機基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1~10のアルキル基)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20のシクロアルキル基)、アリール基(好ましくは炭素数6~20のアリール基)等が挙げられる。これらの1価の有機基は置換基を有していてもよく、上記置換基としては、上記置換基Tが挙げられ、好ましくは、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子又はこれらを組み合わせてなる基が挙げられる。
RNは、水素原子であることが好ましい。
Xqは、-NRN-であることが好ましく、-NH-であることがより好ましい。
R4、R5は、それぞれ独立に置換基を表す。
Xrは、-NRN1-、-S-、又は-O-を表す。RN1は水素原子又は1価の有機基を表す。
pは0~4の整数を示す。また、pが2以上の場合、複数のR4が結合して環構造を形成してもよい。
RN1が1価の有機基を表す場合の1価の有機基としては、一般式(Q-1)のRNの1価の有機基と同様のものを挙げることができる。
pは、0~3であることが好ましく、0~2であることがより好ましい。
R5は、好ましくはアリール基を表す。アリール基は置換基を有していてもよい。
pが2以上の場合、複数のR4が結合して環構造を形成してもよい。複数のR4が結合して形成される環構造は、環員として酸素原子を有していてもよい。
mは、1以上の整数を表す。
pは、1以上の整数を表す。ただし、mとpは異なる整数を表す。
m1は、1以上の整数を表す。
p1は、0以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
mは、1以上の整数を表す。mの上限値は特に限定されないが、10以下が好ましい。
pは、1以上の整数を表す。pの上限値は特に限定されないが、10以下が好ましい。
m1は、1以上の整数を表す。m1の上限値は特に限定されないが、15以下が好ましい。
p1は、1以上の整数を表す。p1の上限値は特に限定されないが、15以下が好ましい。
R7は、水素原子又は置換基を表す。
nは、1以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
一般式(Q-5)中、
R8は、水素原子又は置換基を表す。
n1は、0以上の整数を表す。
n2は、1以上の整数を表す。
*は、結合手を表す。
nは、1以上の整数を表す。nの上限値は特に限定されないが、10以下が好ましい。
nは、更に好ましくは1~5の整数である。
n1は、0以上の整数を表す。nの上限値は特に限定されないが、8以下が好ましい。
n1は、更に好ましくは0~2の整数である。
n2は、1以上の整数を表す。n2の上限値は特に限定されないが、8以下が好ましい。
n2は、更に好ましくは1~5の整数である。
酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーター(HSP)は、ハンセン溶解度パラメーター計算ソフト;HSPiP バージョン4.1.07(Hansen-Solubility.com)を用いて算出した。
酸拡散制御剤を2種以上有する場合、各酸拡散制御剤のHSPを混合比(質量比)に基づいて加重平均することによって、酸拡散制御剤のHSPを求める。
(酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂のハンセン溶解度パラメーターの算出方法)
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂のハンセン溶解度パラメーター(HSP(A))は、以下のようにして算出した。
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂を構成する各繰り返し単位のハンセン溶解度パラメーターをハンセン溶解度パラメーター計算ソフト;HSPiP バージョン4.1.07(Hansen-Solubility.com)を用いて算出し、各繰り返し単位のハンセン溶解度パラメーターを二乗した値に各繰り返し単位の重量比を掛け合わせたものの、平方根をとることで算出した。なお、各繰り返し単位のハンセン溶解度パラメーターは各繰り返し単位に対応するモノマーのハンセン溶解度パラメーターであり、上記計算ソフトで求める。
より具体的には、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂を構成する繰り返し単位を、(a)、(b)、(c)、・・・とした時、それぞれの繰り返し単位のハンセン溶解度パラメーター(HSP(a)、HSP(b)、HSP(c)、・・・)を上記計算ソフトを用いて算出する。酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂を構成する繰り返し単位(a)、(b)、(c)、・・・の質量百分率を、mass%(a)、mass%(b)、mass%(c)、・・・とした時、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂のハンセン溶解度パラメーター(HSP(A))は以下の式(A)で算出した。
HSP(A)=[{HSP(a)}2×mass%(a)+{HSP(b)}2×mass%(b)+{HSP(c)}2×mass%(c)+・・・]0.5/100
酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターと酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂のハンセン溶解度パラメーターの差の絶対値の下限は特に限定されないが、0MPa0.5以上が好ましい。
質量比率=(酸拡散制御剤の含有量)/(樹脂の含有量)
また、上記式で表される質量比率の下限値は、特に限定されないが、好ましくは0.0001以上である。
酸拡散制御剤の本発明の組成物中の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.001~20質量%が好ましく、0.01~10質量%がより好ましい。
なお、本発明の組成物の全固形分とは、溶剤を除く他の成分(感活性光線性又は感放射線性膜を構成し得る成分)を意図する。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂を含有する。
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂は、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大する樹脂する樹脂でも良いし、酸の作用により現像液に対する溶解性が減少する樹脂でも良い。
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂としては、酸の作用により分解し極性が増大する基(以下、「酸分解性基」とも言う)を有する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」又は「樹脂(A)」ともいう)又は、酸の作用により構造が変化して、現像液に対する溶解性が減少する樹脂(例えば、酸の作用により架橋剤との架橋反応により構造が変化する樹脂、架橋性基を有する樹脂同士が架橋反応により構造が変化する樹脂等)が挙げられる。
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂が樹脂(A)である場合、本発明のパターン形成方法において、典型的には、現像液としてアルカリ現像液を採用した場合には、ポジ型パターンが好適に形成され、現像液として有機系現像液を採用した場合には、ネガ型パターンが好適に形成される。
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂が酸の作用により構造が変化して、現像液に対する溶解性が減少する樹脂である場合、本発明のパターン形成方法において、典型的には、現像液としてアルカリ現像液を採用した場合には、ネガ型パターンが好適に形成され、現像液として有機系現像液を採用した場合でも、ネガ型パターンが好適に形成される。
以下に好ましい実施態様である樹脂(A)について記載する。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(典型的には、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、並びに、アルコール性水酸基等が挙げられる。
式(Y1):-C(Rx1)(Rx2)(Rx3)
式(Y2):-C(=O)OC(Rx1)(Rx2)(Rx3)
式(Y3):-C(R36)(R37)(OR38)
式(Y4):-C(Rn)(H)(Ar)
なかでも、Rx1~Rx3は、各々独立に、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表すことが好ましく、Rx1~Rx3は、各々独立に、直鎖状のアルキル基を表すことがより好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して、単環又は多環を形成してもよい。
Rx1~Rx3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及び、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基がより好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
式(Y1)又は式(Y2)で表される基は、例えば、Rx1がメチル基又はエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基、アルデヒド基、又は、これらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
アルキル基及びシクロアルキル基は、例えば、メチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
なお、L1及びL2のうち一方は水素原子であり、他方はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アルキレン基とアリール基とを組み合わせた基であることが好ましい。
Q、M、及び、L1の少なくとも2つが結合して環(好ましくは、5員若しくは6員環)を形成してもよい。
パターンの微細化の点では、L2が2級又は3級アルキル基であることが好ましく、3級アルキル基であることがより好ましい。2級アルキル基としては、イソプロピル基、シクロヘキシル基又はノルボルニル基が挙げられ、3級アルキル基としては、tert-ブチル基又はアダマンタン基を挙げることができる。これらの態様では、Tg(ガラス転移温度)や活性化エネルギーが高くなるため、膜強度の担保に加え、かぶりの抑制ができる。
アセタール構造は、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基などの極性基が、上記式(Y3)で表される基で保護された構造である。
L1Aは、2価の連結基を表す。2価の連結基としては、-CO-、-O-、-S―、-SO-、―SO2-、炭化水素基(例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基等)、及び、これらの複数が連結した連結基等が挙げられる。中でも、L1Aとしては、-CO-、アリーレン基が好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基が好ましい。
アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキル基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
シクロアルキル基は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。このシクロアルキル基の炭素数は、好ましくは3~8とする。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
中でも、脱離基としては、上記式(Y1)~(Y4)で表される基が挙げられ、上記式(Y3)で表される基が好ましい。
Xa1は、水素原子、又は、アルキル基を表す。
Tは、単結合、又は、2価の連結基を表す。
Rx1~Rx3は、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状、又は、分岐鎖状)、又は、シクロアルキル基(単環、又は、多環)を表す。ただし、Rx1~Rx3の全てがアルキル基(直鎖状、又は、分岐鎖状)である場合、Rx1~Rx3のうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
Tは、単結合又は-COO-Rt-基が好ましい。Tが-COO-Rt-基を表す場合、Rtは、炭素数1~5のアルキレン基が好ましく、-CH2-基、-(CH2)2-基、又は、-(CH2)3-基がより好ましい。
Rx1~Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基が好ましく、その他にも、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
一般式(AI)で表される繰り返し単位は、例えば、Rx1がメチル基又はエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
樹脂(A)は、更にラクトン基又はスルトン基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
ラクトン基又はスルトン基としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればいずれの基でも用いることができるが、好ましくは5~7員環ラクトン構造又は5~7員環スルトン構造を有する基であり、5~7員環ラクトン構造にビシクロ構造、又は、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、又は5~7員環スルトン構造にビシクロ構造、又は、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、がより好ましい。下記一般式(LC1-1)~(LC1-21)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基、又は下記一般式(SL1-1)~(SL1-3)のいずれかで表されるスルトン構造を有する基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造又はスルトン構造を有する基が主鎖に直接結合していてもよい。好ましい構造としては、一般式(LC1-1)、一般式(LC1-4)、一般式(LC1-5)、一般式(LC1-6)、一般式(LC1-13)、及び、一般式(LC1-14)で表される基が好ましい。
Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、及び、ハロゲン原子が挙げられる。
Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられる。Rb0は、水素原子又はメチル基が好ましい。
Abは、単結合、アルキレン基、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又は、これらを組み合わせた2価の基を表す。なかでも、単結合、又は、-Ab1-CO2-で表される連結基が好ましい。Ab1は、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、又は、ノルボルニレン基が好ましい。
V1は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する基を表す。
V1のラクトン構造又はスルトン構造を有する基としては、一般式(LC1-1)~(LC1-21)、一般式(SL1-1)~(SL1―3)のうちのいずれかで示される基が好ましい。
樹脂(A)は、酸基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
酸基としては、酸解離定数(pKa)が13以下の酸基が好ましい。
pKaは、後述の光酸発生剤から生成される酸のpKaにおけるpKaと同様である。
1価の有機基としては、-L4A-R81で表される基が好ましい。L4Aは、単結合、又は、エステル基を表す。R81は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、これらを組み合わせた基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子が挙げられる。
L3Aは、(n+m+1)価の芳香族炭化水素環基、又は、(n+m+1)価の脂環式炭化水素環基を表す。芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン環基、及び、ナフタレン環基が挙げられる。脂環式炭化水素環基としては、単環であっても、多環であってもよく、例えば、シクロアルキル環基が挙げられる。
R61は、水酸基、又は、フッ素化アルコール基(好ましくは、ヘキサフルオロイソプロパノール基)を表す。なお、R61が水酸基の場合、L3Aは(n+m+1)価の芳香族炭化水素環基であることが好ましい。
R71は、ハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子が挙げられる。
mは、1以上の整数を表す。mは、1~3の整数が好ましく、1~2の整数が好ましい。
nは、0又は1以上の整数を表す。nは、1~4の整数が好ましい。
なお、(n+m+1)は、1~5の整数が好ましい。
R41、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R42はAr4と結合して環を形成していてもよく、その場合のR42は単結合又はアルキレン基を表す。
X4は、単結合、-COO-、又は-CONR64-を表し、R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
L4は、単結合又はアルキレン基を表す。
Ar4は、(n+1)価の芳香環基を表し、R42と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
nは、1~5の整数を表す。
一般式(I)におけるR41、R42、及び、R43のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42、及び、R43のアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R41、R42、R43におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
(n+1)価の芳香環基は、更に置換基を有していてもよい。
X4により表わされる-CONR64-(R64は、水素原子又はアルキル基を表す)におけるR64のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及び、ドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、炭素数8以下のアルキル基が好ましい。
X4としては、単結合、-COO-、又は、-CONH-が好ましく、単結合、又は、-COO-がより好ましい。
Ar4としては、炭素数6~18の芳香環基が好ましく、ベンゼン環基、ナフタレン環基、及び、ビフェニレン環基がより好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレン構造を備えていることが好ましい。即ち、Ar4は、ベンゼン環基であることが好ましい。
Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。
Rは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を表し、複数個ある場合には同じであっても異なっていてもよい。複数のRを有する場合には、互いに共同して環を形成していてもよい。Rとしては水素原子が好ましい。
aは1~3の整数を表す。
bは0~(3-a)の整数を表す。
上記酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂のハンセン溶解度パラメーターは、上記酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターと上記酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂のハンセン溶解度パラメーターの差の絶対値が、5MPa0.5以下となるものであれば、特に限定されないが、好ましくは、15MPa0.5~30MPa0.5であり、更に好ましくは、17MPa0.5以上23MPa0.5以下である。
本発明の組成物中、樹脂(A)の含有量は、全固形分中に対して、通常20質量%以上の場合が多く、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、99.5質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、98質量%以下が更に好ましい。
なお、本発明の組成物の全固形分とは、溶剤を除く他の成分(感活性光線性又は感放射線性膜を構成し得る成分)を意図する。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」又は「光酸発生剤(B)」ともいう)を含有する。
光酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物が好ましい。例えば、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、ジアゾジスルホン化合物、ジスルホン化合物、及びo-ニトロベンジルスルホネート化合物が挙げられる。
R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1~30であり、好ましくは1~20である。
また、R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)及び-CH2-CH2-O-CH2-CH2-が挙げられる。
Z-は、アニオン(非求核性アニオンが好ましい。)を表す。
なお、光酸発生剤は、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201~R203の少なくとも1つと、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201~R203の少なくとも一つとが、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
化合物(ZI-1)は、上記一般式(ZI)のR201~R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、すなわち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201~R203の全てがアリール基でもよいし、R201~R203の一部がアリール基であり、残りがアルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、及びアリールジシクロアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1~15の直鎖状アルキル基、炭素数3~15の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3~15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
化合物(ZI-2)は、式(ZI)におけるR201~R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含む芳香族環も包含する。
R201~R203としての芳香環を有さない有機基は、一般的に炭素数1~30であり、炭素数1~20が好ましい。
R201~R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基であり、より好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、又はアルコキシカルボニルメチル基、更に好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基である。
R201~R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1~5)、水酸基、シアノ基、又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
Mで表されるアリール基としては、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、及びベンゾチオフェン環等が挙げられる。
なお、Mが環構造を有する場合、上記環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、及び、炭素-炭素二重結合の少なくとも1種を含んでいてもよい。
R6c及びR7cで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
Rx及びRyで表されるアルケニル基としては、アリル基又はビニル基が好ましい。
上記Rx及びRyは、更に置換基(例えば、置換基T)を有していてもよい。この態様として、例えば、Rx及びRyとして2-オキソアルキル基又はアルコキシカルボニルアルキル基などが挙げられる。
Rx及びRyで表される2-オキソアルキル基としては、例えば、炭素数1~15(好ましくは炭素数1~10)のものが挙げられ、具体的には、2-オキソプロピル基、及び2-オキソブチル基等が挙げられる。
Rx及びRyで表されるアルコキシカルボニルアルキル基としては、例えば、炭素数1~15(好ましくは炭素数1~10)のものが挙げられる。また、RxとRyは、結合して環を形成してもよい。
RxとRyとが互いに連結して形成される環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又は、炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。
化合物(ZI-3A)は、下記一般式(ZI-3A)で表され、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
R1c~R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
R6c及びR7cとしては、上述した一般式(ZI-3)中のR6c及びR7cと同義であり、その好ましい態様も同じである。
Rx及びRyとしては、上述した上述した一般式(ZI-3)中のRx及びRyと同義であり、その好ましい態様も同じである。
上記環構造としては、芳香族又は非芳香族の炭化水素環、芳香族又は非芳香族の複素環、及びこれらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環が挙げられる。環構造としては、3~10員環が挙げられ、4~8員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
R5cとR6c、及びR5cとRxが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、メチレン基、及びエチレン基等が挙げられる。
Zc-は、アニオンを表す。
化合物(ZI-4)は、下記一般式(ZI-4)で表される。
lは0~2の整数を表す。
rは0~8の整数を表す。
R13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
R14は、複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
R15は、各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
Z-は、アニオンを表す。
一般式(ZII)、及び(ZIII)中、R204~R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
R204~R207のアリール基としてはフェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204~R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェン等が挙げられる。
R204~R207のアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状アルキル基又は炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基)、又は、炭素数3~10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基)が好ましい。
Z-は、アニオンを表す。
oは、1~3の整数を表す。pは、0~10の整数を表す。qは、0~10の整数を表す。
Xfは、フッ素原子又は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子又はCF3であることがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが更に好ましい。
R4及びR5で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数1~4が好ましい。R4及びR5は、好ましくは水素原子である。
少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例及び好適な態様は一般式(3)中のXfの具体例及び好適な態様と同じである。
2価の連結基としては、例えば、-COO-(-C(=O)-O-)、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~6)及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基等が挙げられる。これらの中でも、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-CO-、-O-、-SO2-、-COO-アルキレン基-、-OCO-アルキレン基-、-CONH-アルキレン基-又は-NHCO-アルキレン基-が好ましく、-COO-、-OCO-、-CONH-、-SO2-、-COO-アルキレン基-又は-OCO-アルキレン基-がより好ましい。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の炭素数7以上の嵩高い構造を有する脂環基が好ましい。
複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよいし、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及びピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。ラクトン環及びスルトン環の例としては、前述の樹脂において例示したラクトン構造及びスルトン構造が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又はデカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。
XB1及びXB2は、各々独立に、水素原子、又はフッ素原子を有さない1価の有機基を表す。XB1及びXB2は、水素原子であることが好ましい。
XB3及びXB4は、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。XB3及びXB4の少なくとも一方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることが好ましく、XB3及びXB4の両方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることがより好ましい。XB3及びXB4の両方が、フッ素原子で置換されたアルキル基であることが更に好ましい。
L、q及びWは、一般式(3)と同様である。
Arは、アリール基を表し、スルホン酸アニオン及び-(D-B)基以外の置換基を更に有していてもよい。更に有してもよい置換基としては、フッ素原子及び水酸基等が挙げられる。
ラクトン基又はスルトン基としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればいずれの基でも用いることができるが、好ましくは5~7員環ラクトン構造又は5~7員環スルトン構造を有する基であり、5~7員環ラクトン構造にビシクロ構造、又は、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、又は5~7員環スルトン構造にビシクロ構造、又は、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、がより好ましい。下記一般式(LC1-1)~(LC1-21)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基、又は下記一般式(SL1-1)~(SL1-3)のいずれかで表されるスルトン構造を有する基がより好ましい。好ましい構造としては、一般式(LC1-1)、一般式(LC1-4)、一般式(LC1-5)、一般式(LC1-6)、一般式(LC1-13)、及び、一般式(LC1-14)で表される基が好ましい。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994-2007 ACD/Labs)。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であることが好ましい。
光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量は3,000以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
光酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂(A)の一部に組み込まれてもよく、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
好ましい一態様として、本発明の組成物中、光酸発生剤の含有量は、組成物の全固形分を基準として、20質量%未満であることが好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、アルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基を有する含フッ素化合物(以下、「含フッ素化合物(C)」ともいう)を含有することが好ましい。
含フッ素化合物(C)は、フッ素を含むことで本発明の感活性光線性又は感放射線性膜の表面に偏在することができ、所望の性能を発揮することができる。
なお、アクリレートなどにおけるような、繰り返し単位の主鎖に直結したエステル基は、アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する機能が劣るため、本発明における極性変換基には含まれない。
含フッ素化合物(C)は、表面偏在性の観点から、フルオロアルキル基を有することが好ましい。
含フッ素化合物(C)は、樹脂(「樹脂(C)ともいう」)であることがより好ましい。
含フッ素化合物(C)は、極性変換基を有する繰り返し単位(「繰り返し単位(c)」ともいう)を含む樹脂であることがより好ましい。
繰り返し単位(c)として、例えば、一般式(K0)で示される繰り返し単位を挙げることができる。
Rk2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を含む基を表す。
但し、Rk1、Rk2の少なくとも一方は、極性変換基を有する。
なお、一般式(K0)に示されている繰り返し単位の主鎖に直結しているエステル基は、前述したように、本発明における極性変換基には含まれない。
すなわち、繰り返し単位(c)は、一般式(KA-1)及び(KB-1)で表される部分構造の少なくとも1つを有し、極性変換基が一般式(KA-1)又は(KB-1)で表される部分構造中のXで表されることが好ましい。
Y1及びY2は、それぞれ同一でも異なっても良く、電子求引性基を表す。
なお、繰り返し単位(c)は、一般式(KA-1)又は(KB-1)で表される部分構造を有する基を有することで、好ましい極性変換基を有するが、一般式(KA-1)で表される部分構造、Y1及びY2が1価である場合の(KB-1)で表される部分構造の場合のように、上記部分構造が結合手を有しない場合は、上記部分構造を有する基とは、上記部分構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
一般式(KA-1)又は(KB-1)で表される部分構造は、任意の位置で置換基を介して樹脂(C)の主鎖に連結している。
一般式(KA-1)におけるXとして好ましくは、カルボン酸エステル基(即ち、KA-1としてラクトン環構造を形成する場合)、及び酸無水物基、炭酸エステル基である。より好ましくはカルボン酸エステル基である。
一般式(KA-1)で表される環構造は、置換基を有していてもよく、例えば、置換基Zka1をnka個有していてもよい。
Zka1は、複数ある場合はそれぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基、ラクトン環基、又は電子求引性基を表す。
Zka1同士が連結して環を形成しても良い。Zka1同士が連結して形成する環としては、例えば、シクロアルキル環、ヘテロ環(環状エーテル環、ラクトン環など)が挙げられる。
nkaは0~10の整数を表す。好ましくは0~8の整数、より好ましくは0~5の整数、更に好ましくは1~4の整数、最も好ましくは1~3の整数である。
なお、上記電子求引性基は、別の電子求引性基で置換されていてもよい。
Zka1としてのハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Zka1としてのアルキル基は置換基を有していてもよく、直鎖、分岐のいずれでもよい。直鎖アルキル基としては、好ましくは炭素数1~30、更に好ましくは1~20であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基等が挙げられる。分岐アルキル基としては、好ましくは炭素数3~30、更に好ましくは3~20であり、例えば、i-プロピル基、i-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、t-ペンチル基、i-ヘキシル基、t-ヘキシル基、i-ヘプチル基、t-ヘプチル基、i-オクチル基、t-オクチル基、i-ノニル基、t-デカノイル基等が挙げられる。メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基などの炭素数1~4のものが好ましい。
Zka1としてのシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、単環型でもよく、多環型でもよく、有橋式であってもよい。例えば、シクロアルキル基は橋かけ構造を有していてもよい。単環型としては、炭素数3~8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6~20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α-ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基等が挙げられる。シクロアルキル基としては下記構造も好ましい。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
これらの脂環式構造の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を表す。上記アルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~4個のものを挙げることができる。アルキル基及びアルコキシ基が有してもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~4)等を挙げることができる。
なお、下記(KA-1-1)~(KA-1-17)におけるように、一般式(KA-1)で表される部分構造としての5~7員環ラクトン環に、ビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環していることが好ましい。
一般式(KA-1)で表される環構造が結合してもよい周辺の環構造については、例えば、下記(KA-1-1)~(KA-1-17)におけるもの、又はこれに準じたものを挙げることができる。
newは-C(Rew1)(Rew2)-で表される連結基の繰り返し数であり、0又は1の整数を表す。newが0の場合は単結合を表し、直接Yew1が結合していることを示す。
Yew1は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、後述の-C(Rf1)(Rf2)-Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基、ハロアリール基、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、及びこれらの組み合わせをあげることができ、電子求引性基は例えば下記構造であってもよい。なお、「ハロ(シクロ)アルキル基」とは、少なくとも一部がハロゲン化したアルキル基及びシクロアルキル基を表す。Rew3、Rew4は、各々独立して任意の構造を表す。Rew3、Rew4はどのような構造でも式(EW)で表される部分構造は電子求引性を有し、例えば樹脂の主鎖に連結していてもよいが、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、フッ化アルキル基である。
Yew1は、好ましくはハロゲン原子、又は、-C(Rf1)(Rf2)-Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。
Rew1、Rew2は、各々独立して任意の置換基を表し、例えば水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Rew1、Rew2及びYew1の少なくとも2つが互いに連結して環を形成していてもよい。
Rf2、Rf3は各々独立して水素原子、ハロゲン原子又は有機基を表し、Rf2とRf3とが連結して環を形成してもよい。有機基としては例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等を表し、これらはハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されていても良く、より好ましくは、Rf2、Rf3は、(ハロ)アルキル基である。Rf2はRf1と同様の基を表すか、又はRf3と連結して環を形成していることがより好ましい。
Rf1とRf3とは連結して環を形成してもよく、形成する環としては、(ハロ)シクロアルキル環、(ハロ)アリール環等が挙げられる。
Rf1~Rf3における(ハロ)アルキル基としては、例えば前述したZka1におけるアルキル基、及びこれがハロゲン化した構造が挙げられる。
Rf1~Rf3における、又は、Rf2とRf3とが連結して形成する環における(パー)ハロシクロアルキル基及び(パー)ハロアリール基としては、例えば前述したZka1におけるシクロアルキル基がハロゲン化した構造、より好ましくは-C(n)F(2n-2)Hで表されるフルオロシクロアルキル基、及び、-C(n)F(n-1)で表されるパーフルオロアリール基が挙げられる。ここで炭素数nは特に限定されないが、5~13のものが好ましく、6がより好ましい。
なお、一般式(KA-1)の部分構造の一部又は全部が、一般式(KB-1)におけるY1又はY2としての電子求引性基を兼ねてもよい。例えば、一般式(KA-1)のXがカルボン酸エステル基である場合、そのカルボン酸エステル基は一般式(KB-1)におけるY1又はY2としての電子求引性基として機能することもあり得る。
なお、樹脂(C)が、繰り返し単位(c*)を有する場合、フッ素原子を有する繰り返し単位(後述する繰り返し単位(c1))とのコポリマーであることが好ましい。また、繰り返し単位(c”)における、極性変換基を有する側鎖とフッ素原子を有する側鎖とは、主鎖中の同一の炭素原子に結合している、すなわち下記式(K1)のような位置関係にあることが好ましい。
式中、B1は極性変換基を有する部分構造、B2はフッ素原子を有する部分構造を表す。
ここで樹脂(C)のアルカリ現像液に対する加水分解速度は23℃のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)(2.38質量%)に対して、樹脂(C)のみで樹脂膜を製膜した際の膜厚が減少する速度である。
Rky1、Rky4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。或いは、Rky1、Rky4が同一の原子と結合して二重結合を形成していてもよく、例えばRky1、Rky4が同一の酸素原子と結合してカルボニル基の一部(=O)を形成してもよい。
Rky2、Rky3はそれぞれ独立して電子求引性基であるか、又はRky1とRky2が連結してラクトン環を形成するとともにRky3が電子求引性基である。形成するラクトン環としては、上記(KA-1-1)~(KA-1-17)の構造が好ましい。電子求引性基としては、上記式(KB-1)におけるY1、Y2と同様のものが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、又は、上記-C(Rf1)(Rf2)-Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。好ましくはRky3がハロゲン原子、又は、上記-C(Rf1)(Rf2)-Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基であり、Rky2はRky1と連結してラクトン環を形成するか、ハロゲン原子を有さない電子求引性基である。
Rky1、Rky2、Rky4はそれぞれ互いに連結して単環又は多環構造を形成しても良い。
Rky1とRky2が連結して形成するラクトン環としては、上記(KA-1-1)~(KA-1-17)の構造が好ましい。電子求引性基としては、上記式(KB-1)におけるY1、Y2と同様のものが挙げられる。
Rky6~Rky10は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。
Rky6~Rky10は、2つ以上が互いに連結して単環又は多環構造を形成しても良い。
Rky5は電子求引性基を表す。電子求引性基は上記Y1、Y2におけるものと同様のものが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、又は、上記-C(Rf1)(Rf2)-Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。
Rky5~Rky10は具体的には式(KA-1)におけるZka1と同様の基が挙げられる。
Zka1、nkaは各々上記一般式(KA-1)と同義である。Rky5は上記式(KY-2)と同義である。
Lkyはアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。Lkyのアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が挙げられる。Lkyは酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることが更に好ましい。
繰り返し単位(c)は、付加重合、縮合重合、付加縮合、等、重合により得られる繰り返し単位であれば限定されるものではないが、炭素-炭素2重結合の付加重合により得られる繰り返し単位であることが好ましい。例として、アクリレート系繰り返し単位(α位、β位に置換基を有する系統も含む)、スチレン系繰り返し単位(α位、β位に置換基を有する系統も含む)、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位、マレイン酸誘導体(マレイン酸無水物やその誘導体、マレイミド、等)の繰り返し単位、等を挙げることが出来、アクリレート系繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位が好ましく、アクリレート系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位がより好ましく、アクリレート系繰り返し単位が最も好ましい。
繰り返し単位(c)は、以下に示す部分構造を有する繰り返し単位であり得る。
Z1は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、好ましくはエステル結合を表す。
Z2は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、鎖状若しくは環状アルキレン基を表し、好ましくは、炭素数1若しくは2のアルキレン基又は炭素数5~10のシクロアルキレン基を表す。
Taは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基又は電子求引性基(上記一般式(KB-1)におけるY1及びY2としての電子求引性基と同義である)を表し、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、電子求引性基を表し、更に好ましくは電子求引性基を表す。Taが複数個ある場合には、Ta同士が結合して、環を形成しても良い。
L0は、単結合又はm+1価の炭化水素基(好ましくは炭素数20以下)を表し、好ましくは単結合を表す。L0としての単結合は、mが1の場合である。L0としてのm+1価の炭化水素基は、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基、又は、これらの組み合わせから、任意の水素原子をm-1個除いたm+1価の炭化水素基を表す。
Lは、それぞれ独立に、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はエーテル基を表す。
Tcは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基又は電子求引性基(上記一般式(KB-1)におけるY1及びY2としての電子求引性基と同義である)を表す。
*は、樹脂の主鎖又は側鎖への結合手を表す。すなわち、式(cc)で表される部分構造が主鎖に直結していてもよいし、樹脂の側鎖に、式(cc)で表される部分構造が結合していてもよい。なお、主鎖への結合手とは、主鎖を構成する結合中に存在する原子への結合手であり、側鎖への結合手とは、主鎖を構成する結合中以外に存在する原子への結合手である。
mは、1~28の整数を表し、好ましくは1~3の整数であり、更に好ましくは1である。
kは、0~2の整数を表し、好ましくは1である。
qは、基(Z2-Z1)の繰り返し数を示し、0~5の整数を表し、好ましくは0~2である。
rは、0~5の整数を表す。
なお、-(L)r-Tcの代わりに、上記-L0-(Ta)mが置換していてもよい。
糖ラクトンの末端にフッ素原子を有する場合、そして同一繰り返し単位内の糖ラクトン側の側鎖と異なる側鎖上にフッ素原子を有する場合(繰り返し単位(c”))も好ましい。
Z2としての環状アルキレン基は、好ましくは炭素数3~8であり、その具体例としては、上記したZka1としてのシクロアルキル基から任意の水素原子を1個除いた基を挙げることができる。
Ta及びTcとしてのアルキル基及びシクロアルキル基における好ましい炭素数、及び、具体例は、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基において記載したものと同様である。
Taとしてのアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1~8であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
Ta及びTcとしてのアリール基としては、好ましくは炭素数6~12のアリール基、例えば、フェニル基及びナフチル基を挙げることができる。
L0としてのアルキレン基、シクロアルキレン基の好ましい炭素数及びその具体例は、Z2としての鎖状アルキレン基及び環状アルキレン基で説明したものと同様である。
nは、0~11の整数を表し、好ましくは0~5の整数、より好ましくは1又は2を表す。
pは、0~5の整数を表し、好ましくは0~3の整数、より好ましくは1又は2を表す。
Tbは、独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基又は電子求引性基(上記一般式(KB-1)におけるY1及びY2としての電子求引性基と同義である)を表し、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、電子求引性基を表す。Tbが複数個ある場合には、Tb同士が結合して、環を形成しても良い。
*は、樹脂の主鎖又は側鎖への結合手を表す。すなわち、式(ca-2)又は(cb-2)で表される部分構造が主鎖に直結していてもよいし、樹脂の側鎖に、式(ca-2)又は(cb-2)で表される部分構造が結合していてもよい。
Z1、Z2、Ta、Tc、L、*、m、q、rは、一般式(cc)におけるものと同義であり、好ましいものも同様である。
R2は、鎖状若しくは環状アルキレン基を表し、複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
R3は、構成炭素上の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された、直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示す。
R4は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミド基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はR-C(=O)-若しくはR-C(=O)O-で表される基(Rは、アルキル基若しくはシクロアルキル基を表す。)を表す。R4が複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよく、また、2つ以上のR4が結合し、環形成していても良い。
Xは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Z、Zaは、複数存在する場合はそれぞれ独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、複数ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
*は、樹脂の主鎖又は側鎖への結合手を表す。
oは、置換基数であって、1~7の整数を表す。
mは、置換基数であって、0~7の整数を表す。
nは、繰り返し数を表し、0~5の整数を表す。
-R2-Z-の構造として好ましくは、-(CH2)l-COO-で表される構造が好ましい(lは1~5の整数を表す)。
R3としての直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基の炭素数は、直鎖状の場合、好ましくは1~30、更に好ましくは1~20であり、分岐状の場合、好ましくは3~30、更に好ましくは3~20であり、環状の場合、6~20である。R3の具体例としては、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例を挙げることができる。
R4及びRとしてのアルキル基及びシクロアルキル基における好ましい炭素数、及び、具体例は、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基において記載したものと同様である。
R4としてのアシル基としては、炭素数1~6のものが好ましく、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基などを挙げることができる。
R4としてのアルコキシ基及びアルコキシカルボニル基におけるアルキル部位としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル部位を挙げることができ、アルキル部位の好ましい炭素数、及び、具体例は、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基において記載したものと同様である。
Xとしてのアルキレン基としては、鎖状若しくは環状アルキレン基を挙げることができ、好ましい炭素数及びその具体例は、R2としての鎖状アルキレン基及び環状アルキレン基で説明したものと同様である。
R2は、鎖状若しくは環状アルキレン基を表し、複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
R3は、構成炭素上の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換され、直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示す。
R4は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミド基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はR-C(=O)-若しくはR-C(=O)O-で表される基(Rは、アルキル基若しくはシクロアルキル基を表す。)を表す。R4が複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよく、また、2つ以上のR4が結合し、環を形成していても良い。
Xは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Zは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、複数ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
*は、樹脂の主鎖又は側鎖への結合手を表す。
nは、繰り返し数を表し、0~5の整数を表す。
mは、置換基数であって、0~7の整数を表す。
R2~R4及びXにおける炭素数の好ましい範囲及び具体例は、一般式(KY-4)で説明したものと同様である。
-R2-Z-の構造として好ましくは、-(CH2)l-COO-で表される構造が好ましい(lは1~5の整数を表す)。
X´は、電子求引性の置換基を表し、好ましくは、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、フッ素原子で置換されたアルキレン基、フッ素原子で置換されたシクロアルキレン基である。
Aは、単結合又は-C(Rx)(Ry)-で表される2価の連結基を表す。ここで、Rx、Ryは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~6で、フッ素原子等で置換されていてもよい)、又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数5~12で、フッ素原子等で置換されていてもよい)を表す。Rx,Ryとして好ましくは、水素原子、アルキル基、フッ素原子で置換されたアルキル基である。
Xは、電子求引性基を表し、好ましくは、フッ化アルキル基、フッ化シクロアルキル基、フッ素又はフッ化アルキル基で置換されたアリール基、フッ素又はフッ化アルキル基で置換されたアラルキル基である。
*は、樹脂の主鎖又は側鎖への結合手を表す。即ち、単結合あるいは連結基を通じて樹脂の主鎖に結合する結合手を表す。
なお、X´がカルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基であるとき、Aは単結合ではない。
X´としてのフッ素原子で置換されたシクロアルキレン基におけるシクロアルキレン基としては、好ましくは炭素数3~8であり、その具体例としては、上記したZka1としてのシクロアルキル基の具体例から任意の水素原子を1個除いた基を挙げることができる。フッ素原子で置換されたシクロアルキレン基としては、パーフルオロシクロアルキレン基であることが好ましい。
Xとしてのフッ化シクロアルキル基におけるシクロアルキル基としては、好ましくは炭素数3~8であり、その具体例としては、上記したZka1としてのシクロアルキル基の具体例を挙げることができる。フッ化シクロアルキル基としては、パーフルオロシクロアルキル基であることが好ましい。
Xとしてのフッ素又はフッ化アルキル基で置換されたアリール基におけるアリール基としては、好ましくは炭素数6~12のアリール基、例えば、フェニル基及びナフチル基を挙げることができる。また、フッ化アルキル基で置換されたアリール基におけるフッ化アルキル基の具体例としては、Xとしてのフッ化アルキル基で説明したものと同様である。
Xとしてのフッ素又はフッ化アルキル基で置換されたアラルキル基におけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6~12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。また、フッ化アルキル基で置換されたアラルキル基におけるフッ化アルキル基の具体例としては、Xとしてのフッ化アルキル基で説明したものと同様である。
一般式(2)中、R21は水素原子又はアルキル基を表すことが好ましく、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表すことがより好ましい。
一般式(2)中、R22及びR23はそれぞれ独立にフルオロアルキル基を表し、炭素数1~10のフルオロアルキル基を表すことが好ましく、炭素数1~5のフルオロアルキル基を表すことがより好ましい。
一般式(2)中、R24は水素原子、フッ素原子又は炭素数1~10のフルオロアルキル基を表すことが好ましく、水素原子、フッ素原子又は炭素数1~5のフルオロアルキル基を表すことがより好ましい。
Raは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
繰り返し単位(c’)の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、10~100モル%が好ましく、より好ましくは20~100モル%、更に好ましくは30~100モル%、最も好ましくは40~100モル%である。
繰り返し単位(c*)の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、5~70モル%が好ましく、より好ましくは5~60モル%、更に好ましくは10~50モル%、最も好ましくは10~40モル%である。繰り返し単位(c*)と共に用いられる、フッ素原子を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、10~95モル%が好ましく、より好ましくは15~85モル%、更に好ましくは20~80モル%、最も好ましくは25~75モル%である。
繰り返し単位(c”)の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、10~100モル%が好ましく、より好ましくは20~100モル%、更に好ましくは30~100モル%、最も好ましくは40~100モル%である。
(cy1)フッ素原子を有し、かつ酸に対して安定であり、かつアルカリ現像液に対して難溶若しくは不溶である繰り返し単位。
(cy2)フッ素原子を有さず、かつ酸に対して安定であり、かつアルカリ現像液に対して難溶若しくは不溶である繰り返し単位。
(cy3)フッ素原子を有し、かつ、前掲の(x)、(z)以外の極性基を有する繰り返し単位。
(cy4)フッ素原子を有さず、かつ、前掲の(x)、(z)以外の極性基を有する繰り返し単位。
繰り返し単位(cy1)、(cy2)は極性基を持たない脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
繰り返し単位(cy1)、(cy2)としては、下記一般式(CIII)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Rc31は、水素原子、フッ素原子で置換されていても良いアルキル基、シアノ基又は-CH2-O-Rac2基を表す。式中、Rac2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Rc31は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Rc32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又はアリール基を有する基を表す。これら基は、珪素原子を含む基、フッ素原子等で置換されていても良い。
Lc3は、単結合又は2価の連結基を表す。
シクロアルキル基は、炭素数3~20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3~20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3~20のシクロアルケニル基が好ましい。
アリール基は、炭素数6~20のフェニル基、ナフチル基が好ましく、これらは置換基を有していてもよい。
Rc32は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。Lc3の2価の連結基は、アルキレン基(好ましくは炭素数1~5)、オキシ基、フェニレン基、エステル結合(-COO-で表される基)が好ましい。
繰り返し単位(cy1)、(cy2)としては、下記一般式(C4)又は(C5)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Rc5は少なくとも一つの環状構造を有し、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない炭化水素基を表す。
Racは水素原子、フッ素原子で置換されていても良いアルキル基、シアノ基又は-CH2-O-Rac2基を表す。式中、Rac2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Racは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Rc6のアルキル基は、炭素数1~20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3~20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3~20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3~20のシクロアルケニル基が好ましい。
アルコキシカルボニル基は、炭素数2~20のアルコキシカルボニル基が好ましい。
アルキルカルボニルオキシ基は、炭素数2~20のアルキルカルボニルオキシ基が好ましい。
nは0~5の整数を表す。nが2以上の場合、複数のRc6は同一でも異なっていても良い。
Rc6は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、t-ブチル基が特に好ましい。
Rc11’及びRc12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Zc’は、結合した2つの炭素原子(C-C)を含み、脂環式構造を形成するための原子団を表す。
Rc13’~Rc16’は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基あるいはシクロアルキル基を表す。
また、Rcl3’~Rc16’のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。
nは0又は1を表す。
上記原子団を有する繰り返し単位としては、下記一般式(CAIIa)~(CAIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
R2c~R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c~R4cの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c~R4cの内の1つ又は2つが、水酸基で、残りが水素原子である。一般式(CAIIa)に於いて、更に好ましくは、R2c~R4cの内の2つが、水酸基で、残りが水素原子である。
樹脂(C)は(cy1)~(cy4)で表される繰り返し単位を複数有していてもよい。
樹脂(C)の重量平均分子量は、好ましくは1000~100000で、より好ましくは1000~50000、更により好ましくは2000~15000である。
本発明の組成物は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する化合物を含むことが好ましい。
上記ラクトン構造又はスルトン構造を有する化合物としては、上記樹脂(A)において、ラクトン基又はスルトン基を有する樹脂、及びラクトン基又はスルトン基を有する光酸発生剤を挙げることができる。
本発明の組成物は、溶剤を含んでいてもよい。
本発明の組成物においては、公知のレジスト溶剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0665]~[0670]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0210]~[0235]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0424]~[0426]、及び米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0357]~[0366]に開示された公知の溶剤を好適に使用できる。
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
水酸基を有する溶剤、及び水酸基を有さない溶剤としては、前述の例示化合物を適宜選択できるが、水酸基を含む溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル又は乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:1-メトキシ-2-プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、又は乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を有さない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を有していてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は酢酸アルキル等が好ましく、これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA:1-メトキシ-2-アセトキシプロパン)、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、エチルエトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、又は2-ヘプタノンが更に好ましい。水酸基を有さない溶剤としては、プロピレンカーボネートも好ましい。
水酸基を有する溶剤と水酸基を有さない溶剤との混合比(質量比)は、1/99~99/1が好ましく、10/90~90/10がより好ましく、20/80~60/40が更に好ましい。水酸基を有さない溶剤を50質量%以上含む混合溶剤が、塗布均一性の点で好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましい。この場合、溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤でもよいし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む2種類以上の混合溶剤でもよい。
一方の比率とは、乳酸エチル全量に対するL体又はD体の含有比(質量比)を表す。
また、細菌を用いて光学純度が高い乳酸を製造し、得られた乳酸をエチルエステル化により光学純度が1%以上の乳酸エチルを製造することもできる。
本発明の組成物は、界面活性剤を更に含んでいてもよい。界面活性剤を含有することにより、波長が250nm以下、特には220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥のより少ないパターンを形成することが可能となる。
界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。また、エフトップEF301若しくはEF303(新秋田化成(株)製);フロラードFC430、431若しくは4430(住友スリーエム(株)製);メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120若しくはR08(DIC(株)製);サーフロンS-382、SC101、102、103、104、105若しくは106(旭硝子(株)製);トロイゾルS-366(トロイケミカル(株)製);GF-300若しくはGF-150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS-393(セイミケミカル(株)製);エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802若しくはEF601((株)ジェムコ製);PF636、PF656、PF6320若しくはPF6520(OMNOVA社製);又は、FTX-204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D若しくは222D((株)ネオス製)を用いてもよい。なお、ポリシロキサンポリマーKP-341(信越化学工業(株)製)も、シリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0280]に記載されているフッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。
本発明の組成物は、上記に説明した成分以外にも、カルボン酸、カルボン酸オニウム塩、Proceeding of SPIE, 2724,355 (1996)等に記載の分子量3000以下の溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、酸化防止剤などを適宜含有することができる。
本発明の組成物は、固形分含有量(固形分濃度)が10質量%以上であることが好ましい。これにより、本発明の組成物を用いて、厚膜の感活性光線性又は感放射線性膜を形成することが容易となる。
本発明の組成物の固形分濃度は15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが好ましい。また、組成物の塗布性確保の観点から、本発明の組成物の固形分濃度は48質量%以下であることが好ましい。
なお、固形分濃度とは、本発明の組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分(感活性光線性又は感放射線性膜を構成し得る成分)の質量の質量百分率を意味する。
本発明の組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤(好ましくは上記混合溶剤)に溶解し、これをフィルター濾過した後、所定の支持体(基板)上に塗布して用いることが好ましい。
フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。また、組成物の固形分濃度が高い場合(例えば、20質量%以上)は、フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは3μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.3μm以下が更に好ましい。このフィルターは、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のフィルターが好ましい。フィルター濾過においては、例えば日本国特許出願公開第2002-62667号明細書(特開2002-62667)に開示されるように、循環的な濾過を行ってもよく、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して濾過を行ってもよい。また、組成物を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理等を行ってもよい。
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により反応して性質が変化する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明の組成物は、IC(Integrated Circuit)等の半導体製造工程、液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、その他のフォトファブリケーション工程、又は平版印刷版、若しくは酸硬化性組成物の製造に使用される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。本発明において形成されるパターンは、エッチング工程、イオンインプランテーション工程、バンプ電極形成工程、再配線形成工程、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等において使用できる。
本発明は、本発明の感活性光線又は感放射線性組成物により形成された感活性光線性又は感放射線性膜(好ましくはレジスト膜)にも関する。
本発明の感活性光線性又は感放射線性膜の膜厚は、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、加工段数を増やす、インプラ耐性を向上させる等の目的から、3μm以上がであることが更に好ましく、4μm以上が特に好ましく、5μm以上が最も好ましい。上限は特に限定されないが、例えば100μm以下である。
なお、後述するように、本発明の組成物からパターンを形成することができる。
形成されるパターンの膜厚は、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、加工段数を増やす、インプラ耐性を向上させる等の目的から、3μm以上が更に好ましく、4μm以上が特に好ましく、5μm以上が最も好ましい。上限は特に限定されないが、例えば100μm以下である。
アスペクト比は、特に限定されないが、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、15以上が更に好ましい。
上限は特に限定されないが、例えば30以下である。
ポジ型パターンが得られる場合は、断面形状のアスペクト比は、パターンのスペース幅とパターンの膜厚の比、即ち、(パターンの膜厚)/(パターンのスペース幅)となる。
一方で、ネガ型パターンが得られる場合は、断面形状のアスペクト比は、パターンの線幅とパターンの膜厚の比、即ち、(パターンの膜厚)/(パターンの線幅)となる。
本発明は上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたパターン形成方法にも関する。以下、本発明のパターン形成方法について説明する。
本発明のパターン形成方法は、
(i)支持体上に、上述した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によって、感活性光線性又は感放射線性膜を形成する工程(レジスト膜形成工程)、
(ii)上記感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射する工程(露光工程)、及び、
(iii)上記活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像する工程(現像工程)、を有する。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程における露光方法が、液浸露光であってもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の前に、(iv)前加熱(PB:PreBake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の後、かつ、(iii)現像工程の前に、(v)露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(iv)前加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(v)露光後加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
また、必要に応じて、レジスト膜と支持体との間にレジスト下層膜(例えば、SOG(SpinOn Glass)、SOC(SpinOn Carbon)、及び、反射防止膜)を形成してもよい。レジスト下層膜を構成する材料としては、公知の有機系又は無機系の材料を適宜用いることができる。
レジスト膜の上層に、保護膜(トップコート)を形成してもよい。保護膜としては、公知の材料を適宜用いることができる。例えば、米国特許出願公開第2007/0178407号明細書、米国特許出願公開第2008/0085466号明細書、米国特許出願公開第2007/0275326号明細書、米国特許出願公開第2016/0299432号明細書、米国特許出願公開第2013/0244438号明細書、国際特許出願公開第2016/157988A号明細書に開示された保護膜形成用組成物を好適に使用することができる。
上述したレジスト膜の上層に保護膜を形成してもよい。
加熱温度は、(v)露光後加熱工程において、70~150℃が好ましく、70~130℃がより好ましく、80~130℃が更に好ましく、80~120℃が最も好ましい。
加熱時間は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、30~300秒が好ましく、30~180秒がより好ましく、30~90秒が更に好ましい。
加熱は、露光装置及び現像装置に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
更に、上記アルカリ現像液は、アルコール類、及び/又は界面活性剤を適当量含有していてもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1~20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10~15である。
アルカリ現像液を用いて現像を行う時間は、通常10~300秒である。
アルカリ現像液のアルカリ濃度、pH、及び現像時間は、形成するパターンに応じて、適宜調整できる。
有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましく、95~100質量%が特に好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含有する現像液において説明したものと同様のものが挙げられる。
この場合のリンス工程に用いるリンス液としては、1価アルコールを含有するリンス液がより好ましい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。含水率を10質量%以下とすることで、良好な現像特性が得られる。
リンス工程においては、有機系現像液を用いる現像を行った基板を、有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、又は基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。中でも、回転塗布法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2,000~4,000rpm(revolution per minute)の回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。この加熱工程によりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程において、加熱温度は通常40~160℃であり、70~120℃が好ましく、70~95℃がより好ましく、加熱時間は通常10秒~3分であり、30秒~90秒が好ましい。
フィルター濾過のほか、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル若しくはゼオライト等の無機系吸着材、又は活性炭等の有機系吸着材を使用できる。金属吸着剤としては、例えば、日本国特許出願公開第2016-206500号明細書(特開2016-206500)に開示されるものが挙げられる。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、又は装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法が挙げられる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
また、上記の方法によって形成されたパターンは、例えば日本国特許出願公開第1991-270227号明細書(特開平3-270227)及び米国特許出願公開第2013/0209941号明細書に開示されたスペーサープロセスの芯材(Core)として使用できる。
現像液及びリンス液に使用し得る有機溶剤(「有機系処理液」ともいう)としては、収容部を有する、化学増幅型又は非化学増幅型レジスト膜のパターニング用有機系処理液の収容容器に保存されたものを使用することが好ましい。この収容容器としては、例えば、収容部の、有機系処理液に接触する内壁が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及び、ポリエチレン-ポリプロピレン樹脂のいずれとも異なる樹脂、又は、防錆・金属溶出防止処理が施された金属から形成された、レジスト膜のパターニング用有機系処理液の収容容器であることが好ましい。この収容容器の上記収容部に、レジスト膜のパターニング用有機系処理液として使用される予定の有機溶剤を収容し、レジスト膜のパターニング時において、上記収容部から排出したものを使用することができる。
・JFE社製 鋼製ドラム缶(接液内面;燐酸亜鉛皮膜)
配管に通す溶剤としては、レジストを溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば上述した有機溶媒が挙げられ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2-ヘプタノン、乳酸エチル、1-プロパノール、アセトン、等を用いることができる。中でも好ましくは、PGMEA、PGME、シクロヘキサノンを用いることができる。
また、本発明は、上記したパターン形成方法を用いて作製されたフォトマスクにも関する。上記したパターン形成方法を用いて作成されたフォトマスクは、ArFエキシマレーザー等で用いられる光透過型マスクであっても、EUVを光源とする反射系リソグラフィーで用いられる光反射型マスクであってもよい。
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。本発明の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスは、電気電子機器(例えば、家電、OA(Office Automation)関連機器、メディア関連機器、光学用機器、及び通信機器等)に、好適に搭載される。
使用した酸拡散制御剤の構造を以下に示す。また、酸拡散制御剤の分子量とともに、酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーター(SP値)についても記載する。
酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーター(HSP)は、ハンセン溶解度パラメーター計算ソフト;HSPiP バージョン4.1.07(Hansen-Solubility.com)を用いて算出した。
酸拡散制御剤を2種以上有する場合、各酸拡散制御剤のHSPを混合比(質量比)に基づいて加重平均することによって、酸拡散制御剤のHSPを求める。
使用した樹脂A-1~A-9について以下に示す。各樹脂の繰り返し単位の構造及びその含有量(モル比率)、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)、及び樹脂(A)のハンセン溶解度パラメーター(SP値)も示す。
なお、樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)はGPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))により測定した(ポリスチレン換算量である)。また、繰り返し単位の含有量は、13C-NMR(nuclear magnetic resonance)により測定した。
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂(樹脂(A))を構成する各繰り返し単位のハンセン溶解度パラメーターをハンセン溶解度パラメーター計算ソフト;HSPiP バージョン4.1.07(Hansen-Solubility.com)を用いて算出し、各繰り返し単位のハンセン溶解度パラメーターを二乗した値に各繰り返し単位の重量比を掛け合わせたものの、平方根をとることで算出した。なお、各繰り返し単位のハンセン溶解度パラメーターは各繰り返し単位に対応するモノマーのハンセン溶解度パラメーターであり、上記計算ソフトで求める。具体的には、上記式(A)に基づいて求めた。
本発明の組成物が2種類以上の酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂を含有する場合、各酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂のHSP(A)を混合比(質量比)に基づいて加重平均することによって、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂のHSP(A)を求める。
使用した光酸発生剤の構造を以下に示す。nBuは、n-ブチル基を表し、tBuは、t-ブチル基を表す。
E-3: KF-53(信越化学工業(株)製)
E-4: メガファックF176(DIC(株)製)
E-5: メガファックR08(DIC(株)製)
S-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
S-2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
S-3:乳酸エチル
S-4:3-エトキシプロピオン酸エチル
S-5:2-ヘプタノン
S-6:3-メトキシプロピオン酸メチル
S-7:酢酸3-メトキシブチル
S-8:酢酸ブチル
下記表3に示した各成分を、下記表3に記載した含有量(質量%)で混合し、下記表3に記載の固形分濃度(質量%)の溶液を得た。次いで、得られた溶液を、3μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過することにより、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物)res-1~res-36、res-R1~res-R4を調製した。なお、レジスト組成物において、固形分とは、溶剤以外の全ての成分を意味する。得られたレジスト組成物を、実施例及び比較例で使用した。
下記表3において、CR-1、CR-2、及びCR-3は、本発明の酸拡散制御剤ではないが、便宜的に、酸拡散制御剤の欄に記載している。
また、表3において、樹脂(A)に対する酸拡散制御剤の質量比率も記載する。なお、SP値の単位は、「MPa0.5」である。
<パターン形成(実施例1~24、26~36、比較例1~4)(KrF-ポジ)>
東京エレクトロン(株)製スピンコーター「ACT-8」を用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したSi基板(Advanced Materials Technology社製(以下、「基板」ともいう。))上に、反射防止層を設けることなく、上記で調製したレジスト組成物を塗布し、150℃にて60秒間加熱乾燥(PB)を行い、膜厚5μmのレジスト膜を形成した。
このレジスト膜に対し、縮小投影露光及びポジ型現像をした後のスペースパターンが250nm、ピッチが1000nmとなるような、ラインアンドスペースパターンを有するマスクを介して、KrFエキシマレーザースキャナー(ASML製、PAS5500/850C波長248nm)を用いて、NA=0.68、σ=0.60の露光条件でパターン露光した。照射後に130℃、60秒ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥して、スペースサイズ250nm、ピッチ1000nmのラインアンドスペースパターンを形成した。
上記マスクを介して露光し、形成されるラインアンドスペースパターンが、パターンの高さ5μmを100%とした時に10%にあたる高さ0.5μm位置でのスペースサイズが250nm、ピッチが1000nmとなるような露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm2)とした。スペースパターン幅の測定は走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製9380II)社製9380I)を用いた。
上記手順により、基板と基板表面に形成されたパターンとを有する評価用パターンウェハ(I)を得た。
東京エレクトロン(株)製スピンコーター「ACT-8」を用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したSi基板(Advanced Materials Technology社製(以下、「基板」ともいう。))上に、反射防止層を設けることなく、上記で調製したレジスト組成物を塗布し、150℃にて60秒間加熱乾燥(PB)を行い、膜厚5μmのレジスト膜を形成した。
このレジスト膜に対し、縮小投影露光及びネガ型現像をした後のスペースパターンが250nm、ピッチが1000nmとなるような、ラインアンドスペースパターンを有するマスクを介して、KrFエキシマレーザースキャナー(ASML製、PAS5500/850C波長248nm)を用いて、NA=0.68、σ=0.60の露光条件でパターン露光した。照射後に130℃、60秒ベーク(PEB)し、酢酸ブチルを用いて60秒間浸漬した後、30秒間、4-メチル-2-ペンタノールでリンスして乾燥して、ラインアンドスペースパターンを形成した。
上記マスクを介して露光し、形成されるラインアンドスペースパターンが、パターンの高さ5μmを100%とした時に10%にあたる高さ0.5μm位置でのスペースサイズが250nm、ピッチが1000nmとなるような露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm2)とした。スペースパターン幅の測定は走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製9380II)社製9380I)を用いた。
上記手順により、基板と基板表面に形成されたパターンとを有する評価用パターンウェハ(II)を得た。
得られた評価用パターンウェハ用いて、パターンの性能評価を実施した。
上記評価用パターンウェハ(I)、(II)の各々の製造の際に、レジスト膜厚を高さ方向の90%に相当する4.5μm位置でのスペースサイズも同時に測定し、高さ90%位置での線幅と、高さ10%位置(上記の高さ0.5μm位置に相当)での線幅の差分((高さ10%位置での線幅)-(高さ90%位置での線幅))の絶対値をCD-Biasとして定義した。
CD-Biasの値が大きくなるほど、形状はトップ部が開いた形状又は底部が開いた形状になり、CD-Biasの値が小さくなるほど、形状は矩形となる。
CD-Biasの値は、以下の指標を用いて評価した。A、B、Cであれば、実用上問題がない。
A:50nm未満
B:50nm以上100nm未満
C:100nm以上150nm未満
D:150nm以上
本出願は、2019年8月29日出願の日本特許出願(特願2019-157442)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
Claims (12)
- 酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂、
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び
酸拡散制御剤を含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
前記組成物が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-ヘプタノン、3-メトキシプロピオン酸メチル、酢酸3-メトキシブチル、及び酢酸ブチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶剤を含み、
前記酸拡散制御剤の分子量が200以上であり、前記酸拡散制御剤が下記一般式(Q-1)又は下記一般式(Q-2)で表される化合物であり、
前記酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターが15~30MPa0.5であり、
前記酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターと前記樹脂のハンセン溶解度パラメーターの差の絶対値が、5MPa0.5以下である、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(Q-1)中、
R1~R3は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R1~R2が結合して環構造(但し、芳香環構造を除く)を形成してもよい。
Xqは、-NRN-、-S-、又は-O-を表す。RNは水素原子又は1価の有機基を表す。
一般式(Q-2)中、
R4、R5は、それぞれ独立に置換基を表す。
Xrは、-NRN1-、-S-、又は-O-を表す。RN1は水素原子又は1価の有機基を表す。
pは0~4の整数を示す。また、pが2以上の場合、複数のR4が結合して環構造を形成してもよい。 - 前記樹脂が、アセタール構造を有さない請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 以下の式で表される、前記樹脂に対する前記酸拡散制御剤の質量比率が、0.1以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
質量比率=(酸拡散制御剤の含有量)/(樹脂の含有量) - 前記活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の含有量が、前記組成物の全固形分を基準として、20質量%未満である、請求項1~7のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記組成物の固形分濃度が10質量%以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記酸拡散制御剤のハンセン溶解度パラメーターが18MPa0.5以上22MPa0.5以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 支持体上に、請求項1~10のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によって、感活性光線性又は感放射線性膜を形成する工程、
前記感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射する工程、及び、
前記活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像する工程、を有するパターン形成方法。 - 請求項11に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
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