JP7334722B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、下記の(A)成分、(B)成分、及び有機溶媒を含有することを特徴とする液晶配向剤を要旨とする。
(A)成分:下記式(2)の構造を有するポリイミド前駆体、該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体
(B)成分:下記式(1)で表される化合物
L1及びL2は水素原子である。但し、Q1が(Q1-1)である場合は、L1及びL2は一緒になって単結合を形成していてもよい。
S1及びS2はそれぞれ独立に下記式(S)で表される基である。
式中、R2は水素原子、又はアルキル基を表し、Lは炭素数2~20のアルキレンを表し、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、又は炭素数2~4のアルキニル基であり、qは1~3の自然数を表す。*は式(1)への結合を表す。
本発明の液晶配向剤に含まれる(A)成分は、下記式(2)で表される構造を有するポリイミド前駆体、及び該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(以下、特定重合体(A)ともいう)である。
R5は単結合又は2価の有機基であり、R6は-(CH2)n-で表される構造であり、nは2~20の整数であり、任意の-CH2-はそれぞれ隣り合わない条件でエーテル、エステル及びアミドから選ばれる結合に置き換えられてもよく、R7は単結合又は2価の有機基であり、ベンゼン環上の任意の水素原子は1価の有機基で置き換えられてもよい。
なお、R5を構成する2価の有機基としては、フェニル基(以下、-Ph-と表記)、-Ph-(CH2)m-(mは1~10の整数)、-Ph-O-、-Ph-O-C(=O)-、-Ph-C(=O)-O-、-Ph-C=C-O-などが挙げられる。R6は、なかでも、単結合又はフェニル基が好ましい。
また、R7構成する2価の有機基としては、-(Ph)k-(kは1~3の整数)、-Ph-(CH2)m-Ph-(mは1~10の整数)、-Ph-(CH2)l-Ph-(CH2)m-Ph-(l、mはそれぞれ独立に1~10の整数)、-Ph-O-Ph-、-Ph-O-C(=O)-Ph-、-Ph-C(=O)-O-Ph-、-Ph-C=C-O-Ph-などが挙げられる。R7は、なかでも、フェニル基又は-Ph-(CH2)m-Ph-(mは1~10の整数)が好ましい。
式(2)におけるnは1~10の整数であるのが好ましい。また、ベンゼン環の水素原子の1価の有機基は、フッ素原子及びメチル基から選ばれる基が好ましい。
但し、式(4)において、R14は、前記式(3)のR13の定義と同じである。X4はテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、その構造は特に限定されない。具体的例を挙げるならば、上記式(X1-1)~(X-45)の構造が挙げられる。
<ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)>
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸は、以下の方法により製造される。具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、有機溶媒の存在下で、-20~150℃、好ましくは0~50℃において、30分~24時間、好ましくは1~12時間反応させることによって製造できる。
また、ポリイミド前駆体の溶解性が高い場合は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン又は下記の式[D-1]~式[D-3]で示される有機溶媒を用いることができる。
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸エステルは、以下に示す(1)、(2)又は(3)の製法で製造することができる。
ポリアミック酸エステルは、ポリアミック酸をエステル化することによって製造できる。具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶媒の存在下で、-20~150℃、好ましくは0~50℃において、30分~24時間、好ましくは1~4時間反応させることによって製造することができる。
上記の反応に用いる溶媒は、ポリマーの溶解性から、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、又はγ-ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。製造時の濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという点から、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンから製造することができる。具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを、塩基と有機溶媒の存在下で、-20~150℃、好ましくは0~50℃において、30分~24時間、好ましくは1~4時間反応させることによって製造することができる。
製造時のポリマー濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという点から、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの製造に用いる有機溶媒は、できるだけ脱水されていることが好ましく、窒素雰囲気中で、外気の混入を防ぐのが好ましい。
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを重縮合することにより製造することができる。具体的には、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンとを、縮合剤、塩基、及び有機溶媒の存在下で、0~150℃、好ましくは0~100℃において、30分~24時間、好ましくは3~15時間反応させることによって製造できる。
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで、反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量はジアミン成分に対して0~1.0倍モルが好ましい。
上記のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して、精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
本発明に用いられるポリイミド((A)成分におけるイミド化重合体)は、前記したポリアミック酸エステル又はポリアミック酸をイミド化することにより製造できる。
化学的イミド化は、イミド化させたいポリアミック酸を、有機溶媒中、塩基性触媒と酸無水物の存在下で、攪拌することにより行うことができる。有機溶媒としては、前述した重合反応時に用いる有機溶媒を使用することができる。塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でも、ピリジンは、反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、中でも、無水酢酸を用いると、反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
上記のようにして得られるポリイミドの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して、精製されたポリイミドの粉末を得ることができる。
前記貧溶媒は、特に限定されないが、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
本発明の液晶配向剤に含有される(B)成分は下記式(1)で表される化合物である。
また、式(Q1-1)及び式(Q1-2)における一価の有機基は、炭素数1~3のアルキル基であるのが好ましく、特に、メチル基が好ましい。
L1及びL2は水素原子である。但し、Q1が(Q1-1)である場合は、例えば、後記式B-5-1で表される化合物のように、L1及びL2は一緒になって単結合を形成していてもよい。
S1及びS2はそれぞれ独立に下記式(S)で表される基である。
式中、R2は水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基を表し、Lは炭素数2~20のアルキレンを表し、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、又は炭素数2~4のアルキニル基であり、qは1~3の自然数を表す。*は式(1)への結合を表す。
(B-1):上記式(1)において、q1及びq2が0であり、Q1が(Q1-1)であり、L1及びL2が水素原子である化合物、
(B-2):上記式(1)において、q1及びq2が0であり、Q1が(Q1-1)であり、L1及びL2が一緒になって単結合である化合物、
(B-3):上記式(1)において、q1及びq2が1であり、Q1が(Q1-1)であり、Q2が(Q1-1)であり、L1及びL2が水素原子である化合物、
(B-4):上記式(1)において、q1及びq2が1であり、Q1が(Q1-1)であり、Q2が単結合であり、L1及びL2が水素原子である化合物、
(B-5):上記式(1)において、q1及びq2が1であり、Q1が(Q1-1)であり、Q2が(Q1-1)であり、L1及びL2が一緒になって単結合である化合物、
(B-6):上記式(1)において、q1及びq2が1であり、Q1が単結合であり、Q2が(Q1-1)であり、L1及びL2が水素原子である化合物、
(B-7):上記式(1)において、q1及びq2が1であり、Q1が(Q1-1)であり、Q2が単結合であり、L1及びL2が一緒になって単結合である化合物、
(B-8):上記式(1)において、q1及びq2が0であり、Q1が(Q1-2)であり、L1及びL2が水素原子である化合物。
(B-9):上記式(1)において、q1及びq2が1であり、Q1が(Q1-2)であり、L1及びL2が水素原子である化合物。
本発明に用いられる液晶配向剤は、前記した(A)成分である特定重合体(A)及び(B)成分である式(1)で表される化合物が有機溶媒中に溶解された溶液の形態を有する。特定構造重合体(A)の分子量は、重量平均分子量で2,000~500,000が好ましく、より好ましくは5,000~300,000であり、さらに好ましくは、10,000~100,000である。また、数平均分子量は、好ましくは、1,000~250,000であり、より好ましくは、2,500~150,000であり、さらに好ましくは、5,000~50,000である。
本発明に用いられる液晶配向剤に含有される有機溶媒は、特定重合体(A)が均一に溶解する良溶媒あるのが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、又は4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどを挙げることができる。
さらに、本発明の重合体の溶媒への溶解性が高い場合は、前記式[D-1]~式[D-3]で示される溶媒を用いることが好ましい。
本発明の液晶配向剤における良溶媒は、液晶配向剤に含まれる溶媒全体の20~99質量%であることが好ましい。なかでも、20~90質量%が好ましい。より好ましいのは、30~80質量%である。
段落0077などとの整合性から削除を提案します。
例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、3-メチル-2-ブタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノール、3-メチルシクロヘキサノール、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2-ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、3-エトキシブチルアセタート、1-メチルペンチルアセタート、2-エチルブチルアセタート、2-エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、2-(メトキシメトキシ)エタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1-(ブトキシエトキシ)プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチルエチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n-プロピルエステル、乳酸n-ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル又は前記式[D-1]~式[D-3]で示される溶媒などを挙げることができる。
これら貧溶媒は、液晶配向剤に含まれる溶媒全体の1~80質量%であることが好ましい。なかでも、10~80質量%が好ましい。より好ましいのは20~70質量%である。
本発明の液晶配向膜は、上記液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥、焼成して得られる膜である。本発明の液晶配向剤を塗布する基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板、アクリル基板、ポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることができ、液晶駆動のためのITO電極等が形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。
ラビング処理は既存のラビング装置を利用して行うことができる。この際のラビング布の材質としては、コットン、ナイロン、レーヨンなどが挙げられる。ラビング処理の条件としては一般に、回転速度300~2000rpm、送り速度5~100mm/s、押し込み量0.1~1.0mmという条件が用いられる。その後、純水やアルコールなどを用いて超音波洗浄によりラビングにより生じた残渣が除去される。
偏光された紫外線の消光比が高いほど、より高い異方性が付与できるため、好ましい。具体的には、直線に偏光された紫外線の消光比は、10:1以上が好ましく、20:1以上がより好ましい。
接触処理に使用する溶媒としては、光照射によって生成した分解物を溶解する溶媒であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、1-メトキシ-2-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノールアセテート、ブチルセロソルブ、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、及び酢酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらの溶媒は2種以上を併用してもよい。
汎用性や安全性の点から、水、2-プロパンール、1-メトキシ-2-プロパノール及び乳酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。水、2-プロパンール、及び水と2-プロパノールの混合溶媒が特に好ましい。
上記接触処理の後に、使用した溶液中の有機溶媒を除去する目的で、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトンなどの低沸点溶媒によるすすぎ(リンス)や乾燥のいずれか、又は両方を行ってよい。
加熱の温度としては、150~300℃が好ましい。温度が高いほど、分子鎖の再配向が促進されるが、温度が高すぎると分子鎖の分解を伴う恐れがある。そのため、加熱温度としては、180~250℃がより好ましく、200~230℃が特に好ましい。
加熱する時間は、短すぎると分子鎖の再配向の効果が得られない可能性があり、長すぎると分子鎖が分解してしまう可能性があるため、10秒~30分が好ましく、1分~10分がより好ましい。
本発明の液晶表示素子は、前記液晶配向膜の製造方法によって得られた液晶配向膜を具備することを特徴とする。
本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤から前記液晶配向膜の製造方法によって液晶配向膜付きの基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製し、それを使用して液晶表示素子としたものである。
まず、透明なガラス製の基板を準備し、一方の基板の上にコモン電極を、他方の基板の上にセグメント電極を設ける。これらの電極は、例えばITO電極とすることができ、所望の画像表示ができるようパターニングされる。次いで、各基板の上に、コモン電極とセグメント電極を被覆するようにして絶縁膜を設ける。絶縁膜は、例えば、ゾル-ゲル法によって形成されたSiO2-TiO2からなる膜とすることができる。
次に、各基板の上に、本発明の液晶配向膜を形成する。次に、一方の基板に他方の基板を互いの配向膜面が対向するようにして重ね合わせ、周辺をシール材で接着する。シール材には、基板間隙を制御するために、通常、スペーサーを混入しておく。また、シール材を設けない面内部分にも、基板間隙制御用のスペーサーを散布しておくことが好ましい。シール材の一部には、外部から液晶を充填可能な開口部を設けておく。
次に、シール材に設けた開口部を通じて、2枚の基板とシール材で包囲された空間内に液晶材料を注入する。その後、この開口部を接着剤で封止する。注入には、真空注入法を用いてもよいし、大気中で毛細管現象を利用した方法を用いてもよい。次に、偏光板の設置を行う。具体的には、2枚の基板の液晶層とは反対側の面に一対の偏光板を貼り付ける。以上の工程を経ることにより、本発明の液晶表示素子が得られる。
本発明のシール剤には接着性、耐湿性の向上を目的として無機充填剤を配合してもよい。使用しうる無機充填剤としては特に限定されない。具体的には、球状シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、酸化チタン、チタンブラック、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられる。 なかでも、球状シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、酸化チタン、チタンブラック、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、又は珪酸アルミニウムが好ましい。無機充填剤は2種以上を混合して用いても良い。
NMP:N-メチル-2-ピロリドン、 BCS:ブチルセロソルブ
GBL:γ-ブチロラクトン、 THF:テトラヒドロフラン
装置:Varian NMR system 400NB(400MHz)(Varian社製)、及びJMTC-500/54/SS(500MHz)(JEOL社製)
測定溶媒:CDCl3(重水素化クロロホルム),DMSO-d6(重水素化ジメチルスルホキシド)
基準物質:TMS(テトラメチルシラン)(δ:0.0ppm,1H)及びCDCl3(δ:77.0ppm,13C)
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):8.20(s, 2H), 7.25(d, 4H, J = 6.8 Hz), 6.81(d, 4H, J = 6.8 Hz), 6.06(t, 2H, J = 5.8 Hz), 3.75(q, 12H, J = 7.5 Hz), 3.14(s, 3H), 3.06-3.01(m, 4H), 1.48-1.44(m, 4H), 1.15(t, 18H, J = 7.5 Hz), 0.57-0.53(m, 4H).
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):8.11(s, 2H), 7.83(s, 2H), 7.50(d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.17(d, 4H, J = 7.0 Hz), 7.15(d, 2H, J = 8.8 Hz), 6.72(d, 4H, J = 7.0 Hz), 6.03-6.00(m, 2H), 3.84(s, 3H), 3.75(q, 12H, J = 7.0 Hz), 3.25(s, 6H), 3.05-2.99(m, 4H), 1.48-1.43(m, 4H), 1.14(t, 18H, J = 7.0 Hz), 0.57-0.52(m, 4H).
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):8.36(s, 2H), 7.41(d, 4H, J = 6.8 Hz), 7.36(d, 4H, J = 6.8 Hz), 7.02(d, 4H, J = 6.8 Hz), 6.81(d, 4H, J = 6.8 Hz), 6.13(t, 2H, J = 5.8 Hz), 3.76(q, 12H, J = 7.0 Hz), 3.22(s, 6H), 3.08-3.03(m, 4H), 1.50-1.46(m, 4H), 1.14(t, 18H, J = 7.0 Hz), 0.58-0.54(m, 4H).
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):8.16(s, 2H), 7.20(s, 4H), 6.04(t, 2H, J = 5.6 Hz), 3.69(q, 8H, J = 7.0 Hz), 3.05-2.99(m, 4H), 1.46-1.41(m, 4H), 1.13(t, 12H, J = 7.0 Hz), 0.55-0.50(m, 4H), 0.06(s, 6H).
下記合成例における重合体溶液の粘度は、E型粘度計TVE-22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE-1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの200mLlの四つ口フラスコに、DA-1(4.03g,16.5mmol)、DA-2(3.59g、9.0mmol)、及びDA-3(2.51g、4.5mmol)を加えた後、NMP(74.0g)を加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。この溶液を撹拌しながらCA-1を(4.37g、19.5mmol)及びNMPを9.0gを加え、40℃条件下にて3時間攪拌した。その後、25℃条件下にてCA-2を(1.71g,8.7mmol)、及びNMPを9.0g加えた後、さらに12時間攪拌することでポリアミック酸溶液(粘度は480mPa・s)を得た。このポリアミック酸の分子量はMn=10,660であり、Mw=20,512であった。
合成例1で得られたポリアミック酸溶液を、得られる液晶配向剤中の溶媒表1に示す組成になるように、攪拌しながら、溶媒及び添加剤S1、S2、又はS3を加え、更に室温で2時間撹拌することにより液晶配向剤を得た。
※2:液晶配向剤中の全重合体100重量部に対する各添加剤の含有量(重量部)を示す。
※3:液晶配向剤100質量部に対する各溶媒の含有量(重量部)を示す。
FFS方式の液晶表示素子の構成を備えた液晶セルを作製する。初めに、電極付きの基板を準備した。基板は、縦30mm、横35mm、厚さ0.7mmのガラス基板である。基板上には第1層目として対向電極を構成する、IZO電極が全面に形成されている。第1層目の対向電極の上には、第2層目として、CVD法により成膜されたSiN(窒化珪素)膜が形成されている。第2層目のSiN膜の膜厚は500nmであり、層間絶縁膜として機能する。第2層目のSiN膜の上には、第3層目として、IZO膜をパターニングして形成された櫛歯状の画素電極が配置され、第1画素及び第2画素の2つの画素を形成している。各画素のサイズは、縦10mm、横約5mmである。このとき、第1層目の対向電極と第3層目の画素電極とは、第2層目のSiN膜の作用により、電気的に絶縁されている。
各画素の第1領域と第2領域とを比較すると、それらを構成する画素電極の電極要素の形成方向が異なるものとなっている。すなわち、後述する液晶配向膜のラビング方向を基準とした場合、画素の第1領域では、画素電極の電極要素が+10°の角度(時計回り)をなすように形成され、画素の第2領域では、画素電極の電極要素が-10°の角度(時計回り)をなすように形成されている。すなわち、各画素の第1領域と第2領域とでは、画素電極と対向電極との間の電圧印加によって誘起される液晶の、基板面内での回転動作(インプレーン・スイッチング)の方向が、互いに逆方向となるように構成されている。
上記液晶セルを、偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、画素電極と対向電極とを短絡して同電位にした状態で、2枚の偏光板の下からLEDバックライトを照射しておき、2枚の偏光板の上で測定するLEDバックライト透過光の輝度が最小となるように、液晶セルの角度を調節した。
次に、この液晶セルに周波数30Hzの矩形波を印加しながら、23℃の温度下でのV-T特性(電圧-透過率特性)を測定し、相対透過率が23%となる交流電圧を算出した。この交流電圧は電圧に対する輝度の変化が大きい領域に相当するため、蓄積電荷を輝度を介して評価するのに都合がよい。
次に、23℃の温度下において相対透過率が23%となる交流電圧で、なおかつ周波数30Hzの矩形波を5分間印加した後、+1.0Vの直流電圧を重畳し30分間駆動させた。その後、直流電圧を切り、再び相対透過率が23%となる交流電圧で、なおかつ周波数30Hzの矩形波のみを15分間印加した。
蓄積した電荷の緩和が速いほど、直流電圧を重畳したときの液晶セルへの電荷蓄積も速いことから、蓄積電荷の緩和特性は、直流電圧を重畳した直後の相対透過率から2%以上低下するまでに要した時間で評価した。すなわち、相対透過率が30分以内に2%以上低下した場合に「良好」、30分経過しても相対低下率が2%以上低下しない場合に「不良」と定義して評価を行った。
この液晶セルを用い、60℃の恒温環境下、周波数30Hzで9VPPの交流電圧を190時間印加した。その後、液晶セルの画素電極と対向電極との間を短絡させた状態にし、そのまま室温に一日放置した。
放置の後、液晶セルを偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、電圧無印加の状態でバックライトを点灯させておき、透過光の輝度が最も小さくなるように液晶セルの配置角度を調整した。そして、第1画素の第2領域が最も暗くなる角度から第1領域が最も暗くなる角度まで液晶セルを回転させたときの回転角度を角度Δとして算出した。第2画素でも同様に、第2領域と第1領域とを比較し、同様の角度Δを算出した。そして、第1画素と第2画素の角度Δ値の平均値を液晶セルの角度Δとして算出した。この液晶セルの角度Δの値が0.2度未満の場合には「良好」、角度Δの値が0.2度以上の場合には「不良」と定義し評価した。
得られた液晶セルに60℃の温度下で1Vの電圧を60μs間印加し、50ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率として計算した。なお、電圧保持率の測定には、東陽テクニカ社製の電圧保持率測定装置VHR-1を使用した。
縦40mm、横40m、厚さ1.0mmの石英基板を準備した。次に、液晶配向剤を1.0μmのフィルターで濾過した後、上記石英基板にスピンコートした。次いで、80℃のホットプレート上で2分間乾燥後、230℃で20分間焼成し、各基板上に膜厚100nmのポリイミド膜を得た。
透明性の評価は、前記手法で得られた基板の透過率を測定することで行った。具体的には、測定装置にUV-3600(島津製作所社製)を用い、温度25℃、スキャン波長を300~800nmの条件で、透過率を測定した。その際、リファレンス(参照例)に何も塗布していない石英基板を用いて行った。評価は、400~800nmの波長の平均透過率を算出し、透過率が高いものほど、透明性に優れるとした。
上記実施例1~3、及び比較例1~2の各液晶配向剤を使用する液晶表示素子に関し、上記で実施した残像消去時間の評価、液晶配向の安定性評価、及び透明性の評価の結果を表2に示す。
なお、2018年3月19日に出願された日本特許出願2018-51091号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (9)
- 下記(A)成分、(B)成分、及び有機溶媒を含有することを特徴とする液晶配向剤。
(A)成分:下記式(2)で表される構造を有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体。
(B)成分:下記式(1)で表され、かつ、該式(1)において下記(B-3)乃至(B-9)からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物。
L1及びL2は水素原子である。但し、Q1が(Q1-1)である場合は、L1及びL2は一緒になって単結合を形成していてもよい。
S1及びS2は、それぞれ独立に、下記式(S)で表される基である。
(B-3):q1、q2が1であり、Q 1 が(Q1-1)であり、Q 2 が(Q1-1)であり、L 1 、L 2 が水素原子である化合物。
(B-4):q1、q2が1であり、Q 1 が(Q1-1)であり、Q 2 が単結合であり、L 1 、L 2 が水素原子である化合物。
(B-5):q1、q2が1であり、Q 1 が(Q1-1)であり、Q 2 が(Q1-1)であり、L 1 、L 2 が一緒になって単結合である化合物。
(B-6):q1、q2が1であり、Q 1 が単結合であり、Q 2 が(Q1-1)であり、L 1 、L 2 が水素原子である化合物。
(B-7):q1、q2が1であり、Q 1 が(Q1-1)であり、Q 2 が単結合であり、L 1 、L 2 が一緒になって単結合である化合物。
(B-8):q1、q2が0であり、Q 1 が(Q1-2)であり、L 1 、L 2 が水素原子である化合物。
(B-9):q1、q2が1であり、Q 1 が(Q1-2)であり、L 1 、L 2 が水素原子である化合物。 - 前記ポリイミド前駆体が、その有する全構造単位に対して、前記式(3)で表される構造単位を20~100モル%含む請求項2に記載の液晶配向剤。
- 前記(A)成分を含む重合体を、液晶配向剤中、1~10質量%含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
- 前記(B)成分を、前記(A)成分に対して、0.1~20質量%含有する請求項1~5のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
- 請求項7に記載の液晶配向膜を具備する横電界方式の液晶表示素子。
- IPS方式又はFFS方式である請求項8に記載の横電界方式の液晶表示素子。
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