JP7334484B2 - エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びに繊維強化複合材 - Google Patents

エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びに繊維強化複合材 Download PDF

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Description

本発明は、エポキシ樹脂硬化剤、該エポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びに、該エポキシ樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含む繊維強化複合材に関する。
繊維強化複合材(以下「FRP(Fiber Reinforced Plastics)」ともいう)の中でも炭素繊維強化複合材(Carbon Fiber Reinforced Plastics:CFRP)は、非常に高い弾性率、強度を有し、かつ軽量であることから金属代替材料として注目されている。CFRPは特に自動車構造材用途、風力発電ブレード用途、圧力容器用途、航空宇宙用途への需要が加速することが見込まれており、CFRPに用いられる炭素繊維と、エポキシ樹脂等のマトリクス樹脂の需要も近年増大している。
ところで、自動車構造材用途、風力発電ブレード用途、圧力容器用途、航空宇宙用途それぞれにおいてFRPの成形方法が異なることから、FRP用のマトリクス樹脂に対する要求特性も用途によって異なっている。
例えば風力発電ブレードは、インフュージョン成形、Va-RTM法(Vacuum Assist Resin Transfer Molding)又はLight-RTM法にて成形されるようになってきた。これらの方法では、例えば、フィルムやFRPを使用した上型と、下型とからなる型内に予め強化繊維を配置し、この金型内を真空引きし、マトリクス樹脂となるエポキシ樹脂組成物を常圧で充填して強化繊維へ含浸させ、次いで、該エポキシ樹脂を硬化させて成形する。
インフュージョン成形やVa-RTM法、Light-RTM法による成形では、その成形法の特徴上、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを混合したエポキシ樹脂組成物を金型内へ充填するのに、通常は数十分程度かかる。そのため、これらの成形法に使用されるエポキシ樹脂組成物には低粘度でかつポットライフが長いことが要求される。エポキシ樹脂硬化剤としては、イソホロンジアミン、ポリエーテル骨格のポリアミン化合物等が使用されている。
また、圧力容器用途のFRPにおいては、フィラメントワインディング法による成形が用いられる。フィラメントワインディング法は、強化繊維糸にエポキシ樹脂組成物などのマトリクス樹脂を含浸させた強化繊維糸を用いてライナーの外表面を被覆した後、該マトリクス樹脂を硬化させる方法である。この方法に用いるエポキシ樹脂組成物は、ポットライフが短く速硬化性であると、成形前の段階でエポキシ樹脂が硬化してしまう。したがってフィラメントワインディング法には速硬化性のエポキシ樹脂組成物は適用できない。
これに対し自動車構造材用途のFRPは、ハイサイクルRTM法にて成形されている。これは従来のRTM法を改良したものである。
従来のRTM法は上下一対の金型を使用した密閉型成形の一つであり、該金型内に繊維強化プリフォームを配置し、金型をクランプして密閉した後、注入孔からエポキシ樹脂組成物等の樹脂を金型内に注入して繊維強化プリフォームに含浸させ、次いで該樹脂を硬化させた後、離型するという方法である。しかしながら従来のRTM法では、成形時間(プリフォームの配置、樹脂含浸、樹脂硬化、及び離型まで)に数時間を要するため、自動車構造材用途のFRPの製造では、より生産性の高いハイサイクルRTM法が用いられている。
ハイサイクルRTM法による成形技術は、繊維強化プリフォームの配置時間、樹脂の含浸時間、樹脂の硬化時間、及び離型時間のすべてを大幅に短縮したものである。ハイサイクルRTM法において、樹脂の含浸から硬化までの工程では、例えばハイサイクルRTM法の一種である高圧RTM法において、上下一対の金型内に強化繊維を配置して密閉し、金型内を減圧にする。次いで、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを、別々のタンクからミキシングヘッドへミスト状態で圧送し、衝突混合後に速やかに金型内に注入して強化繊維に含浸させ、エポキシ樹脂を硬化させる。衝突混合後のエポキシ樹脂組成物は、金型内への充填速度及び強化繊維への含浸速度を高めるため、複数の注入孔から高圧注入される。
ハイサイクルRTM法では、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを混合後速やかに金型内に注入することから、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との混合物であるエポキシ樹脂組成物のポットライフはそれほど重視されない。一方で、生産性の観点から、強化繊維への含浸性や金型への充填、及び硬化が速いことが要求されるため、ハイサイクルRTM法に用いるエポキシ樹脂組成物には、低粘度でかつ速硬化性であることが望まれる。
エポキシ樹脂硬化剤としてポリアミンが有用であることは知られている。例えば特許文献1には、2,5-及び/又は2,6-ジアミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンを必須成分とした樹脂組成物からなるエポキシ樹脂用硬化剤が開示されている。
特開2001-163954号公報
自動車構造材用途の中でも、高級車向けのFRPにおいては意匠性が重視されてきており、特に、紫外線照射環境下に長時間供しても硬化物の黄変が少なく耐候性が高い材料が望まれている。しかしながら従来のFRP用のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、耐候性の面で必ずしも満足のいくものではなかった。
本発明の課題は、低粘度で速硬化性を有し、紫外線照射環境下に長時間供しても黄変が少なく、耐候性に優れる硬化物を形成できるエポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供し得るエポキシ樹脂硬化剤、並びに、該エポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維とを含む繊維強化複合材を提供することにある。
本発明者は、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとノルボルナンジアミンを所定の比率で含有するエポキシ樹脂硬化剤が上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記に関する。
[1]ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(A)とノルボルナンジアミン(B)とを含有し、成分(A)と成分(B)との質量比(A)/[(A)+(B)]が0.25以上である、エポキシ樹脂硬化剤。
[2]前記成分(A)及び成分(B)の合計含有量が50質量%以上である、上記[1]に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
[3]上記[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物。
[4]前記エポキシ樹脂が分子内に脂環式構造を有するエポキシ樹脂である、上記[3]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[5]上記[3]又は[4]に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
[6]上記[5]に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含む繊維強化複合材。
[7]前記強化繊維が炭素繊維である、上記[6]に記載の繊維強化複合材。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物によれば、ハイサイクルRTM法などによって、自動車用構造材や建材などのFRPを生産性よく製造できる。また、紫外線照射環境下に長時間供しても黄変が少なく耐候性が高い硬化物及びFRPを提供することができる。
実施例1~2及び比較例1~3で得られた硬化物の耐候性試験結果を示したグラフである。 実施例3~4及び比較例4で得られた硬化物の耐候性試験結果を示したグラフである。
[エポキシ樹脂硬化剤]
本発明のエポキシ樹脂硬化剤(以下単に「本発明の硬化剤」ともいう)は、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(A)(以下単に「成分(A)」ともいう)とノルボルナンジアミン(B)(以下単に「成分(B)」ともいう)とを含有し、成分(A)と成分(B)との質量比(A)/[(A)+(B)]が0.25以上である。
上記エポキシ樹脂硬化剤を用いて得られるエポキシ樹脂組成物は低粘度でかつ速硬化性になり、その硬化物は紫外線照射環境下に長時間供しても黄変が少なく、耐候性に優れる。
<ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(A)>
本発明の硬化剤は、成分(A)としてビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含有する。本発明の硬化剤は、後述する成分(B)に対し成分(A)を所定の割合で配合することにより、得られるエポキシ樹脂組成物の低粘度性及び速硬化性を維持しつつ、その硬化物の耐候性を向上させることができる。また該硬化物のガラス転移温度(Tg)も高いものとなる。
ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとしては、1,2-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。低粘度性及び速硬化性の観点からは、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。
ビス(アミノメチル)シクロヘキサンには、シス体、トランス体のいずれも含まれる。シス体、トランス体の含有比率は任意であるが、シス体及びトランス体の両方を含む場合、凝固点降下により、冬場などの低温環境下でも液体として取り扱うことができることから、シス体/トランス体の含有比率は、好ましくは99/1~1/99、より好ましくは95/5~30/70、さらに好ましくは90/10~50/50、よりさらに好ましくは85/15~60/40である。
<ノルボルナンジアミン(B)>
本発明においてノルボルナンジアミンとしては、2,5-ジアミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6-ジアミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はこれらの混合物を用いることができる。2,5-ジアミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6-ジアミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物を用いる場合、その混合比率に特に制限はなく、任意の範囲で選択できる。
本発明の硬化剤中の成分(A)と成分(B)との質量比(A)/[(A)+(B)]は0.25以上である。質量比(A)/[(A)+(B)]が0.25以上であれば、得られるエポキシ樹脂組成物は低粘度でかつ速硬化性であり、かつ硬化物を紫外線照射環境下に長時間供しても黄変が少なく、耐候性に優れるものとなる。
得られるエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐候性向上の観点から、当該質量比(A)/[(A)+(B)]は、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.40以上、さらに好ましくは0.45以上である。質量比(A)/[(A)+(B)]の上限は1未満であればよく、成分(B)由来の物性を発現する観点からは、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.85以下、よりさらに好ましくは0.80以下、よりさらに好ましくは0.70以下、よりさらに好ましくは0.60以下である。
本発明の硬化剤は成分(A)及び成分(B)以外の硬化剤成分を含有していてもよいが、硬化物の耐候性の観点からは、本発明の硬化剤は芳香環を含まない硬化剤成分のみで構成されていることが好ましい。該硬化剤を用いて得られるエポキシ樹脂組成物の硬化物は、紫外線照射環境下に長時間供しても黄変が少なく、より耐候性に優れるものとなる。
成分(A)及び成分(B)以外の硬化剤成分としては、メンセンジアミン、イソホロンジアミン(IPDA)、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、N-アミノメチルピペラジン、N-アミノエチルピペラジン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレントリアミン等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
但し、本発明のエポキシ樹脂硬化剤中の成分(A)及び成分(B)の合計含有量は、得られるエポキシ樹脂組成物の低粘度性、速硬化性、及び硬化物の耐候性の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上である。また、上限は100質量%である。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、温度25℃における粘度が好ましくは150mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下、さらに好ましくは60mPa・s以下である。温度25℃における粘度が150mPa・s以下であると、エポキシ樹脂との混和が容易であり、FRP用途に用いた際には生産性が向上する。エポキシ樹脂硬化剤の温度25℃における粘度の下限値には特に制限はないが、エポキシ樹脂との混和性の点から、好ましくは10mPa・s以上である。エポキシ樹脂硬化剤の粘度は、E型粘度計を用いて、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤の調製方法には特に制限はなく、使用形態や使用装置、配合成分の種類及び配合割合等に応じて適宜選択することができる。例えば成分(A)、成分(B)、及び必要に応じその他の配合成分を同時に接触させて混合してもよいし、エポキシ樹脂硬化剤を構成する一部の成分を濃度勾配をつけながら供給し、混合してもよい。また後述するように、エポキシ樹脂組成物の調製時に、エポキシ樹脂硬化剤に含まれる各成分とエポキシ樹脂とを同時に混合して調製してもよい。
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記本発明のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有する。本発明の硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物は、低粘度でかつ速硬化性を有し、紫外線照射環境下に長時間供しても黄変が少なく、耐候性に優れる硬化物を形成できる。
エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂は、本発明のエポキシ樹脂硬化剤中の活性アミン水素と反応し得るエポキシ基を有する樹脂であればよいが、低粘度のエポキシ樹脂組成物を得る観点からは、室温(25℃)で液体のエポキシ樹脂が好ましい。また、硬化物の機械的強度の観点からは、分子内に芳香環又は脂環式構造を含むエポキシ樹脂であることがより好ましい。
分子内に芳香環を含むエポキシ樹脂としては、少なくとも1つの芳香環と、少なくとも2つのエポキシ基とを含む樹脂であればよい。前記芳香環は単環でも縮合環でもよく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、及びテトラセン環が例示されるが、これらに限定されるわけではない。これらの中でも、好ましくはベンゼン環及びナフタレン環であり、より好ましくはベンゼン環である。
分子内に芳香環を含む好ましいエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;レゾルシノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記の中でも、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びビフェノール型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、低粘度でかつ硬化物の機械的強度を確保できる観点から、下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂がさらに好ましい。

(式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基であり、p、q、r、及びsはそれぞれ独立に0~4の整数である。複数のR、複数のR、複数のR、及び複数のRはすべて同一でもよく、互いに異なってもよい。Y及びYはそれぞれ独立に、単結合、-CH-、-CH(CH)-、又は-C(CH-である。Rは-CHCH(OH)-、又は-CH(OH)CH-である。mは平均繰り返し単位数を示し、0~0.2の数である。)
~Rは炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びt-ブチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
p、q、r、及びsはいずれも0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、すべて0であることがさらに好ましい。
及びYは-CH-、又は-C(CH-であることが好ましく、-C(CH-であることがより好ましい。
また、低粘度でかつ硬化物の機械的強度を確保できる観点から、mは0~0.15であることが好ましく、0.01~0.1であることがより好ましい。
上記の中でも、より好ましくは下記式(1-1)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂である。

上記式中、R及びmは前記と同じである。
分子内に脂環式構造を含むエポキシ樹脂としては、少なくとも1つの脂環式構造と、少なくとも2つのエポキシ基とを含む樹脂であればよい。
脂環式構造における環員炭素数は、好ましくは5~20、より好ましくは5~12、さらに好ましくは5~10、よりさらに好ましくは5~8、よりさらに好ましくは6である。当該脂環式構造は飽和であっても不飽和であってもよく、単環であっても多環であってもよい。また、当該脂環式構造は置換基を有していてもよい。当該置換基としては例えば、炭素数1~8のアルキル基、水酸基、炭素数1~8のアルコキシ基等が挙げられる。
当該脂環式構造としては、シクロアルカン環、シクロアルケン環、ビシクロアルカン環、ビシクロアルケン環、及びトリシクロアルカン環等が例示されるが、これらに限定されるわけではない。これらの中でも、好ましくはシクロアルカン環、より好ましくは炭素数5~8のシクロアルカン環、さらに好ましくはシクロヘキサン環である。
硬化物の耐候性の観点からは、分子内に脂環式構造を含むエポキシ樹脂の中でも、脂環式構造を含み、かつ芳香環を含まないエポキシ樹脂であることが好ましい。芳香環を含まないエポキシ樹脂であると、紫外線照射環境下に長時間供しても黄変が少なく、より耐候性に優れる硬化物が得られる。
分子内に脂環式構造を含む好ましいエポキシ樹脂としては、例えば、脂環式構造を有するポリオール、脂環式構造を有するポリアミン、及び、脂環式構造を有しかつヒドロキシ基及びアミノ基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、エピクロロヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
脂環式構造を有するポリオールとしては、ジヒドロキシシクロヘキサン、ビシクロヘキサンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。
脂環式構造を有するポリアミンとしては、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン等が挙げられる。また、脂環式構造を有しかつヒドロキシ基及びアミノ基を有する化合物としては、アミノシクロヘキサノール等が挙げられる。
また、前述した芳香環を含むエポキシ樹脂に水素添加して得られる水添エポキシ樹脂も好ましいものとして挙げられる。
上記の中でも、エポキシ樹脂組成物の低粘度性、速硬化性、硬化物の機械的強度及び耐候性、並びに入手性の観点から、分子内に脂環式構造を含むエポキシ樹脂としては下記一般式(2)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。

(式(2)中、R11~R14はそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基であり、t、u、v、及びwはそれぞれ独立に0~4の整数である。複数のR11、複数のR12、複数のR13、及び複数のR14はすべて同一でもよく、互いに異なってもよい。Y及びYはそれぞれ独立に、単結合、-CH-、-CH(CH)-、又は-C(CH-である。R15は-CHCH(OH)-、又は-CH(OH)CH-である。nは平均繰り返し単位数を示し、0~0.2の数である。)
11~R14は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びt-ブチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
t、u、v、及びwはいずれも0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、すべて0であることがさらに好ましい。
及びYは-CH-、又は-C(CH-であることが好ましく、-C(CH-であることがより好ましい。
また、低粘度でかつ硬化物の機械的強度を確保できる観点から、nは0~0.15であることが好ましく、0.01~0.1であることがより好ましい。
前記一般式(2)で示されるエポキシ樹脂は、脂環式構造を有するポリオールとエピクロロヒドリンとの反応により得られたものでもよく、前記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を水素添加して得られる水添エポキシ樹脂でもよい。
前記一般式(2)で示されるエポキシ樹脂が水添エポキシ樹脂である場合、その水素添加率は、耐候性に優れる硬化物を得る観点から100%に近い方が好ましいが、50%以上であればよく、好ましくは70~100%、より好ましくは80~100%、さらに好ましくは90~100%、よりさらに好ましくは95~100%である。
上記の中でも、より好ましくは下記式(2-1)で示される水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂である。

上記式中、R15及びnは前記と同じである。
エポキシ樹脂としては、硬化物の機械的強度の観点からは、前記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂及び前記一般式(2)で示されるエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、前記式(1-1)で示されるエポキシ樹脂及び前記式(2-1)で示されるエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。一方、硬化物の機械的強度及び耐候性の観点からは、エポキシ樹脂としては、分子内に脂環式構造を含むエポキシ樹脂が好ましく、前記一般式(2)で示されるエポキシ樹脂がより好ましく、前記一般式(2-1)で示されるエポキシ樹脂がさらに好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、エポキシ樹脂組成物の低粘度性及び速硬化性を両立する観点から、好ましくは400g/当量以下、より好ましくは300g/当量以下、さらに好ましくは250g/当量以下、よりさらに好ましくは220g/当量以下である。
エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、さらに、充填材、可塑剤などの改質成分、揺変剤などの流動調整成分、顔料、レベリング剤、粘着付与剤、エラストマー微粒子等のその他の成分を用途に応じて含有させてもよい。
但し、本発明の効果を有効に得る観点から、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂の合計量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上である。また、上限は100質量%である。
本発明のエポキシ樹脂組成物中の前記エポキシ樹脂硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性アミン水素数の比(エポキシ樹脂硬化剤中の活性アミン水素数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)が、好ましくは1/0.5~1/2、より好ましくは1/0.75~1/1.5、さらに好ましくは1/0.8~1/1.2となる量である。
本発明のエポキシ樹脂組成物の温度25℃における粘度は、使用するエポキシ樹脂によっても異なるが、好ましくは1.5Pa・s以下、より好ましくは1Pa・s以下、さらに好ましくは800mPa・s以下である。エポキシ樹脂組成物の温度25℃における粘度が上記範囲であると、FRP用途に用いた際には生産性が向上する。またエポキシ樹脂組成物の温度25℃における粘度の下限値には特に制限はない。なおFRPの成形において、レイノルズ数の上昇により金型内で乱流が生じて強化繊維に乱れが生じることを抑制する点からは、本発明のエポキシ樹脂組成物の粘度は、成形時の温度において、好ましくは5mPa・s以上である。
エポキシ樹脂組成物の粘度は、E型粘度計を用いて測定できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、速硬化性の観点から、温度80℃におけるゲル化時間が、好ましくは30分以下、より好ましくは25分以下、さらに好ましくは20分以下、よりさらに好ましくは15分以下であり、作業性の観点からは、好ましくは0.5分以上、より好ましくは1.0分以上である。
上記ゲル化時間はレオメーターを用いて、実施例に記載の方法で測定できる。具体的には、レオメーターを用いて、温度80℃で、周波数1Hz、プレート間距離0.5mmでエポキシ樹脂組成物の貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’を測定し、G’とG’’とが交差する点をゲル化時間とする。
本発明のエポキシ樹脂組成物の調製方法には特に制限はなく、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂、及び必要に応じ他の成分を公知の方法及び装置を用いて混合し、製造することができる。エポキシ樹脂組成物に含まれる各成分の混合順序にも特に制限はなく、前記エポキシ樹脂硬化剤を調製した後、これをエポキシ樹脂と混合してもよく、エポキシ樹脂硬化剤を構成する成分(A)、成分(B)、並びにその他の各成分と、エポキシ樹脂とを同時に混合して調製してもよい。
使用前にゲル化が進行するのを避ける観点から、エポキシ樹脂組成物に含まれる各成分は使用直前に接触させて混合することが好ましい。エポキシ樹脂組成物に含まれる各成分を混合する際の温度は、エポキシ樹脂の粘度に応じて適宜調整できるが、粘度上昇を抑制する観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下であり、エポキシ樹脂の混和性の観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上である。また、混合時間は好ましくは0.1~15分、より好ましくは0.2~10分、さらに好ましくは0.5~5分の範囲である。装置としては、例えば後述する各種成形方法において例示される装置を用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、低粘度でかつ速硬化性であるという特徴を有することから、繊維強化複合材用であることが好ましく、特に、炭素繊維強化複合材用であることが好ましい。
[硬化物]
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物(以下、単に「本発明の硬化物」ともいう)は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物を公知の方法で硬化させたものである。エポキシ樹脂組成物の硬化条件は用途、形態に応じて適宜選択され、特に限定されない。
例えばエポキシ樹脂組成物の用途が塗料である場合、当該組成物の硬化物は通常、膜状である。なお本発明の効果を有効に発揮する観点からは、本発明の硬化物は後述する繊維強化複合材のマトリックス樹脂であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、繊維強化複合材などに用いた際の成形品の生産性を向上させる観点、及び成形品の耐熱性の観点から、硬化物のガラス転移温度(Tg)が高い方が好ましい。エポキシ樹脂組成物の硬化物のTgが高いと、繊維強化複合材などに用いた際に金型を低い温度まで冷却しなくても離型可能であるため、成形サイクルを短縮できる。また、成形品の耐熱性も良好になる。
例えば本発明のエポキシ樹脂組成物は、温度120℃で5分硬化させて得られた硬化物について、示差走査熱量計を用いて、昇温速度5℃/分の条件で30~250℃まで示差走査熱分析を行うことにより求められるTgが好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上、よりさらに好ましくは130℃以上である。硬化物のTgは、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
[繊維強化複合材]
本発明の繊維強化複合材(FRP)は、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含むものであり、強化繊維に前記エポキシ樹脂組成物を含浸させた後、該組成物を硬化させることにより得ることができる。
強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維及び金属繊維などが挙げられる。強化繊維は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、得られる複合材の強度及び軽量性の観点からは炭素繊維が好ましい。すなわち本発明の繊維強化複合材は、好ましくは前記エポキシ樹脂組成物の硬化物と、炭素繊維とを含む炭素繊維強化複合材(CFRP)である。
CFRPに用いられる炭素繊維は、レーヨンやポリアクリロニトリル(PAN)などを原料として製造したものであってもよいし、石油や石炭などのピッチを原料として紡糸して製造したものであってもよい。また、炭素繊維の端材を再利用した再生品や、CFRPから樹脂を除去した再生品の炭素繊維を用いることもできる。炭素繊維の形態は、例えば単にモノフィラメント又はマルチフィラメントを一方向または交互の交差するように並べたもの、編織物等の布帛、不織布あるいはマット等の種々の形態が挙げられる。これらのうち、モノフィラメント、布帛、不織布あるいはマットの形態が好ましく、布帛の形態がより好ましい。
炭素繊維の平均繊維径は、1~100μmであることが好ましく、3~50μmがより好ましく、4~20μmであることがさらに好ましい。平均繊維径がこの範囲であると、加工が容易であり、得られるCFRPの弾性率及び強度が優れたものとなる。なお、平均繊維径は走査型電子顕微鏡(SEM)などによる観察によって測定することが可能である。50本以上の繊維を無作為に選んで長さを測定し、個数平均の平均繊維径を算出することができる。
炭素繊維の繊度は、20~4,500texが好ましく、50~4,000texがより好ましい。繊度がこの範囲であると、エポキシ樹脂組成物の含浸が容易であり、得られる複合材の弾性率及び強度が優れたものとなる。なお、繊度は任意の長さの長繊維の重量を求めて、1,000m当たりの重量に換算して求めることができる。フィラメント数は通常、500~60,000程度の炭素繊維を好ましく用いることができる。
FRPは、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維の他に、さらに発泡材を含んでもよい。発泡材としては特に制限はないが、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂材料から構成される発泡材が挙げられる。
<繊維強化複合材の製造方法>
本発明の繊維強化複合材の製造方法には特に制限はないが、本発明のエポキシ樹脂組成物は速硬化性であるため、エポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを成形の直前に混合した後、より短時間内に強化繊維への含浸及び硬化を行うことが好ましい。
この観点から、本発明の繊維強化複合材の製造方法は、低圧RTM法、中圧RTM法、高圧RTM法、コンプレッションRTM法、リキッドコンプレッションモールディング法、リキッドレイダウン法、スプレーレイダウン法、サーフェイスRTM法、プリプレグコンプレッションモールディング法又はリキッドキャストモールディング法により成形する工程を有することが好ましい。これらの成形法の中でも、ハイサイクルRTM法に適用する観点から、低圧RTM法、中圧RTM法、又は高圧RTM法が好ましく、中圧RTM法又は高圧RTM法がより好ましく、成形速度の観点からは高圧RTM法がさらに好ましい。
なお本明細書において、低圧RTM法における「低圧」とは、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを圧送して混合する際の圧送時の圧力が0.5MPa未満であることをいう。同様に、中圧RTM法における「中圧」とは上記圧力が0.5MPa以上、7MPa未満、高圧RTM法における「高圧」とは上記圧力が7MPa以上、20MPa以下であるものを指す。
上記成形法では、主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを成形の直前に混合して使用することが可能である。また、得られるエポキシ樹脂組成物は低粘度でかつ速硬化性であり、金型内への充填及び強化繊維への含浸が速く、速やかに硬化するため、成形時間を大幅に短縮できる。したがって本発明のエポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物は、上記成形法に特に好適である。また、上記成形法を用いることにより、本発明のエポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物を適用して、自動車用構造材や建材用などの中~大型のFRPを生産性よく製造することができる。
高圧RTM法では、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを混合する装置として衝突混合ミキサーを使用することが好ましい。例えば、上下一対の金型内に強化繊維を配置して密閉し、金型内を減圧にする。次いで、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを別々のタンクに充填し、それぞれを非常に小さい穴(オリフィス)から高速で吐出し、衝突混合ミキサーのミキシングチャンバー内で衝突混合させる。このようにして調製したエポキシ樹脂組成物を金型内に高圧注入して強化繊維に含浸させ、次いで、エポキシ樹脂を硬化させる。
低圧RTM法では、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを混合する装置としてダイナミックミキサーを使用することが好ましい。ダイナミックミキサーは、表面に凹凸を有する筒状の高速回転体を備えている。例えば、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを別々のタンクに充填し、それぞれをダイナミックミキサーに送液して前記回転体により主剤と硬化剤の2液を混合する。このようにして調製したエポキシ樹脂組成物を金型内に注入して強化繊維に含浸させ、次いで、エポキシ樹脂を硬化させる。低圧RTM法は、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤との配合比が大きく異なる場合や、装置コスト、装置の省スペース化の観点で有利である。
中圧RTM法では、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを混合する装置としてスタティックミキサーを使用することが好ましい。スタティックミキサーは、多数のミキシングエレメントからなる静止型混合器を1個以上組み込んだ管型混合器である。例えば、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを別々のタンクに充填し、それぞれをスタティックミキサーに送液する。スタティックミキサーのねじれたエレメントにエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の2液を通すことで、分割・転換・反転等の作用より2液が混合される。このようにして調製したエポキシ樹脂組成物を金型内に注入して強化繊維に含浸させ、次いで、エポキシ樹脂を硬化させる。中圧RTM法は、金型内にエポキシ樹脂組成物を圧送できること、及び、装置コストの観点で有利である。
FRPが前記エポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維の他にさらに発泡材を含む場合は、前記金型内に強化繊維及び発泡材を配置して、前記と同様にFRPの製造を行うことができる。
リキッドコンプレッションモールディング(LCM)法、リキッドレイダウン法にも本発明のエポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物を好適に用いることができる。LCM法及びリキッドレイダウン法では、強化繊維上(FRPがさらに発泡材を含む場合は、強化繊維及び発泡材上)にエポキシ樹脂組成物を流延させて含浸させた後、加熱圧縮してエポキシ樹脂を硬化させる。Dynamic Fluid Compression Molding法は、LCM法、リキッドレイダウン法、及びWCM法の改良方法であり、加熱圧縮の際に金型内を減圧することが特徴である。
FRPの成形において、エポキシ樹脂組成物を金型内に注入、又は強化繊維に含浸させる際の温度は、好ましくは30~120℃、より好ましくは50~100℃である。エポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂とを別々のタンクから供給して成形直前に混合する場合、エポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂との混合時の温度は、個別に設定することもできる。エポキシ樹脂硬化剤の混合時の温度は、粘度上昇を抑制する観点から、好ましくは5~30℃、より好ましくは10~25℃である。またエポキシ樹脂の混合時の温度は、エポキシ樹脂の粘度に応じて適宜調整できるが、好ましくは30~120℃、より好ましくは50~100℃である。上記温度は成形中一定であってもよいし、成形中に変動させてもよい。
エポキシ樹脂組成物の強化繊維への含浸時間は、成形性及び生産性の観点から、好ましくは0.1~15分、より好ましくは0.2~10分、さらに好ましくは0.5~5分である。
エポキシ樹脂組成物を金型内に注入する際の吐出速度は、成形性及び生産性の観点から、好ましくは毎秒5~400g、より好ましくは毎秒10~100g、さらに好ましくは毎秒20~60gである。上記速度は成形中一定であってもよいし、成形中に変動させてもよい。
エポキシ樹脂組成物の硬化温度は、好ましくは50~200℃、より好ましくは80~150℃、さらに好ましくは100~150℃である。硬化温度は成形中一定であってもよいし、成形中に変動させてもよい。硬化温度が50℃以上であれば、エポキシ樹脂の硬化が十分に進み、得られるFRPの機械的特性が優れたものとなる。また、200℃以下であれば、金型温度調整にかかるコストが低く済む。エポキシ樹脂組成物の硬化時間は、硬化温度等に応じ適宜選択できるが、成形性及び生産性の観点から、好ましくは0.1~15分、より好ましくは0.2~10分、さらに好ましくは0.5~5分である。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、上記の成形法によりFRPを生産性よく製造することができる。本発明の繊維強化複合材は、自動車用構造材や建材、特に自動車用構造材であることが好ましい。自動車用構造材としては、バンパー、スポイラー、カウリング、フロントグリル、ガーニッシュ、ボンネット、トランクリッド、フェンダーパネル、ドアパネル、ルーフパネル、インストルメントパネル、ドアトリム、クオータートリム、ルーフライニング、ピラーガーニッシュ、デッキトリム、トノボード、パッケージトレイ、ダッシュボード、コンソールボックス、キッキングプレート、スイッチベース、シートバックボード、シートフレーム、アームレスト、サンバイザ、インテークマニホールド、エンジンヘッドカバー、エンジンアンダーカバー、オイルフィルターハウジング等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物の各種測定及び評価は、以下の方法に従って行った。
(粘度)
E型粘度計「TVE-22H型粘度計 コーンプレートタイプ」(東機産業(株)製)を用いて、25℃にてエポキシ樹脂硬化剤の粘度を測定した。
(耐候性試験)
ISO4982 Part 3 Method A規格に準拠して耐候性試験を行った。
各例で得られたエポキシ樹脂組成物を、20mm×20mm×厚さ2mmの金型内で、130℃で30分硬化させて試験片を作製した。この試験片をUV試験機「サンテストXXL+」((株)東洋精機製作所製)に入れ、キセノンランプにより波長300~400nmの紫外線を照度60W/mの強度で照射しながら、温度38℃で、102分間ドライ条件(湿度50%)とした後に18分間水噴霧条件とするサイクルを繰り返した。
所定のUV照射量(kJ/m)に到達した後に試験片を取り出し、色差計(日本電色工業(株)製「ZE2000」)を用いて、JIS K7373:2006に準拠してYI値を測定した。YI値の上昇が少ないほど硬化物の耐候性が良好であることを示す。
(ポットライフ)
E型粘度計「TVE-22H型粘度計 コーンプレートタイプ」(東機産業(株)製)を用いて、80℃にてエポキシ樹脂組成物の粘度を測定した。エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を混合してエポキシ樹脂組成物を調製した直後に測定を開始し、8秒ごとに測定値を読み取って、粘度が0.3Pa・sに達するまでの時間をポットライフとした。この時間が長いほど低粘度の状態を維持できる時間が長いことを示す。
(ゲル化時間)
レオメーター「ARES-G2」(TAインスツルメント製)を用いて、80℃にて測定を行った。80℃に加温したアルミプレート間にエポキシ樹脂組成物を充填し、温度80℃、周波数1Hz、プレート間距離0.5mmで貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’を測定して、G’とG’’とが交差する点をゲル化時間とした。ゲル化時間が短いほど速硬化性であることを示す。
(ガラス転移温度(Tg))
エポキシ樹脂組成物の硬化物のTgは、120℃で5分加熱して硬化させたエポキシ樹脂組成物について、示差走査熱量計「DSC 6200」(セイコーインスツル(株)製)を用いて、昇温速度5℃/分の条件で30~250℃まで示差走査熱分析を行うことにより求めた。
実施例1(エポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物の調製、評価)
成分(A)である1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC、三菱瓦斯化学(株)製、シス/トランス比=77/23)と、成分(B)であるノルボルナンジアミン(NBDA、三井化学(株)製)を質量比で50/50となるよう混合し、エポキシ樹脂硬化剤を調製した。エポキシ樹脂硬化剤の25℃における粘度を表1に示す。
エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(Olin社製「D.E.R.332」、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ当量171g/当量)を使用し、該エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを、主剤であるエポキシ樹脂中のエポキシ基数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性アミン水素数の比が1/0.95となるよう配合して混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前述の方法で硬化物を作製し、耐候性試験を行った。結果を表2に示す。
実施例2、比較例1~3
1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC)とノルボルナンジアミン(NBDA)の含有量が表1に示す質量%となるよう混合したエポキシ樹脂硬化剤を調製した。エポキシ樹脂硬化剤の25℃における粘度を表1に示す。このエポキシ樹脂硬化剤を用いて、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂組成物を調製し、前述の方法で硬化物の作製及び耐候性試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007334484000005
Figure 0007334484000006
実施例3(エポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物の調製、評価)
成分(A)である1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC、三菱瓦斯化学(株)製、シス/トランス比=77/23)と、成分(B)であるノルボルナンジアミン(NBDA、三井化学(株)製)を質量比で50/50となるよう混合し、エポキシ樹脂硬化剤を調製した。エポキシ樹脂硬化剤の25℃における粘度を表3に示す。
エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂として、水添ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「YX8000」、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ当量205g/当量)を使用し、該エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを、主剤であるエポキシ樹脂中のエポキシ基数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性アミン水素数の比が1/0.95となるよう配合して混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前述の方法で硬化物を作製し、耐候性試験を行った。結果を表4に示す。
実施例4、比較例4
1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC)とノルボルナンジアミン(NBDA)の含有量が表3に示す質量%となるよう混合したエポキシ樹脂硬化剤を調製した。エポキシ樹脂硬化剤の25℃における粘度を表3に示す。このエポキシ樹脂硬化剤を用いて、実施例3と同様の方法でエポキシ樹脂組成物を調製し、前述の方法で硬化物の作製及び耐候性試験を行った。結果を表4に示す。
Figure 0007334484000007
Figure 0007334484000008
表2及び表4の結果を、それぞれ図1及び図2にも示した。図1は実施例1~2及び比較例1~3で得られた硬化物の耐候性試験結果を示したグラフであり、図2は実施例3~4及び比較例4で得られた硬化物の耐候性試験結果を示したグラフである。いずれも、横軸をUV照射量(kJ/m)、縦軸を硬化物のYI値としてプロットしたものである。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、比較例の硬化物よりも耐候性試験後のYI値の上昇が抑えられており、耐候性が良好であることがわかる。特に、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた実施例3、4のエポキシ樹脂組成物は、芳香環を有するエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物(実施例1、2)と比較してYI値の上昇を抑制できる。
実施例1~2及び比較例3のエポキシ樹脂組成物について、前述の方法で、80℃におけるポットライフ及びゲル化時間、並びに120℃5分硬化後のTgを測定した結果を表5に示す。本発明のエポキシ樹脂硬化剤を用いた実施例1、2のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂硬化剤が成分(B)であるノルボルナンジアミン単独である場合と比較してもポットライフ及びゲル化時間は変化せず、速硬化性を有している。また硬化物Tgも変化しなかった。
Figure 0007334484000009
本発明のエポキシ樹脂組成物によれば、ハイサイクルRTM法などによって、自動車用構造材や建材などのFRPを生産性よく製造できる。また、紫外線照射環境下に長時間供しても黄変が少なく耐候性が高い硬化物及びFRPを提供することができる。

Claims (8)

  1. ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(A)とノルボルナンジアミン(B)とを含有し、成分(A)と成分(B)との質量比(A)/[(A)+(B)]が0.25以上である、エポキシ樹脂硬化剤。
  2. 前記成分(A)及び成分(B)の合計含有量が50質量%以上である、請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
  3. 請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂が分子内に脂環式構造を有するエポキシ樹脂である、請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記エポキシ樹脂が下記一般式(2)で示されるエポキシ樹脂である、請求項3又は4に記載のエポキシ樹脂組成物。

    (式(2)中、R 11 ~R 14 はそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基であり、t、u、v、及びwはそれぞれ独立に0~4の整数である。複数のR 11 、複数のR 12 、複数のR 13 、及び複数のR 14 はすべて同一でもよく、互いに異なってもよい。Y 及びY はそれぞれ独立に、単結合、-CH -、-CH(CH )-、又は-C(CH -である。R 15 は-CH CH(OH)-、又は-CH(OH)CH -である。nは平均繰り返し単位数を示し、0~0.2の数である。)
  6. 請求項3~5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
  7. 請求項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含む繊維強化複合材。
  8. 前記強化繊維が炭素繊維である、請求項に記載の繊維強化複合材。
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