JP7334484B2 - エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びに繊維強化複合材 - Google Patents
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Description
例えば風力発電ブレードは、インフュージョン成形、Va-RTM法(Vacuum Assist Resin Transfer Molding)又はLight-RTM法にて成形されるようになってきた。これらの方法では、例えば、フィルムやFRPを使用した上型と、下型とからなる型内に予め強化繊維を配置し、この金型内を真空引きし、マトリクス樹脂となるエポキシ樹脂組成物を常圧で充填して強化繊維へ含浸させ、次いで、該エポキシ樹脂を硬化させて成形する。
インフュージョン成形やVa-RTM法、Light-RTM法による成形では、その成形法の特徴上、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを混合したエポキシ樹脂組成物を金型内へ充填するのに、通常は数十分程度かかる。そのため、これらの成形法に使用されるエポキシ樹脂組成物には低粘度でかつポットライフが長いことが要求される。エポキシ樹脂硬化剤としては、イソホロンジアミン、ポリエーテル骨格のポリアミン化合物等が使用されている。
従来のRTM法は上下一対の金型を使用した密閉型成形の一つであり、該金型内に繊維強化プリフォームを配置し、金型をクランプして密閉した後、注入孔からエポキシ樹脂組成物等の樹脂を金型内に注入して繊維強化プリフォームに含浸させ、次いで該樹脂を硬化させた後、離型するという方法である。しかしながら従来のRTM法では、成形時間(プリフォームの配置、樹脂含浸、樹脂硬化、及び離型まで)に数時間を要するため、自動車構造材用途のFRPの製造では、より生産性の高いハイサイクルRTM法が用いられている。
すなわち本発明は、下記に関する。
[1]ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(A)とノルボルナンジアミン(B)とを含有し、成分(A)と成分(B)との質量比(A)/[(A)+(B)]が0.25以上である、エポキシ樹脂硬化剤。
[2]前記成分(A)及び成分(B)の合計含有量が50質量%以上である、上記[1]に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
[3]上記[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物。
[4]前記エポキシ樹脂が分子内に脂環式構造を有するエポキシ樹脂である、上記[3]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[5]上記[3]又は[4]に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
[6]上記[5]に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含む繊維強化複合材。
[7]前記強化繊維が炭素繊維である、上記[6]に記載の繊維強化複合材。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤(以下単に「本発明の硬化剤」ともいう)は、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(A)(以下単に「成分(A)」ともいう)とノルボルナンジアミン(B)(以下単に「成分(B)」ともいう)とを含有し、成分(A)と成分(B)との質量比(A)/[(A)+(B)]が0.25以上である。
上記エポキシ樹脂硬化剤を用いて得られるエポキシ樹脂組成物は低粘度でかつ速硬化性になり、その硬化物は紫外線照射環境下に長時間供しても黄変が少なく、耐候性に優れる。
本発明の硬化剤は、成分(A)としてビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含有する。本発明の硬化剤は、後述する成分(B)に対し成分(A)を所定の割合で配合することにより、得られるエポキシ樹脂組成物の低粘度性及び速硬化性を維持しつつ、その硬化物の耐候性を向上させることができる。また該硬化物のガラス転移温度(Tg)も高いものとなる。
ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとしては、1,2-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。低粘度性及び速硬化性の観点からは、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。
ビス(アミノメチル)シクロヘキサンには、シス体、トランス体のいずれも含まれる。シス体、トランス体の含有比率は任意であるが、シス体及びトランス体の両方を含む場合、凝固点降下により、冬場などの低温環境下でも液体として取り扱うことができることから、シス体/トランス体の含有比率は、好ましくは99/1~1/99、より好ましくは95/5~30/70、さらに好ましくは90/10~50/50、よりさらに好ましくは85/15~60/40である。
本発明においてノルボルナンジアミンとしては、2,5-ジアミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6-ジアミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はこれらの混合物を用いることができる。2,5-ジアミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6-ジアミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物を用いる場合、その混合比率に特に制限はなく、任意の範囲で選択できる。
得られるエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐候性向上の観点から、当該質量比(A)/[(A)+(B)]は、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.40以上、さらに好ましくは0.45以上である。質量比(A)/[(A)+(B)]の上限は1未満であればよく、成分(B)由来の物性を発現する観点からは、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.85以下、よりさらに好ましくは0.80以下、よりさらに好ましくは0.70以下、よりさらに好ましくは0.60以下である。
成分(A)及び成分(B)以外の硬化剤成分としては、メンセンジアミン、イソホロンジアミン(IPDA)、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、N-アミノメチルピペラジン、N-アミノエチルピペラジン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレントリアミン等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記本発明のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有する。本発明の硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物は、低粘度でかつ速硬化性を有し、紫外線照射環境下に長時間供しても黄変が少なく、耐候性に優れる硬化物を形成できる。
上記の中でも、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びビフェノール型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、低粘度でかつ硬化物の機械的強度を確保できる観点から、下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂がさらに好ましい。
(式(1)中、R1~R4はそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基であり、p、q、r、及びsはそれぞれ独立に0~4の整数である。複数のR1、複数のR2、複数のR3、及び複数のR4はすべて同一でもよく、互いに異なってもよい。Y1及びY2はそれぞれ独立に、単結合、-CH2-、-CH(CH3)-、又は-C(CH3)2-である。R5は-CH2CH(OH)-、又は-CH(OH)CH2-である。mは平均繰り返し単位数を示し、0~0.2の数である。)
R1~R4は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びt-ブチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
p、q、r、及びsはいずれも0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、すべて0であることがさらに好ましい。
Y1及びY2は-CH2-、又は-C(CH3)2-であることが好ましく、-C(CH3)2-であることがより好ましい。
また、低粘度でかつ硬化物の機械的強度を確保できる観点から、mは0~0.15であることが好ましく、0.01~0.1であることがより好ましい。
上記式中、R5及びmは前記と同じである。
脂環式構造における環員炭素数は、好ましくは5~20、より好ましくは5~12、さらに好ましくは5~10、よりさらに好ましくは5~8、よりさらに好ましくは6である。当該脂環式構造は飽和であっても不飽和であってもよく、単環であっても多環であってもよい。また、当該脂環式構造は置換基を有していてもよい。当該置換基としては例えば、炭素数1~8のアルキル基、水酸基、炭素数1~8のアルコキシ基等が挙げられる。
当該脂環式構造としては、シクロアルカン環、シクロアルケン環、ビシクロアルカン環、ビシクロアルケン環、及びトリシクロアルカン環等が例示されるが、これらに限定されるわけではない。これらの中でも、好ましくはシクロアルカン環、より好ましくは炭素数5~8のシクロアルカン環、さらに好ましくはシクロヘキサン環である。
脂環式構造を有するポリオールとしては、ジヒドロキシシクロヘキサン、ビシクロヘキサンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。
脂環式構造を有するポリアミンとしては、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン等が挙げられる。また、脂環式構造を有しかつヒドロキシ基及びアミノ基を有する化合物としては、アミノシクロヘキサノール等が挙げられる。
(式(2)中、R11~R14はそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基であり、t、u、v、及びwはそれぞれ独立に0~4の整数である。複数のR11、複数のR12、複数のR13、及び複数のR14はすべて同一でもよく、互いに異なってもよい。Y3及びY4はそれぞれ独立に、単結合、-CH2-、-CH(CH3)-、又は-C(CH3)2-である。R15は-CH2CH(OH)-、又は-CH(OH)CH2-である。nは平均繰り返し単位数を示し、0~0.2の数である。)
R11~R14は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びt-ブチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
t、u、v、及びwはいずれも0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、すべて0であることがさらに好ましい。
Y3及びY4は-CH2-、又は-C(CH3)2-であることが好ましく、-C(CH3)2-であることがより好ましい。
また、低粘度でかつ硬化物の機械的強度を確保できる観点から、nは0~0.15であることが好ましく、0.01~0.1であることがより好ましい。
上記式中、R15及びnは前記と同じである。
エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
但し、本発明の効果を有効に得る観点から、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂の合計量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上である。また、上限は100質量%である。
エポキシ樹脂組成物の粘度は、E型粘度計を用いて測定できる。
上記ゲル化時間はレオメーターを用いて、実施例に記載の方法で測定できる。具体的には、レオメーターを用いて、温度80℃で、周波数1Hz、プレート間距離0.5mmでエポキシ樹脂組成物の貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’を測定し、G’とG’’とが交差する点をゲル化時間とする。
使用前にゲル化が進行するのを避ける観点から、エポキシ樹脂組成物に含まれる各成分は使用直前に接触させて混合することが好ましい。エポキシ樹脂組成物に含まれる各成分を混合する際の温度は、エポキシ樹脂の粘度に応じて適宜調整できるが、粘度上昇を抑制する観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下であり、エポキシ樹脂の混和性の観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上である。また、混合時間は好ましくは0.1~15分、より好ましくは0.2~10分、さらに好ましくは0.5~5分の範囲である。装置としては、例えば後述する各種成形方法において例示される装置を用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物(以下、単に「本発明の硬化物」ともいう)は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物を公知の方法で硬化させたものである。エポキシ樹脂組成物の硬化条件は用途、形態に応じて適宜選択され、特に限定されない。
例えばエポキシ樹脂組成物の用途が塗料である場合、当該組成物の硬化物は通常、膜状である。なお本発明の効果を有効に発揮する観点からは、本発明の硬化物は後述する繊維強化複合材のマトリックス樹脂であることが好ましい。
例えば本発明のエポキシ樹脂組成物は、温度120℃で5分硬化させて得られた硬化物について、示差走査熱量計を用いて、昇温速度5℃/分の条件で30~250℃まで示差走査熱分析を行うことにより求められるTgが好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上、よりさらに好ましくは130℃以上である。硬化物のTgは、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の繊維強化複合材(FRP)は、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含むものであり、強化繊維に前記エポキシ樹脂組成物を含浸させた後、該組成物を硬化させることにより得ることができる。
強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維及び金属繊維などが挙げられる。強化繊維は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、得られる複合材の強度及び軽量性の観点からは炭素繊維が好ましい。すなわち本発明の繊維強化複合材は、好ましくは前記エポキシ樹脂組成物の硬化物と、炭素繊維とを含む炭素繊維強化複合材(CFRP)である。
本発明の繊維強化複合材の製造方法には特に制限はないが、本発明のエポキシ樹脂組成物は速硬化性であるため、エポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを成形の直前に混合した後、より短時間内に強化繊維への含浸及び硬化を行うことが好ましい。
この観点から、本発明の繊維強化複合材の製造方法は、低圧RTM法、中圧RTM法、高圧RTM法、コンプレッションRTM法、リキッドコンプレッションモールディング法、リキッドレイダウン法、スプレーレイダウン法、サーフェイスRTM法、プリプレグコンプレッションモールディング法又はリキッドキャストモールディング法により成形する工程を有することが好ましい。これらの成形法の中でも、ハイサイクルRTM法に適用する観点から、低圧RTM法、中圧RTM法、又は高圧RTM法が好ましく、中圧RTM法又は高圧RTM法がより好ましく、成形速度の観点からは高圧RTM法がさらに好ましい。
なお本明細書において、低圧RTM法における「低圧」とは、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを圧送して混合する際の圧送時の圧力が0.5MPa未満であることをいう。同様に、中圧RTM法における「中圧」とは上記圧力が0.5MPa以上、7MPa未満、高圧RTM法における「高圧」とは上記圧力が7MPa以上、20MPa以下であるものを指す。
上記成形法では、主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを成形の直前に混合して使用することが可能である。また、得られるエポキシ樹脂組成物は低粘度でかつ速硬化性であり、金型内への充填及び強化繊維への含浸が速く、速やかに硬化するため、成形時間を大幅に短縮できる。したがって本発明のエポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物は、上記成形法に特に好適である。また、上記成形法を用いることにより、本発明のエポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物を適用して、自動車用構造材や建材用などの中~大型のFRPを生産性よく製造することができる。
中圧RTM法では、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを混合する装置としてスタティックミキサーを使用することが好ましい。スタティックミキサーは、多数のミキシングエレメントからなる静止型混合器を1個以上組み込んだ管型混合器である。例えば、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを別々のタンクに充填し、それぞれをスタティックミキサーに送液する。スタティックミキサーのねじれたエレメントにエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の2液を通すことで、分割・転換・反転等の作用より2液が混合される。このようにして調製したエポキシ樹脂組成物を金型内に注入して強化繊維に含浸させ、次いで、エポキシ樹脂を硬化させる。中圧RTM法は、金型内にエポキシ樹脂組成物を圧送できること、及び、装置コストの観点で有利である。
エポキシ樹脂組成物の強化繊維への含浸時間は、成形性及び生産性の観点から、好ましくは0.1~15分、より好ましくは0.2~10分、さらに好ましくは0.5~5分である。
エポキシ樹脂組成物を金型内に注入する際の吐出速度は、成形性及び生産性の観点から、好ましくは毎秒5~400g、より好ましくは毎秒10~100g、さらに好ましくは毎秒20~60gである。上記速度は成形中一定であってもよいし、成形中に変動させてもよい。
E型粘度計「TVE-22H型粘度計 コーンプレートタイプ」(東機産業(株)製)を用いて、25℃にてエポキシ樹脂硬化剤の粘度を測定した。
ISO4982 Part 3 Method A規格に準拠して耐候性試験を行った。
各例で得られたエポキシ樹脂組成物を、20mm×20mm×厚さ2mmの金型内で、130℃で30分硬化させて試験片を作製した。この試験片をUV試験機「サンテストXXL+」((株)東洋精機製作所製)に入れ、キセノンランプにより波長300~400nmの紫外線を照度60W/m2の強度で照射しながら、温度38℃で、102分間ドライ条件(湿度50%)とした後に18分間水噴霧条件とするサイクルを繰り返した。
所定のUV照射量(kJ/m2)に到達した後に試験片を取り出し、色差計(日本電色工業(株)製「ZE2000」)を用いて、JIS K7373:2006に準拠してYI値を測定した。YI値の上昇が少ないほど硬化物の耐候性が良好であることを示す。
E型粘度計「TVE-22H型粘度計 コーンプレートタイプ」(東機産業(株)製)を用いて、80℃にてエポキシ樹脂組成物の粘度を測定した。エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を混合してエポキシ樹脂組成物を調製した直後に測定を開始し、8秒ごとに測定値を読み取って、粘度が0.3Pa・sに達するまでの時間をポットライフとした。この時間が長いほど低粘度の状態を維持できる時間が長いことを示す。
レオメーター「ARES-G2」(TAインスツルメント製)を用いて、80℃にて測定を行った。80℃に加温したアルミプレート間にエポキシ樹脂組成物を充填し、温度80℃、周波数1Hz、プレート間距離0.5mmで貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’を測定して、G’とG’’とが交差する点をゲル化時間とした。ゲル化時間が短いほど速硬化性であることを示す。
エポキシ樹脂組成物の硬化物のTgは、120℃で5分加熱して硬化させたエポキシ樹脂組成物について、示差走査熱量計「DSC 6200」(セイコーインスツル(株)製)を用いて、昇温速度5℃/分の条件で30~250℃まで示差走査熱分析を行うことにより求めた。
成分(A)である1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC、三菱瓦斯化学(株)製、シス/トランス比=77/23)と、成分(B)であるノルボルナンジアミン(NBDA、三井化学(株)製)を質量比で50/50となるよう混合し、エポキシ樹脂硬化剤を調製した。エポキシ樹脂硬化剤の25℃における粘度を表1に示す。
エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(Olin社製「D.E.R.332」、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ当量171g/当量)を使用し、該エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを、主剤であるエポキシ樹脂中のエポキシ基数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性アミン水素数の比が1/0.95となるよう配合して混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前述の方法で硬化物を作製し、耐候性試験を行った。結果を表2に示す。
1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC)とノルボルナンジアミン(NBDA)の含有量が表1に示す質量%となるよう混合したエポキシ樹脂硬化剤を調製した。エポキシ樹脂硬化剤の25℃における粘度を表1に示す。このエポキシ樹脂硬化剤を用いて、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂組成物を調製し、前述の方法で硬化物の作製及び耐候性試験を行った。結果を表2に示す。
成分(A)である1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC、三菱瓦斯化学(株)製、シス/トランス比=77/23)と、成分(B)であるノルボルナンジアミン(NBDA、三井化学(株)製)を質量比で50/50となるよう混合し、エポキシ樹脂硬化剤を調製した。エポキシ樹脂硬化剤の25℃における粘度を表3に示す。
エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂として、水添ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「YX8000」、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ当量205g/当量)を使用し、該エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを、主剤であるエポキシ樹脂中のエポキシ基数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性アミン水素数の比が1/0.95となるよう配合して混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前述の方法で硬化物を作製し、耐候性試験を行った。結果を表4に示す。
1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC)とノルボルナンジアミン(NBDA)の含有量が表3に示す質量%となるよう混合したエポキシ樹脂硬化剤を調製した。エポキシ樹脂硬化剤の25℃における粘度を表3に示す。このエポキシ樹脂硬化剤を用いて、実施例3と同様の方法でエポキシ樹脂組成物を調製し、前述の方法で硬化物の作製及び耐候性試験を行った。結果を表4に示す。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、比較例の硬化物よりも耐候性試験後のYI値の上昇が抑えられており、耐候性が良好であることがわかる。特に、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた実施例3、4のエポキシ樹脂組成物は、芳香環を有するエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物(実施例1、2)と比較してYI値の上昇を抑制できる。
Claims (8)
- ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(A)とノルボルナンジアミン(B)とを含有し、成分(A)と成分(B)との質量比(A)/[(A)+(B)]が0.25以上である、エポキシ樹脂硬化剤。
- 前記成分(A)及び成分(B)の合計含有量が50質量%以上である、請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
- 請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂が分子内に脂環式構造を有するエポキシ樹脂である、請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂が下記一般式(2)で示されるエポキシ樹脂である、請求項3又は4に記載のエポキシ樹脂組成物。
(式(2)中、R 11 ~R 14 はそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基であり、t、u、v、及びwはそれぞれ独立に0~4の整数である。複数のR 11 、複数のR 12 、複数のR 13 、及び複数のR 14 はすべて同一でもよく、互いに異なってもよい。Y 3 及びY 4 はそれぞれ独立に、単結合、-CH 2 -、-CH(CH 3 )-、又は-C(CH 3 ) 2 -である。R 15 は-CH 2 CH(OH)-、又は-CH(OH)CH 2 -である。nは平均繰り返し単位数を示し、0~0.2の数である。) - 請求項3~5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
- 請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含む繊維強化複合材。
- 前記強化繊維が炭素繊維である、請求項7に記載の繊維強化複合材。
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