以下、本発明の実施の形態例(以下、「本例」という。)について、図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
図1は、本例に係る画像形成システムの構成を模式的に示す正面図である。本例に係る画像形成システムは、画像形成装置1及び用紙積載装置2を備えている。
画像形成装置1は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置であり、画像データに基づいて用紙Sに画像を形成する。画像形成装置1は、画像読取部6、画像処理部7、画像書込部8、画像形成部9から構成され、具体的には、原稿読取装置5、感光体11、帯電部12、像露光部13、現像部14、転写部15A、分離部15B、クリーニング装置16、定着装置18及び画像形成制御部19を有している。
原稿読取装置5は、画像形成装置1の筐体上部に配置され、画像を読み取る際に原稿を自動的に移動させる自動原稿送り部を備えている。この原稿読取装置5は、原稿に形成された画像を読み取り、所定の画像信号を出力する。出力された画像信号は、A/D変換が施されることにより画像データとして作成される。
原稿読取装置5が備える画像読取制御部(図示せず)は、画像データに、シェーディング補正やディザ処理、圧縮等の処理を施し、この処理により得られるデータを最終的な画像データとして画像形成制御部19に出力する。なお、画像形成制御部19は、原稿読取装置5から画像データを取得するのみならず、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置1から画像データを取得してもよい。
感光体11は、帯電部12によりその表面が一様に帯電させられる。像露光部13は、画像データを基に画像形成制御部19から出力される出力情報に基づいて、レーザビームにより感光体11の表面を走査露光する。これにより、感光体11の表面に潜像が形成される。現像部14はトナーにより当該潜像を現像し、感光体11の表面に画像(トナー画像)を形成する。
用紙トレイ17Aに収容された用紙Sは、転写部15Aへ給紙される。転写部15Aは、感光体11の表面上の画像を用紙Sへ転写する。分離部15Bは、画像が転写された用紙Sを感光体11から分離する。クリーニング装置16は、画像が用紙Sに転写された後の感光体11の表面に残留しているトナーを除去する。中間搬送部17Bは、分離された用紙Sを定着装置18へ搬送する。
定着装置18は、加熱及び加圧により用紙Sに画像を定着させる定着処理を施す。排紙ローラー17Cは、定着処理が施された用紙Sを装置の外部へと排出する。
一方、用紙Sの両面に画像形成を行う場合、定着装置18により定着処理が施された用紙Sは、搬送経路切換板17Dにより、その搬送方向が排紙ローラー17C側から下方(反転搬送部17E)側へと切り換えられる。反転搬送部17Eは、用紙Sをスイッチバックすることにより用紙Sの表裏を反転させた上で用紙Sを転写部15Aへ搬送する。
画像形成制御部19は、画像形成装置1の制御を行う。画像形成制御部19としては、後述する図2に示すCPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。CPU101は、各種プログラムを実行する(プロセッサー)。ROM102は、CPUが実行する各種プログラムを、当該CPUが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納する。また、ROM102は、プログラムの実行に必要となるデータを記憶する。RAM103は、作業用の記憶領域となるメモリである。ROMに格納されたプログラム及びデータは、CPUにより読み出されると、RAM上に展開される。そして、CPUは、RAM上に展開したプログラム及びデータに基づいて、各種の処理を行う。
用紙積載装置2は、画像形成装置1から供給される用紙Sを装置の内部に取り込むと、この用紙Sを積載して収容する装置である。用紙積載装置2は、用紙搬送方向において画像形成装置1の下流側に、当該画像形成装置1と隣り合うように配置されている。用紙積載装置2は、排出部20、本例の用紙積載トレイとしての第1トレイ21、用紙押さえ部としての先端ストッパ45、先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させる第1駆動部としてのストッパ移動装置46、第1トレイ21を用紙積載方向(装置の高さ方向)に移動させる第2駆動部として昇降装置24、第2トレイ25、前後駆動装置28及び積載制御部31を主体に構成されている。なお、第1トレイ21及びストッパ移動装置46の構成の詳細については後述する。
図2は、本例の画像形成システム100における制御系のブロック図であり、ここでは代表的なものだけ示す。
画像形成装置1にはパソコン等の端末であるPCがネットワークを経由して接続されている。画像形成制御部19としてのCPU(Central Processing Unit)101は画像形成装置1全体の動作を制御するものであり、ROM(Read Only Memory)102やRAM(Random Access Memory)103等に接続されている。このCPU101は、ROM102に格納されている各種制御プログラムを読み出してRAM103に展開し、各部の動作を制御する。また、CPU101は、RAM103に展開したプログラムに従って各種処理を実行し、その処理結果をRAM103に格納する。そして、RAM103に格納した処理結果を所定の保存先に保存させる。
画像読取部6によって生成された画像データや、画像形成装置1に接続されたPCから送信される画像データは画像処理部7によって画像処理される。画像形成部9は、画像処理部7によって画像処理された画像データを受け取り、用紙S上に画像を形成する。
用紙積載装置2における制御部31としてのCPU201はROM202及びRAM203と協働して用紙積載装置2全体の動作を制御するものであり、前段機である画像形成装置1から送信される信号に基づき一連の動作を実行する。CPU201はROM202に格納されている各種制御プログラムを読み出してRAM203に展開し、排出部20としての排出ローラー132、用紙押さえ部としての先端ストッパ100、第1トレイ21の昇降装置24等の各部の動作を制御する。また、CPU201は、用紙サイズ取得部50、トレイ位置検出部55、用紙情報取得部60、整合判断部65、移動時間算出部70、移動判断部75、用紙押さえ部位置検出部80を備える。
用紙サイズ取得部50は、第1トレイ21に排出される用紙のサイズを取得する。本例では、第1トレイ21の上流側であって、排出部20の近傍に設けられた入口センサ134により、画像形成装置1から用紙積載装置2に搬入される用紙のサイズを検出する。なお、入口センサ134の替わりに画像形成装置1が備えているセンサを利用してもよい。
トレイ位置検出部55は、用紙積載装置2内の第1トレイ21の位置を算出するものであり、第1トレイ21の装置高さ方向における位置を検出する。具体的には、第1トレイ21の近傍に第1トレイ21の位置を検出する高さ検知センサ133を設け、センサで検出した位置と第1トレイ21のホームポジションとのずれ量から第1トレイ21の移動量を算出する。
用紙情報取得部60は、第1トレイ21に積載されている用紙の枚数、坪量、用紙属性、用紙束の高さ等の情報を取得する。本例では、入口センサ134を用いて、第1トレイ21に積載される用紙の枚数、坪量、または用紙属性を観測するが、画像形成装置1が保持する用紙情報を利用してもよい。
整合判断部65は、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させて、第1トレイ21上に積載された用紙に対する整合処理を実施するか否かの判断を行う。
移動時間算出部70は、第1トレイ21の排出される用紙のサイズ等に基づいて、先端ストッパ45が第1トレイ21上を移動するためにかかる時間を算出する。
移動判断部75は、サイズ取得部50で取得した、第1トレイ21に積載されている用紙のサイズと、第1トレイ21に積載されている用紙上に排出される用紙のサイズと、を比較して、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させるか否かを判断する。また、移動判断部75は、先端ストッパ45を移動させる前に、昇降装置24により第1トレイ21を用紙積載方向下方側に移動(降下)させる必要があるか否かを判断する。
用紙押さえ部位置検出部80は、第1トレイ21の上方に設けられた上面検知センサ135により、第1トレイ21上における先端ストッパ45の位置を検出する。
図3は、第1トレイ21及び第2トレイ25を主体とする用紙積載装置2の要部を示す構成図である。
排出部20は、画像形成装置1から供給された用紙Sを受け取ると、この用紙Sを用紙積載装置2の装置の内部(筐体2a内)へと取り込み、第1トレイ21へと排出する。排出部20の排出ローラー132は、画像形成装置1の排紙ローラー17Cと対応するように、その位置が設定されている。
第1トレイ21は、排出部20から排出された用紙Sを積載する用紙積載トレイである。第1トレイ21は、上下(用紙積載)方向に沿って移動可能に構成されている。この第1トレイ21は、櫛歯状に構成された複数の第1支持部材22で構成されている。複数の第1支持部材22は、用紙搬送方向に沿って所定のピッチで水平に複数配列されている。個々の第1支持部材22は、後側(装置奥側)に位置付けられるベース部材23から前側(装置手前側)にかけて延出している。すなわち、本例の用紙積載トレイは、用紙の排出方向と垂直な方向に伸びた断面が矩形状の棒状部材で構成された第1支持部材22を所定のピッチで水平に複数配列して、第1支持部材22が存在する櫛歯部222と空隙部が存在する櫛溝部223が交互に並ぶことで櫛歯状に構成されている。また、各第1支持部材22の上面21aにより、用紙積載トレイの積載面が構成されている。
昇降装置24は、上下方向に沿って第1トレイ21を昇降(移動)させる装置である。昇降装置24は、駆動モーター、当該駆動モーターから動力が伝達されて回転する駆動プーリー、従動プーリー、駆動プーリーと従動プーリーとの間に掛け渡されるとともに第1トレイ21が連結されるタイミングベルト等を主体に構成されている。昇降装置24は、(積載)制御部31によって制御される。
昇降装置24は、第1トレイ21をホームポジションへ設定する。このホームポジションは、用紙Sの積載を開始する際の第1トレイ21の位置に相当する。用紙Sが排出部20から排出されると、昇降装置24は、第1トレイ21に積載される最上位の用紙Sが所定の高さを維持するように第1トレイ21を下降(移動)させる。用紙Sの積載に伴う第1トレイ21の下降は、第1トレイ21に積載された用紙Sの枚数が、上限枚数又は設定枚数に到達するまで行われる。上限枚数は、第1トレイ21に積載することができる用紙Sの最大枚数を設定したものであり、例えば用紙積載装置2の構造に起因する機械的な制約によって設定されている。一方、設定枚数は、第1トレイ21に積載する用紙Sの最大枚数のうち、例えばユーザー等によって設定される枚数であり、1枚以上、上限枚数未満の範囲で任意の枚数が設定されている。
一方、第1トレイ21に積載された用紙Sの枚数が上限枚数又は設定枚数に到達した場合、昇降装置24は、第2トレイ25に対して用紙Sを受け渡す用紙受渡位置まで、第1トレイ21を下降させる。また、第1トレイ21から第2トレイ25への用紙Sの受け渡しが完了すると、昇降装置24は、用紙受渡位置からホームポジションまで第1トレイ21を上昇(移動)させる。
第2トレイ25は、第1トレイ21の下方に配置されている。第2トレイ25は、第1トレイ21に積載された用紙Sを、当該第1トレイ21から受け取るためのトレイである。第2トレイ25は、櫛歯状に構成された複数の第2支持部材26で構成されている。複数の第2支持部材26は、用紙搬送方向に沿って水平に所定のピッチで複数配列されている。個々の第2支持部材26は、第2支持部材26の下方に位置付けられるベース部材27上に立設されている。
図4は、第2トレイ25と第1トレイ21との関係を示す説明図である。複数の第2支持部材26は、第1トレイ21に形成された複数の隙間部、すなわち、隣り合う第1支持部材22の間に存在する空間と対応する位置に設けられている。したがって、第1トレイ21が下方向へと移動し、第1トレイ21及び第2トレイ25が同一水平面上に存在する場合であっても、両者が干渉することがない。すなわち、第1トレイ21と第2トレイ25とが上下方向にかけてすれ違うことができる。この構成により、第1トレイ21の上面21aが、第2トレイ25の上面25aよりも下方に下降することで、第1トレイ21上に積載された用紙Sを第2トレイ25へと受け渡すことができる。
前後駆動装置28は、第2トレイ25が着脱可能に搭載される台座部29と、前後方向に沿って台座部29を移動させ、当該第2トレイ25を装置の外部へと送り出す駆動部30とを有している。駆動部30は、駆動モーター、当該駆動モーターから動力が伝達されて回転する駆動プーリー、従動プーリー、駆動プーリーと従動プーリーとの間に掛け渡されるとともに台座部29が連結されるタイミングベルト等を主体に構成されている。前後駆動装置28は、積載制御部31によって制御される。
前後駆動装置28は、第2トレイ25をホームポジションへ設定する。このホームポジションは、装置の内部において第1トレイ21の下方に存在し、第1トレイ21が下降した際に、当該第1トレイ21との間で用紙Sの受け渡しを行うことができる位置である。用紙Sが第1トレイ21から受け渡されると、前後駆動装置28は、第2トレイ25を前側へと移動させ、第2トレイ25を装置の外部へと送り出す。これにより、第2トレイ25は、台座部29から外されると、用紙Sを搬送する台車40へと装着される。その結果、台車40を通じて、第2トレイ25とともに用紙Sを搬送することができる。
一方、台車40に搭載された第2トレイ25から用紙Sが取り除かれると、当該第2トレイ25は、台車40から外されるとともに台座部29へと装着される。第2トレイ25が台座部29へと装着されると、前後駆動装置28は、第2トレイ25を後側へと移動させ、第2トレイ25をホームポジションへと復帰させる。なお、用紙積載装置2の筐体2aには、図示しないシャッターが設けられている。このシャッターは、第2トレイ25の出入りに応じて開閉される。
積載制御部31は、用紙積載装置2の制御を行う。積載制御部31としては、図2に示すようにCPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。CPU201は、各種プログラムを実行する(プロセッサー)。ROM202は、CPUが実行する各種プログラムを、当該CPUが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納する。また、ROM202は、プログラムの実行に必要となるデータを記憶する。RAM203は、作業用の記憶領域となるメモリである。ROMに格納されたプログラム及びデータは、CPUにより読み出されると、RAM上に展開される。そして、CPUは、RAM上に展開したプログラム及びデータに基づいて、各種の処理を行う。
以下、本例に係る画像形成システムの第1トレイ21及び第2トレイ25の動作について説明する。ここで、図5は、画像形成システムの動作の流れを示すフローチャートである。また、図6は、用紙積載装置2の動作の流れを説明する図である。このフローチャートに示す処理は、ユーザーの印刷開始指令をトリガーとして、画像形成制御部19及び積載制御部31によって実行される。
まず、ステップS10において、画像形成制御部19は、画像形成装置1の各部を制御し、画像形成動作を実行する。この画像形成動作により、用紙Sの給紙、給紙された用紙Sへの画像形成、画像形成された用紙Sの用紙積載装置2への排出、といった一連の処理が行われる。同様に、積載制御部31は、排出部20を制御し、画像形成装置1から供給された用紙Sを排出部20で受け取り、その用紙Sを第1トレイ21へと排出する(図6(a))。
ステップS11において、積載制御部31は、第1トレイ21に積載された用紙Sの枚数が、上限枚数又は設定枚数に到達したか否かを判断する。第1トレイ21に積載された用紙Sの枚数が上限枚数又は設定枚数に到達した場合には、ステップS11で肯定判定され、ステップS12に進む。一方、第1トレイ21に積載された用紙Sの枚数が、上限枚数又は設定枚数に到達していない場合には、ステップS11で否定判定され、ステップS10に戻る。
ステップS12において、画像形成制御部19は、画像形成装置1の各部を制御し、画像形成動作を停止する。同様に、積載制御部31は、排出部20を制御し、第1トレイ21に対する用紙Sの排紙を停止する。
ステップS13において、積載制御部31は、昇降装置24を制御し、第1トレイ21を下降動作させる(図6(b))。第1トレイ21の下降動作は、第1トレイ21が用紙受渡位置へと到達するまで行われる。用紙受渡位置は、台座部29に搭載された第2トレイ25の高さに応じて設定されている。第1トレイ21が用紙受渡位置まで到達すると、第2トレイ25の上面25aが第1トレイ21の上面21aよりも上方に到達するため、第1トレイ21に積載された用紙Sが第1トレイ21から第2トレイ25へと受け渡される(図6(c))。
ステップS14において、積載制御部31は、前後駆動装置28を制御して、台座部29を前進動作させる(図6(d))。この前進動作は、台座部29及びこれに搭載された第2トレイ25が装置の外部へと排出されるまで行われる。
ステップS15において、積載制御部31は、昇降装置24を制御し、第1トレイ21を上昇動作させる(図6(e))。第1トレイ21の上昇動作は、第1トレイ21がホームポジションへと到達するまで行われる。
装置の外部へと排出された第2トレイ25は、用紙Sを積載したまま台座部29から外されて、装置の外部に用意された台車40へと装着される(図6(f))。この台車40を通じて第2トレイ25及びこれに積載された用紙Sを搬送することができる。
ステップS16において、画像形成制御部19は、画像形成装置1の各部を制御し、画像形成動作を再開する。同様に、積載制御部31は、排出部20を制御し、第1トレイ21に対する用紙Sの排出を再開する。画像形成動作の再開、及び、第1トレイ21に対する排紙の再開は、第1トレイ21がホームポジションへと到達したタイミングで、第1トレイ21に用紙Sが排紙されるように実行される。
ステップS17において、画像形成制御部19は、ジョブが終了したか否かを判断する。ジョブが終了した場合には、ステップS17において肯定判定され、本ルーチンを終了する。一方、ジョブが終了していない場合には、ステップS17において否定判定され、ステップS10に戻る。
第2トレイ25に積載された用紙Sが取り除かれ、第2トレイ25が空になると、第2トレイ25は、台車40から外されて、台座部29へと装着される。第2トレイ25が装着されると、積載制御部31は、前後駆動装置28を制御して、台座部29を後進動作させる。この後進動作は、台座部29及びこれに搭載された第2トレイ25がホームポジションへと到達するまで行われる。これにより、第2トレイ25が装置の内部へと戻される。
なお、第2トレイ25は、第1トレイ21に積載される用紙Sの枚数が上限枚数又は設定枚数に到達する前に、台座部29へと戻されることが好ましい。また、台座部29が装置の外部に排出されたままでは邪魔になる虞があるので、第2トレイ25が台座部29から外されて、これが台座部29へと再度装着されるまで、台座部29を装置の内部へと戻してもよい。
このように本例において、第1トレイ21及び第2トレイ25は、その動作状態として、少なくとも3つの動作状態を有している。具体的には、第1動作状態は、第1トレイ21が排出部20から排紙された用紙Sを積載する用紙積載位置にあり、第2トレイ25が第1トレイ21よりも下方に位置する動作状態である。第2動作状態は、第2トレイ25の上面25aが第1トレイ21の上面21aよりも上方に位置し、第1トレイ21に積載された用紙Sを第2トレイ25へと受け渡すことが可能な動作状態である。また、第3動作状態は、第2トレイ25に用紙Sを受け渡した第1トレイ21を用紙積載位置へと復帰させる動作状態である
この構成によれば、第2トレイ25へと用紙Sを受け渡すことができるので、第1トレイ21を装置に残したまま、第2トレイ25を介して用紙Sを装置の外部へと持ち出すことができる。また、第2トレイ25に用紙Sを受け渡した第1トレイ21を用紙積載位置(ホームポジション)へと復帰させることができる。そのため、第1トレイ21に対する用紙Sの積載を速やかに再開することができる。その結果、ダウンタイムの発生を抑制することができる。
また、第1トレイ21及び第2トレイ25のそれぞれは、トレイ同士が同一面上で干渉することがないように、他方のトレイを通過させるための隙間を備えている。具体的には、第1トレイ21及び第2トレイ25は、それぞれ櫛歯形状に設定されている。
この構成によれば、第1トレイ21及び第2トレイ25が同一面上で干渉することがないので、第1トレイ21の上面21aを、第2トレイ25の上面25aよりも下方へと到達させることができる。これにより、第1トレイ21から第2トレイ25へと用紙Sを簡単に受け渡すことができる。
また、本例において、用紙積載装置2は、第1トレイ21が移動して第2トレイ25の高さに応じた用紙受渡位置まで到達することで、第1動作状態から第2動作状態へと遷移している。
この構成によれば、第1トレイ21を移動させることで、第1トレイ21から第2トレイ25へと用紙Sを簡単に受け渡すことができる。
また、本例において、第1動作状態において、第2トレイ25は、第1トレイ21の下方に位置し、第1トレイが下降することで、第1動作状態から第2動作状態へと遷移する。
この構成によれば、第1トレイ21を上下方向に移動させることで、第1トレイ21から第2トレイ25へと用紙Sを簡単に受け渡すことができる。また、第1トレイ21は、用紙Sの積載時に上下方向へと昇降する機能を備えているので、既存の構成を流用して、第1トレイ21から第2トレイ25へと用紙Sを受け渡すことができる。
また、本例において、用紙積載装置2は、装置の内部と装置の外部との間を移動する台座部29をさらに有している。この場合、第2トレイ25は、台座部29に搭載されている。この構成によれば、台座部29を移動させることで、第2トレイ25を装置の内部と装置の外部とで移動させることができる。
また、本例において、第2トレイ25は、台座部29に対して着脱可能に搭載されている。この構成によれば、第2トレイ25の着脱が可能であるため、第2トレイ25ごと用紙Sを取り扱うことができる。
また、本例において、用紙積載装置2は、機外へと排出された第2トレイ25が搭載され、当該第2トレイ25を搬送する台車40をさらに有する。
この構成によれば、第2トレイ25を台車40で運搬することができるので、大量の用紙Sを簡単に搬送することができる。
図7は、本例の第1トレイ21の上方に設けられているストッパ移動装置46の正面図である。
図7に示すように、用紙搬送装置2の筐体2a内部に設置されたストッパ移動装置46は、ホームポジションにある第1トレイ21の上方に設けられ、第1トレイ21の積載面と対向ように配置された支持筐体47を備えている。
支持筐体47の中央部には、用紙排出方向に沿って図示しない溝が設けられている。先端ストッパ45は、第1トレイ21の積載面に向かって伸びる棒状の部材で構成されており、支持筐体47に形成された溝に移動可能に係合されている。支持筐体47には、モーターを含むストッパ駆動部48が設けられており、ストッパ駆動部48によって、先端ストッパ45が支持筐体47の溝に沿って移動することにより、第1トレイ21の積載面上を用紙排出(FD)方向に移動する。
図8は、本例の用紙搬送装置2で実施される用紙押さえ処理の流れを説明するための説明図である。
図8Aは、第1トレイ21の上面21aにサイズの小さい用紙S1の束が積載されている状態を示す正面図である。図8B~図8Dは、第1トレイ21上に積載されている用紙S1よりもサイズの大きな用紙S2が排出される場合における先端ストッパの移動の流れを説明するための図である。
図8Aに示すように、第1トレイ21に積載された用紙S1は、用紙排出方向下流側に配置されている3本の支持部材22の上面21aに載置されている。また、先端ストッパ45は、積載されている用紙S1の先端に対応する櫛溝部223の空隙部に、先端部分が挿入された状態で配置されている。この状態で、先端ストッパ45は、第1トレイ21に排出される用紙S1の飛び出しを防止する。なお、本例では、先端ストッパ45の先端部分が櫛溝部223に挿入された状態であるため、第1トレイ21に排出される用紙の1枚目から確実に飛び出しを防止できる。
第1トレイ21上に積載されている用紙S1よりもサイズの大きな用紙S2を積載する場合に、排出されてくる用紙S2との衝突を避けるためには、先端ストッパ45の位置を図8Aに示す位置から用紙排出方向下流側に移動させる必要がある。本例では、用紙サイズ取得部50により、第1トレイ21上に積載されている用紙S1よりサイズの大きな用紙S2が排出されることを検知した場合には、図8Bに示すように、まず、昇降装置24により、第1トレイ21を用紙積載方向下向きに移動(降下)させる。これにより、先端ストッパ45の先端の位置を第1トレイ21の上面21aよりも上側に位置させて、先端ストッパ45を櫛溝部223の空隙部から引き抜いた状態とする。
つぎに、図8Cに示すように、ストッパ移動装置46により、先端ストッパ45を用紙排出方向下流側に移動させる。このときの先端ストッパ45の移動量は、用紙サイズ取得部50で取得した用紙S2の大きさに基づいて決定される。本例では、図8Aで先端ストッパ45が挿入されていた櫛溝部223の下流側に隣接する櫛歯部222の上面21aに対向する位置に、先端ストッパ45を移動させる。先端ストッパ45を移動させる際には、用紙の大きさに応じて先端ストッパの移動量を予め定めたテーブルを用いてもよい。本例では、先端ストッパ45の先端部分を、櫛溝部223の空隙部から引き抜いた状態で用紙排出方向に移動させるため、先端ストッパ45が、櫛溝部223に隣接する櫛歯部222に衝突することを防止できる。
このように、本例の用紙搬送装置2によれば、櫛歯部と櫛溝部を有する櫛歯状の積載トレイ21を用いた場合であっても、先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させることができる。
つぎに、図8Dに示すように、先端ストッパ45を移動させた後、昇降装置24により、第1トレイ21を用紙積載方向上向きに移動(上昇)させる。本例では、先端ストッパ45の位置を用紙排出方向下流側に移動させるので、第1トレイ21に積載されている用紙S1の上にサイズの大きな用紙S2が排出された場合であっても、先端ストッパ45で用紙S2を曲げることなく、飛び出しを防止することができる。
本例では、ストッパ移動装置46により、先端ストッパ45を、櫛溝部223から隣接する櫛溝部233へ移動させる場合、または、櫛溝部223から櫛歯部222へ移動させる場合には、昇降装置24により、第1トレイ21を降下させた後、ストッパ移動装置46により、先端ストッパ45を用紙排出方向へ移動させ、さらに、昇降装置24により、第1トレイ21を上昇させる。
なお、本例では、先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させる場合は、第1トレイ21を用紙積載方向に移動させている。このとき、先端ストッパ45の移動先の位置が、先端部分が挿入されている櫛溝部223の範囲内である場合には、制御部31は、昇降装置24により、第1トレイ21を用紙積載方向に移動させずに、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を櫛溝部223内で用紙排出方向に移動させてもよい。
また、先端ストッパ45の位置が櫛歯部222上にある場合であって、先端ストッパ45の移動先が櫛歯部上(他の櫛歯部も含む)である場合には、制御部31は、昇降装置24により、第1トレイ21を用紙積載方向に移動させずに、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させてもよい。
また、本例では、先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させる場合について説明しているが、必ずしも、先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させなくてもよい。例えば、用紙サイズ取得部50により、第1トレイ21に積載されている用紙よりも小さなサイズの用紙が排出されることを検出したような場合には、先端ストッパ45を移動させなくてもよい。
図9は、第1トレイ21に多数の用紙が積載されている場合に実施される用紙押さえ処理の流れを説明するための説明図である。
図9Aに示すように、第1トレイ21に多数の用紙S1が積載されると、用紙の自重により、第1トレイ21が降下する。これにより、先端ストッパ45の先端の位置は、第1トレイ21の上面21aよりも上側に位置することになり、図9Aに示すように、先端ストッパ45の先端部分が櫛溝部223の空隙部から引き抜かれた状態となる。
この状態から、図9Bに示すように、ストッパ移動装置46により、先端ストッパ45を用紙排出方向下流側に移動させたとしても、先端ストッパ45の先端部分は櫛溝部223の空隙部から引き抜かれた状態であるため、先端ストッパ45が櫛溝部223に隣接する櫛歯部222に衝突することはない。そして、図9Cに示すように、先端ストッパ45で、第1トレイ21に積載されている用紙S1上に排出されたサイズの大きな用紙S2の飛び出しを防止することができる。
本例では、トレイ位置検出部55である高さ検出センサ133を用いて、第1トレイ21のホームポジションからの移動量を検出し、先端ストッパ45の先端部分が櫛溝部223の空隙部から引き抜かれた状態であるかを判断する。先端ストッパ45の先端部分が、櫛溝部223の空隙部から引き抜かれた状態であると判断された場合において、サイズの大きな用紙S2が排出される場合には、昇降装置24により第1トレイ21を降下させない状態で、ストッパ移動装置46により、先端ストッパ45を用紙排出方向下流側に移動させる。その結果として、図9Cに示すように、用紙S2を先端ストッパ45に当接させて、第1トレイ21からの飛び出しを防止することができる。
このように、本例によれば、第1トレイ21上に積載されている用紙S1よりもサイズの大きな用紙S2が排出される場合であっても、昇降装置24により第1トレイ21を降下させないため、用紙押さえ処理の時間を短縮して、装置の生産性を向上させることができる。
なお、第1トレイ21の位置を検出する場合には、用紙情報取得部60の入口検知センサ134により観測された第1トレイ21に積載される用紙の枚数、坪量、または用紙属性の結果に基づいて、第1トレイ21の位置を算出するようにしてもよい。すなわち、第1トレイに排出される用紙の枚数が多くなる場合、坪量の大きい厚紙を用いる場合などは、第1トレイ21の用紙積載方向下側への移動量が大きくなる。また、第1トレイ21上に積載された用紙束の高さを測定し、第1トレイ21の位置を算出するようにしてもよい。
図10は、第1トレイ21に多数の用紙が積載されている場合に、先端ストッパ45を用紙排出方向に往復移動させて用紙の上流側端部を叩いて行う整合処理の流れを説明するための説明図である。
図10Aは、第1トレイ21に積載された用紙束の上流側先端が櫛溝部223の空隙部に位置しており、且つ、先端ストッパ45の先端部分が同じ櫛溝部223に挿入されている状態を示す。この状態で、先端ストッパ45を図中矢印方向に往復運動させて用紙束の上流側先端を複数回叩くことにより、整合処理が実施される。
図10Bは、第1トレイ21に積載された用紙束の上流側先端が櫛歯部223の上面21aに対向する位置にあり、且つ、先端ストッパ45の先端部分が、櫛歯部222の上流側に隣接する櫛溝部223に挿入されている状態を示す。この状態で、先端ストッパ45を用紙排出方向に往復運動させて整合処理を実施するためには、第1トレイ21を降下させる必要が生じる。
本例では、整合判断部65により、第1トレイ21上に積載された用紙の整合を実施する整合動作を行うか否かの判断を行う。整合判断部65は、上面位置検知センサ135により検知された第1トレイ21上の先端ストッパ45の位置及び第1トレイ21上の用紙の先端位置に基づいて、整合処理を実施するか否かの判断を行う。
本例では、第1トレイ21上の先端ストッパ45と用紙の先端位置が、同じ櫛歯部222または櫛溝部223にある場合は、第1トレイを降下させる必要がないので、先端ストッパ45を用紙排出方向に往復移動させて整合処理を行う。一方、第1トレイ21上の先端ストッパ45が櫛歯部222に対応する位置にあり、用紙の先端位置が櫛溝部223にある場合のように、整合処理を実行するにあたり第1トレイ21の降下が必要となる場合には、処理時間を短縮するために整合処理を実施しない。
なお、整合判断部65は、整合動作を行うか否かの判断をするにあたり、入口センサ134で観測された、第1トレイ21に積載される用紙の枚数、坪量、または用紙属性等の用紙情報を考慮して、例えば、第1トレイ21上に積載された用紙の枚数が少ない場合には、整合処理を実施しないようにしてもよい。
図11は、本例の用紙搬送装置で実施される第1トレイに積載されている用紙上に先端ストッパを移動させる用紙押さえ処理の流れを説明するための説明図である。図11Aは、第1トレイ21上にサイズの大きな用紙S2が載置されている状態を示す図であり、図11B~図11Dは、第1トレイ21上に積載されている用紙S2よりもサイズの小さな用紙S1が排出される場合における先端ストッパ45の移動の流れを説明するための図である。
図11Aに示すように、第1トレイ21に積載された用紙S2は、用紙排出方向下流側に配置されている3本の支持部材22の上面21aに載置されている。また、先端ストッパ45は、積載されている用紙S2の先端が対向する櫛溝部223の空隙部に、先端部分が挿入された状態で配置されている。
この場合、サイズの小さい用紙S1の飛び出しを防止するためには、図11Cに示すように、先端ストッパ45の位置を図11Aに示す位置から用紙排出方向上流側に移動させる必要がある。本例では、用紙サイズ取得部50により、サイズの小さな用紙S1が排出されることを検知した場合には、図11Bに示すように、昇降装置24により、第1トレイ21を降下させてから、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向上流側に移動させる。
このとき、排出される用紙S1のサイズに応じて、先端ストッパ45の移動先が図11D1に示すように、上流側の櫛溝部223に対向する位置になる場合と、図11D2に示すように、上流側の櫛歯部222に対向する対応する位置になる場合がある。
図11D1に該当する場合には、例えば、昇降装置24により、第1トレイ21を上昇させる際に、先端ストッパ45の先端で第1トレイ21に積載されている用紙S2を櫛溝部223の空隙部に押し込んでしまい、用紙S2を傷つけるおそれがある。特に、用紙束の枚数が少ない場合や、用紙S2の坪量が小さく軟らかい場合、コート紙のような属性を有している場合には、用紙を傷つける可能性が高くなる。一方、図11D2に該当する場合には、先端ストッパ45の先端が櫛歯部222の上面21aに当接して空隙部に押し込まれることがないため、用紙S2を傷つけるおそれが少ない。
本例では、制御部31により、サイズ取得部50で取得した第1トレイ21上に積載されている用紙のサイズ及び排出部20から第1トレイ21に積載されている用紙上に排出される用紙のサイズに基づいて、先端ストッパ45を第1トレイ21上に積載されている用紙の上に移動させるか否かの判断を行う。これにより、第1トレイ21上に積載されている用紙を傷つける可能性を減らすことができる。
また、先端ストッパ45を第1トレイ21上に積載されている用紙の上に移動させるか否かの判断を行う際には、用紙情報取得部60で観測した第1トレイ21上に積載されている用紙属性(状態)を考慮する。例えば、第1トレイ21上に積載されている用紙の状態が、用紙束の枚数が少ない場合、用紙S2の坪量が小さく軟らかい場合、コート紙のような属性を有している場合等には、先端ストッパ45の移動を行わないことで、第1トレイ21上に積載されている用紙を傷つけることを減らすことができる。
また、先端ストッパ45を第1トレイ21上に積載されている用紙の上に移動させるか否かの判断を行う際には、制御部31は、第1トレイ21上の先端ストッパ45の移動先に基づいて、先端ストッパ45を移動させるか否かの判断を行う。例えば、先端ストッパ45の移動先が第1トレイ21の櫛溝部223に対応する位置の場合には、先端ストッパ45の移動を行わないことで、第1トレイ21上に積載されている用紙を傷つけることを減らすことができる。
なお、この場合において、制御部31は、先端ストッパ45の移動先を、櫛溝部223ではなく、該櫛溝部223に隣接する櫛歯部222に変更するようにしてもよい。これにより、先端ストッパ45が空隙部に押し込まれるおそれがなくなり、用紙の傷つきを減らすことができる。
図12は、本例の用紙搬送装置で実施される用紙押さえ処理の流れを説明するための説明図である。
図12Aは、第1トレイ21の上面21aにサイズの小さい用紙S1が積載されている状態を示す正面図である。
図12Aに示すように、第1トレイ21に積載された用紙S1の束は、用紙排出方向下流側に配置されている3本の支持部材22の上面21aに載置されている。また、先端ストッパ45は、積載されている用紙S1の先端が位置する櫛歯部222の下流側に隣接する櫛溝部223の空隙部に、先端部分が挿入された状態で配置されている。この状態で、先端ストッパ45は、第1トレイ21に排出されている間の用紙S1の飛び出しを防止する。
第1トレイ21上に積載されている用紙S1の上にサイズの大きな用紙S2を積載するためには、先端ストッパ45の位置を用紙排出方向下流側に移動させる必要がある。このとき、図12Bに示すように、先端ストッパ45が挿入されていた櫛溝部223の下流側に隣接する櫛歯部222の上面21aに移動させる場合には、先端ストッパ45を空隙部から引き抜くために、第1トレイ21を降下させる必要が生じる。
そこで、本例では、先端ストッパ45を移動させる場合において、先端ストッパ45が櫛溝部223に位置している場合であって、かつ、先端ストッパ45の移動先が櫛溝部223に隣接する櫛歯部222となる場合には、制御部31により、先端ストッパ45を先端部分が挿入されている櫛溝部223の範囲内で移動させるように制御する。本例では、図12Cに示すように、先端ストッパ45の位置を、先端部が挿入されている櫛溝部223内の上流側から下流側に移動させることで、用紙S2の飛び出しを防止する。本例によれば、第1トレイ21の用紙積載方向の移動を省略することで、用紙押さえ処理の時間を短縮させることができる。
図13は、先端ストッパ45が第1トレイ21に積載されている用紙S上にある場合に、先端ストッパを移動させる用紙押さえ処理の流れを説明するための説明図である。
図13Aに示すように、第1トレイ21に積載された用紙S2は、用紙排出方向下流側に配置されている3本の支持部材22の上面21aに載置されており、用紙S2の上に、用紙S1の束が載置されている。また、先端ストッパ45は、積載されている用紙S1の先端の位置が対向する櫛歯部222の上面に、ストッパの先端部分が接した状態で配置されている。
この状態で、第1トレイ21上に積載されている用紙S1の束の上にサイズの大きな用紙S2を積載するためには、先端ストッパ45の位置を用紙排出方向下流側に移動させる必要がある。このとき、第1トレイ21を用紙積載方向下側に移動させずに、先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させると、図13Bに示すように、先端ストッパ45の先端部分が第1トレイ21に載置されている用紙S2の表面に接触した状態で移動することになり、用紙S2の性質が、坪量が小さく軟らかい場合、コート紙のような属性を有している場合等には、用紙S2が傷ついてしまう可能性が高くなる。
本例では、第1トレイ21に積載されている用紙上に先端ストッパ45が位置する場合には、用紙情報取得部60で観測した用紙属性に基づいて先端ストッパ45を移動させるか否かの判断を行い、ストッパ移動装置46及び昇降装置24を制御するようにする。このように、先端ストッパ45が接しているトレイ上の用紙Sの性質を考慮することにより、先端ストッパ45の移動に伴う第1トレイ21に積載されている用紙Sの破損を減らすことができる。
例えば、第1トレイ21に積載されている用紙S2の坪量が小さい場合には、昇降装置24により第1トレイ21を降下させた後、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向下流側に移動させて、図13Cに示す状態とする。これにより、用紙S2の破損を防ぐとともに、用紙S1の束の上に排出される用紙S2を先端ストッパ45に当接させて、第1トレイ21からの飛び出しを防止することができる。
一方、第1トレイ21に積載されている用紙S2の坪量が大きい場合には、先端ストッパ45の移動による用紙S2の破損が生じる可能性は低いため、昇降装置24により第1トレイ21を降下させないで、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向下流側に移動させて、図15Cに示す状態とする。第1トレイ21の降下を省略することで、用紙押さえ処理の時間を短縮させるとともに、用紙S1の束の上に排出される用紙S2を先端ストッパ45に当接させて、第1トレイ21からの飛び出しを防止することができる。なお、用紙情報取得部60の観測結果によっては、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させない場合もある。
以上説明してきたように、昇降装置24により第1トレイ21を降下させないで、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させる場合に比べ、昇降装置24により第1トレイ21を降下させた後、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させる場合は、用紙押さえ処理の処理時間が増加する。このため、排出部20から第1トレイ21へ用紙Sを排紙するタイミングをいつも同じに設定すると、昇降装置24により第1トレイ21を降下させる場合において、先端ストッパ45の移動が間に合わず、第1トレイ21から用紙が飛びだすおそれがある。
本例では、用紙押さえ処理における先端ストッパ45の移動時間を算出する移動時間算出部70を備え、移動時間算出部70により算出した移動時間に基づいて、排出部20から第1トレイ21に排出する用紙Sの待機時間を決定する。移動時間算出部70は、先端ストッパ45が第1トレイ21上を移動するためにかかる時間を算出する。例えば、昇降装置24で第1トレイ21を降下させた後、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させる場合は、移動時間が長く算出されるため、制御部31は、排出部20における第1トレイ21に用紙を排出するまでの待機時間を長く設定する。一方、昇降装置24で第1トレイ21を降下させないで、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させる場合には、移動時間が短く算出されるため、制御部31は、排出部20における第1トレイ21に用紙を排出するまでの待機時間を短く設定する。
本例によれば、用紙押さえ処理における先端ストッパ45の移動時間に合わせて、第1トレイ21に用紙Sを排出するので、先端ストッパ45の移動が間に合わずに排出された用紙が飛びだしてしまうことを防止できる。また、排紙部における最適な待機時間を設定することができるので、装置の生産性を向上させることができる。
次に、本例の用紙積載装置2による用紙押さえ処理における用紙押さえ部の移動処理について、図14及び図15を用いて説明する。
図14は、本例における先端ストッパ45の移動処理の動作を説明するためのフローチャートである。
まず、用紙サイズ取得部50は、第1トレイ21に排出される用紙Sのサイズ情報を取得する(ステップS100)。これと同時に、移動時間算出部70により算出された待機時間を排出部20に通知する。
つぎに、制御部31は、用紙サイズ取得部50で取得したサイズ情報に基づいて、第1トレイ21に積載されている最上部の用紙の用紙サイズと、次に第1トレイ21に排出される用紙の用紙サイズと、を比較する(ステップS101)。
両者の用紙サイズが異なっている場合には(S101のYES)、トレイ位置検出部55により、装置高さ方向における第1トレイ21の位置を検出して、先端ストッパ45の先端位置と第1トレイ21の支持部材22の上面21aとの位置関係を確認する(ステップS102)。
つぎに、用紙押さえ部位置検出部80により、第1トレイ21上における先端ストッパ45の位置を検出し、先端ストッパ45の先端位置が、第1トレイ21の櫛歯部222または櫛溝部223のいずれに対向するかを確認する(ステップS103)。
つぎに、制御部31は、用紙サイズ取得部50で取得したサイズ情報に基づいて、先端ストッパ45の移動先を算出し、移動先における先端ストッパ45の先端位置が、第1トレイ21のいずれの櫛歯部222または櫛溝部223に対向するかを確認する(ステップS104)。
つぎに、移動判断部75は、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させるか否かを判断する(ステップS105)。ステップS105において、先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させると判断した場合には(ステップS105のYES)、移動判断部75は、先端ストッパ45を移動させるにあたり、昇降装置24により第1トレイ21を降下させる必要があるか否かを判断する(ステップS106)。
ステップS106において、第1トレイ21を降下させる必要があると判断された場合には(S106のYES)、制御部31は、昇降装置24により第1トレイ21を降下させる(ステップS107)。
ステップS107で、第1トレイ21を降下させた後、制御部31は、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に所定距離移動させる(ステップS108)。
ステップS108において、先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させた後、制御部31は、昇降装置24により第1トレイ21を上昇させて(ステップS109)、用紙押さえ部の移動処理を終了する。
なお、ステップS105において、先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させないと判断された場合には(ステップS105のNO)、用紙押さえ部の移動処理を終了する。
また、ステップS106において、第1トレイ21を降下させる必要がないと判断された場合には(S106のNO)、制御部31は、昇降装置24により第1トレイ21を降下させずに、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に所定距離移動させる(ステップS108)。
図15は、図14のステップS104において、先端ストッパ45の移動先が櫛溝部223に対向する位置と判断された場合の用紙押さえ部の移動処理のフローチャートである。
図14のステップS104において、先端ストッパ45の移動先が第1トレイ21の櫛溝部223に対向する位置と判断された場合には、第1トレイ21に積載されている用紙Sが、先端ストッパ45の移動が禁止されている用紙(移動禁止用紙)であるか否かが判断される(ステップS201)。例えば、、用紙情報取得部60で観測した用紙Sの性質が、坪量が小さく軟らかい場合や、コート紙のような属性を有している場合等の傷がつきやすい移動禁止用紙である場合には(S201のYES)、制御部31は、先端ストッパ45の移動を行わずに、用紙押さえ部の移動処理を終了する。
第1トレイ21に載置されている用紙が移動禁止用紙ではないと判断された場合には(S201のNO)、用紙情報取得部60により第1トレイ21に積載されている用紙束の高さ(用紙高)を算出して、制御部31により用紙束の最上部の位置が先端ストッパ45の先端部の位置よりも下方にあるかを規定した規定値を超えているか否かが判定される(ステップS202)。
ステップS202において、規定値を超えていないと判定された場合には(S202のNO)、その状態で先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させると用紙束に衝突してしまうため、制御部31は、昇降装置24により第1トレイ21を降下させる(ステップS203)。ステップS203で第1トレイ21を降下させた後、制御部31は、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させる(ステップS204)。つぎに、ステップS204で先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させた後、制御部31は、昇降装置24により第1トレイ21を上昇させて(ステップS205)、用紙押さえ部の移動処理を終了する。
ステップS202において、規定値を超えていると判定された場合には(S202のYES)、先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させても用紙束に衝突しないため、制御部31は、ストッパ移動装置46により先端ストッパ45を用紙排出方向に移動させて(ステップS206)、用紙押さえ部の移動処理を終了する。
以上、本例に係る画像形成システム100及び用紙積載装置2について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、本例では、画像形成システム100が、画像形成機能を担う画像形成装置1と、用紙を積載する用紙積載装置2とで構成されている。しかしながら、画像形成システムを構成する用紙処理装置それ自体も本発明の一側面として機能する。また、画像形成システムは、画像形成装置と用紙積載装置とがそれぞれ独立した装置として構成される以外にも、画像形成装置の一機能として用紙積載装置を備えるものであってもよい。
また、本例では、用紙積載装置が専用の制御部(積載制御部)を備え、当該制御部により用紙積載装置の制御が実行されている。しかしながら、画像形成装置の制御を司る制御部が用紙積載装置の制御を行ってもよく、この場合、積載制御部を省略してもよい。
また、本例において、用紙としては、パルプを主たる原料として製造される記録媒体のみならず、画像形成装置により画像を形成することができ、用紙積載トレイに排出できる記録媒体を広く含むものである。