JP7334418B2 - 電気音響変換器用振動板フィルムおよび電気音響変換器用振動板 - Google Patents
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Description
本発明のフィルムはポリフェニルサルホンを含むことが重要である。ポリフェニルサルホンが含まれることによって、該フィルムを電気音響変換器用振動板として使用した場合に、高音と低音の再現性に優れる。
該フィルムに含まれるポリフェニルサルホンの割合としては、下限については50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。該フィルムに含まれるポリフェニルサルホンの割合の下限がかかる範囲であれば、該フィルムは音の再現性に優れる。一方、上限については90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。該フィルムに含まれるポリフェニルサルホンの割合の上限がかかる範囲であれば、該フィルムは耐久性に優れる。
本発明のフィルムは、ポリエーテルエーテルケトンを含むことが重要である。ポリエーテルエーテルケトンを含むことにより、該フィルムを電気音響変換器用振動板として使用した場合に、高出力時にも耐え得る耐久性を有する。
該フィルムに含まれるポリエーテルエーテルケトンの割合としては、下限については10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。該フィルムに含まれるポリエーテルエーテルケトンの割合の下限がかかる範囲であれば、該フィルムは耐久性に優れる。一方、上限については50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。該フィルムに含まれるポリエーテルエーテルケトンの割合の上限がかかる範囲であれば、該フィルムは音の再現性に優れる。
なお、降温過程における結晶化温度は、JIS K7121:2012に準拠して、400℃から室温までの降温過程における結晶化ピーク温度を算出することによって求めることができる。
なお、380℃、せん断速度1216sec-1における溶融粘度は、JIS K7199:1999に準拠して、キャピラリーレオメータを用いて測定することができる。
本発明の電気音響変換器用振動板フィルムは、ポリフェニルサルホンおよびポリエーテルエーテルケトンを含む樹脂組成物からなる。ポリフェニルサルホンは引張弾性率が特定の範囲内にあるため、電気音響変換器用振動板として使用した場合に幅広い音域に対応することができる。一方、ポリエーテルエーテルケトンは耐久性に優れるため、電気音響変換器用振動板として使用した場合に高出力時にも耐え得る。該フィルムは、これらの樹脂成分が含まれることにより、耐久性、耐衝撃性、および、音の再現性に優れる。
一方、上限としては、500μm以下であることが好ましく、450μm以下であることがより好ましく、400μm以下であることが更に好ましく、350μm以下であることが特に好ましい。厚みが500μm以下であれば、省スペース化することができ、ひいては電気音響変換器を小型化することができる。
該フィルムは、一般の成形法、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等によって製造することができる。それぞれの成形方法において、装置および加工条件は特に限定されないが、生産性や厚み制御の観点から、押出成形、特にTダイ法が好ましい。
一方、上限については450℃以下であることが好ましく、400℃以下であることがより好ましく、390℃以下であることが更に好ましい。溶融温度がかかる範囲であれば、樹脂の分解や架橋を抑制しつつ、十分に流動させることができる。成形は、例えば、Tダイ等の金型を用いた押出成形により行うことができる。
一方、上限については250℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることが更に好ましい。キャストロールの温度の上限がかかる範囲であれば、フィルムがロールに貼り付き、その後離れる際に生じる貼り付き跡も生じない、外観良好なフィルムが得られる。また、ポリエーテルエーテルケトンの結晶化を抑制し、ひいては耐久性、耐衝撃性に優れたフィルムが得られる。なお、キャストロールとフィルムとの密着性を向上させるために、タッチロールを使用することが好ましい。
本発明のフィルムは、耐熱性に優れ、引張弾性率が特定の範囲にある。このため、該フィルムを成形して電気音響変換器用振動板として好適に使用することができる。
実施例及び比較例においては、以下の原料を用い、下記表1に示す配合組成のフィルムを製造した。
・Ultrason P3010N(BASF社製、(1)の繰り返し単位、ガラス転移温度=217℃)
・KetaSpire KT-810NT(Solvay社製、(2)の繰り返し単位、結晶融解温度=334℃、結晶融解熱量=34J/g、ガラス転移温度=150℃、降温過程における結晶化温度=285℃、380℃・せん断速度1216sec-1における溶融粘度=650Pa・s)
・VESTAKEEP 5000G(ダイセル・エボニック社製、(2)の繰り返し単位、結晶融解温度=337℃、結晶融解熱量=42J/g、ガラス転移温度=148℃、降温過程における結晶化温度=289℃、380℃・せん断速度1216sec-1における溶融粘度=590Pa・s)
・VICTREX PEEK 450G(ビクトレックス社製、(2)の繰り返し単位、結晶融解温度=339℃、結晶融解熱量=40J/g、ガラス転移温度=151℃、降温過程における結晶化温度=295℃、380℃・せん断速度1216sec-1における溶融粘度=420Pa・s)
ポリフェニルサルホンとしてUltrason P3010Nを70質量%、ポリエーテルエーテルケトンとしてKetaSpire KT-810NTを30質量%となるように原料ペレットをドライブレンドした。ブレンド後の原料をΦ40mm単軸押出機に投入して混練しながら溶融させ、口金(Tダイ)から押出し、キャストロールに密着させ、単層フィルムを得た。この時、押出機、導管、口金(Tダイ)の温度は380℃とし、キャストロールの温度は120℃とした。得られた厚み100μmの単層フィルムについて、引張弾性率、耐折強度、パンクチャー衝撃強度の評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリエーテルエーテルケトンとして、KetaSpire KT-810NTの代わりにVESTAKEEP 5000Gを使用した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムの作製及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリエーテルエーテルケトンとして、KetaSpire KT-810NTの代わりにVICTREX PEEK450Gを使用した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムの作製及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
原料として、ポリフェニルサルホンであるUltrason P3010Nを単独で使用し、キャストロールの温度を200℃とした以外は、実施例1と同様の方法でフィルムの作製及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
原料として、ポリエーテルエーテルケトンであるKetaSpire KT-810NTを単独で使用した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムの作製及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
上記実施例、比較例及び参考例で使用した樹脂原料は、以下のようにして各種項目についての評価測定を行った。
樹脂ペレットについて、JIS K7121:2012に準拠して、示差走査熱量計(パーキンエルマージャパン社製「Diamond DSC」)を用いて、400℃から室温まで、冷却速度10℃/分で降温過程における樹脂ペレットの結晶化温度を測定した。
樹脂ペレットについて、JIS K7199:1999に準拠して、キャピラリーレオメータ(キャピログラフ1D型、東洋精機製作所社製)を用いて、380℃、せん断速度1216sec-1における溶融粘度を測定した。
上記実施例、比較例及び参考例で製造した各フィルムは、以下のようにして各種項目についての評価測定を行った。ここで、フィルムの「縦」とは、Tダイからフィルム状の成形品が押し出されてくる方向を指し、また、フィルム面内でこれに直交する方向を「横」とする。
厚み100μmの各フィルムについて、JIS K7161:2014-1に準拠して、「引張圧縮試験機205型」(インテスコ社製)を用い、引張速度5mm/minの条件で、23℃における引張弾性率を測定して、以下の基準で評価した。
○:引張弾性率が2000MPa~2500MPa
×:引張弾性率が2000MPa未満、または2500MPaを超える
厚み100μmの各フィルムについて、JIS P8115に準拠して、MIT折曲疲労試験機(東洋精機)を用いて、耐折強度を測定して、以下の基準で評価した。
○:耐折強度が2000回以上
×:耐折強度が2000回未満
厚み100μmの各フィルムについて、JIS K7124-2:1999に準拠して、高速パンクチャー衝撃試験機ハイドロショット HITS-P10(島津製作所)を用いて、23℃の温度環境下で、打ち抜き径0.5インチ、試験速度3m/secの条件で測定して、以下の基準で評価した。
○:パンクチャー衝撃強度が3.0J以上
×:パンクチャー衝撃強度が3.0J未満
Claims (7)
- ポリフェニルサルホンおよびポリエーテルエーテルケトンを含む樹脂組成物からなり、当該ポリエーテルエーテルケトンの降温過程における結晶化温度が286℃以下であり、
前記ポリエーテルエーテルケトンの380℃、せん断速度1216sec -1 における溶融粘度が600Pa・s以上、700Pa・s以下であり、
前記ポリエーテルエーテルケトンの結晶融解熱量が、30J/g以上、35J/g以下である電気音響変換器用振動板フィルム。 - 前記ポリエーテルエーテルケトンの結晶融解温度が、300℃以上、400℃以下である、請求項1に記載の電気音響変換器用振動板フィルム。
- ポリフェニルサルホンとポリエーテルエーテルケトンとの混合質量比が、90/10~50/50である請求項1または2に記載の電気音響変換器用振動板フィルム。
- 23℃における引張弾性率が2000MPa~2500MPaである請求項1~3のいずれかに記載の電気音響変換器用振動板フィルム。
- 厚み100μm、23℃における耐折強度が2000回以上である請求項1~4のいずれかに記載の電気音響変換器用振動板フィルム。
- 厚み100μm、23℃におけるパンクチャー衝撃強度が3.0J以上である請求項1~5のいずれかに記載の電気音響変換器用振動板フィルム。
- 請求項1~6のいずれかに記載の振動板フィルムを成形してなる電気音響変換器用振動板。
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