JP2020089995A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2に記載のブレンド物は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の相溶系であるために、それぞれの単独特性を損なう方向に物性が変化してしまうことが予想される。
以下、詳細を説明する。
本フィルムは、相対結晶化度が50%以下であるポリエーテルエーテルケトンを主成分とするA層と、ポリエーテルイミドを主成分とするB層を含み、該A層を両最外層に備えた積層フィルムである。このような構成にする事で、本フィルムは剛性と耐熱性、耐衝撃性のバランスに優れたものにできる。
ここで、層(C)の例としては、接着層が挙げられ、一般的に使用されるホットメルト系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤等が使用できる。
また、スピーカー振動板として使用した際に、高出力時にも破れにくくすることができる。パンクチャー衝撃強度に優れるポリエーテルエーテルケトンを両最外層に備えることにより、積層フィルムのパンクチャー衝撃強度を高く調整することができる。
本発明において、ポリエーテルエーテルケトンを主成分とするA層は、ポリエーテルエーテルケトンが50質量%以上を占める層である。ポリエーテルエーテルケトンが60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。100質量%がポリエーテルエーテルケトンであることがとりわけ好ましい。ポリエーテルエーテルケトン層について、ポリエーテルエーテルケトンがかかる割合で占めることにより、本フィルムは耐衝撃性に優れたものとなる。
一般に、結晶性高分子材料においては、結晶化度が高い場合、結晶化度が低い場合に比べて、耐衝撃性が低下する。具体的には、外部から衝撃を与えた際に、球晶が起点となってクレーズを生じ、その後クラックへと伸展し、最終的に破断に至りやすくなる。A層中のポリエーテルエーテルケトンの相対結晶化度がかかる範囲であれば、ポリエーテルエーテルケトンの耐衝撃性を高いレベルで維持する事ができる。
また、近年、スピーカー振動板としては、低音の再生性を向上するために剛性(弾性率)がある程度低い事が求められる傾向にある。剛性の低い、相対結晶化度50%以下のポリエーテルエーテルケトンを積層する事で、フィルム全体の剛性を調整する事ができる。
相対結晶化度(%)={(|ΔHm|−|ΔHc|)/ΔHm}×100
本発明において、ポリエーテルイミドを主成分とするB層は、ポリエーテルイミドが50質量%以上を占める層である。ポリエーテルイミドが60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。ポリエーテルイミド層について、ポリエーテルイミドをかかる割合で含む事により、本発明の積層フィルムは剛性と耐熱性に優れる。
また、近年、スピーカー振動板としては、低音の再生性を向上するために剛性(弾性率)がある程度低い事が求められる傾向にある。ポリエーテルイミドと比べて剛性の低いポリエーテルエーテルケトンを含む事で、フィルム全体の剛性を調整する事ができる。
本フィルムは、一般の成形法、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等によって製造することができる。それぞれの成形方法において、装置および加工条件は特に限定されないが、生産性や厚み制御の観点から、押出成形、特に、Tダイ法が好ましい。
本発明の積層フィルムは、耐熱性と耐衝撃性に優れるため、家電製品やオーディオ機器、IT機器、通信機器、OA機器、医療機器、ヘルスケア機器、業務用機器、産業機器、自動車・鉄道・船舶等の輸送機器等向けのモーター用絶縁フィルム、または、携帯電話、PDA、ノートブックコンピューター、DVD、液晶TV、デジタルカメラ、携帯音楽機器向けのスピーカー振動板としてに好適に使用できる。具体的には、本フィルムを備えたスピーカー振動板とすることができる。
実施例及び比較例においては、以下の原料を用い、下記表1に示す配合組成のフィルムを製造した。
(A)−1:VESTAKEEP 3300G(ダイセル・エボニック社製、(a−1)の繰り返し単位、結晶融解熱量=41J/g、結晶融解温度=343℃、ガラス転移温度=143℃)
(B)−1:Ultem 1000−1000(サビック社製、(b−1)の繰り返し単位、ガラス転移温度=217℃)
(B)−2:Ultem CRS5001−1000(サビック社製、(b−2)の繰り返し単位、ガラス転移温度=227℃)
A層の原料として(A)−1を、B層の原料として(B)−1をそれぞれ使用した。これらを、Φ40mm押出機2台を使用して別々に溶融させ、ポリエーテルエーテルケトン層についてはフィードブロックで半分ずつに分割し、A層/B層/A層の順番となるようにフィードブロック内で積層させて2種3層構成の積層フィルムとしてTダイから押出し、両最外層を結晶化させるために、140℃のキャストロールに密着させ、積層比が1/8/1(フィルム全体に占める、A層の厚み割合=20%)となるように、積層フィルムを得た。この時、A層の押出機温度、B層の押出機温度、フィードブロック、口金の温度はいずれも380℃とした。
厚み100μmの2種3層構成の積層フィルムを作製し、中間層のガラス転移温度、及び、パンクチャー衝撃強度の評価を行った。これらの結果を表1に示す。
A層とB層の押出機回転数を調整し、積層比を1/4/1(フィルム全体に占める、ポリエーテルエーテルケトン層の厚み割合=33%)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でサンプル作製した。評価結果を表1に示す。
B層の原料として、(B)−1の代わりに(B)−2を使用した以外は実施例1と同様の方法でサンプル作製した。評価結果を表1に示す。
B層の原料として、(B)−1の代わりに(A)−1/(B)−1=20/80質量%のブレンドを用いた以外は実施例1と同様の方法でサンプル作製した。評価結果を表1に示す。
B層の原料として、(B)−1の代わりに(A)−1/(B)−1=20/80質量%のブレンドを用い、さらに押出機回転数を調整し、積層比を1/4/1(フィルム全体に占める、A層の厚み割合=33%)に変更した以外は実施例1と同様の方法でサンプル作製した。評価結果を表1に示す。
B層の原料として、(B)−1の代わりに(A)−1/(B)−2=20/80質量%のブレンドを用いた以外は実施例1と同様の方法でサンプル作製した。評価結果を表1に示す。
キャストロールの温度を210℃に変更した以外は実施例1と同様の方法でサンプル作製した。評価結果を表1に示す。
押出機を1台のみ用い、原料として(A)−1を使用した以外は実施例1と同様の条件にて、ポリエーテルエーテルケトン単層フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
押出機を1台のみ用い、原料として(B)−1を使用し、さらにキャストロールの温度を210℃に変更した以外は実施例1と同様の条件にて、ポリエーテルイミド単層フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
上記実施例及び比較例で製造した各フィルムは、以下のようにして各種項目についての評価測定を行った。ここで、フィルムの「縦」とは、Tダイからフィルム状の成形品が押し出されてくる方向を指し、また、フィルム面内でこれに直交する方向を「横」とする。
各フィルムについて室温から380℃まで、10℃/分の速度で昇温し、ポリエーテルエーテルケトンの結晶化時の発熱ピーク面積とポリエーテルエーテルケトンの結晶融解時の吸熱ピーク面積から、結晶化熱量ΔHcと結晶融解熱量ΔHmを算出する。これらを用いて、以下の式から相対結晶化度を算出した。
相対結晶化度(%)={(|ΔHm|−|ΔHc|)/ΔHm}×100
なお、ポリエーテルイミド層にポリエーテルエーテルケトンをさらに含む実施例4〜6については、斜め切削装置SAICAS(ダイプラ・ウィンテス社製、DN−20S型)を用いて最外層のA層を切削し、示差走査熱量測定(DSC)を用いる事で測定した。
厚み100μmの各フィルムについて、JIS K7244−4:1999に準拠して、粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測制御株式会社製)を用いて、歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて動的粘弾性の温度分散測定を行い、23℃での引張弾性率を評価した。23℃での引張弾性率が2500MPa以上であるものを合格(○)、2500MPa未満のものを不合格(×)とした。
厚み100μmの各フィルムについて、JIS K7244−4:1999に準拠して、粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測制御株式会社製)を用いて、歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて動的粘弾性の温度分散測定を行い、160℃での引張弾性率を評価した。160℃での引張弾性率が500MPa以上であるものを合格(○)、500MPa未満のものを不合格(×)とした。
(4)パンクチャー衝撃強度
厚み100μmの各フィルムについて、JIS K7124−2:1999に準拠して、高速パンクチャー衝撃試験機ハイドロショット HITS−P10(島津製作所)を用いて、23℃の温度環境下で、打ち抜き径0.5インチ、試験速度3m/secの条件で測定した。パンクチャー衝撃強度が1.5以上のものを合格(○)、1.5未満のものを不合格(×)とした。
また、160℃における引張弾性率の値が500MPaを超えており、耐熱性にも優れていた。これは、中間層のポリエーテルイミドを主成分とするB層が、ポリエーテルイミドの耐熱性を十分に維持している結果である。
さらに、パンクチャー衝撃強度の値が大きく、耐衝撃背にも優れていた。この効果は耐衝撃性に優れるポリエーテルエーテルケトン層を両最外層に配した効果によるものである。
実施例4〜6は、特にパンクチャー衝撃強度の値が大きく、耐衝撃性に優れている。この効果は、耐衝撃性に優れるポリエーテルエーテルケトン層を両最外層に配し、かつ、中間層のポリエーテルイミドに対してポリエーテルエーテルケトンをブレンドした効果によるものである。
以上の結果より、本発明の積層フィルムは、剛性と耐熱性、耐衝撃性に優れていることがわかる。
比較例2は、ポリエーテルエーテルケトンを単体で使用しているため、剛性と耐熱性に劣っていた。
比較例3は、ポリエーテルイミドを単体で使用しているため、耐衝撃性に劣っていた。また、ポリエーテルイミドは、実施例の積層フィルムと比較して23℃の引張弾性率が高く、スピーカー振動板として使用した際に低音の再生性に劣ると推察される。
Claims (7)
- 相対結晶化度が50%以下であるポリエーテルエーテルケトンを主成分とするA層と、ポリエーテルイミドを主成分とするB層を含み、該A層を両最外層に備えた積層フィルムであって、積層フィルムに占める前記A層の厚みの割合が、10%以上50%未満である積層フィルム。
- 23℃における引張弾性率が2300MPa以上2900MPa未満である請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記A層を両最外層に備え、前記B層を中間層に備えた2種3層の積層構造である請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 前記B層がポリエーテルエーテルケトンを1質量%以上、30質量%以下の割合で含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 160℃における引張弾性率が500MPa以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 厚み100μmにおけるパンクチャー衝撃強度が1.5J以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルムを備えたスピーカー振動板。
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Citations (1)
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JPS62148260A (ja) * | 1985-12-23 | 1987-07-02 | 住友ベークライト株式会社 | 耐熱性複合フイルム |
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- 2018-12-04 JP JP2018227165A patent/JP2020089995A/ja active Pending
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JPS62148260A (ja) * | 1985-12-23 | 1987-07-02 | 住友ベークライト株式会社 | 耐熱性複合フイルム |
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