JP7333988B1 - 防蟻構造体及び防蟻構造体の施工方法 - Google Patents

防蟻構造体及び防蟻構造体の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 より優れた防蟻機能を有すると共に、施工が容易な防蟻構造体及び防蟻構造体の施工方法を提供する。【解決手段】 防蟻構造体1は、基礎2と、基礎2の上方に設置される土台3と、基礎2の外面に取付けられる第1断熱材4と、第1断熱材4の少なくとも上部を覆う防蟻部材12と、基礎2の上面及び第1断熱材4の上面に跨る充填材5とを備える。又、防蟻部材12は、第1断熱材4の上面を覆う第1被覆部13と、第1被覆部13の屋内側端部に接続され、第1断熱材4の屋内方向の側面の少なくとも上部を覆う第2被覆部14と、第2被覆部14の下端に接続され、基礎2に埋設されるアンカー部15とを備える。このように構成すると、基礎2と第1断熱材4の間の隙間を充填材5により埋めることができるため、防蟻機能が向上する。【選択図】 図1

Description

特許法第30条第2項適用 2021年11月17日 株式会社ハウゼコが自社2022年版カタログ(表紙、表紙裏頁、A-2頁、A-58頁、A-59頁、A-60頁、A-61頁、B-1頁、裏表紙裏頁)にて公開
この発明は防蟻構造体及び防蟻構造体の施工方法に関し、特に、地中や地表から建物内への白蟻の侵入を防止するために、基礎付近に取付けられる防蟻構造体及び防蟻構造体の施工方法に関するものである。
基礎の外面に沿って断熱材が取付けられた外張り断熱構造を有する木造家屋における防蟻構造体として、特許文献1に示すものが存在している。
図7は特許文献1に示す従来の防蟻構造体を示す断面図である。
図7を参照して、防蟻構造体61は、長尺状の鋼板等を短手方向断面コの字状にプレス加工等して形成された防蟻部材72が断熱材64の上面を覆うと共に、コンクリートを打設されてなる基礎62の外周面上部に当接させることで構成されている。これによって、地中や地表から断熱材の内部に白蟻が侵入しても、防蟻部材72に突き当たり土台63への侵入を防止することができる。
しかしながら、基礎62の表面と断熱材64の表面との間に隙間が形成される虞があり、防蟻部材72の取付の安定性が十分とは言えなかった。又、隙間から白蟻が侵入する虞があり、防蟻性能が十分とは言えなかった。
そこで、長尺状の鋼板等を短手方向断面略コの字状にプレス加工等して形成され、基礎側に向かって水平方向に延びるアンカー部を有する防蟻部材を備える防蟻構造体が存在している。
図8の(1)は特許文献2に示す従来の防蟻構造体を示す断面図であり、(2)は“A”部分の拡大図である。
図8を参照して、防蟻構造体81は、防蟻部材92が断熱材84の上面、屋内側及び屋外側の側面上部を覆うと共に、アンカー部95が基礎82に埋設されている。又、断熱材84の外面には防蟻部材92と密着するように被覆材85が取付けられている。これによって、基礎82と断熱材84との一体性が高まり、防蟻部材92の取付の安定性が向上する。
特開2000-17747号公報 特開平11-256715号公報
しかしながら、上記のような特許文献2に示す従来の防蟻構造体81では、防蟻部材92と被覆材85とを釘86で固定させる必要があり、手間を要する。又、基礎82の施工にあたり、打設されたコンクリートに振動を与えて締固める際に、アンカー部95の下方にまで振動が均等に伝わらなかったり、気泡の逃げ場がなくなったりすることで、アンカー部95の下方に隙間が形成される虞があり、防蟻部材92の取付の安定性が十分とは言えなかった。更に、基礎82と断熱材84の間の隙間から白蟻が侵入する虞があり、防蟻性能が十分とは言えなかった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、より優れた防蟻機能を有すると共に、施工が容易な防蟻構造体及び防蟻構造体の施工方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基礎と、基礎の上方に設置される土台と、基礎の外面に取付けられる第1断熱材と、第1断熱材の少なくとも上部を覆う防蟻部材とを備える防蟻構造体であって、防蟻部材は、第1断熱材の上面を覆う第1被覆部と、第1被覆部の屋内側端部に接続され、第1断熱材の屋内方向の側面の少なくとも上部を覆う第2被覆部と、第2被覆部の下端に接続され、基礎に埋設されるアンカー部とを備え、基礎の上面及び第1被覆部の上面に跨る弾性変形可能な充填材と、土台の外方に取付けられる第2断熱材と、土台と第2断熱材との間を埋めると共に、充填材を上方から押圧するように設置される下地面材とを更に備え、アンカー部は、斜め上方に延び、その先端が下地面材の下方に位置し、基礎の上面は第1被覆部の上面と同一仮想平面上に位置し、第2断熱材は、屋内側の端部が第1断熱材の屋内側の端部より内方側に位置し、充填材を介して基礎の上方及び第1被覆部の上方に跨るように設置されるものである。
このように構成すると、基礎と第1断熱材の間の隙間を充填材により埋めることができる。又、第1被覆部の上面と同一仮想平面上に位置するように基礎を施工できると共に、土台の設置前に充填材を設置することができる。更に、アンカー部の周囲に隙間なく基礎が形成される。更に、充填材を介して基礎及び防蟻部材に第2断熱材の荷重がかかる。
請求項2記載の発明は、基礎と、基礎の上方に設置される土台と、基礎の外面に取付けられる第1断熱材と、第1断熱材の少なくとも上部を覆う防蟻部材とを備える防蟻構造体であって、防蟻部材は、第1断熱材の上面を覆う第1被覆部と、第1被覆部の屋内側端部に接続され、第1断熱材の屋内方向の側面の少なくとも上部を覆う第2被覆部と、第2被覆部の下端に接続され、基礎に埋設されるアンカー部とを備え、基礎の上面及び第1被覆部の上面に跨る弾性変形可能な充填材と、土台の外方に取付けられる第2断熱材と、土台と第2断熱材との間を埋めると共に、充填材を上方から押圧するように設置される下地面材とを更に備え、基礎の上面は第1被覆部の上面と同一仮想平面上に位置し、第2断熱材は、屋内側の端部が第1断熱材の屋内側の端部より内方側に位置し、充填材を介して基礎の上方及び第1被覆部の上方に跨るように設置され、下地面材は、その下端が第2断熱材の下端より上方に位置し、充填材は、基礎の上面と下地面材の下端とで挟まれる領域よりも大きい形状に予め断裁して形成されるものである。
このように構成すると、基礎と第1断熱材の間の隙間を充填材により埋めることができる。又、第1被覆部の上面と同一仮想平面上に位置するように基礎を施工できると共に、土台の設置前に充填材を設置することができる。更に、充填材を介して基礎及び防蟻部材に第2断熱材の荷重がかかる。
請求項3記載の発明は、基礎と、基礎の上方に設置される土台と、基礎の外面に取付けられる第1断熱材と、第1断熱材の少なくとも上部を覆う防蟻部材とを備える防蟻構造体であって、防蟻部材は、第1断熱材の上面を覆う第1被覆部と、第1被覆部の屋内側端部に接続され、第1断熱材の屋内方向の側面の少なくとも上部を覆う第2被覆部と、第2被覆部の下端に接続され、基礎に埋設されるアンカー部とを備え、基礎の上面及び第1被覆部の上面に跨る弾性変形可能な充填材と、土台の外方に取付けられる第2断熱材と、土台と第2断熱材との間を埋めると共に、充填材を上方から押圧するように設置される下地面材とを更に備え、基礎の上面は第1被覆部の上面と同一仮想平面上に位置し、第2断熱材は、屋内側の端部が第1断熱材の屋内側の端部より内方側に位置し、充填材及び第2断熱材の下方の断熱材側土台を介して基礎の上方及び第1被覆部の上方に跨るように設置され、下地面材は、その下端が断熱材側土台の下端より上方に位置し、充填材は、基礎の上面と下地面材の下端とで挟まれる領域よりも大きい形状に予め断裁して形成されるものである。
このように構成すると、基礎と第1断熱材の間の隙間を充填材により埋めることができる。又、第1被覆部の上面と同一仮想平面上に位置するように基礎を施工できると共に、土台の設置前に充填材を設置することができる。更に、充填材及び第2断熱材の下方の断熱材側土台を介して基礎及び防蟻部材に第2断熱材の荷重がかかる。
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、第2断熱材の外方において、胴縁を介して設置される外壁材を更に備えるものである。
このように構成すると、外壁材の屋外方向への出っ張りが少なくなる。
請求項記載の発明は、基礎と、基礎の上方に設置される土台と、基礎の外面に取付けられる第1断熱材と、基礎に埋設されるアンカー部を有する防蟻部材とを備える防蟻構造体の施工方法であって、第1断熱材の上面及び少なくとも屋内側の側面の一部を連続して覆うと共に、アンカー部が屋内側に位置するように防蟻部材を設置する第1工程と、第1断熱材及び防蟻部材の屋内側の側面に沿って基礎を形成すると共に、アンカー部を基礎に埋設する第2工程と、充填材を第1断熱材の上面側の防蟻部材の上面と基礎の上面に跨るように設置する第3工程と、基礎の上方に土台を設置する第4工程とを備え、第4工程は、土台の外方において充填材を上方から押圧するように下地面材を設置し、下地面材の外方において充填材を介して基礎の上方及び防蟻部材の上方に跨るように第2断熱材を設置する工程とを含み、アンカー部は、斜め上方に延び、その先端が下地面材の下方に位置し、充填材は、弾性変形可能であり、第4工程において、基礎と土台と防蟻部材の上面とに密着し、基礎の上面は、防蟻部材の上面と同一仮想平面上に位置するものである。
このように構成すると、基礎と第1断熱材の間の隙間を充填材により埋めることができる。又、土台の設置後に土台と基礎の隙間にコーキング材を充填する必要がなくなる。更に、充填材を介して基礎及び防蟻部材に第2断熱材の荷重がかかる。
請求項記載の発明は、基礎と、基礎の上方に設置される土台と、基礎の外面に取付けられる第1断熱材と、基礎に埋設されるアンカー部を有する防蟻部材とを備える防蟻構造体の施工方法であって、第1断熱材の上面及び少なくとも屋内側の側面の一部を連続して覆うと共に、アンカー部が屋内側に位置するように防蟻部材を設置する第1工程と、第1断熱材及び防蟻部材の屋内側の側面に沿って基礎を形成すると共に、アンカー部を基礎に埋設する第2工程と、充填材を第1断熱材の上面側の防蟻部材の上面と基礎の上面に跨るように設置する第3工程と、基礎の上方に土台を設置する第4工程とを備え、第4工程は、土台の外方において充填材を上方から押圧するように下地面材を設置し、下地面材の外方において充填材を介して基礎の上方及び防蟻部材の上方に跨るように第2断熱材を設置する工程とを含み、充填材は、弾性変形可能であり、基礎の上面と下地面材の下端とで挟まれる領域よりも大きい形状に予め断裁して形成され、第4工程において、基礎と土台と防蟻部材の上面とに密着し、基礎の上面は、防蟻部材の上面と同一仮想平面上に位置するものである。
このように構成すると、基礎と第1断熱材の間の隙間を充填材により埋めることができる。又、土台の設置後に土台と基礎の隙間にコーキング材を充填する必要がなくなる。更に、充填材を介して基礎及び防蟻部材に第2断熱材の荷重がかかる。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、基礎と第1断熱材の間の隙間を充填材により埋めることができるため、防蟻機能が向上する。又、第1被覆部の上面と同一仮想平面上に位置するように基礎を施工できると共に、土台の設置前に充填材を設置することができるため、防蟻構造体の施工が容易となる。更に、アンカー部の周囲に隙間なく基礎が形成されるため、第1断熱材と基礎との一体性が向上する。更に、充填材を介して基礎及び防蟻部材に第2断熱材の荷重がかかるため、防蟻部材が抜けにくくなり、設置状態が安定する。
請求項記載の発明は、基礎と第1断熱材の間の隙間を充填材により埋めることができるため、防蟻機能が向上する。又、第1被覆部の上面と同一仮想平面上に位置するように基礎を施工できると共に、土台の設置前に充填材を設置することができるため、防蟻構造体の施工が容易となる。更に、充填材を介して基礎及び防蟻部材に第2断熱材の荷重がかかるため、防蟻部材が抜けにくくなり、設置状態が安定する。
請求項3記載の発明は、請求項記載の発明の効果に加えて、アンカー部の周囲に隙間なく基礎が形成されるため、第1断熱材と基礎との一体性が向上する。
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、外壁材の屋外方向への出っ張りが少なくなるため、意匠性が向上する。
請求項記載の発明は、基礎と第1断熱材の間の隙間を充填材により埋めることができるため、防蟻機能が向上する。又、土台の設置後に土台と基礎の隙間にコーキング材を充填する必要がなくなるため、充填材の設置箇所を上方から確認しながら充填材を設置でき、防蟻構造体の施工が容易となる。更に、充填材を介して基礎及び防蟻部材に第2断熱材の荷重がかかるため、防蟻部材が抜けにくくなり、設置状態が安定する。
請求項記載の発明は、基礎と第1断熱材の間の隙間を充填材により埋めることができるため、防蟻機能が向上する。又、土台の設置後に土台と基礎の隙間にコーキング材を充填する必要がなくなるため、充填材の設置箇所を上方から確認しながら充填材を設置でき、防蟻構造体の施工が容易となる。更に、充填材を介して基礎及び防蟻部材に第2断熱材の荷重がかかるため、防蟻部材が抜けにくくなり、設置状態が安定する。
この発明の実施の形態の全体構造を示した概略断面図である。 図1で示した防蟻部材の拡大断面図である。 図2で示したIII-IIIラインの矢視図である。 図1で示した防蟻構造体の第1及び第2の施工工程を示した概略断面図である。 図1で示した防蟻構造体の第3及び第4の施工工程を示した概略断面図である。 図1で示した防蟻構造体の第5の施工工程を示した概略断面図である。 特許文献1に示す従来の防蟻構造体を示す断面図である。 (1)は特許文献2に示す従来の防蟻構造体を示す断面図であり、(2)は“A”部分の拡大図である。
図1はこの発明の実施の形態の全体構造を示した概略断面図である。
図1を参照して、防蟻構造体1は、基礎2と、基礎2の上方に設置される土台3と、基礎2の外面に取付けられる第1断熱材4と、第1断熱材4の上部を覆う防蟻部材12と、基礎2の上面及び第1断熱材4の上面に跨る充填材5と、土台3の外方に取付けられる第2断熱材6とから主に構成されている。
第1断熱材4は、断面矩形板状を有し、基礎2の外面に沿って取付けられている。
図2は図1で示した防蟻部材の拡大断面図であり、図3は図2で示したIII-IIIラインの矢視図である。
図1~図3を参照して、防蟻部材12は、長尺の矩形形状の鋼板等を折り曲げて形成され、第1断熱材4の上部を覆うように取付けられている。防蟻部材12は、図1に示す設置状態において、第1断熱材4の上面を覆うように水平方向に延びる第1被覆部13と、第1被覆部13の屋内側端部に接続され、第1断熱材4の屋内方向の側面の上部を覆うように下方に延びる第2被覆部14と、第2被覆部14の下端に接続され、基礎2に埋設されるように基礎2側に向かって斜め上方に延びるアンカー部15と、第1被覆部13の屋外側端部に接続され、第1断熱材4の屋外方向の側面の上部を覆うように下方に延びる第3被覆部16とから構成されている。第2被覆部14は、第3被覆部16の長さの約4倍の長さに設定されている。アンカー部15は、斜め上方(第2被覆部14とアンカー部15とのなす角度が鋭角になるよう)に延びるように形成されている。このように構成したことによる効果は後述する。
基礎2は、コンクリートを打設して形成され、基礎2の上面は第1被覆部13の上面と面一に(同一仮想平面上に位置するように)形成されている。
土台3は、木材からなる角柱であり、土台気密材25a、25bを介して基礎2の上方に設置されている。
充填材5は、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等の弾性変形可能である素材をあらかじめ設置するのに適した形状に断裁して形成され、基礎2の上面の屋外側端部32及び第1被覆部13の上面の屋内側端部33に跨るように設置されている。このように構成することで、基礎2と第1断熱材4の間に隙間が形成されたとしても、この隙間を充填材5により埋めることができ、白蟻は基礎2の上面に出ることができない。そのため、防蟻機能が向上する。
第2断熱材6は、断面矩形板状を有し、土台3の外方であって、断熱材側土台26を介して第1断熱材4の上方に取付けられている。より具体的には、断面視において第2断熱材6の屋内側(図1の右方向)の端部36が第1断熱材4の屋内側の端部34より内方側に位置し、充填材5及び断熱材側土台26を介して基礎2の上方及び第1被覆部13の上方に跨るように設置されている。即ち、第1被覆部13の上面と基礎2の上面とが同一仮想平面上に位置し、それらに跨るように上方から充填材5、断熱材側土台26及び第2断熱材6が設置されている。このように構成することで、充填材5を介して基礎2及び防蟻部材12の両方に第2断熱材6の荷重がかかるため、防蟻部材12が抜けにくくなり、設置状態が安定する。又、このように第2断熱材6の荷重がかかることにより、充填材5は弾性変形して基礎2と断熱材側土台26と第1被覆部13との密着性が高まるため、隙間を確実に埋めることができる。
一方、第2断熱材6の屋外側(図1の左方向)の端部37は、第1断熱材4の屋外側の端部35より内方側に位置するように設置され、第2断熱材6の外方において、胴縁22を介して外壁材23が設置されている。このように構成すると、外壁材23の屋外方向への出っ張りが少なくなるため、意匠性が向上する。
次に、図1で示した防蟻構造体1の施工方法について説明する。
図4は図1で示した防蟻構造体の第1及び第2の施工工程を示した概略断面図であり、図5は図1で示した防蟻構造体の第3及び第4の施工工程を示した概略断面図であり、図6は図1で示した防蟻構造体の第5の施工工程を示した概略断面図である。
まず、図4の(1)を参照して、第1被覆部13、第2被覆部14及び第3被覆部16とで第1断熱材4の上面及び屋内側(図4の(1)の右方向)及び屋外側(図4の(1)の左方向)の側面上部を連続して覆うと共に、アンカー部15が屋内側に位置するように防蟻部材12を設置する。
次に、図4の(2)を参照して、第1断熱材4及び防蟻部材12の屋内側の側面に沿って基礎2を形成すると共に、アンカー部15を基礎2に埋設する。このとき、基礎2の上面が防蟻部材12の第1被覆部13の上面と同一仮想平面上に位置するように形成する。上述したように、この実施の形態による防蟻構造体1における防蟻部材12は、屋内側に向かって斜め上方(第2被覆部14とアンカー部15とのなす角度が鋭角になるよう)に延びるアンカー部15を備える。これにより、基礎2の施工にあたり、打設されたコンクリートに振動を与えて内部の気泡を取り除いて締固める際に、アンカー部15の下方にまで振動が均等に伝わりやすく、アンカー部15の周囲に隙間なく基礎2を形成することができる。又、アンカー部15の下方に気泡が残り隙間が形成された場合でも、第2被覆部14とアンカー部15とのなす角度が鋭角になるようにアンカー部15が基礎2側に向かって延びて基礎2に埋設されていることで、基礎2側に向かって水平方向に延びて基礎2に埋設されているものと比べて、防蟻部材12が水平方向に抜けにくくなる。そのため、第1断熱材4と基礎2との一体性が向上する。
又、第1断熱材4の屋外側(図4の(2)の左方向)の側面にモルタル24を塗布する。
次に、図5を参照して、充填材5を第1被覆部13(第1断熱材4の上面側の防蟻部材)の上面と基礎2の上面に跨るように設置する。このとき、充填材5は第1断熱材4と断熱材側土台26の間に予定されている隙間より上下方向に厚みがある高さを有する。又、充填材5の断面形状は、第1断熱材4、基礎2、断熱材側土台26、下地面材29及び土台3の間に予定されている隙間より大きい。即ち、予定されている隙間より体積が大きい形状を有する。そして、基礎2の上方に土台気密材25a、25bを介して土台3を設置する。その後、土台3の上方に柱28を設置する。更に、充填材5の上方に断面矩形板状の下地面材29を設置する。このとき、下地面材29の下面は充填材5に接した状態になっている。
次に、第1断熱材4の上方から断熱材側土台26及び第2断熱材6を設置する。そして、充填材5を介して基礎2の上方及び第1被覆部13の上方に跨るように断熱材側土台26及び第2断熱材6を設置する。このとき、充填材5は、予定されている隙間より体積が大きく、弾性変形可能であるため、断熱材側土台26、下地面材29及び土台3の施工により圧縮されつつ形状復元力が働いて、基礎2の上面と第1被覆部13の上面と土台3と下地面材29と断熱材側土台26とに密着した状態になっている。又、経時劣化により充填箇所から離れる虞のあるコーキング材に比べて、弾性変形して圧縮された状態の充填材5はより長期にわたって隙間に密着した状態を維持することができる。
次に、図6を参照して、断熱材側土台26の外面に水切材27を取付ける。水切材27は、図6の設置状態において垂直に延びる設置部42と、設置部42の下端から屋外方向(図6の左方向)に斜め下方に延びる誘導部43と、誘導部43の屋外側端部から垂下する垂下部44とを備える。設置に際して、設置部42を断熱材側土台26に釘等(図示せず)で固定設置する。そして、第2断熱材6及び水切材27の外方に胴縁22を介して外壁材23を取付ける。これにより、図1で示した防蟻構造体1の施工が完了する。胴縁22は奥行所定間隔で複数個設けられており、胴縁22同士の間隔は屋外の空気と屋内の空気を入れ換える通気路30となる。そして、水切材27により、屋内に浸入しようとする雨水は防蟻部材12及び充填材5等の内部構造に触れないように排出される。このように、水切材27及び通気路30の構造により、防水機能と換気機能を両立させつつ、防蟻部材12や充填材5の劣化を防止することができる。
このように、この実施の形態による防蟻構造体1の施工方法においては、基礎2と第1断熱材4の間の隙間を充填材5により埋めることができるため、防蟻機能が向上する。
又、充填材5が弾性変形可能な固形物であることから、流動性のあるコーキング材を充填する場合とは異なり、土台3の設置前に充填材5を設置することができる。土台3の設置前であれば、充填材5の設置個所を上方から確認しながら充填材5を設置できるため、充填材の設置がし易い。又、基礎2の施工にあたっては、第1被覆部13の上面と同一仮想平面上に位置するように施工できるため、基礎の施工がし易い。更に、土台3の設置後に土台3と基礎2の隙間といった視認し難い箇所へコーキング材を充填する必要がなくなる。そのため、防蟻構造体1の施工が容易となる。
更に、充填材5を介して基礎2及び防蟻部材12に第2断熱材6の荷重がかかるため、防蟻部材12が抜けにくくなり、設置状態が安定する。又、このような安定した設置状態により、防蟻部材12を第1断熱材4に釘等で固定する必要がなくなるため、防蟻部材12の施工が容易となると共に、第3被覆部16の長さを第2被覆部14の長さより短く設定することができる。
尚、上記の実施の形態では、防蟻部材は鋼板からなるものであったが、他の素材からなるものであっても良い。例えば、アルミニウムや合成樹脂からなるものが挙げられる。又、防蟻剤を含有しても良い。
又、上記の実施の形態では、防蟻部材に第3被覆部が形成されているが、該部分が無くても良い。第3被覆部が形成されている場合には、第1断熱材の上面、屋内側の側面及び屋外側の側面の3面に防蟻部材を当接させることができるため、防蟻部材を設置し易くなる。
更に、上記の実施の形態では、防蟻部材は特定形状に形成されているが、断熱材の上部を覆うものであれば、他の形状であっても良い。例えば、第2被覆部と第3被覆部が同じ長さのものや、第1被覆部と第2被覆部の折り曲げ角度や第1被覆部と第3被覆部の折り曲げ角度が直角でないものが挙げられる。又、断熱材の厚みに応じて第1被覆部が50mmや100mmの長さを有するものが挙げられる。
更に、上記の実施の形態では、第2被覆部が第1断熱材の屋内方向の側面の上部を覆うように下方に延びていたが、下部まで延びていても良い。
更に、上記の実施の形態では、アンカー部が基礎側に向かって斜め上方に延びていたが、基礎に埋設されるように基礎側に向かって延びていれば他の角度であっても良い。
更に、上記の実施の形態では、アンカー部が第2被覆部の下端に接続されていたが、第2被覆部の途中から延びていても良い。このようなものも本発明に含まれる。
更に、上記の実施の形態では、第3被覆部が第1断熱材の屋外方向の側面の上部を覆うように下方に延びていたが、下部まで延びていても良い。
更に、上記の実施の形態では、特定素材からなる充填材を備えていたが、充填材は弾性変形可能であって断熱材と基礎と土台との間の箇所を充填することができれば他の素材からなるものであっても良い。例えば、防蟻フォームや防蟻シールが挙げられる。
更に、上記の実施の形態では、充填材は弾性変形可能であったが、弾性変形しないものであっても良い。例えば、塑性変形するものが挙げられる。
更に、上記の実施の形態では、第1断熱材と第2断熱材とは同じ厚さで形成されているが、同じ厚さでなくても良い。例えば、第2断熱材が第1断熱材よりも厚みがある場合、基礎の上方の部分も基礎と同程度の断熱性を持たせることができる。
更に、上記の実施の形態では、断熱材側土台を介して第2断熱材が設置されているが、断熱材側土台は無くても良い。この場合、第2断熱材が充填材に密着し、荷重をかけることができる。このようなものも本発明に含まれる。
更に、上記の実施の形態では、下地面材を備えていたが、下地面材を備えていなくても良い。下地面材を備えている場合には、下地面材の下面が充填材に接し、充填材に下地面材の荷重がかかるため、充填材が弾性変形して基礎と断熱材側土台と第1被覆部との密着性をより高めることができる。
1…防蟻構造体
2…基礎
3…土台
4…第1断熱材
5…充填材
6…第2断熱材
12…防蟻部材
13…第1被覆部
14…第2被覆部
15…アンカー部
22…胴縁
23…外壁材
34…第1断熱材の屋内側の端部
35…第1断熱材の屋外側の端部
36…第2断熱材の屋内側の端部
37…第2断熱材の屋外側の端部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (6)

  1. 基礎と、前記基礎の上方に設置される土台と、前記基礎の外面に取付けられる第1断熱材と、前記第1断熱材の少なくとも上部を覆う防蟻部材とを備える防蟻構造体であって、
    前記防蟻部材は、
    前記第1断熱材の上面を覆う第1被覆部と、
    前記第1被覆部の屋内側端部に接続され、前記第1断熱材の屋内方向の側面の少なくとも上部を覆う第2被覆部と、
    前記第2被覆部の下端に接続され、前記基礎に埋設されるアンカー部とを備え、
    前記基礎の上面及び前記第1被覆部の上面に跨る弾性変形可能な充填材と、
    前記土台の外方に取付けられる第2断熱材と、
    前記土台と前記第2断熱材との間を埋めると共に、前記充填材を上方から押圧するように設置される下地面材とを更に備え、
    前記アンカー部は、斜め上方に延び、その先端が前記下地面材の下方に位置し、
    前記基礎の上面は前記第1被覆部の上面と同一仮想平面上に位置し、
    前記第2断熱材は、屋内側の端部が前記第1断熱材の屋内側の端部より内方側に位置し、前記充填材を介して前記基礎の上方及び前記第1被覆部の上方に跨るように設置される、防蟻構造体。
  2. 基礎と、前記基礎の上方に設置される土台と、前記基礎の外面に取付けられる第1断熱材と、前記第1断熱材の少なくとも上部を覆う防蟻部材とを備える防蟻構造体であって、
    前記防蟻部材は、
    前記第1断熱材の上面を覆う第1被覆部と、
    前記第1被覆部の屋内側端部に接続され、前記第1断熱材の屋内方向の側面の少なくとも上部を覆う第2被覆部と、
    前記第2被覆部の下端に接続され、前記基礎に埋設されるアンカー部とを備え、
    前記基礎の上面及び前記第1被覆部の上面に跨る弾性変形可能な充填材と、
    前記土台の外方に取付けられる第2断熱材と、
    前記土台と前記第2断熱材との間を埋めると共に、前記充填材を上方から押圧するように設置される下地面材とを更に備え、
    前記基礎の上面は前記第1被覆部の上面と同一仮想平面上に位置し、
    前記第2断熱材は、屋内側の端部が前記第1断熱材の屋内側の端部より内方側に位置し、前記充填材を介して前記基礎の上方及び前記第1被覆部の上方に跨るように設置され、
    前記下地面材は、その下端が前記第2断熱材の下端より上方に位置し、
    前記充填材は、前記基礎の上面と前記下地面材の下端とで挟まれる領域よりも大きい形状に予め断裁して形成される、防蟻構造体。
  3. 基礎と、前記基礎の上方に設置される土台と、前記基礎の外面に取付けられる第1断熱材と、前記第1断熱材の少なくとも上部を覆う防蟻部材とを備える防蟻構造体であって、
    前記防蟻部材は、
    前記第1断熱材の上面を覆う第1被覆部と
    前記第1被覆部の屋内側端部に接続され、前記第1断熱材の屋内方向の側面の少なくとも上部を覆う第2被覆部と、
    前記第2被覆部の下端に接続され、前記基礎に埋設されるアンカー部とを備え、
    前記基礎の上面及び前記第1被覆部の上面に跨る弾性変形可能な充填材と、
    前記土台の外方に取付けられる第2断熱材と、
    前記土台と前記第2断熱材との間を埋めると共に、前記充填材を上方から押圧するように設置される下地面材とを更に備え、
    前記基礎の上面は前記第1被覆部の上面と同一仮想平面上に位置し、
    前記第2断熱材は、屋内側の端部が前記第1断熱材の屋内側の端部より内方側に位置し、前記充填材及び前記第2断熱材の下方の断熱材側土台を介して前記基礎の上方及び前記第1被覆部の上方に跨るように設置され、
    前記下地面材は、その下端が前記断熱材側土台の下端より上方に位置し、
    前記充填材は、前記基礎の上面と前記下地面材の下端とで挟まれる領域よりも大きい形状に予め断裁して形成される、防蟻構造体。
  4. 前記第2断熱材の外方において、胴縁を介して設置される外壁材を更に備える、請求項1又は請求項2記載の防蟻構造体。
  5. 基礎と、前記基礎の上方に設置される土台と、前記基礎の外面に取付けられる第1断熱材と、前記基礎に埋設されるアンカー部を有する防蟻部材とを備える防蟻構造体の施工方法であって、
    前記第1断熱材の上面及び少なくとも屋内側の側面の一部を連続して覆うと共に、前記アンカー部が屋内側に位置するように防蟻部材を設置する第1工程と、
    前記第1断熱材及び前記防蟻部材の屋内側の側面に沿って前記基礎を形成すると共に、前記アンカー部を前記基礎に埋設する第2工程と、
    充填材を前記第1断熱材の上面側の防蟻部材の上面と前記基礎の上面に跨るように設置する第3工程と、
    前記基礎の上方に前記土台を設置する第4工程とを備え、
    前記第4工程は、前記土台の外方において前記充填材を上方から押圧するように下地面材を設置し、前記下地面材の外方において前記充填材を介して前記基礎の上方及び前記防蟻部材の上方に跨るように第2断熱材を設置する工程とを含み、
    前記アンカー部は、斜め上方に延び、その先端が前記下地面材の下方に位置し、
    前記充填材は、弾性変形可能であり、前記第4工程において、前記基礎と前記土台と前記防蟻部材の上面とに密着し、
    前記基礎の上面は、前記防蟻部材の上面と同一仮想平面上に位置する、防蟻構造体の施工方法。
  6. 基礎と、前記基礎の上方に設置される土台と、前記基礎の外面に取付けられる第1断熱材と、前記基礎に埋設されるアンカー部を有する防蟻部材とを備える防蟻構造体の施工方法であって、
    前記第1断熱材の上面及び少なくとも屋内側の側面の一部を連続して覆うと共に、前記アンカー部が屋内側に位置するように防蟻部材を設置する第1工程と、
    前記第1断熱材及び前記防蟻部材の屋内側の側面に沿って前記基礎を形成すると共に、前記アンカー部を前記基礎に埋設する第2工程と、
    充填材を前記第1断熱材の上面側の防蟻部材の上面と前記基礎の上面に跨るように設置する第3工程と、
    前記基礎の上方に前記土台を設置する第4工程とを備え、
    前記第4工程は、前記土台の外方において前記充填材を上方から押圧するように下地面材を設置し、前記下地面材の外方において前記充填材を介して前記基礎の上方及び前記防蟻部材の上方に跨るように第2断熱材を設置する工程とを含み、
    前記充填材は、弾性変形可能であり、前記基礎の上面と前記下地面材の下端とで挟まれる領域よりも大きい形状に予め断裁して形成され、前記第4工程において、前記基礎と前記土台と前記防蟻部材の上面とに密着し、
    前記基礎の上面は、前記防蟻部材の上面と同一仮想平面上に位置する、防蟻構造体の施工方法。
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