JP7333501B2 - 電子レンジ用包装袋 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロ波加熱による内圧上昇時に速やかに開裂する蒸気抜きシール部を有する電子レンジ用包装袋に関する。
従来、フィルム製の電子レンジ用包装袋において、加熱による内部の蒸気圧上昇により、自動的にフィルムを部分的に剥離させて蒸気を抜く技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、プラスチックフィルムをヒートシールすることにより密封する電子レンジ用包装袋が開示される。この電子レンジ用包装袋では、倒伏可能な分岐部(フラップ)が片面に設けられている。分岐部には、加熱による内部の蒸気圧上昇により、自動的にフィルムを剥離させる蒸気抜きシール部が設けられる。
特開2005-320023号公報
ところで、前述の電子レンジ用包装袋においては、使用する包装材に、蒸気を通さないこと、シール性に優れること等の特性が要求され、プラスチックフィルムが広く用いられている。プラスチックフィルムは入手が容易で、ヒートシールにより容易に袋状に形成することが可能である。
しかしながら、昨今の環境問題への関心の高まりとともに、プラスチックの削減が叫ばれており、電子レンジ用包装袋においても例外ではない。
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、環境負荷の大きなプラスチック材料を可能な限り削減することが可能な電子レンジ用包装袋を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の電子レンジ用包装袋は、包装材の周縁部を熱溶着して袋状に形成されるとともに、蒸気抜きシール部を有する電子レンジ用包装袋であって、前記包装材は、全体の厚さが70μm~250μmであり、厚さが50μm~200μmである紙基材と、水性塗料を塗布することにより形成された水蒸気バリア層と、ガスバリア層と、シーラント層を有し、前記包装材において、紙基材の厚さが全体の厚さの50%以上であり、紙基材の重量は包装材全体の重量の50%以上であり、フラップを有し、当該フラップに蒸気抜きシール部が形成されていることを特徴とする。
電子レンジ用包装袋を形成するための包装材を紙基材を主体とする紙製包装材とすることで、プラスチックの使用が大幅に削減される。特に、紙基材の厚さを全体の厚さの50%以上とすることで、プラスチック(石油由来製品)の削減効果が大きい。
本発明によれば、環境負荷の大きなプラスチック材料を大幅に削減することが可能な電子レンジ用包装袋を提供することができる。
電子レンジ用包装袋の一例を示す斜視図である。 電子レンジ用包装袋の他の例を示す図であり、電子レンジ用包装の蒸気抜きシール部近傍を拡大して示す図である。
以下、本発明を適用した電子レンジ用包装袋の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の電子レンジ用包装袋1は、可撓性を有する包装材9が袋状に形成されたものである。電子レンジ用包装袋1は、前面部2と、背面部3を備える。前面部2と背面部3は、シール部4において、ヒートシールによって溶着されている。シール部4は、包装袋1の上辺1tに沿って形成されたトップシール部4tと、右側辺1r又は左側辺1lに沿って形成されたサイドシール部4sを備える。包装袋1の下辺1bは、内容物の収容前は溶着されておらず、内容物を電子レンジ用包装袋1に収容した後に溶着されてボトムシール部4bが形成される。これによって電子レンジ用包装袋1の全周にシール部4が設けられ、電子レンジ用包装袋1の内部が密閉される。
ここで、本発明の電子レンジ用包装袋では、包装材9として、紙基材を主体とする紙製包装材を用いたことが大きな特徴である。
紙基材は、一般的な製造方法で得られた単層、あるいは多層の紙であり、パルプ、填料、各種助剤からなるシートである。パルプとしては、クラフトパルプ、サルファイトパルプ等の化学パルプ、ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプ等の機械パルプ、ケナフ、竹、麻等から得られた非木材繊維等を用いることができ、これらを適宜配合して用いることが可能であるが、化学パルプを用いることが好ましい。
填料としては、タルク、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、ゼオライト、ホワイトカーボン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。また、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。さらに、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
紙基材は、例えば、木材パルプ(化学パルプ、機械パルプ)、非木材パルプ、古紙パルプ等と必要に応じて添加した填料やその他薬品等を水に分散して紙料とし、この紙料を抄紙機のワイヤー上に噴射した後、脱水、乾燥することで製造される。また、必要に応じて強度や耐水性を付与するために、各種ポリビニルアルコール、各種デンプン、表面サイズ剤などの薬品を単独又は2種類以上組み合わせてサイズプレス等で紙表面を処理することも可能であり、紙の凹凸を整えるカレンダー処理等を施すことも可能である。
ただし、紙基材を主体とする紙製包装材を包装材9として使用した場合、水蒸気の漏れやシール性の確保が大きな問題となる。そこで、本発明では、紙基材の表面に水蒸気バリア層を設けた紙製包装材を用いることとする。
水蒸気バリア層に用いる水蒸気バリア性樹脂としては、例えばスチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体、ポリアミド樹脂等を挙げることができ、これらを単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。なお、水蒸気バリア性に問題がない程度であれば、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子を前記の樹脂と併用することも可能である。
水蒸気バリア層には顔料を含有させてもよい。顔料としてはカオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ等の無機顔料や、有機顔料等を挙げることができ、これらを単独または2種類以上混合して使用することができる。
水蒸気バリア層は、前記水蒸気バリア性樹脂等を含む水性塗料を調製し、これを塗布することにより形成することができる。水蒸気バリア層の塗工方法については特に限定されるものではなく、公知の塗工装置を用いることができる。例えば、ブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター等が挙げられる。
水蒸気バリア層の塗工量は、乾燥重量で3g/m以上50g/m以下とすることが好ましく、具体的には例えば、3,4,5,6,7,8,9,10,20,30,40,50g/mであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であっても良い。水蒸気バリア層の塗工量が3g/m未満であると、紙繊維の隙間を十分に埋めることができず、十分な水蒸気バリア性が得られなくなることや、後述のガスバリア層が紙基材にまで浸透して、十分なガスバリア性が得られなくなることがある。一方、50g/mより多いと、塗工時に乾燥に長時間を要し、塗工層に割れが生ずる等の問題が生ずるおそれがある。
本実施形態の電子レンジ用包装袋1では、使用する包装材9において、バリアフィルムをラミネートしてバリア性を付与したわけではなく、塗布(コーティング)によって付与したことが大きな特徴である。バリアフィルムを使用する場合、例えば、紙/バリアフィルム/シーラントという構成になり、バリアフィルムの厚みがある程度必要となるため、樹脂の割合が増え、紙50%以上を達成することが困難である。これに対して、前記のように水蒸気バリア層を塗布により形成すると、紙/水蒸気バリア塗工/(ガスバリア塗工/)シーラント/となり、バリアフィルムが不要となって、紙の割合50%以上が達成される。すなわち、水蒸気バリア層を塗布により形成することで、フィルムをラミネートする場合に比べて水蒸気バリア層の厚さを薄くすることができ、紙基材の厚さの比率を大きくすることが可能である。
また、水蒸気バリア層に加えてガスバリア層を形成することも可能である。ガスバリア層には水溶性高分子が使用可能であり、水溶性高分子としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。
ガスバリア層の塗工量は、乾燥重量で0.2g/m以上20g/m以下とすることが好ましく、具体的には例えば、0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1.0,2.0,3.0,4.0,5.0,6.0,7.0,8.0,9.0,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20g/mであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であっても良い。ガスバリア層の塗工量が0.2g/m未満であると、ガスバリア性が不十分になるおそれがある。一方、20g/mより多いと、塗工時に乾燥に長時間を要し、塗工層に割れが生ずる等の問題が生ずるおそれがある。ガスバリア層の塗工方法は、先の水蒸気バリア層と同様であり、特に限定されるものではなく、公知の塗工装置を用いることができる。
ガスバリア層を形成する場合、紙、水蒸気バリア層、ガスバリア層の順にコーティングすることが好ましい。これにより、表面側からの水分が影響してガスバリア層を劣化することを防ぐことができる。
さらに、前記のように紙基材上に水蒸気バリア層やガスバリア層を設けた紙製バリア包装材料に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル重合体などのシーラント層を設けることができる。シーラント層の材料として特に好ましいのは、直鎖状低密度ポリエチレンである。シーラント層を設けることにより、紙製包装材のシール性を確保することが可能である。シーラント層の積層方法については特に制限されるものではなく、従来の溶融押し出しラミネート法やフィルムを用いたドライラミネート法、直接溶融コート法等方法を用いることができる。
前述の紙製包装材においては、紙の占める割合が大きいほどプラスチックの削減効果が大きい。このような観点から、紙基材の厚さは、紙製包装材全体の厚さの50%以上であることが好ましい。前記水蒸気バリア層の形成等を考えると、紙基材の厚さは、紙製包装材全体の厚さの50%以上~90%以下であることが好ましく、具体的には例えば、50、60、70、80、90%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であっても良い。紙製基材の重量についても、紙製包装材全体の重量の50%以上であることが好ましい。
また、紙製包装材全体の厚さは、250μm以下50μm以上であることが好ましく、200μm以下70μm以上であることがより好ましい。紙基材の厚さは、250μm以下30μm以上であることが好ましく、200μm以下50μm以上であることがより好ましく、150μm以下70μm以上。であることがさらに好ましい。紙製包装材の厚さが厚すぎると、電子レンジ用包装袋として円滑な膨張が難しくなる等の問題が生ずるおそれがある。また、紙製包装材の厚さが厚すぎると、製袋が難しくなるという問題もある。特に、フラップ(折り返し)のある形状では、厚すぎると製袋し難くなる。
逆に、紙基材の厚さが薄いと、紙基材の厚さ50%以上を満たすためには、シーラント層を薄くせざるを得ず、製袋できなくなる。また、電子レンジで使用する場合(包装袋を密閉した状態で加熱する場合)、加熱中にシーラント層が剥がれ易くなるため、シーラント層の厚みは、10μm以上、好ましくは20μm以上であり、上限は100μmである。
さらに、紙基材の厚さが全体の厚さの50%以上となる範囲内において、シーラント層以外のフィルムと貼り合わせても良い。例えば、紙基材の外側にフィルムをラミネートしてもよいし、紙基材とシーラント層の間にフィルムをラミネートしてもよい。
本実施形態の電子レンジ用包装袋10において、図1に示すように、前面部2は、前面下部2dと前面上部2uを備える。前面下部2dと前面上部2uは、それぞれ、背面部3に溶着されている。前面下部2dと前面上部2uは、互いに折り返された状態で重ね合わされて形成された合掌部(フラップ)5において連結されている。図1に示すように、合掌部5においては、一対のサイドシール部6a、一対のエンドシール部6b、及び蒸気抜きシール部6cにおいて前面下部2dと前面上部2uが溶着されている。サイドシール部6aは、合掌部5において、右側辺1r及び左側辺1lに沿った位置に設けられている。エンドシール部6bは、サイドシール部6aと蒸気抜きシール部6cを連結するように設けられている。エンドシール部6bは、サイドシール部6aから蒸気抜きシール部6cに向かって幅が狭くなっている。蒸気抜きシール部6cは、その内側縁6c1が包装袋1の内側に向かって湾曲する略V字形状になっている。内側縁6c1よりも包装袋1の外側であってかつ内側縁6c1に隣接した位置には切込12が設けられている。
内容物が充填された電子レンジ用包装袋1を電子レンジで加熱すると、内容物11に含まれる水分から生じた蒸気によって包装袋1の内圧が上昇し、これによって、蒸気抜きシール部6cの略V字形状の先端近傍においてシールが剥がれて、蒸気流路が形成され、蒸気流路を通じて蒸気が外部に放出される。蒸気は、合掌部5の端部と、切込12のそれぞれから外部に放出される。
以上の通り、本実施形態の電子レンジ用包装袋10では、紙基材を主体とする紙製包装材を用いているので、プラスチックの使用を大幅に削減することが可能である。また、紙基材の表面に水蒸気バリア層やシーラント層を設けることで、蒸気漏れ等を防止することができ、十分なシール性を確保することも可能である。
以上、本発明を適用した実施形態について説明してきたが、本発明がこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、電子レンジ用包装袋の構成、形状等は先の実施形態のものに限られず、電子レンジ用包装袋全般に適用可能である。
また、図2に示すように、蒸気抜きシール部の先端に、シーラント層の厚みが他のシール部の厚みより薄くなるポイントシール(強圧シール)6c2を設けることで、蒸気口から確実に蒸気を逃がすことができる。また、蒸気抜きシール部のシーラント層を薄くすることで、例えばガスバリア層とシーラント層の間で剥離が起こり易くなり、シール性を確保しつつ、安定した蒸気抜けが可能となる。
1 包装袋
2 前面部
3 背面部
4 シール部
5 合掌部(フラップ)
6a サイドシール部
6b エンドシール部
6c 蒸気抜きシール部
9 包装材

Claims (2)

  1. 包装材の周縁部を熱溶着して袋状に形成されるとともに、蒸気抜きシール部を有する電子レンジ用包装袋であって、
    前記包装材は、全体の厚さが70μm~250μmであり、厚さが50μm~200μmである紙基材と、水性塗料を塗布することにより形成された水蒸気バリア層と、ガスバリア層と、シーラント層を有し、
    前記包装材において、紙基材の厚さが全体の厚さの50%以上であり、紙基材の重量は包装材全体の重量の50%以上であり、
    フラップを有し、当該フラップに蒸気抜きシール部が形成されていることを特徴とする電子レンジ用包装袋。
  2. 前記包装材は、紙基材上に水蒸気バリア層、ガスバリア層の順に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子レンジ用包装材。
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