JP7332392B2 - メタクリル系樹脂積層体及びその用途 - Google Patents
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Description
特許文献2には、軟質アクリル樹脂層の両面にアクリル樹脂層が積層された、透明な飛散防止板が開示されている(請求項1)。
特許文献3~5には、粘弾性特性に優れたスチレン系熱可塑性エラストマーを用いた透明な飛散防止板が開示されている。特許文献3には、スチレン系熱可塑性エラストマーを含有する遮音層を含む合わせガラス用中間膜、及びこれを用いた合わせガラスが開示されている(請求項1、5~7、14、段落0038等)。特許文献4には、(メタ)アクリル系樹脂を含む基材層と、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを含有するスチレン系熱可塑性エラストマーを含む粘接着層とを含む積層体が開示されている(請求項1、10、段落0026、0037、0041等)。特許文献5には、メタクリル系樹脂を含む第1の樹脂層とスチレン系熱可塑性エラストマーを含む第2の樹脂層とアイオノマーを含む第3の樹脂層とを含む積層体が開示されている(請求項1)。
特許文献2に記載の飛散防止板は、軟質アクリル樹脂の低温での粘弾性特性が良好でないため、低温下において充分な飛散防止性が得られない。
特許文献3~5には、低温下における飛散防止性については、記載がなく不明である。
従来、低温領域を含む広い温度領域で飛散防止性に優れた透明樹脂板は報告されていない。本明細書において、「低温」とは例えば、-60~-30℃の温度である。
[1] メタクリル系樹脂(A)を含む第1の樹脂層が、芳香族ビニル単量体単位を含む重合体ブロック(b-1)と共役ジエン単量体単位を含む重合体ブロック(b-2)とを含むブロック共重合体又は当該ブロック共重合体の水素添加物である熱可塑性エラストマー(B)を含む第2の樹脂層の両面に積層された積層構造を有し、
熱可塑性エラストマー(B)は、JIS-K7244-4に準拠して、周波数1.0Hzの条件で動的粘弾性測定を実施し、温度に対する損失正接(tanδ)の変化のデータを取得したとき、-60~-30℃の温度範囲内に少なくとも1つの損失正接(tanδ)のピークがある、メタクリル系樹脂積層体。
[3] JIS-K7211-1に準拠して、環境温度-40℃、衝撃破壊エネルギー値0.245Jの条件にて衝撃試験を実施したとき、前記メタクリル系樹脂積層体から分離される破片数が0である、[1]又は[2]のメタクリル系樹脂積層体。
[4] 前記第1の樹脂層は、メタクリル系樹脂(A)95~60質量%と多層構造ゴム粒子(C)5~40質量%とを含む、[1]~[3]のいずれかのメタクリル系樹脂積層体。
[6] メタクリル系樹脂(D)は、重量平均分子量が80,000以下であり、メタクリル酸メチル単量体単位を80質量%以上、アクリル酸メチル単量体単位を5質量%以上含む、[5]のメタクリル系樹脂積層体。
[7] 全体の厚さに対する前記第1の樹脂層の合計厚さの割合が50%以上である、[1]~[6]のいずれかのメタクリル系樹脂積層体。
[8] 曲げ弾性率が1500MPa以上である、[1]~[7]のいずれかのメタクリル系樹脂積層体。
[10] [1]~[8]のいずれかのメタクリル系樹脂積層体を含む、機械カバー。
[11] [1]~[8]のいずれかのメタクリル系樹脂積層体を含む、透光性遮音板。
「メタクリル系樹脂積層体」
本発明のメタクリル系樹脂積層体は、メタクリル系樹脂(A)を含む第1の樹脂層が、芳香族ビニル単量体単位を含む重合体ブロック(b-1)と共役ジエン単量体単位を含む重合体ブロック(b-2)とを含むブロック共重合体又はこのブロック共重合体の水素添加物である熱可塑性エラストマー(B)を含む第2の樹脂層の両面に積層された積層構造を有する。
熱可塑性エラストマー(B)は、JIS-K7244-4に準拠して、周波数1.0Hzの条件で動的粘弾性測定を実施し、温度に対する損失正接(tanδ)の変化のデータ(tanδ曲線)を取得したとき、-60~-30℃の温度範囲内に少なくとも1つの損失正接(tanδ)のピークがある樹脂である。
第1の樹脂層は好ましくは、メタクリル系樹脂(A)と多層構造ゴム粒子(C)とを含む。第2の樹脂層は好ましくは、熱可塑性エラストマー(B)とメタクリル系樹脂(D)とを含む。
以下、「メタクリル系樹脂積層体」は、単に「積層体」と略記する場合がある。
本発明によれば、低温及び常温を含む広い温度領域において、衝撃を受けたときの破片の飛散防止がない又は少ない積層体を提供することができる。本発明によれば、例えば、JIS-K7211-1に準拠して、環境温度-40℃、衝撃破壊エネルギー値0.245Jの条件にて衝撃試験を実施したとき、メタクリル系樹脂積層体から分離される破片数が0であるメタクリル系樹脂積層体を提供することができる。本発明の積層体は、人体に対する安全性が高く、移動体用グレージング、機械カバー、及び透光性遮音板等として好適に使用できる。
本発明の積層体は、熱可塑性エラストマー(B)を含む第2の樹脂層を挟持する、メタクリル系樹脂(A)を含む2つの第1の樹脂層を有するため、メタクリル系樹脂が本来有する透明性及び剛性等の特性をそのまま有することができる。第1の樹脂層が多層構造ゴム粒子(C)を含む場合、本発明の積層体は耐衝撃性にも優れ、好ましい。
<メタクリル系樹脂(A)>
第1の樹脂層は、1種又は2種以上のメタクリル系樹脂(A)を含む。第1の樹脂層は、メタクリル系樹脂(A)の含有量が増す程、透明性が向上し、表面硬度が高くなる傾向がある。第1の樹脂層中のメタクリル系樹脂(A)の含有量は特に制限されず、第1の樹脂層の透明性及び表面硬度の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
共重合体中のMMA単量体単位の含有量は、共重合体をメタノール中で再沈殿することにより精製した後、熱分解ガスクロマトグラフィを用いて熱分解及び揮発成分の分離を行い、MMAと共重合成分とのピーク面積の比から算出することができる。
ラジカル重合法を用いる場合、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法、又は乳化重合法を選択することが可能である。中でも、生産性及び耐熱分解性の観点から、懸濁重合法及び塊状重合法が好ましい。塊状重合は連続流通式で行うことが好ましい。
メタクリル系樹脂(A)をアニオン重合する方法としては、重合開始剤として有機アルカリ金属化合物を用い、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩等の鉱酸塩の存在下でアニオン重合する方法(特公平7-25859号公報を参照)、重合開始剤として有機アルカリ金属化合物を用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法(特開平11-335432号公報を参照)、及び重合開始剤として有機希土類金属錯体を用いてアニオン重合する方法(特開平6-93060号公報を参照)等が挙げられる。
第1の樹脂層は、メタクリル系樹脂(A)の他にさらに、多層構造ゴム粒子(C)を含むことが好ましい。第1の樹脂層に多層構造ゴム粒子(C)を添加することで、本発明のメタクリル系樹脂積層体の耐衝撃性を向上させることができる。第1の樹脂層は、メタクリル系樹脂(A)95~60質量%と多層構造ゴム粒子(C)5~40質量%とを含むことが好ましい。多層構造ゴム粒子(C)の含有量が5~40質量%の範囲内にあることで、第1の樹脂層は透明性と耐衝撃性に優れたものとなる。第1の樹脂層は、メタクリル系樹脂(A)93~65質量%と多層構造ゴム粒子(C)7~35質量%とを含むことがより好ましい。第1の樹脂層は、メタクリル系樹脂(A)90~70質量%と多層構造ゴム粒子(C)10~30質量%とを含むことが特に好ましい。
架橋ゴム重合体(i)の原料として用いられるアクリル酸エステル単量体としては、炭素数1~8のアルキル基を有するアクリル酸エステル単量体、及び、炭素数6~24の芳香族基を有するアクリル酸エステル単量体等が好ましい。具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、及びo-フェニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上用いることができる。
架橋ゴム重合体(i)中のアクリル酸エステル単量体単位の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70~99質量%、特に好ましくは80~98質量%である。
架橋ゴム重合体(i)中の架橋性単量体単位の含有量は、好ましくは0.05~10質量%、より好ましくは0.5~7質量%、特に好ましくは1~5質量%である。
重合体(iii)の原料として用いられるメタクリル酸エステル単量体としては、炭素数1~8のアルキル基を有するメタクリル酸エステル単量体、及び、炭素数6~24の芳香族基を有するメタクリル酸エステル単量体等が好ましい。具体的には、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸フェニル、及びメタクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上用いることができる。中でも、メタクリル酸メチル(MMA)が好ましい。
重合体(iii)中のメタクリル酸エステル単量体単位の含有量は、好ましくは40~100質量%、より好ましくは50~99質量%、特に好ましくは60~98質量%である。
熱可塑性重合体(ii)の原料として用いられるメタクリル酸エステル単量体としては、炭素数1~8のアルキル基を有するメタクリル酸エステル単量体、及び、炭素数6~24の芳香族基を有するメタクリル酸エステル等が好ましい。具体的には、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸フェニル、及びメタクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上用いることができる。中でも、メタクリル酸メチル(MMA)が好ましい。
熱可塑性重合体(ii)中のメタクリル酸エステル単量体単位の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上である。
乳化重合法は、水等の媒体と媒体に難溶な1種以上の単量体と乳化剤とを混合して得られた原料液に重合開始剤を添加し、重合することによって、重合体粒子を含むエマルジョンを製造する方法である。
シード乳化重合法は、1種以上の単量体を乳化重合することによってシード粒子を得、このシード粒子の存在下に別の1種以上の単量体を乳化重合することによって、シード粒子とそれを略同心円状に被覆するシェル重合体層とを含むコアシェル重合体粒子を含むエマルジョンを製造する方法である。シード乳化重合法では、得られたコアシェル重合体粒子の存在下に、さらに別の1種以上の単量体を乳化重合することができる。この操作は必要に応じて、複数回繰り返し行うことができる。この方法によって、シード粒子とそれを略同心円状に被覆する複数のシェル重合体層とを有するコアシェル多層重合体粒子を含むエマルジョンを製造できる。
第1の樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、メタクリル系樹脂(A)及び多層構造ゴム粒子(C)以外の他の重合体を含有していてもよい。他の重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1、及びポリノルボルネン等のポリオレフィン;エチレン系アイオノマー;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、SMA樹脂、SMM樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、及びMBS樹脂等のスチレン系樹脂;メタクリル酸メチル-スチレン共重合体;ポリエチレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、及びポリアミドエラストマー等のポリアミド;ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、及びポリアセタール等の他の熱可塑性樹脂;フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、及びエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリウレタン;変性ポリフェニレンエーテル;シリコーン系変性樹脂;アクリル系ブロック共重合体、シリコーンゴム;SEPS、SEBS、及びSIS等のスチレン系熱可塑性エラストマー;IR、EPR、及びEPDM等のオレフィン系ゴム等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上用いることができる。第1の樹脂層中の他の重合体の含有量は特に制限されず、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
<熱可塑性エラストマー(B)>
第2の樹脂層は、芳香族ビニル単量体単位を含む重合体ブロック(b-1)と共役ジエン単量体単位を含む重合体ブロック(b-2)とを含むブロック共重合体又はこのブロック共重合体の水素添加物である熱可塑性エラストマー(B)を含む。
第2の樹脂層は、熱可塑性エラストマー(B)の含有量が増す程、飛散防止性能が向上する傾向がある。ただし、熱可塑性エラストマー(B)の含有量が増す程、第2の樹脂層の弾性率が低下し、曲げ剛性が低下する傾向がある。本発明では、この欠点を、熱可塑性エラストマー(B)を含む第2の樹脂層の両面にメタクリル系樹脂(A)を含む第1の樹脂層を積層することで、解消する。本発明によれば、例えば、曲げ弾性率が1500MPa以上であるメタクリル系樹脂積層体を提供することができる。曲げ弾性率は、後記[実施例]の項に記載の方法にて測定することができる。
ここで、重合体ブロック(b-1)を「a」、重合体ブロック(b-2)を「b」と表記する。直鎖状の結合形態としては、a-bで表されるジブロック共重合体、a-b-a又はb-а-bで表されるトリブロック共重合体、a-b-a-bで表されるテトラブロック共重合体、a-b-a-b-a又はb-a-b-a-bで表されるペンタブロック共重合体、(а-b)nX型共重合体(ここで、符号Xはカップリング残基を表し、nは2以上の整数を表す。)、及びこれらの組合せが挙げられる。中でも、ジブロック共重合体又はトリブロック共重合体が好ましい。トリブロック共重合体としては、a-b-aで表されるトリブロック共重合体が特に好ましい。
重合体ブロック(b-1)は、芳香族ビニル単量体単位以外に少量の他の単量体単位を含んでいてもよい。重合体ブロック(b-1)中の芳香族ビニル単量体単位の割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上である。
重合体ブロック(b-2)は、共役ジエン単量体単位以外に少量の他の単量体単位を含んでいてもよい。重合体ブロック(b-2)中の共役ジエン単量体単位の割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上である。
共役ジエンとしては、入手容易性及び取り扱い性の観点から、炭素数2~12の共役ジエンが好ましく、炭素数4~8の共役ジエンがより好ましい。具体的には、1,3-ブタジエン、イソプレン、及びこれらの組合せが特に好ましい。
アニオン重合の場合、例えば、(i)重合開始剤としてアルキルリチウム化合物を用い、芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体、及び芳香族ビニル単量体を逐次重合させる方法;(ii)重合開始剤としてアルキルリチウム化合物を用い、芳香族ビニル単量体及び共役ジエン単量体を逐次重合させ、さらにカップリング剤を加えてカップリングする方法;(iii)重合開始剤としてジリチウム化合物を用い、共役ジエン単量体及び芳香族ビニル単量体を逐次重合させる方法等が挙げられる。
有機ルイス塩基としては、酢酸エチル等のエステル;トリエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、及びN-メチルモルホリン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環式芳香族化合物;ジメチルアセトアミド等のアミド;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、及びジオキサン等のエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン等が挙げられる。
水素添加触媒としては、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、及びNi等の金属をカーボン、アルミナ、及び珪藻土等の担体に担持させた不均一系触媒;遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物又はアルキルリチウム化合物等との組合せからなるチーグラー系触媒;メタロセン系触媒等が挙げられる。水素添加反応は通常、水素圧力0.1~20MPa、反応温度20~250℃、反応時間0.1~100時間の条件で行うことができる。
なお、共役ジエン単量体単位において、「ビニル化度」は、1,2-結合単位の量、3,4-結合単位の量、及び1,4-結合単位の量の和に対する、1,2-結合単位の量及び3,4-結合単位の量の和の割合で求めることができる。
第2の樹脂層は、ブロック共重合体又はその水素添加物からなる熱可塑性エラストマー(B)に合わせて、1種又は2種以上のメタクリル系樹脂(D)を含むことが好ましい。第2の樹脂層がメタクリル系樹脂(D)を含むことで、第2の樹脂層の透明性及び剛性が向上し、さらにメタクリル系樹脂(A)を含む第1層との相溶性が向上するため、第1の樹脂層と第2の樹脂層との層間接着性が向上する。メタクリル系樹脂(D)としては、公知の任意のメタクリル系樹脂を用いることができ、好ましい構造及び物性は、第1の樹脂層に含まれるメタクリル系樹脂(A)と同様であり、上記の(第1の樹脂層)の項を参照されたい。なお、第1の樹脂層中のメタクリル系樹脂(A)と第2の樹脂層中のメタクリル系樹脂(D)とは同一でも非同一でもよい。
メタクリル系樹脂(D)の重量平均分子量(Mw)は特に制限されず、好ましくは80,000以下、より好ましくは50,000以下、特に好ましくは45,000以下、特に好ましくは40,000である。Mwが80,000以下であることで、第2の樹脂層は透明性に優れたものとなる。
第2の樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、熱可塑性エラストマー(B)及びメタクリル系樹脂(D)以外の他の重合体及び/又は各種添加剤を含有してもよい。使用可能な他の重合体及び各種添加剤の種類と好ましい含有量は、第1の樹脂層と同様であり、上記の(第1の樹脂層)の項を参照されたい。
熱可塑性エラストマー(B)とメタクリル系樹脂(D)とを含む第2の樹脂層に任意成分を含有させる場合、任意成分は熱可塑性エラストマー(B)及び/又はメタクリル系樹脂(D)の重合時に添加してもよいし、熱可塑性エラストマー(B)とメタクリル系樹脂(D)との混合時又は混合後に添加してもよい。
本発明のメタクリル系樹脂積層体は、熱可塑性エラストマー(B)を含む第2の樹脂層の両面にそれぞれメタクリル系樹脂(A)を含む第1の樹脂層が積層された積層構造を含み、第1の樹脂層及び第2の樹脂層以外の他の樹脂層を有していてもよい、3層以上の積層体である。
他の樹脂層の構成樹脂は特に制限されず、メタクリル系樹脂(A)及び熱可塑性エラストマー(B)を除く1種又は2種以上の熱可塑性樹脂、1種又は2種以上の熱硬化樹脂、1種又は2種以上のエネルギー線硬化樹脂、及びこれらの組合せが挙げられる。
他の樹脂層の機能は特に制限されず、他の樹脂層は、第1の樹脂層及び第2の樹脂層を支持する支持層、耐擦傷層、帯電防止層、防汚層、摩擦低減層、防眩層、反射防止層、粘着層、熱線吸収層、遮音層、及び衝撃強度付与層等の各種機能層として機能してもよい。他の樹脂層は単数でも複数でもよい。他の樹脂層が複数である場合、組成は同一でも非同一でもよい。
本発明のメタクリル系樹脂積層体において、第2の樹脂層の厚さは特に制限されず、剛性、耐候性、及び飛散防止性等の観点から、好ましくは0.01~5.0mm、より好ましくは0.05~4.0mm、特に好ましくは0.1~2.5mmである。
本発明のメタクリル系樹脂積層体の全体厚さは特に制限されず、外観不良なく生産性良く製造できる観点から、好ましくは0.1~15.0mm、より好ましくは0.5~10.0mm、特に好ましくは1.0~8.0mmである。
ロールユニットを構成するロールとしては例えば、ロール表面が鏡面仕上げされたポリシングロール;金属、ステンレス鋼、及び炭素鋼のコアの表面にゴムが巻き付けられたゴムロール;ロール表面に微細なエンボス模様(凹凸模様)を有するエンボスロール等が挙げられる。
本発明のメタクリル系樹脂積層体は例えば、広告塔、スタンド看板、袖看板、欄間看板、及び屋上看板等の看板部品又はマーキングフィルム;ショーケース、仕切板、及び店舗ディスプレイ等のディスプレイ部品;蛍光灯カバー、ムード照明カバー、ランプシェード、光天井、光壁、及びシャンデリア等の照明部品;家具、ペンダント、及びミラー等のインテリア部品;ドア、ドーム、及びFRP等の外装装飾部材;安全窓ガラス、間仕切り、階段腰板、バルコニー腰板、及びレジャー用建築物の屋根等の建築用部品;航空機風防、パイロット用バイザー、オートバイ、モーターボート風防、バス用遮光板、自動車内装/外装部材(サイドバイザー、リアバイザー、ヘッドウィング、ヘッドライトカバー、バンパー、サンルーフ、及びグレージング等)等の輸送機関係部品;音響映像用銘板、ステレオカバー、テレビ保護マスク;保育器及びレントゲン部品等の医療機器部品;機械カバー、計器カバー、実験装置、定規、文字盤、及び観察窓等の機器関係部品;液晶保護板、導光板、導光フィルム、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、各種ディスプレイの前面板、及び拡散板等の光学関係部品;道路標識、案内板、カーブミラー、及び防音壁等の交通関係部品;温室、大型水槽、箱水槽、バスタブ等の浴室部材、時計パネル、サニタリー、デスクマット、遊技部品、玩具、熔接時の顔面保護用マスク;パソコン、携帯電話、家具、自動販売機、及び浴室部材等に用いる表面材料等が挙げられる。
[評価項目及び評価方法]
(重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn))
樹脂の重量平均分子量(Mw)、及び、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法)により求めた。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた。カラムとして、東ソー株式会社製のTSKgel SuperMultipore HZM-Mを2本とSuperHZ4000を1本とを直列に繋いだものを用いた。GPC装置として、示差屈折率検出器(RI検出器)を備えた東ソー株式会社製のHLC-8320(品番)を使用した。測定対象樹脂4mgをTHF5mlに溶解させて試料溶液を調製した。カラムオーブンの温度を40℃に設定し、溶離液流量0.35ml/分で、試料溶液20μlを装置内に注入して、クロマトグラムを測定した。分子量が400~5000000の範囲内にある標準ポリスチレン10点をGPC測定し、保持時間と分子量との関係を示す検量線を作成した。この検量線に基づいて測定対象樹脂のMw及びMw/Mnを決定した。
熱可塑性エラストマー(B)又は熱可塑性エラストマー組成物(RB)を200℃にて熱プレスして厚さ300μmのフィルムを作製した。このフィルムから長さ20mm×幅5mm×厚さ300μmの短冊状の試験片(a)を切り出した。この試験片(a)について、JIS-K7244-4に準拠して、動的粘弾性測定を実施した。粘弾性測定装置((株)ユービーエム社製「Rheogel-E4000」)を用い、昇温速度3℃/分、測定温度範囲-100~180℃、周波数1.0Hz、ひずみ振幅0.3%、引張りモードの条件にて動的粘弾性測定を実施し、温度に対する損失正接(tanδ)の変化のデータ(tanδ曲線)を取得した。このtanδ曲線において、-60~-30℃の温度範囲に、少なくとも1つのtanδのピークが有るか否かを確認した。
得られた積層シート又は単層シートを切削し、50mm×50mm×厚さ4.0mmの試験片(b)を得た。この試験片(b)について、分光色差計(日本電色工業(株)製「SE5000」)を使用し、JIS-K7361に準拠して、全光線透過率及びヘイズを測定した。評価基準は以下の通りである。
<全光線透過率>
良(○):全光線透過率が90%以上。
可(△):全光線透過率が85%以上90%未満。
不良(×):全光線透過率が85%未満。
<ヘイズ値>
良(○):ヘイズ値が1%未満。
可(△):ヘイズ値が1%以上5%未満。
不良(×):ヘイズ値が5%以上。
<透明性>
良(○):全光線透過率及びヘイズ値の判定がいずれも良(○)。
不良(×):全光線透過率及びヘイズ値の判定がいずれも不良(×)。
可(△):全光線透過率及びヘイズ値の判定が上記以外の組合せ。
得られた積層シート又は単層シートを押出方向が長軸方向になるように切削し、80mm×10mm×厚さ4.0mmの試験片(c)を得た。この試験片(c)について、オートグラフ(株式会社島津製作所「AG-1S」)を使用し、JIS-K7171に準拠して、23℃における曲げ弾性率を測定した。評価基準は以下の通りである。
良(○):曲げ弾性率が1500MPa以上。
可(△):曲げ弾性率が1000MPa以上1500MPa未満。
不良(×):曲げ弾性率が1000MPa未満。
得られた積層シート又は単層シートを切削し、50mm×50mm×厚さ4.0mmの試験片(b)を得た。1つの同じ試験片(b)に対して、下記の煮沸試験(I)とヒートサイクル試験(II)とを順次実施した。
<煮沸試験(I)>
試験片(b)を温度23℃/相対湿度50%の環境下に1時間放置した後、約65℃の温水中に垂直に立てて3分間浸漬させた。次いで、この試験片(b)を手早く沸騰水に2時間浸漬させた後、取り出した。
<ヒートサイクル試験(II)>
上記煮沸試験(I)を実施した試験片(b)をヒートサイクル試験機内に載置した。相対湿度85%の環境下で、1℃/分の速度で85℃まで昇温し、この温度で4時間保持した後、1℃/分の速度で温度-40℃まで降温し、この温度で4時間保持する湿熱プロファイルを1サイクルとし、これを10サイクル繰り返すヒートサイクル試験を実施した後、試験片(b)を取り出した。
各試験後に、目視観察にて、色相不良(黄変等)、光学歪み、最外層の表面荒れ、中間層の皺、層内又は層間の気泡、白化、反り、層剥離、及び割れ等の外観不良の有無を評価することで、耐久性を評価した。評価基準は以下の通りである。
良(○):外観不良は、いずれの試験後にも確認されなかった。
可(△):外観不良は、煮沸試験(I)の後には確認されなかったが、ヒートサイクル試験(II)の後には確認された。
不良(×):外観不良は、煮沸試験(I)の後に確認された。
得られた積層シート又は単層シートを切削し、50mm×50mm×厚さ4.0mmの試験片(b)を得た。試験機として、デュポン衝撃試験機(コーティングテスター株式会社)を使用した。突端が半径1/4インチの半球状の撃ち型と半径1/4インチの半球状の受台とを用い、JIS-K7211-1に準拠し、計算した衝撃破壊エネルギー値が0.245Jとなる条件(具体的には錘500g、錘落下高さ50cm)で、試験を行った。試験片(b)から分離した破片数を目視にてカウントした。環境温度条件は、23℃(常温)と-40℃(低温)の2条件とした。各試験片について、各温度条件で試験を行い、下記基準にて評価した。
良(○):分離した破片数が0個。
不良(×):分離した破片数が1個以上。
得られた積層シート又は単層シートを切削し、300mm×300mm×厚さ4.0mmの試験片(d)を得た。この試験片(d)について、JIS-R3212に準拠して、落球衝撃試験を行うことで耐衝撃性を評価した。23℃/相対湿度50%の環境下で4時間以上調湿したサンプルの周縁部を、水平に支持された支持枠に固定した。227g、直径38mmの表面が滑らかな鋼球を試験片の表面から2.5mの高さから静止状態で力を加えず、試験片の中央部に落下させた。この際、1枚の試験片に対する衝撃が1回限りとなるように、試験片上で弾んだ鋼球を回収した。各例で得られた積層シート又は単層シートについてそれぞれ12枚の試験片を用意し、各試験片について落球衝撃試験を実施し、試験後の試験片の外観を目視観察し、耐衝撃性を評価した。評価基準は以下の通りである。
良(○):すべての試験片で割れ及び亀裂が確認されなかった。
可(△):少なくとも1枚の試験片で割れ及び/又は亀裂が確認されたが、すべての試験片について鋼球が試験片を貫通する、所謂「抜け」が確認されなかった。
不良(×):少なくとも1枚の試験片で抜けが確認された。
以下の製造例、実施例、及び比較例では、以下の樹脂を用いた。
(メタクリル系樹脂(A)又は(D))
(A1)、(D1):株式会社クラレ社製「パラペット」、メタクリル酸メチル(MMA)の単独重合体(PMMA)、Mw=88000、Mw/Mn=1.9、
(D2):株式会社クラレ社製「パラペット」、メタクリル酸メチル(MMA)とアクリル酸メチル(MA)との共重合体(MMA/MA(質量比)=86/14)、Mw=37000、Mw/Mn=1.8。
(B1):後記製造例1で製造した、ポリα-メチルスチレン(MSt)ブロックと水添ポリブタジン(EB)ブロックとからなるブロック共重合体(Mstブロック/EBブロック(質量比)=33/67、tanδ=-40℃、ビニル化度47モル%。
(B2):ポリスチレン(St)ブロックと水添ポリイソプレン(EP)ブロックとからなるブロック共重合体(Stブロック/EPブロック(質量比)=30/70)、tanδ=-40℃、ビニル化度0モル%。
(B3):ポリスチレン(St)ブロックと水添ポリイソプレン(EP)ブロックとからなるブロック共重合体(Stブロック/EPブロック(質量比)=20/80)、tanδ=5℃、ビニル化度55モル%。
(C1):株式会社クラレ製のアクリル系3層構造粒子、(中心層組成:MMA/MA架橋共重合体、中間層組成:BA/St架橋共重合体、最外層組成:MMA/MA共重合体、体積基準平均粒子径=0.23μm)。
(1)窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器内に、α-メチルスチレン(MSt)90.9g、シクロヘキサン138g、メチルシクロヘキサン15.2g、及びテトラヒドロフラン(THF)5.7gを仕込んだ。この混合液にsec-ブチルリチウムの1.3Mシクロヘキサン溶液2.1mlを添加し、-10℃で3時間重合させた(ブロックb-1)。次いで、この反応液にブタジエン4.4gを添加し、-10℃で30分間撹拌した後、シクロヘキサン930gを加えた。次に、この反応液にさらにブタジエン158.0gを加え、50℃で2時間重合反応を行った。
(2)続いて、この重合反応液に、安息香酸フェニルの0.5Mトルエン溶液2.7mlを加え、50℃にて1時間撹拌し、α-メチルスチレン(MSt)-ブタジエン-α-メチルスチレン(MSt)トリブロック共重合体を得た。1H-NMR解析の結果、このトリブロック共重合体中のα-メチルスチレン(MSt)重合体ブロック含有量は33%であり、ブタジエン重合体ブロック全体(ブロックb-2)の1,4-結合量は53モル%であった。
(3)上記(2)で得られた重合反応液中に、オクチル酸ニッケル及びトリエチルアルミニウムから形成されたZiegler系水素添加触媒を水素雰囲気下に添加し、水素圧力0.8MPa、80℃で5時間の水素添加反応を行うことにより、α-メチルスチレン(MSt)-ブタジエンブロック共重合体の水素添加物からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(B1)を得た。なお、1H-NMR測定から求めた、ブタジエン重合体ブロックの水素転化率は99%であった。
表1に示す配合比でメタクリル系樹脂(A1)と多層構造ゴム粒子(C1)とを二軸押出機のホッパーに供給し、シリンダ温度230℃で溶融混練して押出成形し、ペレット状のメタクリル系樹脂組成物(RA1)、(RA2)を得た。
表2に示す配合比で熱可塑性エラストマー(B1)又は(B2)とメタクリル系樹脂(D1)又は(D2)とを二軸押出機のホッパーに供給し、シリンダ温度200℃で溶融混錬して押出成形し、ペレット状のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物(RB1)~(RB5)を得た。
第1の樹脂層材料としてメタクリル系樹脂(A1)、第2の樹脂層材料としてスチレン系熱可塑性エラストマー(B1)を用意した。
軸径50mmのベント式単軸押出機に、メタクリル系樹脂(A1)のペレットを連続的に投入し、シリンダ温度190~230℃、吐出量25kg/hrの条件にて溶融押出した。軸径30mmのベント式単軸押出機にスチレン系熱可塑性エラストマー(B1)のペレットを連続的に投入し、シリンダ温度130~210℃、吐出量3kg/hrの条件にて溶融押出した。
上記の溶融状態のメタクリル系樹脂(A1)とスチレン系熱可塑性エラストマー(B1)とをジャンクションブロックに導入し、240℃に設定した幅400mmのマルチマニホールドダイより積層押出(共押出)し、100℃に設定した金属鏡面ロールと120℃に設定した金属鏡面ロールとで加圧冷却することでシート状に成形し、0.3m/minの速度にて引き取った。
以上のようにして、メタクリル系樹脂(A1)からなる第1の樹脂層(厚さ:1785μm)/スチレン系熱可塑性エラストマー(B1)からなる第2の樹脂層(厚さ:450μm)/メタクリル系樹脂(A1)からなる第1の樹脂層(厚さ:1785μm)の3層構造の積層シート(メタクリル系樹脂積層体、総シート厚:4000μm、全体の厚さに対する2つの第1の樹脂層の合計厚さの割合:89%)を得た。得られたシートの各層の組成と評価結果を表3に示す。
第1の樹脂層材料と第2の樹脂層材料を変更した以外は実施例1と同様にして、3層構造の積層シート(メタクリル系樹脂積層体)を得た。得られたシートの各層の組成と評価結果を表3に示す。
第1の樹脂層材料としてメタクリル系樹脂(A1)、第2の樹脂層材料としてスチレン系熱可塑性エラストマー組成物(RB3)を用意した。
実施例1と同様に、軸径50mmのベント式単軸押出機にメタクリル系樹脂(A1)のペレットを連続的に投入し、溶融押出した。軸径30mmのベント式単軸押出機にスチレン系熱可塑性エラストマー組成物(RB3)のペレットを連続的に投入し、シリンダ温度130~210℃、吐出量2kg/hrの条件にて溶融押出した。
上記の溶融状態のメタクリル系樹脂(A1)とスチレン系熱可塑性エラストマー(RB3)とを用いた以外は実施例1と同様に、シート成形し、引き取った。
以上のようにして、メタクリル系樹脂(A1)からなる第1の樹脂層(厚さ:1840μm)/スチレン系熱可塑性エラストマー(BR3)からなる第2の樹脂層(厚さ:320μm)/メタクリル系樹脂(A1)からなる第1の樹脂層(厚さ:1840μm)の3層構造の積層シート(メタクリル系樹脂積層体、総シート厚:4000μm、全体の厚さに対する2つの第1の樹脂層の合計厚さの割合:92%)を得た。得られたシートの各層の組成と評価結果を表3に示す。
第1の樹脂層材料としてメタクリル系樹脂(A1)、第2の樹脂層材料としてスチレン系熱可塑性エラストマー組成物(RB2)を用意した。
軸径50mmのベント式単軸押出機にメタクリル系樹脂(A1)のペレットを連続的に投入し、シリンダ温度190~230℃、吐出量14kg/hrの条件にて溶融押出した。軸径30mmのベント式単軸押出機にスチレン系熱可塑性エラストマー組成物(RB2)のペレットを連続的に投入し、シリンダ温度130~210℃、吐出量14kg/hrの条件にて溶融押出した。
上記の溶融状態のメタクリル系樹脂(A1)とスチレン系熱可塑性エラストマー(RB2)とを用いた以外は実施例1と同様に、シート成形し、引き取った。
以上のようにして、メタクリル系樹脂(A1)からなる第1の樹脂層(厚さ:1000μm)/スチレン系熱可塑性エラストマー(RB2)からなる第2の樹脂層(厚さ:2000μm)/メタクリル系樹脂(A1)からなる第1の樹脂層(厚さ:1000μm)の3層構造の積層シート(メタクリル系樹脂積層体、総シート厚:4000μm、全体の厚さに対する2つの第1の樹脂層の合計厚さの割合:50%)を得た。得られたシートの各層の組成と評価結果を表3に示す。
第1の樹脂層材料としてメタクリル系樹脂(A1)、第2の樹脂層材料としてスチレン系熱可塑性エラストマー組成物(RB2)を用意した。
軸径50mmのベント式単軸押出機にメタクリル系樹脂(A1)のペレットを連続的に投入し、シリンダ温度190~230℃、吐出量9kg/hrの条件にて溶融押出した。軸径30mmのベント式単軸押出機にスチレン系熱可塑性エラストマー組成物(RB2)のペレットを連続的に投入し、シリンダ温度130~210℃、吐出量21kg/hrの条件にて溶融押出した。
上記の溶融状態のメタクリル系樹脂(A1)とスチレン系熱可塑性エラストマー(RB2)とを用いた以外は実施例1と同様に、シート成形し、引き取った。
以上のようにして、メタクリル系樹脂(A1)からなる第1の樹脂層(厚さ:600μm)/スチレン系熱可塑性エラストマー(B1)からなる第2の樹脂層(厚さ:2800μm)/メタクリル系樹脂(A1)からなる第1の樹脂層(厚さ:600μm)の3層構造の積層シート(メタクリル系樹脂積層体、総シート厚:4000μm、全体の厚さに対する2つの第1の樹脂層の合計厚さの割合:30%)を得た。得られたシートの各層の組成と評価結果を表3に示す。
第2の樹脂層材料をスチレン系熱可塑性エラストマー(B3)に変更した以外は実施例1と同様にして、3層構造の積層シート(メタクリル系樹脂積層体)を得た。得られたシートの各層の組成と評価結果を表3に示す。
第1の樹脂層材料としてメタクリル系樹脂(A1)、第2の樹脂層材料としてスチレン系熱可塑性エラストマー(B1)を用意した。
実施例1と同様に、軸径50mmのベント式単軸押出機にメタクリル系樹脂(A1)のペレットを連続的に投入し、溶融押出した。実施例1と同様に、軸径30mmのベント式単軸押出機にスチレン系熱可塑性エラストマー(B1)のペレットを連続的に投入し、溶融押出した。
上記の溶融状態のメタクリル系樹脂(A1)とスチレン系熱可塑性エラストマー(B1)とをジャンクションブロックに導入し、240℃に設定した幅400mmのマルチマニホールドダイより積層押出(共押出)し、40℃に設定したエンボスロールと100℃に設定した金属鏡面ロールとで加圧冷却することでシート状に成形し、0.3m/minの速度にて引き取った。
以上のようにして、メタクリル系樹脂(A1)からなる第1の樹脂層(厚さ:3550μm)/スチレン系熱可塑性エラストマー(B1)からなる第2の樹脂層(厚さ:450μm)の2層構造の積層シート(メタクリル系樹脂積層体、総シート厚:4000μm、全体の厚さに対する第1の樹脂層の厚さの割合:89%)を得た。得られたシートの各層の組成と評価結果を表3に示す。
第1の樹脂層材料としてメタクリル系樹脂(A1)を用意した。
軸径50mmのベント式単軸押出機にメタクリル系樹脂(A1)のペレットを連続的に投入し、シリンダ温度190~230℃、吐出量28kg/hrの条件にて溶融押出した。この溶融状態のメタクリル系樹脂(A1)を240℃に設定した幅400mmの単層ダイより押出し、100℃に設定した金属鏡面ロールと120℃に設定した金属鏡面ロールとで加圧冷却することでシート状に成形し、0.3m/minの速度にて引き取った。
以上のようにして、メタクリル系樹脂(A1)からなる第1の樹脂層のみからなる単層シート(総シート厚:4000μm、全体の厚さに対する第1の樹脂層の厚さの割合:100%)を得た。得られた単層シートの各層の組成と評価結果を表3に示す。
第2の樹脂層材料としてスチレン系熱可塑性エラストマー(B1)を用意した。
軸径50mmのベント式単軸押出機にスチレン系熱可塑性エラストマー(B1)のペレットを連続的に投入し、シリンダ温度130~210℃、吐出量28kg/hrの条件にて溶融押出した。この溶融状態のスチレン系熱可塑性エラストマー(B1)を、220℃に設定した幅400mmの単層ダイより押出し、40℃に設定したエンボスロールと120℃に設定した金属鏡面ロールとで加圧冷却することでシート状に成形し、0.3m/minの速度にて引き取った。
以上のようにして、スチレン系熱可塑性エラストマー(B1)からなる第2の樹脂層のみからなる単層シート(総シート厚:4000μm、全体の厚さに対する第1の樹脂層の厚さの割合:0%)を得た。得られたシートの各層の組成と評価結果を表3に示す。
実施例1~11では、メタクリル系樹脂(A)と、JIS-K7244-4に準拠して、周波数1.0Hzの条件で動的粘弾性測定を実施し、温度に対する損失正接(tanδ)の変化のデータを取得したとき、-60~-30℃の温度範囲内に少なくとも1つの損失正接(tanδ)のピークがある熱可塑性エラストマー(B)とを用いた。これら実施例では、メタクリル系樹脂(A)を含む第1の樹脂層が、熱可塑性エラストマー(B)を含む第2の樹脂層の両面に積層された3層構造の積層シート(メタクリル系樹脂積層体)を得た。これら実施例で得られた積層シート(メタクリル系樹脂積層体)はいずれも、透明性、剛性、耐久性、及び耐衝撃性に優れ、広い温度範囲において飛散防止性を有するものであった。
実施例1、10、11の比較から、総シート厚に対する2つの第1の樹脂層の合計厚さの割合が大きいほど、積層シート(メタクリル系樹脂積層体)の剛性が高くなることが分かった。
第1の樹脂層/第2の樹脂層の2層構造の積層シート(メタクリル系樹脂積層体)を製造した比較例2では、得られたメタクリル系樹脂積層体は耐久性が不良であった。
第1の樹脂層のみからなる単層シートを製造した比較例3では、得られた単層シートは低温での飛散防止性、常温での飛散防止性、及び耐衝撃性が不良であった。
第2の樹脂層のみからなる単層シートを製造した比較例4では、得られた単層シートは剛性が不良であった。
11 第1の樹脂層
12 第2の樹脂層
Claims (10)
- メタクリル系樹脂(A)を含む第1の樹脂層が、芳香族ビニル単量体単位を含む重合体ブロック(b-1)と共役ジエン単量体単位を含む重合体ブロック(b-2)とを含むブロック共重合体又は当該ブロック共重合体の水素添加物である熱可塑性エラストマー(B)を含む第2の樹脂層の両面に積層された積層構造を有し、
前記第2の樹脂層は、熱可塑性エラストマー(B)95~60質量%とメタクリル系樹脂(D)5~40質量%とを含み、
熱可塑性エラストマー(B)は、JIS-K7244-4に準拠して、周波数1.0Hzの条件で動的粘弾性測定を実施し、温度に対する損失正接(tanδ)の変化のデータを取得したとき、-60~-30℃の温度範囲内に少なくとも1つの損失正接(tanδ)のピークがある、メタクリル系樹脂積層体。 - 重合体ブロック(b-1)は、前記芳香族ビニル単量体単位としてα-メチルスチレン単量体単位を含む、請求項1に記載のメタクリル系樹脂積層体。
- JIS-K7211-1に準拠して、環境温度-40℃、衝撃破壊エネルギー値0.245Jの条件にて衝撃試験を実施したとき、前記メタクリル系樹脂積層体から分離される破片数が0である、請求項1又は2に記載のメタクリル系樹脂積層体。
- 前記第1の樹脂層は、メタクリル系樹脂(A)95~60質量%と多層構造ゴム粒子(C)5~40質量%とを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂積層体。
- メタクリル系樹脂(D)は、重量平均分子量が80,000以下であり、メタクリル酸メチル単量体単位を80質量%以上、アクリル酸メチル単量体単位を5質量%以上含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂積層体。
- 全体の厚さに対する前記第1の樹脂層の合計厚さの割合が50%以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂積層体。
- 曲げ弾性率が1500MPa以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂積層体。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂積層体を含む、移動体用グレージング。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂積層体を含む、機械カバー。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載のメタクリル系樹脂積層体を含む、透光性遮音板。
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