JP7331442B2 - 立体画像形成方法および立体画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、立体画像形成方法および立体画像形成装置に関する。
従来、基材シートの一面側に、加熱により膨張する発泡性のマイクロカプセルを含有する熱膨張層(又は発泡層)が形成された熱膨張性シート(又は熱発泡性シート)が知られている。この熱膨張性シートに、光吸収性の高い画像パターンを印刷した後、赤外線を含む光を照射することにより、当該画像パターンに対応する領域の熱膨張層を選択的に加熱して膨張させ、基材シートの一面側に上記画像パターンに対応した立体画像を形成することができる。このような立体画像形成技術でカラー立体画像を形成する方法として、例えば、特許文献1には、熱膨張性シートに、色彩カラー材料と光吸収性の高い材料のトナーとを用いて印刷画像を形成した後、ハロゲンランプ等により光を照射して当該印刷画像に光を吸収させて発熱させ、印刷画像に対応する領域の熱膨張層のマイクロカプセルを加熱して膨張(又は発泡)させることにより、カラー立体画像を形成する手法が記載されている。
また、特許文献2には、熱発泡性の記録媒体上に赤外線吸収剤を含有する透明トナーと、有色トナーとからなる像に赤外線を照射して立体画像を形成する手法が記載されている。
また、特許文献3には、発泡性シートの発泡層側の表面にカラー画像等を形成し、発泡層の裏面に、表面のカラー画像の絵柄等に対応して濃淡画像からなる光吸収パターンを形成した後、発泡性シートの裏面側から光を照射することにより、光吸収パターンの濃淡に応じた熱を発生させて発泡層の膨張量を制御して、立体画像の隆起高さを調整する手法が記載されている。
特開昭64-28659号公報 特開2006-220740号公報 特開2001-150812号公報
しかしながら、特許文献1に記載された手法においては、光吸収性の高い材料として黒色のトナーをカラートナーと混合して又は重畳して用いるため色再現性に問題があった。また、特許文献2に記載された手法においては、トナーが溶融する際に透明トナーと有色トナーとが混合するため色濃度が低下するという問題があった。また、特許文献3に記載された手法においては、発泡層の裏面から光照射しているため、立体画像のエッジがぼやけシャープな立体画像が得られないという問題があった。
つまり、従来の方法では、十分な定着強度を有し、色再現性に優れ、エッジがシャープなカラー立体画像を得ることができないという課題があった。
そこで、本発明では、十分な定着強度を有し、色再現性に優れ、エッジがシャープなカラー立体画像を形成することができる立体画像形成方法および立体画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を積み重ねた。その結果、トナー像が形成された媒体面に対して、赤外線(熱線)領域よりも短い280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射することで、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記1~11に示す立体画像形成方法および立体画像形成装置により達成されるものである。
1. 熱膨張性を有する記録媒体上にカラー立体画像を形成する立体画像形成方法であって、
少なくとも、
静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記記録媒体にトナー像を転写する転写工程と、
前記トナー像が形成された媒体面に対して、トナーが含有する化合物が吸収可能な280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射する光照射工程と、
を含む、
立体画像形成方法。
2. 前記光照射工程は、280nm以上680nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射することを含む、上記1に記載の立体画像形成方法。
3. 前記光照射工程は、280nm以上480nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射することを含む、上記1または2に記載の立体画像形成方法。
4. 前記トナーが、イエロートナー、マゼンタトナー、およびシアントナーである、上記1~3のいずれか1項に記載の立体画像形成方法。
5. 前記光照射工程は、発光ダイオードまたはレーザー光源によって光を照射することを含む、上記1~4のいずれか1項に記載の立体画像形成方法。
6. 前記光照射工程は、印刷画像データに基づく前記トナー像の位置情報に基づいて、光の照射位置を設定することを含む、上記1~5のいずれか1項に記載の立体画像形成方法。
7. 前記光照射工程は、ユーザーにより指定された前記トナー像の立体画像情報に基づいて、光の照射量を設定することを含む、上記1~6のいずれか1項に記載の立体画像形成方法。
8. 前記トナーは、前記化合物として着色剤を含有する、上記1~7のいずれか1項に記載の立体画像形成方法。
9. 前記トナーは、前記化合物として紫外線吸収剤を含有する、上記1~8のいずれか1項に記載の立体画像形成方法。
10. 熱膨張性を有する記録媒体上にカラー立体画像を形成する立体画像形成装置であって、
少なくとも、
静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部と、
前記記録媒体にトナー像を転写する転写部と、
前記トナー像が形成された媒体面に対して、トナーが含有する化合物が吸収可能な280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射する光照射部と、
を含む立体画像形成装置。
11. 上記1~9のいずれか1項に記載の立体画像形成方法に用いられる、立体画像形成装置。
本発明によれば、定着強度が高く、色再現性にすぐれエッジがシャープなカラー立体画像を形成することができる立体画像形成方法および立体画像形成装置を提供することができる。
本実施形態の立体画像を形成した状態を模式的に表した概略断面図である。 本発明の一実施形態による画像形成装置を示す概略構成図である。 画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 立体画像形成方法を示すフローチャートである。 図5(a)は、熱膨張性を有する記録媒体の一態様を模式的に表した概略断面図である。図5(b)は、熱膨張性を有する記録媒体の他の態様を模式的に表した概略断面図である。 実施例9のA4サイズの熱膨張性シート上のトナー像A、トナー像B、トナー像Cの形成位置を示す図面である。
以下、本発明の一実施形態について、添付した図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみには限定されない。また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃の範囲)/相対湿度40~50%RHの条件下で行うものとする。
本発明の一実施形態による立体画像形成方法は、熱膨張性を有する記録媒体上にカラー立体画像を形成する立体画像形成方法であって、
少なくとも、
静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記媒体にトナー像を転写する転写工程と、
前記トナー像が形成された媒体面に対して、トナーが含有する化合物が吸収可能な波長領域の光であって、尚且つ280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射する光照射工程と、
を含むことを特徴とするものである。
本発明の一実施形態による立体画像形成装置は、熱膨張性を有する記録媒体上にカラー立体画像を形成する立体画像形成装置であって、
少なくとも、
静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部と、
前記媒体にトナー像を転写する転写部と、
前記トナー像が形成された媒体面に対して、トナーが含有する化合物が吸収可能な波長領域の光であって、尚且つ280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射する光照射部と、
を含むことを特徴とするものである。
上記した実施形態の立体画像形成方法および立体画像形成装置においては、上記構成を有することで、上記した発明の効果を有効に奏することができる。すなわち、本実施形態の立体画像形成方法および立体画像形成装置は、上記構成を有することで、定着強度が高く、色再現性にすぐれエッジがシャープなカラー立体画像を形成することができる。
なぜ、熱膨張性を有する記録媒体立体画像形成方法および立体画像形成装置により上記効果が得られるのか、詳細は不明であるが、下記のような作用機序が考えられる。なお、下記の作用機序は推測によるものであり、本発明は下記作用機序に何ら制限されるものではない。
(立体画像の構成)
本実施形態の「熱膨張性を有する記録媒体」とは、加熱した部分が膨張するような材料を含有する記録媒体をいうものである。図1は、本実施形態の立体画像を形成した状態を模式的に表した概略断面図である。図1に示すように、熱膨張性を有する記録媒体の実施形態である熱膨張性シート(熱発泡性シート)11は、基材層(ベースペーパー層ともいう)12の一方の面上に、吸収した熱量に応じて発泡し膨張する熱膨張性材料、例えば、加熱により膨張する多数のマイクロカプセル(図示せず)を含む発泡層13を有している。さらに、発泡層13上にコート層14を有していてもよい。発泡層13は、加熱温度、加熱時間に応じた大きさに膨張する層であって、例えば、バインダー中に複数の熱膨張性材料(熱膨張性マイクロカプセル;以下、単にマイクロカプセルともいう)が分散されている層である。マイクロカプセルは、プロパン、ブタンその他の低沸点気化性物質を熱可塑性樹脂でカプセル化したものである。マイクロカプセルを加熱すると所定の温度(熱膨張開始温度)に達したときにマイクロカプセル内の物質が気化しはじめ膨張することとなる。すなわち、マイクロカプセルを所定の温度以上に加熱すると、熱可塑性樹脂からなるカプセルの殻が軟化し、内包されている低沸点気化性物質が気化し、その圧力によってカプセルが膨張することとなる。発泡層13は、例えば、白色であり、熱膨張性シート11も、例えば、白色である。
発泡層13の表面にトナー像15を転写した後、前記トナー像15が形成された媒体面に対して、トナー像15が含有する化合物が吸収可能な波長領域の光であって、尚且つ280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光16を当該トナー像15に照射する。上記した光16が照射された前記化合物は、照射された波長域内の光16を吸収することで、基底状態から励起状態に遷移した後、無輻射失活し、再び基底状態に戻る。この際、熱エネルギーが放出される。この放出される熱エネルギーにより、トナー像15を構成する周辺の樹脂が軟化・溶融し、トナー像15が記録媒体である熱膨張性シート11上に定着する。それと同時に、トナー像15から生じた熱エネルギーが、トナー像が付着したシート部分11’に伝熱し、当該シート部分11’の発泡層13’内のマイクロカプセルを膨張させる。熱膨張性シート11がさらにコート層14を有する場合には、膨張した発泡層13’とその上部のコート層14’とが発泡隆起し、立体画像が形成される。
本実施形態では、立体画像を形成するトナー像15は、通常の電子写真方式で形成されるカラー画像を用いることができる。トナー像15には、赤外線吸収剤を含有した透明トナーや、黒色トナーを重畳して使用しないことが好ましく、この場合、発色性が良く色再現性に優れる。また、発泡層13の表面側にさらにコート層14を有する場合、コート層14の表面側から光16を照射すれば、トナー像が付着した部分の発泡層13’、さらにはその上部のコート層14’が選択的に発泡隆起しエッジがシャープな画像となる。
なお、上記作用機序は推測によるものであり、本発明は上記作用機序に何ら制限されるものではない。
以下、本実施形態の立体画像形成方法および立体画像形成装置につき説明する。
<立体画像形成装置>
図2および図3は、本実施形態の立体画像形成装置100の基本的な構成を示す概略断面図である。図2、図3に示されるように、画像形成装置100は、熱膨張性を有する記録媒体(熱膨張性シート)S上にカラー立体画像を形成する立体画像形成装置であって、制御部18と、記憶部19と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部35を有する画像形成部30と、前記トナー像が形成された媒体面に対して、トナーが含有する化合物Aが吸収可能な波長領域の光であって、尚且つ280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射する光照射部55と、操作パネル70と、通信部75と、記録媒体搬送部80と、を有する。なお、本実施形態の立体画像形成装置100では、通常の記録媒体を用いた通常の(2次元)画像形成も行えるように定着部60を設けていてもよい。画像形成部30には、トナー像を現像する現像部35、および、この現像したトナー像を記録媒体Sに転写する(中間)転写部40を含む。
制御部18は、CPU(Central Procesing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含む。制御部18により処理されるデータがRAMにより一時的に記憶される。ROMにより、各種プログラムや各種データが記憶される。
記憶部19には、画像形成装置100に関する各種設定情報が記憶されている。例えば、後述する印刷画像データにおける画像の各画素の位置と、光照射部55の照射露光位置との対応関係が記憶されている。また、後述する記録媒体の立体高さ(隆起高さ)と、照射エネルギーとの対応関係が記憶されている。
操作パネル70はタッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、表示部、および操作部として機能する。操作パネル70は、印刷条件等の各種設定の入力や、装置の状態の表示および各種指示の入力に使用される。また操作パネル70を通じて、ユーザーは、画像データの画像領域において、どの領域(以下、「立体領域」という)のトナー像を立体にするか、また立体にする場合にその立体の高さ(隆起高さ)を設定できる。立体領域の指定は、画像のオブジェクト単位(文字等のキャラクター、線、または写真画像)で行えるようにしてもよく、領域座標を指定することで行うようにしてもよい。また、立体領域の高さ(隆起高さ)は、1枚の記録媒体S上において、一律に同じ高さを設定するようにしてもよく、1枚の記録媒体の中で部分領域毎に、複数の高さでそれぞれ設定できるようにしてもよい。以下においては、これらの立体領域の情報、および高さの情報をまとめて、「立体画像情報」という。
通信部80は、イーサネット(登録商標)等の規格による有線通信のネットワークインターフェースや、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11等の規格による無線通信のインターフェース等の各種ローカル接続向けのインターフェースであり、ネットワークに接続したPC(パーソナルコンピューター)等のユーザー端末との通信を行う。ユーザーが、PC上のプリンタドライバーで、印刷画像データに対して、立体画像情報を設定できるようにしてもよい。この場合、画像形成装置100は、この立体画像情報と印刷画像データで構成される印刷ジョブを、通信部80を介して受け付ける。
(立体画像データ(立体画像情報)の入力機構)
本実施形態の立体画像形成装置100では、通常の記録媒体を用いた通常の(2次元)画像形成も行えるように画像読み取り部20が設けられていてもよい。この画像読み取り部20は、原稿Dから画像を読み取り、静電潜像を形成するための画像データを得る。画像読み取り部20は、給紙装置21と、スキャナー22と、CCDセンサー23と、画像処理部24と、を有する。本実施形態でも、立体画像の原稿Dから画像を読み取れる場合には、画像読み取り部20をそのまま利用することができる。
例えば、給紙装置(自動原稿送り装置)21の原稿台上に載置された立体画像の原稿Dは、スキャナー(画像読取装置)22の走査露光装置の光学系により走査露光されてCCDセンサー(イメージセンサーCCD)23に読み込まれる。イメージセンサーCCD23により光電変換されたアナログ信号は、画像処理部24において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、画像形成部30の露光装置34に入力される。
また、原稿Dが立体画像のため、画像読み取りが難しい場合には、上述のように、操作パネル70や外部のPC(プリンタドライバ)で、立体画像情報の設定を行うようにしてもよい。
(現像部を有する画像形成部の構成)
本実施形態の立体画像形成装置100において、画像形成部30は、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色に対応する四つの画像形成ユニット31を含む。画像形成ユニット31は、感光体ドラム32と、帯電装置33と、露光装置34と、現像部35と、クリーニング装置36と、を有する。
感光体ドラム32は、例えば、光導電性を有する負帯電型の有機感光体である。帯電装置33は、感光体ドラム32を帯電させる。帯電装置33は、例えば、コロナ帯電器である。帯電装置33は、帯電ローラや帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材を感光体ドラム32に接触させて帯電させる接触帯電装置であってもよい。露光装置34は、印刷画像データに基づいて、帯電した感光体ドラム32に光を照射して静電潜像を形成する。露光装置34は、例えば、半導体レーザーである。現像部35は、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する。詳しくは、現像部35は静電潜像が形成された感光体ドラム32にトナーを供給して静電潜像に応じたトナー像を形成する。現像部35は、例えば、電子写真方式の画像形成装置における公知の現像部(現像装置)である。クリーニング装置36は、感光体ドラム32の残留トナーを除去する。ここで、「トナー像」とは、感光体ドラム32上にトナーが画像状に集合した状態を言う。「トナー画像」は、記録媒体S上にトナーが画像状に集合した状態を言う。
前記トナーは、280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を吸収する化合物(単に化合物Aともいう)を含有するものであれば、特に制限されるものではなく、公知のトナーの中から上記要件を満足するものを適宜選択して用いることができる。トナーは、一成分現像剤として用いられてもよいし、キャリア粒子と混合されて二成分現像剤として用いられてもよい。一成分現像剤は、トナー粒子から構成される。また、二成分現像剤は、トナー粒子およびキャリア粒子から構成される。トナー粒子は、トナー母体粒子およびその表面に付着したシリカなどの外添剤から構成される。トナー母体粒子は、例えば、結着樹脂、着色剤およびワックスから構成される。トナーの具体的な構成及び条件用件などに関しては後述する。
(転写部の構成)
本実施形態による立体画像形成装置100は、前記記録媒体Sにトナー像を転写する転写部40を備える。以下、当該転写部40として図2に示す中間転写部を用いた構成を例に取り説明するが、これに制限されるものではない。例えば、立体画像形成装置100は、中間転写部がない構成であってもよい。図2に示すように、中間転写部40は、一次転写ユニット41と、二次転写ユニット42と、を含む。一次転写ユニット41は、中間転写ベルト43と、一次転写ローラ44と、バックアップローラ45と、複数の第1支持ローラ46と、クリーニング装置47と、を有する。中間転写ベルト43は、無端状のベルトである。中間転写ベルト43は、バックアップローラ45および第1支持ローラ46によって張架される。中間転写ベルト43は、バックアップローラ45および第1支持ローラ46の少なくとも一つのローラが回転駆動することにより、無端軌道上を一方向に一定速度で走行する。
二次転写ユニット42は、二次転写ベルト48と、二次転写ローラ49と、複数の第2支持ローラ50(例えば、2つの第2支持ローラ50a、50b)と、を有する。二次転写ベルト48は、無端状のベルトである。二次転写ベルト48は、二次転写ローラ49および第2支持ローラ50によって張架される。
(光照射部の構成)
本実施形態による立体画像形成装置100は、前記トナー像が形成された媒体面に対して、トナーが含有する化合物が吸収可能な280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射する光照射部を備える。例えば、光照射部55は、記録媒体Sが搬送される、二次転写ローラ49と第2支持ローラ50aとの間の二次転写ベルト48の上方であって、記録媒体S上のトナー像が形成された媒体面を照射し得る位置に設けられる。光照射部55は、トナー像に280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射するための装置である。光照射部55に用いることができる光源としては、上記した特定の光を照射させることができるものであれば特に制限されるものではないが、発光ダイオード(LED)、またはレーザー光源が好ましい。発光ダイオードやレーザー光源は、光の照射波長域が狭く、トナー像が吸収する波長域の光のみを照射できるので効率が良く、さらに消費電力を少なくできる点でも優れている。なお、照射波長域が広いと、トナーが光を吸収できない波長の光も含み効率が悪く消費電力も大きくなるが、上記した特定の光を照射できる光源であれば、適用可能である。なお、光照射部は、トナー像が形成された媒体面に対して、上記した光が当たりさえすればよいので、トナー像形成後に光照射する構成ならどのような構成であってもよい。
光照射部55で照射する光の波長域は、トナーが含有する化合物Aが吸収可能な波長領域の光であり、光の最大発光波長は280nm以上780nm以下である。光照射部55に用いることができる光源の「最大発光波長」とは、光源の発光スペクトルにおいて、発光ピークの極大値のうち、発光強度が最大となる発光波長をいう。光照射は、定着のために加熱した画像(トナー像が形成された媒体面)に対して行ってもよい。また、光照射後に定着のための加熱を行ってもよいが、光照射によるトナー像の化合物Aの発熱により、トナー像の定着と同時に記録媒体のマイクロカプセルを熱膨張させるのがエネルギー効率上、最も好ましい。トナー像の定着および立体画像形成を行うためには、効率的にトナーの温度が上昇しトナーが熱溶融するとともに、記録媒体Sに伝熱し、発泡層のマイクロカプセルを膨張させる必要がある。放出される熱エネルギー量は、照射する光の波長に応じたエネルギーや化合物Aの吸光度及び化合物Aの光安定性に依存する。トナーに含有されている280nm以上780nm以下の波長域内の光を吸収する化合物Aに対して、当該化合物Aが光吸収する波長域に最大発光波長を有する光を照射することで、定着強度が高く、隆起が大きくエッジがシャープな立体画像が得られる。ここで、光照射前に定着のために加熱する場合、発泡層中のマイクロカプセルを発泡(膨張)させない範囲で加熱することが好ましい。発泡層のマイクロカプセルが膨張する温度は、マイクロカプセルの設計で調整可能である。また、光照射後に定着のために加熱する場合、発泡層中のマイクロカプセルを発泡(膨張)させない範囲で加熱することが好ましいことに加え、膨張した部分がつぶれない範囲で加圧することが好ましい。膨張した部分がつぶれない範囲での加圧は、定着部の可変可能な圧力により調整可能である。
前記光照射部55で照射する光は、最大発光波長が280nm以上680nm以下であることが好ましい。この理由は、トナー像の定着および立体画像形成するのに十分なエネルギーが得られ、定着強度が高く、隆起が大きくエッジがシャープな立体画像が得られるためである。また、光の最大発光波長は280nm以上480nm以下であることがさらに好ましい以下という短波長領域の光を吸収するため、着色剤の種類によって光源を変える必要がなく、簡便な装置形成で省スペース化することもできるためである。
前記光照射部55に用いる光源は、記録媒体Sの搬送方向(媒体の長手方向)に対し垂直方向である媒体の短手方向(幅方向、主走査方向ともいう)の全域を一度に照射できるように配置されていてもよいし、部分的に照射するものでもよいし、光源を幅方向に複数配列し、照射位置を変えることができるようにしたものであってもよい。例えば、幅方向の全域が照射できるように、紫外線光を照射する複数のLED、および複数のレンズを幅方向に沿って複数並べた照射光学系を用いても良い。このLEDは、例えば、記録媒体S上において、1dpi以上の解像度で照射できる。好ましくは、50dpiの解像度の照射が好ましく、100dpi以上がより好ましい。また、各dotに対する照射エネルギーは複数段階で制御できることが好ましい。例えば、数から数十J/cmの範囲で複数段階で制御できることが好ましい。照射エネルギーの増減は、LEDの発光量を制御してもよく、光照射部55の真下における、搬送する記録媒体Sの搬送速度を変更することで制御してもよい。これにより、記録媒体Sが搬送しながら連続的に照射することができる。この場合、光照射は、記録媒体Sを搬送しながら光照射する方式を用いればよい。また、前記光源は、記録媒体Sの全面全域を一度に照射できるように配置されていてもよい。これにより、記録媒体Sを光源の直下で停止させた後に記録媒体S全域を一度に照射することができる。この場合、光照射は、1枚ごと記録媒体Sを照射位置でストップさせて光照射する方式を用いればよい。また、光源として、半導体レーザーを用いてもよい。半導体レーザーを、記録媒体の全域を一度に照射できるように複数配置してもよいし、半導体レーザーが可動して記録媒体の全域を順次光照射できるようにしてもよいし、半導体レーザーから照射されたレーザー光をポリゴンミラーを回転させてスキャンする方式を用いてもよい。
本実施形態において、照射する波長域内の光を吸収する化合物Aとは、溶媒に対して0.01質量%の濃度で溶解させ、分光光度計で吸光度を測定した場合に、照射する波長域内における最大発光波長の吸光度が0.01以上である化合物のことをいう。上記溶媒には、例えば、DMF、THF、クロロホルム等を用いることができる。
光照射部55での光の照射光量は、トナーが含有する化合物Aの種類や含有量に応じて、発明の効果が得られる範囲で制御すればよい。例えば、前記照射光量は、0.01J/cm以上100J/cm以下の範囲内で制御することが好ましく、0.1J/cm以上50J/cm以下の範囲内で制御することがより好ましい。
記録媒体搬送部80は、三つの給紙トレイユニット81および複数のレジストローラ対(搬送ローラー)82を有する。給紙トレイユニット81には、坪量やサイズや発泡倍率などに基づいて識別された記録媒体Sが予め設定された種類ごとに収容される。レジストローラ対82は、所期の搬送経路を形成するように配置されている。
本実施形態の立体画像形成装置100では、通常の記録媒体を用いた通常の(2次元)画像形成も行えるように定着部60が設けられていてもよい。定着部60は、無端状の定着ベルト61と、定着ベルト61を内部から加熱するための加熱装置(図示せず)を有する加熱ローラ62を含み、定着ベルト61を軸支する二以上のローラ62、63と、定着ベルト61を介してローラのうちの一つ(ローラ63)に対して相対的に付勢されるように配置される加圧ローラ64と、を有する。定着部60は、例えば、電子写真方式の画像形成装置における公知の定着部(定着装置)である。
このような画像形成装置100を用いた立体画像形成方法では、記録媒体搬送部80により送られてきた記録媒体Sに、画像読み取り部20で取得された画像データまたはユーザーにより指定された上述の立体画像情報に基づいて、転写部40で記録媒体Sにトナー画像が形成される。転写部40でトナー画像が形成された記録媒体Sは、光照射部55に送られる。
一方で、未定着のトナー像を担持する記録媒体Sは、二次転写ローラ49と第2支持ローラ50aとの間の二次転写ベルト48上を搬送される。その後、二次転写ベルト48の上方に備えられた光照射部55から、印刷画像データに基づくトナー像の位置情報および、ユーザーにより指定されたトナー像の立体画像情報(外部情報)に基づいて、設定された光の照射位置に、設定された照射量の特定の波長域内の光が照射される。これにより、トナー画像に照射された特定の波長域内の光を化合物Aが吸収することで、基底状態から励起状態に遷移した後、無輻射失活し、再び基底状態に戻る。この際、熱エネルギーが放出され、この放出される熱エネルギーにより、トナー画像を構成する周辺の樹脂が軟化・溶融し、トナー画像が記録媒体S上に定着すると同時に、トナー画像から生じた熱エネルギーが、トナー画像が付着したシート部分に伝熱する。これにより、当該シート部分の発泡層内のマイクロカプセルが膨張し、膨張した発泡層を介してその直上のコート層部分を発泡隆起させ立体画像を形成することができる。こうして記録媒体S上に担持される未定着のトナー画像は、特定の光を照射することにより、速やかに記録媒体Sに定着されるとともに、立体画像が形成される。光照射部55でトナー画像の定着と共に立体画像が形成された記録媒体Sは、定着部60に送られる。ここでは、搬送される立体画像が形成された記録媒体Sは、上部移動した加熱ローラ62に追従して上部移動した定着ベルト61と接触することなく通過し、案内ローラ(図示せず)により、画像形成装置100外に向けて案内される。なお、図2に示す形態では、上記したように、光照射部55の下流側に、定着部60がある構成であるが、定着部60の下流側に光照射部55があってもよい。
なお、通常の記録媒体を用いた通常の(2次元)画像形成を行う場合は、光照射による定着を行うことも可能であるが、高速プリントに対応するために定着ベルトで定着する方法が好ましい。かかる定着ベルトで定着する方法を用いる場合、未定着のトナー画像を担持する記録媒体Sは、光照射部55で光照射されることなく、定着部60に送られ、案内板(図示せず)に案内されながらニップ部に案内される。そして、定着ベルト61が記録媒体Sに密着することによって、未定着のトナー画像は、速やかに記録媒体Sに定着される。また、記録媒体Sは、定着ニップ部の下流端で、気流分離装置(図示せず)からの気流を受ける。このため、記録媒体Sの定着ベルト61からの分離が促進される。定着ベルト61から分離した記録媒体Sは、案内ローラ(図示せず)により、画像形成装置100外に向けて案内される。
即ち、本実施形態の立体画像形成装置は、熱膨張性を有する記録媒体S上に電子写真方式によって形成された未定着のトナー画像に、トナーが含有する化合物が吸収可能な波長領域の光を照射することにより、速やかに記録媒体Sに定着するとともに、立体画像を形成する光照射部を有する立体画像形成装置である。かかる構成を有することにより、上記した発明の効果を有効に発現することができる。
<立体画像形成方法>
以下、本実施形態の立体画像形成方法につき、図4を参照して説明する。図4は、立体画像形成方法の手順を示すフローチャートである。
(ステップS110)
画像形成装置100は、印刷ジョブデータを取得する。この印刷ジョブデータには、印刷画像データ、および立体画像情報が含まれる。印刷画像データは、画像読み取り部20で原稿Dから画像を読み取って得られた画像データ、あるいは、通信部80を介して受信した画像データである。立体画像情報は、操作パネル70を介してユーザーにより入力された情報である。
(ステップS120:現像工程および転写工程)
本実施形態では、ステップS120の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程と、記録媒体にトナー像を転写する転写工程と含む。
詳しくは、ステップS110で取得した印刷画像データに基づいて画像形成部30は、現像工程と、転写工程とにより記録媒体上にトナー画像を形成する。画像記録のスタートにより不図示の感光体駆動モータの始動によりYの感光体ドラム32(図中、最上段の感光体ドラム)が図の矢印で示す方向へ回転され、Yの帯電装置33によってYの感光体ドラム32に電位が付与される。Yの感光体ドラム32は電位を付与された後、Yの露光装置34によって第1の色信号すなわちYの画像データに対応する電気信号による露光(画像書込)が行われ、Yの感光体ドラム32上にイエロー(Y)の画像に対応する静電潜像が形成される。この潜像はYの現像部35により反転現像され、Yの感光体ドラム32上にイエロー(Y)のトナーからなるトナー像が形成される(現像工程)。Yの感光体ドラム32上に形成されたYのトナー像は、一次転写手段としての一次転写ローラ44により中間転写体である中間転写ベルト43上に転写される。
次いで、Mの帯電器33によってMの感光体ドラム32(図中、上から2段目の感光体ドラム)に電位が付与される。Mの感光体ドラム32は電位を付与された後、Mの露光装置34によって第1の色信号すなわちMの画像データに対応する電気信号による露光(画像書込)が行われ、Mの感光体ドラム32上にマゼンタ(M)の画像に対応する静電潜像が形成される。この潜像はMの現像部35により反転現像され、Mの感光体ドラム32上にマゼンタ(M)のトナーからなるトナー像が形成される(現像工程)。Mの感光体ドラム32上に形成されたMのトナー像は、一次転写手段としての一次転写ローラ44によりYのトナー像に重ね合わせて中間転写体である中間転写ベルト43上に転写される。
同様のプロセスにより、Cの感光体ドラム322(図中、上から3段目の感光体ドラム)上に形成されたシアン(C)のトナーからなるトナー像と、Kの感光体ドラム322(図中、最下段の感光体ドラム)上に形成された黒色(K)のトナーからなるトナー像が順次中間転写ベルト43上に重ね合わせて形成され、中間転写ベルト43の周面上に、Y、M、C及びKのトナーからなる重ね合わせのカラートナー像が形成される。転写後のそれぞれの感光体ドラム32の周面上に残ったトナーは感光体クリーニング装置36によりクリーニングされる。
一方、記録媒体搬送部80の三つの給紙トレイユニット81内に収容された記録紙としての熱膨張性を有する記録媒体Sは、三つの給紙トレイユニット81にそれぞれ設けられる送り出しローラ及び給紙ローラにより給紙され、搬送経路上を搬送ローラによって搬送され、レジストローラ対82を経て、トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の電圧が印加される二次転写手段としての二次転写ベルト48に搬送され、二次転写ベルト48の転写域において、中間転写ベルト43上に形成された重ね合わせのカラートナー像が記録媒体S上に一括して転写される(転写工程)。この際、図1に示すように、記録媒体Sである熱膨張性シート11のコート層14上にカラートナー像が一括して転写されるように、給紙トレイユニット81内に熱膨張性を有する記録媒体Sを収容すればよい。
二次転写手段としての二次転写ベルト48により記録媒体S上にトナー画像が転写された後、記録媒体Sを曲率分離した中間転写ベルト43上の残留トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置47により除去される。更に、二次転写ベルト48上のパッチ像トナーは、二次転写ユニット42の不図示のクリーニングブレードによりクリーニングされる。
(ステップS130:光照射工程)
本実施形態では、トナー像が形成された媒体面に対して、トナーが含有する化合物が吸収可能な波長領域の光であって、尚且つ280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射する光照射工程を含む。
ステップS130の光照射工程では、制御部18は、光照射部55を制御し、上記転写工程で、トナー画像が転写された記録媒体Sは、光照射部55において、上記した特定波長領域の光が照射されて、記録媒体Sにトナー画像が定着されるとともに、立体画像が形成される。その後、立体画像が形成された記録媒体Sは、装置内を搬送されて画像形成装置100外の排紙トレイ上に載置される。
詳しくは、上記転写工程でトナー画像が転写された記録媒体Sは、二次転写ローラ49と第2支持ローラ50aとの間の二次転写ベルト48上を搬送され、光照射部55から、印刷画像データに基づくトナー像の位置情報およびユーザーにより指定されたトナー像の立体画像情報(外部情報)に基づいて、設定された光の照射位置に、設定された照射量の特定の波長域内の光が照射される。これにより、トナー画像に照射された特定の波長域内の光を化合物Aが吸収することで、基底状態から励起状態に遷移した後、無輻射失活し、再び基底状態に戻る。この際、熱エネルギーが放出され、この放出される熱エネルギーにより、トナー画像を構成する周辺の樹脂が軟化・溶融し、トナー画像が記録媒体S上に定着すると同時に、トナー画像から生じた熱エネルギーが、トナー画像が付着したシート部分に伝熱し、当該シート部分の発泡層内のマイクロカプセルを膨張させ、発泡層(更にはその直上のコート層)を発泡隆起させ立体画像を形成することができる。こうして記録媒体S上に担持される未定着のトナー画像は、特定の光を照射することにより、速やかに記録媒体Sに定着されるとともに、立体画像が形成される。
(ステップS140)
ステップS130において光照射部55でトナー画像の定着と共に立体画像が形成された記録媒体Sは、ステップS140では、記録媒体搬送部80により定着部60に送られる。ここでは、搬送される立体画像が形成された記録媒体Sは、上部移動した加熱ローラ62に追従して上部移動した定着ベルト61と接触することなく通過し、画像形成装置100外に向けて案内され、立体画像形成装置100外の排紙トレイ上に載置される。
本実施形態の立体画像形成装置100は、上記に説明した各工程を含む本実施形態の立体画像形成方法に用いられる装置であるとも言える。
(照射する光波長領域)
前記光照射工程では、280nm以上680nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射するのが好ましい。これは、トナー像の定着および立体画像形成するのに十分なエネルギーが得られ、定着強度が高く、隆起が大きくエッジがシャープな立体画像が得られるためである。また、前記光照射工程では、280nm以上480nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射するのがより好ましい。これは、一般的に用いられる着色剤が添加されたトナーは、280nm以上480nm以下という短波長領域の光を吸収するため、着色剤の種類によって光源を変える必要がなく、簡便な装置形成で省スペース化することもできるためである。
(光の照射位置の設定および光の照射量の設定)
前記光照射工程では、印刷画像データに基づく前記トナー像の位置情報に基づいて、上記した特定の波長領域の光の照射位置を設定することができる。これにより、記録媒体の全面を照射することなく、必要な部分のみ光照射することができるので、省エネルギー化ができる。また、前記光照射工程では、ユーザーにより指定された前記トナー像の立体画像情報に基づいて、上記した特定の波長領域の光の照射量を設定することができる。これにより、位置毎に隆起高さを制御することができ、多彩な立体画像表現ができる。さらに、前記光照射工程では、印刷画像データに基づくトナー像の位置情報およびユーザーにより指定されたトナー像の立体画像情報に基づいて、光の照射位置および光の照射量を設定することができる。上記により、省エネルギー化ができるとともに、位置毎に隆起高さを制御することができ、多彩な立体画像表現ができる。
トナー像の位置情報は、トナー像のどの位置を立体にしたいかという印刷用画像情報であって、例えば、ユーザーが入力画面等から指定するものである。立体画像情報は、上記印刷用画像データを3次元に変換したデータでよい。立体画像情報は、トナー像のどの位置をどれくらい立体にしたいかという印刷用画像情報で、例えば、ユーザーが入力画面等から指定するものである。トナー像のどの位置をどれくらい立体にしたいかは、光の照射エネルギーに応じて任意の高さに制御できる。例えば、5段階に制御する場合、高さの低い段階から順に、1段階目を5J/cm、2段階目を15J/cm、3段階目を25J/cm、4段階目を35J/cm、5段階目を50J/cm等とすることで任意に高さを制御することができる(実施例6参照)。
光照射は、記録媒体Sを搬送しながら光照射する方式でもよいし、1枚ごと記録媒体Sを照射位置でストップさせて光照射する方式でもよい。好ましくは、記録媒体Sを搬送しながら光照射する方式であり、その理由は、生産性を高くできるためである。
照射サイズは光源の種類、サイズや光学系(レンズ等)によるが、高解像度の方が好ましい。立体画像の位置情報については、1dpi以上であればよく、50dpi以上が好ましく、100dpi以上がより好ましい。
(熱膨張性を有する記録媒体の構成)
図5(a)は、熱膨張性を有する記録媒体の一態様を模式的に表した概略断面図である。図5(b)は、熱膨張性を有する記録媒体の他の態様を模式的に表した概略断面図である。
図5(a)に示すように、本実施形態の一態様を表す熱膨張性を有する記録媒体90aは、基材層91と、基材層91上に積層された発泡層92と、を有する構成のものを用いることができる。
基材層91は、発泡層を支持する目的として設けられるものであり、具体的には、上質紙、中質紙等の紙、または、一般的に使用されている樹脂製のシートを用いることができる。基材層91の厚さは、上記使用目的に鑑み、10μm以上1000μm以下の範囲が好ましく、30μm以上50μm以下の範囲がより好ましい。
発泡層92は、発泡隆起による立体画像の形成を目的として設けられるものであり、空間分布した多数のマイクロカプセル93と、これらのマイクロカプセル93を覆う被覆部94とを備えている。発泡層92の発泡隆起前の厚さは、発泡隆起後の高さを制御する観点から、30μm以上1000μm以下の範囲が好ましく、50μm以上500μm以下の範囲がより好ましい。
マイクロカプセル93は、プロパン、ブタンその他の低沸点気化性物質を塩化ビニルデン-アクリロニトリル、メタクリル酸エステル-アクリル酸コポリマー、塩化ビニリデン-アクリル酸コポリマー、塩化ビニリデン-アクリル酸エステルコポリマー等の熱可塑性樹脂でカプセル化したものであり、大きさは粒径10μm~30μm程度である。このマイクロカプセル93を加熱すると、所定の温度に達した時にマイクロカプセル93内の物質が気化しはじめ、マイクロカプセル93が膨張することとなる。マイクロカプセル93が最も膨張した状態での大きさは、使用用途や使用する物質の種類や被覆部の材質の種類等によって適宜調整できるものであるが、膨張前の粒径の2倍~10倍程度の範囲で任意に膨張させることができる。上記したマイクロカプセル93内の物質は、加熱後、室温に戻っても気化した状態のものである。
被覆部94は、例えば、酢酸ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマー等の熱可塑性被覆剤を使用してマイクロカプセル93がほぼ一様な密度に分布するように固定するとともに、基材層91と発泡層92との接合を行う。
また、図5(b)に示すように、本実施形態の他の態様を表す熱膨張性を有する記録媒体90bは、基材層91と、基材層91上に積層された発泡層92と、発泡層92上に積層されたコート層95と、を有する構成のものを用いることもできる。コート層95を設けることで、発泡隆起前後で発泡層を保護できる点で優れている。図5(b)に示す記録媒体90bの構成のうち、基材層91および発泡層92に関しては、図5(a)に示す記録媒体90aで説明した通りである。
コート層95は、発泡層を保護するとともに、トナー像が形成される表面層として設けられるものである。コート層95は、マイクロカプセル93の膨張による発砲層92の発泡隆起に追従して熱軟化して変形(隆起)することができ、発泡層92と同様に加熱されても劣化せず、かつ熱伝導性に優れトナー像で発生した熱エネルギーをコート層95で極力消費することなく発泡層92に伝熱できる層であることが好ましい。さらに、光照射後においては、変形した状態で速やかに冷却固化して発泡層92の発泡隆起した状態を保存できるものであればよい。具体的には、上質紙等の紙、または一般的に使用されている樹脂製のシート等を用いることができる。コート層95の変形前の厚さは、発泡隆起に追従する観点から、1μm以上500μm以下の範囲が好ましく、30μm以上300μm以下の範囲がより好ましい。
(トナーの構成)
本実施形態の立体画像形成装置及び立体画像形成方法では、光を吸収する化合物Aを含有する静電荷像現像用トナー(単に、トナーともいう)を用いる。
特にカラー立体画像形成装置及びカラー立体画像形成方法で用いる上記化合物Aを含有するトナーとしては、少なくともカラートナーを用いるものである。ここで、カラートナーは、イエロートナー、マゼンタトナー、およびシアントナーの少なくとも1種を含むのが好ましい。イエロートナー、マゼンタトナー、およびシアントナーを用いることで高画質のフルカラー立体画像を得ることができる。また、カラートナーは、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー以外の他の有彩色のトナー(例えば、オレンジトナー、バイオレットトナーなど)をさらに含んでもよい。これらの他の有彩色のトナーをさらに含むことで、色再現範囲の拡大が可能になる。
また、カラー立体画像形成装置及びカラー立体画像形成方法において、前記カラートナー以外のトナーをさらに含んでもよく、例えば、黒色トナーや透明トナーを含んでもよい。
また、本実施形態に係るトナーは、トナー母体粒子又はトナー粒子の集合体であることが好ましい。
ここで、トナー粒子とは、トナー母体粒子に外添剤を添加したものであり、トナー母体粒子をそのままトナー粒子として用いることもできる。
<光を吸収する化合物>
トナーに含有される、光を吸収する化合物(化合物A)は、光照射部で照射する波長域内の光、詳しくは280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を吸収する化合物である。
本発明でいう、光照射部で照射する波長域内の光を吸収する化合物、詳しくは280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を吸収する化合物とは、溶媒(DMF、THF、クロロホルム等)に対して0.01質量%の濃度で溶解させ、分光光度計で吸光度を測定した場合に、照射する波長域内、詳しくは280nm以上780nm以下の波長域内における最大発光波長の吸光度が0.01以上である化合物のことをいう。
本発明で用いる化合物Aとしては、イエロー、マゼンタ、シアン又はブラック等の着色剤、紫外線吸収剤を用いることが好ましい。この他にも、例えば、光を吸収する樹脂等を用いることもできる。また、本発明で使用されるトナーに含まれる化合物Aは、1種類でもよく、2種類以上であってもよい。
<着色剤>
本発明に係るトナーは、化合物Aとして、着色剤を含有することが好ましい。トナーが化合物Aとして着色剤を含有する場合、280nm以上480nm以下という短波長領域の光を吸収するため、着色剤の種類によって立体画像形成装置100内に設ける光源を変える必要がない。よって、複数の光源を着色剤の種類によって入れ替える機構等を設ける必要がなくなり、簡便な装置形成で省スペース化することもできる。また、トナーの製造においても、紫外線吸収による予期せぬ発熱を防止する観点から紫外線がカットした作業環境下で作製する必要が無く、通常の組成成分を用いて行うことができる。よって、作業環境や工程数や原料の保存管理などの点で簡易かつ安価に作製することができる点で優れている。着色剤としては、一般に知られている染料及び顔料を用いることができる。
ブラック(黒色)のトナーを得るための着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラックなどが挙げられる。
カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。また、磁性体としてはフェライト、マグネタイトなどが挙げられる。
イエロートナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162などの染料、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などの顔料が挙げられる。
マゼンタトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122などの染料、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同269などの顔料が挙げられる。
シアントナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などの染料、C.I.ピグメントブルー1、同7、同15、同15:3、同60、同62、同66、同76などの顔料が挙げられる。
イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー以外の有彩色のトナー、例えば、オレンジトナーを得るための着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ1、同11などの顔料が挙げられ、バイオレットトナーを得るための着色剤としては、C.I.ピグメントバイオレット19、同23、同29などの顔料が挙げられる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有率は、トナーの総質量(100質量%)に対し、1質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましく、2質量%以上20質量%以下の範囲であることがより好ましい。含有率が1質量%以上であれば、十分な着色力を得ることができ、30質量%以下であれば、着色剤がトナーから遊離してキャリアに付着することがなく、帯電性が安定するため、高画質な画像が得られる。
<紫外線吸収剤>
本実施形態のトナーは、化合物Aとして、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
本発明でいう紫外線吸収剤とは、180nm以上400nm以下の波長領域に吸収波長を有し、少なくとも0℃以上の環境下では励起状態から異性化や結合開裂等の構造変化を伴わずに、無輻射失活により失活する添加剤のことを指す。紫外線吸収剤は、当該条件を満たせば有機化合物および無機化合物のいずれでもよく、また、一般的な有機系紫外線吸収剤以外に光安定剤や酸化防止剤等も使用することができる。
また、有機系紫外線吸収剤の骨格を有する官能基が高分子鎖に取り込まれた紫外線吸収ポリマーも使用可能である。
紫外線吸収剤は180nm以上400nm以下の波長領域に最大吸収波長を有することが好ましく、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤とでは有機系紫外線吸収剤の方が好ましい。
本実施形態で使用可能な有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、ジフェニルアクリレート系紫外線吸収剤、安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、β,β-ジフェニルアクリラート系紫外線吸収剤、ベンジリデンショウノウ系紫外線吸収剤、フェニルベンゾイミダゾール系紫外線吸収剤、アントラニル系紫外線吸収剤、イミダゾリン系紫外線吸収剤、ベンザルマロナート系紫外線吸収剤、4,4-ジアリールブタジエン系紫外線吸収剤等の公知のものが挙げられる。その中でも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤が好ましい。
これら有機系紫外線吸収剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、オクタベンゾン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-〔5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル〕-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル-3-〔3-t-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル〕プロピオネート/ポリエチレングリコール(分子量約300)の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-エチルヘキシル-3-〔3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル〕プロピオネート、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル~1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルプチル)フェノールなどが挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニル、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール、2-〔4-〔(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ〕-2-ヒドロキシフェニル〕-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-〔4-〔(2-ヒドロキシ-3-(2′-エチル)ヘキシル)オキシ〕-2-ヒドロキシフェニル〕-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-〔1-オクチルオキシカルボニルオトキシ〕フェニル)-4,6-ビス(4-フェニル)-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2’-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレートなどが挙げられる。
ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤としては、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(例えば、「パルソール(登録商標)1789」、DSM社製)などが挙げられる。
無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等が挙げられる。無機系紫外線吸収剤の粒径は、体積基準のメジアン径で1nm以上1μm以下の範囲であることが好ましい。紫外線吸収剤粒子の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS-800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定することができる。
紫外線吸収剤の含有率は、トナーの全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましい。含有率が0.1質量%以上であれば、十分な発熱エネルギーを得ることができ、50質量%以下であれば、十分な定着強度を有し、エッジがシャープなカラー立体画像を形成することができる。紫外線吸収剤の含有率は、0.5質量%以上35質量%以下の範囲であることがより好ましい。含有率が0.5質量%以上であれば、得られる熱エネルギーがより大きくなるため定着性がより向上し、35質量%以下であれば、樹脂比率が大きくなるため定着画像が強靭になり定着性がより向上し、エッジがシャープなカラー立体画像を形成することができる。
また、本実施形態のトナーは、上記化合物A(着色剤、紫外線吸収剤など)以外に、結着樹脂、離型剤及び荷電制御剤等を含有し、外添剤を添加したものであることが好ましい。以下、これらについて説明する。
<結着樹脂>
結着樹脂は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有するものであることが好ましい。
本実施形態に係るトナーは、結着樹脂を含有することで、トナーが適切な粘度となり、記録媒体である熱膨張シート(発泡シート)に塗布した際のにじみが抑制されるため、細線再現性やドット再現性が向上する。
結着樹脂としては、一般にトナーを構成する結着樹脂として用いられている樹脂を制限なく用いることができる。具体的には、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン・アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これら結着樹脂は、単独でも、又は2種以上組み合わせても用いることができる。
これらの中でも、溶融すると低粘度になり、かつ高いシャープメルト性を有するという観点から、結着樹脂は、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン・アクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、スチレン・アクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、定着性や耐熱保管性などの観点から、35℃以上70℃以下の範囲が好ましく、35℃以上60℃以下の範囲がより好ましい。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。
また、本実施形態に係るトナーには、結着樹脂に用いる結晶性樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが、低温定着性を向上させる観点から好ましい。また、トナーの低温定着性をさらに向上させる観点からは、結晶性ポリエステル樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂セグメントと、非晶性樹脂セグメントとが結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂や、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、特開2017-37245号公報に記載の公知の化合物を用いることができる。
なお、結着樹脂を含むトナーは、単層構造であってもよいし、コア・シェル構造であってもよい。コア・シェル構造のコア粒子及びシェル層に用いられる結着樹脂の種類は、特に制限されない。
<離型剤>
本実施形態に係るトナーは、離型剤を含有してもよい。使用される離型剤は、特に限定されるものではなく、公知の種々のワックスを用いることができる。
ワックスとしては、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、酸化型の低分子量ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、パラフィン、合成エステルワックスなどが挙げられる。
特に、低融点及び低粘度であることから、合成エステルワックスを用いることが好ましく、ベヘン酸ベヘニル、グリセリントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネートなどを用いることが特に好ましい。
離型剤の含有率は、トナーの総質量に対し、1質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下の範囲であることがより好ましい。
<荷電制御剤>
本実施形態に係るトナーは、荷電制御剤を含有してもよい。使用される荷電制御剤は、摩擦帯電により正又は負の帯電を与えることのできる物質であり、かつ無色のものであれば特に限定されず、公知の種々の正帯電性の荷電制御剤及び負帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有率は、トナーの総質量に対し、0.01質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましく、0.1質量%以上10質量%以下の範囲であることがより好ましい。
<外添剤>
トナーの流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するために、トナー母体粒子表面に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤を添加してもよい。
外添剤としては、例えば、シリカ粒子、疎水性シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子、疎水性酸化チタン粒子などの無機酸化物粒子、ステアリン酸アルミニウム粒子、ステアリン酸亜鉛粒子などの無機ステアリン酸化合物粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸亜鉛粒子などの無機チタン酸化合物粒子などの無機粒子が挙げられる。
これらは、単独でも、又は2種以上を組み合わせても用いることができる。
これら無機粒子は、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性や環境安定性の向上のために、表面修飾が行われていてもよい。
これら外添剤の添加量は、トナーの総質量に対し、0.05質量%以上5質量%以下の範囲であることが好ましく、0.1質量%以上3質量%以下の範囲であることがより好ましい。
<トナー粒子の平均粒径>
トナー粒子の平均粒径は、体積基準のメジアン径(D50)で4μm以上10μm以下の範囲であることが好ましく、4μm以上7μm以下の範囲であることがより好ましい。体積基準のメジアン径(D50)が上記範囲内にあることにより、転写効率が高くなり、ハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
トナー粒子の体積基準のメジアン径(D50)は、「コールターカウンター3」(ベックマン・コールター株式会社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター株式会社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。
具体的には、測定試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば、界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を調製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター株式会社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。
ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を50μmにし、測定範囲である1μmから30μmまでの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径(D50)とされる。
<トナーの製造方法>
本実施形態に係るトナーの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、乳化重合凝集法や乳化凝集法を好適に採用できる。以下、トナー粒子中に、化合物Aとして紫外線吸収剤の粒子及び着色剤を含有するトナーの製造方法の一例を説明する。
乳化重合凝集法は、乳化重合法によって製造された結着樹脂の粒子(以下、結着樹脂粒子ともいう)の分散液を、紫外線吸収剤の粒子(以下、紫外線吸収剤粒子ともいう)の分散液、着色剤の粒子(以下、着色剤粒子ともいう)の分散液、さらに必要に応じてワックスなどの離型剤の分散液と混合し、トナー粒子が所望の粒径となるまで凝集させ、更に結着樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
また、乳化凝集法は、溶媒に溶解した結着樹脂溶液を貧溶媒に滴下して樹脂粒子分散液とし、この樹脂粒子分散液と紫外線吸収剤粒子分散液、着色剤粒子分散液、さらに必要に応じてワックスなどの離型剤分散液とを混合し、所望のトナー粒子の径となるまで凝集させ更に結着樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
本発明のトナーにおいては、どちらの製造方法も適用可能である。
以下に、本発明に係るトナーの製造方法として、乳化重合凝集法を用いる場合の一例を示す。
(1)水系媒体中に着色剤粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)紫外線吸収剤粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(4)乳化重合により、結着樹脂微粒子の分散液を調製する工程
(5)着色剤粒子の分散液と、紫外線吸収剤粒子の分散液と、結着樹脂粒子の分散液とを混合して、着色剤粒子と紫外線吸収剤粒子と結着樹脂粒子とを凝集、会合、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(6)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(7)トナー母体粒子を乾燥する工程
(8)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程。
なお、紫外線吸収剤は添加しなくともよい。
乳化重合凝集法によってトナーを製造する場合においては、乳化重合法によって得られる結着樹脂粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよい。このような構成の結着樹脂粒子は、例えば2層構造を有するものは、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)によって樹脂粒子の分散液を調製し、この分散液に重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する手法によって得ることができる。
また、乳化重合凝集法によって、コア・シェル構造を有するトナー粒子を得ることもできる。具体的にコア・シェル構造を有するトナー粒子は、まず、コア粒子用の結着樹脂粒子と紫外線吸収剤粒子と着色剤粒子とを凝集、会合、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の結着樹脂粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
<現像剤>
本実施形態に係るトナーは、例えば、磁性体を含有させて1成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して2成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられ、いずれも好適に使用することができる。
磁性体としては、例えば、マグネタイト、γ-ヘマタイト、各種フェライトなどを使用することができる。
2成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、鋼、ニッケル、コバルト、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。
キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体粉末を分散してなるいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることが好ましい。被覆用の樹脂としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、アクリル樹脂、スチレン・アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
キャリアの体積基準のメジアン径は、20μm以上100μm以下の範囲であることが好ましく、25μm以上80μm以下の範囲であることがより好ましい。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパテック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
トナーのキャリアに対する混合量は、トナーとキャリアとの合計質量を100質量%として、2質量%以上10質量%以下の範囲であることが好ましい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
[着色剤粒子分散液の調製]
(イエロー着色剤粒子分散液〔Ye〕の調製)
ドデシル硫酸ナトリウム 90質量部
C.I.ピグメントイエロー74 200質量部
イオン交換水 1600質量部
上記の成分を混合した溶液をウルトラタラックスT50(IKA社製)にて十分に分散した後、超音波分散機で20分間処理することによりイエロー着色剤粒子分散液〔Ye〕を調製した。得られたイエロー着色剤粒子分散液〔Ye〕について、イエロー着色剤粒子の体積基準のメジアン径は、240nmであった。
(マゼンタ着色剤粒子分散液〔Ma〕の調製)
ドデシル硫酸ナトリウム 90質量部
C.I.ピグメントレッド269 200質量部
イオン交換水 1600質量部
上記の成分を混合した溶液をウルトラタラックスT50(IKA社製)にて十分に分散した後、超音波分散機で20分間処理することによりマゼンタ着色剤粒子分散液〔Ma〕を調製した。得られたマゼンタ着色剤粒子分散液〔Ma〕について、マゼンタ着色剤粒子の体積基準のメジアン径は、200nmであった。
(シアン着色剤粒子分散液〔Cy〕の調製)
ドデシル硫酸ナトリウム 90質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 200質量部
イオン交換水 1600質量部
上記の成分を混合した溶液をウルトラタラックスT50(IKA社製)にて十分に分散した後、超音波分散機で20分間処理することによりシアン着色剤粒子分散液〔Cy〕を調製した。得られたシアン着色剤粒子分散液〔Cy〕について、シアン着色剤粒子の体積基準のメジアン径は、180nmであった。
(ブラック着色剤粒子分散液〔Bk〕の調製)
ドデシル硫酸ナトリウム 90質量部
カーボンブラック「リーガル(登録商標)330R」(キャボット社製)200質量部
イオン交換水 1600質量部
上記の成分を混合した溶液をウルトラタラックスT50(IKA社製)にて十分に分散した後、超音波分散機で20分間処理することによりブラック着色剤粒子分散液〔Bk〕を調製した。得られたブラック着色剤粒子分散液〔Bk〕について、ブラック着色剤粒子の体積基準のメジアン径は110nmであった。
[樹脂粒子分散液の調製]
[スチレンアクリル樹脂粒子分散液〔分散液C1〕の調製]
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ラウリル硫酸ナトリウム5.0質量部およびイオン交換水2500質量部を入れ、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。次いで、過硫酸カリウム(KPS)15.0質量部をイオン交換水300質量部に溶解させた水溶液を添加し、再度液温80℃とした。その後、スチレン(St)840.0質量部、n-ブチルアクリレート(BA)288.0質量部、メタクリル酸(MAA)72.0質量部およびn-オクチルメルカプタン15質量部からなる単量体混合液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、体積基準のメジアン径が120nmであるスチレンアクリル樹脂〔c1〕粒子の〔分散液C1〕を調製した。スチレンアクリル樹脂〔c1〕のガラス転移温度(Tg)は52.0℃であり、重量平均分子量(Mw)は28,000であった。
[紫外線吸収剤分散液の調製]
(紫外線吸収剤粒子分散液1の調製)
ジクロロメタン80質量部と、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン(Uvinul(登録商標)3049;2,2’-ジヒドロキシ-4-4’-ジメトキシベンゾフェノン;BASF社製)20質量部とを50℃で加熱しながら混合撹拌し、上記ベンゾフェノンを含む液を得た。この液100質量部に、50℃に温めた蒸留水99.5質量部と、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5質量部との混合液を添加した。その後、シャフトジェネレーター18Fを備えるホモジナイザー(ハイドルフ社製)により16000rpmで20分間撹拌して乳化させ、ベンゾフェノン乳化液1を得た。得られたベンゾフェノン乳化液1をセパラブルフラスコへ投入し、窒素を気相中へ送気しながら40℃で90分間加熱撹拌して有機溶媒を除去し、その後、上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が20質量%となるように調整し、紫外線吸収剤粒子分散液1を得た。紫外線吸収剤粒子分散液1中の紫外線吸収剤粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS-800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、体積基準のメジアン径で155nmであった。
[赤外線吸収剤分散液の調製]
(赤外線吸収剤粒子分散液1の調製)
アニオン系界面活性剤:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム90gをイオン交換水1600mLに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、赤外線吸収剤としてジチオール系ニッケル錯体「SIR-130」(三井化学株式会社製)420gを徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス(登録商標)」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理したのち、固形分量が20質量%となるように調整し、赤外線吸収剤粒子が分散された赤外線吸収剤微粒子分散液1を調製した。この赤外線吸収剤粒子分散液1における赤外線吸収剤粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS-800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、体積基準のメジアン径で80nmであった。
(シアントナーCy1およびシアン現像剤Cy1の製造)
≪トナー母体粒子作製工程≫
撹拌装置、温度センサーおよび冷却管を取り付けた反応容器に、スチレンアクリル樹脂粒子分散液〔分散液C1〕1483.3質量部(固形分換算445.0質量部)、シアン着色剤粒子分散液〔Cy〕236.3質量部(固形分換算25.0質量部)、イオン交換水1500質量部を投入した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム45.0質量部をイオン交換水45.0質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6.0μmとなるように、撹拌速度を制御した。その後、塩化ナトリウム45.0質量部をイオン交換水180.0質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、80℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させた。
トナー粒子の平均円形度の測定装置(FPIA-2100;Sysmex社)を用いて(HPF検出数:4000個)平均円形度が0.957になった時点で5℃/分の冷却速度で30℃に冷却した。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄したのち、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー母体粒子〔Cy1〕を得た。
≪外添剤添加工程≫
得られたトナー母体粒子〔Cy1〕100質量部に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)0.6質量部および疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1.0質量部を添加し、「ヘンシェルミキサー(登録商標)」(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35m/sec、32℃で20分間混合した。その後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去することにより、シアントナー粒子〔Cy1〕からなるシアントナー〔Cy1〕を得た。
≪現像剤の作製工程≫
シアントナー〔Cy1〕に対して、シクロヘキシルメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合樹脂(モノマー質量比=1:1)を被覆した体積基準のメジアン径が32μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が6質量%となるようにして混合することにより、シアン現像剤〔Cy1〕を得た。
(シアントナーCy2およびシアン現像剤Cy2の製造)
[シアントナーCy1およびシアン現像剤Cy1の製造]において、スチレンアクリル樹脂粒子分散液〔分散液C1〕1483.3質量部(固形分換算445.0質量部)に変えて、スチレンアクリル樹脂粒子分散液〔分散液C1〕1450.0質量部(固形分換算435.0質量部)および紫外線吸収剤粒子分散液1 50.0質量部(固形分換算10.0質量部)を投入するよう変更した以外は、上記と同様にしてシアントナー〔Cy2〕およびシアン現像剤〔Cy2〕を製造した。
(イエロートナーYe1、マゼンタトナーMa1、ブラックトナーBk1、およびイエロー現像剤Ye1、マゼンタ現像剤Ma1、ブラック現像剤Bk1の製造)
[シアントナーCy1およびシアン現像剤Cy1の製造]において、シアン着色剤粒子分散液〔Cy〕を、イエロー着色剤粒子分散液〔Ye〕、マゼンタ着色剤粒子分散液〔Ma〕、およびブラック着色剤分散液〔Bk〕にそれぞれ変更した以外は同様にして、イエロートナー〔Ye1〕および現像剤〔Ye1〕、マゼンタトナー〔Ma1〕およびマゼンタ現像剤〔Ma1〕、ブラックトナー〔Bk1〕およびブラック現像剤〔Bk1〕をそれぞれ製造した。
(シアントナーCy3およびシアン現像剤Cy3の製造)
シアントナー〔Cy1〕とブラックトナー〔Bk1〕を10:1の質量比で混合し、シアントナー〔Cy3〕を得た。シアン現像剤〔Cy1〕の製造方法と同様にしてシアントナー〔Cy3〕を用いてシアン現像剤〔Cy3〕を製造した。
(透明トナーT1および透明現像剤T1の製造)
[シアントナーCy1およびシアン現像剤Cy1の製造]において、スチレンアクリル樹脂粒子分散液〔分散液C1〕1483.3質量部(固形分換算445.0質量部)および着色剤粒子分散液〔Cy〕236.3質量部(固形分換算25.0質量部)に変えて、スチレンアクリル樹脂粒子分散液〔分散液C1〕1533.3質量部(固形分換算460.0質量部)および赤外線吸収剤粒子分散液1 50.0質量部(固形分換算10.0質量部)を投入するよう変更した以外は、上記と同様にして透明トナー〔T1〕および透明現像剤〔T1〕を製造した。
(実施例1~実施例8および比較例1~2)
各実施例では、上記した図2に示す構成を備えた立体画像形成装置として、bizhub PRESS(登録商標) C1070(コニカミノルタ株式会社製)の定着装置を、図2の光照射部55を備えた構成に改造したものを用いた。上記で得られた現像剤を用い、常温常湿環境下(温度20℃、相対湿度50%RH)で、下記の[評価方法]に示す方法により、立体画像を形成し、評価を行った。
上記定着装置を、図2の光照射部55を備えた構成に改造した立体画像形成装置では、光照射部である光源に用いた発光ダイオード(LED)から、トナー像に対して光を照射した。なお、照射する光の最大発光波長、波長領域、および光量は表1に記載の通りである。
比較例1では、光照射しなかった以外は、実施例1と同様にして、立体画像を形成しようとしたが、表1に示すように立体画像は得られなかった。
比較例2では、照射する光の最大発光波長を長波長とした以外は、実施例1と同様にして、立体画像を形成した。得られた立体画像につき、以下の評価基準に従って判定した。得られた結果を表1に示す。
[評価方法]
(定着性試験)
記録媒体としてA4サイズの熱膨張性シート(図1に示す基材層、マイクロカプセル含有の発泡層およびコート層の3層構造の熱膨張性シート)にトナー付着量4g/mとなる条件で10mm×10mmサイズの静電潜像を現像した(現像工程)。その後、前記熱膨張性シートにトナー像を転写し(転写工程)、前記トナー像が形成された媒体面に対して表1に記載の条件にて光を照射し(光照射工程)、立体画像を形成した。なお、トナーの合計付着量が4g/mとなるように調整し、各色トナーの質量比は表1に記載の通りである。
立体画像における定着強度は、テープ剥離試験により評価した。立体画像にテープ(3M社製 スコッチ(登録商標)メンディングテープ)を貼り付けた後、テープを剥離した。テープ剥離前後の立体画像の変化について下記3水準で評価した。評価が○以上(○、◎)を合格と判断した。
-定着性の評価基準-
◎:立体画像の濃度変化が識別できない
○:立体画像の濃度変化がやや感じられるが、実用上問題ない
×:立体画像の濃度変化が大きく認識される、または、立体画像が剥がれペーパーが露出している。
(色再現性試験)
定着性試験で使用したものと同じA4サイズの熱膨張性シートにトナー付着量4g/mとなる条件で10mm×10mmサイズの静電潜像を現像し(現像工程)、前記熱膨張性シートにトナー像を転写し(転写工程)、前記トナー像が形成された媒体面に対して表1に記載の条件にて光を照射し(光照射工程)、立体画像を形成した。なお、トナーの合計付着量が4g/mとなるように調整し、各色トナーの質量比は表1に記載の通りである。
また、比較サンプルとして、bizhub PRESS(登録商標) C1070(コニカミノルタ株式会社製)にて普通紙(坪量:64g/m)上にトナー付着量4g/mとなる条件で100mm×100mmサイズで定着した画像を出力した。
立体画像サンプルと比較サンプルを見比べて、下記3水準で評価した。評価が○以上(○、◎)を合格と判断した。
-色再現性の評価基準-
◎:立体画像サンプルと比較サンプルを見比べても、両サンプル間で色味(色相、明度、彩度の違いを含む。以下同様)の違いを識別できない
○:立体画像サンプルと比較サンプルを見比べると、両サンプル間で色味の違いがやや感じられる(立体画像サンプルでは、色がほんの少しだけ濁るイメージで認識される)が、実用上問題ない
×:立体画像サンプルと比較サンプルを見比べると、両サンプル間で色味の違いが大きく認識される(立体画像サンプルでは、色が濁るイメージで認識される)。
(エッジ試験)
定着性試験で使用したものと同じA4サイズの熱膨張性シートにトナー付着量4g/mとなる条件で10mm×10mmサイズの静電潜像を現像し(現像工程)、前記熱膨張性シートにトナー像を転写し(転写工程)、前記トナー像が形成された媒体面に対して表1に記載の条件にて光を照射し(光照射工程)、立体画像を形成した。なお、トナーの合計付着量が4g/mとなるように調整し、各色トナーの質量比は表1に記載の通りである。立体画像のエッジ部のシャープな立体感を下記3水準で評価した。評価が○以上(○、◎)を合格と判断した。
-エッジの評価基準-
◎:エッジ部の膨らみがシャープで優れた立体感を有する
○:エッジ部の膨らみがやや広がっているが、シャープな立体感を表現されており実用上問題ない
×:エッジ部の膨らみがゆるやかであり、シャープな立体感を感じられない。
(実施例9)
実施例9では、上記した図2に示す構成を備えた立体画像形成装置として、bizhub PRESS(登録商標) C1070(コニカミノルタ株式会社製)の定着装置を、図2の光照射部55を備えた構成に改造したものを用いた。上記で得られた現像剤を用い、常温常湿環境下(温度20℃、相対湿度50%RH)で、本発明の立体画像形成方法に従って立体画像を形成した。
実施例9で用いた立体画像形成装置は、光源に用いた発光ダイオード(LED)から、トナー像に対して光を照射するように構成された装置であり、立体画像情報に応じて、位置毎の光照射量を制御できるようにした。
定着性試験で使用したものと同じA4サイズの熱膨張性シート(カプセルペーパー)の図6に示す位置にトナー付着量4g/mとなる条件で10mm×10mmサイズのトナー像A、トナー像B、トナー像Cが形成し得るように静電潜像を現像した(現像工程)。前記熱膨張性シートにトナー像A、トナー像B、トナー像Cを転写し(転写工程)、予め前記トナー像Aが隆起高さ1段目、トナー像Bが隆起高さ2段目、トナー像Cが隆起高さ3段目となるように光照射工程での光照射量を設定した。なお、図6は、実施例9のA4サイズの熱膨張性シート上のトナー像A、トナー像B、トナー像Cの形成位置を示す図面である。
光照射工程においては、トナー像Aには光照射量5J/cm、トナー像Bには光照射量15J/cm、トナー像Cには光照射量25J/cmの光が照射された。それぞれの位置の隆起高さをカラー3Dレーザー顕微鏡VK-9700(株式会社キーエンス製)を用いて、非画像部から隆起部の頂点までの高さを測定したところ、トナー像Aの隆起高さが300μm、トナー像Bの隆起高さが600μm、トナー像Cの隆起高さが900μmであった。
実施例9で得られた立体画像についても、上記した定着性試験、色再現性試験、エッジ試験の評価基準に従って、定着性、色再現性およびエッジについて評価した。得られた結果を表1に示す。色再現性試験の比較サンプルは、実施例1の比較サンプルを使用した。
(比較例3)
比較例3では、上記した図2に示す構成を備えた立体画像形成装置として、bizhub PRESS(登録商標) C1070(コニカミノルタ株式会社製)の定着装置を、図2の光照射部55を備えた構成に改造したものを用いた。上記で得られた現像剤Cy4を用い、常温常湿環境下(温度20℃、相対湿度50%RH)で、上記した評価方法の定着性試験、色再現性試験、エッジ試験を行って立体画像を形成し、評価した。
光源としてハロゲンランプを用いて、トナー像に対して光を照射した。なお、照射する光の最大発光波長、波長領域、および光量は表1に記載の通りである。得られた結果を表1に示す。色再現性試験の比較サンプルは、実施例1の比較サンプルを使用した。
(比較例4)
比較例4では、上記した図2に示す構成を備えた立体画像形成装置として、bizhub PRESS(登録商標) C1070(コニカミノルタ株式会社製)の定着装置を、図2の光照射部55を備えた構成に改造したものを用いた。上記で得られた現像剤Cy1を用い、常温常湿環境下(温度20℃、相対湿度50%RH)で、上記した評価方法の定着性試験、色再現性試験、エッジ試験を行って立体画像を形成し、評価した。
なお、透明トナーT1を含む透明現像剤T1は、立体画像形成装置のブラック現像剤の位置に投入し、画像上で透明トナーが下層に、シアントナーが上層になるよう設定した。
光源として発光ダイオード(LED)を用いて、トナー像に対して光を照射した。なお、照射する光の最大発光波長、波長領域、および光量は表1に記載の通りである。
即ち、比較例4では、照射する光の最大発光波長を長波長とした以外は、実施例1と同様にして、上記した評価方法の定着性試験、色再現性試験、エッジ試験を行って立体画像を形成し、評価した。得られた結果を表1に示す。色再現性試験の比較サンプルは、実施例1の比較サンプルを使用した。
比較例2、4では、シアントナーCy1を用いているが、シアントナーCy1のシアン着色剤は、最大発光波長1050nmの吸光度が0.01未満であり、表1の照射する波長域内の光を吸収する化合物には該当しない。そのため、表1の「照射する波長域内の光を吸収する化合物」が「シアン」中に「含有しない」ことを表すため、「-」としている。
一方、シアントナーCy1のシアン着色剤は、最大発光波長365nm(実施例1、6~9)、385nm(実施例2)、405nm(実施例3)、480nm(実施例4)、780nm(実施例5)の吸光度がいずれも0.01以上であり、表1の照射する波長域内の光を吸収する化合物には該当する。そのため、表1の「照射する波長域内の光を吸収する化合物」の「シアン」の欄には、いずれも「着色剤」と記している。
なお、実際例6では、シアントナーCy1には、紫外線吸収剤も含まれており、この紫外線吸収剤は、最大発光波長365nmの吸光度が0.01以上であり、表1の照射する波長域内の光を吸収する化合物には該当する。そのため、表1の「照射する波長域内の光を吸収する化合物」の「シアン」の欄には、「着色剤」と共に「紫外線吸収剤」も記している。
なお、化合物Aの定義において、「最大発光波長の吸光度が0.01以上」としている。これは、照射する波長領域の最大発光波長の吸光度により、上記化合物Aとなるか否か判断するものである。
同様に、比較例3のシアントナーCy4は、シアントナーCy1とブラックトナーBk1の混合物であり、シアントナーCy1のシアン着色剤とブラックトナーBk1のブラック着色剤が含まれている。このうち、シアン着色剤は、最大発光波長1000nmの吸光度が0.01未満であり、ブラック着色剤は、最大発光波長1000nmの吸光度が0.01以上である。そのため、表1の「照射する波長域内の光を吸収する化合物」の「シアン」の欄には「ブラック着色剤」と記載している。
同様に、比較例4のクリアトナーT1は、着色剤は含まれず、赤外線吸収剤が含まれている。赤外線吸収剤は、最大発光波長1050nmの吸光度が0.01以上である。そのため、表1の「照射する波長域内の光を吸収する化合物」の「その他」の欄には「赤外線吸収剤」と記載している。なお、表1には示していないが、比較例4で用いた赤外線吸収剤は、最大発光波長780nm以下の波長領域での吸光度がいずれも0.01未満となる。そのため、カラートナー(イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー等)に赤外線吸収剤を適用しても、最大発光波長280nm以上780nm以下の波長領域では化合物Aとして機能し得ないものと言える。
表1の結果より、実施例1~9では、本発明の立体画像形成装置および立体画像形成方法を用いることで、定着性および色再現性に優れ、かつシャープなエッジを有する立体画像を形成することができることが確認できた。
一方、比較例1~4では、本発明の立体画像形成装置および立体画像形成方法を用いた構成とはなっていない為、いずれも、定着性および色再現性に優れ、かつシャープなエッジを有する立体画像は形成できないことが確認できた。
11、90a、90b、S 熱膨張性を有する記録媒体(熱膨張性シート)、
11’ トナー画像が付着したシート部分、 12、91 基材層、
13、92 発泡層、 13’ 膨張した発泡層、 14、95 コート層、
14’ 膨張した発泡層上のコート層、 15 トナー像、
16 280nm以上780nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光、
18 制御部、 19 記憶部、 20 画像読み取り部、
21 給紙装置、 22 スキャナー、 23 CCDセンサー、
24 画像処理部、 30 画像形成部、 31 画像形成ユニット、
32 感光体ドラム、 33 帯電装置、 34 露光装置、
35 現像部、 36 クリーニング装置、 40 中間転写部、
41 一次転写ユニット、 42 二次転写ユニット、 43 中間転写ベルト、
44 一次転写ローラ、 45 バックアップローラ、46 第1支持ローラ、
47 クリーニング装置、 48 二次転写ベルト、 49 二次転写ローラ、
50a、50b 第2支持ローラ、 55 光照射部(光源)、
60 定着部、 61 定着ベルト、 62 加熱ローラ、
63 第1加圧ローラ、 64 第2加圧ローラ、 80 記録媒体搬送部、
81 給紙トレイユニット、82 レジストローラ対、 93 マイクロカプセル、
94 被覆部、 100 立体画像形成装置、 D 原稿。

Claims (9)

  1. 熱膨張性を有する記録媒体上にカラー立体画像を形成する立体画像形成方法であって、
    少なくとも、
    静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程と、
    前記記録媒体にトナー像を転写する転写工程と、
    前記トナー像が形成された媒体面に対して、トナーが含有する化合物が吸収可能な280nm以上365nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射する光照射工程と、
    を含み、
    前記化合物は、溶媒に対して0.01質量%の濃度で溶解させ、分光光度計で吸光度を測定した場合に、照射する280nm以上365nm以下の波長域内における最大発光波長の吸光度が0.01以上である、立体画像形成方法。
  2. 前記トナーが、イエロートナー、マゼンタトナー、およびシアントナーの少なくとも1種である請求項に記載の立体画像形成方法。
  3. 前記光照射工程は、発光ダイオードまたはレーザー光源によって光を照射することを含む、請求項1または2に記載の立体画像形成方法。
  4. 前記光照射工程は、印刷画像データに基づく前記トナー像の位置情報に基づいて、光の照射位置を設定することを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の立体画像形成方法。
  5. 前記光照射工程は、ユーザーにより指定された前記トナー像の立体画像情報に基づいて、光の照射量を設定することを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の立体画像形成方法。
  6. 前記トナーは、前記化合物として着色剤を含有する請求項1~のいずれか1項に記載の立体画像形成方法。
  7. 前記トナーは、前記化合物として紫外線吸収剤を含有する請求項1~のいずれか1項に記載の立体画像形成方法。
  8. 熱膨張性を有する記録媒体上にカラー立体画像を形成する立体画像形成装置であって、
    少なくとも、
    静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部と、
    前記記録媒体にトナー像を転写する転写部と、
    前記トナー像が形成された媒体面に対して、トナーが含有する化合物が吸収可能な280nm以上365nm以下の波長領域内に最大発光波長を有する光を照射する光照射部と、
    を含み、
    前記化合物は、溶媒に対して0.01質量%の濃度で溶解させ、分光光度計で吸光度を測定した場合に、照射する280nm以上365nm以下の波長域内における最大発光波長の吸光度が0.01以上である、立体画像形成装置。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の立体画像形成方法に用いられる立体画像形成装置。
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