JP2009151004A - 静電荷像現像用黒トナー、静電荷像現像用現像剤、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

静電荷像現像用黒トナー、静電荷像現像用現像剤、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐光性を有し、印字濃度が高く、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において、細線再現性が良く、画像の滲み及び用紙こげが抑制され、かつ、光定着性及び熱定着性を併せ持つ黒トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】結着樹脂と、ゲーサイトと、ヘマタイトと、を含有することを特徴とする静電荷像現像用黒トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用黒トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
電子写真法としては光導電性体(感光体ドラムなど)上に静電荷を与え、様々な手段により該光導電性体上に光像を照射することによって静電潜像を形成し、次いで、該潜像をトナーと呼ばれる微粉末を用いて現像可視化し、紙等の記録媒体上にトナー粉像を転写した後に定着させて、印刷物を得る方法が一般的である。
この定着工程で、記録媒体上に転写されたトナーは、加圧、加熱、溶剤蒸気、光等により溶融されて、記録媒体上に固着される。ここで、トナー像に強力な光を照射しトナーを溶融させる光定着方式は下記(1)から(3)項に示すような理由により注目を集めている。
(1)非接触定着であるため、定着過程で画像の滲み、チリなどが発生せず、解像度を劣化させない。
(2)加熱を必要としないため装置電源投入後の待ち時間がなく、クイックスタートが可能である。
(3)のり付き紙、プレプリント紙、厚さの異なる紙等、記録紙の材質や厚さに関係なく定着が可能である。
現在、光定着方式において最も一般的な方法は光源にキセノンフラッシュランプを使用する光定着法である。
このような光定着方式に用いるためのトナーとして、例えば、赤外線吸収剤等を用いたトナーが提案されている。
具体的には、特許文献1に、有彩色顔料と、カーボンブラックと、結着剤樹脂とから少なくともなる近赤外線フラッシュ定着用静電荷像現像用カラートナーにおいて、カーボンブラックの使用量が、カーボンブラックと有彩色顔料との合計を100重量部とした時、5〜40重量部としたことを特徴とする近赤外線フラッシュ定着用静電荷像現像用カラートナーが開示されている。
また特許文献2には、バインダ樹脂及び着色剤を含有する光定着カラートナーにおいて、さらにゲーサイトを内添したことを特徴とする光定着カラートナーが開示されている。
さらに特許文献3には、少なくともα型ヘマタイトと、バインダ樹脂と、赤外線吸収剤とを含有することを特徴とする光定着カラートナーが開示されている。
一方、カーボンブラック以外の着色剤を用いた黒トナーについても開示されている。
具体的には、特許文献4には、黒色顔料と、有機赤外線吸収剤と、結着剤樹脂とからなる近赤外線フラッシュ定着用静電荷像現像用黒色トナーにおいて、黒色顔料として、有彩色有機顔料の2種以上を黒色に調色して得られる混合黒色顔料を用いることを特徴とする近赤外線フラッシュ定着用静電荷像現像用黒色トナーが開示されている。
また、特許文献5には、青色着色剤、赤色着色剤及び黄色着色剤を含有してなる静電荷像現像用黒色トナーにおいて、青色着色剤としてフタロシアニン顔料を、赤色着色剤としてキナクリドン系顔料を、黄色着色剤としてアゾ系顔料を用い、前記赤色着色剤100重量部に対して前記黄色着色剤及び前記青色着色剤をそれぞれ20〜70重量部、前記黄色着色剤と前記青色着色剤の重量混合比を0.75〜1.00、かつ前記着色剤の総添加量を樹脂100重量部に対して5〜15重量部で混合してなり、かつ前記トナーの誘電損率が50以下であることを特徴とする静電荷像現像用黒色トナーが開示されている。
さらに特許文献6には、赤外線により加熱溶融する結着樹脂を有する電子写真用黒トナーにおいて、赤外線透過性黒色顔料を含有することを特徴とする電子写真用黒トナーが開示されている。
また特許文献7には、少なくとも結着樹脂と着色剤として黒色金属酸化物を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、着色剤として使用する黒色金属酸化物の個数平均粒径及びV T d の値が所定の条件を満足することを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。
特開平09−179347号公報 特開2006−79020号公報 特開2006−243403号公報 特開平09−329912号公報 特開2002−182431号公報 特開2003−316081号公報 特開2004−279599号公報
近年、光定着においては、システムのフルカラー化が進んでおり、カラートナーと黒トナーを用いるフラッシュ定着フルカラーシステムが登場している。
フラッシュ定着フルカラーシステムなどの光定着フルカラーシステムでは、カラートナーに赤外線吸収剤を添加しても黒トナーに比べて定着性が低いことが多いため、そのような場合には、定着のための光エネルギーをカラートナーの定着性に合わせる必要がある。
また光定着フルカラーシステムでは、色重ねをするため、モノクロシステムに比べ、記録媒体上のトナー付着量が多い。
よってそのような光定着フルカラーシステムでは、モノクロシステムに比べて、定着のための光エネルギーを強く設定する必要がある。
したがって、特に、光定着フルカラーシステムにおいて用いる黒トナーは、定着のための光エネルギーを強く設定しても、昇温しにくいことが求められる。
また状況に応じて、光定着システムの利便性と熱ロール定着システムの簡便さの両方を使い分ける場合もあることから、フラッシュ定着性(光定着性)と熱ロール定着性を併せ持つ(バイフュージング技術)トナーが要求されている。
本発明の目的は、耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において画像の滲み及び用紙こげが抑制される黒トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することである。
上記課題は、以下の本発明により達成される。
すなわち請求項1に係る発明は、
結着樹脂と、ゲーサイトと、ヘマタイトと、を含有することを特徴とする静電荷像現像用黒トナーである。
請求項2に係る発明は、
光定着用トナーであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用黒トナーである。
請求項3に係る発明は、
さらに金属フタロシアニンを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用黒トナーである。
請求項4に係る発明は、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の静電荷像現像用黒トナーを少なくとも含む静電荷像現像用現像剤である。
請求項5に係る発明は、
現像剤保持体を備え、請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤を収めることを特徴とするプロセスカートリッジである。
請求項6に係る発明は、
トナーを含む現像剤を用い、記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を加熱・加圧または光により記録媒体に定着させる定着手段と、を有し、
前記現像剤が、請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする画像形成装置である。
請求項7に係る発明は、
プロセス速度が1000mm/sec以上であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において画像の滲み及び用紙こげが抑制される黒トナーを提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、画像の滲み及び用紙こげが抑制される黒トナーを提供することができる。
請求項3に係る発明によれば、より印字濃度の高い黒トナーを提供することができる。
請求項4に係る発明によれば、形成されたトナー像が耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において画像の滲み及び用紙こげが抑制される現像剤を提供することができる。
請求項5に係る発明によれば、形成されたトナー像が耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において画像の滲み及び用紙こげが抑制されるプロセスカートリッジを提供することができる。
請求項6に係る発明によれば、形成されたトナー像が耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において画像の滲み及び用紙こげが抑制される画像形成装置を提供することができる。
請求項7に係る発明によれば、高速な画像形成においても、形成されたトナー像が耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において画像の滲み及び用紙こげが抑制される画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
<静電荷像現像用黒トナー>
本実施形態の静電荷像現像用黒トナー(以下、単に「黒トナー」と略す場合がある)は、結着樹脂と、ゲーサイトと、ヘマタイトと、を含有することを特徴とする。
黒トナーが上記構成であることにより、耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において画像の滲み及び用紙こげが抑制される。
その理由は定かではないが、以下のように推測される。
上記の通り、光定着フルカラーシステムでは、モノクロシステムに比べて、定着のための光エネルギーを強く設定する場合がある。しかし、このようなシステムにおいて、紫外領域から赤外領域までの広範囲の光を充分に吸収する黒トナー(例えばカーボンブラック等を用いた黒トナー)を用いると、定着時における過剰な光吸収のために高温になり、用紙こげが発生する場合がある。
一方、カーボンブラック等を用いない黒トナーとしては、例えば、有彩色有機顔料を2種以上用いることにより黒色となったトナーが考えられる。しかし、有機顔料は一般的に耐熱性の低いものが多いため、光定着時において瞬間的に200℃を超えると、有機顔料の昇華による画像の滲みが発生する場合がある。
本実施形態の黒トナーは上記構成であるため、ゲーサイトの色とヘマタイトの色とが組み合わさることによって、トナーの色が黒色となり、十分な印字濃度が得られる。
またゲーサイト及びヘマタイトは、カーボンブラック等に比べて赤外領域の吸光係数が低いため、本実施形態の黒トナーは、黒色でありながら光定着において昇温しにくく、上記のような用紙こげが抑制されると推測される。
その上、ゲーサイト及びヘマタイトは無機顔料であり、有機顔料に比べて耐光性および耐熱性がある。そのため、本実施形態の黒トナーを用いることにより、ゲーサイト及びヘマタイトの耐熱性により、上記のような顔料の昇華による画像の滲みも抑制されると推測される。
さらに、本実施形態の黒トナーは、光定着システムを用いた画像形成において、細線再現性が良好である。その理由は定かではないが、本実施形態の黒トナーは、上記の通り光定着において昇温しにくく、かつ耐熱性があるため、光定着時の過剰な熱による画像の広がりを抑制し、細線再現性が良好になると推測される。
また、特に本実施形態の黒トナーの結着樹脂として軟化温度の異なる2種のポリエステル樹脂を含むことが望ましい。具体的には、軟化温度Tspが120℃以上170℃未満で1質量部乃至25質量部のクロロホルム不溶分を含有する非線状の第1ポリエステル樹脂と、Tspが80℃以上110℃未満の線状の第2ポリエステル樹脂とを、非線状:線状=50:50乃至5:95の質量比で混合したポリエステル樹脂を含むことがより望ましい。また、ポリエチレンワックスを添加することが好ましい。このようなポリエステル樹脂を用いポリエチレンワックスを添加することにより、熱ロール定着時における耐オフセット性を実現し、光定着性と熱ロール定着性とを併せ持つため、光定着システムのみでなく熱ロール定着システムにおいても適用される。
以下、各組成成分について説明する。
(ゲーサイト及びヘマタイト)
本実施形態の黒トナーには、ゲーサイト及びヘマタイトが顔料として内添されていることが特徴である。
図1は、可視領域から赤外領域までにおける、ゲーサイト及びヘマタイトの吸収スペクトルを示すグラフである。また図1に、キセノンフラッシュランプの発光スペクトルを併せて示す。
図1からわかるように、ゲーサイト及びヘマタイトは、キセノンフラッシュランプの発光強度が強い800から1000nmにおける近赤外線領域の光を吸収するため、キセノンフラッシュランプを用いた光定着において赤外線吸収剤として働く。しかし、カーボンブラックやマグネタイトのような黒色無機顔料に比べると、近赤外線領域の吸光係数が低いため、光定着時における過剰な昇温はしにくいと考えられる。
ここで、上記吸収スペクトルの測定は、以下のようにして行った。
(1)材料10gを石英セル(光路長さ×光路幅×高さ=350×20×400mm)に充填する。
(2)次に、この石英セルを分光光度計にセットし、スリット幅:4mm、測定波長域:300から2000nm、スキャンスピード:300nm/minの測定条件にて反射で測定し、この際の波長に対する光吸収強度を求めた。
(3)ここでは、分光光度計として日立製、U−4100を用いた。
ゲーサイトは種々の結晶形が存在するが、その中でもα-FeOOHが好ましい。
ゲーサイトの添加量としては、トナー100質量部に対し、1質量部以上15質量部以下が望ましく、3質量部以上10質量部以下がより望ましい。
ヘマタイトの添加量としては、トナー100質量部に対し、1質量部以上15質量部以下が望ましく、3質量部以上10質量部以下がより望ましい。
ゲーサイト及びヘマタイトの合計添加量としては、トナー100重量部に対し、2質量部以上30質量部以下が望ましく、6質量部以上20質量部以下がより望ましい。
ゲーサイト及びヘマタイトの添加量が上記範囲であることにより、十分な印字濃度が得られ、定着性も良好となる。ゲーサイト及びヘマタイトの添加量が上記範囲よりも小さいと、印字濃度が不十分になる場合があり、また光定着性が低下する場合がある。ゲーサイト及びヘマタイトの添加量が上記範囲よりも大きいと、ゲーサイト及びヘマタイトが無機物であるためトナーの溶融が不十分となり、光定着性及び熱ロール定着性が低下する場合がある。
またゲーサイトの添加量は、ヘマタイトの添加量の1倍以上1.4倍以下が望ましい。ゲーサイトの添加量とヘマタイトの添加量との比が上記範囲であることにより、黒色としての色彩が良好となり、印字濃度が高くなる。
(その他の赤外線吸収剤)
上記の通り、ゲーサイト及びヘマタイトは、光定着において赤外線吸収剤として働くものであるが、その他の赤外線吸収剤を併用してもかまわない。ただし過剰な昇温を避けるため、その他の赤外線吸収剤の添加量を低く抑えることが望ましい。具体的には、その他の赤外線吸収剤の添加量としては、例えば、トナー100質量部に対し、0質量部以上2質量部以下が望ましい。
その他の赤外線吸収剤としては、具体的には、公知の赤外線吸収剤が挙げられ、例えば、シアニン化合物、メロシアニン化合物、ベンゼンチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、芳香族ジアミン系金属錯体、ジイモニウム化合物、アミニウム化合物、ニッケル錯体化合物、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフタロシアニン系化合物等が挙げられる。
(金属フタロシアニン)
本実施形態の黒トナーは、その他の着色剤として、金属フタロシアニンを含むことが望ましい。
黒トナーがさらに金属フタロシアニンを含むことにより、黒色としての色彩がよりよくなり、印字濃度がより高くなる。
その上、金属フタロシアニンは耐熱性を有するため、光定着時における昇華に伴う画像の滲みも抑制されると考えられる。具体的には、例えば、銅フタロシアニンの分解温度は500℃であり、他の有色有機顔料に比べ、熱に対して非常に安定であるため、光定着の際にも分解されず、画像の滲みが抑制されると考えられる。
金属フタロシアニンの配位金属としては、具体的には、銅、アルミニウムが望ましく、銅がより望ましい。
金属フタロシアニンの添加量としては、トナー全体に対し、1質量%以上10質量%以下が望ましい。金属フタロシアニンの添加量が上記範囲であることにより、印字濃度が向上し、定着性も良好となる。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、具体的には、例えば、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、シクロポリオレフィン樹脂等が挙げられ、単独又は混合して用いてもよい。その中でも、耐久性や透光性等の点から、ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂についてさらに説明すると、かかるポリエステル樹脂において用いられる酸成分は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、又はこれらの無水物等を包含し、好適にはテレフタル酸/イソフタル酸である。これらの酸成分は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。なお、フラッシュ定着の臭いが問題にならない範囲で、他の酸成分を上記酸成分に組み合わせて使用できる。他の酸成分として、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸等が挙げられ、更には、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキルまたはアルケニルコハク酸、またはこれらの酸の無水物、低級アルキルエステル、その他の二価のカルボン酸も挙げられる。また、ポリエステル樹脂に架橋を施すためには、三価以上のカルボン酸成分も他の酸成分として混合使用可能である。三価以上のカルボン酸成分としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、その他のポリカルボン酸、及びこれらの無水物を挙げることができる。
またポリエステル樹脂は、通常、アルコール成分中の80モル%以上がビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物からなるものであり、望ましくは90モル%以上、さらに好適には95モル%以上である。ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物の量が80モル%未満であると、相対的に臭いの発生原因となるモノマー使用量が多くなるため、好ましくない。
ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
また必要に応じて、他のアルコール成分を上記のアルコール成分に組み合わせて使用してもよい。他のアルコール成分として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等、その他の二価のアルコールを挙げることができる。
また、他のアルコール成分として、三価以上のアルコールも好適である。かかるアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、その他の三価以上のアルコールを挙げることができる。
さらに、かかるポリエステル樹脂を合成する反応の際には、その反応を促進せしめるため、通常使用されているエステル化触媒、例えば酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート等を有利に使用することができる。
なお、以上述べたトナーに使用される結着樹脂のTg(ガラス転移温度)は、好適には50℃以上70℃以下の範囲である。
(離型剤)
本実施形態の黒トナーは、さらに離型剤を含んでもよい。離型剤を用いることによって、さらに定着性が向上する。
離型剤としては、具体的には、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの共重合物、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、さらに長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N′ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物;などが挙げられる。
上記離型剤は、1種類単独で、又は2種類以上併用して用いられる。離型剤としては、上記の中でも、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が最も好ましい。
離型剤の添加量は、トナー全体に対し、0.1質量%以上10質量%以下が望ましく、1質量%以上4質量%以下がより望ましい。
また離型剤としては、50℃から90℃の領域にDSC測定による吸熱ピークを示す材料が好ましい。吸熱ピークが50℃より低いと、トナーがブロッキングする場合があり、吸熱ピークが90℃より高いと、離型剤が定着に寄与しない場合がある。
ここで上記DSC測定は示差走査熱量計を用いて行い、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。
(その他の内添剤)
本実施形態の黒トナーは、その他の内添剤をさらに含んでもよい。その他の内添剤としては、例えば帯電制御剤、磁性材料等が挙げられる。
帯電制御剤としては、具体的には、例えば、公知のカリックスアレン、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、アミノ基含有のポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸の錯化合物、フェノール化合物、アゾクロム系、アゾ亜鉛系などが挙げられる。
磁性材料としては、具体的には、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト等が挙げられ、その他公知の白色の磁性粉(例えば日鉄鉱業社製)等も用いられる。
(外添剤)
本実施形態の黒トナーは、外添剤をさらに含んでもよい。外添剤としては、通常、トナーの外添剤として用いられている公知の材料であれば特に制限なく利用でき、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛などの無機粒子や、ポリスチレン、PMMA、メラミン樹脂等の樹脂粒子などが挙げられる。
(黒トナーの製造方法)
次に、本実施形態における黒トナーの製造方法について説明する。
本実施形態の黒トナーは、粉砕法や重合法等の公知のトナー製造方法と同様の方法で作製することが可能である。
粉砕法を利用する場合には、例えば以下のようにして、本実施形態の黒トナーを作製することができる。まず、上述のゲーサイト、ヘマタイト、及び結着樹脂に、必要に応じて金属フタロシアニン、離型剤、帯電制御剤、磁性材料などの成分を混合した後、ニーダー、押し出し機などを用いて上記材料を溶融混練する。この後、得られた溶融混錬物を粗粉砕した後、ジェットミル等で微粉砕し、風力分級機により、目的とする粒径のトナー粒子を得る。さらに、必要に応じてこのトナー粒子に外添剤を添加して、本実施形態の黒トナーを得ることができる。
また、重合法としては、懸濁重合法及び乳化重合法が挙げられる。
懸濁重合法を利用する場合には、例えば以下のようにして、本実施形態の黒トナーを作製することができる。まず、上述のゲーサイト及びヘマタイトに、スチレン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのモノマー、ジビニルベンゼンなどの架橋剤、ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤、重合開始剤に加えて、必要に応じて着色剤(金属フタロシアニン)、帯電制御剤、離型剤などをさらに混合してモノマー組成物を作製する。
その後、リン酸三カルシウム、ポリビニルアルコール等の懸濁安定剤、界面活性剤が入った水相中に、前記モノマー組成物を投入し、ローターステータ式乳化機、高圧式乳化機、超音波式乳化機などを用いてエマルションを作製した後、加熱によりモノマーの重合を行い、粒子を得る。
重合終了後、得られた粒子の洗浄、乾燥を行い、必要に応じて外添剤を添加して本実施形態の黒トナーを得ることができる。
また、乳化重合法を利用する場合には、例えば以下のようにして、本実施形態の黒トナーを作製することができる。まず、過硫酸カリウムなどの水溶性重合開始剤を溶解させた水中に、スチレン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのモノマーを加え、さらに必要に応じてドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加し、攪拌を行いながら加熱することにより重合を行い、樹脂粒子を得る。
その後、上述のゲーサイト及びヘマタイトに加えて、さらに必要に応じて金属フタロシアニン着色剤、帯電制御剤、離型剤などの粉末を、樹脂粒子が分散したサスペンション中に添加し、サスペンションのpH、攪拌強度、温度などを調整することにより樹脂粒子と、ゲーサイトやヘマタイト粉末などと、をヘテロ凝集させてヘテロ凝集体を得る。さらに、反応系を樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱して、ヘテロ凝集体を融着させトナー粒子を得る。
その後、このトナー粒子の洗浄、乾燥を行い、必要に応じて外添剤を添加することにより、本実施形態の黒トナーを得ることができる。
上記トナー粒子の体積平均粒径は、3μm以上15μm以下の範囲であることが望ましく、5μm以上15μm以下の範囲であることがより望ましく、5μm以上10μm以下の範囲であることがさらに望ましい。
トナー粒子の体積平均粒径が上記範囲であることにより、画像解像度が向上し、流動性の低下に伴うカブリやクリーニング不良が抑制される。
また、トナー粒子の個数平均粒径(D50p)に対する体積平均粒径(D50v)の比(D50v/D50p)は、1.0以上1.25以下の範囲であることが好ましい。このように小粒径で粒径の揃ったトナーを使用することにより、トナーの帯電性能のバラツキが抑制されて、形成される画像におけるカブリが低減されると共に、トナーの定着性を向上させることができる。また、形成される画像における細線再現性やドット再現性も向上させることができる。
また、トナー粒子の平均円形度は、0.955以上とすることが好ましく、0.960以上とすることがより好ましい。また、円形度の標準偏差を0.040以下とすることが好ましく、0.038以下にすることがより好ましい。このようにすることで、記録媒体上にトナーを密な状態で重ね合わせることができるので、記録媒体上のトナーの層厚が薄くなり、定着性を向上させることができる。また、このようにトナーの形状を揃えることにより、形成される画像におけるカブリ、細線再現性及びドット再現性も向上する。
なお、上記トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像解析装置(シメックス社製、FPIA2000)を用い、水分散系でトナー粒子の投影像の周囲長(周囲長)と、トナー粒子の投影面積に等しい円の円周長(円相当周囲長)とを求め、(円相当周囲長/周囲長)により計算される。
<静電荷像現像用現像剤>
本実施形態の静電荷像現像用現像剤(以下、単に「現像剤」と略す場合がある)は、上記本実施形態の黒トナーを含むことを特徴とする。
すなわち、本実施形態の現像剤は、本実施形態の黒トナーからなる一成分現像剤であってもよく、あるいは、キャリアと本実施形態の黒トナーとからなる二成分現像剤であってもよい。
本実施形態の現像剤が上記構成であることにより、形成されたトナー像が耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において画像の滲み及び用紙こげが抑制される。また本実施形態の現像剤は、本実施形態の黒トナーを含むため、上記の通り、光定着システムを用いた画像形成において、細線再現性が良好である。
以下、本実施形態の現像剤が二成分現像剤である場合について詳細に説明する。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば芯材表面に樹脂被覆層(被覆樹脂)を有する樹脂コートキャリアを挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
キャリアの被覆樹脂に用いる導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法を用いた画像形成装置に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10から500μmであり、好ましくは30から100μmである。
またキャリアの芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
二成分現像剤における本実施形態の黒トナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100から30:100程度の範囲であり、3:100から20:100程度の範囲がより好ましい。
<プロセスカートリッジ、画像形成装置>
本実施形態のプロセスカートリッジは、現像剤保持体を備え、本実施形態の現像剤を収めることを特徴とする。
本実施形態のプロセスカートリッジが上記構成であることにより、形成されたトナー像が耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において画像の滲み及び用紙こげが抑制される。また本実施形態のプロセスカートリッジに収められた本実施形態の現像剤は、本実施形態の黒トナーを含むため、上記の通り、光定着システムを用いた画像形成において、細線再現性が良好である。
本実施形態の画像形成装置は、トナーを含む現像剤を用い、記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、記録媒体上に形成されたトナー像を加熱・加圧または光により記録媒体に定着させる定着手段と、を有し、現像剤が本実施形態の現像剤であることを特徴とする。
本実施形態の画像形成装置が上記構成であることにより、形成されたトナー像が耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において画像の滲み及び用紙こげが抑制される。また本実施形態の画像形成装置に用いられる本実施形態の現像剤は、本実施形態の黒トナーを含むため、上記の通り、光定着システムを用いた画像形成において、細線再現性が良好である。
本実施形態の画像形成装置は、具体的には、例えば、静電潜像保持体と、静電潜像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像手段と、静電潜像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着手段と、を含み、現像剤は、本実施形態の現像剤である。
また定着手段としては、具体的には、例えば、記録媒体に転写されたトナー像を光により記録媒体に定着させる光定着手段、記録媒体に転写されたトナー像を加熱及び加圧により記録媒体に定着させる熱ロール定着手段が挙げられる。
本実施形態の黒トナーは、上記の通り、光定着システム(光定着手段を備えた画像形成装置)を用いた画像形成において、画像の滲み及び用紙こげが抑制され、細線再現性が良好であるため、光定着システムに適用されことが好適である。また本実施形態の黒トナーは、光定着においても熱ロール定着においても定着性に優れるため、光定着システムだけでなく、熱ロール定着システム(熱ロール定着手段を備えた画像形成装置)にも適用される。
本実施形態の光定着システムは、本実施形態の現像剤の他に、光定着用カラートナーを含む現像剤を併せて用いて、記録媒体上にフルカラー画像を形成できる画像形成装置(光定着フルカラーシステム)であることが望ましい。また、光定着用カラートナーは、赤外線吸収剤を含むことが望ましい。
本実施形態の黒トナーは、上記の通り、光定着フルカラーシステムを用い、定着のための光エネルギーを強く設定しても、光定着において昇温しにくいため、光定着システムを用いた画像形成において、画像の滲み及び用紙こげが抑制され、細線再現性が良好となる。
また画像形成装置は、プロセス速度(記録媒体の搬送速度)が1000mm/sec以上であることが望ましい。画像形成装置のプロセス速度が上記構成であっても(高速で画像形成される状況下においても)、形成されたトナー像が耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において、画像の滲み及び用紙こげが抑制される。
本実施形態の画像形成装置を用いた画像形成方法は、例えば、静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、静電潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成するトナー像形成工程と、静電潜像保持体表面に形成されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、記録媒体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程と、を含み、本実施形態の現像剤を用いる。
本実施形態の画像形成方法を用いることにより、形成されたトナー像が耐光性を有し、印字濃度が高く、定着性に優れ、光定着において昇温しにくく、光定着システムを用いた画像形成において、画像の滲み及び用紙こげが抑制される。
本実施形態の画像形成方法としては、例えば、静電潜像保持体として電子写真感光体を利用する形態が挙げられる。電子写真感光体を用いた画像形成方法は、具体的には、例えば、以下の通りである。まず、電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロール(現像剤保持体)を、静電潜像が形成された電子写真感光体に接触又は近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の記録媒体表面に転写される。さらに、記録媒体表面に転写されたトナー像は、光定着器(あるいは熱ロール定着器)により光定着(あるいは熱ロール定着)され、記録媒体上に画像が形成される。
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像ロールを含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。またプロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態の現像剤を収容するプロセスカートリッジが好適に用いられる。
本実施形態の画像形成方法における各工程は、いずれも従来の画像形成方法で採用されている公知の方法により行なうことができる。また、本実施形態の画像形成方法は、例えば、静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニング工程等、上記の工程以外の工程を含むものであってもよい。
なお、本実施形態の黒トナーは、光定着性に優れるため、定着工程においては、フラッシュ定着方式、赤外線照射定着方式等の公知の光定着方式を利用することができるが、これに限定されるものではなく、ヒートロ−ル方式、オーブン方式等の公知の熱定着方式も必要に応じて利用することができる。
このような画像形成に際し、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックからなる4色のトナーを用いる場合、4色全てのトナー像を積層した状態で記録媒体に転写した後、定着工程を一度に同時に行ってもよい。
光定着の際の光エネルギー(以下、「フラッシュエネルギー」と称することがある)としては、4色の光定着カラートナー像を積層した状態で転写し一度に光定着を行なう場合(以下、「4色一括光定着」と称することがある)には、2から7J/cm程度の範囲内とすることが好ましい。
フラッシュエネルギーが、4色一括光定着において2J/cm未満の場合には良好に定着できない場合がある。一方、4色一括光定着において7J/cmを超える場合には、トナーの印字欠陥であるボイドや、記録媒体の焦げ等が発生する場合がある。
ここで、上記フラッシュエネルギーは、下記式で表される。
式:S=((1/2)×C×V)/(u×L)×(n×f)
上記式中、nは一度に発光するランプ本数(本)、fは点灯周波数(Hz)、Vは入力電圧(V)、Cはコンデンサ容量(F)、uはプロセス搬送速度(cm/s)、Lはランプの有効発光幅(通常は最大用紙幅、cm)、Sはフラッシュエネルギー(J/cm)を表す。
上記プロセス速度は、1000mm/sec以上であることが好ましく、1500mm/sec以上であることがより好ましい。
光定着に際し用いられる光定着器としては、赤外線ランプや、キセノンランプ等、近赤外域の赤外線を照射することができる光源(ランプ)を利用でき、用いるランプは1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。但し、フラッシュ発光方式としては複数のフラッシュランプを並べ0.01から100ms程度遅らせて複数回発光を行い、同じ箇所を複数回照らすことでボイドと定着性を両立するものが望ましい。これをディレイ発光とよぶこととする。
1回目の発光から2回目の発光までの時間(ディレイ時間)は0.1から50msであることがこのましい。0.1msより短い時間でフラッシュ照射するとボイドが発生する場合があり、50ms以上では2回目の発光に至る前に印刷物の温度が下がってしまうため、光定着効果が少ない場合がある。
以下、本実施形態におけるプロセスカートリッジ及び画像形成装置について、図面を用いて具体的に説明する。
図2は、好適な一実施形態における画像形成装置の基本構成を概略的に示す断面図である。図2に示す画像形成装置は、光定着方式となっており、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックからなる4色のトナーを用いる方式である。
図2中、1aから1dは帯電手段、2aから2dは露光手段(静電潜像形成手段)、3aから3dは静電潜像保持体(感光体)、4aから4dは現像手段、10はロール媒体15から矢印方向に送り出される記録用紙(記録媒体)、20はシアン現像ユニット、30はマゼンタ現像ユニット、40はイエロー現像ユニット、50はブラック現像ユニット、70aから70dは転写手段(転写ロール)、71、72はロール、80は転写電圧供給手段、90は光定着手段を各々表す。
図2に示す画像形成装置は、帯電手段、露光手段、感光体、および現像手段を含む符号20、30、40、50で示される各色の現像ユニット(トナー像形成手段)と、記録用紙10に接して配置され、記録用紙10を搬送するロール71、72と、各現像ユニットの感光体を押圧するように記録用紙10を介してその反対側に接するように配置された転写ロール70a、70b、70c、70dと、これら3つの転写ロールに電圧を供給する転写電圧供給手段80と、感光体と転写ロールとの圧接部分を図中の矢印方向に通過する記録用紙10の感光体と接触する側に光を照射する光定着手段90と、から構成されている。
また、図2においては、現像手段4aから4dだけでなく現像ユニット20から50も前記プロセスカートリッジとなり得る。
なお、シアン現像ユニット20は、感光体3aの周囲には時計回りに帯電手段1a、露光手段2a、現像手段4aが配置された構成を有する。また、感光体3aにおける現像手段4aの配置位置から時計回りの帯電手段1aの配置位置間に感光体3a表面に接するように、記録用紙10を介して転写ロール70aが対向配置されている。
他の色の現像ユニットもこの構成に準ずる。なお、本実施形態の画像形成装置においては、ブラック現像ユニット50の現像手段4d内に、本実施形態の黒トナーを含む本実施形態の現像剤が収納され、他の現像ユニットの現像手段には、各々の色に対応した光定着用カラートナーが収納される。
次に、この画像形成装置を用いた画像形成について説明する。まず、ブラック現像ユニット50において、感光体3dを時計回り方向に回転させつつ、帯電手段1dにより感光体3dの表面を帯電する。次に帯電された感光体3dの表面を露光手段2dにより露光することにより、複写しようとする元の画像のブラック色成分の画像に対応した潜像が感光体3d表面に形成される。さらに、この潜像上に現像手段4d内に収納されたブラックトナーを付与することによりこれを現像してブラックトナー像を形成する。イエロー現像ユニット40、マゼンタ現像ユニット30、シアン現像ユニット20においてもこれに準じたプロセスが行なわれ、それぞれ現像ユニットの感光体表面にそれぞれの色のトナー像が形成される。
感光体表面に形成された各色のトナー像は、転写ロール70aから70dによる転写電位の作用により、矢印方向に搬送される記録用紙10上に順次転写され、元の画像情報に対応するように記録用紙10の表面に積層されて、最上層からシアン、マゼンタ及びイエローの順に積層されたフルカラーの積層トナー画像が形成される。
次に、この記録用紙10上の積層トナー画像が、光定着手段90のところまで搬送され、そこで光定着手段90から光の照射を受けて、溶融し、記録用紙10に光定着されフルカラー画像が形成される。
以上のようにして、画像が形成される。
図3は、好適な他の一実施形態における画像形成装置の基本構成を概略的に示す断面図である。図3に示す画像形成装置は、熱ロール定着方式を採用している。
図3に示す画像形成装置110は、静電潜像保持体112、帯電手段114、静電潜像形成手段116、現像手段118、転写手段120、クリーニング手段122、除電手段124、定着手段126、カートリッジ128を備える。
なお、現像手段118中及びカートリッジ128中に収納される現像剤は、本実施形態の現像剤である。
また図3は便宜上、本実施形態の現像剤を収納した現像手段118及びカートリッジ128を一つずつ備えた構成のみを図示しているが、例えばカラー画像形成装置の場合などは、画像形成装置に応じた数の現像手段118及びカートリッジ128を備えた構成をとることも可能である。
図3示す画像形成装置は、カートリッジ128が着脱される構成を有する画像形成装置であり、カートリッジ128は、現像剤供給管130を通して現像手段118に接続されている。よって画像形成を行う際は、カートリッジ128の中に収納されている本発明の現像剤が、現像剤供給管130を通して現像手段118に供給されることにより、長期間にわたり、本発明の現像剤を用いた画像を形成することができる。また、カートリッジ128の中に収納されている現像剤が少なくなった場合には、このカートリッジ128を交換することができる。
静電潜像保持体112の周囲には、静電潜像保持体112の回転方向(矢印A方向)に沿って順に、静電潜像保持体112表面を帯電させる帯電手段114、画像情報に応じて静電潜像保持体112表面に静電潜像を形成させる静電潜像形成手段116、形成された静電潜像に本発明の現像剤を供給する現像手段118、静電潜像保持体112表面に接触し静電潜像保持体112の矢印A方向への回転に伴い矢印B方向に従動回転することができるドラム状の転写手段120、静電潜像保持体112表面に接触するクリーニング手段122、静電潜像保持体112表面を除電する除電手段124が配置されている。
静電潜像保持体112と転写手段120との間は、矢印C方向と反対側から不図示の搬送手段により矢印C方向に搬送される記録媒体150が挿通可能である。静電潜像保持体112の矢印C方向側には加熱源(不図示)を内蔵した定着手段126が配置され、定着手段126には接触部132が設けられている。また、静電潜像保持体112と転写手段120との間を通過した記録媒体150は、この接触部132を矢印C方向へと挿通可能である。
静電潜像保持体112としては、例えば感光体又は誘電記録体等が使用できる。
感光体としては例えば、単層構造の感光体又は多層構造の感光体等を用いることができる。また感光体の材質としては、セレンやアモルファスシリコン等の無機感光体や、有機感光体等が考えられる。
帯電手段114としては、例えば、導電性又は半導電性のローラー、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触帯電装置、コロナ放電を利用したコロトロン帯電やスコロトロン帯電などの非接触型の帯電装置等、公知の手段を使用することができる。
静電潜像形成手段116としては、露光手段の他に、トナー像を記録媒体表面の所望の位置に形成しうる信号を形成できる、従来公知のいずれの手段を使うこともできる。
露光手段としては、例えば、半導体レーザー及び走査装置の組み合わせ、光学系により構成されたレーザー走査書き込み装置、あるいは、LEDヘッドなど、従来公知の露光手段を使用することができる。均一で、解像度の高い露光像を作るという望ましい態様を実現させるためには、レーザー走査書き込み装置又はLEDヘッドを使うことが望ましい。
転写手段120としては、具体的には例えば、電圧を印加した導電性又は半導電性のローラー、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いて、静電潜像保持体112と記録媒体150との間に電界を作り、帯電したトナーの粒子で形成されたトナー像を転写する手段や、コロナ放電を利用したコロトロン帯電器やスコロトロン帯電器などで記録媒体150の裏面をコロナ帯電して、帯電したトナーの粒子で形成されたトナー像を転写する手段など、従来公知の手段を使用することができる。
また転写手段120として、二次転写手段を用いることもできる。すなわち、図示しないが二次転写手段は、トナー像を一旦中間転写体に転写した後、中間転写体から記録媒体150にトナー像を二次転写する手段である。
クリーニング手段122としては例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどが挙げられる。本実施の形態においては、クリーニング手段122として、クリーニングブレードを用いたブレードクリーニング手段を採用している。
除電手段124としては例えば、タングステンランプ、LEDなどが挙げられる。
定着手段126としては、例えば、公知の接触型熱定着装置が使用できる。
具体的には、例えば、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加熱ロールと、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加圧ロールとからなる熱ロール定着装置や、そのロールとロールとの組み合わせを、ロールとベルトとの組み合わせ、ベルトとベルトとの組み合わせに代えた定着装置が使用できる。
記録媒体150としては、特に制限はなく、普通紙や光沢紙等をはじめとする従来公知のものが利用できる。また記録媒体は、基材と基材上に形成された受像層を有するものを利用することもできる。
次に、画像形成装置110を用いた画像形成について説明する。まず、静電潜像保持体112の矢印A方向への回転に伴い、帯電手段114により静電潜像保持体112表面を帯電し、帯電された静電潜像保持体112表面に静電潜像形成手段116により画像情報に応じた静電潜像を形成し、この静電潜像が形成された静電潜像保持体112表面に、静電潜像の色情報に応じて現像手段118から本発明の現像剤を供給することによりトナー像を形成する。
次に、静電潜像保持体112表面に形成されたトナー像は、静電潜像保持体112の矢印A方向への回転に伴い、静電潜像保持体112と転写手段120との接触部に移動する。この際、接触部を、記録媒体150が、不図示の用紙搬送ロールにより矢印C方向に挿通され、静電潜像保持体112と転写手段120との間に印加された電圧により、静電潜像保持体112表面に形成されたトナー像が接触部にて記録媒体150表面に転写される。
トナー像を転写手段120に転写した後の静電潜像保持体112の表面は、クリーニング手段122のクリーニングブレードによって残留しているトナーが除去され、除電手段124により除電される。
このようにしてトナー像がその表面に転写された記録媒体150は、定着手段126の接触部132に搬送され、接触部132を通過する際に、内蔵された加熱源(不図示)によってその接触部132の表面が加熱された定着手段126によって加熱される。この際、トナー像が記録媒体150表面に定着されることにより画像が形成される。
以上のようにして、画像が形成される。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中において、「部」および「%」は、特に断りのない限り「重量部」及び「重量%」を意味する。
<測定方法>
―ガラス転移温度及び融点の測定方法―
ガラス転移温度及び融点は、示差走査熱量計(島津製作所製のDSC−50)を用い、JIS K7121−1987に準拠して測定した。この装置の検出部の温度補正にはインジウムと亜鉛との混合物の融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。試料はアルミニウム製パンに入れ、サンプルの入ったアルミニウム製パンと対照用の空のアルミニウム製パンとをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
融点については、測定により得られたDSC曲線の吸熱ピークのうち、最大の吸熱ピークの頂点の温度をもって融点とした。
また、ガラス転移温度については、測定により得られたDSC曲線の吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度をもってガラス転移点とした。
―トナーの体積平均粒径及び個数平均粒径の測定方法―
トナーの体積平均粒径及び個数平均粒径の測定は、コールターマルチサイザー−II型(ベックマン−コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測定した。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液、ベックマン−コールター社製)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5乃至50mg加え、これを前記電解液100乃至150ml中に添加する。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000である。
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積又は個数について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径を体積平均粒径又は個数平均粒径と定義する。
―トナーの平均円形度の測定方法―
トナーの平均円形度の測定には、Sysmex社製FPIA−2100を使用した。本装置では、水などに分散させた粒子をフロー式画像解析法によって測定する方式が採用されており、吸引された粒子懸濁液はフラットシースフローセルに導かれ、シース液によって偏平な試料流に形成される。その試料流にストロボ光を照射することにより、通過中の粒子は対物レンズを通してCCDカメラで、静止画像として撮像された。
撮像された粒子像を、2次元画像処理して、投影面積と周囲長から円相当径および円形度を算出した。円相当径は、撮影された各々の粒子に対して、2次元画像の面積から同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出した。このように撮影した各々の粒子に対して、下記式によって円形度を求めた。また撮影した5,000個以上の粒子について画像解析を行い、統計処理することによって、平均円形度を求めた。
なお、測定にはHPFモード(高分解能モード)を使用し、希釈倍率は1.0倍とした。また、データの解析に当たっては、測定ノイズ除去の目的で、個数粒径解析範囲を2.0から30.1μmとし、円形度解析範囲を0.40から1.00の範囲に選択した。
式:円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(Aπ)1/2]/PM
(上式において、Aは粒子の投影面積、PMは粒子の周囲長を表す。)
<黒トナー1から黒トナー11の調整(実施例1から実施例7、比較例1から比較例4
)>
・ポリエチレンワックス
(離型剤、商品名:PE1101、クラリアントジャパン製):5質量部
・エステルワックス
(定着助剤、商品名:WEP−5F、日本油脂製):4質量部
・4級アンモニウム塩
(帯電制御剤、商品名:TP415、保土谷化学製):0.5質量部
・4級アンモニウム塩
(帯電制御剤、商品名:P51、オリエント化学製):0.5質量部
上記材料及び下記表1に示す材料を混合し、エクストルーダーで混練し、ジェットミルで粗粉砕し、クリプトロンで粉砕した後、風力分級で分級して、体積平均粒径6.0から6.5μmのトナー粒子1からトナー粒子11を得た。
Figure 2009151004
なお、表1に示す材料は、具体的には以下の通りであり、表1中に示した値の単位はすべて「質量部」である。
・ポリエステル樹脂(結着樹脂、商品名:FP118、花王製)
・ゲーサイト(商品名:LL―100P、チタン工業製)
・ヘマタイト(商品名:R−516P、チタン工業製)
・カーボンブラック(商品名:BPL、キャボットジャパン社製)
・黒色金属酸化物(Sr−Fe酸化物、商品名:BKZ−4、大日精化株式会社製)
・赤外線吸収剤(アルミニウム塩化合物、商品名:IRG−022、日本化薬製)
・シアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3、商品名:KET BLUE 111、大日本インキ化学工業(株)製)
・赤顔料(C.I.Pigment Red57:1、商品名:IRGALITE Magenta SMB、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
・イエロー顔料(C.I.Pigment Yellow 110、商品名:CROMOPHTAL Yellow 3RT、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
上記において調整されたトナー粒子(トナー粒子1からトナー粒子11)98質量部に、外添剤としてシリカ粒子(商品名:TG820、キャボットジャパン社製)を2質量部加え、ヘンシェルミキサーにて混合して黒トナー1から黒トナー11を調整した。
<黒色現像剤(現像剤1から現像剤11)の調整>
上記において調整された黒トナー(黒トナー1から黒トナー11)と、体積平均粒径60μmのフェライトキャリアとを、トナー濃度4.5質量%となるように混合して黒色現像剤(現像剤1から現像剤11)を調整した。
<カラートナーの調整>
表1に示す材料及び添加量について表1に示すようにした以外は、黒トナーと同様にして、カラートナー(シアントナー、マゼンタトナー、及びイエロートナー)を調整した。
<カラー現像剤の調整>
上記において調整されたカラートナー(シアントナー、マゼンタトナー、及びイエロートナー)と、体積平均粒径60μmのフェライトキャリアとを、トナー濃度4.5質量%となるように混合してカラー現像剤(シアン現像剤、マゼンタ現像剤、及びイエロー現像剤)を調整した。
<光定着方式による画像形成>
上記の黒色現像剤及びカラー現像剤と、記録媒体として普通紙(NPI−1500LT、小林記録紙、64g/m)とを用い、光定着が可能な画像形成装置により、日本画像学会テストチャートNo.5−1の画像、及び線幅42μmの黒色細線画像(記録媒体上の黒トナー載量0.55g/m)を形成した。
なお、用いた画像形成装置は、光定着器として700から1500nmの波長範囲に高い発光強度を有するキセノンフラッシュランプを搭載した商品番号CF1100のプリンタ(富士ゼロックス製、A4で400枚/分相当の速度、プロセス速度1430mm/sec)の改造機(図2)である。
また、キセノンフラッシュランプの発光の方法は単位面積当たりの発光を2回行うディレイ発光方式とした。フラッシュ定着のトータルエネルギは3.0J/cmとし、ディレイ時間は0.5ms(ミリ秒)とした。
<熱ロール定着方式による画像形成>
上記の黒色現像剤及びカラー現像剤を用い、上記の画像形成装置において、光定着器を熱ロール定着器に付け替えた画像形成装置を用い、定着温度を180℃に設定して、2.54×2.54cm(1インチ四方)のベタ黒画像(濃度100%、記録媒体上の黒トナー載量6g/m)を形成した。
<評価>
―画像のにじみの評価―
光定着方式により形成された細線画像について、顕微鏡観察し、細線の周りに滲みが発生していないか評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、結果を表2に示す。
○:画像の滲みがなく、良好である。
×:画像の滲みがあり、実用上問題である。
―定着率の測定(光定着性、熱ロール定着性の評価)―
定着率の測定は、光定着方式により形成されたテストチャート画像から、1インチ角のベタ黒画像を採取し、「スコッチメンディングテープ」(住友3M株式会社製)を貼り付け、1kg重りを載せた後剥離し、剥離前後の画像濃度を測定し、下記式から求めた。
また、熱ロール定着方式により形成されたベタ黒画像についても、同様にして定着率の測定を行った。
式:定着率(%)=(剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度)×100
なお、画像濃度は、マクベス株式会社製の反射濃度計RD−918を用いて測定した。
以上に様にして求めた定着率より、下記の基準に則り定着性の評価を行った。結果を表2に示す。
◎:定着率が90%以上である(非常に良好)。
○:定着率が80%以上、90%未満である(定着性は良好、許容の範囲内)。
△:定着率が70%以上、80%未満である(定着性は劣るが、許容の範囲内)。
×:定着率が70%未満である(定着性が悪く、許容範囲外である)。
―印字濃度の評価―
光定着方式により形成されたテストチャート画像のベタ黒画像部分について、原稿濃度が0.00の白地部分に対する相対濃度を測定した。評価基準は以下の通りであり、結果を表2に示す。
なお、画像濃度は、マクベス株式会社製の反射濃度計RD−918を用いて測定した。
◎:非常に良好(1.40以上)
○:良好 (1.35以上、1.40未満)
△:普通 (1.00以上、1.35未満)許容範囲内
×:悪い (1.00未満)許容範囲外
―用紙こげの評価―
上記の光定着が可能な画像形成装置を用い、普通紙より薄い40g/cmの白紙に2.54×2.54cm(1インチ四方)のベタ黒画像(濃度100%、記録媒体上の黒トナー裁量6g/m)を形成し、用紙の裏面に用紙こげが発生したかどうかを目視で判定した。評価基準は以下の通りであり、結果を表2に示す。
○:用紙こげの発生がなく、良好である。
×:用紙こげが発生しており、実用上問題である。
―耐光性の評価―
光定着方式により形成されたテストチャート画像のベタ黒画像部分について、ベタ黒画像が印字してある面を、耐光性試験器(東洋精機社製:SUNTEST CPS+)内の発光対抗面に設置し、63℃雰囲気下、Xeランプで760W/mの強度にて100時間照射した。次に照射前後のベタ黒画像の画像濃度(白地部分に対する相対濃度)を、マクベス株式会社製の反射濃度計RD−918により測定した。評価基準は以下の通りであり、結果を表2に示す。
◎:画像濃度の差が0.1未満である。
○:画像濃度の差が0.1以上0.5以下である。
△:画像濃度の差が0.5以上1.0以下である。
×:画像濃度の差が1.0を超える。
―光定着での細線再現性の評価―
光定着方式により形成されたISO/JIS−SCIDサンプル解像度チャート(日本規格協会発行)において、以下の方法により細線再現性の評価を行った。評価基準は以下の通りであり、結果を表2に示す。
◎:光学顕微鏡観察で線の間隔が均等である。
○:目視では線の間隔は均等に見える。
△:目視で間隔はあるが不均等。
×:目視で線が重なった部分がある。
Figure 2009151004
表2に示す結果より、実施例1から実施例7によれば、比較例1から比較例4に比べて、耐光性を有し、定着性に優れ、細線再現性が良く、画像の滲み及び用紙こげが抑制されることが分かる。
なお、上記光定着方式による画像形成においては、黒色細線画像の形成と同時に、カラートナー(シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー)による単色細線画像をそれぞれ形成し、黒トナーの評価と同様にして、画像の滲み及び光定着性の評価を行った。
その結果、いずれのトナー(シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー)による単色細線画像においても、顔料の昇華による画像の滲みがなく、定着性が良好であった。
これらの結果より、実施例1から実施例7では、単に優れた黒色画像が形成されるだけでなく、カラートナーの定着性が良好となる定着条件でフルカラー画像を形成した場合においても、優れた黒色画像が形成されることが分かる。
黒色現像剤として現像剤2を用い、画像形成装置として汎用の熱ロール定着機を有するApeosPort C6550 I(富士ゼロックス製)を用いて形成した画像の評価を行った。定着性、印字濃度、及び画質において良好であり、実用上問題がないレベルであった。この結果より、現像剤2に含まれる黒トナー2を用いれば、光定着システムだけでなく、汎用の熱ロールシステムにおいても、定着性、印字濃度、及び画質において良好な画像が形成されることが分かる。
ゲーサイト及びヘマタイトの吸収スペクトルを示すグラフである。 実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 実施形態の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1a,1b,1c,1d 帯電手段
2a,2b,2c,2d 露光手段(静電潜像形成手段)
3a,3b,3c,3d 感光体(静電潜像保持体)
4a,4b,4c,4d 現像手段
10 記録用紙(記録媒体)
70a,70b,70c,70d 転写ロール(転写手段)
90 光定着手段(定着手段)
110 画像形成装置
112 静電潜像保持体
114 帯電手段
116 静電潜像形成手段
118 現像手段
120 転写手段
126 定着手段
128 カートリッジ
150 記録媒体

Claims (7)

  1. 結着樹脂と、ゲーサイトと、ヘマタイトと、を含有することを特徴とする静電荷像現像用黒トナー。
  2. 光定着用トナーであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用黒トナー。
  3. さらに金属フタロシアニンを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用黒トナー。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の静電荷像現像用黒トナーを少なくとも含む静電荷像現像用現像剤。
  5. 現像剤保持体を備え、請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤を収めることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. トナーを含む現像剤を用い、記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を加熱・加圧または光により記録媒体に定着させる定着手段と、を有し、
    前記現像剤が、請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
  7. プロセス速度が1000mm/sec以上であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
JP2007327517A 2007-12-19 2007-12-19 静電荷像現像用黒トナー、静電荷像現像用現像剤、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Withdrawn JP2009151004A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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