本発明は、供給された米飯を一時的に貯留して供給する米飯供給部において、搬送部により搬送される米飯にほぐし作用を与えるほぐし部材に対し、米飯を一時的に保持するための構成を設けることにより、米飯供給部における米飯のほぐし作用の向上を図り、米飯のダメージの低減および米飯の重量の精度の向上を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[米飯塊形成装置の全体構成]
まず、図1から図3を用いて、本実施形態に係る米飯塊形成装置1の全体的な構成について説明する。なお、米飯塊形成装置1においては、図3における左方および右方をそれぞれ前方および後方とし、図3の紙面に対して垂直な方向の奥方向および手前方向をそれぞれ左方および右方とする。
図1から図3に示すように、本実施形態に係る米飯塊形成装置1は、米飯2を所定量ずつ分けて米飯塊3として送り出すものであり、供給された米飯2を一時的に貯留して供給する米飯供給部4と、米飯供給部4から供給された米飯を所定量の米飯塊3として送り出す米飯塊形成部5とを備える。また、米飯塊形成装置1は、米飯塊形成部5から送り出された米飯塊3を搬出する搬出搬送部6を備える。米飯塊形成装置1は、床面7上に設置される。
米飯塊形成装置1は、米飯供給部4において供給された米飯をほぐし、ほぐした米飯を米飯塊形成部5に落下供給する。米飯塊形成装置1は、米飯塊形成部5において、米飯供給部4から供給された米飯を受けて一時的に保持・貯留しながら重量を計量し、保持・貯留した米飯の重量が予め設定された所定量に達すると、所定の排出口を開き、その所定量の米飯を米飯塊3として、搬出搬送部6の搬送面上に落下供給する。
米飯塊形成装置1は、上記の各部を制御する制御部10(図3参照)を備える。制御部10は、CPU、各種プログラムやデータ等を記憶したメモリ等を有し、米飯塊形成装置1が備える各種センサの出力等に基づいて、米飯塊形成装置1の各種動作部や各種駆動部等の駆動制御を含む全体的な制御を行う。
米飯塊形成装置1は、外形的にボックス状に構成された筐体8を有する。筐体8の上側に、米飯供給部4が設けられており、筐体8の前側に、米飯塊形成部5および搬出搬送部6が設けられている。なお、搬出搬送部6は、筐体8の前方の位置から左方に向けて延設されている。制御部10は、例えば筐体8内に設けられる。ただし、制御部10は、筐体8の外部に設けられてもよい。
[米飯供給部の構成]
米飯供給部4の構成について、図1から図7を用いて説明する。米飯供給部4は、米飯2を一時的に貯留する貯留部としてのケース部11と、ケース部11内に設けられた搬送部としてのベルトコンベア12と、ケース部11に供給された米飯2をほぐすためのほぐし部材としてのほぐし用回転体13とを有する。
ケース部11は、左右の側面部11aと、後面部11bと、底面部11cとを有し、これらの面部によって前側および上側を開放させた略ボックス状の部分として構成されている。ケース部11は、米飯2を貯留する貯留容器、いわゆるホッパとして機能する部分であり、上側の開放部から、炊き上がった米飯2の投入を受ける。
ベルトコンベア12は、ケース部11に供給された米飯2を所定の方向に搬送してケース部11外に送り出すための構成である。ベルトコンベア12は、搬送方向を前後方向に沿わせ、後側から前側に向かう方向(図3における左方向)を搬送方向(の前方)としている。
ベルトコンベア12は、その搬送方向(以下「コンベア搬送方向」という。)の前後両端に設けられた支持ローラ14,15と、これらの支持ローラ14,15に対して巻回状態で設けられた無端状のコンベアベルト16とを有し、コンベアベルト16により略水平状の搬送面12aをなしている。ベルトコンベア12は、ケース部11内の下部に配設されており、平面視において、搬送面12aがケース部11内のスペースの略全体を占めるように設けられている。
すなわち、ベルトコンベア12は、その搬送面12aの幅寸法を、ケース部11の左右の側面部11a間の間隔と略同じとするとともに、ベルトコンベア12の始端部をなす後側の支持ローラ15を、後面部11bの近傍に位置させ、ベルトコンベア12の終端部をなす前側の支持ローラ14を、底面部11cの前端位置の近傍に位置させている。なお、底面部11cの前端は、前後方向について、筐体8の前面8aの近傍に位置している。ケース部11に投入された米飯2は、ベルトコンベア12の搬送面12a上に乗り、そのままベルトコンベア12により前方に向けて搬送される。
ほぐし用回転体13は、ベルトコンベア12に対してコンベア搬送方向の前方に設けられ、ベルトコンベア12により搬送された米飯2にほぐし作用を与える部材である。ほぐし用回転体13は、上面視でコンベア搬送方向に直交する方向、つまり左右方向を回転軸方向とする回転体である。
ほぐし用回転体13は、全体として略円柱状ないし略ドラム状の部材であり、円柱状の外形をなす本体部13aを有する。ほぐし用回転体13は、その本体部13aの中心軸を回転軸線C1に一致させ、左右の側面部11aの前部間に架設された態様で回転可能に設けられている。ほぐし用回転体13は、本体部13aの中心軸に沿う回転軸部13cを有し、回転軸部13cにより、左右の側面部11a間に支持されている。左右の側面部11aは、前後方向について、ベルトコンベア12の前端部よりも前方に延設された延設部11dを有し、その左右の延設部11d間に、ほぐし用回転体13が設けられている。
ほぐし用回転体13は、左右方向について、左右の側面部11aの間の略全体にわたる範囲で設けられている。ほぐし用回転体13は、米飯塊形成装置1の動作状態における回転方向を、右側面視において時計方向(右回り方向)とする(図7、矢印A1参照)。
ほぐし用回転体13は、本体部13aの外周面部に、複数のほぐし用突部17を有する。ほぐし用突部17は、ほぐし用回転体13の回転軸方向について所定の寸法を有する突出部分である。つまり、ほぐし用突部17は、本体部13aに対して鍔状の部分として形成されている。
ほぐし用突部17は、ほぐし用回転体13の回転軸方向について所定の間隔を隔てて複数箇所に設けられている。したがって、隣り合うほぐし用突部17間には、本体部13aの外周面を底面とした外周溝18が形成されている。本実施形態では、本体部13aの左端から右端にかけて16箇所にほぐし用突部17が設けられており、15箇所の外周溝18が形成されている(図5参照)。外周溝18は、例えば、ほぐし用突部17の厚さの約1~2倍程度の幅寸法を有する。
ほぐし用突部17は、本体部13aの外周面の全周にわたって形成された拡径基部17aと、拡径基部17aから本体部13aの径方向外側に向けて突出した複数の板状の突片部17bとを有する。拡径基部17aは、本体部13aに対する拡径部分をなす鍔状の部分であり、ほぐし用回転体13の回転軸方向視で円環状をなす。
突片部17bは、略矩形状の突片部分であり、本体部13aの周方向について所定の間隔を隔てて形成されている。突片部17bは、ほぐし用回転体13の回転方向の後側の角部を面取状の斜辺部17cとしている。ほぐし用回転体13は、ほぐし用突部17において複数の突片部17bを有することで、ほぐし用回転体13の回転軸方向視で歯車状の外形をなしている。
本実施形態では、突片部17bは、本体部13aの周方向について等間隔に8箇所に設けられている。また、隣り合うほぐし用突部17同士は、ほぐし用回転体13の回転軸方向視で、本体部13aの周方向について突片部17bが互い違いに表れるように設けられている。したがって、ほぐし用回転体13においては、その回転軸方向視で、突片部17bが本体部13aの周方向について等間隔に16箇所に表れている。また、ほぐし用回転体13の回転軸方向について、突片部17bの周方向の位置、つまり突片部17bの位相を同じくするほぐし用突部17が交互に設けられている。
ほぐし用回転体13は、ベルトコンベア12の前側の支持ローラ14の外径よりも大きい外径を有する。本実施形態では、ほぐし用回転体13は、本体部13aの外径を、支持ローラ14の外径の約2倍とし、また、ほぐし用突部17を含むほぐし用回転体13の全体の外径を、支持ローラ14の外径の約3倍としている。ただし、ほぐし用回転体13の支持ローラ14に対する相対的な大きさは、本実施形態に限定されるものではない。
ほぐし用回転体13は、ベルトコンベア12の前端位置に対して所定の間隔を隔てて前方の位置に設けられている。本実施形態では、前後方向について、ベルトコンベア12の前端位置と、ほぐし用回転体13の後端位置(突片部17bの先端の回転軌跡の後端の位置)との間に、例えば支持ローラ14の直径分の間隔があいている。また、ほぐし用回転体13の下端位置(突片部17bの先端の回転軌跡の下端の位置)は、支持ローラ14の下端位置と略同じ高さに位置している。また、ほぐし用回転体13の回転軸線C1は、支持ローラ14の回転軸線C0よりも高い位置に位置している。このように、ほぐし用回転体13は、ベルトコンベア12の前端部に対して前斜め上方の位置に設けられている。
ベルトコンベア12の前端部と、ほぐし用回転体13との間の部分が、ベルトコンベア12により搬送された米飯2が通る通路部分となる。ほぐし用回転体13の下方の位置が、米飯供給部4の米飯2の排出口、つまり米飯供給部4から米飯塊形成部5に対する米飯2の供給口19となっている。ベルトコンベア12により搬送された米飯2は、ほぐし用回転体13によってほぐされ、供給口19から米飯塊形成部5へと落下供給される。
ケース部11の前部には、ほぐし用回転体13の前方および上方を被覆する前部カバー部20が設けられている。前部カバー部20は、側面部11aの延設部11dの側面視形状に沿う面部を有する。
具体的には、前部カバー部20は、上側から下側にかけて徐々に前側から後側に向かうように傾斜した前下傾斜面部20aと、前下傾斜面部20aの上側の部分であって鉛直状の面部である前上面部20bと、水平状の面部である天面部20cと、天面部20cの後側の部分であって後下がりに傾斜した上後傾斜面部20dとを有する。前部カバー部20は、前下傾斜面部20aおよび前上面部20bにより、ほぐし用回転体13の前方を覆っており、天面部20cにより、ほぐし用回転体13の上方を覆っている。前部カバー部20は、上後傾斜面部20dの下端縁(後端縁)を、ベルトコンベア12の終端部の上方に位置させている。
このように、ケース部11の左右の側面部11aの延設部11dと、前部カバー部20とにより、ほぐし用回転体13の収容空間21が形成されている。そして、収容空間21の下側の開口部が、米飯供給部4から米飯塊形成部5に対する米飯2の供給口19となっている。
以上のようにケース部11内にベルトコンベア12およびほぐし用回転体13を備えた米飯供給部4は、ベルトコンベア12により搬送された米飯2を受け継いでほぐし用回転体13に作用させるための米飯保持部材30を有する。米飯保持部材30は、ベルトコンベア12とほぐし用回転体13との間に設けられ、ベルトコンベア12により搬送されほぐし用回転体13によるほぐし作用を受ける米飯2を、ほぐし用回転体13に対して一時的に保持するための部材である。
本実施形態の米飯塊形成装置1は、米飯保持部材30として、第1の回転体である下保持回転体31と、第2の回転体である上保持回転体32とを有する。下保持回転体31は、ほぐし用回転体13に対してコンベア搬送方向の後側に設けられ、左右方向を回転軸方向とし、コンベア搬送方向に準じた方向に回転する。上保持回転体32は、下保持回転体31の上方に設けられ、左右方向を回転軸方向とし、ほぐし用回転体13と同じ方向に回転する。
下保持回転体31は、全体として略円柱状の部材であり、円柱状の外形をなす本体部31aを有する。下保持回転体31は、その本体部31aの中心軸を回転軸線C2に一致させ、左右の側面部11aの前部間(延設部11d間)に架設された態様で回転可能に設けられている。下保持回転体31は、本体部31aの中心軸に沿う回転軸部31cを有し、回転軸部31cにより、左右の側面部11a間に支持されている。
下保持回転体31は、ほぐし用回転体13と同様に、左右方向について、左右の側面部11aの間の略全体にわたる範囲で設けられている。下保持回転体31は、米飯塊形成装置1の動作状態における回転方向を、右側面視において反時計方向(左回り方向)とする(図7、矢印A2参照)。つまり、下保持回転体31は、ほぐし用回転体13と反対方向に回転する。
下保持回転体31は、本体部31aの外周面部に、複数の保持用突部33を有する。保持用突部33は、下保持回転体31の回転軸方向について所定の寸法を有する突出部分である。つまり、保持用突部33は、本体部31aに対して鍔状の部分として形成されている。
保持用突部33は、下保持回転体31の回転軸方向について所定の間隔を隔てて複数箇所に設けられている。したがって、隣り合う保持用突部33間には、本体部31aの外周面を底面とした外周溝34が形成されている。本実施形態では、本体部31aの左端から右端にかけて15箇所に保持用突部33が設けられており、14箇所の外周溝34が形成されている(図6参照)。外周溝34は、例えば、保持用突部33の厚さの約4倍の幅寸法を有する。
15箇所の保持用突部33は、それぞれ、下保持回転体31の回転軸方向について、ほぐし用回転体13の外周溝18の中心に位置している。したがって、下保持回転体31の回転軸方向については、ほぐし用回転体13のほぐし用突部17と、下保持回転体31の保持用突部33が交互に位置している。
保持用突部33は、本体部31aの外周面の全周にわたって形成された拡径基部33aと、拡径基部33aから本体部31aの径方向外側に向けて突出した複数の突起部33bとを有する。拡径基部33aは、本体部31aに対する拡径部分をなす鍔状の部分であり、下保持回転体31の回転軸方向視で円環状をなす。
突起部33bは、角柱状の突起部分であり、本体部31aの周方向について所定の間隔を隔てて形成されている。下保持回転体31は、保持用突部33において複数の突起部33bを有することで、下保持回転体31の回転軸方向視で歯車状の外形をなしている。
本実施形態では、突起部33bは、本体部31aの周方向について等間隔に12箇所に設けられている。また、下保持回転体31が有する複数の保持用突部33は、突起部33bの周方向の位置、つまり突起部33bの位相を共通としている。
下保持回転体31は、ベルトコンベア12の前側の支持ローラ14の外径よりも大きく、ほぐし用回転体13の外径よりも小さい外径を有する。本実施形態では、下保持回転体31は、本体部31aの外径を、支持ローラ14の外径と略同じとし、また、保持用突部33を含む下保持回転体31の全体の外径を、支持ローラ14の外径の約2倍としている。ただし、下保持回転体31の支持ローラ14に対する相対的な大きさは、本実施形態に限定されるものではない。
下保持回転体31は、ベルトコンベア12の直前方の位置に設けられている。本実施形態では、下保持回転体31の上端位置(突起部33bの先端の回転軌跡の上端の位置)は、搬送面12aの位置と略同じ高さに位置している。また、下保持回転体31の回転軸線C2は、支持ローラ14の回転軸線C0よりも低い位置に位置している。このように、下保持回転体31は、ベルトコンベア12の前端部に対して前斜め下方の位置に設けられている。
このように、下保持回転体31は、ベルトコンベア12とほぐし用回転体13との間に配置されている。特に、下保持回転体31は、ベルトコンベア12に対して干渉しない程度に可及的に近接した位置に設けられている。
また、ほぐし用回転体13および下保持回転体31は、側面視で互いの外縁部同士がオーバーラップするように配設されている。具体的には、ほぐし用回転体13および下保持回転体31の対向部分において、ほぐし用回転体13の突片部17bが、対応する下保持回転体31の外周溝34内に位置するとともに、下保持回転体31の突起部33bが、対応するほぐし用回転体13の外周溝18内に位置している。
詳細には、ほぐし用回転体13および下保持回転体31の対向部分において、ほぐし用回転体13の突片部17bは、その先端を、外周溝34をなす保持用突部33の拡径基部33a間に位置させており、下保持回転体31の突起部33bは、その先端を、外周溝18をなす用突部17の拡径基部17a間に位置させている。このように、ほぐし用回転体13および下保持回転体31は、互いの外縁部同士を噛合状にオーバーラップさせている。
下保持回転体31は、ベルトコンベア12の搬送面12a上の米飯2を受け継ぎ、その米飯2をほぐし用回転体13に対して搬送する。下保持回転体31は、ベルトコンベア12とほぐし用回転体13との間において、ほぐし用回転体13に対する米飯2の搬送部分を構成している。つまり、下保持回転体31は、米飯2に対して搬送作用を与える部分をベルトコンベア12から前方に延長させた追加搬送部分を構成している。したがって、下保持回転体31の回転方向に関し、コンベア搬送方向に準じた方向は、支持ローラ14と同じ回転方向、つまり右側面視で反時計方向となる。
ベルトコンベア12から下保持回転体31に受け継がれた米飯2は、ほぐし用回転体13と下保持回転体31との間から落ちるようにして排出され、供給口19から米飯塊形成部5に供給される。ここで、米飯2は、ほぐし用回転体13と下保持回転体31とのオーバーラップ部分において、ほぐし用突部17および保持用突部33によって受ける剪断作用等によりほぐされることになる。
上保持回転体32は、上保持回転体32の回転軸方向に延伸した回転軸部36と、上保持回転体32の回転軸方向視で回転軸部36から上保持回転体32の径方向の外側に向けて突設された複数の棒状のピン部37とを含む。上保持回転体32は、その回転軸部36の中心軸を回転軸線C3に一致させ、左右の側面部11aの前部間(延設部11d間)に架設された態様で回転可能に設けられている。上保持回転体32は、回転軸部36により、左右の側面部11a間に支持されている。
上保持回転体32は、ほぐし用回転体13等と同様に、左右方向について、左右の側面部11aの間の略全体にわたる範囲で設けられている。上保持回転体32は、米飯塊形成装置1の動作状態における回転方向を、右側面視において時計方向(右回り方向)とする(図7、矢印A3参照)。つまり、上保持回転体32は、ほぐし用回転体13と同じ方向に回転する。
上保持回転体32の回転軸部36は、円形状の横断面形状をなす直線棒状の部分であり、細長い円柱面である外周面36aを有し、長手方向を左右方向に沿わせている。回転軸部36は、下保持回転体31の回転軸部31cと略同じ外径を有する。
上保持回転体32のピン部37は、円形状の横断面形状をなす直線棒状の部分であり、回転軸部36の外周面36aから、回転軸部36の径方向に沿うように、つまり回転軸部36の軸方向に垂直な平面に沿うように突設されている。ピン部37の外径は、例えば、回転軸部36の外径の1/5から1/6程度である。
ピン部37は、上保持回転体32の回転軸方向について所定の間隔を隔てて複数本ずつ複数箇所に設けられている。本実施形態では、回転軸部36の左端から右端にかけて15箇所に4本ずつのピン部37が設けられている。回転軸部36の軸方向の各箇所における4本のピン部37は、回転軸部36の周方向について等間隔に設けられている。また、回転軸部36の軸方向に隣り合う4本のピン部37群同士は、回転軸部36の中心軸方向視で、回転軸部36の周方向について45°位相をずらしている。したがって、上保持回転体32においては、回転軸方向視で、ピン部37が回転軸部36の周方向について等間隔に8箇所に表れている。また、回転軸部36の軸方向について、4本のピン部37の位相を同じくするピン部37群が交互に設けられている。
15箇所の4本のピン部37群は、それぞれ、上保持回転体32の回転軸方向について、ほぐし用回転体13の外周溝18の中心に位置している。したがって、上保持回転体32の回転軸方向については、ほぐし用回転体13のほぐし用突部17と、上保持回転体32の4本のピン部37群が交互に位置している。
上保持回転体32は、ベルトコンベア12の前側の支持ローラ14の外径よりも大きく、下保持回転体31の外径よりも小さい外径を有する。本実施形態では、上保持回転体32は、ピン部37を含む全体の外径を、ほぐし用回転体13の外径の1/2から1/3程度の大きさとしている。ただし、ほぐし用回転体13、支持ローラ14、および下保持回転体31それぞれに対する上保持回転体32の相対的な大きさは、本実施形態に限定されるものではない。
上保持回転体32は、ベルトコンベア12の前端部に対して斜め上方の位置であり、下保持回転体31の上方の位置に設けられている。本実施形態では、上保持回転体32は、その回転軸線C3の位置を、前後方向について、下保持回転体31の回転軸線C2の位置に一致させている。つまり、下保持回転体31および上保持回転体32は、それぞれ左右方向に沿う回転軸線を共通の鉛直面上に位置させている。また、上保持回転体32の下端位置(ピン部37の先端の回転軌跡の下端の位置)は、下保持回転体31の上端位置(突起部33bの先端の回転軌跡の上端の位置)に対してわずかな隙間を隔てた直上に位置している。また、上保持回転体32の上端位置は、ほぐし用回転体13の上端位置よりも低い位置であり、上保持回転体32の回転軸線C3は、ほぐし用回転体13の回転軸線C1よりも高い位置に位置している。
また、ほぐし用回転体13および上保持回転体32は、側面視で互いの外縁部同士がオーバーラップするように配設されている。具体的には、ほぐし用回転体13および上保持回転体32の対向部分において、ほぐし用回転体13の突片部17bが、上保持回転体32の軸方向に隣り合う4本のピン部37群間に位置するとともに、上保持回転体32の4本のピン部37群が、対応するほぐし用回転体13の外周溝18内に位置している。
詳細には、ほぐし用回転体13および上保持回転体32の対向部分において、ほぐし用回転体13の突片部17bは、その先端を、回転軸部36の外周面36aの近傍に位置させており、上保持回転体32のピン部37は、その先端を、外周溝18をなす用突部17の拡径基部17a間に位置させている。このように、ほぐし用回転体13および上保持回転体32は、互いの外縁部同士を噛合状にオーバーラップさせている。
上保持回転体32は、下保持回転体31がベルトコンベア12から受け継いだ米飯2に対して上側から作用し、下保持回転体31とともに米飯2をほぐし用回転体13に対して搬送する。したがって、上保持回転体32の回転方向は、コンベア搬送方向に準じて、下保持回転体31と反対方向、つまり右側面視で時計方向となる。
上保持回転体32は、下保持回転体31上の米飯2に対し、ピン部37によってほぐし作用を与える。また、ほぐし用回転体13と上保持回転体32とのオーバーラップ部分において、ほぐし用突部17およびピン部37によって受ける剪断作用等により、米飯2がほぐされることになる。
また、米飯供給部4においては、ベルトコンベア12の支持ローラ14の上方の位置に、ガイドローラ38が設けられている。ガイドローラ38は、ベルトコンベア12により搬送された搬送面12a上の米飯2の上下方向の範囲を規制し、搬送面12a上の米飯2を下保持回転体31および上保持回転体32側に導く。
ガイドローラ38は、その中心軸を回転軸線C4に一致させ、左右の側面部11aの前部間に架設された態様で回転可能に設けられている。ガイドローラ38は、その中心軸に沿う回転軸部38cを有し、回転軸部38cにより、左右の側面部11a間に支持されている。
ガイドローラ38は、ほぐし用回転体13等と同様に、左右方向について、左右の側面部11aの間の略全体にわたる範囲で設けられている。ガイドローラ38は、米飯塊形成装置1の動作状態における回転方向を、右側面視において時計方向(右回り方向)とする(図7、矢印A4参照)。つまり、ガイドローラ38の回転方向は、コンベア搬送方向に準じた方向であり、上保持回転体32と同じ回転方向である。
ガイドローラ38は、その外周面部に凹凸を有する。ガイドローラ38は、外周面部の凹凸を形成する部分として、ガイドローラ38の回転軸方向に沿って設けられた複数の突条部38aを有する。突条部38aは、ガイドローラ38の回転軸方向の全体にわたって設けられている。突条部38aは、ガイドローラ38の周方向について等間隔で連続的に設けられている。本実施形態では、9個の突条部38aが設けられている。
突条部38aは、ガイドローラ38の横断面形状において、ガイドローラ38の径方向に沿う第1辺部と、第1辺部に対して鋭角をなす斜辺部である第2辺部とにより、略直角三角形状に沿う山型の突起形状をなす。このように外周面部に凹凸形状を有するガイドローラ38は、その軸方向の略全体について一定の横断面形状を有する。なお、突条部38aにおいては、第1辺部側が、ガイドローラ38の回転方向における前側となる。
ガイドローラ38は、支持ローラ14と略同じ外径を有する。ただし、ガイドローラ38の大きさは、本実施形態に限定されるものではない。
ガイドローラ38は、その回転軸線C4の位置を、前後方向について、支持ローラ14の回転軸線C0の位置に略一致させている。また、ガイドローラ38の回転軸線C4は、上保持回転体32の回転軸線C3よりも高い位置に位置している。ガイドローラ38の直上方に、前部カバー部20の上後傾斜面部20dの下端縁が位置している。
ガイドローラ38は、支持ローラ14の上側において、搬送面12a上の米飯2の高さを一定の高さ以下に規制し、米飯2が前部カバー部20の上後傾斜面部20dに乗り上げたり上保持回転体32の上側に乗り上げたりすることを防いでいる。また、ガイドローラ38は、回転しながら、複数の突条部38aによる凹凸形状部分を搬送面12a上の米飯2に上方から作用させることで、米飯2をほぐす。つまり、ガイドローラ38は、その外周面部に複数の突条部38aによる凹凸形状部分を有することで、搬送面12a上の米飯2にほぐし作用を与えるほぐしローラとして機能する。
以上のように、米飯供給部4は、その前部において、ほぐし用回転体13、下保持回転体31、上保持回転体32、およびガイドローラ38の4つの回転体を有する。これら4つの回転体は、モータ等の駆動源からの回転駆動力を、ギア等の動力伝達部材を介して受けることで回転駆動する。なお、4つの回転体は、それぞれが独立したモータ等の駆動源により、あるいはギアやチェーンおよびスプロケット等の動力伝達機構を介して回転体間で共用された駆動源により回転駆動する。4つの回転体を回転駆動させるためのモータ等の駆動源や動力伝達機構等は、例えば、筐体8内や、右側の側面部11aの右側に付設された駆動ボックス39内等、米飯塊形成装置1が有する筐体内に設けられている。
米飯供給部4が有する4つの回転体の回転速度に関し、下保持回転体31、上保持回転体32、およびガイドローラ38は、ベルトコンベア12の搬送速度に合わせた比較的遅い速度で回転する。つまり、下保持回転体31、上保持回転体32、およびガイドローラ38の3つの回転体は、ベルトコンベア12の支持ローラ14の回転速度と略同じ回転速度で回転する。これに対し、ほぐし用回転体13は、上記の3つの回転体よりも速い速度で回転する。ほぐし用回転体13は、例えば、接触してきた米飯2を回転作用によって飛び散らせる程度に高速回転する。
具体的には、下保持回転体31、上保持回転体32、およびガイドローラ38の回転速度は、例えば、秒速数センチメートルである。これに対し、ほぐし用回転体13の回転速度は、例えば、2m/s程度である。ただし、これらの回転体の回転速度は可変であり、任意に設定される。
[米飯塊形成部の構成]
米飯塊形成部5の構成について、図1から図3、図8から図13を用いて説明する。米飯塊形成部5は、米飯供給部4から落下供給される米飯2の通路を形成するハウジング部41と、ハウジング部41内に設けられた篩部材42と、同じくハウジング部41内に設けられた塞止部材43とを有する。
ハウジング部41は、左側壁部44、右側壁部45、前壁部46、および後壁部47を有し、これらの壁部により、上下を開口させたボックス状に構成されている。ハウジング部41は、その上側の開口部を、全体的に供給口19に連通させている。
左側壁部44および右側壁部45は、左右方向の位置を、それぞれケース部11の左右の側面部11aに合わせ、各側面部11aの延設部11dの下側に設けられている。つまり、左側壁部44および右側壁部45は、左右の側面部11aの前側の部分を下方に向けて延長させた態様で設けられている。左側壁部44および右側壁部45は、側面視縦長矩形状の壁状部分である。
前壁部46および後壁部47は、左側壁部44および右側壁部45の前側面部間および後側面部間に架設された鉛直状の面部であり、前後方向に対向している。前壁部46は、前部カバー部20の前下傾斜面部20aの下端縁部の下側に設けられている。後壁部47は、筐体8の前面8aの前方に位置している。
ハウジング部41は、落下供給される米飯2の通路として左右両側の通路である左右の落下通路48(左側落下通路48A、右側落下通路48B)を形成している。具体的には、ハウジング部41内の左右中央部に、ハウジング部41の内部空間を左右に区画する隔壁部49が設けられており、隔壁部49により、ハウジング部41内において左側落下通路48Aおよび右側落下通路48Bが区画形成されている。すなわち、ハウジング部41内において、左側壁部44と隔壁部49との間の空間部分が、左側落下通路48Aとなっており、右側壁部45と隔壁部49との間の空間部分が、右側落下通路48Bとなっている。
そして、左側落下通路48Aおよび右側落下通路48Bのそれぞれに対して、篩部材42および塞止部材43が設けられている。このようにハウジング部41内に左側落下通路48Aおよび右側落下通路48Bを形成するとともに、各落下通路48に対して篩部材42および塞止部材43を設けた米飯塊形成部5は、左右の落下通路48の通路構成、ならびに篩部材42および塞止部材43の配置構成等について、左右対称に構成されている。
左右の落下通路48は、それぞれ下側を開口させており、この開口部が、各通路の排出口50となる。左側壁部44および右側壁部45それぞれの下面44a,45aと、隔壁部49の下面49aとは、水平状の平面であり、これらの下面が、各排出口50の開口端面となっている。
左右の落下通路48は、それぞれ下半部の通路幅(左右方向の寸法)を、上側から下側にかけて徐々に狭くしている。具体的には、左側壁部44および右側壁部45は、それぞれの下部において、左右内側の壁面として、上側から下側にかけて左右内側に向けて壁厚を徐々に厚くする外側傾斜面44b,45bを有する。また、隔壁部49は、その下部において、左右両側の壁面として、上側から下側にかけて左右両側に向けて壁厚を徐々に厚くする内側傾斜面49b,49bを有する。したがって、隔壁部49の下半部は、上側から下側にかけて徐々に壁厚を左右両側に向けて厚くし、略二等辺三角形状に沿う形状を有する。なお、隔壁部49の上部は、壁厚方向を左右方向とする鉛直状の壁部分となっている。
左右の落下通路48の各通路において、外側傾斜面44b,45bと、内側傾斜面49b,49bとは、略左右対称に形成されている。左右の落下通路48の各通路においては、外側傾斜面44b,45bおよび内側傾斜面49b,49bが、通路内を落下する米飯2に対するガイド面となり、各通路において米飯2を左右中央側に集める作用が得られる。
篩部材42について説明する。篩部材42は、米飯供給部4の供給口19から落下供給される米飯2を通過させる所定の大きさの隙間42aを形成し、落下供給される米飯2を隙間42aの大きさによって選り分けるための部材である。すなわち、米飯塊形成部5に供給される米飯2のうち、篩部材42の隙間42aよりも小さいものは、篩部材42を通過してそのまま落下し、隙間42aよりも大きいものは、篩部材42上から所定の場所へと導かれる。
図11および図12に示すように、篩部材42は、一定の長さを有する複数本の棒部51と、複数の棒部51を支持する支持杆部52とを有する。
棒部51は、円形状の横断面形状を有する直線棒状の部分である。本実施形態では、篩部材42は、8本の棒部51を有する。
支持杆部52は、直線棒状の部分であり、棒部51に直交する方向に配され、棒部51の一端側(基端側)の端部を固定状態で支持する。支持杆部52により、複数の棒部51は、平行かつ等間隔で配された状態で支持固定されている。
このように、篩部材42は、支持杆部52および複数の棒部51により、棒部51を歯とした櫛歯状に構成されている。つまり、篩部材42は、並列状に配列された複数の棒部51により、棒部51の長手方向に沿うスリット状の隙間をなす平面状の部分である櫛歯状面部53を形成している。隣り合う棒部51間のスリット状の間隙が、篩部材42の隙間42aとなる。隙間42aの大きさ(幅)は、例えば15~20mm程度である。
篩部材42は、支持杆部52の長手方向を前後方向とする向きで設けられている。また、篩部材42は、左右の落下通路48の各通路に対し、前壁部46および後壁部47の間において、前後方向の略全体にわたるように設けられている。
篩部材42は、所定の回動軸を中心として回動可能に設けられた回動部材である。篩部材42は、支持杆部52による複数の棒部51の支持側を回動支持部側とするとともに、前後方向を回動軸方向とし、櫛歯状面部53を回動させるように設けられている。
篩部材42は、その回動動作において、棒部51の先端側を下方に向けて櫛歯状面部53を鉛直状とすることで、落下通路48内を落下する米飯2に作用しない非作動状態となる。また、篩部材42は、その回動動作において、棒部51の先端側を斜め下方に向けて櫛歯状面部53を傾斜状とすることで、落下通路48内を落下する米飯2に作用する作動状態となる。作動状態の篩部材42において、櫛歯状面部53は、鉛直面に対して略45°の角度をなすように傾斜する。
左右の落下通路48のそれぞれに対して設けられた篩部材42は、回動軸を共通として同軸支持されている。すなわち、左側落下通路48Aに対して設けられた篩部材42である左側篩部材42Aと、右側落下通路48Bに対して設けられた篩部材42である右側篩部材42Bとが、共通の回動支持部55により同軸状に回動可能に支持されている。回動支持部55は、前後方向を軸方向とする支承部分であり、ハウジング部41内の上端部であって、隔壁部49の直上方の位置に設けられている。
左側篩部材42Aおよび右側篩部材42Bは、互いに独立して回動動作するように設けられている。具体的には、図12に示すように、左右の篩部材42を支持する回動支持部55は、外軸56と、外軸56の挿通孔56bを貫通する内挿軸57とからなる二重の軸構造を有する駆動軸部を含んで構成されている。外軸56および内挿軸57は、互いに相対回転可能に構成されている。内挿軸57は、左側篩部材42Aを回動させる駆動軸であり、外軸56は、右側篩部材42Bを回動させる駆動軸である。
各篩部材42は、回動支持部55を構成する部分であって駆動軸を支持する部分である軸支持筒部58を有する。篩部材42は、複数の棒部51と、支持杆部52と、軸支持筒部58とを有する一体の部品として構成されており、外軸56または内挿軸57とともに一体的に回動するように設けられている。
左側篩部材42Aは、軸支持筒部58として、支持杆部52の前端部に設けられた嵌合筒部59と、支持杆部52の後端部に設けられた貫通筒部60とを有する。これらの軸支持筒部58は、それぞれ筒状の部分であり、その中心軸の位置を、回動支持部55による回動軸線に一致させている。嵌合筒部59および貫通筒部60の外周面に、支持杆部52が固設されている。つまり、支持杆部52は、前後の軸支持筒部58間に架設された態様で設けられている。
嵌合筒部59には、内挿軸57の先端側の部分が相対回転不能に挿嵌されている。このため、内挿軸57の先端側の部分には、内挿軸57の横断面形状において互いに平行な辺をなす平面部を有する嵌合軸部57aが形成されている。一方、嵌合筒部59には、嵌合軸部57aの横断面形状に対応して嵌合軸部57aを相対回転不能に挿嵌させる嵌合孔部59aが形成されている。このような構成により、左側篩部材42Aは、内挿軸57と一体的に回動する。また、貫通筒部60は、外軸56を相対回転可能に貫通させる貫通孔60aを有する。
右側篩部材42Bは、軸支持筒部58として、支持杆部52の前端部に設けられた貫通筒部61と、支持杆部52の後端部に設けられた嵌合筒部62とを有する。これらの軸支持筒部58は、それぞれ筒状の部分であり、その中心軸の位置を、回動支持部55による回動軸線に一致させている。貫通筒部61および嵌合筒部62の外周面に、支持杆部52が固設されている。
嵌合筒部62には、外軸56の先端側の部分が相対回転不能に挿嵌されている。このため、外軸56の先端側の部分には、外軸56の横断面形状において互いに平行な辺をなす平面部を有する嵌合軸部56aが形成されている。一方、嵌合筒部62には、嵌合軸部56aの横断面形状に対応して嵌合軸部56aを相対回転不能に挿嵌させる嵌合孔部62aが形成されている。このような構成により、右側篩部材42Bは、外軸56と一体的に回動する。また、貫通筒部61は、外軸56から前方に突出した内挿軸57を相対回転可能に貫通させる貫通孔61aを有する。
回動支持部55においては、図11に示すように、前側から後側にかけて順に、左側篩部材42Aの嵌合筒部59、右側篩部材42Bの貫通筒部61、左側篩部材42Aの貫通筒部60、右側篩部材42Bの嵌合筒部62が同軸状に並んでいる。
外軸56および内挿軸57は、互いに独立して回転駆動するように、モータ等の所定の駆動源63に連結されており、駆動源63の駆動力により回動する(図3参照)。つまり、左側篩部材42Aおよび右側篩部材42Bは、駆動源63の制御により、互いに独立して回動動作の制御を受けるように設けられている。駆動源63は、外軸56および内挿軸57を独立して回転駆動可能な構成を有する一体的な構成のものであってもよく、外軸56および内挿軸57の各軸に対応するように別体として設けられたものであってもよい。外軸56および内挿軸57は、連結部材等を介して駆動源63に連結されている。駆動源63や連結部材等は、筐体8内に設けられている。回動支持部55は、筐体8の前面8aから前方に突設されている。
以上のように、ハウジング部41内の左右中央部に位置する回動支持部55において左右の篩部材42を同軸支持した構成において、左側篩部材42Aは、その非作動状態において、隔壁部49の上部の鉛直状の左側壁面49dに櫛歯状面部53を沿わせた状態となり、作動状態において、櫛歯状面部53の先端側を回動支持部55から左斜め下方向に向けた傾斜状態となる。同様に、右側篩部材42Bは、その非作動状態において、隔壁部49の上部の鉛直状の右側壁面49eに櫛歯状面部53を沿わせた状態となり、作動状態において、櫛歯状面部53の先端側を回動支持部55から右斜め下方向に向けた傾斜状態となる。
塞止部材43について説明する。塞止部材43は、米飯供給部4からハウジング部41内に供給された米飯2のうち篩部材42を通過しなかった米飯2を塞き止めてハウジング部41内に一時的に貯留するための部材である。すなわち、塞止部材43は、ハウジング部41内において篩部材42の下側に設けられており、篩部材42の櫛歯状面部53上を滑り落ちた米飯2を受け、その米飯2がそのまま排出口50から排出されないように一時的に塞き止める。
塞止部材43は、略矩形板状の部材であり、所定の回動軸を中心として回動可能に設けられた回動部材である。塞止部材43は、板面を前後方向に沿わせた向きで、上側の縁部に沿う支持軸部65により回動可能に支持されている。塞止部材43は、左右の落下通路48の各通路に対し、前壁部46および後壁部47の間において、前後方向の略全体にわたるように設けられている。つまり、塞止部材43は、前後方向について、前壁部46と後壁部47の間の間隔と略同じ寸法を有する。
塞止部材43は、正面視において、支持軸部65による支持側からその反対側である先端縁部43a側にかけて板厚を徐々に薄くしたテーパ形状を有する。つまり、塞止部材43は、正面視で先端側を頂点側とした細長い略二等辺三角形状に沿う形状を有する。
塞止部材43の支持軸部65は、前後方向を軸方向とする支承部部分であり、落下通路48における前後左右の略中央部の位置に設けられている。支持軸部65は、作動状態の篩部材42の櫛歯状面部53の下端部の下方近傍に位置している。つまり、篩部材42は、その作動状態において、櫛歯状面部53の下端部を、落下通路48における左右方向の略中央部に位置させている。
支持軸部65は、モータ等の所定の駆動源66に連結されており、駆動源66の駆動力により回動する(図3参照)。つまり、塞止部材43は、駆動源66の制御により回動動作の制御を受けるように設けられている。支持軸部65は、連結部材等を介して駆動源66に連結されている。駆動源66や連結部材等は、筐体8内に設けられている。支持軸部65は、筐体8の前面8aから前方に突設されている。
塞止部材43は、その回動動作において、先端縁部43a側を下方に向けて鉛直状となることで、落下通路48内を落下する米飯2に作用しない非作動状態となる。また、塞止部材43は、その回動動作において、先端縁部43a側を左右外側の斜め下方に向けて傾斜状となることで、篩部材42の櫛歯状面部53上を滑り落ちた米飯2を一時的に塞き止める作動状態となる。
すなわち、左側落下通路48A内の塞止部材43は、その作動状態において、先端縁部43a側を支持軸部65から左斜め下方向に向けた傾斜状態となり、右側落下通路48B内の塞止部材43は、その作動状態において、先端縁部43a側を支持軸部65から右斜め下方向に向けた傾斜状態となる。したがって、塞止部材43は、その非作動状態における左右外側の板面を、米飯2を受ける受面43bとしている。作動状態の塞止部材43は、鉛直面に対して略45°の角度をなすように傾斜している。
塞止部材43は、その作動状態において、先端縁部43aを、左側壁部44または右側壁部45の外側傾斜面44b,45bの中途部近傍に位置させている。ここで、塞止部材43の先端縁部43aは、外側傾斜面44b,45bに対して接触ないし略接触する(わずかな隙間を隔てる)。
塞止部材43は、作動状態となることで、前壁部46と後壁部47との間において、左側壁部44または右側壁部45の内側の壁面とともに、正面視で略「V」字状の溝部を形成し(図9、図10参照)、この溝部が、ハウジング部41内に一時的に貯留する貯留部68となる。すなわち、左側落下通路48A内においては、外側傾斜面44bの上部と塞止部材43の受面43bとにより貯留部68が形成され、右側落下通路48B内においては、外側傾斜面45bの上部と塞止部材43の受面43bとにより貯留部68が形成される。
以上のように各落下通路48に篩部材42および塞止部材43を設けた構成において、両者が作動状態となることで、篩部材42の櫛歯状面部53と、塞止部材43とにより、回動支持部55から、左側壁部44および右側壁部45それぞれの外側傾斜面44b,45bの中途部にかけて、段差状のスロープ状部分が形成された状態となる(例えば、図9の左側落下通路48A内参照)。すなわち、かかるスロープ状部分は、上半部を、隙間42aをなす櫛歯状面部53により、一部の米飯2を通過させる篩状の受面部とし、下半部を、櫛歯状面部53に対して一段低い位置かつ左右外側の位置にて、左側壁部44または右側壁部45とともに櫛歯状面部53を通過しなかった米飯2を貯留する貯留用の受面部としている。
また、米飯塊形成部5において、各落下通路48の排出口50の下方には、上段シャッター71と、上段シャッター71の下方に設けられた下段シャッター72とによる上下2段の開閉機構部が設けられている。
上段シャッター71は、左右スライド開閉タイプの開閉機構であり、その開閉動作によって、排出口50を開閉する。上段シャッター71は、左右対称的に左右方向に往復移動するように設けられた一対のスライド体73を有する。
スライド体73は、水平板状の外形を有する移動体であり、その上側の板面を、米飯2を受ける受面73aとしている。スライド体73は、受面73aを、その上側に位置する左側壁部44もしくは右側壁部45の下面44a,45a、または隔壁部49の下面49aに沿わせている。スライド体73の受面73aは、各下面44a,45a,49aに対して接触ないし略接触している。
スライド体73は、筐体8内に設けられたシリンダ機構等の駆動源74を含む駆動機構により左右方向に往復移動可能に設けられている。つまり、スライド体73は、駆動源74の制御によりスライド動作の制御を受けるように設けられている。
上段シャッター71は、左右のスライド体73を互いに近接させることで閉状態となり、左右のスライド体73を互いに離間させることで開状態となる。上段シャッター71は、その閉状態において、左右のスライド体73の受面73aを面一状に連続させ、排出口50を閉じて米飯2を受け止める閉塞面を形成する。上段シャッター71が閉状態から開状態となることで、受面73a上の米飯2は、スライド体73の左右外側への移動にともなって左側壁部44あるいは右側壁部45または隔壁部49に相対的に押される態様で、受面73a上から落とされ、排出口50から落下することになる。上段シャッター71が開状態となることで、排出口50は全面的に開口した状態となる。
下段シャッター72は、回動扉タイプの開閉機構であり、その開閉動作により、排出口50の下方に形成された米飯2の貯留空間の底部分を開閉する。すなわち、上段シャッター71と下段シャッター72との間には、前後左右の壁部を有し上下を開放させた四角筒状のケース部材75が設けられており、このケース部材75の下側の開放部が、閉状態の下段シャッター72により塞がれることで、米飯2を一時的に貯留するボックス状の貯留空間76が形成される。つまり、下段シャッター72が閉状態となることで、貯留空間76の底部が形成され、貯留空間76は上方から落下してくる米飯2を貯留可能な状態となる。
ケース部材75は、その上側の開放部を、上段シャッター71を介して排出口50に臨ませるように設けられており、上段シャッター71の開閉動作によって、排出口50を介した落下通路48と貯留空間76との連通状態・非連通状態が切り替えられる。すなわち、ケース部材75は、落下通路48の下側において、排出口50を介して落下通路48に連通する米飯2の落下通路を形成しており、ケース部材75の下側の開放部が、この落下通路の排出口80となる。下段シャッター72の開閉動作により、排出口80が開閉される。
下段シャッター72は、左右対称的に回動するように設けられた一対の開閉扉77を有する。開閉扉77は、略矩形板状の外形を有する回動体であり、板面を前後方向に沿わせた向きで、前後方向を回動軸方向とする支持軸部78により回動可能に設けられている。左右の開閉扉77の支持軸部78は、ケース部材75の左右の壁部の下縁部に沿うように設けられている。
支持軸部78は、筐体8内に設けられたモータ等の駆動源を含む駆動部79により回動可能に設けられている。つまり、開閉扉77は、駆動部79の制御により回動動作の制御を受けるように設けられている。支持軸部78は、筐体8の前面8aから前方に突設されている。
下段シャッター72は、左右の開閉扉77をその回動動作によって水平状態とすることで閉状態となり、左右の開閉扉77をその回動動作によって鉛直状態とすることで開状態となる。下段シャッター72は、その閉状態において、左右の開閉扉77の縁端部同士を突き合わせ、各開閉扉77の上面77aを面一状に連続させ、排出口80を閉じて米飯2を受け止める閉塞面を形成する。下段シャッター72が閉状態から開状態となることで、開閉扉77は鉛直状態となり、上面77a上の米飯2が排出口80から落下することになる。上段シャッター71が開状態となることで、排出口80は全面的に開口した状態となる。
また、下段シャッター72は、その閉状態において受け止めた米飯2の重量を計量する計量部としての機能を有する。具体的には、下段シャッター72は、左右の開閉扉77において支持軸部78を介して米飯2の重量を計量するように構成されている。支持軸部78が連結された駆動部79は、貯留空間76内の米飯2の重量を計量するための計量装置としてのロードセル(電子計り)81に連結されている(図3参照)。つまり、左右の開閉扉77が受けた米飯2の重量が、支持軸部78および駆動部79を介してロードセル81によって検出され、貯留空間76内の米飯2の重量が計測される。
ロードセル81により検出された米飯2の荷重は、電気信号に変換されて出力される。ロードセル81からの出力信号は、制御部10に入力される。下段シャッター72においてロードセル81により得られた米飯2の重量についての情報は、例えば、篩部材42、塞止部材43、上段シャッター71、および下段シャッター72等の動作制御に用いられる。
下段シャッター72は、ロードセル81により計量される米飯2の重量が予め設定された所定の重量に達することで開状態となり、排出口80から、所定の重量の米飯2からなる米飯塊3が排出される。米飯2は、貯留空間76内に貯留されることで、貯留空間76の形状に沿って平面視で略矩形状に緩く成形された状態となり、下段シャッター72が開くことで、略矩形板状の米飯塊3として排出口80から落下排出される。
このように、米飯塊形成部5は、塞止部材43の下方に設けられた構成として、米飯供給部4から落下供給された米飯2を一時的に受け止めて計量し、米飯塊3として送り出す米飯計量送出部82を有する。すなわち、米飯計量送出部82は、下段シャッター72と、下段シャッター72とともに貯留空間76を形成するケース部材75と、貯留空間76内の米飯2の重量を計量するためのロードセル81とを含む構成であり、かかる構成により、排出口80を開閉可能な計量バケットが構成されている。
なお、米飯計量送出部82は、例えば次のような構成のものであってもよい。すなわち、ケース部材75に対して開閉扉77を回動可能に支持し、貯留空間76内の米飯2の重量がケース部材75に作用するように構成する。そして、ケース部材75から後方に向けて重量検出用の支持軸を延出し、この支持軸をロードセル等の計量装置に連結させる。かかる構成によれば、貯留空間76内の米飯2の重量が、開閉扉77、ケース部材75、およびケース部材75の支持軸を介して、計量装置によって計測される。
[搬出搬送部の構成]
搬出搬送部6について、図1、図8および図13を用いて説明する。搬出搬送部6は、米飯塊形成部5の排出口80から落下排出された米飯塊3を受け、左方に向けて搬送する。
搬出搬送部6は、第1の搬送装置としての上流側ベルトコンベア91と、上流側ベルトコンベア91の下流側に設けられた第2の搬送装置としての下流側コンベア92とを有する。搬出搬送部6は、上流側ベルトコンベア91および下流側コンベア92により、左方向を搬送方向とする一連の搬送部を構成している。
上流側ベルトコンベア91は、右側落下通路48Bの下方の排出口80である上流側排出口80Bから落下供給される米飯塊3を受けて左方に搬送し、下流側コンベア92へと送り出す。下流側コンベア92は、上流側ベルトコンベア91の下流側に設けられており、左側落下通路48Aの下方の排出口80である下流側排出口80Aから落下供給される米飯塊3を受けて左方に搬送する。
上流側ベルトコンベア91は、脚部93によって床面7上における所定の高さ位置に設けられている。上流側ベルトコンベア91は、その搬送方向の前後両端部に前後方向を回転軸方向として設けられた支持ローラに対して無端状のコンベアベルト94を巻回状態で設けた構成を有する。上流側ベルトコンベア91は、コンベアベルト94の上面部分により、水平状の搬送面91aを形成している。上流側ベルトコンベア91は、上流側排出口80Bの下方に設けられている。
下流側コンベア92は、脚部95によって床面7上における所定の高さ位置に設けられている。下流側コンベア92は、その搬送方向の前後両端部に前後方向を回転軸方向として設けられた支持ローラに対して無端状のコンベアベルト96を巻回状態で設けた構成を有する。下流側コンベア92は、コンベアベルト96の上面部分により、水平状の搬送面92aを形成している。下流側コンベア92は、その始端部を、下流側排出口80Aの下方に位置させている。
下流側コンベア92は、その搬送面92aを、上流側ベルトコンベア91の搬送面91aに対してわずかに低い位置に位置させており、上流側ベルトコンベア91とともに段差状に連続した搬送面を形成している。下流側コンベア92は、上流側ベルトコンベア91に対して、搬送面91a上の米飯塊3が上流側ベルトコンベア91から下流側コンベア92にスムーズに引き継がれるように設けられている。下流側コンベア92の搬送面92aは、上流側ベルトコンベア91の搬送面91aと略同じ幅を有する。下流側コンベア92は、左方に向けて直線状に延設されている。
上流側ベルトコンベア91および下流側コンベア92は、互いに独立して搬送動作を行うように設けられている。上流側ベルトコンベア91および下流側コンベア92は、米飯塊形成部5からの米飯塊3の供給のタイミングに応じて、所定のタイミングで間欠的に搬送動作を行うように制御される。
搬出搬送部6は、下流側コンベア92の搬送方向の中間部分に対して、搬送面92a上の米飯塊3を整形するための米飯整形部100を有する。
図1および図13に示すように、米飯整形部100は、前側整形体101と、後側整形体102と、押圧整形体103とを有する。これらの整形体は、搬送面92a上の米飯塊3に作用する部材であり、いずれも下流側コンベア92の搬送面92aの幅方向の略全体にわたるように設けられている。
前側整形体101は、下流側コンベア92による搬送方向を板厚方向とする略板状の部材であり、支持ステー104を介して昇降機構部に連結されており、昇降動作するように設けられている。前側整形体101は、下部の右側(図13(a)における右側)に、米飯塊3の前端縁に接触する鉛直状の整形面101aを有する。
前側整形体101は、その下降端の位置において、下端面を下流側コンベア92の搬送面92aに接触ないし略接触した状態となり、整形面101aを搬送面92aの直上に位置させる。前側整形体101は、その上昇端の位置において、米飯整形部100により整形された後の米飯塊3Xが前側整形体101の下を通過可能な程度に搬送面92aから上昇した状態となる。
後側整形体102は、板面を前後方向に沿わせた略板状の部材であり、前後方向を軸方向とするスライド回動軸105により左右方向に往復移動可能かつ回動可能に設けられている。スライド回動軸105は、後側整形体102の一側の縁部に沿うように設けられ、後側整形体102を支持している。
後側整形体102は、スライド回動軸105の動作により、右端位置では水平状となり、左端位置では鉛直状となるように、左右方向の移動にともなって略90°の範囲で回動するように構成されている。後側整形体102は、鉛直状の姿勢で下部の左側(図13(a)における左側)に、米飯塊3の後端縁に作用する鉛直状の整形面102aを有する。
押圧整形体103は、上下方向を板厚方向とする略板状の部材であり、支持ステー106を介して昇降機構部に連結されており、昇降動作するように設けられている。押圧整形体103は、その下面を、米飯塊3に対して上側から押圧作用する押圧面103aとしている。
前側整形体101、後側整形体102、および押圧整形体103は、それぞれモータやシリンダ機構等の駆動機構により所定の動作を行うように構成されている。前側整形体101、後側整形体102、および押圧整形体103を動作させるための駆動機構や昇降機構部等を含む操作機構部は、下流側コンベア92の後側に設けられた筐体108内に設けられている。すなわち、前側整形体101を支持する支持ステー104、後側整形体102を支持するスライド回動軸105、および押圧整形体103を支持する支持ステー106は、筐体108内の操作機構部に連動連結されるとともに、筐体108から前方に突設されている。
以上のような構成を備えた米飯整形部100は、米飯塊3の整形動作として、例えば次のような動作を行う。図13(a)、(b)に示すように、米飯整形部100は、米飯塊3を受け入れるに際し、後側整形体102を水平状態とし、押圧整形体103を上昇端に位置させるとともに、前側整形体101を下降端に位置させた状態となる(図13(b)、矢印D1参照)。この状態で、米飯整形部100は、下流側コンベア92の搬送作用により、前側整形体101の整形面101aに米飯塊3の前端縁を接触させて米飯塊3を受け止める。
前側整形体101により米飯塊3を受け止めた後、後側整形体102を左方に移動させるとともに鉛直状態となるように回動させ(図13(b)、矢印D2参照)、整形面102aを米飯塊3の後端縁に接触させる。つまり、後側整形体102は、搬送面92a上を上流側から下流側に向けて払うように動作し、米飯塊3に作用する。これにより、米飯塊3が、前側整形体101および後側整形体102により前後に挟まれて圧縮整形される。
前側整形体101と後側整形体102により米飯塊3を挟んだ状態において、押圧整形体103が下降し(図13(b)、矢印D3参照)、押圧面103aを米飯塊3に接触させる。これにより、米飯塊3が搬送面92a上において上下方向に圧縮され、押圧面103aによって米飯塊3の上面が整えられる。結果として、米飯塊3は、下流側コンベア92の搬送方向の前後両側(左右両側)および上側から整形作用を受け、略矩形板状の米飯塊3Xとなる。
以上のような構成を備えた米飯塊形成装置1の全体的な動作について説明する。米飯塊形成装置1の動作制御においては、米飯供給部4における米飯2のほぐし、米飯塊形成部5における米飯塊3の送出、搬出搬送部6における米飯塊3の搬送・整形等が、一連の動作として連続的に行われるように、米飯塊形成装置1の制御部10により各部が制御される。
まず、例えば炊き立ての米飯2が、米飯塊形成装置1が備える図示せぬ投入装置により自動で、あるいは作業者により手動で、米飯供給部4のケース部11内に投入される。ケース部11内に投入された米飯2は、ベルトコンベア12の搬送面12a上に乗り、ベルトコンベア12によって前方に向けて比較的ゆっくりとした速度で搬送される。
ベルトコンベア12によって搬送される米飯2は、ガイドローラ38による規制を受けながら、下保持回転体31と上保持回転体32の間からほぐし用回転体13へと送られる。つまり、米飯2は、その下側において下保持回転体31の作用を受けるとともに、上側において上保持回転体32の作用を受ける。そして、米飯2は、米飯保持部材30としての下保持回転体31および上保持回転体32により保持されながら、つまりベルトコンベア12からそのまま落下することなく、比較的高速で回転するほぐし用回転体13によるほぐし作用を受ける。
特に、ベルトコンベア12により搬送された米飯2は、下保持回転体31により下側から支持されながらほぐし用回転体13に対して斜め下側からあてがわれる態様で保持される。ここで、下保持回転体31は、ベルトコンベア12に対して近接配置され、ベルトコンベア12と下保持回転体31との間から米飯2がこぼれ落ちないように設けられている。
ほぐし用回転体13等によりほぐされた米飯2は、供給口19から落下して米飯塊形成部5の左右の落下通路48に供給される。すなわち、米飯2は、ベルトコンベア12の搬送作用、および下保持回転体31および上保持回転体32による送り作用によって、ほぐし用回転体13に押し付けられる態様で順次ほぐされ、供給口19へと落下する。米飯供給部4においては、下保持回転体31および上保持回転体32によっても、米飯2に対するほぐし作用が得られる。
米飯供給部4でほぐされて米飯塊形成部5に供給された米飯2は、左右の落下通路48内を通過し、貯留空間76内に貯留されながら、下段シャッター72による計量を受ける。そして、下段シャッター72により計量される米飯2の重量が、予め設定された重量に達すると、下段シャッター72が開き、緩く成形された米飯塊3が排出口80から順次排出される。
ここで、計量部としての下段シャッター72により計測される重量について予め設定される重量である第1設定重量が200グラムである場合を例にとり、米飯塊形成部5の各部の動作の一例について説明する。
図8には、米飯塊形成部5の動作状態として、左右の落下通路48について、上段シャッター71が開状態、下段シャッター72が閉状態となっており、篩部材42および塞止部材43がいずれも非作動状態となっている状態が示されている。このような状態において、左右の落下通路48に供給された米飯2は、排出口50を通過して下段シャッター72に塞き止められ、貯留空間76内に貯留される。ここでは、米飯供給部4から供給される米飯2として、比較的大きい塊を含んだ米飯2がそのまま貯留空間76内に貯留される。
そして、貯留空間76内に貯留された米飯2の重量が、200グラムよりも所定量小さい重量である第2設定重量に達すると、篩部材42および塞止部材43が作動状態となる(図9、矢印E1、矢印E2参照)。これにより、米飯塊形成部5に供給される米飯2は、塊の大きさに応じて篩部材42により選り分けられ、篩部材42を通過した比較的小さい塊の米飯2が、貯留空間76へと導かれることになる。一方、篩部材42を通過しなかった比較的大きい塊の米飯2は、篩部材42上を滑り落ち、塞止部材43によりガイドされ、塞止部材43により落下通路48内に形成された貯留部68に貯留される。
そして、貯留空間76内に貯留された米飯2の重量が、200グラムに達すると、下段シャッター72が開き、貯留空間76内において緩く成形された米飯塊3が、排出口80から上流側ベルトコンベア91の搬送面91a上または下流側コンベア92の搬送面92a上に落下する。下段シャッター72が開状態となっている間(詳細には下段シャッター72の開き動作の開始時点から閉じ動作の終了時点までの間)は、上段シャッター71が閉状態となり、米飯2が排出口50から搬送面91a,92a上に直接落下することが防止される。
下段シャッター72は、開状態となって米飯塊3を落下させた後、閉状態となる。下段シャッター72が閉状態となった後、上段シャッター71が開き、所定のタイミングで、篩部材42および塞止部材43が非作動状態となる(図9、矢印F1、矢印F2参照)。これにより、貯留部68内に貯留された米飯2は、外側傾斜面44bまたは外側傾斜面45b上を落下して、貯留空間76に導かれる。
貯留部68から貯留空間76に導かれる米飯2は、篩部材42を経ることなく貯留空間76に直接貯留される米飯2ととともに、貯留空間76内に貯留される。塞止部材43が非作動状態となることで、貯留部68に貯留された米飯2が一気に貯留空間76内に供給されることになるが、貯留空間76内の米飯2の重量が第1設定重量を超えることがないように、塞止部材43が非作動状態となるタイミングは、例えば、下段シャッター72が閉じた直後であって、貯留空間76内に対する米飯2の供給期間の初期のタイミングとされる。
その後は、上述した場合と同様に、貯留空間76内に貯留された米飯2の重量が第2設定重量に達することで、篩部材42および塞止部材43が作動状態となり、貯留空間76内に貯留された米飯2の重量が第1設定重量に達することで、下段シャッター72が開状態となり(図10、矢印G1参照)、排出口80から米飯塊3が排出される(図10、矢印H1参照)。
このように、貯留空間76内に貯留された米飯2の重量に基づき、米飯塊形成部5の各部の動作制御を行うことにより、貯留空間76内に貯留された米飯2の重量が200グラムに近い値になると、篩部材42の作用によって貯留空間76に供給される米飯2の塊の大きさが比較的小さくなる。これにより、貯留空間76内の米飯2の計量の精度が向上する。第2設定重量は、例えば、第1設定重量よりも小さく、第1設定重量の半分の量よりも大きい重量である。第1設定重量が200グラムである本例では、第2設定重量は、例えば170グラムまたは180グラムである。
なお、図9には、米飯塊形成部5の動作状態として、左右の落下通路48について、上段シャッター71が開状態、下段シャッター72が閉状態となっており、左側落下通路48Aにおいては、篩部材42および塞止部材43がいずれも作動状態となっており、右側落下通路48Bにおいては、篩部材42および塞止部材43がいずれも非作動状態となっている状態が示されている。
また、図10には、米飯塊形成部5の動作状態として、左側落下通路48Aについて、上段シャッター71が閉状態、下段シャッター72が開状態となっており、右側落下通路48Bについて、上段シャッター71が開状態、下段シャッター72が閉状態となっており、左右の落下通路48において、篩部材42および塞止部材43がいずれも作動状態となっている状態が示されている。
このように、米飯塊形成部5においては、左右の落下通路48のそれぞれに対して設けられた各種動作部は、左右の貯留空間76内における米飯2の貯留状態に応じて、互いに独立して動作するように構成されている。つまり、左右の落下通路48の各種動作部の動作は、左右で互いに独立した制御を受ける。
上流側排出口80Bから上流側ベルトコンベア91上に落下した米飯塊3は、上流側ベルトコンベア91から下流側コンベア92に引き継がれ、下流側コンベア92により搬送される。また、下流側排出口80Aから下流側コンベア92上に落下した米飯塊3は、そのまま下流側コンベア92により搬送される。
下流側コンベア92により搬送される米飯塊3は、米飯整形部100によって整形された後、略矩形板状の米飯塊3Xとして、下流側コンベア92により所定の場所まで搬送される。米飯塊3Xは、例えば、弁当用の米飯として用いられ、所定の供給装置により自動で、あるいは作業者により手動で、弁当箱に詰められる。
以上のような構成を備えた本実施形態に係る米飯塊形成装置1によれば、1箇所のほぐし部であっても米飯2に対して十分なほぐし作用を与えることができ、米飯2のダメージを低減することができるとともに、計量部で計量される米飯2の重量の精度を確保することができる。
すなわち、本実施形態に係る米飯塊形成装置1は、米飯供給部4のベルトコンベア12とほぐし用回転体13との間において、ほぐし用回転体13に対して米飯2を一時的に保持するための米飯保持部材30を有する。これにより、ベルトコンベア12により搬送されてきた米飯2が引っ張り込まれることを防止することができ、米飯2をほぐし用回転体13の作用を受ける位置で一時的に保持することができるので、米飯2に対してほぐし用回転体13によるほぐし作用を十分に与えることができる。
特に、第1の米飯保持部材としての下保持回転体31は、複数のほぐし用突部17を有し、ほぐし用回転体13に対して外縁部を噛合状にオーバーラップさせるように構成されている。このような構成によれば、ほぐし用回転体13と下保持回転体31とのオーバーラップ部分において、米飯2に対して剪断作用を与えることが可能になり、効果的に米飯2をほぐすことができる。
例えば、ベルトコンベア12をほぐし用回転体13側に延設し、ベルトコンベア12の終端をほぐし用回転体13の近傍に位置させ、ベルトコンベア12により搬送された米飯2を直接ほぐし用回転体13に作用させる構成を想定する。このような構成によれば、ベルトコンベア12により搬送された米飯2が引っ張り込まれ、米飯2に対してほぐし用回転体13を十分に作用させることが難しく、供給口19に供給される米飯2において十分にほぐされない部分が生じやすくなる。
これに対し、本実施形態に係る米飯塊形成装置1によれば、上述のとおり、米飯保持部材30によって米飯2に対してほぐし用回転体13を十分に作用させることができる。これにより、ほぐし部としては、米飯供給部4の前部の1箇所だけであっても、米飯2に対して十分なほぐし作用を与えることができる。したがって、米飯2がほぐし部によるほぐし作用を受ける回数を極力減らすことが可能となり、米飯2が受ける飯粒の切断や潰れ等のダメージを低減することができる。そして、ほぐし部において十分なほぐし作用を得ることができるため、計量部としての下段シャッター72で計量される米飯2の重量の精度を確保することができる。
また、本実施形態に係る米飯塊形成装置1は、米飯保持部材30として、下保持回転体31および第2の米飯保持部材としての上保持回転体32を有する。このような構成によれば、ほぐし用回転体13に作用させる米飯2を上下から保持することができるので、ほぐし用回転体13に対する米飯2の保持作用を向上させることができる。これにより、ほぐし用回転体13によるほぐし作用を米飯2に対して効果的に与えることが可能となる。
また、本実施形態に係る上保持回転体32は、回転軸部36と複数のピン部37とを含む。このような構成によれば、米飯2への過度な作用を抑えることができ、米飯2を傷めることなく、ほぐし用回転体13に対する米飯2の保持作用を向上させることができる。これにより、ほぐしにともなって米飯2が受けるダメージを効果的に低減することができる。
特に、上保持回転体32は、ほぐし用回転体13に対して外縁部を噛合状にオーバーラップさせるように構成されている。このような構成によれば、ほぐし用回転体13と上保持回転体32とのオーバーラップ部分において、米飯2に対して剪断作用を与えることが可能になり、効果的に米飯2をほぐすことができる。
また、本実施形態に係る米飯塊形成装置1は、米飯塊形成部5において、篩部材42と塞止部材43とを有する。このような構成によれば、篩部材42によって比較的細かい米飯2を選り分けることができ、貯留空間76へと導くことが可能となるので、米飯塊形成部5の排出口80から排出される米飯塊3の重量の精度を向上することができる。本実施形態では、下段シャッター72で計量される米飯2の重量の精度を向上させることができ、米飯塊3の重量の精度を向上することができる。
なお、下段シャッター72の開閉動作については、時間に基づく動作制御を行う構成であってもよい。このような構成においても、篩部材42によって選り分けられた比較的細かい米飯2を貯留空間76へと導くことが可能になることで、排出口80から排出される米飯塊3の重量の精度を向上することができる。
また、本実施形態に係る米飯塊形成装置1は、米飯塊形成部5において、米飯計量送出部82を有する。このような構成によれば、米飯計量送出部82による計量値に基づいて篩部材42および塞止部材43の動作制御を行うことが可能となり、所定の重量の米飯塊3を効率良く排出することが可能となる。
すなわち、例えば、貯留空間76に貯留された米飯2の重量が所定の重量(第1設定重量)に近付くまでは、篩部材42を非作動状態として、比較的大きな塊の米飯2であっても貯留空間76に貯留させ、貯留空間76に貯留された米飯2の重量が所定の重量に近付いた後は、篩部材42を作動状態として、貯留空間76に対して比較的小さい塊の米飯2のみを送り込むことができる。つまり、貯留空間76に対する米飯2の供給として、短時間で多くの量を米飯2を送り込む大まかな供給と、比較的小さい塊の米飯2のみを送り込む細やかな供給との2段階の供給を行うことが可能となる。これにより、効率的な米飯塊3の形成と、計量部による計量精度向上の両立を図ることが可能となる。
また、本実施形態に係る米飯塊形成部5は、左右の落下通路48を有し、各落下通路48に対して篩部材42および塞止部材43を設け、左右の篩部材42を共通の回動支持部55により互いに独立して動作可能に支持した構成を備える。このような構成によれば、例えば左右の篩部材42を別々の支持部により軸支した構成に比べ、簡単な構成により、左右両側の落下通路48に対して篩部材42を設けることが可能となる。
また、本実施形態では、篩部材42および塞止部材43の配置に関し、篩部材42をハウジング部41内における左右中央部に軸支するとともに、塞止部材43を篩部材42の軸支部に対して左右外側の位置に軸支した構成を備える。このような構成によれば、ベルトコンベア12に対する米飯2の供給態様により、左右方向については端部よりも中間部の方が比較的多く米飯2が供給される部分となる傾向にあることから、ハウジング部41内に供給される米飯2を篩部材42に対して確実に作用させることができ、篩部材42による作用を効果的に得ることができる。
また、本実施形態では、搬出搬送部6において、上流側排出口80Bから排出される米飯塊3を受ける上流側ベルトコンベア91を、下流側排出口80Aから排出される米飯塊3を受ける主な下流側コンベア92と別構成として設けている。このような構成によれば、それぞれの搬送動作を独立して制御することにより、下流側コンベア92の下流側に導かれる米飯塊3間の間隔を調整することが可能となる。これにより、米飯整形部100による米飯塊3の整形動作をテンポ良くスムーズに行うことが可能となる。
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係る米飯塊形成装置は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
上述した実施形態では、左右の落下通路48に対して設けられた篩部材42は同軸支持されているが、これらの篩部材42はそれぞれ独立して支持された構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、ハウジング部41内は、左右の落下通路48に区画されているが、ハウジング部41内において左右に区画されていない単一の落下通路を設けた構成であってもよい。
また、米飯供給部4においては、例えば、ベルトコンベア12およびガイドローラ38を左右に2分割した構成が採用されてもよい。すなわち、例えば、図14に示すように、左右の落下通路48に対応するように、ベルトコンベア12を、左コンベア部12Aと右コンベア部12Bによる分割構造とするとともに、ガイドローラ38を、右ローラ部38Aと左ローラ部38Bによる分割構造とした構成であってもよい。
左コンベア部12Aおよび右コンベア部12Bは、面一状の搬送面12aを形成するとともに、互いに独立した動作制御を受ける。また、右ローラ部38Aおよび左ローラ部38Bは、外形的には一体的なローラ形状をなすとともに、互いに独立した動作制御を受ける。
このような左右分割構造によれば、左右の落下通路48についての貯留部68や貯留空間76における米飯2の貯留状況等によって、左右の落下通路48に対する米飯2の供給を別々に制御することが可能となる。これにより、米飯塊形成部5において連続的な米飯塊3の形成を円滑に行うことができる。
さらに、図示は省略するが、ほぐし用回転体13、下保持回転体31、および上保持回転体32についても、図14に示すようなベルトコンベア12およびガイドローラ38の左右分割構造に対応して、互いに独立した動作制御が可能な左右分割構造とすることができる。