本発明は、米飯を所定量ずつ分けて送り出す米飯分割装置において、供給部から供給された米飯を受けてから所定量ずつ分けて送り出すまでの米飯の経路部分の構成を工夫することにより、米飯を傷めることなくふっくらとした良好な品質の米飯を得るとともに、米飯塊の量の変更の容易化を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、図1および図2を用いて、本実施形態に係る米飯分割装置1の全体的な構成について説明する。なお、米飯分割装置1の説明においては、図2に示す側を前側、その反対側を後側とし、米飯分割装置1の前面視での左右を、米飯分割装置1における左右とする。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る米飯分割装置1は、米飯を所定量ずつ分けて送り出すものであり、米飯を一時的に貯留して供給する米飯供給部2と、米飯供給部2により供給される米飯を受けて所定量の米飯塊(米飯群)10として送り出す主供給経路部3と、主供給経路部3から送り出された米飯塊10に米飯を補填する米飯補填部4とを備える。また、米飯分割装置1は、主供給経路部3から送り出された米飯塊10を搬出する搬出搬送部5を備える。
また、米飯分割装置1は、上記の各部を制御する制御部(図示略)を備える。米飯分割装置1が備える制御部は、CPU、各種プログラムやデータ等を記憶したメモリ等を有し、米飯分割装置1が備える各種センサの出力等に基づいて、米飯分割装置1の各動作部の駆動制御を含む全体的な制御を行う。
米飯供給部2は、米飯分割装置1が有する筐体6の上側に設けられている。米飯供給部2は、米飯を一時的に貯留する貯留容器としてのホッパ11を有する。ホッパ11には、上側の開口11aから炊き上がった米飯が投入される。ホッパ11内には、米飯を所定の方向に搬送してホッパ11外に排出するためのコンベアと、ホッパ11内の米飯12を解すための解し用回転体とが設けられている。
ホッパ11内のコンベアは、ホッパ11の下部に設けられており、ホッパ11の底部に設けられた供給口11bに向けてホッパ11内の米飯12を搬送する。解し用回転体は、例えば、平面視においてコンベアの搬送方向に垂直な方向に架設された回転軸に螺旋状の羽根が設けられた構成のものである。ホッパ11内の米飯12は、解し用回転体により解されながらコンベアによって搬送され、供給口11bから排出される。供給口11bは、ホッパ11の底部における前側の部分に開口している。
米飯供給部2の下方に位置する筐体6は、壁面を前後に向ける隔壁6aにより、前後の収納空間に区画されている。前側の収納空間内、つまり隔壁6aの前側に、米飯に作用する主供給経路部3や米飯補填部4等の各構成が設けられている。また、後側の収納空間内、つまり隔壁6aの後側には、米飯分割装置1が備えるコンベアや各種ローラの駆動源や動力伝達系、各種配線等が設けられている。
ホッパ11の供給口11bから排出された米飯は、傾斜状に配されたガイド板13により、主供給経路部3へと導かれる。ガイド板13は、略矩形平板状の外形を有し、一方の板面を米飯のガイド面13aとする。ガイド板13は、上端部をホッパ11の供給口11bに臨ませ、左側から右側にかけて下るように、つまりガイド面13aを右下がりの傾斜面とするように傾斜状に設けられている。また、ガイド板13は、隔壁6aに対して垂直状に設けられている。
このような構成により、ホッパ11の供給口11bから排出された米飯12は、ガイド板13のガイド面13a上に落下し、ガイド面13a上を左上側から右下側へと滑落し、主供給経路部3へと導かれる(図2、矢印A1参照)。
また、ホッパ11内の米飯12は、主供給経路部3に対して、米飯の搬送方向の下流側となる左側に位置する米飯補填部4にも供給される。このため、ガイド板13には、補填供給用に動作する可動ガイド板14が設けられている。
可動ガイド板14は、筐体6内において固定された状態で設けられるガイド板13の本体板部に対して移動する可動部分として設けられている。可動ガイド板14は、ガイド板13の上端部の幅方向の中間部がガイド板13の本体板部に対して別体として分割された態様で設けられた矩形板状の部分である。したがって、可動ガイド板14は、ガイド板13の本体板部と平行な状態、つまり本体板部の可動ガイド板14の外形に沿う開口部内に納まった状態で、本体板部と略面一の状態となり、ガイド面13aの一部を形成する。
可動ガイド板14は、その下端部に設けられた軸支部14aにより、ガイド板13の本体板部に対して、ガイド板13の幅方向(前後方向)を回動軸方向として、回動可能に支持された状態で設けられている。可動ガイド板14は、ガイド板13の本体板部と平行な状態(以下「収納状態」という。)から、本体板部に対して略垂直状に突出した状態(以下「補填動作状態」という。)となるまでの範囲で、回動可能に設けられている(図2、矢印B1参照)。可動ガイド板14は、収納状態においてガイド面13aの一部をなす側の板面と反対側の板面を、補填動作状態におけるガイド面とする。可動ガイド板14が補填動作状態となることで、ホッパ11の開口11aから排出される米飯12の一部が、米飯補填部4側に供給される。
可動ガイド板14は、モータ等の駆動源により、軸支部14aを中心として回動動作する。可動ガイド板14の動作は、米飯分割装置1が備える制御部によりセンサ出力等の所定の条件に基づいて制御される。このように、米飯分割装置1は、可動ガイド板14の動作によって、ホッパ11の供給口11bから排出される米飯について、主供給経路部3への供給(主供給)と、米飯補填部4への供給(補填)との振り分けが行われるように構成されている。
主供給経路部3は、筐体6の前側の収納空間、つまり筐体6内における隔壁6aの前側の空間を、米飯の一時貯留空間および移動経路として、米飯を所定の経路に沿って移動させ、その移動の過程で、米飯に対して均し・解し作用を与え、米飯塊10として米飯を所定量ずつ分けて送り出す。
主供給経路部3は、米飯の経路部として、ホッパ11の供給口11bからガイド板13により供給される米飯を受けてそのまま右側に移動させる上段経路部7aと、上段経路部7aを経た米飯を下方に導く中間経路部7bと、中間経路部7bを経た米飯を左側に移動させる下段経路部7cとを有する。すなわち、主供給経路部3は、ガイド板13に沿って落ちてきた米飯を上段経路部7aにより一旦右側に搬送し(矢印C1参照)、中間経路部7bによって米飯の自重による落下作用により下方に導くとともに、下段経路部7cにより折り返して左側に搬送する(矢印C2参照)折返しの(Uターン状の)搬送経路を構成している。
主供給経路部3から送り出された米飯塊10は、搬出搬送部5により搬出される。搬出搬送部5上において、米飯塊10は、所定の条件のもと米飯補填部4による米飯の補充を受ける。主供給経路部3の詳細な構成については後述する。
米飯補填部4は、主供給経路部3から送り出される米飯の計量結果に基づいて米飯塊10に対して不足分の米飯を補填する。米飯補填部4は、図2に示すように、補填動作状態の可動ガイド板14により導かれた米飯を受けて落下させる補填用供給経路部16と、補填用供給経路部16の下側に設けられ、複数のローラ等を配置した米飯解し供給部17とを有する。
補填用供給経路部16は、筐体6の隔壁6aに対して垂直状、かつ上下方向に沿って設けられた互いに略平行な一対の経路形成板部18a,18bにより構成されている。左右方向に互いに対向する経路形成板部18a,18bにより、可動ガイド板14により導かれた米飯が落下する上下方向の補填用供給経路16aが形成されている。
米飯解し供給部17は、一対の大径ローラ19,19と、一対の大径ローラ19,19の下方に設けられた一対の小径ローラ20,20と、一対の小径ローラ20,20の下方に設けられた羽根部材21とを有する。大径ローラ19、小径ローラ20、および羽根部材21は、いずれも前後方向を回転軸方向として回転可能に設けられている。
一対の大径ローラ19,19、一対の小径ローラ20,20、および一つの羽根部材21は、補填用供給経路16aの下側開口の左右方向の中心位置を基準に左右対称に配置されている。したがって、羽根部材21は、その回転中心を、左右の大径ローラ19,19の中心位置および左右の小径ローラ20,20の中心位置を通る上下方向に沿う直線上に位置させる。羽根部材21は、筒状あるいは棒状の回転軸部と、回転軸部の周囲に所定の間隔で突設された複数の羽根体とを有する。
米飯解し供給部17においては、一対の大径ローラ19,19および一対の小径ローラ20,20により所定量の米飯を供給する供給部が構成され、この供給部を経た米飯が、羽根部材21により解されて落下する(矢印D1参照)。
羽根部材21の左右両側には、羽根部材21を挟むように、一対のガイド体22が設けられている。ガイド体22は、その上方の供給部から供給される補填用の米飯を羽根部材21周りに保持し、羽根部材21による米飯の解し作用を均一化させる。また、ガイド体22は、羽根部材21により解されて落下する米飯をガイドし、搬出搬送部5上において米飯が散らかることを防止する。
一対の大径ローラ19,19は、米飯分割装置1が備える制御部により、補填する米飯の量に応じて所定量ずつ間欠的に回転するように制御される。一対の大径ローラ19,19間の隙間面積およびローラ回転量に基づき、一対の大径ローラ19,19の回転量の制御により、補填用として所望の量の米飯が送出される。
以上のような構成の米飯補填部4によれば、補填用供給経路部16に供給された米飯が、米飯解し供給部17において羽根部材21とガイド体22との間で均等に解された状態で、米飯補填部4の下方に位置する搬出搬送部5上に落下し、米飯塊10に補充される。
搬出搬送部5は、水平状に配されたベルトコンベア25を有する。ベルトコンベア25は、搬送方向前後の搬送端に位置するローラ26と、これらのローラ26に巻回された搬送ベルト27とを有し、上側の面を搬出搬送面5aとする。前後のローラ26は、その回転軸方向を前後方向とする。
ベルトコンベア25は、右から左に向かう方向を搬送方向とし、搬送上流側となる右側の搬送端を、主供給経路部3から送り出される米飯塊10を受ける位置に位置させ、米飯補填部4の下方を経て、搬送下流側となる左側に延設されている。ベルトコンベア25は、前後方向について、筐体6の隔壁6aよりも前側に位置し、搬送方向後端部(右側端部)を、隔壁6aの前側に位置させる。このように、搬出搬送部5は、主供給経路部3に対して米飯の搬送方向の下流側に設けられ、主供給経路部3から送り出された米飯塊10を搬出する搬出搬送面5aを有する。
主供給経路部3について詳細に説明する。図3に示すように、主供給経路部3は、第1の搬送部としての上段コンベア31と、上段コンベア31の上方に設けられた解しローラ32と、第2の搬送部としての計量コンベア33と、計量コンベア33の上方に設けられた掻出しローラ34と、解しローラ32と横並びに設けられた保持ローラ35とを備える。
上段コンベア31は、搬送方向後側の搬送端に設けられた大径のローラ36と、搬送方向前側の搬送端部に設けられた2つの小径のローラ37,37と、これらのローラに巻回された搬送ベルト38とを有する。上段コンベア31を構成するローラ36,37は、いずれもその回転軸方向を前後方向とする。上段コンベア31は、その全体を、筐体6の隔壁6aの前側に位置させる。
上段コンベア31は、供給された米飯を搬送する第1の搬送面として、略水平状の上段搬送面31aを有する。上段コンベア31は、右から左に向かう方向を搬送方向とし、搬送上流側となる右側の搬送端を、筐体6の前側の収納空間内における右側端に位置させ、同収納空間内において、上下方向の略中央部に、かつ右側の略半分にわたって設けられている。上段コンベア31の上段搬送面31aは、ベルトコンベア25の搬出搬送面5aよりも高い位置にある。
解しローラ32は、上段コンベア31の上段搬送面31aの上方に設けられ、上段搬送面31a上の米飯に作用して米飯を解すためのローラである。解しローラ32は、その回転軸32aの方向を前後方向とし、上段コンベア31の幅寸法と略同じ長さを有する。
本実施形態では、解しローラ32は、上段コンベア31の上段搬送面31aに沿って2個並設されている。つまり、2個の解しローラ32は、略水平方向に横並びに互いに隣り合うように設けられている。2個の解しローラ32のうち、右側の解しローラ32Aは、上段コンベア31の上段搬送面31aの搬送方向の略中央部の上方に位置する。また、左側の解しローラ32Bは、ガイド板13の下端部に対して右下方に位置する。
解しローラ32は、その外周面部に凹凸を有する。解しローラ32は、外周面部の凹凸を形成する部分として、解しローラ32の回転軸方向(長手方向)に沿って設けられた複数の突条32bを有する。突条32bは、解しローラ32の回転軸方向の全体にわたって設けられている。突条32bは、解しローラ32の周方向について等間隔で連続的に設けられている。図3に示す例では、各解しローラ32において、15個の突条32bが設けられている。
突条32bは、解しローラ32の横断面形状において、解しローラ32の径方向に沿う第1辺部と、第1辺部に対して鋭角をなす斜辺部である第2辺部とにより、略直角三角形状に沿う山型の突起形状をなす。なお、突条32bにおいては、第1辺部側が、解しローラ32の回転方向における前側となる。
解しローラ32は、米飯分割装置1の前面視において右回りに回転する(図3、矢印E1参照)。2つの解しローラ32は、それぞれが独立したモータ等の駆動源により、あるいはチェーンおよびスプロケット等の動力伝達機構を介してローラ間で共用された駆動源により回転駆動する。なお、解しローラ32を回転駆動させるためのモータ等の駆動源や動力伝達機構は、上述のとおり隔壁6aの後側の収納空間内に設けられている。つまり、解しローラ32の回転軸32aは、隔壁6aを貫通し、隔壁6aの後側において回転動力の入力を受ける。
以上のように上段コンベア31の上方に横並びで並設された2つの解しローラ32は、回転しながら、突条32bによる凹凸形状部分を、上段搬送面31a上を搬送される米飯に対して上方から作用させて米飯を解す。すなわち、上段コンベア31上の米飯が、上段搬送面31aと2つの解しローラ32との間に挟まれた状態で、上段コンベア31上を搬送されながら、解しローラ32による作用を受けることで、例えば米飯において存在する塊が解され、米飯の疎密度合が均一化される。
計量コンベア33は、搬送方向後側の搬送端に設けられた大径のローラ39と、搬送方向前側の搬送端部に設けられた2つの小径のローラ40,40と、これらのローラに巻回された搬送ベルト41とを有する。上段コンベア31を構成するローラ39,40は、いずれもその回転軸方向を前後方向とする。計量コンベア33は、その全体を、筐体6の隔壁6aの前側に位置させる。計量コンベア33は、上段コンベア31と略同じ幅寸法を有する。
計量コンベア33は、略水平状の搬送面である下段搬送面33aを有する。計量コンベア33は、下段搬送面33a上の米飯の重量を計量するためのロードセル(電子計り)を有する。ロードセルにより検出された米飯の荷重は、電気信号に変換されて出力される。ロードセルからの出力信号は、米飯分割装置1が備える制御部に入力される。計量コンベア33においてロードセルにより得られた米飯の重量についての情報は、制御部において、米飯補填部4における大径ローラ19の動作制御、つまり補填用の米飯の送出量の制御に用いられる。制御部は、例えば、米飯塊10の重量について予め設定された規定重量と、計量コンベア33による計量結果の重量との差を算出し、その差分の重量の米飯を補填するように、米飯補填部4を制御する。
計量コンベア33は、上段コンベア31と同様に右から左に向かう方向を搬送方向とし、搬送上流側となる右側の搬送端を、上段コンベア31の搬送下流側となる左側の搬送端部の下方に位置させる。つまり、計量コンベア33は、上段コンベア31の左下側に位置し、上段コンベア31に対する搬送下流側の下段コンベアとなる。このように、計量コンベア33は、上段コンベア31に対して米飯の搬送方向の下流側に設けられ、上段コンベア31により搬送された米飯を受ける第2の搬送面としての下段搬送面33aを有する。
また、計量コンベア33の下段搬送面33aは、ベルトコンベア25の搬出搬送面5aよりもわずかに高い位置にある。そして、計量コンベア33は、その搬送方向前端部を、ベルトコンベア25の搬送方向後端部の上方に位置させ、ベルトコンベア25に略連続するように設けられている。計量コンベア33から送り出される米飯(米飯塊10)は、ベルトコンベア25の搬出搬送面5aにより受けられる。
掻出しローラ34は、計量コンベア33の上方に設けられ、上段コンベア31の上段搬送面31aから計量コンベア33の下段搬送面33aに送られる米飯を上段搬送面31a上から掻き出すためのローラである。掻出しローラ34は、解しローラ32と同様に、回転軸34aの方向を前後方向とし、上段コンベア31の幅寸法と略同じ長さを有する。
掻出しローラ34は、解しローラ32よりも大径のローラであり、上段コンベア31に対して搬送方向前方(左方)の位置に設けられている。掻出しローラ34は、その外周端を、上段コンベア31の搬送前端に対して干渉しない程度に近接させた位置に設けられている。また、掻出しローラ34は、上下方向については、解しローラ32よりも低い位置に設けられている。
掻出しローラ34は、その径方向外側に向けて放射状に突出する複数の突片部34bを有する。突片部34bは、掻出しローラ34の周方向および軸方向について等間隔で連続的に設けられている。図3に示す例では、掻出しローラ34の回転軸方向視で、20個の突片部34bが設けられている。
突片部34bは、長手方向を掻出しローラ34の略径方向に沿わせる略矩形板状の突出部分である。突片部34bは、基部側から先端側にかけて徐々に幅広となる略撥状の形状を有する。また、周方向に隣り合う突片部34b間には、略円弧状の凹部34cが形成されている。
掻出しローラ34は、米飯分割装置1の前面視において右回りに回転する(図3、矢印F1参照)。掻出しローラ34は、モータ等の駆動源により回転駆動する。なお、掻出しローラ34を回転駆動させるためのモータ等の駆動源は、上述のとおり隔壁6aの後側の収納空間内に設けられている。つまり、掻出しローラ34の回転軸34aは、隔壁6aを貫通し、隔壁6aの後側において回転動力の入力を受ける。
以上のように上段コンベア31に対してその搬送方向前側に近接配置された掻出しローラ34は、回転することで、上段コンベア31により搬送されてくる米飯を凹部34c内に受け入れながら、突片部34bによる連続的な掻出し作用によって米飯を掻き出す。掻出しローラ34により掻き出された米飯は、突片部34bによる掻出し作用によって空気を含みながら計量コンベア33上に送り出される(図3、矢印G1参照)。
このように、上段コンベア31により搬送された米飯は、掻出しローラ34によって掻き落とされる態様で、計量コンベア33上に送られる。なお、上段コンベア31から計量コンベア33への送り渡し部分には、ガイド斜面42aを有するガイド部材42が設けられている。
保持ローラ35は、解しローラ32と掻出しローラ34との間に設けられ、上段コンベア31の上段搬送面31aから計量コンベア33の下段搬送面33aに送られる米飯を掻出しローラ34とともに一時的に保持するためのローラである。保持ローラ35は、その回転軸35aの方向を前後方向とし、上段コンベア31の幅寸法と略同じ長さを有する。
保持ローラ35は、解しローラ32と略同径のローラであり、2個の解しローラ32のうち左側の解しローラ32Bと、掻出しローラ34との間に位置する。保持ローラ35は、掻出しローラ34に対して右上側に近接配置されている。保持ローラ35は、ガイド板13の下端部の直下であって、上段コンベア31の搬送方向前側の搬送端部の上方に位置する。また、保持ローラ35は、上下方向については、解しローラ32と略同じ高さ位置に設けられている。
保持ローラ35は、解しローラ32と同一の横断面形状をなすように、外周面部に凹凸を有する。ただし、後述するように、保持ローラ35は、外周面部の凹凸を形成する部分を、軸方向について所定の間隔を隔てて断続的に有する(図4参照)。
保持ローラ35は、米飯分割装置1の前面視において右回りに回転する(図3、矢印H1参照)。保持ローラ35は、モータ等の駆動源により回転駆動する。なお、保持ローラ35を回転駆動させるためのモータ等の駆動源は、上述のとおり隔壁6aの後側の収納空間内に設けられている。つまり、保持ローラ35の回転軸35aは、隔壁6aを貫通し、隔壁6aの後側において回転動力の入力を受ける。
以上のように掻出しローラ34と解しローラ32(32B)との間に配置された保持ローラ35は、上段コンベア31により搬送される米飯を、掻出しローラ34による掻出し作用を得る部分において、掻出しローラ34とともに一時的に保持する。すなわち、保持ローラ35は、掻出しローラ34との間の谷部分において米飯を一時的に保持する作用を得て、上段コンベア31から掻出しローラ34の凹部34cに受け入れられる米飯が掻出しローラ34の上側に逃げるのを抑える。これにより、上段コンベア31から計量コンベア33に送られる米飯について、掻出しローラ34による掻出し作用が確実かつ広範囲にわたって得られる。
また、保持ローラ35は、上段コンベア31の上方において、2つの解しローラ32とともに、互いに同じ間隔で隣り合う横並びの3連のローラ群をなすように設けられている。すなわち、解しローラ32および保持ローラ35は、回転軸方向を前後方向として互いに平行とし、互いに略同径であって、略同じ高さ位置に、つまり略水平状に連設されている。
このような構成において、保持ローラ35および2個の解しローラ32からなる3連のローラ群の上側が、上述したように主供給経路部3において構成される折返しの搬送経路のうちの上段経路部7aとなる。つまり、ガイド板13により供給される米飯は、3連のローラ群の上側において各ローラの回転作用によって右側に搬送される。
また、3連のローラ群の搬送下流側、つまり右側の空間部分が、上述した折返しの搬送経路のうちの中間経路部7bとなる。つまり、上段経路部7aにより右側に搬送された米飯は、中間経路部7bにおいて一旦貯留される。ここで、上段コンベア31の搬送方向後端部の上側には、中間経路部7bにおいて米飯を貯留する空間を形成するための板状部材からなる縦壁43が設けられている。縦壁43は、隔壁6aに対して垂直状かつ鉛直状に設けられており、米飯を貯留する中間経路部7bとしての空間部分の右側を所定の高さ範囲でカバーする。
また、3連のローラ群と上段コンベア31との間の空間部分が、上述した折返しの搬送経路のうちの下段経路部7cとなる。つまり、中間経路部7bから上段コンベア31により搬送される米飯は、下段経路部7cを通過して左側に搬送される。
このような構成により、保持ローラ35および2個の解しローラ32からなる3連のローラ群は、上側において、ガイド板13により導かれた米飯を右側に搬送する機能を果たし、下側において、上段コンベア31上の米飯を解して均一化させる機能を果たす。
また、主供給経路部3においては、図2に示すように、ガイド板13の下端部近傍であって保持ローラ35の上方の位置、および3連のローラ群の右側の位置つまり下段経路部7cの位置には、それぞれ米飯検出用の光センサ44,45が設けられている。光センサ44,45による検出信号は、米飯分割装置1が備える制御部に入力される。制御部は、光センサ44,45の検出信号に基づき、少なくとも各センサが設けられた部位において米飯のレベルが維持されるように、ホッパ11内のコンベア等の動作を制御する。これにより、米飯分割装置1における米飯の流れが途切れないように維持される。
以上のような構成を備えた米飯分割装置1は、計量コンベア33の下段搬送面33a上に受けた米飯を順次所定量ずつ送り出す。このため、計量コンベア33の下流側には、ストッパ板46が設けられている。ストッパ板46は、図示せぬアクチュエータにより昇降可能に設けられており、降りた状態で、計量コンベア33上の米飯がベルトコンベア25側へ送り出されるのを一時的に規制する。
ストッパ板46の昇降動作は、米飯分割装置1が備える制御部により制御される。すなわち、制御部は、計量コンベア33上の米飯が所定の重量に達したことを検知することで、ストッパ板46を上昇させ、計量コンベア33により、計量コンベア33上で一時的に滞留していた米飯が米飯塊10としてベルトコンベア25へと送り出される。
続いて、主供給経路部3が備える各種ローラに関する構成について説明する。
掻出しローラ34および保持ローラ35は、回転軸方向を前後方向として互いに平行とする。そして、掻出しローラ34および保持ローラ35は、回転軸方向視で外周側の部分同士をオーバーラップさせるように構成されている。掻出しローラ34および保持ローラ35は、互いの外周側の部分同士をオーバーラップさせるため、次のように構成されている。掻出しローラ34および保持ローラ35の構造について、図4および図5を用いて詳細に説明する。
図4および図5に示すように、掻出しローラ34は、回転軸34aを軸芯部に位置させる円柱状のローラ基部51と、ローラ基部51に対する拡径部分であって、上述した放射状に突出した複数の突片部34bを形成する部分である複数の突片形成部52とを有する。
突片形成部52は、掻出しローラ34の軸方向について、一定の間隔を隔てて複数設けられている。したがって、掻出しローラ34は、ローラ基部51をなす円板状の部分と突片形成部52とが掻出しローラ34の軸方向に交互に重なった態様の形状を有する。本実施形態では、7個の突片形成部52が掻出しローラ34の軸方向に等間隔で設けられている。
掻出しローラ34の軸方向に隣り合う突片形成部52同士は、突片部34bを1/2ピッチずつずらせている。つまり、掻出しローラ34の周方向について突片部34bの位相を共通とする突片形成部52が、掻出しローラ34の軸方向について交互に設けられている。本実施形態では、掻出しローラ34が有する各突片形成部52は、周方向に等間隔で設けられた突片部34bを10個有する。したがって、上記のとおり、掻出しローラ34の回転軸方向視で、20個の突片部34bが表れる。
このような掻出しローラ34に対し、保持ローラ35は、掻出しローラ34の突片形成部52の外周部、つまり突片部34bの先端部を受け入れる部分として、複数の縮径部53を有する。円周に沿う外周面を有する部分であり、保持ローラ35の軸方向について、掻出しローラ34における突片形成部52の配置位置に対応した間隔で設けられている。
保持ローラ35は、縮径部53以外の部分において、上述のとおり解しローラ32と同一の横断面形状をなすように外周面部に凹凸を有する。つまり、保持ローラ35は、外周面部に凹凸を形成する部分として、ローラ軸方向に等間隔で設けられた複数の(本実施形態では8個の)凹凸形状部54を有する。凹凸形状部54は、解しローラ32と同一の横断面形状をなすように、外周部においてローラ周方向に連続的に設けられた複数の突起部54aを有する。
このような保持ローラ35は、円板状の部分である縮径部53と凹凸形状部54とがローラ軸方向に交互に重なった態様の形状を有する。言い換えると、保持ローラ35は、外周部に凹凸を形成する部分が縮径部53によりローラ軸方向に分断された態様の形状を有する。このように、保持ローラ35の外周部には、複数の凹凸形状部54により、解しローラ32の横断面形状にならい、米飯を解すための凹凸が設けられている
以上のような掻出しローラ34および保持ローラ35において、掻出しローラ34の各突片形成部52が対応する保持ローラ35の縮径部53により受け入れられた状態で、掻出しローラ34と保持ローラ35とが互いにオーバーラップした状態となる。つまり、縮径部53および凹凸形状部54による保持ローラ35のローラ軸方向についての凹凸形状に対し、ローラ軸方向に複数の突片形成部52を有する掻出しローラ34が噛合した態様で、掻出しローラ34と保持ローラ35とが互いにオーバーラップした状態となる。詳細には、掻出しローラ34は、保持ローラ35に対して、掻出しローラ34の突片部34bの先端を保持ローラ35の縮径部53の外周面に略接触させるような位置関係で設けられている。
なお、本実施形態では、掻出しローラ34および保持ローラ35は、互いに噛合した態様でオーバーラップしているが、掻出しローラ34と保持ローラ35との外周部同士のオーバーラップの態様は、特に限定されるものではない。掻出しローラ34と保持ローラ35とは、一方のローラの最外周位置つまり径方向外側の端部の位置が、他方のローラの最外周位置よりも径方向内側に位置する関係であればよい。
次に、解しローラ32の動作について説明する。本実施形態の米飯分割装置1において、2個の解しローラ32は、連続的に上下往復動作するように設けられている。つまり、2個の解しローラ32は、その下方に位置する上段コンベア31との間の間隔を連続的に変化させるように、上下に往復移動可能に設けられている。
本実施形態の主供給経路部3は、2個の解しローラ32の動作が保持ローラ35を含む3連のローラ群の動作として行われるように構成されている。解しローラ32および保持ローラ35は、回転軸方向を前後方向として互いに平行とする。そして、解しローラ32は、回転軸方向視で保持ローラ35の回転軸35aを中心とする円弧に沿って移動することで、連続的に上下往復動作するように設けられている。
2個の解しローラ32および保持ローラ35は、隔壁6aに沿う連結板55により、3つのローラの位置関係が保持された状態で一体的に移動可能に支持されている。連結板55は、3連のローラ群の横並び方向を長手方向とする略矩形状の部材である。
2個の解しローラ32および保持ローラ35は、連結板55ごと一体的に、保持ローラ35の回転軸35aを中心に、比較的狭い角度範囲(例えば約10°)で往復回動動作することで、上下に往復動作する(図3、矢印J1参照)。つまり、2個の解しローラ32および保持ローラ35は、連結板55とともに、保持ローラ35の回転軸35aを中心として上下に連続的に揺動するように設けられている。なお、隔壁6aの前面には、連結板55の可動範囲を含む凹部6bが形成されており(図2参照)、連結板55は、凹部6b内に位置し、隔壁6aの前面と略面一をなす。
3連のローラ群は、連続的に上下揺動することで、上段コンベア31上の米飯を連続的に叩くように動作する。本実施形態では、3連のローラ群は、水平状態より上側の範囲で上下揺動するように設けられている。つまり、3連のローラ群は、横並びの方向を水平方向に沿わせる状態を下端位置状態とし、それよりも上側に傾斜するように設けられている。ただし、3連のローラ群の揺動の範囲はこれに限定されず、3連のローラ群が水平状態より下側に傾斜した状態となる範囲が揺動の範囲に含まれてもよい。
このような3連のローラ群の上下揺動動作は、隔壁6aの後側に設けられたモータ等の駆動源により行われ、米飯分割装置1が備える制御部により制御される。なお、2個の解しローラ32の連続的な上下往復動作の態様としては、本実施形態のような3連のローラ群の一体的な揺動動作に限定されない。例えば、2個の解しローラ32が、保持ローラ35も加えて(3連のローラ群として)、あるいは各ローラが独立して、上下方向に沿って平行移動することで、上下往復動作する態様であってもよい。
また、解しローラ32および保持ローラ35の3連のローラ群は、その上下位置が調整可能に設けられている。ここで、3連のローラ群の上下位置調整において、掻出しローラ34と保持ローラ35のオーバーラップ量、つまり掻出しローラ34と保持ローラ35のローラ間距離が保持される。すなわち、解しローラ32および保持ローラ35は、掻出しローラ34と保持ローラ35とのオーバーラップ量を保持しながら、互いの位置関係を保持した状態で、上下動可能に設けられている。
解しローラ32および保持ローラ35の3連のローラ群は、その上下位置の調整において、上述した上下揺動動作における連結板55を含む一体的な動作ユニットで、3つのローラの位置関係、上下揺動位置、および掻出しローラ34と保持ローラ35とのオーバーラップ量を保持したまま上下動するように構成されている。
したがって、図6に示すように、例えば、3連のローラ群がローラの並び方向を水平に沿わせた状態において、解しローラ32および保持ローラ35の上下位置が調整される場合、次のような動作態様となる。すなわち、3連のローラ群は、その水平状態を維持した状態で、掻出しローラ34の回転軸34aの位置を中心として、保持ローラ35の回転軸35aの位置を掻出しローラ34の回転軸34aの位置を中心とする円弧56に沿わせるように上下に平行移動する(矢印K1,K2参照)。
このような3連のローラ群の動作を行うための連結構造の一例として、平行リンク機構が用いられる。かかる平行リンク機構は、図6に示すように、掻出しローラ34の回転軸34aの位置を基準とし、この回転軸34aの位置と、保持ローラ35の回転軸35aの位置とを繋ぐ連結部材60を含んで構成される。連結部材60の一端部(下端部)は、位置が固定の軸支部として、掻出しローラ34の回転軸34aの位置で回動可能に支持される。また、連結部材60の他端部(上端部)は、可動の軸支部として、保持ローラ35の回転軸35aの位置で回動可能に支持される。そして、平行リンク機構は、連結部材60を、その下端部の軸支部を中心として回動させることで、3連のローラ群を上下方向に平行移動させる。
このような3連のローラ群の上下平行移動動作は、上述した3連のローラ群の掻出しローラ34の回転軸34aを中心とする上下の揺動動作(矢印J1参照)とは独立した動作として行われる。つまり、3連のローラ群を上下平行移動させる連結部材60を含む平行リンク機構は、3連のローラ群の上下揺動動作とは独立して動作するように構成されている。
このような3連のローラ群の上下動作は、隔壁6aの後側に設けられたモータ等の駆動源により行われ、米飯分割装置1が備える制御部により制御される。また、連結部材60を含む平行リンク機構も、隔壁6aの後側の収納空間内に設けられる。
このような3連のローラ群の上下位置調整構造によれば、3連のローラ群の上下位置を変えることで、3連のローラ群と上段コンベア31との間の米飯の経路部分、つまり上述した主供給経路部3における折返しの経路における下段経路部7cにおける高さが変化する。これにより、上段コンベア31から送り出される米飯の厚さが変化し、単位時間当たりに送り出される米飯の重量が変化する。したがって、上段コンベア31から送り出される米飯の単位時間当たりの量を増加させる際には、3連のローラ群の位置を上昇させ、反対に減少させる際には、3連のローラ群の位置を下降させる調整が行われる。
次に、本実施形態に係る米飯分割装置1において、搬出搬送部5が備える構成について説明する。搬出搬送部5は、計量コンベア33に対して米飯の搬送方向の下流側に設けられ、計量コンベア33から送り出された米飯塊10を搬出する搬出搬送面5aを有する。この搬出搬送部5には、搬出搬送面5a上の米飯塊10を所定の形状に成形する米飯成形部70が設けられている。
そして、米飯成形部70は、搬出搬送面5a上に沿って移動可能に設けられ、米飯塊10を所定の形状に形成するための成形面71を有する移動成形部を含む。米飯成形部70は、搬出搬送面5a上をスライド移動する移動成形部により、米飯塊10の成形形状、特にサイズを可変とする。本実施形態に係る米飯成形部70は、米飯塊10を四角形状(矩形板状)に成形するものであり、その四角形状の縦方向および横方向の寸法を可変とする。
図7および図8を用いて、本実施形態の米飯成形部70について説明する。図7(a)、(b)および図8(a)、(b)に示すように、米飯成形部70は、移動成形部として、搬出搬送部5の搬送方向に沿う第1の方向、または第1の方向に直交する第2の方向に移動可能に設けられた各方向に互いに対向する一対の移動成形片として、飯寄せアーム72を2組有する。
ここで、第1の方向は、搬出搬送部5の搬送方向(左右方向、図7(b)における上下方向)であり、第2の方向は、搬出搬送面5aの幅方向(前後方向、図7(b)における上下方向)である。以下の説明では、第1の方向をX方向とし、第2の方向をY方向とする。
米飯成形部70は、飯寄せアーム72として、X方向に互いに対向する一対の搬送方向飯寄せアーム72Xと、Y方向に互いに対向する一対の幅方向飯寄せアーム72Yとを有する。つまり、米飯成形部70は、合計4つの飯寄せアーム72を有する。
4つの飯寄せアーム72は、共通の形状・寸法を有し、互いに対向する飯寄せアーム72同士は、搬出搬送面5a上において、平面視で点対称となる向きで設けられている。飯寄せアーム72は、略四角柱状の部材であり、一側の側面を、成形面71とする。飯寄せアーム72は、他の一側の側面を、搬出搬送面5aに対するスライド面とし、搬出搬送面5aに沿ってスライド移動するように設けられている。
飯寄せアーム72は、成形面71が搬出搬送面5aに対して垂直状となるような形状を有する。また、成形面71は、その全体を、飯寄せアーム72の四角柱状の外形に沿う帯状の平面部とし、その長手方向の一側に、平面視で円弧状となる湾曲面71aを有する。飯寄せアーム72は、その長手方向の寸法を、搬出搬送面5aの幅方向の寸法と略同じとする。
互いに対向する飯寄せアーム72は、成形面71同士を互いに対向させ、互いに平行に配されている。すなわち、X方向に互いに対向する一対の搬送方向飯寄せアーム72Xは、成形面71同士をX方向に対向させ、Y方向に沿って互いに平行に配されている。また、Y方向に互いに対向する一対の幅方向飯寄せアーム72Yは、成形面71同士をY方向に対向させ、X方向に沿って互いに平行に配されている。
飯寄せアーム72は、その長手方向のうち、湾曲面71aが設けられた側の端面72aを、隣に位置する飯寄せアーム72の成形面71に対する摺動面とする。つまり、各飯寄せアーム72は、平面視で互いに垂直状をなす隣の飯寄せアーム72に対し、その成形面71に端面72aを全面的に接触させる。飯寄せアーム72がその端面72aを隣の飯寄せアーム72の成形面71に接触させた状態において、端面72aを接触させた方の飯寄せアーム72の湾曲面71aが、端面72aの接触を受けた方の飯寄せアーム72の成形面71に連続した状態となる。
各飯寄せアーム72は、隣の飯寄せアーム72に端面72aを接触させた状態を維持しながら移動し、対向する飯寄せアーム72との間の寸法を変化させるように構成されている。したがって、各飯寄せアーム72は、X方向およびY方向について移動可能に設けられている。
このような構成によれば、4つの飯寄せアーム72の成形面71が湾曲面71aを介して連続し、四角形状の内周面が形成される。これにより、4つの飯寄せアーム72の成形面71により、搬出搬送面5a上において、湾曲面71aにより四隅の部分が形成された角丸四角形状の成形空間75が形成される。
搬送方向飯寄せアーム72Xは、略「L」字状の支持アーム73を介して、ベルトコンベア25の下方に設けられた図示せぬ移動機構に連結されている。支持アーム73は、ベルトコンベア25の幅方向(Y方向)の外側においてベルトコンベア25の下方から上方に延出した縦アーム部73aと、縦アーム部73aの上端部から搬出搬送面5aに沿ってY方向に延出された支持アーム部73bとを有する。支持アーム部73bが、搬送方向飯寄せアーム72Xの背面側(成形面71と反対側)の側面に固定さることで、搬送方向飯寄せアーム72Xが支持アーム73にボルト等により固定支持される。支持アーム73の縦アーム部73aの下側の部分が、図示せぬ移動機構に連結される。
幅方向飯寄せアーム72Yは、板状の支持部材74を介して、ベルトコンベア25の下方に設けられた図示せぬ移動機構に連結されている。支持アーム73は、ベルトコンベア25の幅方向(Y方向)の外側においてベルトコンベア25の下方から上方に延出した縦板部74aと、縦板部74aの上端部から搬出搬送面5aに沿ってY方向に延出された支持板部74bとを有する。支持板部74bが、幅方向飯寄せアーム72Yの背面側(成形面71と反対側)の側面に固定さることで、幅方向飯寄せアーム72Yが支持部材74にボルト等により固定支持される。支持部材74の縦板部74aの下側の部分が、図示せぬ移動機構に連結される。
一対の搬送方向飯寄せアーム72X用の移動機構、および一対の幅方向飯寄せアーム72Y用の移動機構は、互いに対向する一対の飯寄せアーム72をそれぞれの移動方向について対称的に移動させる構成を備える。つまり、各移動機構は、互いに対向する一対の飯寄せアーム72が同期して近接または離間するように、各飯寄せアーム72をX方向およびY方向に対称的に移動させる。
飯寄せアーム72の移動機構としては、例えば、駆動源としてのモータと、モータの回転駆動によって往復直線移動するロッドあるいはスライダ等の移動部と、モータの回転を移動部の往復直線運動に変換するボールネジ等を含む変換機構とを有する構成が採用される。かかる構成においては、移動部に、支持アーム73あるいは支持部材74が連結され、搬送方向飯寄せアーム72Xあるいは幅方向飯寄せアーム72YがX方向およびY方向にスライド移動させられる。飯寄せアーム72の移動機構としては、例えば、電動アクチュエータやロボシリンダ等の周知の構成が適宜用いられる。そして、移動機構の動作、つまり飯寄せアーム72の動作は、米飯分割装置1が備える制御部により制御される。
以上のような構成を備えた米飯成形部70によれば、まず、搬出搬送面5a上において、4つの飯寄せアーム72が搬送上流側を開放させた状態で、搬出搬送面5a上を搬送されてくる米飯塊10が4つの飯寄せアーム72の内側に導かれる。そして、4つの飯寄せアーム72がそれぞれ予め設定された所定の位置まで互いに近付く方向に移動することで、4つの飯寄せアーム72の内側の米飯がX方向およびY方向について挟まれ、所定の成形空間75が形成されるとともに米飯が成形空間75の形状に成形される。つまり、米飯成形部70により、搬出搬送面5a上の米飯が、X方向およびY方向について所定の寸法を有する四角形状に成形される。かかる成形米飯のX方向の寸法は、互いに対向する一対の搬送方向飯寄せアーム72Xの成形面71間の寸法x1となり、同成形米飯のY方向の寸法は、互いに対向する一対の幅方向飯寄せアーム72Yの成形面71面の寸法y2となる。米飯成形部70により米飯の成形が行われた後は、4つの飯寄せアーム72が搬送下流側を開放させ、成形後の米飯が搬出搬送面5a上を搬送され搬出される。
このような構成において、米飯の成形時における搬送方向飯寄せアーム72Xおよび幅方向飯寄せアーム72Yの停止が調整されることで、各飯寄せアーム72の移動範囲内において、四角形状である米飯の成形形状におけるX方向およびY方向の寸法が自在に調整される。
図7(a)、(b)には、4つの飯寄せアーム72による成形空間75の形状が、比較的大きな略正方形状である場合を示している。つまり、成形空間75のX方向の寸法x1およびY方向の寸法y1は、いずれも各方向の寸法として略最大であって、互いに略同じ長さである。
図8(a)、(b)には、図7(a)、(b)に示す例に対し、成形空間75のX方向およびY方向の寸法がそれぞれ小さくされ、成形空間75の形状がY方向を長手方向とする略長方形状である場合を示している。具体的には、図8(a)、(b)に示す成形空間75は、図7(a)、(b)に示す成形空間75に対し、X方向の寸法x2は、寸法x1の1/2程度、Y方向の寸法y2は、寸法y1の3/4程度の長さである。
以上のように、米飯成形部70によれば、四角形状である成形空間75のX方向およびY方向の寸法について、各寸法を自在に調整することで、米飯のマルチ成形が行われる。なお、米飯成形部70による米飯の成形形状としては、複数の飯寄せアーム72の成形面71の形状の組合せにより、四角形状以外の形状でも対応可能である。
図9に、米飯成形部70の変形例を示す。図9に示す例では、飯寄せアーム72の成形面71において湾曲面71aを設ける範囲および湾曲面71aの曲率半径を大きくすることで、円形状の成形空間76が形成されている。複数の飯寄せアーム72により形成される米飯の成形空間としては、四角形状や円形状のほか、三角形状や台形状等も可能である。
以上のような構成を備えた本実施形態の米飯分割装置1による一連の動作について説明する。図1および図2に示すように、米飯分割装置1においては、まず、ホッパ11に投入された米飯が、供給口11bから排出され、ガイド板13により主供給経路部3に導かれる。ここで、可動ガイド板14の動作制御により、一部の米飯は米飯補填部4に導かれる。
主供給経路部3に導かれた米飯は、保持ローラ35および2個の解しローラ32からなる3連のローラ群の上側を搬送面として、上段経路部7aを右側に搬送され、中間経路部7bを経て、上段コンベア31により折り返して下段経路部7cを搬送される。下段経路部7cにおいては、保持ローラ35の回転軸35aを中心とする3連のローラ群の上下揺動により、米飯の解し作用が得られ、米飯が解されるとともに疎密度合が均一化される。
上段コンベア31の搬送下流端においては、掻出しローラ34により米飯が掻き出され、計量コンベア33上へと送られる。ここで、掻出しローラ34の掻出し作用によって、米飯に空気が取り込まれ、ふっくらとした質感が得られる。また、保持ローラ35により、上段コンベア31の搬送下流端上において米飯が一時的に保持されることから、上段コンベア31から計量コンベア33に送られる米飯に対して、掻出しローラ34による掻出し作用が確実に与えられる。
計量コンベア33上に送り出された米飯は、ストッパ板46の動作によって、所定量ずつベルトコンベア25に米飯塊10として送り出される。ベルトコンベア25上を搬送される米飯は、計量コンベア33による計量結果に基づいて、米飯補填部4による米飯の補填を受けた後、米飯成形部70により所定の形状(四角形状)に成形された後、ベルトコンベア25により搬出される。
以上のような構成を備えた本実施形態の米飯分割装置1によれば、米飯へのダメージを低減することができ、米飯が本来有するふっくら感や良好な食感を維持することができ、しかも、米飯塊の量の変更を容易に行うことができる。
すなわち、本実施形態の米飯分割装置1によれば、米飯を所定の容量ずつ米飯塊として送り出すに際し、シャッター等による切断が行われないことから、米飯がダメージを受けることが可及的に防止される。このため、米飯が本来有するふっくら感やねばねばとした良好な食感を保持することができる。また、解しローラ32による米飯の解し作用、および掻出しローラ34による掻き出し作用によれば、米飯の疎密を安定化させて米飯を均一的に解すことができるとともに、米飯内に空気を含ませることができ、米飯の密度の向上を抑制し、ふっくらとした手盛り感のある米飯を送り出すことが可能となる。そして、ふっくらとした米飯を送り出すことが可能となることから、米飯の盛付け品質を向上することができ、米飯塊を所定の形状に成形する工程において成形の自由度を向上することができる。
また、本実施形態の米飯分割装置1によれば、米飯を所定の容量ずつ米飯塊として送り出すに際してシャッター方式を採用しないことから、供給される米飯を分けることで得られる米飯塊における米飯量の変更を容易に行うことができる。米飯塊における米飯量の変更は、例えば、ストッパ板46の動作タイミングの調整や上段コンベア31による送り量の調整等により行われる。
また、本実施形態の米飯分割装置1においては、掻出しローラ34および保持ローラ35が、外周側の部分同士をオーバーラップさせるように構成されている。このような構成によれば、掻出しローラ34と保持ローラ35との隣接部分におけるデッドスペースを小さくすることができ、計量コンベア33による米飯の計量におけるグラム誤差を低減することができる。かかる作用効果について、図10に示す模式図を用いて説明する。
図10(a)に示すように、仮に、掻出しローラ34と保持ローラ35とがオーバーラップすることなく互いに外周面同士を略接触させるように設けられている場合、各ローラの軸方向視において、ローラ同士が略接触した部分近傍における下側の円弧同士により、略三角形状のスペース80が形成される。かかるスペース80内に位置する米飯に対しては、掻出しローラ34により得られる掻出し作用が不均一に作用する。つまり、スペース80内に位置する米飯は、掻出しローラ34により掻き出されたり掻き出されなかったりする。このため、スペース80が大きいと、計量コンベア33へと送り出される米飯の量に誤差が生じることになる。
そこで、本実施形態に係る米飯分割装置1においては、図10(b)に示すように、掻出しローラ34と保持ローラ35とがオーバーラップするように構成されている。かかる構成により、スペース80を小さくすることができる。これにより、掻出しローラ34により得られる掻出し作用を不均一に受ける米飯の量を少なくすることができ、計量コンベア33へと送り出される米飯の量の誤差を低減することができる。
また、本実施形態の米飯分割装置1においては、解しローラ32連続的に上下往復動作するように設けられている。このような構成によれば、解しローラ32による解し作用を向上させることができ、上段コンベア31上の米飯を効果的に解すことが可能となる。これにより、米飯のふっくら感を向上することができる。
また、本実施形態の米飯分割装置1においては、解しローラ32が保持ローラ35とともに3連のローラ群として保持ローラ35の回転軸35aを中心に上下に揺動(回動)することで、連続的に上下往復動作するように設けられている。このような構成によれば、解しローラ32の連続的な上下動作を、コンパクトな動作として、しかも簡単な構造により実現することができる。
また、本実施形態の米飯分割装置1においては、解しローラ32が、横並びに複数(2個)並設されている。このような構成によれば、米飯の解し作用が得られる経路長を長く確保することができ、解されて均一化された状態で計量コンベア33へと送り出す米飯について、対応できる米飯量の範囲を広くすることができる。これにより、解されて均一化された状態の米飯を計量コンベア33上において十分に得ることができ、米飯塊10を安定的に順次送り出すことができる。
また、本実施形態の米飯分割装置1においては、主供給経路部3において、上段経路部7a、中間経路部7bおよび下段経路部7cによる折返しの搬送経路を構成している。このような構成によれば、米飯分割装置1の機長が長くなることを抑えることができ、装置構成をコンパクトにすることが可能となり、省スペース化を図ることができる。
また、本実施形態の米飯分割装置1においては、解しローラ32および保持ローラ35からなる3連のローラ群は、掻出しローラ34と保持ローラ35とのオーバーラップ量を保持しながら上下動可能に設けられている。このような構成によれば、3連のローラ群の高さ位置を調整することで、上段コンベア31上の米飯の厚さ(高さ)を調整することが可能となり、計量コンベア33に送り出す米飯の量を容易に調整することができる。また、掻出しローラ34と保持ローラ35とのオーバーラップ量が保持されることから、3連のローラ群の高さ位置に関わらず、掻出しローラ34と保持ローラ35との間のデッドスペース減少によるグラム誤差の低減効果を維持することができる。
また、本実施形態の米飯分割装置1においては、保持ローラ35の外周部には、米飯を解すための凹凸が設けられている。このような構成によれば、保持ローラ35においても解し作用が得られることから、保持ローラ35において米飯の保持と解しの両方の作用を得ることができる。これにより、ローラの配置スペースについてのスペース効率の向上を図ることができるとともに、米飯の解し作用が得られる経路長を長く確保することができ、解されて均一化された状態の米飯の安定的な供給を効果的に行うことが可能となる。
また、本実施形態の米飯分割装置1においては、搬出搬送部5において、米飯を所定の形状に成形するための米飯成形部70が設けられている。このような構成によれば、ふっくらした状態で搬送されてくる米飯塊10の成形容易性を利用して、容易に米飯を所定の形状に成形することができる。また、米飯の成形が人手により行われる場合、作業者が米飯を容器に入れて手伸ばしする手間等がかかることから、作業時間や人件費が多くかかることになるが、米飯成形部70によれば、自動的に米飯の成形を行うことが可能となり、作業時間や人件費を削減することができる。そして、容器に合わせて米飯をリサイズすることができ、米飯に対するトッピングラインの作業者の負担を軽減することができる。
また、本実施形態の米飯分割装置1においては、米飯成形部70が、X方向およびY方向に移動する複数の飯寄せアーム72により構成されている。このような構成によれば、簡単かつコンパクトな構造により米飯成形部70を構成することができる。また、最終的に米飯が入れられる容器等に応じて米飯の成形寸法を容易に変更することができる。また、米飯をプレスせずにサイズ変更を行うことができるので、米飯のふっくらとした質感を維持することができる。