本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、遊技機3が複数設置された遊技場において遊技機3を管理するための遊技場用システム1に関する例である。この遊技場用システム1は、大入賞口などの入賞部が設けられた遊技領域に向けて遊技媒体である玉を発射して遊技が行われる遊技機3に対応するシステムである。以下、図1~図9を参照して遊技場用システム1を説明する。特に、本例の遊技場用システム1は、操作ハンドル335の操作量に応じて、役物の動作回数を示すスタートを区分して管理している。
遊技場では、図1のごとく、パチンコ遊技機3(以下、単に遊技機3という。)に対して、遊技装置2や表示装置51等が個別に設置されている。玉やポイント等の遊技価値の付与機能や計数機能を備える遊技装置2は、対応する遊技機3と隣り合う他の遊技機3との隙間のスペースに設置されている。遊技装置2は、対応する遊技機3の左側に配置され、呼出ランプ511を備える表示装置51は遊技機3の上方に設置される。なお、遊技場には、遊技機3以外にスロットマシンなども設置されている。スロットマシンの場合は、対応する遊技機の右側に遊技装置が設置される。
遊技場内の通路に面して遊技機3が配列された遊技島では、2台の遊技機毎に1台ずつ中継装置54が設置されている。また、遊技場内に設けられた管理スペースには、遊技場内の各種の機器の稼動状況を集中的に管理するための管理装置10が設置されている。
遊技者が遊技により獲得した遊技価値である所有価値を景品に交換するための景品カウンターには、景品交換のためのPOS端末55が設置されている。また、遊技機3が配列された遊技島の島端等には、遊技カード53(図2)に対応付けられた残高(プリペイド残高)の精算を受け付ける残高精算機57が設置されている。
遊技場では、管理装置10が通信可能に接続された有線LAN等の場内ネットワーク500が構築されている。遊技機3に対応して個別に設置された表示装置51及び遊技装置2は、中継装置54を介して場内ネットワーク500に接続されている。場内ネットワーク500を利用する遊技場用システム1では、遊技装置2などの遊技機3の周辺装置と管理装置10との間の各種の通信が中継装置54を介して実現されている。
管理装置10は、遊技場に設置された各種機器の動作状態を管理するほか、遊技装置2を介して各遊技機3の遊技情報を収集し、各遊技機3の遊技データを管理している。また、管理装置10は、遊技者が所持する遊技カード53に対応付けられる残高や持玉などの価値を記憶し、遊技カード53の識別情報であるカードIDを対応付けて管理している。
以下、本例の遊技場用システム1を構成する遊技機3、遊技装置2、管理装置10の構成及び動作を詳しく説明し、続いて遊技場用システム1の動作内容について説明する。
(遊技機)
遊技機3(図2)は、遊技媒体である(パチンコ)玉を遊技領域330に向けて発射することにより遊技が行われる遊技機である。遊技機3は、遊技に伴い減算され、遊技で入賞すると加算されるポイント(遊技価値)を記憶する所謂封入式の遊技機である。封入式の遊技機3では遊技媒体である玉が封入されており、遊技者側に玉が払い出されることがない。玉は、遊技領域330への発射、遊技領域330からの排出を繰り返し、遊技機3の内部で循環する。
遊技機3は、遊技価値をなすポイントを遊技玉ポイントとして記憶する機能を備えている。遊技機3では、この遊技玉ポイントを1P(ポイント)ずつ消費して玉を発射でき、いずれかの入賞口に玉が入賞すればポイントを獲得でき、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントが加算更新される。
遊技機3は、第1始動口31及び第2始動口32への入賞に応じて大当り抽選を実行する、いわゆるセブン機である。この遊技機3は、大当り抽選に応じて図柄変動を実行するゲームを開始し、大当り図柄の停止表示により大当り当選を報知する。大当り当選が発生すれば、大入賞口360が開放されるラウンドが複数回繰り返される有利な大当り状態に移行できる。
遊技機3の前面には、遊技機3に面して着席した遊技者に対面するように遊技領域330が設けられている。この遊技領域330の下方には、払出式の遊技機における上皿に代えて、棚状に遊技者側に張り出すカウンター部35が設けられている。さらにカウンター部35の下方、遊技者側から向かって右側には、遊技領域330に打ち込む玉の発射強度を調節するために遊技者が操作する操作ハンドル335が立設されている。
玉を貯留するための窪みが設けられた払出式の遊技機の上皿とは異なり、カウンター部35の上面はほぼ平らに形成されている。カウンター部35の上面の中央付近には、6個の7セグメント表示器が横一列に配置された遊技玉P表示部355が埋め込まれている。遊技玉P表示部355の左側には、計数ボタン357が配置され、同右側には、残高表示部351、貸玉ボタン352、返却ボタン353等が配置されている。
遊技玉P表示部355は、遊技者が遊技により獲得し遊技機3が記憶している遊技価値である遊技玉ポイントの数量の表示部である。遊技玉ポイントの1ポイントは、玉1個分に対応している。遊技玉P表示部355に表示される遊技玉ポイントは、払出式の遊技機における遊技者の手元にある計数前の遊技玉の数量に相当している。
計数ボタン357は、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントを計数して持玉(所有価値)に移行する計数処理を実行させるための計数操作の操作ボタンである。この計数ボタン357は、所定の計数操作を受け付ける計数操作受付手段としての機能を有している。所定の計数操作とは、遊技機3により記憶される遊技玉ポイントの全部または一部を遊技装置2、或いは遊技カード53(所有価値記憶手段)に対応付けて記憶される持玉(所有価値)に移行するために遊技者が行う操作である。
残高表示部351は、遊技装置2が受け付けた貨幣(貨幣価値)のうちの残りの金額である残高(プリペイド残高)を表示する表示部である。
貸玉ボタン352は、残高を対価として遊技玉ポイントの付与を受けるための操作ボタンである。
返却ボタン353は、遊技装置2に残高や持玉が残存する状態で遊技を終了等するときに遊技カード53を返却あるいは発行等させるための所定の発行操作のための操作ボタンである。遊技装置2に持玉や残高がある状態で遊技を終了する場合、この返却ボタン353の押下げ操作により、持玉や残高が対応付けられた遊技カード53の返却あるいは発行を受けることができる。
なお、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントの計数処理、遊技玉ポイントの付与処理、遊技カード53の返却処理等は、遊技装置2の動作と密接に関わっている。そこで、これらの処理の内容については、遊技装置2の構成を説明した後で説明する。
遊技領域330は、玉が流下する領域である。遊技領域330には、液晶表示部390を含む表示装置39を中心として、第1及び第2始動口31、32、通過ゲート34、開閉式の大入賞装置36等が配置されている。遊技領域330の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔338が開口している。
遊技者側から向かって表示装置39の右側には、通過ゲート34、一般入賞口343が配置され、表示装置39の右下に第2始動口32が配置されている。表示装置39の真下には、第1始動口31が配置され、第1始動口31と第2始動口32との間のスペースの下方に大入賞装置36が配置されている。さらに表示装置39の左下には、もう一つの一般入賞口345が配置されている。なお、一般入賞口343、345への玉の入賞に応じて遊技者が獲得できるポイントは12Pである。
通過ゲート34は、通過玉を検知するゲートである。玉を通過させるのみの通過ゲート34には、ポイントの付与が設定されていない。通過ゲート34が通過玉を検知すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、普図判定が実行される。
第1始動口31は、第1の特別図柄の当否判定(以下、第1特図判定という。)の契機となる始動口である。第2始動口32は、第2の特別図柄の当否判定(以下、第2特図判定という。)の契機となる始動口である。表示装置39の直下に配置される第1始動口31は、入賞率が変動しない、いわゆるへそタイプの始動口である。第2始動口32は、電チュータイプの始動口である。
第2始動口32の開口部320には、一対の可動羽根が回動して第2始動口32への入賞確率を高める電動チューリップ321が取り付けられている。この電動チューリップ321は、上記の普図判定の当選(普図当選)に応じて動作し、第2始動口32を開放する。第1始動口31及び第2始動口32に玉が入賞したときに遊技者が獲得できるポイントは3Pとなっている。
大入賞装置36は、大入賞口360を開口させる、いわゆるアタッカーと呼ばれる可変入賞装置である。アタッカー(大入賞装置)36は、横長矩形状の大入賞口360と、下開きで回動してこの大入賞口360を開閉する蓋部材361と、を有している。アタッカー36では、通常、遊技領域330をなす盤面に対して蓋部材361が略面一をなしており、大入賞口360が閉鎖されている。蓋部材361が手前に回動したときに大入賞口360が開放状態となる。大入賞口360に入賞したときに遊技者が獲得できるポイントは15Pとなっている。なお、遊技機3では、大入賞口360や第2始動口32が遊技領域330の右側領域に存在することから時短中や大当り中には遊技領域330の右側領域を狙って玉を打出す、所謂右打ちが有利になる。
アタッカー36は、大当り状態下で開放状態になる入賞口である。第1特図判定または第2特図判定での当選である大当りを契機とする大当り状態では、30秒経過あるいは玉が10個入賞するまでアタッカー36が開放されるラウンド処理が15回に亘って繰り返し実行される。
表示装置39は、図2のごとく、外枠の内側に液晶表示部(演出表示部)390が配置された装置である。外枠の上部右側には、普図判定の当否を報知する普図表示部381、普図判定用の抽選用乱数の保留数を表示する普図保留表示部382が配置されている。また、外枠下部の左右には、特図判定用の抽選用乱数の保留数を表示する第1特図保留表示部395A及び第2特図保留表示部395Bが配設されている。普図表示部381は、内部にLEDが仕込まれた〇と×の表示部により形成されている。普図表示部381は、〇と×のいずれかの点灯表示により普図判定の当否を報知する。
特図表示部としての液晶表示部390は、3桁の数字図柄を表示画面391に変動表示し、停止した3桁の数字図柄の組み合わせにより特図判定の当否を報知する。3桁のゾロ目が大当りを報知する大当り図柄となっている。この大当り図柄を構成する数字によって、確変大当りであるか通常大当りであるかが異なってくる。確変大当りは、ゾロ目の奇数の数字図柄によって報知される。通常大当りは、ゾロ目の偶数の数字図柄によって報知される。
次に、遊技機3の電気的な構成について、図3を用いて説明する。遊技機3は、主回路40を中心として構成されている。主回路40に対しては、上記の構成のほか、遊技者が獲得した遊技価値である遊技玉ポイントを記憶する記憶部43、玉の打込を制御する発射制御回路44、入賞玉あるいは通過玉の検出センサ411~415、第2始動口32(図2)を開放する電チューソレノイド422、アタッカー36を開放させる大入賞口ソレノイド424、遊技演出を制御する演出制御回路45、遊技装置2などの外部機器とのインターフェースであるI/F部48等が電気的に接続されている。さらに、主回路40には、電力を供給するための電源回路部428が接続されている。
記憶部43は、遊技に伴い減算され、遊技で入賞すると加算される遊技玉ポイント(遊技価値)を記憶する記憶手段である。遊技機3では、遊技価値である遊技玉ポイントを1P消費して、遊技媒体である玉を発射できる。
発射制御回路44は、操作ハンドル335の操作量に応じた打ち出し強さ(発射強度)で玉を発射するように発射装置441を制御する回路である。発射制御回路44は、操作ハンドル335の操作量に応じた発射強度で玉を発射する。発射制御回路44は、操作ハンドル335の操作量を表す操作信号を生成し、主回路40に入力する。この操作信号は、I/F部48経由で遊技装置2などの外部装置に出力される。
入賞玉あるいは通過玉の検出センサとしては、第1始動口31(図2)への入賞玉を検出する第1特図入賞センサ411、第2始動口32への入賞玉を検出する第2特図入賞センサ412、通過ゲート34の通過玉を検出する普図始動センサ413、大入賞口360への入賞玉を検出する大入賞センサ414、及び一般入賞口343、345(図2)への入賞玉を検出する一般入賞センサ415等がある。
演出制御回路45は、遊技演出動作を制御するための副制御部としての機能を有し、CPU(Central Processing Unit)451、ROM(Read Only Memory)452、RAM(Random Access Memory)453等を含んで構成されている。ROM452は、CPU451に実行させる各種の処理プログラムを記憶している。演出制御回路45には、アンプ/スピーカ331や装飾ランプ部336や液晶表示部390等が電気的に接続されている。
主回路40は、図3に示すごとく、CPU401、記憶素子であるROM402・RAM403、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部407、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部406等を備えている。ROM402は、CPU401に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、第1特図判定及び第2特図判定用の抽選テーブルと、普図判定用の抽選テーブルと、を記憶している。
普図判定用の抽選テーブルは、通過ゲート34の通過玉が検知されたときに抽出される普図判定用の抽選用乱数を照合するための抽選テーブルであり、普図判定の当選乱数が規定されている。普図判定用の抽選テーブルとしては、通常状態下の普図判定に適用する抽選テーブルと、時短状態(確変状態を含む)下の普図判定に適用する抽選テーブルと、の2種類が用意されている。前者の抽選テーブルに比べて後者の抽選テーブルの方が、当選乱数の個数が多く、時短状態(確変状態を含む)下の当選確率が高くなっている。
第1(第2)特図判定用の抽選テーブルは、第1(第2)始動口31(32)への入賞に応じて抽出される特図判定用の抽選用乱数を照合するための抽選テーブルであり、特図判定の当選乱数が規定されている。特図判定用の抽選テーブルとしては、通常状態(時短状態を含む)下の特図判定に適用する抽選テーブルと、確変状態下の特図判定に適用する抽選テーブルと、の2種類が用意されている。前者の抽選テーブルに比べて後者の抽選テーブルの方が、当選乱数の個数が多く、確変状態下の当選確率が高くなっている。なお、第1特図判定用の抽選テーブルと第2特図判定用の抽選テーブルとの比較では、第2特図判定用の抽選テーブルの方が当選乱数が多く、第2特図判定の方が当選確率が高くなっている。
主回路40は、ROM402から読み出したプログラムをCPU401に実行させることにより、以下の(1)~(5)の各手段としての機能を実現する。
(1)抽選手段:大当り抽選である特図判定を実行する手段。
(2)保留手段:特図判定用及び普図判定用の抽選用乱数を、特図保留あるいは普図保留として記憶し保留する手段。
(3)読出手段:特図判定(普図判定)用の抽選用乱数である特図保留(普図保留)を読み出す手段。
(4)大当り状態発生手段:特図判定の当否に応じて、大当り状態を発生させる手段。
(5)通信手段:遊技装置2との間でデータ通信を実行する手段。なお、データ通信により遊技装置2との間でやり取りされるデータや信号等については、遊技装置2の構成を説明した後で説明する。
次に、以上のように構成された本例の遊技機3の基本動作について概説する。主回路40は、入力された操作信号に応じて操作ハンドル335の操作を検出すると、記憶部43が記憶する遊技玉ポイントの残存数量を参照する。遊技玉ポイントの残存数量があれば、1P分の減算を引き換えに玉を1個発射するよう、発射制御回路44を介して発射装置441を制御する。このとき、発射制御回路44は、操作ハンドル335の操作量に応じた発射強度で玉が発射されるように発射装置441を制御する。このように発射された玉は、通過ゲート34などが配置された遊技領域330を流下する。入賞しなかった玉は、遊技領域330の最下部に設けられたアウト孔338から回収される。
主回路40は、通過ゲート34を通過する玉を検出したとき、乱数発生部407が発生する乱数の中から普図判定の抽選用乱数を抽出する抽選処理を実行する。主回路40は、この抽選用乱数を普図判定用の抽選テーブルと照合することにより、普図判定の結果を決定する。このとき、主回路40は、遊技状態に応じて、普図表示部381を変動表示させる時間である普図の変動時間を併せて決定する。
普図の変動時間としては、遊技状態が通常状態であれば30秒に決定され、時短状態であれば3秒に決定される。普図判定の結果が当選のときには、普図表示部381の○×が交互に点灯する変動表示の後、○が点灯状態となる。ハズレのときには、変動表示の後、×が点灯状態となる。主回路40は、普図判定に当選したとき、第2始動口32の電動チューリップ321を開放させる。なお、電動チューリップ321の開放時間は、通常状態において0.2秒×1回、時短状態(確変状態を含む)において5秒×1回となっている。
主回路40は、第1(第2)始動口31(32)への入賞玉を検出すると第1(第2)特図判定の抽選用乱数の抽出を実行し、第1(第2)特図保留として記憶する。ただし、第1(第2)特図保留の数が上限個数の4個である場合には、抽選用乱数は第1(第2)特図保留として記憶されることなくそのまま消去される。
大当り状態の発生中ではないとき、主回路40は、図柄変動の停止中に第1特図保留あるいは第2特図保留を記憶されたタイミングが古いものから順番に1つずつ読み出す。そして、読み出した特図保留の抽選用乱数を特図判定用の抽選テーブルと照合して特図判定の当否(大当りかハズレか)、及び特図の変動時間を決定する。なお、特図保留の読出に当たっては、第2特図保留が優先的に読み出される。第1特図保留については、第2特図保留が無い場合に限って読み出される。
主回路40は、特図判定の抽選結果(大当り抽選の当否、及び特図の変動時間)を演出制御回路45に入力する。演出制御回路45は、スーパーリーチ演出などの特別演出を含む複数種類の演出の中から、特図判定の抽選結果を報知する演出の方法や内容等を決定するための演出抽選を実行する。
演出制御回路45は、演出抽選の抽選結果に応じて液晶表示部390(表示装置39)による報知演出を開始させる。演出制御回路45は、特図当選である大当りの場合、中央の図柄を残して両側に同じ数字の図柄を停止表示するリーチ演出を含む図柄の変動表示の後、同じ数字の図柄の組合せである大当り図柄を液晶表示部390の表示画面391に停止表示させる。
主回路40は、大当り図柄の停止表示による大当り(特図当選)の報知の後、大当り状態を発生させる。大当り状態では、30秒経過するか10個入賞するまで大入賞装置36を開放させるラウンド処理を繰返し実行する。なお、1回のラウンドで遊技者が獲得できる平均的なポイントは150Pとなっている。これは、払出式の遊技機の出玉150玉に相当している。
主回路40は、通常大当り状態の終了後、第2始動口32の入賞確率が高くなる電動サポート有りの時短状態を、例えば図柄変動100回転に亘って発生させる。また、確変大当り状態の終了後には、大当りの確率が高くなる確変状態を発生させる。この確変状態は、時短状態を伴って発生し、新たな大当り状態の発生に応じて終了する。したがって、確変大当りが発生すれば、大当り状態が連続的に発生する連荘が確定する。
(遊技装置)
遊技装置2は、各遊技機3に対して1対1で対応して個別に設けられている。遊技装置2は、遊技に必要な玉やポイントを付与する付与処理や、遊技者が遊技により獲得した遊技価値である遊技玉ポイントを計数する計数処理等を実行する装置である。遊技場では、遊技装置2を利用して遊技に必要な玉やポイントの付与を受けると、対応する遊技機3での遊技が可能となる。
図2のごとく、遊技装置2の前面パネル25には、状態表示部21、貨幣投入口22、タッチパネル23、遊技ボタン24、カード挿入口26等が設けられている。状態表示部21は、装置エラーや一般カード532(図4)のストック切れ等の作動状態を表示する表示部である。貨幣投入口22は、ポイントの対価となる貨幣を投入する挿入口である。タッチパネル23は、遊技者が指先等で表示画面に触れて操作するタッチ操作が可能な表示装置である。タッチパネル23は、持玉や残高(プリペイド残高)等を表示するほか、遊技者の設定操作を受け付ける各種の画面を表示する。遊技ボタン24は、遊技者が獲得した遊技価値である持玉(所有価値)を元にして、遊技に必要なポイントの付与を受けるための操作ボタンである。カード挿入口26は、所有価値である持玉や残高等が対応付けられた遊技カード53の挿入あるいは発行のための挿入口である。遊技カード53としては、会員登録した遊技者に発行される会員カード531と、遊技終了時に残高あるいは持玉が残っている場合に発行される一般カード532と、がある。
遊技装置2は、図4のごとく、CPU201、ROM202、RAM203等を備える制御部20を中心として電気的に構成されている。制御部20に対しては、上記の構成のほか、貨幣の受付処理を実行する貨幣処理部221、記憶媒体である遊技カード53に対応付けられた記録情報を読み書きするカードリーダライタ(カードRW)280、一般カード532をストックするカードストック部283、対応する遊技機3及び中継装置54との間の通信ポートをなすI/F部29、リモコン(図示略)による遠隔操作のためのリモコン受光部290などが電気的に接続されている。
遊技装置2の制御部20は、ROM202から読み出したプログラムをCPU201に実行させることにより、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)遊技情報取得手段:遊技機3の遊技情報を取得する手段。遊技情報取得手段は、後述する台データを遊技情報として取得する。
(2)遊技情報送信手段:遊技情報取得手段が取得した遊技情報を管理装置10に送信する手段。
ここで、遊技機3との協調動作を含めて遊技装置2の基本動作を説明しておく。遊技場では、遊技装置2に貨幣を投入等することで、対応する遊技機3での遊技を開始できる。遊技装置2が貨幣を受付する(貨幣受付処理)と、遊技機3と遊技装置2との双方において、入金額が残高に加算されて表示される。
残高がある状態で遊技機3の貸玉ボタン352を押下(貸出操作、付与操作)すると貸出1単位(例えば125玉)分が貸出玉(売上玉)としてポイント(対価付与価値)に変換され(貸出処理、対価付与処理)、遊技レート(以下、レート)に応じた対価分が残高から引落とされる。なお、遊技装置2は、複数回の対価付与処理に対応可能な額の貨幣を受付可能である(例えば1万円まで)。
遊技機3は、上記の通り、所謂封入式の遊技機であり、遊技領域330に打ち出された玉が循環し、入賞した場合であっても遊技機3の外に玉が払出されない。この遊技機3では、遊技玉ポイントが管理され、遊技領域330への玉の打出し(使用)に応じてポイントが減算され、入賞に応じて付与されたポイントが加算される(入賞付与処理)。
遊技装置2は持玉を管理している。持玉は直接的には遊技に使用できないが、遊技ボタン24の押下に応じて貸出1単位分の持玉が変換玉として遊技玉ポイントに変換される変換処理(対価付与処理)が行われる。この場合、変換率を別途設けても良いが、本例では1:1の等価変換としている。なお、この等価変換については、下記の計数処理についても同様である。
遊技に応じて遊技機3の遊技玉ポイントが増加した場合、遊技機3の計数ボタン357の押下に応じて遊技玉ポイントを計数玉とし、持玉に変換できる(計数処理)。この場合、1回押下(計数ボタン357)に応じて1玉が変換対象となるが、計数ボタン357の押下状態を継続させると連続的、且つ加速的に複数玉を計数玉に変換できる。
このようにして遊技玉ポイントと持玉とが更新され、遊技装置2で残高や持玉が残存する状態で遊技機3の返却ボタン353を押下する等の発行操作が行われると、遊技装置2は、ストックしていた持玉券としての一般カード532に残高や持玉を対応付けて発行する(発行処理)。なお、遊技装置2は、持玉の一部や残高のみを発行対象とする分割発行にも対応している。
遊技機3⇔遊技装置2でやり取りされる信号あるいは情報としては以下のものがある。
(1)状態確認要求信号:状態確認応答(台データ)の要求信号。遊技装置2が200m秒毎に遊技機3に送信する。
(2)台データ:状態確認要求信号に応じて遊技機3が遊技装置2に返信する状態確認応答。なお、台データの内訳は後述の通りである。
(3)カード挿入通知:遊技カード53を受け付けた旨の遊技装置2による通知。
(4)カード挿入応答:カード挿入通知に対する遊技機3の応答。
(5)返却要求信号:遊技カード53の返却を求めて遊技機3が送信する信号。返却ボタン353の操作に応じて遊技機3が送信する。
(6)計数要求信号:遊技機3が備える計数ボタン357が操作されたときに遊技機3が送信する信号。計数要求信号は、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントのうちの1P分の計数を要求する信号である。
台データには、以下のデータや情報等が含まれている。なお、以下の説明では、遊技機3が遊技装置2に送信する台データを遊技情報という。
(1)アウト(ポイント数):前回データ送信時からの消費(使用、打込)価値(アウト)を1ポイント単位で表す。
(2)セーフ(ポイント数):前回データ送信時からの入賞に応じて付与された入賞付与価値(セーフ)を1ポイント単位で表す。
(3)S入賞(回数):前回データ送信時からの始動入賞(S入賞)を1回単位で表す。
(4)スタート(回数):前回データ送信時からのS入賞を契機として作動(変動)する役物(液晶表示部390)のスタート(図柄変動数、役物作動数、単位遊技数)を表す。
(5)大当り(回数):前回データ送信時から発生した大当り数を1回単位で表す。
(6)大当り(状態):データ送信時に大当り状態の発生中であればON、大当り状態の発生中でなければOFFが示されるので、ONとなってからOFFとなるまでの期間を大当り中として特定できる。
(7)甘中(状態):データ送信時に、特別状態中(甘中)あるいは大当り状態の発生中であればON、それ以外であればOFFが示されるので、ONへの切換後OFFとなるまでの期間を甘中あるいは大当り状態の発生中として特定できる。例えば甘中(状態)がONの場合、大当り(状態)がONであれば大当り状態の発生中、大当り(状態)がOFFなら甘中と特定できる。大当り(状態)と甘中(状態)のいずれもOFFであれば通常状態と特定できる。なお、大当り状態の発生中では、甘中(状態)が必ずしもONにならなくとも良い。
(8)操作信号:操作ハンドル335の操作量を表す信号。操作信号は、弱から強に向かって1~32の32段階の操作量のうちのいずれかの段階を示す信号である。
遊技装置2は、中継装置54を介して管理装置10との間でシリアル通信が可能である。遊技装置2は、台データを含む遊技機3の遊技情報を場内ネットワーク500経由で管理装置10に送信する。遊技装置2は、遊技機3から台データを受信する毎に、管理装置10に対して遊技情報を送信する。
(管理装置)
管理装置10は、図5のごとく、液晶ディスプレイ及び図示しないプリンタ等の出力部11と、各種の演算処理を実行する装置本体100と、キーボードやマウス等を含む入力部12と、遊技装置2などの外部機器との通信を実現する通信I/F部13と、を備えている。装置本体100は、演算処理を実行するCPU101のほか、ROM102・RAM103などの記憶素子や、I/Oを構成する通信制御素子等が実装された電子基板のほか、ハードディスクドライブ等の記憶装置15を備えている。
管理装置10は、遊技機3単位で遊技データを記憶し、管理する機能を備えている。管理装置10は、各遊技機3の遊技装置2から受信する遊技情報を集計等することで遊技機3単位の遊技データを集計等する。特に、管理装置10は、操作ハンドル335の操作量の区分を示す操作レベル(操作情報の一例)に応じて時間的に区分して遊技データを集計可能に構成されている。
管理装置10は、ROM102や記憶装置15から読み出したプログラムをCPU101に実行させることにより、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)受信手段:データ通信用の回線である場内ネットワーク500を介して遊技情報送信手段としての遊技装置2と接続され、遊技装置2から遊技情報を受信する手段。
(2)遊技データ生成手段:遊技装置2から受信した遊技情報に演算処理を施して遊技機3の遊技に関する遊技データを生成する手段。
(3)頻度情報特定手段:特定の入賞部の一例である第1始動口31及び第2始動口32(図2)への玉の入賞を契機として開始される遊技イベントの一例である図柄変動の回数(スタート)を示す頻度情報を特定する手段。
(4)操作情報特定手段:玉の発射強度を調整するための操作部の一例である操作ハンドル335(図2)に対する遊技者の操作量を示す操作情報を特定する手段。操作情報特定手段は、遊技機3側から取得する操作信号が表す操作量の段階が属する操作レベルを、操作情報として特定する。なお、本例では、操作ハンドル335の32段階の操作量を等分した8レベルの操作レベルを例示する。
(5)操作監視手段:操作量の時間的な変化の割合または量を特定する手段。操作監視手段は、操作量(32段階)の時系列データを生成・記憶し、この時系列データを利用して操作量の時間的な変化の割合や量を特定する。
(6)管理手段:頻度情報特定手段により特定された頻度情報を操作レベル(操作情報)に応じて区分して管理する手段。
(7)統計処理手段:操作レベル(操作情報)により区分された頻度情報の分布の標準偏差に基づき特定可能な偏差値(偏差情報の一例)を取得する手段。
(8)設定手段:偏差情報の一例である偏差値の基準を示す偏差基準情報を設定する手段。なお、本例の偏差基準情報は、偏差値30及び偏差値70である。
(9)異常判定手段:管理手段により管理される頻度情報を利用し、頻度情報特定手段により特定された頻度情報が異常か否かを判定する手段。特に本例の異常判定手段は、統計処理手段が取得した偏差値(偏差情報)と、偏差基準情報(偏差値30及び偏差値70)と、を比較した結果により異常か否かを判定する。
(10)異常報知手段:異常判定手段が異常と判定した遊技機3について、異常を報知する手段。異常報知手段としての機能は、液晶ディスプレイやプリンタ(図示略)などの出力部11によって実現される。
(遊技場用システムの動作内容)
次に、遊技機3単位で遊技データを管理する本例の遊技場用システム1の動作内容について説明する。遊技場用システム1では、各遊技機3の遊技状況を表す遊技情報が、遊技機3→遊技装置2→中継装置54→管理装置10の経路にて管理装置10に送られる。管理装置10は、遊技機3側から受信した遊技情報を処理することで、各遊技機3の遊技履歴を生成し管理する。
本例の管理装置10は、各遊技機3について、図6を参照して後述する通り、操作ハンドル335の操作レベル(操作情報の一例)に応じて遊技履歴を管理している。上記のごとく、操作レベルは、操作ハンドル335の32段階の操作量を8レベルに等分した操作情報である。例えば、操作レベル1には、32段階の操作量のうち1~4の操作量が属し、操作レベル2には、5~8の操作量が属している。管理装置10は、図8を参照して後述する通り、8レベルの操作レベルに区分してスタートを管理する。
遊技場用システム1は、各遊技機3について、遊技データの異常を監視する機能を備えている。以下、(1)遊技機3毎の遊技履歴の管理、(2)スタート管理、(3)異常判定機能、について説明する。
(1)遊技機毎の遊技履歴の管理
管理装置10は、各遊技機3側から遊技情報を取得し、例えば図6の遊技履歴を管理している。同図の遊技履歴は、機種Aのいずれかの遊技機3について、時間的な区分毎の遊技データの履歴である。特に同図中の時間的な区分は、操作ハンドル335の操作量の変化に応じた区分である。管理装置10は、操作ハンドル335の操作量によって遊技期間を時間的に区分し、各区分の遊技データを遊技レコードとして管理している。なお、遊技レコードには、操作量の平均値や中央値や最大頻度の値などが属する中心的な操作レベル(8レベルのうちのいずれか)が記録される。
管理装置10による遊技履歴の管理動作の内容を、図7のフロー図を用いて説明する。同図は、管理装置10が遊技機3の遊技履歴を個別に管理する動作の流れを示している。管理装置10は、各遊技機3側から遊技情報を取得すると(S101:YES)、まず、集計対象となる遊技レコード(図6参照。)が登録済みか否かを判断する(S102)。集計対象の遊技レコードが未登録であれば(S102:NO)、管理装置10は、遊技レコードを新たに登録する(S103)。なお、このとき、遊技レコード中の操作レベルには、無データを表す「NULL」が記録される(S103)。なお、遊技レコードを新たに登録した際、管理装置10は、操作量の履歴を表す上記の時系列データをリセットする(S104)。
管理装置10は、受信した遊技情報に含まれる操作量(32段階)を順次記憶し、操作量の時系列データを生成する(S105)。そして、管理装置10は、操作量の時系列データに3分間ぶんの操作量が格納されているか否かを判断する(S106)。操作量の時系列データに3分間ぶんの操作量が格納されていない場合には(S106:NO)、管理装置10は、操作ハンドル335の操作に関する判断を行わず、そのまま遊技レコードの各遊技データを集計する(S110)。
操作量の時系列データに3分間ぶんの操作情報が格納されている場合には(S106:YES)、管理装置10は、まず、遊技レコード中の操作レベルが「NULL」か否か、すなわち操作レベルが確定前の状態か否かを判断する(S107)。管理装置10は、遊技レコード中の操作レベルが「NULL」のとき(S107:YES)、操作量の時系列データのうち、最新の3分間ぶんを参照し、操作ハンドル335の操作が一定であると見なすことができるかどうかの判断を実行する(S108)。
操作ハンドル335の操作が一定であるかどうかの判断は、例えば、3分間の操作量の変化の量(操作量の最高値と最低値との差分)や、例えば1分や1秒など単位時間当りの操作量の変化の割合(操作量の変化速度)や、設定値(例えば32段階中の5段階など)を超える操作量の変化が生じた回数など、に関する閾値処理によって実行可能である。例えば、3分間の操作量の変化の量の閾値としては、例えば32段階中の10段階等の閾値を設定できる。例えば単位時間当りの操作量の変化の割合の閾値としては、3段階毎秒、10秒間に5段階等の閾値を設定できる。例えば操作量の変化を検出するための設定値としては、3段階以上の変化が1分間に5回等の値を設定できる。
管理装置10は、3分間に亘る操作ハンドル335の操作が一定であると判断できたとき(S108:YES)、3分間に亘る操作量の時系列データの平均値や中央値などが属する中心的な操作レベル(8レベル中のいずれか)を、遊技レコード中の操作レベルに記録する(S109)。一方、3分間に亘る操作ハンドル335の操作が一定ではないと判断したときは(S108:NO)、遊技レコード中の操作レベルに「不定」を記録する(S119)。
上記のステップS107において、遊技レコード中の操作レベルの記録データが「NULL」ではない場合、すなわち操作レベルに「不定」あるいはいずれかのレベルが記録されている場合(S107:NO)、管理装置10は、まず、遊技レコード中の操作レベルに「不定」が記録されているか否かを判断する(S128)。操作レベルに「不定」が記録されている場合(S128:YES)、管理装置10は、操作量の時系列データのうち、最新の3分間ぶんを参照し、操作ハンドル335の操作が一定であると見なすことができるかどうかの判断を実行する(S129)。
操作ハンドル335の操作が一定であると判断できたとき(S129:YES)、管理装置10は、操作レベルに「不定」が記録された遊技レコードを閉じると共に、新たな遊技レコードを登録する(S130)。このとき新たな遊技レコード中の操作レベルには「NULL」が記録される(S130)。さらに、管理装置10は、新たな遊技レコードの登録に応じて、操作量の時系列データをリセットする(S131)。一方、操作ハンドル335の操作が一定でないときは(S129:NO)、管理装置10は、操作レベルに「不定」が記録された遊技レコード中の各遊技データの集計をそのまま継続する(S110)。
遊技レコード中の操作レベルの記録データが「NULL」でなく(S107:NO)、「不定」でもないとき、すなわち操作レベルに1~8レベルのうちのいずれかの値が記録されているとき(S128:NO)、管理装置10は、操作量の時系列データのうち、最新の3分間ぶんを参照し、操作ハンドル335の操作が一定であると見なすことができるかどうかの判断を実行する(S149)。操作ハンドル335の操作が一定であると判断できたとき(S149:YES)、管理装置10は、操作レベルにいずれかのレベルが記録された遊技レコード中の各遊技データの集計をそのまま継続する(S110)。一方、操作ハンドル335の操作が一定でないときは(S149:NO)、操作レベルに1~8レベルのいずれかの値が記録された遊技レコードを閉じると共に、新たな遊技レコードを登録する(S130)。このとき新たな遊技レコード中の操作レベルには「NULL」が記録される(S130)。さらに、管理装置10は、新たな遊技レコードの登録に応じて、操作量の時系列データをリセットする(S131)。
管理装置10による以上のような遊技レコードの集計動作によれば、図6に例示する遊技履歴を生成できる。各遊技レコードは、スタート時刻を始期とし、エンド時刻を終期とした遊技期間の遊技履歴である。各遊技レコードには、アウト、セーフ、スタートなどの遊技データに加えて、操作ハンドル335の操作情報の一例である操作レベルや遊技状態が記録されている。
なお、管理装置10は、図7のフロー図による処理に加えて、例えば通常状態から時短状態などへの切替など、遊技状態が切り替わったときにも集計中の遊技レコードを閉じて、新たな遊技レコードを登録するように構成されている。そのため、遊技レコードが2つの遊技状態に亘ることはない。図6中の各遊技レコードには、対象の遊技期間の遊技状態が記録されている。
例えば、図6中の遊技レコードNo.1の遊技期間は、「操作レベル」欄の表示のごとく、操作ハンドル335が操作レベル3で操作された期間である。また例えば、遊技レコードNo.2の遊技期間は、「操作レベル」欄のごとく、操作ハンドル335の操作量が一定せず、操作量が操作レベル3~5で変動した「不定」区間である。
図6中の遊技レコードNo.1の遊技期間は、操作ハンドル335の操作量とスタートとの関係に着目して異常を判定するための遊技期間として有効である。一方、遊技レコードNo.2の遊技期間は、操作ハンドル335の操作量とスタートとの関係に着目して異常を判定するための遊技期間としては適当ではない。
例えば遊技開始時や大当り状態や時短状態などの特賞状態下の右打ちから通常位置に操作ハンドル335を戻す際には、操作ハンドル335の調整位置が1カ所に定まらない可能性が高い。遊技者は、遊技を行いながら徐々に操作ハンドル335を調整する。このような調整の最中でも玉が発射されてアウトが発生するため、アウト自体あるいはアウトに関連する遊技データに基づくスタート管理の精度が損なわれる可能性が高い。
また、遊技に不慣れな遊技者の場合、操作ハンドル335の適切な操作位置が良くわからず、発射強度を強くしたり弱くしたりを繰り返すため、操作ハンドル335の操作量が一定しない傾向がある。このような不慣れな遊技者の遊技は、アウト等に基づくスタート管理の精度を低下させる要因となり得る。操作ハンドル335の操作量が一定せず、操作量が不安定な例えば図6中の遊技レコードNo.2の遊技期間をスタート管理の対象期間から排除すれば、スタート管理の精度を向上できる。このような理由から本例では、操作ハンドル335の操作量の時間的な変化を特定することにより、例えば図6中の遊技レコードNo.2のように、操作レベルが「不定」の遊技レコードの区間を特定している。
なお、本例の構成では、操作ハンドル335の操作量を32段階に区分しているが、例えば64段階、100段階など、32段階よりも多くの段階に操作量を区分することも良い。さらに例えば、操作ハンドル335の回転角を操作角として計測し、管理装置10に出力しても良い。この場合には、連続値である角度を計測することにより、操作ハンドル335の操作量を無段階で特定できる。例えば、2つの計測時点の操作角の差分値は、操作量の一例である操作角の時間的な変化の量(角度)を示している。また例えば、2つの計測時点間の長さを示す時間によって操作角の差分値を除算すれば、単位時間当りの操作角の変化速度を取得できる。この操作角の変化速度は、操作量の一例である操作角の時間的な変化の割合を示している。この場合には、操作角の時間的な変化の量や操作角の時間的な変化の割合を示す変化速度が予め設定された閾値を超えるか否かの閾値処理によって、操作ハンドル335の操作が一定であるか否かを判断できる。
なお、操作信号としては、操作ハンドル335の操作量を表す信号のほか、玉の発射強度を表す信号を採用しても良い。この場合にも、発射強度の時間的変化の量があらかじめ設定された閾値(例えば1分当り5%の変化など)を超えているか否かで、操作ハンドル335の操作が一定であるか否かを判断できる。
(2)機種毎のスタート管理
管理装置10は、遊技機3の機種毎にスタートを集計して管理している。管理装置10は、8レベルの操作レベルによって区分してスタートを管理している。例えば図8は、通常状態及び時短状態について、アウトに対するスタートの割合を示す平均スタート(平均S)の平均値及び標準偏差を、1~8レベルの操作レベル毎に管理する態様の例示である。管理装置10によるこのような管理では、操作ハンドル335の操作量の時間的な変化の量または割合が閾値を超えるような操作レベルが「不定」の遊技が除外される。
前述した通り、本例の遊技機3では、第2始動口32が遊技領域330の右側領域に配設されている。それ故、時短状態下では操作ハンドル335の操作量を大きくして、遊技領域330の右側領域を狙って玉を打出す、所謂右打ちが有利になっている。このことは、図8のスタート管理の例にも現れている。通常状態では操作レベル4辺りに平均Sのピークがある一方、時短状態では操作レベル6辺りに平均Sのピークがある。このことは、本例の遊技機3で時短状態が発生しているとき、操作ハンドル335の操作量を大きくし、遊技領域330の右側領域を狙って玉を打ち出すと有利であることを示している。
(3)異常監視機能
異常監視機能は、スタートを監視し、異常か否かを判定する機能である。遊技場用システム1では、管理装置10がその異常の判定を担っている。管理装置10は、例えば図9中の各遊技レコードについて、アウトに対するスタートの割合である平均Sを算出(特定)する。さらに、対象の遊技レコードに記録された操作レベルを取得すると共に、図8に例示するスタート管理を参照し、その操作レベルに対応する平均Sの平均値、標準偏差を取得する。
管理装置10は、各遊技レコードの遊技データに基づく平均Sについて、平均値(図8)からの偏りを表す偏差情報の一例である偏差値を算出する。なお、偏差値の算出には、平均値が偏差値50、平均値にσ(標準偏差)を加算した値の偏差値が60、平均値に2σを加算した値の偏差値が70等とする偏差値の算出方法を採用している。管理装置10は、算出した平均S(頻度情報の一例)の偏差値に関する閾値処理により、各遊技レコードの平均Sが異常であるか否かを判定する。
本例では、偏差値に関する閾値処理に適用する閾値(偏差基準情報の一例)として2σに当たる偏差値30及び偏差値70を設定している。つまり、管理装置10は、平均Sの偏差値が30未満あるいは70超である遊技レコードを異常と判定する。図9は、図6の遊技履歴中の各遊技レコードに関する異常判定結果の例である。
例えば、通常状態下の遊技レコードNo.1は、操作レベル3の遊技レコードである。図8によると、操作レベル3の通常状態下の平均Sの平均値は4.2%で、σ0.3%である。遊技レコードNo.1は、アウト3052ポイントで、スタート114回であるので(図6参照。)、平均S=3.7%、偏差値34と算出できる。遊技レコードNo.1は、平均Sの偏差値が34であり、偏差基準情報の一例である偏差値30から偏差値70の範囲内に収まっているので、正常な遊技レコードと判定できる。
また例えば、時短状態下の遊技レコードNo.7は、操作レベル6の遊技レコードである。図8によると、操作レベル6の時短状態下の平均Sの平均値は12.7%で、σ0.6%である。遊技レコードNo.7は、アウトが521ポイントで、スタートが73回であるので(図6参照。)、平均S=14.0%、偏差値72と算出される。遊技レコードNo.7は、平均Sの偏差値が72であるので、異常な遊技レコードと判定される。
管理装置10は、異常報知手段としての出力部11を利用し、異常が発生した旨および遊技機3の識別情報である台番を含む異常判定情報を出力あるいは印字出力する。なお、例えばWiFiネットワークが構築された遊技場であれば、従業員が携帯する無線端末(図示略)に対して、異常判定情報を配信することも良い。
なお、管理装置10は、上記のようにスタートを監視して異常の有無を判定する処理を、図9に例示する遊技レコードの集計中においてもリアルタイムで反復的に実行する。管理装置10は、遊技レコードの集計中において、その集計中の遊技レコードの最新のスタート(現在のスタート)に基づく平均Sが、例えば図8のように管理装置10が管理する平均Sとかけ離れているか否かを判断する。管理装置10は、集計中の遊技レコードに記録されたその時点の操作レベル(現在の操作レベル)を参照し、その操作レベルについて管理装置10が管理している平均Sの平均値及び標準偏差を取得する(図8参照。)。そして管理装置10は、平均Sの平均値及び標準偏差を用い、集計中の遊技レコードに係る平均Sの偏差値を算出する。管理装置10は、このように算出した偏差値が30から70の範囲内に収まっているか否かを判断し、範囲外の場合に直ちに異常を報知する。このようにリアルタイムで異常判定を反復的に実行する管理装置10によれば、いずれかの遊技機3で異常な遊技データが生じたときに、リアルタイムで異常を判定でき、直ちにその異常を報知できる。
以上のように構成された本例の遊技場用システム1は、大入賞口360や始動口31、32などの入賞部が設けられた遊技領域330に向けて玉を発射して遊技が行われる遊技機3に対応するシステムである。遊技場用システム1は、始動口31、32への玉の入賞を契機とした図柄変動の発生回数(スタート)を示す頻度情報の一例として平均S(アウトに対するスタートの割合)を特定すると共に、操作ハンドル335の操作量に基づく操作レベルを特定し、操作レベルに応じて平均Sを区分して管理している。遊技場用システム1は、操作レベルによって区分して管理される頻度情報(平均S)を利用し、実際の遊技で特定された頻度情報(平均S)が異常か否かを判定可能である。
遊技場用システム1は、操作情報の一例である操作レベルにより区分された頻度情報の分布の標準偏差に基づき特定可能な偏差値(偏差情報)を取得する統計処理手段と、偏差値の基準を示す偏差基準情報(本例では偏差値30と偏差値70)を設定する設定手段と、を備えている。そして、異常判定手段としての管理装置10は、実際の遊技に基づく偏差値と偏差基準情報とを比較した結果により頻度情報(平均S)が異常か否かを判定する。このような統計的な処理による偏差値は、遊技機3毎の玉の発射特性や始動口31、32の入賞状況のばらつき(分散)が考慮された指標値である。したがって、統計的な偏差情報を示す偏差値を利用すれば、遊技機3毎の玉の発射特性や始動口31、32の入賞状況のばらつきを超える頻度情報が発生したとき、確実性高く異常と判定できる。
また、遊技場用システム1では、操作ハンドル335の操作量の時間的な変化の割合または量を特定する操作監視手段としての機能を管理装置10が有している。特定された操作量の時間的な変化の割合または量は、操作ハンドル335の操作が一定と見なすことができるか否かの判断に利用される。管理手段としての管理装置10は、操作量の時間的な変化の量が閾値を超えた遊技や、操作量の時間的な変化量の割合が閾値を超えた遊技などを除外して頻度情報(平均S)を管理している。
上述したように例えば右打ちから通常位置に操作ハンドル335を戻す際には、操作ハンドル335の調整位置が1カ所に定まらない可能性が高く、遊技者は、遊技を行いながら徐々に操作ハンドル335を調節する。このような調節の最中でも玉が発射されてアウトが発生するため、アウトに基づくスタート管理の精度が損なわれる可能性が高い。また、遊技に不慣れな遊技者の場合、操作ハンドル335の最適な操作位置が良くわからず、発射強度を強くしたり弱くしたりを繰り返す傾向にあり、操作ハンドル335の操作量が一定しない傾向がある。このようの不慣れな遊技者の遊技は、アウト等に基づくスタート管理の精度を低下させる要因となり得る。
そこで、上記の通り、本例の遊技場用システム1は、操作ハンドル335の操作量の変化の量が閾値(本例では2レベル)を超える場合の遊技を除外して頻度情報(平均S)を管理している。操作量の変化の量が閾値を超える遊技を除外すれば、スタート管理の精度を向上でき、各遊技機3の異常判定の精度を一層高めることができる。
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、異常を判定する対象の頻度情報として、図柄変動回数(スタート)に関する頻度情報の一例として平均Sを示している。頻度情報としては、例えば第1始動口31や第2始動口32などの特定の入賞部への玉の入賞回数を示す頻度情報を採用することも良い。
本例では、操作レベル(8レベル)により区分された平均S(頻度情報)の偏差値(偏差情報)について偏差基準情報を設定し、偏差値と偏差基準情報とを比較した結果により平均Sが異常か否かを判定している。偏差基準情報として、偏差値30及び偏差値70を例示している。偏差基準情報は、管理者が任意に操作入力により設定しても良く、予め管理装置10の製造メーカにて設定しても良く、外部(例えばチェーン店本部等)のサーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。
偏差基準情報を設定する手段に代えて、管理手段としての管理装置10により管理される頻度情報に基づき、操作情報により区分した頻度情報の基準を表す基準情報を設定する手段を採用しても良い。例えば、図8中の平均Sの平均値に基づき、操作レベルの区分毎に基準情報を設定することも良い。例えば、同図中の平均Sの平均値の70%に当たる値、及び130%に当たる値を基準情報として設定しても良い。この場合、異常判定手段としての管理装置10は、操作レベルに対応する基準情報と、実際の遊技を反映した平均S(頻度情報)と、を比較した結果により平均Sが異常か否かを判定できる。基準情報は、上記の偏差基準情報の場合と同様、管理者が任意に操作入力により設定しても良く、予め管理装置10の製造メーカにて設定しても良く、外部(例えばチェーン店本部等)のサーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。あるいは過去の遊技情報を基準値として設定しても勿論良い。
本例では、遊技装置2から中継装置54を経由して管理装置10にデータ送信する構成を例示したが、遊技装置2から直接管理装置10にデータ送信する構成を採用しても良い。また、遊技機3と遊技装置2は直接的に信号や情報を送受信する構成を例示したが、中継装置54を介して遊技機3と遊技装置2との間の信号等の送受信を実現しても良い。
また、本例では、操作ハンドル335の操作量に基づく操作レベルを操作情報の一例として示している。これに代えて、玉の発射強度を示す操作情報を採用することも良い。例えば、玉を打ち出す槌などの部材に歪ゲージを内蔵させることで、玉の発射強度を直接的に計測することも良い。あるいは、例えば、玉の発射経路の途中の2カ所に玉の通過センサを設け、玉の通過速度を計測することも良い。この場合には、玉の通過速度に基づいて玉の発射強度を演算等により取得できる。あるいは、操作量を発射強度に換算するマップや変換式等を採用し、操作量に応じて発射強度を特定することも良い。
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても良く、演算式を利用して間接的に特定しても良い。また、遊技信号としてパルス信号やシリアル通信による電文情報等を例示したがどのような遊技信号を対象としても良い。遊技機3のアウト信号などの遊技信号を、中継装置54を介して出力する構成を採用することも良い。
説明中の数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。また、出力としては印字、表示出力が少なくとも想定される。
対象となる遊技機としては例示したパチンコ遊技機3以外のパチンコ遊技機や、スロットマシン等にも採用できる。なお、例示した封入式を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。封入式遊技機3のほか、遊技価値である玉を消費して遊技され、遊技で入賞すると玉の払出を受けられる払出式の遊技機であっても良い。
管理装置10が行う処理の一部を中継装置54、表示装置51、或いは遊技装置2等にて行っても良い等、どの様に構成しても良い。さらに例示した構成は変形例も含めて、どのように組合わせても良いし、適宜、採用しない構成を設けても良い。
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。