JP7328154B2 - 車両用アンダーカバー - Google Patents
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Description
第一の面、該第一の面とは反対側の第二の面、及び、前記第一の面から前記第二の面へ貫通した貫通穴を有し、繊維基材を含むアンダーカバー本体と、
車両への取付部を通す取付穴を有し前記貫通穴を通っている筒部、該筒部から前記取付穴の周辺部にかけて前記第一の面に面して配置されている第一延出部、及び、前記筒部から前記取付穴の周辺部にかけて前記第二の面に面して配置されている第二延出部を含む鳩目部材と、を備え、
前記第二の面は、前記筒部に接し該筒部に沿って盛り上がった盛り上がり部を有する、
態様を有する。
まず、図1~13に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
また、本願において、数値範囲「Min~Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。
本技術の一態様に係る車両用アンダーカバー1は、アンダーカバー本体2、及び、鳩目部材30を備える。前記アンダーカバー本体2は、第一の面3、該第一の面3とは反対側の第二の面4、及び、前記第一の面3から前記第二の面4へ貫通した貫通穴5を有し、繊維基材10を含んでいる。前記鳩目部材30は、車両(例えば自動車100)への取付部120を通す取付穴41を有し前記貫通穴5を通っている筒部40、該筒部40から前記取付穴41の周辺部41aにかけて前記第一の面3に面して配置されている第一延出部50、及び、前記筒部40から前記取付穴41の周辺部41aにかけて前記第二の面4に面して配置されている第二延出部60を含んでいる。前記第二の面4は、前記筒部40に接し該筒部40に沿って盛り上がった盛り上がり部4bを有する。
鳩目部材の第一延出部は、アンダーカバー本体の第一の面に接していてもよいし、第一の面から離れていてもよい。いずれの場合も、第一延出部が第一の面に面することに含まれる。
鳩目部材の第二延出部は、アンダーカバー本体の第二の面に接していてもよいし、第二の面から離れていてもよい。いずれの場合も、第二延出部が第二の面に面することに含まれる。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
図3,5等に例示するように、前記第二延出部60は、前記筒部40から前記取付穴41の周辺部41aにかけて延びている複数の分割部61を含んでいてもよい。前記複数の分割部61の少なくとも一つは、前記筒部40とは反対側の端部(例えば先端部60a)が前記第二の面4に接触していてもよい。分割部61の端部(60a)がアンダーカバー本体2の第二の面4に接触しているので、本態様は、アンダーカバー本体と鳩目部材との接合強度がさらに高い車両用アンダーカバーを提供することができる。
図3等に例示するように、前記分割部61の前記端部(60a)は、前記第二の面4において前記第一延出部50に対応する範囲A1の中にあってもよい。この態様は、アンダーカバー本体2を挟んで分割部61の端部(60a)とは反対側に第一延出部50が存在するので、アンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度がさらに高い車両用アンダーカバーを提供することができる。
図8,9に例示するように、前記第二の面4は、前記第二延出部60よりも高い凸部4cを前記第二延出部60の周辺に有していてもよい。本態様は、車体から突出している取付部120を取付穴41に通してアンダーカバー1を車体に取り付けた時に鳩目部材30の第二延出部60が車体から離れた状態になるので、鳩目部材が車体に接することによる異音を抑制することができる。
また、図10~12に例示するように、本技術の一態様に係る車両用アンダーカバー1の製造方法は、以下の工程(a),(b)を含む。
(a)前記第一延出部50、並びに、前記筒部40及び前記第二延出部60となる筒状の元筒部45を含み前記鳩目部材30となる元部材35の前記元筒部45を、前記第一の面3及び前記第二の面4を有し前記繊維基材10を含み前記アンダーカバー本体2となる本体基材15の前記第一の面3に向けて配置する配置工程ST1。
(b)前記本体基材15に前記元筒部45を貫通させることにより前記貫通穴5を形成し、前記元筒部45のうち前記貫通穴5を通り抜けた部分を前記第二延出部60に変形させることにより、前記筒部40に接している接触部7を有する前記アンダーカバー本体2、及び、前記鳩目部材30を含む前記車両用アンダーカバー1を形成する成形工程ST2。
図1,2は、アンダーカバーを有する自動車の例を模式的に示している。図1,2に示す自動車100は、道路上で使用されるように設計及び装備された路上走行自動車であり、車体101に囲まれた車室CA1を有する乗用自動車であるものとする。これらの図中、FRONT、REAR、LEFT、RIGHT、UP、DOWNは、それぞれ、前、後、左、右、上、下を示す。左右の位置関係は、車室CA1内の運転席に座って前を見る方向を基準とする。図1に示す自動車100において、前輪のタイヤ111と後輪のタイヤ112が路面200と接触している。
ここで、図3~5に示す符号AX1は、鳩目部材30の取付穴41の中心軸を示している。図3に示す符号D1は、アンダーカバー1の厚さ方向であり、繊維基材10、外層20、及び、裏層25の厚さ方向でもあり、中心軸AX1に沿った方向である。図4,5に示す外方向D2は、第一の面3及び第二の面4に沿って取付穴41から離れる方向である。
繊維基材10に対する無機繊維11の配合比(R1とする。)は、例えば、10~90重量%とすることができる。繊維基材10に対する熱可塑性バインダー12の配合比(R2とする。)は、例えば、10~90重量%とすることができる。ただし、R1+R2≦100重量%である。繊維基材10には、R1+R2以下の範囲(好ましくはR1+R2≧75重量%となる範囲)の配合比で他の材料(例えば繊維)が添加されてもよい。これらの材料を含む繊維基材10は、ニードルパンチされていてもよい。
外層20に対する合成樹脂繊維21の配合比(R3とする。)は、例えば、10~90重量%とすることができる。外層20に対する熱可塑性バインダー22の配合比(R4とする。)は、例えば、10~90重量%とすることができる。ただし、R3+R4≦100重量%である。外層20には、R3+R4以下の範囲(好ましくはR3+R4≧75重量%となる範囲)の配合比で他の材料(例えば繊維)が添加されてもよい。これらの材料を含む外層20は、ニードルパンチされていてもよい。
むろん、本体基材15に含まれる熱可塑性バインダー12,22が繊維でない場合も、本技術に含まれる。
また、アンダーカバー本体2は、繊維基材10を含んでいればよく、裏層25を備えていなくてもよく、外層20を備えていなくてもよい。
第二の面4における盛り上がり部4bの高さH1は、例えば、1~10mmとすることができる。また、盛り上がり部4bにより接触部7における厚さ(図3ではT1+H1)が一般部6の厚さT1よりも厚くなると、接触部7と筒部40との間の摩擦力が大きくなるので、アンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度が向上する。
尚、筒部40の形状は、円筒形状に限定されず、断面長円形状、断面四角形状といった断面多角形状、等でもよい。
さらに、第一延出部50の形状は、傘形状に限定されず、円環形状、外形四角形といった外形多角形の形状、筒部40から取付穴41の周辺部41aにかけて複数に分かれて延びている形状、等でもよい。
元部材35は、第一延出部50と筒状の元筒部45を含んでいる。元部材35の第一延出部50は、そのまま鳩目部材30の第一延出部50となる。元部材35の元筒部45は、取付穴41となる部分を含む貫通穴46を有し、鳩目部材30の筒部40及び第二延出部60となる。図6には、穴46に含まれる取付穴41の中心軸AX1が示されている。アンダーカバー本体2となる本体基材15(図10,11参照)の第一の面3に向けた元筒部45を本体基材15に貫通させることにより、本体基材15が環状に切断され、切断部に貫通穴5が生じ、元筒部45のうち貫通穴5を通り抜けた部分が第二延出部60に変形する。本体基材15を元筒部45で切断するため、図6の左上に示す元筒部45Aのように先端部45aを横断面において鋭利な形状にしてもよい。また、図6の右上に示す元筒部45Bのように先端部45aを横断面において鋭利でない形状にしても、本体基材15を元筒部45で切断することが可能な押圧力を元部材35に加えることにより、本体基材15を元筒部45で切断することができる。
尚、アンダーカバー1の中では前部に異物等の負荷が加わり易いので、アンダーカバー1のうち前部を優先して鳩目部材30を配置することが好ましい。
段付きボルト121が通される取付穴41は、図7に例示するようにアンダーカバー1の凹部3aに配置されることがある。そこで、図7~9を参照して、凹部3aにおけるアンダーカバー1の構造例を説明する。
凸部4cは、車体101に接することにより鳩目部材30の第二延出部60を車体101から離隔させる。これにより、車体101から振動が加わっても鳩目部材30が車体101に接触することが抑制され、鳩目部材30が車体に接触することによる異音が抑制される。
上述したアンダーカバー1は、図10に例示する配置工程ST1、及び、図11,12に例示する成形工程ST2を含む製造方法により製造することができる。成形工程ST2は、図11に示すアンダーカバー本体形成工程ST21、及び、図12に示す鳩目部材形成工程ST22を含んでいる。
まず、図10に示す配置工程ST1では、本体基材15を予備加熱する予備加熱処理、予備加熱された本体基材15を型310,320の間に配置する本体基材配置処理、及び、元筒部45を本体基材15の第一の面3に向けて収容空間332に元部材35を配置する元部材配置処理が行われる。本体基材15は、図3に示す繊維基材10となる元繊維基材のみならず、外層20となる元外層を含んでいてもよいし、裏層25となる元裏層を含んでいてもよい。元繊維基材は、無機繊維11と繊維状熱可塑性バインダー12とを含む繊維材料をカーディングしマット状に配置してニードルパンチ加工機でニードルパンチすることにより形成されてもよい。元外層は、合成樹脂繊維21と繊維状熱可塑性バインダー22を含む繊維材料をカーディングしシート状に配置してニードルパンチ加工機でニードルパンチすることにより形成されてもよい。元裏層は、溶融状態又は液状の合成樹脂を押出成形機のTダイ(フラットダイ)からフィルム状に押し出し成形されて元繊維基材の表面(車体側の面13b)に形成されてもよい。予備加熱処理では、本体基材15を予備加熱装置で熱可塑性バインダー12の融点以上に加熱する処理が行われる。本体基材15が元外層を含んでいる場合には本体基材15が熱可塑性バインダー22の融点以上に加熱される。配置工程ST1により、元筒部45の先端部45aが第一の面3に対向している状態となる。
まず、元筒部45の先端部45aが第一の面3から第二の面4まで通り抜けることにより、プレス成形後の本体基材15が環状に切断され、第二の面4に元筒部45に沿って盛り上がった盛り上がり部4bが形成される。このように、鳩目部材形成工程ST22では、本体基材15に元筒部45を貫通させることにより貫通穴5を形成するとともに第二の面4に元筒部45に接し該元筒部45に沿って盛り上がった盛り上がり部4bを形成する処理が行われる。入子型330と型310との間には、本体基材15に貫通穴5が形成されることにより本体基材15から分離した略円形のスクラップ16が存在する。
図11,12で示したように、元部材35の元筒部45が本体基材15を通り抜けることにより、本体基材15に貫通穴5が形成されるとともに、本体基材15の第二の面4に元筒部45に接し該元筒部45に沿って盛り上がった盛り上がり部4bが形成される。盛り上がり部4bは、自らの弾性力により本体基材15の形状に戻ろうとして接触部7を筒部40に強く押し付けている。これにより、接触部7と筒部40との間の摩擦力が大きい。従って、本具体例のアンダーカバー1、及び、その製造方法は、繊維基材10を含むアンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度を向上させることができる。また、本具体例のアンダーカバー1の製造方法は、本体基材15の成形と同時に本体基材15に貫通穴5が形成されるので、穴開け工程を別途行う必要が無くなる。
尚、第二の面4に盛り上がり部4bが形成されない場合でも、元部材35の元筒部45が本体基材15を通り抜けることにより、形成されたアンダーカバー本体2の接触部7が自らの弾性力により筒部40に強く接する。従って、接触部7と筒部40との間の摩擦力が大きく、アンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度が高い。
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、アンダーカバー本体2の第一の面3のうち盛り上がり部4bに対応する範囲の形状は、図3,9に示すように平坦であることに限定されず、第二の面4の方へ凹んだ形状でもよい。この場合でも、盛り上がり部4bが自らの弾性力により接触部7を筒部40に強く押し付けるので、接触部7と筒部40との間の摩擦力が大きく、アンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度が高い。
図8,9に示すような凸部4cの位置は、台地部4zに限定されず、一般部6に囲まれた位置でもよい。
また、上述した具体例ではアンダーカバー本体2において凸部4cに対応する凸部対応部分がアンダーカバー本体2において凸部周辺部4dに対応する凸部周辺部対応部分とほぼ同じ厚さとされているが、これに限定されない。凸部対応部分は、凸部周辺部対応部分よりも厚い厚肉部でもよい。従って、第一の面3において、凸部4cの反対側に溝3cが無くてもよい。
図10に示すプレス成形装置300に元部材35Aをセットした後、図12に示す鳩目部材形成工程ST22において入子型330が対向する型310に近付くと、誘導面312に接触した先端部45aから元筒部45が各ノッチ48を起点として溝47に沿って分かれる。これにより、複数の分割部61が形成される。元筒部45にノッチ48があることにより、元筒部45のうち貫通穴5を通り抜けた部分が容易に複数の分割部61に分かれ、各分割部61の先端部60aが狭くなることによりアンダーカバー本体2に引っ掛かり易くなる。従って、元部材35Aから得られた鳩目部材30を含むアンダーカバー1は、アンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度をさらに向上させることができる。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、繊維基材を含むアンダーカバー本体と鳩目部材との接合強度が高い車両用アンダーカバー、その製造方法、等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
2…アンダーカバー本体、
3…第一の面、3a…凹部、3c…溝、
4…第二の面、4a…一般面、4b…盛り上がり部、4c…凸部、4z…台地部、
5…貫通穴、
6…一般部、7…接触部、
10…繊維基材、11…無機繊維、12…熱可塑性バインダー、
15…本体基材、16…スクラップ、
20…外層、25…裏層、
30…鳩目部材、35,35A…元部材、
40…筒部、41…取付穴、41a…周辺部、
45,45A,45B…元筒部、45a…先端部、46…穴、46a…外周面、
47…溝、48…ノッチ、
50…第一延出部、50a…先端部、50b…基端部、
60…第二延出部、60a…先端部、60b…基端部、61…分割部、
100…自動車、101…車体、
120…取付部、121…段付きボルト、
300…プレス成形装置、310,320…型、312…誘導面、330…入子型、
A1…範囲、
AX1…中心軸、
D1…厚さ方向、D2…外方向、
ST1…配置工程、ST2…成形工程、
ST21…アンダーカバー本体形成工程、ST22…鳩目部材形成工程。
Claims (4)
- 第一の面、該第一の面とは反対側の第二の面、及び、前記第一の面から前記第二の面へ貫通した貫通穴を有し、繊維基材を含むアンダーカバー本体と、
車両への取付部を通す取付穴を有し前記貫通穴を通っている筒部、該筒部から前記取付穴の周辺部にかけて前記第一の面に面して配置されている第一延出部、及び、前記筒部から前記取付穴の周辺部にかけて前記第二の面に面して配置されている第二延出部を含む鳩目部材と、を備え、
前記第二の面は、前記筒部に接し該筒部に沿って盛り上がった盛り上がり部を有する、車両用アンダーカバー。 - 前記第二延出部は、前記筒部から前記取付穴の周辺部にかけて延びている複数の分割部を含み、
前記複数の分割部の少なくとも一つは、前記筒部とは反対側の端部が前記第二の面に接触している、請求項1に記載の車両用アンダーカバー。 - 前記分割部の前記端部は、前記第二の面において前記第一延出部に対応する範囲の中にある、請求項2に記載の車両用アンダーカバー。
- 前記第二の面は、前記第二延出部よりも高い凸部を前記第二延出部の周辺に有する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の車両用アンダーカバー。
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