JP7328154B2 - 車両用アンダーカバー - Google Patents

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Description

本発明は、アンダーカバー本体と鳩目部材とを備える車両用アンダーカバーに関する。
自動車の車体の下には、エンジンアンダーカバーやフロアアンダーカバー等といった車両用アンダーカバーが取り付けられている。特許文献1には、プラスチックで作られた自動車用アンダーカバーが開示されている。アンダーカバーに予め開けられた取付穴には合成樹脂製の一体成形の第1クリップと合成樹脂製の一体成形の第2クリップとが挿入され、両クリップが係合している。互いに係合した両クリップは、アンダーカバーを車体に取り付けるための鳩目部材として機能する。プラスチック製のアンダーカバーは、エンジンの作動や停止に応じた温度変化により膨張及び収縮する。そこで、第1クリップのフランジと第2クリップのフランジとがアンダーカバーの温度変化に伴う面方向への移動を可能にする所定の挟持力でアンダーカバーを挟持している。
特開2003-291860号公報
車両用アンダーカバーとして、車内の静粛性を向上させたり車両を軽量化させたりする等のために繊維系のアンダーカバー本体に鳩目部材を接合したアンダーカバーを使用することが考えられる。ただ、繊維系アンダーカバー本体は、プラスチック製のアンダーカバー本体と比べて剛性が低い。このため、上述した2つの合成樹脂製クリップを繊維系アンダーカバー本体に接合した車両用アンダーカバーを使用する場合、車両走行中の振動といった負荷により鳩目部材からアンダーカバー本体が脱落する可能性がある。
本発明は、繊維基材を含むアンダーカバー本体と鳩目部材との接合強度が高い車両用アンダーカバーを開示するものである。
本発明の車両用アンダーカバーは、
第一の面、該第一の面とは反対側の第二の面、及び、前記第一の面から前記第二の面へ貫通した貫通穴を有し、繊維基材を含むアンダーカバー本体と、
車両への取付部を通す取付穴を有し前記貫通穴を通っている筒部、該筒部から前記取付穴の周辺部にかけて前記第一の面に面して配置されている第一延出部、及び、前記筒部から前記取付穴の周辺部にかけて前記第二の面に面して配置されている第二延出部を含む鳩目部材と、を備え、
前記第二の面は、前記筒部に接し該筒部に沿って盛り上がった盛り上がり部を有する、
態様を有する。
本発明によれば、繊維基材を含むアンダーカバー本体と鳩目部材との接合強度がさらに高い車両用アンダーカバー、及び、その製造方法を提供することができる。
アンダーカバーを有する自動車の例を模式的に示す側面図。 アンダーカバーを有する自動車の例を模式的に示す底面図。 アンダーカバーの垂直断面の例を模式的に示す断面図。 アンダーカバーの第一の面の例を模式的に示す底面図。 アンダーカバーの第二の面の例を模式的に示す平面図。 元部材の例を模式的に示す斜視図。 アンダーカバーの凹部の例を模式的に示す斜視図。 アンダーカバーの台地部の例を模式的に示す平面図。 アンダーカバーの垂直断面の例を模式的に示す断面図。 アンダーカバー製造装置の例を模式的に示す断面図。 本体基材をプレス成形した直後の例を模式的に示す断面図。 アンダーカバーを形成した直後の例を模式的に示す断面図。 ノッチを有する元部材の例を模式的に示す斜視図。
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、図1~13に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
また、本願において、数値範囲「Min~Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。
[態様1]
本技術の一態様に係る車両用アンダーカバー1は、アンダーカバー本体2、及び、鳩目部材30を備える。前記アンダーカバー本体2は、第一の面3、該第一の面3とは反対側の第二の面4、及び、前記第一の面3から前記第二の面4へ貫通した貫通穴5を有し、繊維基材10を含んでいる。前記鳩目部材30は、車両(例えば自動車100)への取付部120を通す取付穴41を有し前記貫通穴5を通っている筒部40、該筒部40から前記取付穴41の周辺部41aにかけて前記第一の面3に面して配置されている第一延出部50、及び、前記筒部40から前記取付穴41の周辺部41aにかけて前記第二の面4に面して配置されている第二延出部60を含んでいる。前記第二の面4は、前記筒部40に接し該筒部40に沿って盛り上がった盛り上がり部4bを有する。
上記態様1では、繊維基材10を含むアンダーカバー本体2の第二の面4が筒部40に沿って盛り上がった盛り上がり部4bを有している。アンダーカバー本体2の盛り上がり部4bは鳩目部材30の筒部40に接しているので、上記態様は、繊維基材を含むアンダーカバー本体と鳩目部材との接合強度が高い車両用アンダーカバーを提供することができる。
ここで、繊維基材は、全成分が繊維である基材でもよいし、繊維でないバインダーといった非繊維成分を繊維とともに含む基材でもよい。繊維基材を含むアンダーカバー本体は、繊維基材とともに外層等を含んでいてもよい。
鳩目部材の第一延出部は、アンダーカバー本体の第一の面に接していてもよいし、第一の面から離れていてもよい。いずれの場合も、第一延出部が第一の面に面することに含まれる。
鳩目部材の第二延出部は、アンダーカバー本体の第二の面に接していてもよいし、第二の面から離れていてもよい。いずれの場合も、第二延出部が第二の面に面することに含まれる。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
[態様2]
図3,5等に例示するように、前記第二延出部60は、前記筒部40から前記取付穴41の周辺部41aにかけて延びている複数の分割部61を含んでいてもよい。前記複数の分割部61の少なくとも一つは、前記筒部40とは反対側の端部(例えば先端部60a)が前記第二の面4に接触していてもよい。分割部61の端部(60a)がアンダーカバー本体2の第二の面4に接触しているので、本態様は、アンダーカバー本体と鳩目部材との接合強度がさらに高い車両用アンダーカバーを提供することができる。
[態様3]
図3等に例示するように、前記分割部61の前記端部(60a)は、前記第二の面4において前記第一延出部50に対応する範囲A1の中にあってもよい。この態様は、アンダーカバー本体2を挟んで分割部61の端部(60a)とは反対側に第一延出部50が存在するので、アンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度がさらに高い車両用アンダーカバーを提供することができる。
[態様4]
図8,9に例示するように、前記第二の面4は、前記第二延出部60よりも高い凸部4cを前記第二延出部60の周辺に有していてもよい。本態様は、車体から突出している取付部120を取付穴41に通してアンダーカバー1を車体に取り付けた時に鳩目部材30の第二延出部60が車体から離れた状態になるので、鳩目部材が車体に接することによる異音を抑制することができる。
[態様5]
また、図10~12に例示するように、本技術の一態様に係る車両用アンダーカバー1の製造方法は、以下の工程(a),(b)を含む。
(a)前記第一延出部50、並びに、前記筒部40及び前記第二延出部60となる筒状の元筒部45を含み前記鳩目部材30となる元部材35の前記元筒部45を、前記第一の面3及び前記第二の面4を有し前記繊維基材10を含み前記アンダーカバー本体2となる本体基材15の前記第一の面3に向けて配置する配置工程ST1。
(b)前記本体基材15に前記元筒部45を貫通させることにより前記貫通穴5を形成し、前記元筒部45のうち前記貫通穴5を通り抜けた部分を前記第二延出部60に変形させることにより、前記筒部40に接している接触部7を有する前記アンダーカバー本体2、及び、前記鳩目部材30を含む前記車両用アンダーカバー1を形成する成形工程ST2。
上記態様5では、元部材35の元筒部45が本体基材15を通り抜けることにより、本体基材15に貫通穴5が形成されるとともに、筒部40に強く接している接触部7がアンダーカバー本体2に形成される。従って、上記態様は、繊維基材を含むアンダーカバー本体と鳩目部材との接合強度が高い車両用アンダーカバーの製造方法を提供することができる。また、本体基材15の成形と同時に本体基材15に貫通穴5を形成することができるため、別工程での穴開けが不要となる。
(2)車両用アンダーカバーを有する自動車の構成の具体例:
図1,2は、アンダーカバーを有する自動車の例を模式的に示している。図1,2に示す自動車100は、道路上で使用されるように設計及び装備された路上走行自動車であり、車体101に囲まれた車室CA1を有する乗用自動車であるものとする。これらの図中、FRONT、REAR、LEFT、RIGHT、UP、DOWNは、それぞれ、前、後、左、右、上、下を示す。左右の位置関係は、車室CA1内の運転席に座って前を見る方向を基準とする。図1に示す自動車100において、前輪のタイヤ111と後輪のタイヤ112が路面200と接触している。
車体101の下には、路面200と接触しないように車両用アンダーカバー1が取り付けられている。アンダーカバー1は、車体101の下において車両走行時に生じる空気抵抗を下げる(燃費を向上させる)機能、車両走行時に跳ね上がる石等といった異物から車体101を保護する機能、及び、車室CA1の静粛性を向上させる吸音機能及び遮音機能を有する。
図2に示すアンダーカバー1は、複数のアンダーカバー1a,1b,1c,1c,1d,1dに分けられている。エンジンアンダーカバー1aは、左右の前輪のタイヤ111,111の間において自動車100のエンジンの下に配置されている。ミッションカバー1bは、エンジンアンダーカバー1aから後側において自動車100の変速装置(トランスミッション)の下に配置されている。左右のフロントフロアアンダーカバー1c,1cは、前輪のタイヤ111,111よりも後側において自動車100のフロアパネルの下に配置されている。左右のリヤフロアアンダーカバー1d,1dは、後輪のタイヤ112,112よりも前側であってフロントフロアアンダーカバー1c,1cから後側において自動車100のフロアパネルの下に配置されている。アンダーカバー1は、自動車100への取付部120により車体101に取り付けられている。取付部120には、ボルト、クリップ、等が含まれる。
図3は、アンダーカバー1の垂直断面を模式的に例示している。図3の下部には、アンダーカバー本体2に含まれる繊維基材10及び外層20の構造例が模式的に示されている。図3に示す例の断面は、分かり易くするため誇張して示している。図4は、アンダーカバー1の路面側の面である第一の面3を模式的に例示している。すなわち、第一の面3は、図1に示す路面200に面している。図5は、アンダーカバー1の車体側の面である第二の面4を模式的に例示している。すなわち、第二の面4は、車体101に面している。
ここで、図3~5に示す符号AX1は、鳩目部材30の取付穴41の中心軸を示している。図3に示す符号D1は、アンダーカバー1の厚さ方向であり、繊維基材10、外層20、及び、裏層25の厚さ方向でもあり、中心軸AX1に沿った方向である。図4,5に示す外方向D2は、第一の面3及び第二の面4に沿って取付穴41から離れる方向である。
アンダーカバー1は、少なくとも繊維基材10を含むアンダーカバー本体2、及び、自動車100への取付部120を通す取付穴41を有する硬質の鳩目部材30を備えている。アンダーカバー本体2は、路面側の第一の面3、該第一の面3とは反対側の第二の面4、及び、第一の面3から第二の面4へ貫通した貫通穴5を有している。図3等に示す貫通穴5は、厚さ方向D1へ貫通している。鳩目部材30は、貫通穴5を通っている筒部40、第一の面3とともに見える第一延出部50、及び、第二の面4とともに見える第二延出部60を含んでいる。筒部40は、取付穴41を有している。第一延出部50は、筒部40から取付穴41の周辺部41aにかけて第一の面3に面して配置されている。すなわち、第一延出部50は、第一の面3に投影したときに外方向D2へ延出している。第二延出部60は、筒部40から取付穴41の周辺部41aにかけて第二の面4に面して配置されている。すなわち、第二延出部60は、第二の面4に投影したときに外方向D2へ延出している。
アンダーカバー本体2は、筒部40に接している接触部7、及び、鳩目部材30の周囲にある一般部6を含んでいる。接触部7は、貫通穴5の内周面である。アンダーカバー本体2の第二の面4は、筒部40に接し該筒部40に沿って盛り上がった盛り上がり部4bを有している。第二延出部60の近傍において第二の面4が平坦である場合、第二の面4において、盛り上がり部4bは、鳩目部材30の周囲にある一般面4aよりも高い。筒部40に沿った盛り上がり部4bにより、接触部7と筒部40との間の摩擦力が大きく、アンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度が高い。
図3に示すアンダーカバー本体2は、プレス成形され、層状の繊維基材10、及び、該繊維基材10の路面側の面13aと一体化された外層20を含んでいる。アンダーカバー本体2は、繊維基材10の車体側の面13bと一体化された裏層25を含んでいてもよい。
図3に示す繊維基材10は、無機繊維11、及び、固化した熱可塑性バインダー12を含んでいる。図3では、無機繊維11が実線で示され、固化した熱可塑性バインダー12は無機繊維11の周りにある。繊維基材10は、通気性があるため、厚さ方向D1へ空気が流通可能である。尚、通気性があるとは、通気度が0.05cc/cm2/sec以上(より好ましくは1cc/cm2/sec以上、さらに好ましくは3cc/cm2/sec以上)であることを意味する。無機繊維11及び熱可塑性バインダー12の間に空気を含む繊維基材10は、吸音性能を発揮する。
繊維基材10に対する無機繊維11の配合比(R1とする。)は、例えば、10~90重量%とすることができる。繊維基材10に対する熱可塑性バインダー12の配合比(R2とする。)は、例えば、10~90重量%とすることができる。ただし、R1+R2≦100重量%である。繊維基材10には、R1+R2以下の範囲(好ましくはR1+R2≧75重量%となる範囲)の配合比で他の材料(例えば繊維)が添加されてもよい。これらの材料を含む繊維基材10は、ニードルパンチされていてもよい。
図3に示す外層20は、合成樹脂繊維21、及び、固化した熱可塑性バインダー22を含んでいる。図3では、合成樹脂繊維21が実線で示され、固化した熱可塑性バインダー22は合成樹脂繊維21の周りにある。外層20は、通気性があるため、厚さ方向D1へ空気が流通可能である。
外層20に対する合成樹脂繊維21の配合比(R3とする。)は、例えば、10~90重量%とすることができる。外層20に対する熱可塑性バインダー22の配合比(R4とする。)は、例えば、10~90重量%とすることができる。ただし、R3+R4≦100重量%である。外層20には、R3+R4以下の範囲(好ましくはR3+R4≧75重量%となる範囲)の配合比で他の材料(例えば繊維)が添加されてもよい。これらの材料を含む外層20は、ニードルパンチされていてもよい。
裏層25は、合成樹脂を含む合成樹脂層でもよいし、合成樹脂繊維と熱可塑性バインダーを含む合成樹脂繊維層でもよい。合成樹脂層は、複数の開口による通気性を有していてもよい。合成樹脂層を形成するための熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む。)には、ポリエチレン(PE)樹脂やポリプロピレン(PP)樹脂といったポリオレフィン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、これらの合成樹脂にエラストマーを添加した改質樹脂、これらの合成樹脂に着色剤といったといった添加剤を添加した材料、等を用いることができる。
繊維基材10に含まれる無機繊維11は、無機物質を主に含む繊維であり、加熱されても溶融せず繊維の状態を保つ材料である。無機繊維には、ガラス繊維、炭素繊維、炭化けい素繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、岩石繊維、スラッグ繊維、等を用いることができ、特に、比較的安価なガラス繊維が好適である。無機繊維の直径は、特に限定されないが、例えば5~14μmとすることができる。無機繊維の長さは、特に限定されないが、例えば5~200mmとすることができる。無機繊維の断面形状は、特に限定されず、真円を含む楕円、三角形、扁平形状、等とすることができる。無機繊維11には、複数の種類の無機繊維を組み合わせて用いてもよい。
外層20に含まれる合成樹脂繊維21は、熱可塑性樹脂といった合成樹脂を主に含む繊維である。合成樹脂繊維21が熱可塑性である場合、合成樹脂繊維の融点は熱可塑性バインダー22の融点よりも高い方が好ましい。合成樹脂繊維のための熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む。)には、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂といったポリエステル樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、アクリル(PMMA)樹脂、PP樹脂といったポリオレフィン樹脂、これらの合成樹脂にエラストマーを添加した改質樹脂、これらの合成樹脂に着色剤といったといった添加剤を添加した材料、等を用いることができ、特に、高融点で比較的安価なPET繊維が好適である。合成樹脂繊維に、コンジュゲート構造の繊維を用いることも可能である。合成樹脂繊維の繊度は、特に限定されないが、例えば2.2~16dtexとすることができる。合成樹脂繊維の長さは、特に限定されないが、例えば27~76mmとすることができる。合成樹脂繊維の断面形状は、特に限定されず、真円を含む楕円、三角形、扁平形状、等とすることができる。合成樹脂繊維21には、複数の種類の合成樹脂繊維を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性バインダー12,22は、熱可塑性樹脂といった熱可塑性の接着成分を主に含むバインダーであり、加熱されると軟化し更に加熱されると溶融する材料である。繊維基材10に含まれる熱可塑性バインダー12は、溶融されることにより、無機繊維11同士を接着させ、繊維基材10と外層20とを接着させ、繊維基材10と裏層25とを接着させる。外層20に含まれる熱可塑性バインダー22は、溶融されることにより、合成樹脂繊維21同士を接着させ、繊維基材10と外層20とを接着させる。熱可塑性バインダー用の熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む。)には、PP樹脂やPE樹脂といったポリオレフィン樹脂、これらの合成樹脂にエラストマーを添加した改質樹脂、これらの合成樹脂に着色剤といったといった添加剤を添加した材料、等を用いることができ、特に、比較的安価なPP樹脂が好適である。熱可塑性バインダー12,22には、複数の種類の熱可塑性バインダーを組み合わせて用いてもよい。
アンダーカバー本体2を形成するための本体基材15(図10参照)に含まれる熱可塑性バインダー12,22は、熱可塑性樹脂繊維といった熱可塑性の接着性繊維でもよい。本体基材15に含まれる繊維状の熱可塑性バインダー12,22は、溶融によりプレス成形後に繊維状でなくなることがある。接着性繊維には、上述した熱可塑性樹脂の繊維(例えばPP繊維やPE繊維といったポリオレフィン繊維)等を用いることができ、芯鞘構造やサイドバイサイド構造等といったコンジュゲート構造の繊維を用いてもよく、複数の種類の接着性繊維を組み合わせて用いてもよい。接着性繊維の融点は、例えば100~220℃とすることができる。接着性繊維の繊度は、特に限定されないが、例えば2.2~16dtex(デシテックス)とすることができる。ここで、単位「dtex」は、長さ10km当たりの質量のグラム数を意味する。接着性繊維の長さは、特に限定されないが、例えば27~76mmとすることができる。接着性繊維の断面形状は、特に限定されず、真円を含む楕円、三角形、扁平形状、等とすることができる。
むろん、本体基材15に含まれる熱可塑性バインダー12,22が繊維でない場合も、本技術に含まれる。
尚、繊維基材10には、外層20に使用可能な合成樹脂繊維といった繊維(無機繊維11を除く。)を無機繊維11の代わりに使用してもよい。外層20には、繊維基材10に使用可能な無機繊維といった繊維(合成樹脂繊維21を除く。)を合成樹脂繊維21の代わりに使用してもよい。
また、アンダーカバー本体2は、繊維基材10を含んでいればよく、裏層25を備えていなくてもよく、外層20を備えていなくてもよい。
少なくとも繊維基材10を含むアンダーカバー本体2における一般部6の厚さT1は、例えば、1.5~17mmとすることができる。尚、アンダーカバー本体2を形成するための本体基材15の厚さは、前述の厚さよりも厚い。
第二の面4における盛り上がり部4bの高さH1は、例えば、1~10mmとすることができる。また、盛り上がり部4bにより接触部7における厚さ(図3ではT1+H1)が一般部6の厚さT1よりも厚くなると、接触部7と筒部40との間の摩擦力が大きくなるので、アンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度が向上する。
アンダーカバー本体2のうち貫通穴5を除く部分の目付は、例えば、560~3600g/m2とすることができる。アンダーカバー本体の目付が560g/m2以上であると、異物の接触に対する好ましい耐久性を有するアンダーカバー1が得られる。アンダーカバー本体2のうち貫通穴5を除く部分の密度は、例えば、0.05~0.5g/cm3、より好ましくは0.1~0.3g/cm3とすることができる。
アンダーカバー本体2のうち貫通穴5を除く部分の強度は、曲げ弾性勾配により評価することができる。曲げ弾性勾配(単位:N/cm)は、JIS(日本産業規格)K7171:2016「プラスチック-曲げ特性の求め方」に準じ、長さ150mm、幅50mmの試験片の一方の面を支点間距離(L)100mmとした2つの支点で支持し、且つ、支点間の中心位置に配置した圧子から速度50mm/分で試験片の他方の面に負荷を加えた時に得られる荷重(N)-たわみ(cm)曲線において、勾配が最も大きい箇所の接線の傾きとする。アンダーカバー本体2のうち貫通穴5を除く部分の曲げ弾性勾配は、例えば、30~270N/cmとすることができる。
上述した繊維系のアンダーカバー本体2は、合成樹脂で形成されたアンダーカバー本体と比べて、剛性が低い。従って、繊維系のアンダーカバー本体2に鳩目部材30が取り付けられていなければ、取付部120からアンダーカバー本体2に車両走行中の振動といった負荷が加わることにより、貫通穴5が変形したり、貫通穴5の周辺に亀裂が入ったりする可能性がある。そこで、アンダーカバー1は、取付部120を通す取付穴41を有する硬質の鳩目部材30を備えている。
図3~5に示すように、鳩目部材30に含まれる筒部40は、略円筒形状である。筒部40の取付穴41は、厚さ方向D1へ貫通している。従って、作業者は、ボルト等の取付部120を取付穴41に通したうえでアンダーカバー1を車体101に取り付ける作業を行うことができる。筒部40の外側面は、アンダーカバー本体2の接触部7に接触し、第二の面4の盛り上がり部4bに接している。
尚、筒部40の形状は、円筒形状に限定されず、断面長円形状、断面四角形状といった断面多角形状、等でもよい。
図3に示す第一延出部50は、第一の面3に面する部分が若干凹んだ略傘形状である。第一延出部50の基端部50bは、筒部40において第一の面3から出た部分と一体化されている。第一延出部50の先端部50aは、基端部50bから外方向D2にあり、第一の面3に接触している。これにより、先端部50aがアンダーカバー本体2に引っ掛かり、車両走行中の振動といった負荷がアンダーカバー1に加わってもアンダーカバー本体2から鳩目部材30が脱落し難い。図3に示す第一延出部50は、基端部50bから先端部50aまでの間に第一の面3と接触していない部分がある。第二の面4において、第一延出部50に対応する範囲A1は、基端部50bに対応する位置から先端部50aに対応する位置までである。
尚、第一の面3に面する第一延出部50は、第一の面3に接触しているとアンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度が向上するので好ましいものの、第一の面3から若干離れていてもよい。また、第一延出部50は、第一の面3と隙間無く接触していてもよい。
さらに、第一延出部50の形状は、傘形状に限定されず、円環形状、外形四角形といった外形多角形の形状、筒部40から取付穴41の周辺部41aにかけて複数に分かれて延びている形状、等でもよい。
図5に示す第二延出部60は、筒部40から取付穴41の周辺部41aにかけて延びている複数の分割部61を含んでいる。複数の分割部61は、第二の面4に投影したときに放射状に外方向D2へ延出している。第二延出部60に含まれる分割部61の数は、5つに限定されず、4以下でもよいし、6以上でもよい。また、第二延出部60に含まれる各分割部61の大きさは、均等の大きさに限定されず、不均等でもよい。各分割部61の基端部60bは、筒部40において第二の面4から出た部分と一体化されている。各分割部61の先端部60aは、基端部60bから外方向D2にあり、第二の面4に接触している。これにより、先端部60aがアンダーカバー本体2に引っ掛かり、車両走行中の振動といった負荷がアンダーカバー1に加わってもアンダーカバー本体2から鳩目部材30が脱落し難い。図3に示す分割部61は、基端部60bから先端部50aまでの間に第二の面4と接触していない部分がある。第二の面4において、分割部61の先端部60aは、第一延出部50に対応する範囲A1の中にある。これにより、先端部60aがアンダーカバー本体2にしっかりと引っ掛かるので、アンダーカバー本体2から鳩目部材30がさらに脱落し難い。
尚、複数の分割部61の先端部60aは、全て第二の面4に接触しているとアンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度が向上するので好ましいものの、一部が第二の面4から若干離れていてもよい。第二の面4に面する第二延出部60は、第二の面4に接触しているとアンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度が向上するので好ましいものの、第二の面4から若干離れていてもよい。また、第二延出部60は、第二の面4と隙間無く接触していてもよい。
鳩目部材30は、図6に示す元部材35から形成することができる。図6の上部には、元部材35の元筒部45に含まれる元筒部45A,45Bの要部の縦断面が模式的に例示されている。
元部材35は、第一延出部50と筒状の元筒部45を含んでいる。元部材35の第一延出部50は、そのまま鳩目部材30の第一延出部50となる。元部材35の元筒部45は、取付穴41となる部分を含む貫通穴46を有し、鳩目部材30の筒部40及び第二延出部60となる。図6には、穴46に含まれる取付穴41の中心軸AX1が示されている。アンダーカバー本体2となる本体基材15(図10,11参照)の第一の面3に向けた元筒部45を本体基材15に貫通させることにより、本体基材15が環状に切断され、切断部に貫通穴5が生じ、元筒部45のうち貫通穴5を通り抜けた部分が第二延出部60に変形する。本体基材15を元筒部45で切断するため、図6の左上に示す元筒部45Aのように先端部45aを横断面において鋭利な形状にしてもよい。また、図6の右上に示す元筒部45Bのように先端部45aを横断面において鋭利でない形状にしても、本体基材15を元筒部45で切断することが可能な押圧力を元部材35に加えることにより、本体基材15を元筒部45で切断することができる。
図6に示す元筒部45の外周面46aは、中心軸AX1に沿った溝47を複数本有している。各溝47は、元筒部45のうち貫通穴5を通り抜けた部分が複数の分割部61に変形する時に切断の起点となる。図6に示す外周面46aには、中心軸AX1を中心として5本の溝47が等間隔に配置されている。これにより、元筒部45のうち貫通穴5を通り抜けた部分から5つの分割部61(図5参照)が生じる。図6に示す各溝47は断面V字状であるが、溝47の横断面形状は、断面V字状に限定されず、断面半円状、断面矩形状、等でもよい。溝47が元筒部45の内周面でなく外周面46aに配置されていることにより、取付穴41を有する筒部40の内周面に溝47が残らない。これより、ボルトといった取付部120を取付穴41に通す時に取付部120が溝47に引っ掛からず、アンダーカバー1を車体101に取り付けるための作業性が向上する。むろん、複数の溝47を起点として元筒部45を切断し易くするため、元筒部45の内周面に溝46を配置することも可能である。
元部材35には、真鍮やアルミニウムやステンレス鋼といった金属のプレス加工品、熱可塑性樹脂の成形品、等、アンダーカバー本体2よりも硬質で塑性変形可能な部品を用いることができる。すなわち、鳩目部材30の材質には、金属、熱可塑性樹脂、等、アンダーカバー本体2よりも硬質で塑性変形可能な材質を適用することができる。
繊維系のアンダーカバー本体2に硬質の鳩目部材30が取り付けられることにより、本具体例は、取付穴41同士の間隔を広くすることができ、取付穴41の数を減らすことができる。取付穴41の数が減ると、取付部120を取り付ける作業が減り、車体101にアンダーカバー1を取り付ける作業にかかるコストを削減することが可能となる。
尚、アンダーカバー1の中では前部に異物等の負荷が加わり易いので、アンダーカバー1のうち前部を優先して鳩目部材30を配置することが好ましい。
アンダーカバー1の取付穴41に通す取付部120として、図9に例示する段付きボルト121が用いられることがある。これは、アンダーカバー1の形状の誤差を考慮して、アンダーカバー1のうち取付穴41の周辺が厚さ方向D1へ移動することを許容するためである。
段付きボルト121が通される取付穴41は、図7に例示するようにアンダーカバー1の凹部3aに配置されることがある。そこで、図7~9を参照して、凹部3aにおけるアンダーカバー1の構造例を説明する。
図7は、アンダーカバー本体2の第一の面3にある凹部3aを模式的に例示している。図8は、アンダーカバー本体2において凹部3aとは反対側にある台地部4zを模式的に例示している。台地部4zは、アンダーカバー本体2の第二の面4において凹部3aに対応する範囲にある。図9は、アンダーカバー1のうち凹部3aにある取付穴41の周辺の垂直断面を模式的に例示している。
取付穴41に段付きボルト121を通して車体101にアンダーカバー1を取り付けると、自動車100の走行中に鳩目部材30が厚さ方向D1へ振動する可能性がある。アンダーカバー本体2よりも硬質の鳩目部材30が車体101に接触すると、異音が生じる可能性がある。このような異音を抑制するため、アンダーカバー本体2の第二の面4は、図8,9に示すように、鳩目部材30の第二延出部60よりも高い複数の凸部4cを第二延出部60の周辺に有している。図7,9に示すように、第一の面3は、各凸部4cとは反対側にある溝3cを有している。図7,8に示すように、アンダーカバー本体2の第一の面3にある凹部3aは、鳩目部材30から若干離れて放射状に配置された4本の溝3cを有している。すなわち、アンダーカバー本体2の第二の面4は、鳩目部材30から若干離れて放射状に配置された4本の突条を複数の凸部4cとして有している。
凸部4cは、車体101に接することにより鳩目部材30の第二延出部60を車体101から離隔させる。これにより、車体101から振動が加わっても鳩目部材30が車体101に接触することが抑制され、鳩目部材30が車体に接触することによる異音が抑制される。
ここで、図8に示す台地部4zの頂面のうち鳩目部材30の周囲において凸部4cの周辺にある部分を凸部周辺部4dと呼ぶことにする。図9に示すように、第二の面4において凸部周辺部4dからの凸部4cの高さH2は、例えば、0.3~5.0mmとすることができる。
(3)車両用アンダーカバーの製造方法の具体例:
上述したアンダーカバー1は、図10に例示する配置工程ST1、及び、図11,12に例示する成形工程ST2を含む製造方法により製造することができる。成形工程ST2は、図11に示すアンダーカバー本体形成工程ST21、及び、図12に示す鳩目部材形成工程ST22を含んでいる。
図10は、アンダーカバー製造装置としてのプレス成形装置300を模式的に例示している。プレス成形装置300は、アンダーカバー本体2の第二の面4及び鳩目部材30の第二延出部60を形成するための型310、アンダーカバー本体2の第一の面3を形成するための型320、及び、該型320に嵌め込まれた可動式入子型(insert die)330を備えている。型310,320は、互いに近接及び離隔可能である。尚、型310を固定型にして型320を可動型にしてもよいし、型310を可動型にして型320を固定型にしてもよいし、両型310,320を可動型にしてもよい。また、図10に示すように型310を本体基材15の下に配置した下型にして型320を本体基材15の上に配置した上型にするのは、一例に過ぎない。従って、型310,320の上下関係を図10に示す例とは逆にしてもよいし、型310,320を水平方向に近接及び離隔可能に配置してもよい。
型310は、アンダーカバー本体2の第二の面4の形状に合わせられた型面311、及び、第二延出部60が形成されるように元部材35の元筒部45の先端部45aを誘導する形状の誘導面312を有している。型320は、アンダーカバー本体2の第一の面3の形状に合わせられた型面321を有している。型320は、入子型330が嵌め込まれた母型(master block)である。入子型330は、母型の中に嵌め込んで使用する部分的金型であり、スライド型とも呼ばれる可動式である。入子型330は、元部材35の第一延出部50の形状に合わせられた型面331を有している。図10に示すように入子型330が退避している時、入子型330の型面331から型320の型面321までの間に元部材35の収容空間332が存在する。
プレス成形されたアンダーカバー1は、以下の手順に従って製造される。
まず、図10に示す配置工程ST1では、本体基材15を予備加熱する予備加熱処理、予備加熱された本体基材15を型310,320の間に配置する本体基材配置処理、及び、元筒部45を本体基材15の第一の面3に向けて収容空間332に元部材35を配置する元部材配置処理が行われる。本体基材15は、図3に示す繊維基材10となる元繊維基材のみならず、外層20となる元外層を含んでいてもよいし、裏層25となる元裏層を含んでいてもよい。元繊維基材は、無機繊維11と繊維状熱可塑性バインダー12とを含む繊維材料をカーディングしマット状に配置してニードルパンチ加工機でニードルパンチすることにより形成されてもよい。元外層は、合成樹脂繊維21と繊維状熱可塑性バインダー22を含む繊維材料をカーディングしシート状に配置してニードルパンチ加工機でニードルパンチすることにより形成されてもよい。元裏層は、溶融状態又は液状の合成樹脂を押出成形機のTダイ(フラットダイ)からフィルム状に押し出し成形されて元繊維基材の表面(車体側の面13b)に形成されてもよい。予備加熱処理では、本体基材15を予備加熱装置で熱可塑性バインダー12の融点以上に加熱する処理が行われる。本体基材15が元外層を含んでいる場合には本体基材15が熱可塑性バインダー22の融点以上に加熱される。配置工程ST1により、元筒部45の先端部45aが第一の面3に対向している状態となる。
図11に示すアンダーカバー本体形成工程ST21では、本体基材15が所定の厚さまで圧縮されるように型310,320を互いに近付ける処理が行われる。これにより、繊維基材10を含むアンダーカバー本体2が本体基材15からプレス成形され、熱可塑性バインダー12の軟化温度よりも低い温度となると熱可塑性バインダー12が固化し、繊維基材10を含むアンダーカバー本体2の形状が保持される。本体基材15が元外層を含んでいる場合、図3に示す外層20が元外層からプレス成形される。本体基材15が元裏層を含んでいる場合、裏層25が元裏層からプレス成形される。
図12に示す鳩目部材形成工程ST22では、入子型330を対向する型310に近付ける処理が行われる。
まず、元筒部45の先端部45aが第一の面3から第二の面4まで通り抜けることにより、プレス成形後の本体基材15が環状に切断され、第二の面4に元筒部45に沿って盛り上がった盛り上がり部4bが形成される。このように、鳩目部材形成工程ST22では、本体基材15に元筒部45を貫通させることにより貫通穴5を形成するとともに第二の面4に元筒部45に接し該元筒部45に沿って盛り上がった盛り上がり部4bを形成する処理が行われる。入子型330と型310との間には、本体基材15に貫通穴5が形成されることにより本体基材15から分離した略円形のスクラップ16が存在する。
さらに、入子型330が対向する型310に近付くと、先端部45aから元筒部45が溝47に沿って分かれ、分割された各先端部45aが型310の誘導面312に誘導されて元筒部45の穴46から遠ざかる。穴46から遠ざかった複数の先端部45aの少なくとも一部は、第二の面4に接触する。これにより、鳩目部材形成工程ST22では、元筒部45のうち貫通穴5を通り抜けた部分を第二延出部60に変形させる処理が行われる。
以上より、図3,9に示すように、第二の面4が筒部40に接し該筒部40に沿って盛り上がった盛り上がり部4bを有するアンダーカバー本体2、及び、鳩目部材30を含むアンダーカバー1が形成される。型310,320を互いに離隔させると、アンダーカバー1を取り出すことができる。スクラップ16が取付穴41に残っている場合には、スクラップ16を取付穴41から抜き出せばよい。必要に応じて、本製造方法は、プレス成形されたアンダーカバー本体2の周囲を裁断する裁断工程を含んでいてもよい。
(4)車両用アンダーカバー、及び、その製造方法の作用、及び、効果:
図11,12で示したように、元部材35の元筒部45が本体基材15を通り抜けることにより、本体基材15に貫通穴5が形成されるとともに、本体基材15の第二の面4に元筒部45に接し該元筒部45に沿って盛り上がった盛り上がり部4bが形成される。盛り上がり部4bは、自らの弾性力により本体基材15の形状に戻ろうとして接触部7を筒部40に強く押し付けている。これにより、接触部7と筒部40との間の摩擦力が大きい。従って、本具体例のアンダーカバー1、及び、その製造方法は、繊維基材10を含むアンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度を向上させることができる。また、本具体例のアンダーカバー1の製造方法は、本体基材15の成形と同時に本体基材15に貫通穴5が形成されるので、穴開け工程を別途行う必要が無くなる。
尚、第二の面4に盛り上がり部4bが形成されない場合でも、元部材35の元筒部45が本体基材15を通り抜けることにより、形成されたアンダーカバー本体2の接触部7が自らの弾性力により筒部40に強く接する。従って、接触部7と筒部40との間の摩擦力が大きく、アンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度が高い。
(5)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、アンダーカバー本体2の第一の面3のうち盛り上がり部4bに対応する範囲の形状は、図3,9に示すように平坦であることに限定されず、第二の面4の方へ凹んだ形状でもよい。この場合でも、盛り上がり部4bが自らの弾性力により接触部7を筒部40に強く押し付けるので、接触部7と筒部40との間の摩擦力が大きく、アンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度が高い。
図8,9に示すような凸部4cの位置は、台地部4zに限定されず、一般部6に囲まれた位置でもよい。
また、上述した具体例ではアンダーカバー本体2において凸部4cに対応する凸部対応部分がアンダーカバー本体2において凸部周辺部4dに対応する凸部周辺部対応部分とほぼ同じ厚さとされているが、これに限定されない。凸部対応部分は、凸部周辺部対応部分よりも厚い厚肉部でもよい。従って、第一の面3において、凸部4cの反対側に溝3cが無くてもよい。
尚、アンダーカバー本体2に凹部3aが無い場合、アンダーカバー本体2に凸部4cが無い場合、鳩目部材30の第二延出部60の先端部60aが第一延出部50に対応する範囲A1の外にある場合、第二延出部60が複数に分かれていない場合、等であっても、アンダーカバー1は、繊維基材10を含むアンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度が高いという基本的効果を奏する。
図13は、ノッチ48を有する元部材35Aの外観を模式的に例示している。元部材35Aは、元部材35に含まれる変形例である。図13に示す元部材35Aの元筒部45は、先端部45aにおいて各溝47の延長線上にノッチ48を有している。各ノッチ48は、先端部45aにおいて溝47の方へ凹んでいる。
図10に示すプレス成形装置300に元部材35Aをセットした後、図12に示す鳩目部材形成工程ST22において入子型330が対向する型310に近付くと、誘導面312に接触した先端部45aから元筒部45が各ノッチ48を起点として溝47に沿って分かれる。これにより、複数の分割部61が形成される。元筒部45にノッチ48があることにより、元筒部45のうち貫通穴5を通り抜けた部分が容易に複数の分割部61に分かれ、各分割部61の先端部60aが狭くなることによりアンダーカバー本体2に引っ掛かり易くなる。従って、元部材35Aから得られた鳩目部材30を含むアンダーカバー1は、アンダーカバー本体2と鳩目部材30との接合強度をさらに向上させることができる。
尚、図示していないが、元筒部45の各溝47のうち鳩目部材形成工程ST22において切断される箇所にスリットが配置されてもよい。複数のスリットを有する元筒部45は、鳩目部材形成工程ST22において元筒部45が各スリットに沿って分かれる。これにより、複数の分割部61が容易に形成される。スリットを有する元筒部は、スリットの位置を角とする断面五角形状といった断面多角形状でもよい。
(6)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、繊維基材を含むアンダーカバー本体と鳩目部材との接合強度が高い車両用アンダーカバー、その製造方法、等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
1…アンダーカバー、
2…アンダーカバー本体、
3…第一の面、3a…凹部、3c…溝、
4…第二の面、4a…一般面、4b…盛り上がり部、4c…凸部、4z…台地部、
5…貫通穴、
6…一般部、7…接触部、
10…繊維基材、11…無機繊維、12…熱可塑性バインダー、
15…本体基材、16…スクラップ、
20…外層、25…裏層、
30…鳩目部材、35,35A…元部材、
40…筒部、41…取付穴、41a…周辺部、
45,45A,45B…元筒部、45a…先端部、46…穴、46a…外周面、
47…溝、48…ノッチ、
50…第一延出部、50a…先端部、50b…基端部、
60…第二延出部、60a…先端部、60b…基端部、61…分割部、
100…自動車、101…車体、
120…取付部、121…段付きボルト、
300…プレス成形装置、310,320…型、312…誘導面、330…入子型、
A1…範囲、
AX1…中心軸、
D1…厚さ方向、D2…外方向、
ST1…配置工程、ST2…成形工程、
ST21…アンダーカバー本体形成工程、ST22…鳩目部材形成工程。

Claims (4)

  1. 第一の面、該第一の面とは反対側の第二の面、及び、前記第一の面から前記第二の面へ貫通した貫通穴を有し、繊維基材を含むアンダーカバー本体と、
    車両への取付部を通す取付穴を有し前記貫通穴を通っている筒部、該筒部から前記取付穴の周辺部にかけて前記第一の面に面して配置されている第一延出部、及び、前記筒部から前記取付穴の周辺部にかけて前記第二の面に面して配置されている第二延出部を含む鳩目部材と、を備え、
    前記第二の面は、前記筒部に接し該筒部に沿って盛り上がった盛り上がり部を有する、車両用アンダーカバー。
  2. 前記第二延出部は、前記筒部から前記取付穴の周辺部にかけて延びている複数の分割部を含み、
    前記複数の分割部の少なくとも一つは、前記筒部とは反対側の端部が前記第二の面に接触している、請求項1に記載の車両用アンダーカバー。
  3. 前記分割部の前記端部は、前記第二の面において前記第一延出部に対応する範囲の中にある、請求項2に記載の車両用アンダーカバー。
  4. 前記第二の面は、前記第二延出部よりも高い凸部を前記第二延出部の周辺に有する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の車両用アンダーカバー。
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