JP7327778B2 - フォーム施工機、及びフォーム施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タンク表面などにフォーム層を施工するためのフォーム施工機、及びフォーム層を施工するためのフォーム施工方法に関する。
従来、液化天然ガス(LNG)、液化エチレンガス(LEG)、液化石油ガス(LPG)などの低温液体を貯蔵するために低温タンクが広く使用されている。低温タンクは、内部に貯蔵した低温液体が、外部の熱によって加熱されることを防止するために、タンク表面に断熱材としてフォーム層が施工されることがある。フォーム層は、例えば低温液体を貯蔵するための貯蔵タンクの外周面に形成されたり、2重タンクにおいては外層タンクの内周面に形成されたりする。
フォーム層を施工するための施工機としては、押え板、及びフォーム原液を注入するための注入機構を有する成形装置と、ガイドレールと、ガイドレールに沿って成形装置を昇降させる昇降装置とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1、2に開示される施工機では、押え板と施工面との間に注入空間を形成し、かつその注入空間にフォーム原液を注入し、注入したフォーム原液を発泡させることでフォーム層を形成している。また、フォーム原液を注入しながら、昇降装置により成形機を昇降させることで、タンクの高さ方向に沿ってフォーム層を形成できる。
特開2008-240808号公報 特開2015-40580号公報
しかし、上記した施工方法によれば、押え板と施工面との間の注入空間に注入したフォーム原液を発泡する際に、発泡圧により押え板が施工面とは反対側に押されて(以下、その反対側に押す力を「反力」ということがある)、押え板の位置が変化し、形成されるフォーム層に厚みムラを発生させることがある。また、反力がガイドレールに作用されて、ガイドレールにゆがみを生じさせるなど、施工機に不具合を生じさせることもある。
そこで、本発明は、注入空間に注入したフォーム原液が発泡する際に生じる反力によって、施工機に対する不具合を生じさせることなく、厚み精度が高いフォーム層を形成するフォーム施工機、及びフォーム施工方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の[1]~[11]を要旨とする。
[1]ガイドレールと、
前方側の施工面との間に注入空間を形成する押え板、及び前記注入空間に対してフォーム原液を注入する吐出口を有し、前記ガイドレールに沿って昇降可能な成形装置と、
フォーム施工機に対して前方又は後方側の面に支持され、前記注入空間における前記フォーム原液の発泡によって生じる反力を吸収する反力吸収装置と
を備えるフォーム施工機。
[2]前記反力吸収装置が、前記後方側の面に当接される上記[1]に記載のフォーム施工機。
[3]前記反力吸収装置が、前後に進退可能である上記[1]又は[2]に記載のフォーム施工機。
[4]前記反力吸収装置が、シリンダを備える上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のフォーム施工機。
[5]前記反力吸収装置が、前記前方側の面に吸着される吸着手段を備える上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のフォーム施工機。
[6]前記吸着手段が真空吸着パッドである上記[5]に記載のフォーム施工機。
[7]前記反力吸収装置が、前記ガイドレールに取り付けられる上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のフォーム施工機。
[8]前記反力吸収装置が、前記ガイドレールに複数設けられる上記[7]に記載のフォーム施工機。
[9]ガイドレールと、押え板及び吐出口を有し、前記ガイドレールに沿って昇降可能である成形装置とを備えるフォーム施工機を用意し、
前方側の施工面と前記押え板の間に注入空間を形成するように前記フォーム施工機を配置し、
前記注入空間に前記吐出口よりフォーム原液を注入し、
前記フォーム施工機に対して前方又は後方側の面に支持されるように、反力吸収装置を設けて、前記注入空間における前記フォーム原液の発泡によって生じる反力を前記反力吸収装置により吸収する、フォーム施工方法。
[10]前記反力吸収装置を後方に進出させて前記後方側の面に当接させる上記[9]に記載のフォーム施工方法。
[11]前記反力吸収装置を前記前方側の面に吸着させる上記[9]に記載のフォーム施工方法。
本発明では、注入空間に注入したフォーム原液が発泡する際に生じる反力によって、施工機に対する不具合を生じさせることなく、厚み精度が高いフォーム層を形成するフォーム施工機、及びフォーム施工方法を提供できる。
フォーム層が形成されるタンクの概略図である。 第1の実施形態に係るフォーム施工機を示す模式的な側面図である。 第1の実施形態に係るフォーム施工機を示す模式的な背面図である。 第1の実施形態における反力吸収装置を示す模式的な側面図である。 第1の実施形態に係るフォーム施工方法を説明するための模式的な斜視図である。 第1の実施形態に係るフォーム施工方法を説明するための模式的な斜視図である。 第2の実施形態における反力吸収装置を示す模式的な側面図である。 第2の実施形態における反力吸収装置の一部を示す断面図である。
まず、図1を用いて、フォーム施工機を使用して、フォーム層が施工されるタンク10の代表例について簡単に説明する。図1に示すように、タンク10は、2重タンクであり、内層タンク11と外層タンク12とを備える。外層タンク12は、例えば、円筒形の側壁13と天井部14とを備えており、断熱材を構成するフォーム層15は、例えば、側壁13の内周面13Aに施工される。内層タンク11の外周面11Aと外層タンク12の内周面13Aの間には、通常、空間Aがある。
フォーム層15は、例えばウレタンフォーム、フェノールフォーム、スチレンフォームなど、断熱材として使用できるものであればよいが、製造容易性、硬化速度の観点から、ウレタンフォーム、フェノールフォームが好ましく、ウレタンフォームがより好ましい。ウレタンフォームを使用することで、自己接着性、発泡性、断熱性などが良好となりやすい。
また、フォーム層15の表面には、面材(図示しない)が積層されていてもよい。面材は、特に限定されないが、ガラスクロスなどのクロス材、ガラスメッシュなどのメッシュ材、鉄板、鋼板などの金属板、又はプラスチックシートなどが挙げられる。
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態に係るフォーム施工機及びフォーム施工方法について説明する。なお、以下の説明においては、外層タンク12の側壁13の内周面13Aが、フォーム層が施工される施工面である場合について説明する。また、以下では、フォーム施工機から見て施工面が設けられる側を前方、その反対側を後方として説明する。
図2、3に示すように、本実施形態のフォーム施工機18は、ガイドレール19と、ガイドレール19に沿って昇降可能な成形装置20を備える。また、フォーム施工機18は、成形装置20を昇降させる昇降装置40をさらに備える。成形装置20は、フォーム原液吐出装置21、押え板25などを有する。フォーム原液吐出装置21は、フォーム原液Rを供給するための装置であり、フォーム原液Rを吐出する吐出口22を備える。フォーム原液吐出装置21は、吐出口22を横方向(図2の紙面と垂直な方向)に移動させることが可能である。
フォーム原液吐出装置21から供給されるフォーム原液Rは、フォーム層を形成するための液体であり、発泡かつ硬化されることで、発泡体(フォーム層)となる。フォーム原液は、例えばウレタンフォームでは、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、発泡剤、整泡剤、触媒などを含有する。このようなフォーム原液は、例えば、フォーム原液吐出装置21において、ポリオール成分に発泡剤、整泡剤、触媒などが配合されてなる1液に、ポリイソシアネート成分(2液)を混合させることで調製される。
押え板25は、施工面(外層タンク12の内周面13A)から離間するように配置され、それにより、フォーム施工機10の前方側にある、施工面(内周面13A)との間に注入空間Sを形成する。注入空間Sは、フォーム原液が注入されるための空間である。吐出口22は、押え板25よりも前方側に配置され、それにより、注入空間Sの上方に配置される。
成形装置20は、さらに巻回ロール26、供給ロール27などが取り付けられる。巻回ロール26には、面材17が巻回されている。供給ロール27は、押え板25の上部に配置される。面材17は、巻回ロール26から繰り出されて、供給ロール27によって案内されて、注入空間Sの上部から注入空間Sに向かって供給される。注入空間Sにおいて、面材17は、押え板25の内面25Aに沿うように配置される。巻回ロール26からの繰り出しは、面材17の種類によってはアンコイラーなどを設けて、供給速度を適宜調整してもよい。
成形装置20は、ゴンドラ29に搭載され、昇降装置40がゴンドラ29を昇降させることにより、成形装置20も昇降させられる。ゴンドラ29は、ガイドレール19に摺動可能に取り付けられる。ガイドレール19は、例えば横方向に一対設けられる。昇降装置40は、ゴンドラ29の上方に配置されており、例えば、ワイヤー31を介してゴンドラ29を吊り下げ支持しており、ワイヤー31の巻き上げや繰り出しによりゴンドラ29をガイドレール19に沿って昇降させる。ワイヤー31は、例えば横方向に一対設けられる。
昇降装置40は、吊元レール41に沿って横方向に走行するための走行機構42を有する。これにより、成形装置20は、昇降装置40によって横方向にも移動可能である。
図2に示すように、ゴンドラ29には、ガイドローラー28が設けられる。ガイドローラー28は、施工面(側壁13の内周面13A)に当接するように配置される。ガイドローラー28が内周面13Aに当接される際、ガイドローラー28及び押え板25は、ゴンドラ29に対して位置関係が変わらないようにゴンドラ29に固定される。すなわち、ガイドローラー28と押え板25は、互いに位置関係が変わらない状態となる。これにより、ガイドローラー28を内周面13Aに当接させた状態に維持すると、押え板25の内面25Aと、内周面13A(施工面)の距離が一定となる。そのため、内面25Aと施工面の距離が変動することが抑えられ、後述する反力吸収装置50とともにフォーム層15の厚み精度を向上させる。
ガイドローラー28の軸方向は、横方向であり、ガイドローラー28が、内周面13Aに当接していると、ゴンドラ29の上昇に伴って、回転することが可能になり、ガイドローラー28から内周面13Aに対して、余計な力が作用されたりすることが防止される。
また、ガイドローラー28は、ゴンドラ29に対して固定した状態としたり、変位可能な状態としたり切り替えることができるようにするとよい。したがって、ガイドローラー28は、内周面13Aに当接させる前においては、ゴンドラ29に対して適宜変位させればよい。ガイドローラー28を変位させたうえで内周面13Aに当接させることで、押え板25の内面25Aと、内周面13A(施工面)との距離を適宜調整できる。そして、押え板20の内面20Aと、施工面(内周面13A)の距離を調整することで、得られるフォーム層15の厚さも調整できる。
フォーム施工機18は、さらに反力吸収装置50を備える。反力吸収装置50は、各ガイドレール19に取り付けられ、フォーム施工機18に対して後方側の面である内層タンク11の外周面11Aに当接し、かつ押し付けられた状態になる。これにより、反力吸収装置50は、外周面11Aによって支持され、後述するように注入空間Sにおけるフォーム原液Rの発泡によって生じる反力を吸収する。
ただし、反力吸収装置50が当接される面は、内層タンク11の外周面11Aに限定されず、フォーム施工機18の後方側の面であれば、内層タンク11の外周面11A以外の壁面などでもよい。
一対のガイドレール19、19の間には、図3に示すように、補強バー37が架け渡されるとよい。また、各ガイドレール19において、反力吸収装置50は補強バー37に近接する位置においてガイドレール19に固定されることが好ましい。このように、反力吸収装置50が、補強バー37に近接した位置に配置されと、より適切に反力を吸収しやすくなる。
また、図3に示すように、各ガイドレール19に反力吸収装置50は複数設けられるとよい。反力吸収装置50が複数設けられることで、フォーム施工機18が大型化しても適切に反力を吸収できる。各ガイドレール19に取り付けられる複数の反力吸収装置50は、互いに異なる高さ位置に配置される。そして、一方のガイドレール19に固定される反力吸収装置50それぞれは、他方のガイドレール19に固定される反力吸収装置50それぞれと同じ高さ位置に配置されるとよい。各ガイドレール19に設けられる反力吸収装置50の数は、ガイドレール19の長さに応じて適宜調整されればよい。また、補強バー37の数は、反力吸収装置50の数に応じた数設けられるとよい。さらに、反力吸収装置50は、各ガイドレール19に3つ以上設けられる場合、3つ以上の反力吸収装置50は各ガイドレール19において等間隔に配置されることが好ましい。
ただし、反力吸収装置50は、各ガイドレール19に少なくとも1個設けられればよく、複数設けられなくてもよい。また、複数の反力吸収装置50は、各ガイドレール19において等間隔に配置されなくてもよい。さらに、一方のガイドレール19に設けられる反力吸収装置50は、他方のガイドレール19に設けられる反力吸収装置50と異なる高さ位置に配置されてもよい。
図4は、ガイドレール19に取り付けられた反力吸収装置50を示す。図4に示すように、反力吸収装置50は、ベース51と、ベース51に取り付けられた当接部52及びシリンダ53とを備える。反力吸収装置50は、ベース51を介してガイドレール19に取り付けられる。当接部52は、前後にスライド可能にベース51に取り付けられる。反力吸収装置50において、シリンダ53が施工面側(すなわち、前方側)に、当接部52がその反対側(後方側)に配置される。シリンダ53は、ロッド53Aを前後に進退させることが可能であり、ロッド53Aを後方に進出させることで当接部52を押して、当接部52を後方側に移動させることができる。後方に移動させられた当接部52は、外周面11Aに当接し、かつ外周面11Aに一定の圧力が作用されるように、シリンダ53によって押された状態に維持される。
シリンダ53は特に限定されないが、油圧によりロッドを進退させるオイルシリンダ、空圧によりロッドを進退させるエアシリンダ、電動によりロッドを進退させるパワーシリンダなどが挙げられるが、これらのなかではパワーシリンダが好ましい。
また、シリンダ53は、当接部52が他の部材に当接したか否かを検知するセンサと、ロッド53Aの進出を制御する制御システムとを有してよい。制御システムは、例えば、ロッド53Aを進出させ、センサにより当接部52が他の部材に当接したことを検知すると、ロッド53Aの進出を停止させる。このようなセンサと制御システムを備える場合、当接部52が後方側の面(外周面11A)に当接すると、ロッドの進出が停止されるので、反力吸収装置50の当接部52を適切な位置に配置しやすくなる。
次に、フォーム施工機18を用いたフォーム層15の施工方法についてより詳細に説明する。フォーム層15の施工においては、まず、図2、5に示すように、上述したとおり、押え板25と施工面(内周面13A)との間に注入空間Sを形成するように、フォーム施工機18を空間Aに配置する。このとき、注入空間Sの下部、及び両側部それぞれには、図5に示すように液漏れ防止部材35A、35B、35Cが配置され、注入空間Sの下部、両側部が液漏れ防止部材35A、35B、35Cによりシールされる。液漏れ防止部材35A、35B、35Cは、例えばチューブにより構成される。
チューブは、エアポンプなどにより内部に空気が供給されて膨張し、その膨張した状態で注入空間Sの下部、及び両側部のいずれかをシールするとよい。チューブの材料は、特に制限はないが、四フッ化エチレン、二フッ化エチレンなどのフッ素樹脂、シリコーン樹脂などの離型性に優れた材料を使用すればよい。また、樹脂製チューブの表面にフッ素樹脂、シリコーン樹脂などの離型性に優れた表面材を貼り付けてもよいし、樹脂製チューブの表面にシリコーン樹脂などの離型剤で離型処理を施してもよい。さらには、エアチューブは、ガラス繊維補強された樹脂製の送水ホースなどを流用してもよい。
両側の液漏れ防止部材35B,35Cは、例えば昇降装置40に吊り下げられるとよい。また、両側の液漏れ防止部材35B,35Cは、ゴンドラ29に搭載されたチューブ供給機構(図示しない)から繰り出されて、空気が注入されて、注入空間Sの両側に供給されるとよい。また、下部の液漏れ防止部材35Aは、予め空気が注入されたチューブを使用すればよい。
上記のように注入空間Sがシールされ、かつ面材17が押え板25の内面25Aに沿う状態にされたうえで、注入空間Sには、吐出口22よりフォーム原液Rが注入される。このとき、図5に示すように、吐出口22は、横方向に往復するように移動させられるとよい。注入空間Sに注入されたフォーム原液Rは、発泡かつ硬化させられ、内面25Aに沿うように配置された面材17に接着され一体化されるとともに、外層タンクの内周面13Aにも接着され、外層タンクの内周面13A上にフォーム層15が形成される。
注入空間Sへのフォーム原液Rの注入が開始されると、昇降装置40により、成形装置20がガイドレール19に沿って上昇させられる。これにより、外層タンクの内周面13Aにおいて、フォーム層15は下側から上側まで形成される。また、面材17は連続的に巻回ロール26より繰り出され、フォーム層15の上には面材17が積層されることになる。
上記のように施工されたフォーム層15は、おおむね押え板25の幅分の長さを有する。その長さ分のフォーム層15を1列とすると、1列のフォーム層15の形成が終了すると成形装置20は、昇降装置40とともに吊元レール41に沿って横方向に移動させられ、次の列のフォーム層15を形成するとよい。そして、フォーム層15の形成を繰り返して、タンクの全周にわたってフォーム層15を形成するとよい。
本実施形態では、上記のようにガイドレール19に固定された反力吸収装置50が、外周面11Aに支持された状態にある。フォーム原液Rの発泡による生じる反力により、押え板25を介して成形装置20、ガイドレール19などは後方側に押されるが、反力吸収装置50が外周面11Aに支持されることで、成型装置20などに作用される反力は、外周面11Aから作用される力により相殺されて吸収される。したがって、押え板25と施工面(内周面13A)との間の距離が一定に保たれやすくなるので、内周面13Aに形成されるフォーム層15の厚み精度が高くなる。また、成形装置20やガイドレール19に反力が作用されにくくなるので、ガイドレール19が変形するなどの不具合も生じにくくなる。
なお、下部の液漏れ防止部材35Aは、形成されるフォーム層15の下端のさらに下部に配置され、成形装置20の上昇とともに押え板25の下端部から遠ざかるが、図6に示す通り注入区間Sの下部は、フォーム原液Rないし発泡により形成されたフォーム層15が存在し、注入区間Sの下部からフォーム原液Rが漏れることはない。
また、上記のように、1列目のフォーム層15の形成時には、注入空間Sの両側部に液漏れ防止部材35B,35Cが配置されていたが、2列目以降のフォーム層15の形成においては、既に形成されたフォーム層15により、注入空間Sの一方の側部をシールすればよいので、液漏れ防止部材35B,35Cのうちの一方は省略できる。また、最終列のフォーム層15の形成時には、1列目のフォーム層15と、最終列の1列前のフォーム層15とにより両側がシールされるので、両側の液漏れ防止部材35B,35Cを省略できる。
また、例えば、1列目形成後に、距離をおいて3列目のフォーム層15を形成し、その後、2列目のフォーム層15を形成すれば、2列目のフォーム層15形成時には、既に形成されたフォーム層15により、両側部をシールできる。そのため、このような方法によっても液漏れ防止部材35B,35Cの両方を省略できる。
以上のように、本発明の第1の実施形態においては、注入空間Sに注入したフォーム原液Rが発泡する際に生じる反力は、反力吸収装置50によって吸収されるので、フォーム施工機18のガイドレール19などが反力によって曲がるなどの不具合を生じさせることなく、厚み精度が高いフォーム層15を形成できる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態における第1の実施形態との相違点は、反力吸収装置の構成である。第1の実施形態において、反力吸収装置は、施工面とは反対側(後方側)の面に支持されて反力を吸収したが、第2の実施形態では、施工面側(前方側)の面により支持される。また、第2の実施形態における反力吸収装置は、施工面側(前方側)の面に吸着させられる。以下、第2の実施形態における反力吸収装置を、図7、8を用いて説明する。
図7に示すように、第2の実施形態における反力吸収装置60は、ベース61と、ベース61に取り付けられたシリンダ63と、シリンダ63に取り付けられた吸着パッド64を備える。反力吸収装置60は、ベース61を介してガイドレール19に取り付けられる。シリンダ63は、ロッド63Aを前後に進退させることが可能であり、ロッド63Aの前端に吸着パッド64が取り付けられる。シリンダ63の詳細は、第1の実施形態と同様である。シリンダ63は、ロッド63Aを前方に進出させることで、吸着パッド64を前方側の面に当接させる。ここで、吸着パッド64が当接される面は、本実施形態では、フォーム層15が既に形成された、施工面(内周面13A)であってもよいし、フォーム層15が形成されていない施工面(内周面13A)であってもよい。また、前方側の面であれば、施工面(内周面13A)以外の面でよく、施工面とは別に設けられた壁面であってもよい。
吸着パッド64は、真空吸着パッドである。したがって、吸着パッド64は、パッド内部を負圧にし、その負圧により、パッドが当接された面に吸着させる。本実施形態において、真空吸着パッドとしては、ベローズ真空パッド、フラット真空パッド、ベル型真空パッド等が挙げられる。なお、ベローズ真空パッドとは、パッドの側面に蛇腹が設けられたパッドである。
上記のように、吸着パッド64が吸着される面は、フォーム層がすでに施工された面、すなわち、フォーム層15の上に積層された面材17、又は後述するように面材17が省略される場合にはフォーム層15そのものであることがある。これら表面は、凹凸が大きい場合があるが、ベローズ真空パッドは、凹凸面に対して高い追従性を有し、そのため、フォーム層15や面材17に対して高い吸着力で吸着できる。したがって、そのような観点から真空吸着パッドは、ベローズ真空パッドが好ましい。
また、フラット真空パッドは、パッド容積が小さく目標の負圧に到達する時間が早くなる観点、及び位置ずれしにくい観点からは好ましい。
また、パッド内は、特に限定されないが公知の負圧発生手段により負圧にすればよい。負圧発生手段としては、真空ポンプ、ベンチュリーノズル、ブロアー装置など使用できるが、装置を簡易な構成にできる点などからベンチュリーノズルが好ましい。パッド内の圧力は、特に限定されないが、例えば-95kPa~-30kPaであることが好ましい。圧力を下限値以上とすることで、負圧が大きくなりすぎず、負圧による吸着痕が面材などの上に形成されることが防止できる。また、上限値以下とすることで、一定以上の吸着力を確保でき、反力吸収装置60により適切に反力を吸収できる。また、パッド内の圧力は、特に限定されないが、-75kPa~-30kPaであることがより好ましい。この下限値以上とすると、吸着パッドが吸着される面がフォーム層であっても、負圧による吸着痕が形成されにくくなる。
なお、上記圧力は、大気圧を基準(ゼロ)とした際の負圧計での測定値を表す。
図8は、真空吸着パッドとしてベローズ真空パッド、負圧発生手段としてベンチュリーノズルが使用される場合の反力吸収装置60の一部を示す断面図である。
図8に示すように、吸着パッド64としてのベローズ真空パッドは、側面に山及び谷がある蛇腹になっている。図8では、2つの山頂部64A、64Aとその間に谷底部64Bを有し、2つ目の山頂部64Aで当接面となり、蛇腹が1.5段設けられる、いわゆる1.5段ベローズ真空パッドである。ただし、本発明において、蛇腹の段数は制限されない。
また、負圧発生手段65としてのベンチュリーノズルは、絞り部66Aを有するベンチュリー管66と、ベンチュリー管66の両側に接続されるエア供給ポート67及び排気ポート68を備える。絞り部66Aは、管内部の断面積が、両側よりも小さい。絞り部66Aには、吸着パッド64のパッド内部と接続される接続路69が接続される。
エア供給ポート67は、図示しないエア供給手段に接続され、エア供給手段から送出された加圧空気が、エア供給ポート67及びベンチュリー管66を通って、排気ポート68より排出される。ベンチュリー管66では、加圧空気が絞り部66Aを通ることで、絞り部66Aに接続路69を介して接続されるパッド内部が負圧となる。接続路69には、パッド内の圧力を検知するために圧力測定器が接続されてもよい。なお、パッド内部の空気は、排気ポート68から排出されるとよい。さらに、排気ポート68にはサイレンサーが取り付けられてもよい。
本実施形態でも、フォーム原液Rの発泡による生じる反力により、押え板25を介して成形装置20、ガイドレール19などは後方側に押されるが、反力吸収装置60が前方側の面に吸着することで、成型装置20などに作用される反力は、内周面13Aから作用される吸着力により相殺されて吸収される。したがって、押え板25と施工面(内周面13A)との間の距離が一定に保たれるので、施工面(内周面13A)に形成されるフォーム層15の厚さ精度が高くなる。また、成形装置20やガイドレール19に反力が作用されにくくなるので、ガイドレール19が変形するなどの不具合も生じにくくなる。
以上で説明した各実施形態は、本発明の一例であり、本発明の効果を奏する限り、種々の改変が可能である。例えば、第1の実施形態において、反力吸収装置50は、シリンダを有する例が示されたが、前後に進退可能であり、かつ後方側の面(外周面11A)に当接できる限りいかなる態様を有してもよい。第2の実施形態では、反力吸収装置60は、吸着手段を前方側の面(内周面13A)に吸着できる限りいかなる態様を有してもよいが、第1の実施形態と同様に前後に進退可能であるほうがよい。
例えば、反力吸収装置50、60は、ジャッキのような部材により反力吸収装置の一部を進退させてもよいし、回転運動を直進運動に変換する機構を備え、ハンドルやネジなどを回転させることで、反力吸収装置50、60の一部を進退させる装置であってもよい。
また、第2の実施形態において、施工面などの前方側の面に吸着される手段(吸着手段)は、吸着パッドであったが、吸着パッド以外の手段により、施工面などの前方側の面に吸着されてもよく、例えば、磁石などを使用してもよい。吸着手段が磁石であっても、タンク表面、又は面材が鉄板などである場合にはその面材表面に反力吸収装置を吸着できる。
以上の第1及び第2の実施形態において、フォーム層は、2重タンクにおいて外層タンク12の内周面13Aに形成されたが、外層タンク12の内周面13A以外の面に形成されてもよく、内層タンク11の外周面11Aや、外層タンク12の側壁13の外周面に形成されてもよい。また、フォーム層は、2重タンク以外に施工されてもよく、例えば、外層タンクが設けられない低温タンクや、タンク以外の建築物、構造物に対してフォーム層を形成してもよい。
特に、第2の実施形態において、反力吸収装置を支持する面は、施工面などのフォーム施工機の前方側の面であり、フォーム施工機の後方側に反力吸収装置を支持する面は必要とされない。したがって、様々な種類のタンクや、タンク以外のものに対してもフォーム層を容易に形成できる。もちろん、第1の実施形態でも、フォーム施工機の後方側に壁面がある場合などには、2重タンクに限らず様々なタンクや、タンク以外のものに対してフォーム層を施工できる。
上記各実施形態では、フォーム層15に面材17が積層されていたが、面材17は省略されてもよい。面材17が省略される場合、巻回ロール26、供給ロール27は省略されてもよいが、巻回ロール26、及び供給ロール27からは面材17の代わりに離型シートが供給されてもよい。この際、離型シートは、面材17と同様に、押え板25の内面25Aに沿うように、供給されるとよい。
面材17が省略されると、フォーム原液は、押え板25に直接接触するので、押え板25とフォーム原液が接着しやすくなるが、離型シートを供給することにより、押え板25と面材17との接着を防止できる。
離型シートは、四フッ化エチレン、二フッ化エチレンなどのフッ素樹脂を材料とするフッ素樹脂シート、シリコーン樹脂シートなどの離型性に優れる樹脂シートが挙げられる。また、紙基材、樹脂フィルムの少なくとも一方の面がシリコーン樹脂などで離型処理された離型紙、離型フィルムなどでもよい。
また、面材17が使用される場合でも、離型シートは、面材17とともに押え板25の内面25Aに沿うように供給されてもよい。例えば、巻回ロール26には、面材17と離型シートとの積層体が巻回され、その積層体が繰り出されて、押え板25の内面25Aに沿うように供給されてもよい。この場合、離型シートが押え板25の内面20側に配置される。
さらに、面材17と離型シートは同じ巻回ロール26から供給される必要はなく、例えば、巻回ロール26とは別の巻回ロールが設けられ、その別の巻回ロールから供給された離型シートと、巻回ロール26から供給された面材17が重ねられて、押え板25の内面25Aに沿うように供給されてもよい。
面材17及び離型シートを押え板25の内面25A上に供給すると、面材17がクロス材、メッシュ材などであり隙間があったとしても、その隙間から浸み出したフォーム原液Rが押え板25の内面25A側に接触することが防止される。そのため、フォーム原液Rの硬化物が押え板25に接着する不具合を防止できる。
したがって、面材17がガラスクロスなどのクロス材、ガラスメッシュなどのメッシュ材などの場合には、面材17及び離型シートの両方を押え板25の内面25A上に供給することが好適である。
また、フォーム層の形成は、厚み方向に複数回行ってもよい。この場合、各層のフォーム層の上に、面材を積層してもよいし、積層しなくてもよい。
また、巻回ロール26及び供給ロール27以外の部材により、押え板25の内面25A上に離型シートや面材を供給してもよい。さらに、ガイドローラー28を省略してもよい。ガイドローラー28を使用しなくても、一定の厚み精度が得られるので、断熱性能などが比較的良好なフォーム層が得られる。また、昇降装置40は、成形装置20の上方に配置される必要はなく、例えばゴンドラに駆動部を設けて、その駆動部を昇降装置として使用してもよい。
また、上記では液漏れ防止部材35A、35B、35Cはチューブであったが、フォーム成形品、離型シートなどであってもよい。フォーム成形品は例えばウレタンフォームである。
離型シートを液漏れ防止部材として使用する場合、上記のように押え板25の内面25Aに沿って供給される離型シートを、液漏れ防止部材として使用してもよい。具体的には、押え板25の内面25Aに沿って供給される離型シートの両側部や先端部の少なくともいずれかを折り曲げて、注入空間Sの両側部、及び下部のいずれかをシールする部材として使用するとよい。離型シートの側部を折り曲げる場合には、例えば供給ロール27と注入空間Sの間に、離型シートの両側を折り曲げる折り曲げ機構などを備えてもよい。
また、離型シートは、巻回ロール26とは別途設けた離型シート供給ロール(図示しない)などから、注入空間Sの側部を覆うように供給されてもよい。
さらに、液漏れ防止部材35A、35B、35Cは、フォーム成形品、チューブ、離型シート以外でもよく、例えば枠材の外周面にフォームシートや離型シートなどを取り付けたものなどでもよい。また、上記したフォーム成形品、チューブ、離型シート、枠材などは、適宜組み合わせて使用してもよい。例えば、下部の液漏れ防止部材35Aと、側部の液漏れ防止部材35B,35Cとを異なる部材にしてもよい。
10 タンク
11 内層タンク
11A 外周面(後方側の面)
12 外層タンク
13 側壁
13A 内周面(前方側の面)
18 フォーム施工機
19 ガイドレール
20 成形装置
22 吐出口
25 押え板
28 ガイドローラー
29 ゴンドラ
35A,35B,35C 液漏れ防止部材
40 昇降装置
41 吊元レール
50、60 反力吸収装置
52 当接部
53、63 シリンダ
64 吸着パッド(ベローズ真空パッド)
65 負圧発生手段(ベンチュリーノズル)
R フォーム原液
S 注入空間

Claims (6)

  1. ガイドレールと、
    前記ガイドレールに摺動可能に取り付けられ、前方側の施工面との間に注入空間を形成する押え板、及び前記注入空間に対してフォーム原液を注入する吐出口を有し、前記ガイドレールに沿って昇降可能な成形装置と、
    前方側の面に吸着される吸着手段を備えることによりフォーム施工機に対して前記前方側の面に支持され、及び/又は、後方側の面に当接されることによりフォーム施工機に対して前記後方側の面に支持され、前記注入空間における前記フォーム原液の発泡によって生じる反力を吸収する、前記ガイドレールに取り付けられた反力吸収装置と
    を備えるフォーム施工機。
  2. 前記反力吸収装置が、前後に進退可能である請求項1に記載のフォーム施工機。
  3. 前記反力吸収装置が、シリンダを備える請求項1又は2に記載のフォーム施工機。
  4. 前記吸着手段が真空吸着パッドである請求項1~3のいずれか1項に記載のフォーム施工機。
  5. 前記反力吸収装置が、前記ガイドレールに複数設けられる請求項1~4のいずれか1項に記載のフォーム施工機。
  6. ガイドレールと、前記ガイドレールに摺動可能に取り付けられ、押え板及び吐出口を有し、前記ガイドレールに沿って昇降可能である成形装置とを備えるフォーム施工機を用意し、
    前方側の施工面と前記押え板の間に注入空間を形成するように前記フォーム施工機を配置し、
    前記注入空間に前記吐出口よりフォーム原液を注入し、
    前方側の面に吸着させることにより前記フォーム施工機に対して前記前方側の面に支持される、及び/又は、後方に進出させて後方側の面に当接されることにより前記後方側の面に支持されるように、反力吸収装置を前記ガイドレールに取り付け、前記注入空間における前記フォーム原液の発泡によって生じる反力を前記反力吸収装置により吸収する、フォーム施工方法。
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