以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の撮像装置の第1の実施形態であるデジタルカメラ100の構成を示すブロック図である。
図1において、撮影レンズ101は、被写体からの光を撮像素子200へ結像させる。撮像素子200は、例えばCMOS型の撮像素子であり、撮影レンズ101を通して入射した光を光電変換して画像信号として出力する。また、撮像素子200は、内部に画素出力値の変化量および変化領域を検出し、その検出結果に応じて、撮像素子200自身の駆動制御を選択及び変更する制御機能を有している。この機能を有することにより、撮像素子自身が被写体の変化を検出し、適切な撮影モードを選択して変更することを可能としている。
画像処理回路102は、撮像素子200から出力される画像信号に対して、フィルタ処理等の各種補正処理や圧縮等のデジタル画像処理を行う。また、4KモードやFullHDモードによる画像信号についても、ここで各モードに応じたリサイズ等の画像処理が施される。
制御回路103は、撮像素子200の駆動タイミングの制御を行うとともに、画像処理回路102、表示回路106等の撮像装置全体の統括的な駆動及び制御を行う。また、制御回路103は、ユーザーの命令を受けて、静止画モード、FullHDモード、4Kモード等の複数の撮影モードから選択された撮影モードに応じた駆動制御を行う。また、本実施形態のデジタルカメラ100においては、前述したように、撮像素子200が被写体の変化を検出して撮影モードの選択及び変更を行う検知モードを備えており、撮像素子200への検知モードの動作許可の制御も行う。
メモリ回路104、記録回路105は、画像処理回路102から出力された画像信号を記録保持する不揮発性メモリやメモリカード等の記録媒体である。表示回路106は、撮影画像や各種設定画面等の表示を行う。操作回路107は、不図示の操作部材からの信号を受け付けて、制御回路103に対してユーザーの命令を伝達する。
制御回路103は動体検知回路110をさらに有し、撮像素子200から入力された画像データについて動体の有無を検出する。制御回路103は、動体検知回路110での検出結果に応じて、撮像素子200のモードを制御する。
図2は、撮像素子200の構成例を示すブロック図である。撮像素子200は、複数の画素が行列状に配置された画素部220を備えており、画素単位の信号を出力する機能、及び画素部220の面内を複数のブロックに分割した画素ブロック毎に画素信号を混合して出力する機能を有している。
画素部220の画素からの出力信号は、AD変換回路212において画素列毎または後述する画素ブロックを単位としたブロック列毎にアナログ-デジタル変換された後、水平走査回路213の駆動により順次イベント検出部214へ転送される。
イベント検出部214では、モード制御部216の制御信号を受け、画素ブロック単位の出力信号に対して、イベント発生の判断基準とする画素出力値の変化量を検出する。そして、検出結果の情報を撮像素子200の駆動モード制御を行うモード制御部216へ送信する。また、イベント検出部214は、画素部220の出力が画素単位出力の場合には、そのまま画素の出力信号を信号処理部215へ転送する。さらにイベント検出部214は、画素ブロック単位の出力を積算し、積分データとして露光制御部217に供給する。信号処理部215は、イベント検出部214からの画素信号の出力の前後に、画素出力の変化量や撮像素子200の駆動モード等の情報データを付帯して撮像素子200の外部に出力する。
モード制御部216は、撮像素子200内のイベント検出部214または撮像素子外の制御回路103からの信号を受けて、AD変換回路212、水平走査回路213、垂直走査回路211の各々に駆動タイミング制御信号を供給する。そして、撮像素子200の撮像モード毎に応じた駆動制御を行う。また、モード制御部216は、制御回路103から撮像素子200が検知モードとして動作することが許可されている場合、撮像素子200を検知モードに設定し、画素ブロック毎に画素混合する駆動を開始させる。
垂直走査回路211は、各行ごとに接続される信号線を介して、画素単位または画素ブロック単位に行選択及び駆動を行う。露光制御部217は、イベント検出部214からの積分データに基づき、撮像素子200の露光制御として露光時間の算出を行い、モード制御部216へ露光制御信号を供給する。
図3は、撮像素子200の積層構造を示す図である。
図3(a)に示されるように、撮像素子200は、斜線模様で示される半導体基板230と、白色で示される半導体基板232とを有する。半導体基板230および半導体基板232は、図3(b)に示されるように重畳された状態で封止され、モジュール化(一体化)される。
つまり、図3(c)に示されるように、半導体基板230および半導体基板232は、多層構造(積層構造)を形成する。半導体基板230に形成される回路と半導体基板232に形成される回路は、ビア(VIA)等により互いに接続される。
このように、撮像素子200は、半導体基板230と半導体基板232が多層構造を形成するように一体化されたモジュール(LSI(Large Scale Integration)チップとも称する)である。モジュール内部において半導体基板230と半導体基板232がこのように積層構造を形成することにより、撮像素子200は、半導体基板のサイズを増大させずに、より大規模な回路の実装を実現することができる。すなわち、撮像素子200は、コストの増大を抑制しながら、より大規模な回路を実装することができる。
なお、半導体基板230には、画素部220およびA/D変換回路112などが形成される。また、半導体基板232には、イベント検出部214、信号処理部215、モード制御部216、露光制御部217が形成される。撮像素子200と画像処理回路102は、バス121により接続される。
図4は、本実施形態における画素部220の構成例を示す図である。
図4において、画素部220には、画素230が行列状(二次元的に)に複数配置されている。またイベント検知のために信号を混合する単位として、複数の画素(本実施形態では例えば4個)の組である画素ブロック240が形成されている。なお、説明を分かりやすくするため、本実施形態においては画素ブロック240を2行×2列の4つの画素から構成する場合について説明するが、行数、列数および配置については、これに限定されるものではない。
画素ブロック240には駆動信号線が接続され、そのブロック毎に2つのリセット制御信号(例えばRST1,RST2)、2つの行選択制御信号(例えばSEL1,SEL2)、2つの転送制御信号(例えばTX1,TX2)、混合信号ADD(例えばADD1)、混合後の信号選択制御信号ADD_SEL(例えばADD_SEL1)が供給される。
各画素230には、リセット制御信号、行選択制御信号、転送制御信号が駆動信号線を介して供給される。さらに画素ブロックごとに混合信号ADD、混合後の信号選択制御信号ADD_SELが供給される。列方向には列出力線410が配置されている。画素からの出力信号は列出力線410を介して、接続先のAD変換回路212に入力される。
上記の駆動信号が各駆動信号線を介して選択的に画素に供給されることにより、撮像素子200の各画素の信号が行単位で、各列出力線410を介して読み出される。記録用または表示用の通常画像(撮影用画像)を撮影する通常撮影モードでは、画素部220からは、各画素230毎の信号が独立して順次読み出される。これに対し、イベントを検出するイベント検知モードでは、後述するように画素ブロック240内のフローティングディフュージョン部(以下、FD部)ごとに混合スイッチを動作させることにより、各ブロックの混合信号が読み出される。つまり、信号量を減らして読み出される。
図5は、本実施形態における画素230の等価回路図である。
図5では、1つの画素ブロック240を構成する4つの画素230について図示している。左上の画素を中心に説明すると、フォトダイオード406-1において蓄積された電荷は、転送制御信号TX1により、転送スイッチ405を介してFD部407-1に転送される。ソースフォロアアンプ408-1は列出力線410に接続された定電流源411-1と共に構成され、FD部407-1に蓄積された電荷に基づく電圧信号を増幅して、画素信号として出力する。ソースフォロアアンプの出力信号は、行選択制御信号SEL1が行選択スイッチ409を制御することにより、列出力線410-1へ出力される。
FD部407-1に蓄積されている不要電荷をリセットする場合はリセット制御信号RST1によりリセットスイッチ404-1を制御する。さらにフォトダイオード406-1をリセットする場合は、リセットスイッチ404-1と共に、転送制御信号TX1により転送スイッチ405-1を制御してリセットを実行する。垂直操作回路211は、駆動信号線を介して各行の画素に転送制御信号TX1、リセット制御信号RST1、行選択制御信号SEL1を供給する。
通常撮影モードでは、各画素230の信号が画素単位で読み出される。イベント検知モードでは、混合信号ADDにより混合スイッチ413がオン状態になり、フォトダイオード406-1,406-2,406-3,406-4から同じ画素ブロック内のFD部407-1,407-2,407-3,407-4に転送された信号が混合される。その後、混合後の信号を選択する信号である選択制御信号ADD_SELを画素230-3に設けられているOR回路412に入力することにより、から混合した信号が列出力線410-1が出力される。
このようにして、2行×2列の4つの画素の信号を混合した信号がイベント検知モードで出力される。なお信号を混合する単位は2行×2列に限られるものではない。また、信号の混合方法はFD部同士を接続して行う方法に限られるものではない。列出力線で複数の行をつないで混合し、水平方向の混合はAD変換回路の前の混合回路を使用して実施するようにしてもよい。
図6は、本実施形態におけるイベント検出部214の構成例を示す図である。
出力切り替え回路260は、撮像素子200の動作モードを制御するモード制御部216からの制御信号CtrlSigに応じて画素信号の出力先を撮像素子内部と外部へと切り替える。撮像素子の動作モードが被写体変化(イベント)を検出するイベント検知モードである場合、出力切り替え回路260は、画素部220の画素ブロック単位で混合された画素信号の出力先を積算演算処理回路261とする。また、撮像素子の動作モードが通常撮影モードである場合、出力切り替え回路260は、画素信号の出力先を撮像素子外部の信号処理部215とする。
積分演算処理回路261は、出力切り替え回路260から供給される画素信号を積算し、積算データを露光制御部217へ供給する。また、画素ブロック単位の画素出力信号を保持するメモリ262へ出力する。メモリ262は、画素ブロック単位の画素出力信号と、出力元の撮像素子200の撮像面内における同じ画素ブロックの位置情報とを、過去データとして記憶し、保持する。
差分検出回路263は、直近に読み出された画素ブロック単位の出力信号値と、メモリ262に保持されている同じ画素ブロックについての過去の出力信号値との差を算出し、その差分データを作成する。差分データは比較回路264に供給される。比較回路264は、各差分データと所定の閾値を比較する。比較回路264により得られた比較結果データは、モード制御部216に送信される。
図7は、本実施形態におけるモード制御部216の構成例を示すブロック図である。
図7において、モード制御部216は、モード信号生成部601とカウンタ602を備える。モード信号生成部601は、イベント検出部214の比較回路264からの比較結果データ(イベントの有無を示すデータ)である検出結果DET1および制御回路103からの検出結果DET2に基づいてモード信号MODEを生成する。このモード信号生成部601は、生成したモード信号MODEを垂直走査回路211に供給する。
図8は、本実施形態におけるモード信号生成部601の動作の一例を示す図である。
本実施形態では、イベントを検出するイベント検知モードとして、低速のフレームレートで駆動するイベント検知モード(以下、低速イベント検知モード)と、高速のフレームレートで駆動するイベント検知モード(以下、高速イベント検知モード)とを有する。本実施形態では、撮像装置の動作開始時などのように、直近でイベントの発生が生じていない状況においては、低速イベント検知モードで駆動することにより、大幅に消費電力を低減しつつイベントの検出を行う。
一方、通常撮影モードからイベント検知モードに移行する場合などのように、再度イベントが発生しやすい状況においては、一定期間、高速イベント検知モードで駆動する。これにより、消費電力の削減効果は小さくなるものの、通常撮影モードよりも消費電力を低減させながら、イベントの検出を短時間で行うことができる。これにより、再度イベントが発生した際に、即座に通常撮影モードに移行し、画像データを取得することができる。
イベント検出部214からモード信号生成部601へは、差分検出回路263で得られる差分データと所定の閾値の比較結果(結果としてイベントの有無を示すデータ)が検出結果DET1として入力される。また、制御回路103からモード信号生成部601へは、動体検知結果が検出結果DET2として入力される。また、カウンタ602からモード信号生成部601へはカウント値CNTが入力される。
図8において、まず、現在のモードが低速イベント検知モードである場合には、モード信号生成部601に入力される各情報のうち、イベント検出部214からの入力情報である検出結果DET1に基づいてモード信号の生成が行われる。
検出結果DET1によりイベント無しの情報が入力された場合には、モード信号生成部601からは、低速イベント検知モードを継続するよう信号が出力される。また、検出結果DET1によりイベント有りの情報が入力された場合には、モード信号生成部601からは、通常撮影モードへ移行するよう信号が出力される。
次に、現在のモードが通常撮影モードである場合には、モード信号生成部601に入力される各情報のうち、制御回路103からの入力情報である検出結果DET2に基づいてモード信号の生成が行われる。
検出結果DET2により動体無しの情報が入力された場合には、モード信号生成部601からは、高速イベント検知モードへ移行するよう信号が出力される。検出結果DET2により動体有りの情報が入力された場合には、モード信号生成部601からは、通常撮影モードを継続するよう信号が出力される。
次に、現在のモードが高速イベント検知モードの場合には、モード信号生成部601に入力される各情報のうち、イベント検知部214からの検出結果DET1に加えて、カウンタ602からのカウント値CNTを用いてモード信号の生成が行われる。
検出結果DET1によりイベント無しの情報が入力され、さらにカウント値CNTが所定値Nよりも小さい場合には、モード信号生成部601からは、高速イベント検知モードを継続するよう信号が出力される。また、検出結果DET1によりイベント無しの情報が入力され、さらにカウント値CNTが所定値N以上の場合には、モード信号生成部601からは、低速イベント検知モードに移行するよう信号が出力される。
検出結果DET1によりイベント有りの情報が入力された場合には、モード信号生成部601からは、通常撮影モードに移行するよう信号が出力される。ここで、通常撮影モードでの制御部による動体検知方法については、一般的な画像解析による被写体検知方法であるため、説明は省略する。
本実施形態では、イベント検知モードとして、低速のフレームレートで駆動するイベント検知モードと高速のフレームレートで駆動するイベント検知モードとを用いる例について説明したが、イベント検知モードはこの二つに限定されるものではない。他にもより低速なフレームレートのイベント検知モードやより高速なフレームレートのイベント検知モードをさらに設定できる構成であってもよい。その場合には、通常撮影モードからイベント検知モードに移行する際に、より高速なフレームレートのイベント検知モードからより低速なイベント検知モードへ徐々にフレームレートが下がるように移行していくような構成であることが望ましい。
図9は、本実施形態におけるデジタルカメラ100の状態遷移の一例を示す図である。
このデジタルカメラ100の状態は、初期状態810、低速イベント検知モード820、高速イベント検知モード830および通常撮影モード840の4つに分類される。
初期状態810は、撮像素子200が停止している状態であり、低速イベント検知モード820および高速イベント検知モード830は、撮像素子200が動作し、画素混合を行う状態である。また、通常撮影モード840は、撮像素子200が動作し、画素混合をせずに撮像を行う状態である。
初期状態810において、デジタルカメラ100の動作を開始させるための操作が行われると、デジタルカメラ100は、撮像素子200を動作させて低速イベント検知モード820に移行する。低速イベント検知モード820において、デジタルカメラ100は、垂直同期信号VSYNCに同期して、画素混合により輝度積分データを取得する。そして、イベント検出部214は、その輝度積分データからイベントの有無を検出する。イベントが発生した場合に、デジタルカメラ100は、通常撮影モード840に移行する。
通常撮影モード840において、デジタルカメラ100は、画素混合せずに画像を撮像し、動体検知回路110の検知結果から動体が無いと判断されると、高速イベント検知モード830に移行する。高速イベント検知モード830において、デジタルカメラ100は、垂直同期信号VSYNCに同期して、画素混合により輝度積分データを取得する。そして、イベント検出部214は、その輝度積分データからイベントの有無を検出する。イベントが発生した場合に、デジタルカメラ100は、通常撮影モード840に移行する。
一方、高速イベント検知モード830において、イベント検出部214は、輝度積分データからイベントの有無を検出し、イベントが発生しない場合には、画素混合データをN枚取得すると低速イベント検知モード820に移行する。また、低速イベント検知モード820、高速イベント検知モード830および通常撮影モード840において、動作を終了させるための操作が行われると、デジタルカメラ100は、撮像素子200を停止させて初期状態810に移行する。
図10は本実施形態における低速イベント検知モードおよび高速イベント検知モードでの撮像素子200の動作の一例を示すタイミングチャートである。図10(a)は低速イベント検知モードのタイミングチャートの一例であり、図10(b)は高速イベント検知モードのタイミングチャートの一例である。タイミングT0においてイベント検知モードが設定されたものとする。
図10(a)において、低速イベント検知モードでは、垂直走査回路211は、混合信号ADD、ADD_SELをオン状態として、ブロック単位による読み出しを開始させる。混合信号ADDおよびADD_SELをオン状態にすることで、ブロック単位で混合された画素信号が列出力線から出力されるようになる。
混合信号のオンのタイミングと同タイミングで、リセット信号RST1,RST2、転送信号TX1,TX2をハイレベルに制御する。これにより、混合信号ADDにより接続状態となったFD部407-1,407-2,407-3,407-4、およびブロック内の各フォトダイオード406-1,406-2,406-3,406-4が電源電位にリセットされる。
タイミングT1において、リセット信号RST1,RST2、転送信号TX1,TX2がローレベルに復帰して、ブロック単位の1行目に対する露光が開始される。
一定の露光時間の経過後、タイミングT2において、垂直走査回路211は、ブロック単位の1行目に対応する転送信号TX1,TX2をハイレベルに制御してTR405-1、TR405-2、TR405-3、TR405-4をオン状態とする。これにより、各フォトダイオード406-1,406-2,406-3,406-4に蓄積された電荷がFD部407-1,407-2,407-3,407-4に転送され、さらに混合される。これにより電荷が混合されたブロック単位の露光が終了する。
ブロック単位で混合された電荷は、ソースフォロアアンプ408-3により電圧信号として増幅され、画素出力信号として列出力線410-1から出力される。列出力線410-1に出力された混合画素信号はAD変換回路212によりAD変換され、読み出される。タイミングT3以降は、同様に順次ブロック行単位で露光および読み出しが行われ、最終ブロックのNブロック行の読み出しが行われると、全ブロック行の読み出しが完了する。全ブロック行の読み出しは、垂直同期信号VSYNCに同期して複数回に亘って実行される。
最終ブロック行のNブロック行の読み出しが行われ、全てのブロック行の読み出しが完了すると、次の垂直同期信号VSYNCが発行されるまでの期間、撮像素子自体の動作を停止する。低速イベント検知モードについては、全ブロック行を読み出してから次の垂直同期信号VSYNCが発行されるまでの動作停止時間を長くすることにより(フレームレートを低くすることにより)消費電力を削減することができる。
図10(b)においても、図10(a)と同様に、垂直走査回路211は、混合信号ADD、ADD_SELをオン状態として、ブロック単位による読み出しを開始させる。以下、Nブロック行までの読み出しは図10(a)と同様であるため、説明は省略する。
最終ブロック行のNブロック行の読み出しが行われ、全てのブロック行の読み出しが完了すると、次の垂直同期信号VSYNCが発行されるまでの期間、撮像素子自体の動作を停止する。
本実施形態における高速イベント検知モードと低速イベント検知モードの違いは、Nブロック行を読み終わってから次の垂直同期信号VSYNCが発行されるまでの時間にある。高速イベント検知モードについては、低速イベント検知モードに比べて全ブロック行を読み出してから次の垂直同期信号VSYNCが発行されるまでの時間を短くする(フレームレートを高くする)。これにより低速イベント検知モードよりも消費電力は大きくなるが、短時間で複数フレームの画像データを取得できるため、短時間でイベントを検出することができる。そのため、通常撮影モードへの復帰も素早く行うことができる。
図11は、本実施形態における通常撮影モードの撮像素子200の動作の一例を示すタイミングチャートである。タイミングT0の後のタイミングT10において、イベントが検出されて通常撮影モードが設定されたものとする。
垂直走査回路211は、1行目の画素行の信号読み出しを開始するために、行選択制御信号SEL_1をハイレベルするとともに、リセット信号RST1を所定のパルス期間に旦ってハイレベルに制御する。また、これと同じタイミングで、転送信号TX1をハイレベルに制御する。これにより、1行目の画素行のFD部407-1,407-2およびフォトダイオード406-1,406-2が電源電位にリセットされる。また、FD部407-3はFD部407-1と結線されており、FD部407-4はFD部407-2と結線されているため、同様にリセットされる。
タイミングT11において、リセット信号RST1、転送信号TX1がローレベルに復帰して、1行目の画素行に対する露光が開始される。
一定の露光時間の経過後、タイミングT12において、垂直走査回路211は、転送信号TX1をハイレベルに制御して、TR405-1、TR405-2をオン状態とする。これにより、フォトダイオード406-1に蓄積された電荷はFD部407-1,407-3に、フォトダイオード406-2に蓄積された電荷はFD部407-2,407-4に転送され、画素単位の露光が終了する。
FD部に転送された電荷は、接続先となる各ソースフォロアアンプ408-1,408-2において電圧信号として増幅され、画素出力信号として各列の列出力線から出力される。各列出力線に出力された画素信号は、各列のAD変換回路によりデジタル信号に変換される。
次に、タイミングT14からT17において、2行目の画素の信号読み出し動作が行われる。信号読み出しは、2行目の画素に対応する行選択信号SEL_2、リセット信号RST2、転送信号TX2が、1行目の画素における信号と同様に発行される。そして、フォトダイオード406-3に蓄積された電荷がFD部407-3,407-1に転送され、フォトダイオード406-4に蓄積された電荷がFD部407-4,407-2に転送されて2行目における画素単位の露光が終了する。FD部に転送された電荷は、接続先となる各ソースフォロアアンプ408-3,408-4において電圧信号として増幅され、画素出力信号として各列の列出力線から出力される。
以降は、同様に画素行単位に、露光および読み出しが行われ、全行分の読み出しが完了する。また全行の読み出しは、垂直同期信号に同期して複数回に亘って実行される。
図12は、本実施形態におけるデジタルカメラ100の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、例えば、ユーザーが動作の開始を指示したときに開始される。
ステップS1101では、まず、低速イベント検知モードに移行し、ステップS1102では、画素信号混合読み出しにより輝度積分データを取得する。ステップS1103では、ステップS1102で取得した輝度積分データに基づいて、所定のイベントが発生したか否かを判断する。イベントが発生していない場合には、ステップS1102とステップS1103の動作を繰り返し実行する。
一方、ステップS1103で、イベントが発生した場合には、ステップS1104において通常撮影モードに移行し、ステップS1105で、画素信号混合読み出しを行わずに画像データを取得する。
ステップS1106では、ステップS1105で取得した画像データに基づいて動体の検知を行う。ステップS1106で、動体有りと判断された場合には、ステップS1105とステップS1106の動作を繰り返し実行する。
一方ステップS1106で、動体が無いと判断されると、ステップS1107において、高速イベント検知モードに移行し、カウンタ値CNTを「0」に初期化した後、ステップS1108で、画素信号混合読み出しにより積分データを取得する。ステップS1109では、ステップS1108で取得した輝度積分データに基づいて、所定のイベントが発生したか否かを判断する。
ステップS1109において、イベントが発生した場合には、ステップS1104に戻り、再度通常撮影モードに移行し、ステップS1104~S1109の動作を繰り返し実行する。一方ステップS1109で、イベントが発生していない場合には、ステップS1110において、カウンタ値CNTが所定値N以上か否かを判断する。
ステップS1110において、カウンタ値CNTが所定値N未満の場合には、カウンタ値CNTをインクリメントし、ステップS1108~S1110の動作を繰り返し実行する。一方ステップS1110で、カウンタ値CNTが所定値N以上の場合には、ステップS1101に戻り、低速イベント検知モードに移行する。
以上説明したように、本実施形態では、通常撮影モードによる画像撮影後に動体が検知されなくなった際に、一時的にフレームレートが高速なイベント検知モードによるイベント検出を行う。これにより、イベント検出を短時間で行うことができ、イベント発生時に短時間で通常撮影モードによる画像撮影を開始することが可能となる。
本実施形態では、通常撮影モードからイベント検知モードに移行する際に、高速なフレームレートでのイベント検知モードへ移行することにより、再度イベントが検知された際の通常撮影モードへの移行を短時間に行う方法について説明した。しかし、通常撮影モードへの移行を行いやすくする方法はこれに限らず、例えば、イベントを検知しやすくする方法として、通常撮影モードからイベント検知モードに移行した際に、一定期間、イベント検出部の検出閾値を下げることで、イベントを検出しやすくしてもよい。
また、本実施形態では、通常撮影モード時には動体検知回路110で動体を検知する方法について説明したが、移動体や被写体の検知についてはこれに限定されるものではない。例えば、通常撮影モード時についても、撮像素子内のイベント検出部によりイベント検出を行ってもよいし、撮像素子内に別の動体検知回路を設け、そこで動体の検知を行ってもよい。
また、本実施形態では、イベント検出時のモードを、画素混合を行うイベント検知モードとして記載したが、イベント検出時の消費電力を通常撮影モード時よりも抑えることができればイベント検知モードに限定されるものではない。例えば、一部の画素の信号を間引いて読み出してAD変換の回数を減らすことにより消費電力を抑える間引き読み出しモードでもよい。また、通常撮影モードのように全画素の信号を読み出しても、フレームレートを通常撮影モードよりも低速にして消費電力を抑えるようにしてもよい。
また、本実施形態では、通常撮影モードは、全画素の信号を読み出すモードとして説明したが、イベント検出後に移行するモードはこれに限定されず、画素信号を混合して読み出すモードや、画素信号の間引きを行って読み出すモードであってもよい。
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、通常撮影モードからイベント検知モードに移行する場合に、一時的に高速のフレームレートでのイベント検知モードを行うことにより、再度イベントが発生した際のイベント検出を短時間で行う方法について説明した。しかし、一度イベント検知モードに移行してしまうと、フレームレートを高速化したとしても、画像データが取得できない時間が短くはなるが、無くなるわけではない。
この第2の実施形態では、通常撮影モードで動体が検知されなくなった場合でも、即時にイベント検知モードに移行せず、一定時間、通常撮影モードの状態で画像データを取得しながら動体検知を継続する。これにより、再度動体が検知された場合に、画像データが欠けることなく、通常撮影モードによる画像データの取得を行うことができる。
以下、第2の実施形態について説明する。なお、デジタルカメラ及び撮像素子の構成については、第1の実施形態における図1から図7と同じであり、撮像素子の駆動タイミングについては、第1の実施形態における図10、図11と同じであるため、これらについての説明は省略する。
図13は、第2の実施形態におけるモード信号生成部601の動作の一例を示す図である。
イベント検出部214からモード信号生成部601へは、差分検出回路263で得られる差分データと所定の閾値の比較結果(結果としてイベントの有無を示すデータ)が検出結果DET1として入力される。また、制御回路103からモード信号生成部601へは、動体検知結果が検出結果DET2として入力される。また、カウンタ602からモード信号生成部601へはカウント値が入力される。
図13において、まず、現在のモードが低速イベント検知モードの場合には、モード信号生成部601に入力される各情報のうち、イベント検出部214からの入力情報である検出結果DET1に基づいてモード信号の生成が行われる。
検出結果DET1によりイベント無しの情報が入力された場合には、モード信号生成部601からは、低速イベント検知モードを継続するよう信号が出力される。また、検出結果DET1によりイベント有りの情報が入力された場合には、モード信号生成部601からは、通常撮影モードへ移行するよう信号が出力される。
次に、現在のモードが通常撮影モードの場合には、モード信号生成部601に入力される各情報のうち、制御回路103からの入力情報である検出結果DET2に加えて、カウンタ602からのカウント値を用いてモード信号の生成が行われる。
検出結果DET2により動体無しの情報が入力され、さらにカウント値が所定値Nよりも小さい場合には、モード信号生成部601からは、通常撮影モードを継続するよう信号が出力される。検出結果DET2によりイベント有りの情報が入力された場合にも、モード信号生成部601からは、通常撮影モードを継続するよう信号が出力される。さらに、検出結果DET2により動体無しの情報が入力され、さらにカウント値が所定値N以上となった場合には、モード信号生成部601からは、低速イベント検知モードに移行するよう信号が出力される。
図14は、本実施形態におけるデジタルカメラ100の状態遷移の一例を示す図である。
この第2の実施形態では、デジタルカメラ100の状態は、初期状態1310、低速イベント検知モード1320、および通常撮影モード1330の3つに分類される。
初期状態1310は、撮像素子200が停止している状態であり、低速イベント検知モード1320は、撮像素子200が動作し、画素信号の混合を行う状態である。また、通常撮影モード1330は、撮像素子200が動作し、画素混合をせずに撮像を行う状態である。
初期状態1310において、デジタルカメラ100の動作を開始させるための操作が行われると、デジタルカメラ100は、撮像素子200を動作させて低速イベント検知モード1320に移行する。低速イベント検知モード1320において、デジタルカメラ100は、垂直同期信号VSYNCに同期して、画素信号の混合により輝度積分データを取得する。そして、イベント検出部214は、その輝度積分データからイベントの有無を検出する。イベントが発生した場合に、デジタルカメラ100は、通常撮影モード1330に移行する。
通常撮影モード1330において、デジタルカメラ100は、画素信号を混合せずに画像データを撮像する。そして、動体検知回路110の検知結果から動体が無いと判断されると、画像データをN枚取得し、その間動体が検知されない場合には、低速イベント検知モード1320に移行する。
また、低速イベント検知モード1320および通常撮影モード1330において、動作を終了させるための操作が行われると、デジタルカメラ100は、撮像素子200を停止させて初期状態1310に移行する。
図15は、本実施形態におけるデジタルカメラ100の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、例えば、ユーザーが動作の開始を指示したときに開始される。
ステップS1401では、まず、低速イベント検知モードに移行し、ステップS1402では、画素信号の混合により輝度積分データを取得する。ステップS1403では、ステップS1402で取得した輝度積分データに基づいて、所定のイベントが発生したか否かを判断する。イベントが発生していない場合には、ステップS1402とステップS1403の動作を繰り返し実行する。
一方、ステップS1403で、イベントが発生した場合には、ステップS1404において通常撮影モードに移行し、ステップS1405で、画素信号の混合を行わずに画像データを取得する。
ステップS1406では、ステップS1405で取得した画像データに基づいて動体の検知を行う。ステップS1406で、動体有りと判断された場合には、ステップS1407でカウンタ値CNTを「0」に初期化した後、ステップS1405~S1407の動作を繰り返し実行する。
一方、ステップS1406において、動体が無いと判断されると、ステップS1408で、カウンタ値CNTをインクリメントする。
ステップS1409で、カウンタ値CNTが所定値N以上か否かを判断し、ステップS1409でカウンタ値CNTがN未満の場合には、ステップS1405~S1409を繰り返し実行する。一方ステップS1409で、カウンタ値CNTが所定値N以上の場合には、ステップS1401に戻り、低速イベント検知モードに移行する。
以上説明したように、第2の実施形態では、通常撮影モードによる画像の撮影後に動体が検知されなくなった場合でも、一定時間、通常撮影モードによる画像データの取得と動体検知を継続する。これにより、再度動体が検知された際に、画像データが欠けることなく通常撮影モードによる画像撮影を行うことが可能となる。
本実施形態では、通常撮影モードからイベント検知モードに移行する際に、常に一定時間、通常撮影モードでの動体検知を継続する方法について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、通常撮影モードとイベント検知モードの切り替わりが頻繁に繰り返されるなど動体の有無が頻繁に生じている場合に限って、通常撮影モードからイベント検知モードへの移行時に、一定時間通常撮影モードによる動体検知を継続するようにしてもよい。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、イベント検出部によりイベントが検出されるとすぐにイベント検知モードを取りやめて、通常撮影モードに移行している。この場合、検出されたイベントが記録したい被写体のイベントではなく、記録したくない被写体の輝度変化などのイベントである場合もある。その場合は、通常撮影モードに移行すると無駄に消費電力が増加する。この第3の実施形態ではこの問題を解決する方法について説明する。
なお、第3の実施形態では、デジタルカメラ及び撮像素子の構成については、第1の実施形態における図1から図7と同じであり、撮像素子の駆動タイミングについては、第1の実施形態における図10、図11と同じであるため、これらについての説明は省略する。
図16は、本実施形態におけるモード信号生成部601の動作の一例を示す図である。
本実施形態では、イベントを検出するイベント検知モードとして、低速のフレームレートで駆動するイベント検知モード(低速イベント検知モード)と、高速のフレームレートで駆動するイベント検知モード(高速イベント検知モード)とを有する。本実施形態では、撮像装置の動作開始時などのように、直近でイベントの発生が生じていない状況においては、低速イベント検知モードで駆動することにより、大幅に消費電力を低減しつつイベントの検出を行う。
一方、低速イベント検知モードでのイベント検出時には、第1及び第2の実施形態と同様に、即座に画素信号の混合を行わずに読み出して記録を行う通常撮影モードへ移行する場合と、低速イベント検知モードでのイベント検出結果に応じて、即座に通常撮影モードへ移行せずに、一度、高速イベント検知モードに移行してイベント検出を再度行い、高速イベント検知モードでもイベント検出された場合のみ通常撮影モードに移行する場合とを使い分ける。
こうすることにより、イベント検出の精度が低いシーンにおいて、確実にイベントが発生しているときのみ通常撮影モードに移行することができ、余計な消費電力の増加を抑えることができる。
図16において、まず、現在のモードが低速イベント検知モードの場合には、モード信号生成部601に入力される各情報のうち、イベント検出部214からの入力情報である検出結果DET1に基づいてモード信号の生成が行われる。ここでの、検出結果DET1は、差分検出回路263により得られた、直近に読み出された画素ブロック単位の出力値と、メモリ262に保持されている同じ画素ブロックについての過去の出力値との差を算出した差分データを、比較回路264で所定の閾値と比較した結果である。
検出結果DET1において、差分データが閾値S1以下の場合には、モード信号生成部601からは、低速イベント検知モードを継続するよう信号が出力される。また、差分データが閾値S1より大きく、閾値S2以下の場合には、モード信号生成部601からは、高速イベント検知モードへ移行するよう信号が出力される。また、差分データが閾値S2よりも大きい場合には、モード信号生成部601からは、通常撮影モードへ移行するよう信号が出力される。
次に、現在のモードが高速イベント検知モードの場合には、モード信号生成部601に入力される各情報のうち、イベント検知部214からの検出結果DET1に基づいてモード信号の生成が行われる。
検出結果DET1における差分データが閾値S1以下の場合には、モード信号生成部601からは、低速イベント検知モードへ移行するよう信号が出力される。また、差分データが閾値S1より大きく、閾値S3以下の場合には、モード信号生成部601からは、高速イベント検知モードを継続するよう信号が出力される。また、差分データが閾値S3よりも大きい場合には、モード信号生成部601からは、通常撮影モードへ移行するよう信号が出力される。
ここで、閾値S1、閾値S2、閾値S3の大小関係は以下のようになる。
S2>S3>S1 …(1)
つまり、低速イベント検知モードで駆動されている場合に、通常撮影モードに直接移行するのは、差分データが閾値S2を超えた場合であり、差分データが最も大きく、被写体の変化が明確であるときのみ通常撮影モードに移行するようにする。
次に、現在のモードが通常撮影モードの場合には、モード信号生成部601に入力される各情報のうち、制御回路103からの入力情報である検出結果DET2に基づいてモード信号の生成が行われる。
検出結果DET2により動体無しの情報が入力された場合には、モード信号生成部601からは、低速イベント検知モードへ移行するよう信号が出力される。検出結果DET2により動体有りの情報が入力された場合には、モード信号生成部601からは、通常撮影モードを継続するよう信号が出力される。ここで、通常撮影モードでの制御部による動体検知方法については、一般的な画像解析による被写体検知方法であるため説明は省略する。
図17は、本実施形態におけるデジタルカメラ100の状態遷移の一例を示す図である。
このデジタルカメラ100の状態は、初期状態2810、低速イベント検知モード2820、高速イベント検知モード2830および通常撮影モード2840の4つに分類される。
初期状態2810は、撮像素子200が停止している状態であり、低速イベント検知モード2820および高速イベント検知モード2830は、撮像素子200が動作し、画素信号の混合を行う状態である。また、通常撮影モード2840は、撮像素子200が動作し、画素信号を混合せずに撮像を行う状態である。
初期状態2810において、デジタルカメラ100の動作を開始させるための操作が行われると、デジタルカメラ100は、撮像素子200を動作させて低速イベント検知モード2820に移行する。低速イベント検知モード2820において、垂直同期信号VSYNCに同期して得られる検出結果DET1における差分データが、S2≧差分データ>S1である場合には、高速イベント検知モード2830に移行する。また、差分データ>S2である場合には、通常撮影モード2840に移行する。
また、高速イベント検知モード2830において、検出結果DET1における差分データが、差分データ>S3である場合には、通常撮影モード2840に移行する。また、検出結果DET1における差分データが、差分データ≦S1である場合には、低速イベント検知モード2820に移行する。
また、通常撮影モード2840において、デジタルカメラ100は、画素信号を混合せずに画像データを撮像する。そして、動体検知回路110の検知結果から動体が無いと判断されると、低速イベント検知モード2820に移行する。
なお、低速イベント検知モード2820、高速イベント検知モード2830および通常撮影モード2840において、動作を終了させるための操作が行われると、デジタルカメラ100は、撮像素子200を停止させて初期状態2810に移行する。
図18は、本実施形態におけるデジタルカメラ100の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、例えば、ユーザーが動作の開始を指示したときに開始される。
ステップS2101では、まず、低速イベント検知モードに移行し、ステップS2102では、画素信号の混合により輝度積分データを取得し、検出回路263で差分データDlを取得する。
ステップS2103では、比較回路264において、ステップS2102で取得した差分データDlと閾値S1との比較を行う。ステップS2103において、差分データDlが閾値S1以下の場合には、イベントが発生していないため、ステップS2102とS2103の動作を繰り返し実行する。
一方、ステップS2103において、差分データDlが閾値S1よりも大きい場合には、ステップS2104で差分データDlと閾値S2との比較を行う。
ステップS2104において、差分データDlが閾値S2よりも大きい場合には、イベントが発生していると判断して、ステップS2109で通常撮影モードに移行する。一方、ステップS2104において、差分データDlが閾値S2以下の場合には、イベントが発生していない可能性があるため、ステップS2105で高速イベント検知モードに移行する。
ステップS2106では、高速イベント検知モードにおいて、イベント検出部214の差分検出回路264で再度差分データDhを取得する。ステップS2107で、比較回路264において、ステップS2105で取得した差分データDhと閾値S1との比較を行う。
ステップS2107において、差分データDhが閾値S1以下の場合には、イベントが発生していないと判断して、ステップS2101に戻る。そして、低速イベント検知モードに移行し、ステップS2101からS2107の動作を繰り返し実行する。ステップS2107において、差分データDhが閾値S1より大きい場合には、ステップS2108に移行する。
ステップS2108では、比較回路264において、差分データDhと閾値S3の比較を行う。ステップS2108において、差分データDhが閾値S3以下の場合には、高速イベント検知モードでさらにイベントの発生を検出するために、ステップS2106に戻る。
ステップS2108において、差分データDhが閾値S3より大きい場合には、イベントが発生したと判断して、ステップS2109で通常撮影モードに移行し、ステップS2110において、画素信号の混合を行わずに画像データを取得する。
ステップS2111では、ステップS2110で取得した画像データに基づいて動体の検知を行う。ステップS2111で、動体有りと判断された場合には、ステップS2110に戻り、ステップS2110とS2111の動作を繰り返し実行する。
一方ステップS2111において、動体が無いと判断されると、ステップS2101に戻り、低速イベント検知モードに移行する。
なお、上記の説明では、ステップS2107とステップS2108で閾値を異ならせることにより、高速イベント検知モードを継続する期間を設けたが、高速イベント検知モードでのイベント検出は一回行うだけでもよい。そのため、ステップS2107とステップS2108の閾値を同じにして、ステップ2106において最低2フレームの画像を用いて差分データDhを求めるようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態では、低速イベント検知モードによってイベント検出を行った後、再度、高速イベント検知モードによるイベント検出を行う。これにより、イベントを誤検出して通常撮影モードに移行することによる電力増加を抑えることができ、低消費電力での動作を維持することができる。
本実施形態では、イベント検知モードを低速のフレームレートで駆動するイベント検知モードと高速のフレームレートで駆動するイベント検知モードの二つのイベント検知モードを例に挙げて説明した。しかし、イベント検知モードはこの二つに限定されるものではなく、他にもより低速なフレームレートのイベント検知モードやより高速なフレームレートのイベント検知モードをさらに設定できる構成であってもよい。その場合には、通常撮影モードからイベント検知モードに移行する際に、より高速なフレームレートのイベント検知モードからより低速なイベント検知モードへ徐々にフレームレートが下がるようにイベント検知モードを移行していくような構成であることが望ましい。
また、本実施形態では、再度イベント検出を行うモードを、フレームレートを上げるモードとして説明したが、再度イベント検出を行うモードについては、先にイベント検出されたモードよりもイベント検出の精度が向上するモードであればこれに限定されない。例えば、画素信号の混合数を変えることでこれを実現してもよいし、ISO感度や露光時間などの撮影条件を変えることでこれを実現してもよい。
また、本実施形態では、低速イベント検知モードから高速イベント検知モードへの移行判断を前フレームとの差分データの大小により行う方法として説明したが、イベント検出を行うモード間の移行条件はこれに限定されるものではない。例えば、前フレームとの差分が検出されたブロックの数が所定数を超えたか否かで判断してもよい。
また、本実施形態では、通常撮影モード時には動体検知回路110で動体検知を行う方法について説明したが、移動体や被写体の検知についてはこれに限定されるものではない。例えば、通常撮影モード時についても、撮像素子内のイベント検出部によりイベント検出を行ってもよいし、撮像素子内に別の動体検知回路を設けて、そこで動体の検知を行ってもよい。
また、本実施形態では、イベント検出時のモードを、画素信号の混合を行うイベント検知モードとして記載した。しかし、イベント検出時の消費電力を通常撮影モード時よりも抑えることができれば、モードはイベント検知モードに限定されるものではない。
例えば、一部の画素を間引いて読み出してAD変換の回数を減らすことにより消費電力を抑える間引き読み出しモードでもよい。また、通常撮影モードのように全画素を読み出すモードであっても、フレームレートを通常撮影モードよりも低速にして撮像素子の消費電力を抑えるようなモードとしてもよい。
また、本実施形態では、通常撮影モードは、全画素を読み出すモードとして説明したが、イベント検出後に移行するモードはこれに限らず、画素を混合して読み出すモードや、画素の間引きを行って読み出すモードであってもよい。
(第4の実施形態)
上述の第3の実施形態では、低速イベント検知モードでの検出結果に応じて高速イベント検知モードに移行するか否かを判断する方法について説明した。しかし、撮影シーンによっては、イベント検出後、即座に記録モードに遷移する効果が小さいシーンも存在する。そのようなシーンにおいては、低速イベント検知モードでイベントが検出された後に、常に高速イベント検知モードでイベント検出を行った方がイベントの誤検出が減り、より電力消費を抑えることができる。
この第4の実施形態では、低速イベント検知モードでの画素信号値から低速イベント検知モードでのイベント検出を行った後に、常に高速イベント検知モードでのイベント検出に移行するか否かを判断する方法について説明する。
なお、第4の実施形態では、デジタルカメラ及び撮像素子の構成については、第1の実施形態における図1から図5、図7と同じであり、撮像素子の駆動タイミングについては、第1の実施形態における図10、図11と同じであるため、これらについての説明は省略する。
図19は、第4の実施形態におけるイベント検出部214の構成例を示す図である。出力切り替え回路260から比較回路264は、第1の実施形態を示す図6と同じであるため説明は省略する。
積分値比較回路3201は、読み出された画素ブロック単位の出力値と所定閾値を比較するものである。積分値比較回路3201により得られた積分値の比較結果データは、モード制御部216に送信される。
図20は、本実施形態におけるモード信号生成部601の動作の一例を示す図である。
イベント検出部214の比較回路264からモード信号生成部601へは検出結果DET1が入力される。検出結果DET1は、差分検出回路263により得られた、直近に読み出された画素ブロック単位の出力値と、メモリ262に保持されている同じ画素ブロックについての過去の出力値との差を算出した差分データを、比較回路264で所定の複数種類の閾値と比較した結果である。
また、制御回路103からモード信号生成部601へは動体検知結果が検出結果DET2として入力される。カウンタ602からモード信号生成部601へはカウント値が入力される。さらに、本実施形態では、上記に加えて、イベント検出部214の積分値比較回路3201からモード信号生成部601へ、積分値の比較結果が比較結果DET3として入力される。
図20において、現在のモードが低速イベント検知モードの場合には、モード信号生成部601に入力される各情報のうち、イベント検出部214における比較回路264での差分データを所定の複数種類の閾値と比較した結果DET1と、積分値比較回路3201での輝度積分データを所定の閾値と比較した結果DET3とからモード信号の生成を行う。
比較回路264での比較の結果、差分データが閾値S1以下の場合には、モード信号生成部601からは、低速イベント検知モードを継続するよう信号が出力される。差分データが閾値S1より大きい場合で、積分値比較回路120で輝度積分データが閾値X以下の場合には、モード信号生成部601からは、高速イベント検知モードへ移行するよう信号が出力される。つまり、輝度値が低い場合には、差分データが閾値S1を超えた時点で、常に高速イベント検知モードへ移行される。
輝度積分データが閾値Xより大きい場合には、差分データが閾値S1より大きく閾値S2以下のときに高速イベント検知モードに移行し、差分データが閾値S2より大きいときには、通常イベント検知モードへ直接移行する。現在のモードが高速イベント検知モードの場合と、通常撮影モードの場合の動作は、図16で説明した動作と同じであるため説明は省略する。
図21は、本実施形態におけるデジタルカメラ100の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、例えば、ユーザーが動作の開始を指示したときに開始される。
ステップS3101では、まず、低速イベント検知モードに移行し、ステップS3102では、画素信号の混合により輝度積分データYを取得する。ステップS3103では、ステップS3102で取得した輝度積分データYに基づいて、差分検出回路263で差分データDlを取得する。
ステップS3104では、比較回路264において、ステップS3103で取得した差分データDlと閾値S1との比較を行う。ステップS3104において、差分データDlが閾値S1以下の場合には、イベントが発生していないため、ステップS3103とS3104の動作を繰り返し実行する。
一方、ステップS3104において、差分データDlが閾値S1よりも大きい場合には、ステップS3105で、積分値比較回路3201においてステップS3102で取得した輝度積分データYと閾値Xとの比較を行う。
ステップS3105で、輝度積分データYが閾値X以下の場合には、ステップS3107に進み、高速イベント検知モードに移行する。一方、ステップS3105で輝度積分データYが閾値Xより大きい場合には、ステップS3106に進み、比較回路264においてステップS3103で取得した差分データDlと閾値S2との比較を行う。
ステップS3106で、差分データDlが閾値S2以下の場合には、ステップS3107に進み、高速イベント検知モードに移行する。
以降、ステップS3107からステップS3113の動作については、図18のステップS2105からステップS2111の動作と同様であるため説明は省略する。
以上説明したように、この第4の実施形態によれば、撮影された被写体の輝度信号も高速イベント検知モードへの移行条件に加えることにより、イベントが誤検知されやすい被写体においては高速イベント検知モードへ移行しやすくなる。また、より不必要な通常撮影モードへの移行が減り、余計な電力の消費を抑制することができる。
本実施形態では、低速イベント検知モードの画素信号値に応じてイベント検知後に常に高速イベント検知モードに移行するかを判断する方法について説明したが、常に高速イベント検知モードへ移行するかの判断はこれに限定されるものではない。例えば、カメラの撮影条件であるISO感度やシャッター速度や絞りなどに応じて、常に低速イベント検知モードから高速イベント検知モードに移行するかを判断してもよい。
また、本実施形態では、低速イベント検知モード時の条件のみで高速イベント検知モードに移行するか否かを判断する方法について説明したが、高速イベント検知モードへの移行条件についてはこれに限定されるものではない。例えば、低速イベント検知モードから通常撮影モードへの移行が所定期間内に一定回数以上行われた場合には、低速イベント検知モードでのイベント検知後に高速イベント検知モードに移行するようにしてもよい。
(他の実施形態)
また本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出し実行する処理でも実現できる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。