JP7324041B2 - 表示装置および撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、表示装置および撮像装置に関する。
撮像装置などに搭載される電子ビューファインダは、液晶や有機ELなどを用いた表示デバイスを含む表示モジュールや接眼光学系を含む。表示モジュールは、表示デバイスの画像を表示する表示面へのごみの付着を抑制するために、表示デバイスと接眼光学系との間の空間で表示面を取り囲むように配される外囲部材を含む。外囲部材には、表示面の画像を表示する表示部の周囲に位置する周辺部において、周辺部に重なるように配され、外光反射を抑制するためのマスクなどとして機能しうる重複部が設けられる場合がある。特許文献1には、画像表示面と画像表示面から出射した光を透過させる透光板との間に、画像表示面の周囲を覆うスペーサを配することが示されている。
特開2009-251419号公報
表示面から出射した表示光が、重複部の内縁部で反射し、重複部の内縁部端が視認されてしまい、表示品質が低下してしまう場合がある。
本発明は、電子ビューファインダの表示品質の向上に有利な技術を提供することを目的とする。
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係る電子ビューファインダは、表示部および表示部の周囲に位置する周辺部を含む第1面を備える表示デバイスと、第1面に対向するレンズと、表示デバイスとレンズとの間の空間を取り囲む筐体と、を含む表示装置であって、筐体は、第1面に対する正射影において、周辺部の少なくとも一部と重なる重複部を含み、第1面に対する正射影における重複部の内縁は、第1面と交差する方向に沿って配された第2面と、第2面と重複部のうち第1面に対向する面とは反対側の第3面とによって形成される第1辺と、を備え、筐体は、第1面に対する正射影において、周辺部の少なくとも一部と重なり、かつ、第2面と表示部を介して対向する遮光部を含み、周辺部と遮光部との間の距離は、周辺部と重複部との間の距離よりも大きく、表示部の端部から出射される光のうち第1面の法線から45°未満の角度を有する光は、重複部に入射せずにレンズに入射し、かつ、表示部の端部から出射される光のうち第1面の法線から45°以上の角度を有し重複部で反射する光は、遮光部に入射することを特徴とする。
本発明によれば、電子ビューファインダの表示品質の向上に有利な技術を提供することができる。
本実施形態に係る電子ビューファインダの構成例を示す断面図。 図1の電子ビューファインダの表示光の光線を説明する図。 図1の電子ビューファインダの変形例を示す図。 図1の電子ビューファインダの重複部の変形例を示す断面図。 図1の電子ビューファインダを用いた撮像装置の構成例を示す図。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
図1(a)~5を参照して、本発明の実施形態による電子ビューファインダについて説明する。図1(a)は、本発明における電子ビューファインダ700の構造を示す断面模式図である。まず、電子ビューファインダ700の概略構成について説明する。
電子ビューファインダ700は、図1(a)に示されるように表示モジュール10と接眼光学系20とカバー部材30とを含む。観察者は、接眼光学系20で拡大された表示モジュール10から発せられる表示画像を、カバー部材30を通して観察する。図1(a)の領域Aで示される部分の拡大図を図1(b)に示す。図1(b)に示されるように、表示モジュール10は、表示デバイス100、表示デバイス100と接眼光学系20との間の空間に配される外囲部材200および光透過部材300を含む。外囲部材200と後述する接眼光学系20の鏡筒部材420とは、電子ビューファインダ700の筐体500を構成する。筐体500は、表示デバイス100と接眼光学系20のレンズ410との間の空間を取り囲む。
表示デバイス100は、表示素子110が配された表示部101および表示部の周囲に位置する周辺部102含む主面103を備える。表示デバイス100は、シリコンやガラスなどの基材の主面103に液晶素子や有機EL素子などの表示素子110が配されている。表示部101には、表示素子110に加えて、表示素子110を駆動するためのトランジスタや表示素子110に電力を供給するための配線パターンなどが設けられる。主面103に対する正射影において、表示部101の典型的な形状は四辺形であり、この場合、表示部101の寸法(対角長)は、例えば、2.54mm~25.4mm(0.1インチ~1.0インチ)であり、例えば、5mm~20mmである。周辺部102には、配線パターンや表示素子110を駆動するための回路、表示モジュール10の外部と電気的な接続を行うための外部接続端子などが配される。外部接続端子と表示モジュール10の外部と電気的な接続を行う配線基板(不図示)とが、バンプや異方性導電樹脂などの接合部材(不図示)を介して接合される。必要に応じて配線基板との接合部以外の領域の表示デバイス100の上にガラスなどの光透過性の部材を設けてもよい。
筐体500のうち外囲部材200は、画像を表示する表示部101を含む主面103へのごみの付着を抑制するために、一端が表示デバイス100の主面103の外縁を取り囲むように、主面103と直交するz方向(主面103に対する法線と平行な直線の方向。以下、法線方向ともいう。)に沿って配される側壁部210を含む。さらに、筐体500のうち外囲部材200は、表示デバイス100の主面103に対する正射影において、周辺部102の少なくとも一部と重なる位置に配されるように、側壁部210から突出する重複部220を含む。表示デバイス100の主面103に対する正射影において、側壁部210は、図1に示されるように、表示デバイス100の外縁よりも外側に配されうる。しかしながら、これに限られることはなく、側壁部210が、表示デバイス100の一部を覆っていてもよい。これに対して、重複部220は、側壁部210の一部からz方向と交差する方向(以下、x方向とする。)に、表示デバイス100の一部を覆うように突出する。x方向は、表示デバイス100の主面103と平行であってもよい。また、x方向は、z方向と直交していてもよい。
側壁部210と重複部220とは、同じ材料で一体的に形成されていてもよい。側壁部210と重複部220とは、別々に形成され、接着剤などの結合部材などを用いて互いに結合していてもよい。表示デバイス100の周辺部102にフレキシブル配線板(FPC)などの配線基板が接合されている場合、配線基板によって周辺部102に段差が生じうる。この配線基板によって生じる段差を解消するために、表示デバイス100の主面103が重複部220に当接するように、外囲部材200に座繰り部(凹部)が設けられてもよい。外囲部材200は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性の樹脂によって構成されうる。外囲部材200の機械的強度を向上させるために、樹脂の材料中にガラス繊維などのフィラーが添加されてもよい。また、表示素子110からの発光や外光が外囲部材200の表面で反射し、電子ビューファインダ700の表示品質が低下することを抑制するために、外囲部材200を構成する樹脂に黒色顔料などが添加されてもよい。重複部220は、周辺部102における外光反射を抑制するためのマスクとして機能しうる。特許文献1に示される構成において、電子ビューファインダの外から接眼光学系を通して入射した外光は、スペーサの斜面で表示部の側に反射しコントラストの低下などの表示品質が低下する可能性がある。そのため、重複部220のうち表示デバイス100と対向する面とは反対側の上面201は、表示デバイス100の主面103と略平行であってもよい。これによって、外光が上面201に当たり表示部101の側に反射しコントラストが低下するなど表示品質が低下してしまうことを抑制できる。また、重複部220は、外囲部材200の表示デバイス100に対する位置や高さを決める位置決め部材としての役割も有しうる。重複部220のうち少なくとも一部が、表示デバイス100の主面103と当接して配されることによって、外囲部材200と表示デバイス100との高さが一義的に決めることが可能となる。
z方向において、外囲部材200のうち表示デバイス100の主面103の側とは反対の側の端部に、表示デバイス100の主面103を覆うように光透過部材300が配される。光透過部材300は、表示デバイス100の主面103と対向する下面301と、下面301とは反対側かつ前記接眼光学系と対向する上面302と、を含む。光透過部材300は、ガラスや、アクリルなどのプラスチックを用いることができる。表示デバイス100の周囲を取り囲む外囲部材200と光を透過する光透過部材300とによって、表示デバイス100の表示部101に塵やほこりが付着することが抑制される。また、図1(b)に示されるように、本実施形態において、外囲部材200のz方向の一方の端部に表示デバイス100が配され、他方の端部に光透過部材300が配される。このため、本実施形態において、表示デバイス100と光透過部材300との間に、外囲部材200が配されている。
接眼光学系20は、表示デバイス100の表示部101に表示された画像を拡大する。接眼光学系20は、複数のレンズ410を鏡筒部材420で一体化させたユニットでありうる。接眼光学系20を光軸の方向であるz方向に移動させ、接眼光学系20の表示デバイス100に対する間隔を変化させることによって、観察者の視力に合わせた視度調整を行う機構が設けられてもよい。電子ビューファインダ700の筐体500を構成する外囲部材200と鏡筒部材420とは、図1(a)に示されるように、別々に形成され、接着剤などの結合部材を用いて結合されていてもよい。しかしながら、これに限られることはなく、筐体500を構成する外囲部材200と鏡筒部材420とが、一体的に形成されていてもよい。
カバー部材30は、レンズ410にキズが付くのを防止し、また、電子ビューファインダ700内の防塵防滴性能を向上させるために設けられる。カバー部材30が接眼部とされてもよい。また、カバー部材30上にアイカップと呼ばれる接眼部から余分な外光が入ることを抑制するゴムやプラスチックなどによって構成される外光抑制部材が設けられ、外光抑制部材が接眼部として機能してもよい。
次に、本実施形態による電子ビューファインダ700の製造方法について説明する。ここでは、表示素子110として有機EL表示素子を用いた場合について述べる。つまり、表示デバイス100が、有機EL表示デバイスである場合について説明する。
まず、シリコンなどの半導体を用いた基板の主面103の側に、表示素子110を駆動するためのトランジスタ、キャパシタなどの半導体素子が形成される。半導体素子上には、絶縁層および配線パターン層などが順次形成され、同時に基板の表示部101外側の周辺部102には外部接続端子などが形成される。次いで絶縁層に設けられたビアを介して配線パターン層と電気的に接続された画素電極が画素毎に設けられる。画素電極は基板の主面103における表示部101に形成される。画素電極上に白色の有機EL発光層が形成され、有機EL発光層の上には、透明電極、封止層、カラーフィルタがこの順で積層形成される。その後、表示デバイス100と外部電源などを電気的に接続するためのフレキシブル配線基板(FPC)が、表示デバイス100に設けられた外部接続端子に異方性導電樹脂を介して接合されることで表示デバイス100が完成しうる。
外囲部材200は、例えば、射出成型法によって形成される。本実施形態において、外囲部材200を構成する樹脂に液晶ポリマーを用い、外囲部材200の側壁部210および重複部220は一体成型で形成した。成型条件は、例えば、樹脂温度350℃、金型温度130℃、射出圧力100MPaとすることができる。
次いで、表示デバイス100の主面103に外囲部材200を覆い被せ、表示デバイス100の主面103と外囲部材200の重複部220とを当接させる。その後、表示デバイス100と外囲部材200との隙間にエポキシ系の接着剤を注入し、表示デバイス100と外囲部材200とが結合される。次に、外囲部材200の表示デバイス100が配される端部とは反対側の端部に表示デバイス100の主面103と対向するように光透過部材300としてガラス基板を設置し、エポキシ系の接着剤にて接着する。光透過部材300において、面301および面302の両面、または、面301または面302の何れか一方の面が、反射防止膜で覆われていてもよい。反射防止膜が面301および面302の少なくとも一方に形成されることによって、表示光の反射を抑制することが可能となる。以上の工程をもって、表示モジュール10が完成する。
次に、表示モジュール10の上に接眼光学系20が設置される。ここで、本明細書において、「上」方向とは、図1(a)、1(b)に示されるz方向の矢印の方向を示す。したがって、本明細書において、接眼光学系20は、表示モジュール10の「上」に配されると表現される。本実施形態において、接眼光学系20は、表示デバイス100の表示部101と重なるように配される3つのレンズ410の組み合わせによって構成される。しかしながら、接眼光学系20に配されるレンズ410の数は、3つに限られることはなく、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。接眼光学系20に求められる性能に応じて、適宜レンズの枚数を選択すればよい。接眼光学系20は、複数のレンズ410と、複数のレンズ410を保持するための鏡筒部材420と、を含む。本実施形態において、筐体500を構成する鏡筒部材420は、表示デバイス100の主面103に対する正射影において、周辺部102の少なくとも一部と重なる遮光部430を含む。したがって、接眼光学系20のレンズ410は、表示モジュール10からの表示画像が透過する部分401と、遮光部430が重なっており表示画像が透過しない部分402と、が含まれる。遮光部430は、図1(a)、1(b)に示されるように、鏡筒部材420と一体的に形成されていてもよいし、別々に形成され組み立てられていてもよい。また、本実施形態において、表示デバイス100の主面103と接眼光学系20とのz方向における距離は、接眼光学系20の焦点距離とほぼ等しくなるように、表示モジュール10との高さ調整を行った。ここで、遮光部430は、図1(a)に示されるように、複数のレンズ410のうち表示デバイス100の主面103に最も近い位置に配されるレンズ410に近接して配されていてもよい。また、図1(b)に示されるように、遮光部430は、表示デバイス100の主面103に最も近い位置に配されるレンズ410のうち主面103と対向する下面とは反対側の上面に接するように配されていてもよい。この場合、遮光部430によってレンズ410が保持されていてもよい。遮光部430は、図1(a)、1(b)に示されるように、レンズ410の外縁部を覆うように配されうる。
また、遮光部430は、鏡筒部材420が配される位置(高さ)に配されることに限られることはない。遮光部430は、後述する位置関係が満たされる範囲において、外囲部材200と一体的に形成されていてもよいし、別々に形成され遮光部430が外囲部材200に組み付けられていてもよい。つまり、外囲部材200と鏡筒部材420とによって構成される筐体500が、遮光部430を備えているといえる。筐体500を構成する外囲部材200と鏡筒部材420とのそれぞれの形状などに応じて、適当な位置(高さ)に遮光部430が配されればよい。ここで、図1(a)、1(b)に示されるように、筐体500は、表示デバイス100の主面103に対する正射影において、周辺部102と重なるように配される重複部220と遮光部430とを備えている。重複部220および遮光部430は、ともに筐体500から表示デバイス100の一部を覆うように突出するが、例えば、周辺部102と遮光部430との距離は、周辺部102と重複部220との間の距離よりも大きいことからも区別可能である。
次いで、接眼光学系20の上方に光を透過し、レンズ410を保護するカバー部材30が設置されることによって、図1(a)に示される本実施形態の電子ビューファインダ700が完成する。本実施形態において、カバー部材30は、接眼光学系20を構成する鏡筒部材420によって、表示モジュール10の上に支持される。しかしながら、これに限られることはなく、表示モジュール10の外囲部材200の側壁部210などによって、レンズ410やカバー部材30が支持されていてもよい。換言すれば、外囲部材200と鏡筒部材420とを含む筐体500によって、レンズ410やカバー部材30が支持される。
ここで、本実施形態の筐体500のうち外囲部材200の重複部220と、表示部101および筐体500のうち鏡筒部材420の遮光部430(部分402)との位置関係について図2(a)、2(b)を用いて詳述する。図2(a)は、図1(b)に表示部101の端部の発光が、重複部220の辺203で反射する光線を加えた模式図である。図2(b)は、図2(a)に示される領域Bの拡大図である。ここで、辺203は、表示デバイス100の主面103に対する正射影において、重複部220の内縁に配される辺である。重複部220の内縁とは、表示デバイス100の主面103に対する正射影において、重複部220のうち表示部101の中央に最も近い部分である。このため、辺203は、重複部220の表示デバイス100の主面103からz方向に離れて位置する(例えば、主面103に接していない)辺のうち、表示デバイス100の主面103に対する正射影において、表示部101の中央に最も近い辺であってもよい。より具体的に、辺203は、重複部220のうち表示デバイス100の主面103と交差する方向に沿って配された側面202と、重複部220のうち表示デバイス100の主面103に対向する下面とは反対側の上面201と、によって形成される。辺203は、表示デバイス100の主面103に対する正射影において、重複部220のうち表示部101の中央に最も近い辺でありうる。側面202は、表示デバイス100の主面103に対する正射影において、重複部220のうち表示部101の中央に最も近い面でありうる。重複部220の側面202は、表示デバイス100の主面103に対する法線方向(z方向)と平行であってもよい。また、重複部220の側面202は、表示デバイス100の主面103から離れるにつれて表示部101の中央に近づく逆テーパー構造を備えていてもよい。また、重複部220の側面202が、表示デバイス100の主面103から離れるにつれて表示部101の中央から遠ざかるテーパー構造を備える場合を考える。この場合、辺203は、表示デバイス100の主面103に対する正射影において、重複部220の上面201と側面202とによって構成される辺のうち表示部101の中央に最も近い辺でありうる。
表示デバイス100において、実際には表示素子110の上に、封止層やカラーフィルタなどが設けられている場合もあるが、封止層やカラーフィルタの膜厚は、数μm程度であり、ここでは層間界面における屈折の影響は無視できるとみなすこととする。また、上述のように、光透過部材300の両面には反射防止膜が設けられていることとし、光透過部材300における面301、302での屈折も無視できるとみなしている。また、表示モジュールに最も近いレンズ410の下面411での屈折についても、z方向における重複部220からレンズ410の下面411までの距離に対して、レンズ410の厚さは十分に小さいため、無視できるとみなす。
まず、図2(b)に示されるように、表示部101の端部からの発光の成分E1が、表示デバイス100の主面103の法線Vに対して角度θ1で表示デバイス100の主面103から出射する場合を考える。ここで法線Vの方向は、z方向と平行である。成分E1は、重複部220の辺203に当り、上方(接眼光学系20の方向)へ正反射する。重複部220の辺203は、図2(b)に示されるように、重複部220の側面202(内縁)が、z方向に平行な面を有する場合、重複部220の内縁における表示デバイス100からz方向に最も離れた点を指すことになる。ここで、重複部220の辺203で正反射した発光の成分を成分E2とする。成分E2は、z方向と直交するx方向に対して、角度θ2=(90-θ1)をもち、接眼光学系20へ入射する。成分E2が、レンズ410における部分401を通過すると、観察者側へ発光の成分E2が伝搬し、重複部220の辺203が光って視認されてしまう。一方、成分E2が、遮光部430(換言すると、レンズ410における部分402)に入射するように設計されていれば、重複部220の辺203が光って視認されることはない。図2(b)に示されるように、表示デバイス100の主面103に対する正射影において、表示部101の外縁から辺203までの長さをX[mm]とする。換言すると、x方向と平行な表示部101の端部から重複部220の辺203までの長さをX[mm]とする。この長さXの値を大きくし、重複部220を表示部101から十分遠ざければ、重複部220の辺203での反射を抑制することができる。しかしながら、Xの値を大きくした場合、周辺部102の回路素子や配線による外光反射が大きくなり、電子ビューファインダ700の表示品質が低下する恐れがある。このため、Xの値は、適切な値に設定する必要がある。
ここで、図2(a)、2(b)に示される長さX以外の長さY、L、Hについても、以下のように定義する。長さY[mm]は、表示デバイス100の主面103に対する法線方向(z方向)において、表示デバイス100の主面103から重複部220の辺203までの長さ(高さ)である。長さL[mm]は、表示デバイス100の主面103に対する正射影において、重複部220辺203から遮光部430の内縁のうち重複部220の辺203と表示部101の中央を介して対向する位置に配される辺403までの長さである。遮光部430が、図2(a)に示されるようにレンズ410よりも上に配される場合、辺403は、遮光部430の内縁のうち下側の辺でありうる。また、遮光部430が、レンズ410よりも上に配される場合、辺403は、遮光部430の内縁のうち上側の辺でありうる。長さH[mm]は、表示デバイス100の主面103に対する法線方向において、重複部220の辺203から遮光部430の辺403までの長さ(高さ)である。
本実施形態において、X、Y、L、Hの関係を考慮することによって、最低限必要な長さXの値が算出することができることを以下に示す。表示素子110が有機EL表示素子の場合、有機ELを用いた発光素子の構造によって出射角度分布は異なるが、正面(法線Vの方向)における輝度(発光強度)が最も強くなるように、表示素子110が設計されることが多い。また、発光層から表示デバイス100の表面(主面103)までの封止層などの界面での全反射による光の閉じ込めも考慮すると、法線Vからの角度θ1が大きくなるほど、表示素子110から出射される光の輝度は小さくなるのが一般的である。特に、電子ビューファインダのように、表示画像を対向する接眼光学系20を通して観察する使用方法において、横方向から表示デバイス100を観察することは少ない。このため、表示素子110は、法線Vからの角度が所定の角度よりも大きな角度で出射される光の成分が少なくなるように設計されうる。より具体的には、例えば、この所定の角度を45°とし、θ1≧45°の角度を有する発光成分の比率は、θ1≦45°の角度を有する発光成分の比率に比べて非常に小さくなるように設計される。したがって、比率が大きいθ1≦45°の角度を有する発光成分を重要視し、まず、θ1≦45°の発光の成分E1が重複部220に入射しないようにXの値を設定してもよい。つまり、表示部101の端部から出射される光のうち表示デバイス100の主面103の法線から所定の角度未満(例えば、45°未満。)の角度を有する光は、重複部220(辺203および側面202)に入射せずに接眼光学系20のレンズ410に入射するように設計する。また、X=Yとすると、θ1=45°の光が、重複部220の辺203に入射し、X≧Yに設定すると、少なくともθ1<45°の光が、重複部220へ入射することを抑制できることがわかる。ここでは、表示素子110から出射される光の閉じ込めを考慮した「所定の角度」を法線Vから45°として説明するが、これに限られることはない。例えば、「所定の角度」は、30°~60°の範囲であってもよく、表示デバイス100や接眼光学系20の仕様などによって適宜選択すればよい。
次に、比率の小さいθ1≧45°の角度を有する発光成分については、θ2≦45°となり、H≧Lに設定することで、θ2≦45°の反射角を持つ成分E2が、遮光部430に入射する。つまり、表示部101から出射される光のうち表示デバイス100の主面103の法線から所定の角度以上(例えば、45°以上。)の角度を有し重複部220(辺203および側面202)で反射する光は、接眼光学系20の遮光部430に入射する。このため、観察者が重複部220の辺203における反射を視認することが抑制される。以上のように、X≧YおよびH≧Lになるようにそれぞれの値を設定することによって、0°≦θ1≦90°の全ての発光成分の重複部220の辺203での反射を、観察者が視認することを抑制できる。重複部220の辺203が、重複部220の内縁における表示デバイス100からz方向に最も離れた点として説明した理由は、重複部220の内縁において表示デバイス100からz方向に最も離れた点が、最も発光の成分E1の入射角θ1が小さくなるためである。このため、角度θ1の値が小さい光が入射する可能性が高く、また、重複部220の辺203で反射した光が接眼光学系20の光を透過するレンズ410の部分401に入射しやすいためである。
上述のように、重複部220は、表示部101の外縁から長さX、離れて配される。このため、周辺部102のうち表示部101の外縁から長さXの領域は、重複部220によって覆われていない状態となる。周辺部102における外光反射による電子ビューファインダ700の表示品質の低下を抑制するために、表示デバイス100の主面103に対する正射影において、周辺部102のうち重複部220が重なっていない部分が、反射抑制層104に覆われていてもよい。反射抑制層104は、例えば、表示部101に配されるカラーフィルタ層105を周辺部102まで設けてもよい。反射抑制層104層は、表示部101に配されるカラーフィルタ層105と同様の複数色の配置パターンであってもよいし、カラーフィルタ層105のうち何れか単色のみをベタパターンとして配置してもよい。つまり、反射抑制層104が、カラーフィルタ層105に配されるカラーフィルタと同じ材料を用いた層を含んでいてもよい。また、反射抑制層104は、カラーフィルタ層105とは別の材料を用いて形成されてもよい。
次に、表示デバイス100の最表面にガラス板やプラスチック板など、光学的に無視できない膜厚(概ね50μm以上)を有する保護層120が設けられている場合について、図3(a)、3(b)を用いて詳述する。
図3(a)に示されるように、表示素子110が配された表示デバイス100の上に、保護層120が配されている。保護層120は、周辺部102において、外部接続端子(不図示)などの上からは除かれうる。図3(a)に示される領域Cの拡大図が、図3(b)に示されている。図3(b)に示されるように、表示デバイス100の主面103に対する法線方向(z方向)において、保護層120の主面103と対向する下面121とは反対側の上面122から重複部220の辺203までの長さ(高さ)をY1[mm]、保護層120の厚さをY2[mm]とする。また、保護層120の屈折率はn(1よりも大きい)とする。このとき、表示部101の端部からの発光の成分E1は、表示デバイス100の主面103の法線Vに対して角度θ1で保護層120と空気の界面(つまり、保護層120の上面122。)に入射した光は、保護層120と空気との屈折率差によって、屈折角θ1’≧入射角θ1の関係で屈折する。屈折して空気中に出射した発光の成分を成分E1’とすると、図3(b)に示すように成分E1’は角度θ1’で重複部220の辺203に入射し、反射角θ2=(90-θ1’)で上方(接眼光学系20の方向)に正反射する。ここで、上述のX、Y、Y1、Y2、L、Hを用いて、それぞれの関係を整理すると、
θ2=arctan(H/L)から、θ1’=90-arctan(H/L)となる。
一方、発光の成分E1の角度θ1と発光の成分E1’の角度θ1’とは、スネルの法則から、
sinθ2/sinθ1=nとなり、
θ1=arcsin{(sinθ2)/n}
=arcsin[sin{90-arctan(H/L)}/n]
で表せる。
ここで、上述の長さXのうち光が保護層120の中を通る長さをX2[mm]、光が空気中を通る長さをX1[mm]とすると、
X2/Y2=tanθ1
=tan〔arcsin[sin{90-arctan(H/L)}/n]〕
X1/Y1=tanθ2
=tan{90-arctan(H/L)}
となり、
X=X1+X2
=Y1tan{90-arctan(H/L)}
+Y2tan〔arcsin[sin{90-arctan(H/L)}/n]〕
となる。よって、
X≧Y1tan{90-arctan(H/L)}
+Y2tan〔arcsin[sin{90-arctan(H/L)}/n]〕
の関係を満たすように、保護層120の膜厚である厚さY2や屈折率nに応じて、X、Y1、H、Lを設定することで、重複部220(辺203および側面202)での反射光が、レンズ410の光を透過する部分401を通過することが抑制され、遮光部430に入射する。これによって、観察者が表示部101から出射され重複部220の内縁で反射した光を視認することが抑制される。
例えば、保護層120に屈折率n=1.5、膜厚Y2=0.7mmのガラス板を用い、保護層120の面122から重複部220の辺203までのz方向の長さY1=0.5mm、L=Hに設定する場合を考える。この場合、上述の式からX≧0.874mmあれば、重複部220の辺203での反射による電子ビューファインダ700の表示品質の低下を抑制できることが導出される。
一般的に、表示デバイス100のサイズに依存するLや、レンズ410の光学性能に依存するHについて、設計上の制約が大きく、値の変更が難しい場合が多い。このため、LおよびHの値を固定すると、上述の式からわかるようにY1(重複部220の厚さに依存)やY2(保護層120の厚さに依存)の値を小さくすることによって、Xの値を小さくすることができる。Y1の値を小さくするために重複部220を全体的に薄くした場合、重複部220の剛性が不足し、表示デバイス100を重複部220に当接させる際に、重複部220が変形してしまう可能性がある。そこで、図4に示すように、重複部220の表示デバイス100と対向する面とは反対側の上面201’が、表示部101から離れるにしたがって、前記1面からの距離が段階的に大きくなる階段形状を備えていてもよい。このとき、図4に示されるように、表示デバイス100の主面103に対する法線方向(z方向)において、階段形状のうち重複部220の内縁の側面202によって構成される段差が、他の段差よりも小さくてもよい。重複部220の内縁の側を厚さが薄い階段形状とすることで、重複部220全体としての剛性を確保しつつ、Xの値を小さくすることができ、周辺部102における外光反射による電子ビューファインダ700の表示品質の低下を抑制することが可能となる。
図5は、本実施形態の電子ビューファインダ700を備える撮像装置の一例を表す模式図である。カメラである撮像装置1000は、上述の電子ビューファインダ700、シャッターボタン1001、背面ディスプレイ1002、操作部1003、外装部材1004を含む。電子ビューファインダ700の表示部101には、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示などが表示されてもよい。環境情報は、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性などの情報であってもよい。本例では電子ビューファインダ700を内蔵した撮像装置1000を例示しているが、外付けの電子ビューファインダ700を撮像装置1000に着脱可能としてもよい。
また、撮像装置1000は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、光学部を通過した光を受光する、外装部材1004内に収容されている撮像素子1005に結像する。光学部は、レンズを透過した光を反射するミラーを有していてもよいが、撮像装置1000はノンレフレックス(ミラーレス)方式のカメラであってもよい。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。複数のレンズは撮像装置1000から着脱可能な交換レンズあってもよいし、そうでなくてもよい。撮像素子が撮像する画像が、電子ビューファインダ700の表示部101に表示されうる。本実施形態の電子ビューファインダ700は、レンズ交換式のミラーレスカメラに好適である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
100:表示デバイス、101:表示部、102:周辺部、110:表示素子、220:重複部、410:レンズ、430:遮光部、500:筐体、700:電子ビューファインダ

Claims (18)

  1. 表示部および前記表示部の周囲に位置する周辺部を含む第1面を備える表示デバイスと、前記第1面に対向するレンズと、前記表示デバイスと前記レンズとの間の空間を取り囲む筐体と、を含む表示装置であって、
    前記筐体は、前記第1面に対する正射影において、前記周辺部の少なくとも一部と重なる重複部を含み、
    前記第1面に対する正射影における前記重複部の内縁は、前記第1面と交差する方向に沿って配された第2面と、前記第2面と前記重複部のうち前記第1面に対向する面とは反対側の第3面とによって形成される第1辺と、を備え、
    前記筐体は、前記第1面に対する正射影において、前記周辺部の少なくとも一部と重なり、かつ、前記第2面と前記表示部を介して対向する遮光部を含み、
    前記周辺部と前記遮光部との間の距離は、前記周辺部と前記重複部との間の距離よりも大きく、
    前記表示部の端部から出射される光のうち前記第1面の法線から45°未満の角度を有する光は、前記重複部に入射せずに前記レンズに入射し、かつ、前記表示部の端部から出射される光のうち前記第1面の法線から45°以上の角度を有し前記重複部で反射する光は、前記遮光部に入射することを特徴とする表示装置
  2. 前記第1面に対する正射影において、前記表示部の外縁から前記第1辺までの長さをX[mm]とし、
    前記第1面に対する法線方向において、前記第1面から前記第1辺までの長さをY[mm]としたとき、
    X≧Yであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置
  3. 前記第1面に対する正射影において、前記第1辺から前記遮光部の内縁のうち前記第1辺と前記表示部の中央を介して対向する位置に配される第2辺までの長さをL[mm]とし、
    前記第1面に対する法線方向において、前記第1辺から前記第2辺までの長さをH[mm]としたとき、
    H≧Lであることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置
  4. 表示部および前記表示部の周囲に位置する周辺部を含む第1面と前記第1面を覆うように配された保護層とを備える表示デバイスと、前記第1面に対向するレンズと、前記表示デバイスと前記レンズとの間の空間を取り囲む筐体と、を含む表示装置であって、
    前記筐体は、前記第1面に対する正射影において、前記周辺部の少なくとも一部と重なる重複部を含み、
    前記第1面に対する正射影における前記重複部の内縁は、前記第1面と交差する方向に沿って配された第2面と、前記第2面と前記重複部のうち前記第1面に対向する面とは反対側の第3面とによって形成される第1辺と、を備え、
    前記筐体は、第1面に対する正射影において、前記周辺部の少なくとも一部と重なり、かつ、前記第2面と前記表示部を介して対向する遮光部を含み、
    前記周辺部と前記遮光部との間の距離は、前記周辺部と前記重複部との間の距離よりも大きく、
    前記第1面に対する正射影において、前記表示部の外縁から前記第1辺までの長さをX[mm]、前記第1辺から前記遮光部の内縁のうち前記第1辺と前記表示部の中央を介して対向する位置に配される第2辺までの長さをL[mm]とし、
    前記第1面に対する法線方向において、前記保護層の前記第1面と対向する面とは反対側の面から前記第1辺までの長さをY1[mm]、前記保護層の厚さをY2[mm]、前記第1辺から前記第2辺までの長さをH[mm]とし、
    前記保護層の屈折率をnとしたとき、
    X≧Y1tan{90-arctan(H/L)}
    +Y2tan〔arcsin[sin{90-arctan(H/L)}/n]〕
    であることを特徴とする表示装置
  5. 前記第2面が、前記第1面に対する法線方向と平行であることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の表示装置
  6. 前記第3面が、前記第1面と平行であることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の表示装置
  7. 前記筐体は、前記表示部と重なるように配される複数のレンズを保持し、
    前記遮光部が、前記複数のレンズのうち前記第1面に最も近い位置に配される前記レンズに近接して配されることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の表示装置
  8. 前記遮光部が、前記第1面に最も近い位置に配される前記レンズのうち前記第1面と対向する面とは反対側の面に接するように配されることを特徴とする請求項に記載の表示装置
  9. 前記遮光部が、前記第1面に最も近い位置に配される前記レンズの外縁部を覆うように配されることを特徴とする請求項またはに記載の表示装置
  10. 前記第3面が、前記表示部から離れるにしたがって、前記第1面からの距離が段階的に大きくなる階段形状を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の表示装置
  11. 前記第1面に対する法線方向において、前記階段形状のうち前記第2面によって構成される段差が、他の段差よりも小さいことを特徴とする請求項10に記載の表示装置
  12. 前記第1面に対する正射影において、前記周辺部のうち前記重複部が重なっていない部分が、反射抑制層に覆われることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示装置
  13. 前記表示部の上に、カラーフィルタが配され、
    前記反射抑制層が、前記カラーフィルタと同じ材料を用いた層を含むことを特徴とする請求項12に記載の表示装置
  14. 前記表示デバイスが、有機EL表示デバイスであることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の表示装置
  15. 前記第1面に対する法線方向において、前記レンズと前記第1面との間に、前記第1面を覆うように光透過部材が配されることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載の表示装置
  16. 前記光透過部材は、前記第1面と対向する第4面と、前記第4面とは反対側かつ前記レンズと対向する第5面を含み、
    前記第4面および前記第5面が、反射防止膜で覆われていることを特徴とする請求項15に記載の表示装置
  17. 前記重複部のうち少なくとも一部が、前記第1面と当接して配されることを特徴とする請求項1乃至16の何れか1項に記載の表示装置
  18. 請求項1乃至17の何れか1項に記載の表示装置と、前記表示装置に表示する画像を撮像する撮像素子と、を備える撮像装置。
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