JP7323853B1 - はんだ合金、はんだペースト、はんだボール、はんだプリフォーム、はんだ継手、車載電子回路、ecu電子回路、車載電子回路装置、およびecu電子回路装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液相線温度と固相線温度が所定の温度範囲内であり、熱伝導性に優れ、耐ヒートサイクル性に優れるはんだ合金、はんだペースト、はんだボール、はんだプリフォーム、はんだ継手、車載電子回路、ECU電子回路、車載電子回路装置、およびECU電子回路装置を提供する。【解決手段】はんだ合金は、質量%で、Ag:3.0~3.8%、Cu:0.1~1.0%、Bi:0%超え0.9%以下、Sb:1.0~7.9%、Fe:0.020~0.040%、Co:0.001~0.020%、および残部がSnからなる合金組成を有する。好ましくは、はんだ合金は、更に、質量%で、Ge、Ga、As、Pd、Mn、In、Zn、Zr、およびMgの少なくとも1種を合計で0.1%以下を含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、はんだ合金、はんだペースト、はんだボール、はんだプリフォーム、はんだ継手、車載電子回路、ECU電子回路、車載電子回路装置、およびECU電子回路装置に関する。
自動車には、エンジン、パワーステアリング、ブレーキ等を電気的に制御する機器に使用される車載電子回路が搭載されている。車載電子回路は、自動車の走行にとって非常に重要な保安部品となっている。特に、燃費向上のためにコンピューターで車を制御する電子回路のECU(Engine Control Unit)と呼ばれる車載電子回路は、長期間に渡って故障がなく安定した状態で稼働できるものでなければならない。このECUは、一般的にエンジン近傍に設置されているものが多く、使用環境としては、かなり厳しい条件となっている。
このような車載電子回路が設置されるエンジン近傍は、エンジンの回転時には125℃以上という非常な高温となる。一方、エンジンの回転を止めたときには外気温度、例えば北米やシベリヤなどの寒冷地であれば冬季に-40℃以下という低温になる。従って、車載電子回路は、エンジンの運転とエンジン停止の繰り返しにより、少なくとも-40℃~+125℃というヒートサイクル環境に曝される。
車載電子回路は、電子部品がプリント基板にはんだ付けされた電子回路である。電子部品の線熱膨張係数とプリント基板の線熱膨張係数とは大きく異なる。そして、車載電子回路がヒートサイクル環境に曝されると、電子部品とプリント基板がそれぞれ熱膨張・収縮を繰り返す。この繰り返しにより、一定の熱変位が電子部品とプリント基板とを接合しているはんだ付け部(以下、「はんだ継手」という。)で繰り返し発生する。このため、ヒートサイクル環境では、応力がはんだ継手に加わり続け、最終的にははんだ継手が破損してしまう。
はんだ継手が完全に破損しない場合であっても、部分的に破損すると電子回路の抵抗値が上昇して誤動作の原因になり得る。自動車に搭載されているECUの誤動作は、重大な事故につながりかねない。このように、ECUの誤動作を回避するためには、耐ヒートサイクル性の向上が特に重要である。
そこで、例えば特許文献1には、高い耐ヒートサイクル性を備えるはんだ合金として、Sn-Ag-Cu-Bi-Sb-Co-Feはんだ合金が開示されている。このはんだ合金は、耐ヒートサイクル性に加えて、音響品質にも優れる。
特許第6889387号公報
特許文献1には、接合界面に析出する化合物がはんだ合金中に遊離することを抑制するために、Niを含有しない合金組成が開示されている。ここで、特許文献1に記載のはんだ合金は、-55℃から150℃までのヒートサイクルを3000回繰り返すヒートサイクル試験により耐ヒートサイクル性が評価されている。しかしながら、耐ヒートサイクル性の過剰スペックにともない、はんだ継手として必要な熱伝導性が劣化してはならない。
近年は、電子部品の小型化が進み、高性能化により大電流が通電される。電子部品の誤動作を抑制する観点から、電子部品の放熱は電子回路にとって大きな問題となっている。電子部品の放熱手段としては、ヒートシンクなどを取り付けることなどが挙げられる。ただ、はんだ継手の熱伝導性が改善すれば、大きなヒートシンクを設置せずに電子回路の放熱性が見込まれる。ヒートシンクのサイズが低減すれば、例えば車載電子回路を自動車に搭載する際に、設置の自由度が向上する。更には、はんだ合金の熱伝導性が向上したとしても、溶融はんだの濡れ性が劣ると、そもそもはんだ継手の放熱性が劣ることになるため、高い濡れ性も必要になる。
このように、はんだ継手には、耐ヒートサイクル性の他にも、近年の問題になりつつある熱伝導性の向上が望まれている。特許文献1に記載のはんだ合金は、音響品質に優れるものの、濡れ性に優れ、はんだ継手に必要な特性である熱伝導性の向上のためには、更なる検討が必要である。
そこで、本発明の課題は、液相線温度と固相線温度が所定の温度範囲内であり、濡れ性、および熱伝導性に優れ、耐ヒートサイクル性に優れるはんだ合金、はんだペースト、はんだボール、はんだプリフォーム、はんだ継手、車載電子回路、ECU電子回路、車載電子回路装置、およびECU電子回路装置を提供することである。
本発明者らは、特許文献1に開示されているSn-Ag-Cu-Bi-Sb-Fe-Coはんだ合金において、耐ヒートサイクル性に加えて熱伝導性も向上する組成を検討した。耐ヒートサイクル性と熱伝導性を両立させるため、特許文献1に記載のはんだ合金において、Biの含有量を低減することが着目された。Biは、耐ヒートサイクル性の向上に加えて融点を低下させることもできる。ただ、Biは溶融はんだの凝固時に偏析する性質があり、Biの含有量が多いと、溶融はんだの凝固が阻害されるため、過冷却状態の温度が下がり、溶融はんだは過冷却になると推察される。
過冷却は、平衡状態において凝固する温度で凝固しない状態いう。ここで、Snを主成分とするはんだ合金では、過冷却が発生すると、過冷却状態の温度が低いほどSnの結晶粒は微細になる。これは、過冷却状態の温度が凝固開始温度より遥かに低い温度であるため、極めて短い時間で液体から固体への状態変化が起こるためであると推察される。一方、前述のように、過冷却状態でのSnは液体状態が維持されているため、溶融はんだ中で初晶となる化合物や電極とはんだ合金との接合界面に形成される金属間化合物は、粗大化し脆くなると推察される。
次に、過冷却の発生を抑制しようとすると凝固開始温度を高い温度にする必要がある。このため、Snの結晶粒は大きくなる。これに対して、溶融はんだ中で初晶となる化合物や電極とはんだ合金との接合界面に形成される金属間化合物は、Snの凝固開始温度が高くなるために微細化する。これは、化合物と固体状態のSnとの固相拡散の拡散速度は、化合物と液体状態のSnとの固液拡散の拡散速度より遅く、化合物の成長が抑えられるためであると推察される。特許文献1に記載のはんだ合金のように、BiやSbを含有するはんだ合金では、凝固核として機能するFeやCoを含有することにより過冷却は抑制されるため、化合物に加えてSnの結晶粒も微細になると考えられる。Sn-Ag-Cu-Bi-Sb系はんだ合金における溶融はんだの冷却時の挙動をまとめると、以下の表1のようになる。
Figure 0007323853000002
前述のように、Sn-Ag-Cu-Bi-Sb-Fe-Coはんだ合金において、Biは過冷却状態の温度を低下させるため、過冷却温度の低下を抑制するためには、Biの含有量を低減することが挙げられる。また一般に、はんだ合金は、各構成元素が各々別々に機能するのではなく、すべての構成元素が一体となったときに初めて固有の効果を発揮することができる。そこで、本発明者らは、特許文献1に記載のはんだ合金において、はんだ継手にとって実用上問題ない程度の負荷に相当するヒートサイクル試験に耐え得るとともに、高い熱伝導性を示すはんだ合金について更に検討を進めた。
微細な合金組織は、耐ヒートサイクル性の向上に寄与する。これは、過冷却を抑制すること、および結晶核の増加に寄与する元素を含有することにより達成されると考えられる。ここで、微細な組織は結晶粒界の面積を増大させるため、熱伝導率が低下するとも思われる。しかし、はんだ合金中に析出する化合物の熱伝導率は低い。このため、化合物が多く析出すると、結晶粒界の面積が増加することよりも熱伝導率の低下に大きく寄与する。合金組織としては、微細なSn結晶粒が析出したとしても、化合物の析出量を低減すれば熱伝導性の低下を避けることができる。
ただ、Biの含有量が低減しても、低い熱伝導率の化合物が接合界面に析出するとともにはんだ合金中に遊離すると、熱伝導率が低下する。したがって、Biの含有量を低減しただけでは、効果の両立は達成されない。耐ヒートサイクル性を維持しつつ熱伝導性を向上させるためには、化合物がはんだ継手の接合界面からはんだ合金中に遊離しないようにすることが望ましい。
ここで、遊離とは、ステップソルダリングや時効によりはんだ継手の接合界面に化合物が多く析出した場合、接合界面に析出する化合物がはんだ合金中に移動する現象を表す。遊離は、接合界面の化合物が微細であるほど発生しやすい。このため、特許文献1では、音響品質の観点から、接合界面の化合物を微細にするNiを含有しない合金組成が提案されている。しかしながら、本発明では、熱伝導性の向上を鑑みると、遊離を抑制することに加えて、Bi相の析出量を更に低減することにより、熱伝導性の向上を図る必要がある。
一方で、Sn-Ag-Cu-Bi-Sb-Fe-Coはんだ合金において、耐ヒートサイクル性に寄与する化合物としては、例えばSnSbなどが挙げられる。SnSbが適量であれば、融点の上昇を抑えつつ、高い耐ヒートサイクル性を示すことができる。耐ヒートサイクル性の向上のためには、SnSbなどの化合物の析出が所定量必要となる。
このように、合金組織を鑑みると、耐ヒートサイクル性と熱伝導性は、各々相反する方向性を有するため、従来のはんだ合金ではこれらの効果を同時に発揮することは困難であった。本発明者らは、合金組織の微細化と化合物の析出量の調整が可能なように、Biの含有量を低減した後、その他の添加元素の含有量について総合的に検討した。その結果、各構成元素の含有量が特定の範囲内である場合に、初めて、優れた耐ヒートサイクル性と熱伝導性を同時に発揮することができるとともに、濡れ性にも優れる知見が得られ、本発明は完成した。なお、本発明では、電子回路に関して例示したが、これらの効果を同時に発揮する必要がある用途であれば、これに限定されることはない。
これらの知見により得られた本発明は以下のとおりである。
(1)質量%で、Ag:3.0~3.8%、Cu:0.1~1.0%、Bi:0%超え0.9%以下、Sb:1.0~7.9%、Fe:0.020~0.040%、Co:0.001~0.020%、および残部がSnからなる合金組成を有することを特徴とするはんだ合金。
(2)合金組成は、更に、質量%で、Ge、Ga、As、Pd、Mn、In、Zn、Zr、およびMgの少なくとも1種を合計で0.1%以下を含有する、上記(1)に記載のはんだ合金。
(3)合金組成は下記(1)式~(3)式を満たす、上記(1)または上記(2)に記載のはんだ合金。
0.00018≦Ag×Cu×Sb×Fe×Co≦0.00203 (1)
0.08≦Ag×Cu×Bi≦1.85 (2)
0<Sb×Fe×Co≦0.00139 (3)
上記(1)式~(3)式中、Ag、Cu、Bi、Sb、Fe、およびCoは、各々前記合金組成の含有量(質量%)を表す。
(4)上記(1)または上記(2)に記載のはんだ合金からなるはんだ粉末を有するはんだペースト。
(5)上記(1)または上記(2)に記載のはんだ合金からなるはんだボール。
(6)上記(1)または上記(2)に記載のはんだ合金からなるはんだプリフォーム。
(7)請求項1または2に記載のはんだ合金を有するはんだ継手。
(8)上記(1)または上記(2)に記載のはんだ合金を有することを特徴とする車載電子回路。
(9)上記(1)または上記(2)のはんだ合金を有することを特徴とするECU電子回路。
(10)上記(8)に記載の車載電子回路を備えたことを特徴とする車載電子回路装置。
(11)上記(9)に記載のECU電子回路を備えたことを特徴とするECU電子回路装置。
図1は、実施例32における断面観察の結果を示した画像である。 図2は、比較例15における断面観察の結果を示した画像である。
本発明を以下により詳しく説明する。本明細書において、はんだ合金組成に関する「%」は、特に指定しない限り「質量%」である。
1. はんだ合金
(1) Ag:3.0~3.8%
Agは、はんだ合金の濡れ性を向上させるとともに、AgSnの網目構造が形成されるために耐ヒートサイクル性の向上に寄与する。Agの含有量が3.8質量%を超えると、はんだ合金の液相線温度が高くなり、Sbの再固溶が発生せず、SnSbが微細にならず、耐ヒートサイクル性が低下する。また、粗大なAgSnの析出により、耐ヒートサイクル性および熱伝導性が劣化する。Agの含有量の上限は3.8%以下であり、好ましくは3.6%以下であり、より好ましくは3.5%以下であり、更に好ましくは3.4%以下である。
一方、Ag含有量が3.0%未満であると、AgSnの網目構造が形成されず、AgSnにより熱の伝導にムラが生じてしまい、熱伝導性が低下する傾向がある。また、耐ヒートサイクル性や濡れ性も低下する。Agの含有量の下限は3.0%以上であり、好ましくは3.1%以上であり、より好ましくは3.2%以上であり、更に好ましくは3.3%以上である。
(2) Cu:0.1~1.0%
Cuは、Cuランドに対するCu食われ防止するとともに、優れた熱伝導性や耐ヒートサイクル性を維持し、更に液相線温度を下げることができる。Cuの含有量が1.0%を大幅に超えると、液相線温度が上昇することがある。また、粗大なCuSn化合物が形成されるため、濡れ性が低下し、更には熱伝導率や耐ヒートサイクル性も低下する。Cuの含有量の上限は1.0%以下であり、好ましくは0.9%以下であり、より好ましくは0.8%以下であり、更に好ましくは0.7%以下である。
一方、Cuの含有量が0.1%未満であると、濡れ性が低下する。また、はんだ継手の接合界面から電極のCuがはんだ合金中に拡散し、はんだ合金中にCuSn系化合物が形成されることから、耐ヒートサイクル性および熱伝導性が劣化する。Cuの含有量の下限は0.1%以上であり、好ましくは0.3%以上であり、より好ましくは0.5%以上であり、更に好ましくは0.6%以上である。
(3) Sb:1.0~7.9%
Sbは、ヒートサイクル試験の125℃ではSnに固溶した状態を呈し、温度低下に伴ってSnマトリックス中のSbが徐々に過飽和状態で固溶するようになる。そして、Biが下記範囲内である場合、-40℃ではSnSb化合物として析出する組織を形成する。これにより、本発明に係るはんだ合金は、高温時でははんだ合金の固溶強化がなされ、低温時では析出強化がなされるため、優れた耐ヒートサイクル性を示す。Sbの含有量が7.9%を超える場合には、液相線温度が上昇することがある。また、粗大なSnSb化合物の析出量が多くなり、耐ヒートサイクル性や熱伝導性が低下する。さらに、濡れ性も低下する。これに加えて、はんだ合金の脆化が起こる。Sbの含有量の上限は、7.9%以下であり、好ましくは7.0%以下であり、より好ましくは6.0%以下であり、更に好ましくは5.0%以下であり、特に好ましくは4.0%以下であり、最も好ましくは3.8%以下であり、3.5%以下であってもよく、3.2%以下であってもよい。
一方、Sbの含有量が1.0%未満であると、析出強化が発現せず、固溶強化も不十分になるため、耐ヒートサイクル性が低下する。Sbの含有量の下限は1.0%以上であり、好ましくは1.2%以上であり、より好ましくは1.5%以上であり、更に好ましくは1.8%以上であり、特に好ましくは2.0%以上であり、最も好ましくは2.2%以上であり、2.5%以上、2.8%以上、3.0%以上であってもよい。
(4) Bi:0%超え0.9%以下
Biは、濡れ性の向上、固相線温度や液相線温度の低下、および耐ヒートサイクル性の向上に寄与する。SnSb化合物のSbと置換し、Sbより原子量が多く結晶格子を歪ませる効果が大きいため、耐ヒートサイクル性を向上させることができる。また、Biは、微細なSnSb化合物の形成を妨げることがなく、析出強化型のはんだ合金が維持される。
なお、従来のSn-Ag-Cu-Bi-Sb-Fe-Coはんだ合金では、Biの含有量が1.5%未満では、微細なSnSbの析出量が少ないために耐ヒートサイクル性の向上が見込めない、とされていた。また、従来のはんだ合金では、Biの多量添加によりBi相の析出量が増加し、熱伝導性が低かった。
しかし、はんだ継手には高い熱伝導性が求められているため、実用上問題ない程度の耐ヒートサイクル性を示すことができれば、従来よりも優れたはんだ継手の形成が可能となる。そこで、本発明に係るはんだ合金は、熱伝導性の向上のために化合物の析出量を調整する必要があり、Biの含有量が従来のはんだ合金より少ない。Biの含有量を低減したことによりSnSbの微細化が従来のはんだ合金の状態にまで達成されなくても、本発明に係るはんだ合金は、合金組織の微細化に寄与するFeおよびCoを含有するため、実用上問題ない程度の耐ヒートサイクル性を示すことができる。
Biの含有量が0%を超え、且つ0.9%以下であれば、化合物の析出量が低減するとともにBiの偏析が抑制されるため、耐ヒートサイクル性と高い熱伝導性を示すことができる。また、はんだ合金の延性が向上し、はんだ合金の硬化および脆化を回避することができるため、耐ヒートサイクル性が実用上問題ない程度に維持される。Biを含有しないと、Biの添加効果が発揮されず、濡れ性と耐ヒートサイクル性が劣る。Biの含有量が1.5%以上にまで増加すると、Bi相の析出量が増加するため、熱伝導率が低下する。また、Biの含有量が1.5%を大きく上回ると、過冷却が発生し、固相線温度が低下する。Biの含有量の上限は0.9%以下であり、好ましくは0.8%以下であり、より好ましくは0.7%以下である。Biの含有量の下限は0%超であり、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは0.2%以上であり、更に好ましくは0.3%以上であり、特に好ましくは0.5%以上である。
(5) Fe:0.020~0.040%
Feは、優れた濡れ性を維持するとともに、溶融はんだの凝固時に凝固核として機能するため、過冷却の抑制によりSn結晶粒が微細になり、また、耐ヒートサイクル性の向上に寄与する。Feの含有量が0.040%を大幅に超えると、液相線温度が上昇することがある。また、濡れ性が劣化する。さらに、粗大なSnFe化合物が析出するため、耐ヒートサイクル性が低下する。液相線温度が上昇する程度にまでにFeの含有量が多いと、熱伝導率が低下する。Feの含有量の上限は0.040%以下であり、好ましくは0.030%以下である。
一方、Feの含有量が0.020%未満であると、過冷却が抑制されないため、合金組織が微細にならず、耐ヒートサイクル性が劣る。Feの含有量の下限は0.020%以上であり、好ましくは0.025%以上である。
(6) Co:0.001~0.020%
Coは、Feと同様に、優れた濡れ性を維持するとともに、溶融はんだの凝固時に凝固核として機能するため、過冷却の抑制によりSn結晶粒が微細になり、また、耐ヒートサイクル性が向上する。Coの含有量が0.020%を超えると、粗大なSnCo化合物が析出するため、耐ヒートサイクル性が低下する。液相線温度が上昇する程度にまでにFeの含有量が多いと、熱伝導率が低下する。Coの含有量の上限は0.020%以下であり、好ましくは0.010%以下であり、より好ましくは0.009%以下である。
一方、Coの含有量が0.001%未満であると、過冷却が抑制されないため、合金組織が微細にならず、耐ヒートサイクル性が劣る。Coの含有量の下限は0.001%以上であり、好ましくは0.003%以上であり、より好ましくは0.005%以上であり、更に好ましくは0.008%以上である。
(7) (1)式~(3)式
0.00018≦Ag×Cu×Sb×Fe×Co≦0.00203 (1)
0.08≦Ag×Cu×Bi≦1.85 (2)
0<Sb×Fe×Co≦0.00139 (3)
上記(1)式~(3)式中、Ag、Cu、Bi、Sb、Fe、およびCoは、各々合金組成の含有量(質量%)を表す。
本発明に係るはんだ合金を構成する元素は、少なくとも耐ヒートサイクル性および熱伝導性のいずれかに寄与する。(1)式は、Snとの化合物を形成する添加元素のバランスを表す式である。本発明において、化合物は、耐ヒートサイクル性および熱伝導性に寄与するため、いずれかの化合物が多量に析出しない方がよく、各効果が発揮されやすい析出量に調整される。各構成元素が上記範囲内であるとともに(1)式を満たすことにより、化合物が更にバランスよく析出されることから、固相線温度および液相線温度が適正であり、更に、過冷却が抑制されることにより耐ヒートサイクル性が優れ、熱伝導性にも優れる。
(2)式は、いずれも濡れ性に寄与する元素のバランスを表す式である。Ag、Cu、およびBiはいずれも濡れ性に寄与するが、各構成元素が上記範囲内であるとともにいずれかの元素の含有量が少なすぎないと、優れた濡れ性が発揮される。(3)式も、(2)式と同様に、いずれも濡れ性に寄与する元素のバランスを表す式である。Sb、Fe、およびCoはいずれも濡れ性に寄与するが、各構成元素が上記範囲内であるとともにいずれかの元素の含有量が多すぎないと、更に優れた濡れ性が発揮される。(1)式~(3)式は、本発明の好ましい態様であるため、これらの式を満たさない合金組成であっても、前述のように各構成元素の含有量が適正であれば、実用上問題ない程度の効果は得られる。これらの式を同時に満たす合金組成では、本発明におけるすべての評価が最高水準に達する。
(1)式の上限は好ましくは0.00203以下であり、より好ましくは0.00200以下であり、更に好ましくは0.00197以下であり、特に好ましくは0.00190以下であり、最も好ましくは0.00181以下であり、0.00168以下、0.00167以下、0.00152以下、0.00143以下、0.00133以下、0.00130以下、0.00126以下、0.00119以下、0.00114以下であってもよい。(1)式の下限は好ましくは0.00018以上であり、より好ましくは0.00019以上であり、更に好ましくは0.00020以上であり、特に好ましくは0.00048以上であり、最も好ましくは0.00057以上であり、0.00071以上、0.00086以上、0.00095以上、0.00105以上であってもよい。
(2)式の上限は好ましくは1.85以下であり、より好ましくは1.33以下であり、更に好ましくは1.19以下であり、更により好ましくは1.09以下であり、特に好ましくは1.05以下である。(2)式の下限は好ましくは0.08以上であり、より好ましくは0.17以上であり、更に好ましくは0.24以上であり、特に好ましくは0.41以上であり、最も好ましくは0.48以上である。
(3)式の上限は好ましくは0.00139以下であり、より好ましくは0.00120以下であり、更に好ましくは0.00100以下であり、更により好ましくは0.00097以下であり、特に好ましくは0.00084以下であり、最も好ましくは0.00080以下である。(3)式の下限は0超えであり、好ましくは0.00008以上であり、より好ましくは0.00020以上であり、更に好ましくは0.00024以上であり、特に好ましくは0.00030以上であり、最も好ましくは0.00036以上であり、0.00040以上、0.00044以上、0.00048以上、0.00050以上、0.00056以上、0.00060以上、0.00064以上、0.00070以上、0.00076以上であってもよい。
(8) 質量%で、Ge、Ga、As、Pd、Mn、In、Zn、Zr、およびMgの少なくとも1種を合計で0.1%以下
本発明に係るはんだ合金は、本発明の効果が損なわれない範囲において、任意元素を含有してもよい。これらの任意元素は、合計で0.1%以下であれば本発明の効果が維持される。下限は特に限定されないが、0.001%以上であればよい。
(9) 残部:Sn
本発明に係るはんだ合金の残部はSnである。前述の元素の他に不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物を含有する場合であっても、前述の効果に影響することはない。なお、Niははんだ継手の接合界面に析出する化合物の遊離を促進するため、含有しない方がよい。
本発明に係るはんだ合金は、部材の食われ、位置ずれ、再酸化、ボイドの発生などの実装性が低下しないような温度域であることが望ましい。本発明に係るはんだ合金の固相線温度は200℃以上であることが好ましく、210℃以上であることがより好ましい。上限は特に限定されないが、液相線温度以下であればよく、250℃以下であればよい。液相線温度は、はんだ合金の溶融温度が高くならない方がよく、250℃以下であればよく、好ましくは230℃以下である。下限は固相線温度以上であればよい。
2. はんだペースト
本発明に係るはんだペーストは、上述の合金組成からなるはんだ粉末とフラックスとの混合物である。本発明において使用するフラックスは、常法によりはんだ付けが可能であれば特に制限されない。したがって、一般的に用いられるロジン、有機酸、活性剤、そして溶剤を適宜配合したものを使用すればよい。本発明において金属粉末成分とフラックス成分との配合割合は特に制限されないが、好ましくは、金属粉末成分:80~90質量%、フラックス成分:10~20質量%である。
3. はんだボール
本発明に係るはんだ合金は、はんだボールとして使用することができる。はんだボールとして使用する場合は、本発明に係るはんだ合金を、当業界で一般的な方法である滴下法を用いてはんだボールを製造することができる。また、はんだボールを、フラックスを塗布した1つの電極上にはんだボールを1つ搭載して接合する等、当業界で一般的な方法で加工することによりはんだ継手を製造することができる。はんだボールの粒径は、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上であり、特に好ましくは30μm以上である。はんだボールの粒径の上限は好ましくは3000μm以下であり、より好ましくは1000μm以下であり、さらに好ましくは800μm以下であり、特に好ましくは600μm以下である。
4. はんだプリフォーム
本発明に係るはんだ合金は、プリフォームとして使用することができる。プリフォームの形状としては、ワッシャ、リング、ペレット、ディスク、リボン、ワイヤー等が挙げられる。
5. はんだ継手
本発明に係るはんだ継手は、少なくとも2つ以上の被接合部材の接合に好適に使用される。被接合部材とは、例えば、素子、基板、電子部品、プリント基板、絶縁基板、ヒートシンク、リードフレーム、電極端子等を用いる半導体及び、パワーモジュール、インバーター製品など、本発明に係るはんだ合金を用いて電気的に接続されるものであれば特に限定されない。
本発明に係るはんだ合金を用いた接合方法は、例えばリフロー法を用いて常法に従って行えばよい。フローソルダリングを行う場合のはんだ合金の溶融温度は概ね液相線温度から20℃程度高い温度でよい。また、本発明に係るはんだ合金を用いて接合する場合には、凝固時の冷却速度を考慮した方がさらに合金組織を微細にすることができる。例えば2~3℃/s以上の冷却速度ではんだ継手を冷却する。この他の接合条件は、はんだ合金の合金組成に応じて適宜調整することができる。
6. 車載電子回路、ECU電子回路、車載電子回路装置、ECU電子回路装置
本発明に係るはんだ合金は、これまでの説明からも明らかなように、耐ヒートサイクル性および熱伝導性に優れている。このため、過酷な環境に曝される自動車用、つまり車載用として使用されても、クラックの成長や進展が促進されることはない。したがって、そのような特に顕著な特性を備えていることから、本発明に係るはんだ合金は、自動車に搭載する電子回路のはんだ付けに特に適していることがわかる。
本明細書でいう「耐ヒートサイクル性に優れている」とは、後述する実施例でも示すように-40℃以下+125℃以上というヒートサイクル試験を行っても、3000サイクル後のシェア強度残存率が40%以上を言う。
このような特性は、上記ヒートサイクル試験のような非常に過酷な条件で使用されても、車載電子回路が破断しない、つまり使用不能あるいは誤動作をもたらさないことを意味している。さらに、本発明に係るはんだ合金は、ヒートサイクル経過後のシェア強度残存率に優れている。つまり、長期間使用してもシェア強度等の外力に対する耐性が低下しない。
このように、本発明に係るはんだ合金は、より特定的には、車載電子回路のはんだ付けに用いられ、あるいは、ECU電子回路のはんだ付けに用いられて優れた耐ヒートサイクル性を発揮する。
「電子回路」とは、それぞれが機能を持っている複数の電子部品の電子工学的な組み合わせによって、全体として目的とする機能を発揮させる系(システム)である。
そのような電子回路を構成する電子部品としては、チップ抵抗部品、多連抵抗部品、QFP、QFN、パワートランジスタ、ダイオード、コンデンサ等が例示される。これらの電子部品を組み込んだ電子回路は基板上に設けられ、電子回路装置を構成するのである。
本発明において、そのような電子回路装置を構成する基板、例えばプリント配線基板は特に制限されない。またその材質も特に制限されないが、耐熱性プラスチック基板(例:高Tg低CTEであるFR-4)が例示される。プリント配線基板はCuランド表面をアミンやイミダゾール等の有機物(OSP:OrganicSurfaceProtection)で処理したプリント回路基板が好ましい。
7. その他
本発明に係るはんだ合金は、その原材料として低α線量材を使用することにより低α線量合金を製造することができる。このような低α線量合金は、メモリ周辺のはんだバンプの形成に用いられるとソフトエラーを抑制することが可能となる。
本発明を以下の実施例により説明するが、本発明が以下の実施例に限定されることはない。
本発明の効果を立証するため、表2および表3に記載のはんだ合金を用いて、(1)固相線温度および液相線温度、(2)熱伝導率、(3)過冷却、(4)耐ヒートサイクル性、ならびに(5)濡れ性を評価した。
(1) 固相線温度および液相線温度
表2及び表3に記載した各合金組成を有するはんだ合金について、DSC曲線から各々の温度を求めた。DSC曲線は、セイコーインスツルメンツ社製のDSC(型番:Q2000)により、大気中で5℃/minで昇温して得られた。得られたDSC曲線から液相線温度を求め、溶融温度とした。また、DSC曲線から固相線温度も評価した。固相線温度が210℃以上であるとともに、液相線温度が230℃未満である場合には、「◎」と判定した。固相線温度が210℃以上であるとともに、液相線温度が230℃以上250℃以下である場合には、「〇」と判定した。固相線温度が210℃未満であるか、または液相線温度が250℃を超える場合には、「×」と判定した。
(2) 熱伝導率
表2及び表3に示すはんだ合金のシートを用い、φ10mm、厚さ3mmのサンプルを作製した。これらのサンプルの熱伝導率を、熱伝導率計(アドバンス理工製、装置名:TC7000)を用い、レーザーフラッシュ法により、サンプル毎に熱拡散率αの測定を3回行い、3回の合計を3で除した値を熱伝導率の平均値として求めた。サンプルの比熱C(J/(g・K))を、サンプル毎に3回測定し、3回の合計を3で除した値を比熱の平均値として求めた。そして、アルキメデス法によって求めた密度ρを使用して、熱伝導率λは下式に従って計算した。熱伝導率が50[W/m/K]以上である場合には「◎」と判定し、48[W/m/K]以上50[W/m/K]未満である場合には「〇」と判定し、48[W/m/K]未満である場合には「×」と判定した。
λ=α×C×ρ
(3) 過冷却
過冷却は、昇温時の液相線温度と降温時の液相線温度との差である。上記「(1) 固相線温度および液相線温度」で使用した装置を用い、大気中5℃/minで昇温してサンプルを溶融させ、その後同サンプルを冷却し得られたDSC曲線から降温時の液相線温度を求めた。降温時の液相線温度と「(1) 固相線温度および液相線温度」で評価した昇温時の液相線温度との差であるΔTが0~30℃である場合には、「◎」と判定した。30℃超である場合には「×」と判定した。
(4) 耐ヒートサイクル性(TCT)
(4-1)ペーストの作製
表2及び表3に示す各はんだ合金の粉末をアトマイズ法により作製した。この合金の粉末をロジン、溶剤、チキソ剤、有機酸等を含むフラックス(千住金属工業株式会社製「GLV」)と混和してはんだペーストを作製した。はんだペーストの合金粉末は88質量%とし、フラックスは質量12%とした。このソルダペーストを6層のプリント基板(FR-4、Cu-OSP)のCuランドに150μmのメタルマスクでペースト印刷した後、3216のチップ抵抗器をマウンターで実装した。その後、最高温度245℃、保持時間40秒の加熱条件で溶融させてリフローを行い、はんだ付けを行って試験基板を作製した。
この試験基板を低温-40℃、高温+125℃、保持時間30分の条件に設定したヒートサイクル試験機に入れ、3000サイクル後に各条件でヒートサイクル試験機から取り出し、シェア試験を行った。
(4-2)シェア強度信頼性(シェア強度残存率)
シェア強度試験は、上記3000サイクル後の各サンプル(実施例及び比較例の各々に対する5個のサンプル)に対して、継手強度試験機STR-5100を用いて、25℃で、試験速度6mm/min、試験高さは100μmの条件で行った。シェア強度残存率(%)は、(ヒートサイクル試験後のシェア強度)×100/(初期のシェア強度)で求めた。本実施例においては、シェア強度残存率の平均値が40%以上である場合に「◎」と判定し、40%未満である場合には「×」と判定した。
(5) 濡れ性
(5-1)試験板の作製
はんだ合金の濡れ性は、メニスコグラフ試験の方法に準拠して測定された。フラックス(千住金属工業株式会社製「ES-1100」)を、銅板(幅10mm×長さ30mm×厚さ0.3mm)に対して塗布した。フラックスを塗布した銅板を、120℃で15分間、大気雰囲気で加熱処理して、試験板を得た。このような試験板を、各実施例及び各比較例のそれぞれについて、5枚ずつ用意した。
(5-2)評価方法
得られた試験板を、それぞれ、表1および表2に示す合金組成を有する溶融はんだが導入されているはんだ槽に浸漬させ、ゼロクロスタイム(sec)を得た。ここで、試験装置としてSolder Checker SAT-5100(RHESCA社製)を用い、次のように評価した。各実施例及び各比較例の5枚の試験板のゼロクロスタイム(sec)の平均値により、はんだ濡れ性を評価した。試験条件は、以下のように設定した。
はんだ槽への浸漬速度:10mm/sec
はんだ槽への浸漬深さ:4mm
はんだ槽への浸漬時間:10sec
はんだ槽温度:255℃
ゼロクロスタイム(sec)の平均値が短いほど、濡れ速度は速くなり、はんだ濡れ性が良いことを意味する。
(5-3)判定基準:
ゼロクロスタイム(sec)の平均値が1.3秒以下である場合には「◎」と判定し、1.3秒を超え、1.5秒以下である場合には「〇」と判定し、1.5秒を超える場合には、「×」と判定した。
Figure 0007323853000003

Figure 0007323853000004
表2および表3から明らかなように、実施例1~70はいずれもAg、Cu、Bi、Sb、FeおよびCoの含有量が本発明の範囲内であるため、すべての評価判定が「〇」以上であった。特に、(1)式~(3)式を満たす実施例1~4、6~21、24~37、41~53、58、60、および62~70は、いずれも、すべての評価判定が「◎」であった。
一方、比較例1は、Agの含有量が少ないため、TCTと濡れ性が劣った。比較例2は、Agの含有量が多いため、熱伝導率、およびTCTが劣った。比較例3および比較例4は、Cuの含有量が適正ではないため、熱伝導率、TCT、および濡れ性が劣った。
比較例5は、Biを含有しないため、TCTおよび濡れ性が劣った。比較例6は、BiおよびFeの含有量が多いため、TCTが劣った。比較例7は、Biの含有量が多すぎるため、熱伝導率、および濡れ性が劣った。
比較例8は、Sbの含有量が少ないため、TCTが劣った。比較例9は、Sbの含有量が多いため、熱伝導率、TCT、および濡れ性が劣った。比較例10は、Feの含有量が少ないため、TCTが劣った。比較例11は、Feの含有量が多いため、TCTおよび濡れ性が劣った。
比較例12は、Coの含有量が少ないため、TCTが劣った。比較例13は、Coの含有量が多いため、TCT、および濡れ性が劣った。比較例14は、Biの含有量が多く、Niを含有するため、固相線温度が低く、熱伝導率が劣り、過冷却の/冷却時の温度差が大きく、濡れ性が劣った。比較例15は、Niを含有するため、熱伝導率が劣った。
遊離の有無について確認した結果を図1および図2に示す。図1は、実施例32における断面観察の結果を示した画像である。図2は、比較例15における断面観察の結果を示した画像である。実施例及び比較例の各々に関して5個のサンプルを準備し、合金層と表面処理界面から5~15μmの領域(図1及び図2では「対象領域」として示している領域)における観察を行った。
実施例32および比較例15に示す各はんだ合金の粉末をアトマイズ法により作製した。この合金の粉末をロジン、溶剤、チキソ剤、有機酸等を含むフラックス(千住金属工業株式会社製「GLV」)と混和してはんだペーストを作製した。はんだペーストの合金粉末は88質量%とし、フラックスを12質量%としたこのソルダペーストを6層のプリント基板(FR-4、Cu-OSP)のCuランドに150μmのメタルマスクでペースト印刷した後、3216のチップ抵抗器をマウンターで実装した。その後、最高温度245℃、保持時間40秒の加熱条件で溶融させてリフローを行い、試験基板を作製した。
その後、試験基板を切り出して研磨を行い、断面の接合界面近傍を1000倍に拡大して、観察を行った。画像解析ソフトを用いて全体の面積とCuSn系化合物の面積を算出した。画像解析ソフトとしては、Scandiumを用いた。CuSn系化合物の面積率は、算出した各面積の結果を用い、(CuSn系化合物の面積率)(%)=(CuSn系化合物の面積)×100/(対象領域の面積)により算出された。
図1には実施例32の画像を示し、図2には比較例15の画像を示す。図1から明らかなように、実施例32の対応領域ではCuSn系化合物率が0%であった。図2は比較例15における画像であるが、対応領域ではCuSnNi系化合物率が15~20%となった。このように、実施例では、化合物の遊離が発生していないことが明らかになった。

Claims (11)

  1. 質量%で、Ag:3.0~3.8%、Cu:0.1~1.0%、Bi:0.1以上0.9%以下、Sb:1.0~7.9%、Fe:0.020~0.040%、Co:0.001~0.008%、および残部がSnからなる合金組成を有することを特徴とするはんだ合金。
  2. 前記合金組成は、更に、質量%で、Ge、Ga、As、Pd、Mn、In、Zn、Zr、およびMgの少なくとも1種を合計で0.1%以下を含有する、請求項1に記載のはんだ合金。
  3. 前記合金組成は下記(1)式~(3)式を満たす、請求項1または2に記載のはんだ合金。
    0.00018≦Ag×Cu×Sb×Fe×Co≦0.00203 (1)
    0.08≦Ag×Cu×Bi≦1.85 (2)
    0<Sb×Fe×Co≦0.00139 (3)
    上記(1)式~(3)式中、Ag、Cu、Bi、Sb、Fe、およびCoは、各々前記合金組成の含有量(質量%)を表す。
  4. 請求項1または2に記載のはんだ合金からなるはんだ粉末を有するはんだペースト。
  5. 請求項1または2に記載のはんだ合金からなるはんだボール。
  6. 請求項1または2に記載のはんだ合金からなるはんだプリフォーム。
  7. 請求項1または2に記載のはんだ合金を有するはんだ継手。
  8. 請求項1または2に記載のはんだ合金を有することを特徴とする車載電子回路。
  9. 請求項1または2のはんだ合金を有することを特徴とするECU電子回路。
  10. 請求項8に記載の車載電子回路を備えたことを特徴とする車載電子回路装置。
  11. 請求項9に記載のECU電子回路を備えたことを特徴とするECU電子回路装置。
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