JP7323809B2 - 金属帯の反り測定方法および金属帯の製造方法 - Google Patents
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Description
このとき、溶融亜鉛めっき浴から上方に引き上げた鋼板には、過剰に溶融亜鉛が付着しているので、狙い付着量になるようにワイピングノズルからのガスジェットで払拭している。この時に、狙い付着量は、同一のワイピングノズルを使用している場合、ワイピングノズルからの噴射ガス圧力(ワイピング圧力)やワイピングノズル先端と鋼板との距離(スタンドオフ距離)を変えることで調整される。
一般には、付着量の測定はめっきが乾いた後に行う必要があることから、付着量計はワイピングノズルから一定距離(例えば100m)離れた位置に配置することが多い。この場合、鋼板のパスラインが変動することで付着量が管理範囲を外れたことを付着量計で感知しようとすると、鋼板が一定距離進行するまで外れたことに気づかないことになり、次工程で切り下げ処置をする量も多くなって、製品歩留まりが低下する。よって、パスライン変動時には可及的速やかに上記対応をすることが望まれ、ワイピングノズルのすぐ下流に光学的距離計を配置して、ワイピングノズルと鋼板との距離を測定し、間接的に付着量を計測(付着量を推定)して、ワイピングノズルの距離を変更することが行われている(例えば、特許文献1)。
反りの監視に関しては、例えば、特許文献2には、鋼板の幅方向の両端に投光器と受光器を配置すること(方法1)、または鋼板の幅方向の片端にカメラを配置すること(方法2)で鋼板の反り量を測定する発明が記載されている。特許文献2に記載の発明では、測定結果に応じて電磁石の出力を調整して鋼板の板形状の制御を行っている。
また、鋼板の幅方向片端にカメラを配置する場合(方法2)も、カメラで捉えた画像から反りを正確に特定することが困難である場合があった。すなわち、カメラをこのように配置すると、反りが発生した場合、特許文献2の図15(a)のような画像が得られる。これを画像処理すれば、一応の反り量は計算可能である。
しかし、反りの凸部側は徐々に画像輝度が変化するため、凸部先端を判断することは難しい。特許文献2に記載の発明では、鋼板の幅方向に(薄板の走行面に垂直な方向に引いた直線上に)微分する処理を行い、微分値のピーク位置(図15(b)中の16a、16b)から反り量を得るが、この方法は画像を1次元的に処理しているに過ぎない。これを2次元的に処理すれば、より正確な反り量を測定できる。
カメラを配置した位置と鋼板を挟んで反対側の位置に光源を配置すれば、鋼板が光源の陰になる。反りが生じていない場合には、鋼板の板厚分のみしか影とはならない。しかし、反りが生じた場合、光源として、予想される反り量を超える長さの棒状の光源(バーライト)を用いれば、反りの凹部側は鋼板が影となってバーライトの光と鋼板の影のコントラストがより明確になり(=2値化しやすくなり)、凹部先端が把握しやすくなるのに対し、凸部側もバーライトが鋼板に映り込み凸部先端を把握できる。
反り量は計算装置(PC)による画像処理により求めればよいが、現場の装置として反り調整が自動化されていないものも存在する。反り調整が自動化されておらずオペレータが確認の上、手動で反り調整を行う場合には、オペレータが視覚により明確に反り量を把握できるので、反り調整の誤動作を低減できる。
そして、このようにワイピングノズル近傍でワイピングノズルと鋼板との距離を測定するとともに鋼板の反り検知を行えば、ワイピングノズルから一定距離(100m)離れた位置の付着量計で付着量の測定を行い、それをフィードバックすることも不要であり、ほぼリアルタイムでワイピングノズル位置や浴中ロール押込み量を調整することができるようになる。
前記ワイピングノズルの下流側に、前記金属帯の幅方向の端面側を撮影するカメラと、前記金属帯を挟んで前記カメラと対向する位置にバーライトとを配置し、
前記カメラにより検知された前記バーライトからの光に基づいて、前記金属帯の反りを測定することを特徴とする。
めっき浴に浸漬され、ワイピングノズルでならされれば、金属帯は鏡面となる。この鏡面に映り込んだバーライトの光を捉えれば、反り量も容易にわかる。バーライトの光の輝度が高ければ、光と金属帯の形成する影のコントラストを大きくできるし、鏡面に映り込み反射する光の輝度も高くできる。
金属帯に反りが生じている場合、反りの凹部側は金属帯が影となってバーライトの光と金属帯の影のコントラストがより明確になり、凹部先端(金属帯の幅方向の先端)が把握しやすくなる。これに対し、金属帯の凸部側では、当該金属帯の凸曲面(鏡面)にバーライトからの光が映り込む。凸曲面の幅方向中央の最も突出している部位に映り込んだ光の位置を把握し、金属帯の幅方向の先端と凸曲面(鏡面)に映り込んだ光の位置から反り量を算出する。
また、金属帯は、溶融亜鉛めっき鋼板であってもよいし、その他の金属がめっきされる金属板であってもよい。
このような構成によれば、金属帯の鏡面となっている凸曲面にバーライトからの光がバーライトに対して傾斜して映り込んで反射し、バーライトから直接の光と、映り込んだ光とによってV字形の光となり、映り込んだ光Hの先端を判別しやすくなる。このため、金属帯の反り量を確実に測定できる。
このような構成によれば、画像処理で平面データを2値化、金属帯の凹部先端および凸部先端を把握し、差分から反り量を求めることができる。
上述した金属帯の反り測定方法により測定した反りに基づき、前記ワイピングノズルの位置または前記めっき浴中のロール位置を変更することを特徴とする。
まず、本実施形態の金属帯の反り測定方法を説明する前に、連続溶融亜鉛めっき装置について図1を参照して簡単に説明する。
図1に示すように、連続溶融亜鉛めっき装置では、その溶融亜鉛めっき浴槽10内の溶融亜鉛めっき浴3に、搬送される帯状の鋼帯(金属帯)1を包囲する溶融めっき浴用スナウト(以下、スナウトと称する。)2の先端部(図1において下端部)が差し込まれており、鋼帯1はスナウト2内を通じて直接溶融亜鉛めっき浴3に搬入されるようになっている。
溶融亜鉛めっき浴3に搬入された鋼帯1は、溶融亜鉛めっき浴槽10の深部に配設されたシンクロール4を周回した後、溶融亜鉛めっき浴槽10の外部に引き上げられるようになっており、溶融亜鉛めっき浴槽10内を移動する過程で鋼帯1に連続的に亜鉛めっきが施されるようになっている。
また、引き上げ直後の鋼帯1は溶融亜鉛が必要以上に付着しているため、溶融亜鉛めっき浴3を出た後、ワイピングノズル6により溶融亜鉛量が必要な目付量となるように調整される。
図1および図2に示すように、金属帯1の反りを測定する場合、まず、ワイピングノズル6の下流側(図1において上側)に、金属帯1の幅方向の一端面側を撮影するカメラ11を配置するとともに、金属帯1をその幅方向において挟んでカメラ11と対向する位置にバーライト12を配置する。つまり、バーライト12を金属帯1の幅方向の他端部側にカメラ11と対向させて配置する。
図2および図3に示すように、傾斜角θは、C反り量を判定するためには0°<θ<90°であることが必要である。このように傾斜角θを設定することによって、金属帯1の鏡面となっている凸曲面1a(金属帯1の幅方向中央よりカメラ11側の凸曲面1a)にバーライト12からの光がバーライト12に対して傾斜して映り込んで反射し、バーライト12から直接の光と、映り込んだ光HとによってV字形の光となり、映り込んだ光Hの先端13bを判別しやすくなる。なお、金属帯1の幅方向中央よりバーライト12側の凸曲面1bにもバーライト12からの光がバーライト12に対して傾斜して映り込む。
金属帯1の凸曲面(鏡面)1aに映り込んだ光Hの見やすさからは、傾斜角θは、20°≦θ≦70°が望ましく、さらに望ましくは30°≦θ≦60°が良い。
また、バーライト12の光の輝度が高ければ、光と金属帯1の形成する影のコントラストを大きくできるし、金属帯1の凸曲面(鏡面)1aに映り込んだ光Hの反射光の輝度も高くできる。
また、傾斜角θ=90°の場合では、金属帯1がC反りしていてもバーライト12と金属帯1に映り込んだバーライト12の光Hが一直線上になるため、金属帯1のエッジ(金属帯1の凸曲面(鏡面)1aに映り込んだバーライト12の光Hの先端13b)が見え難くなり、0°<θ<90°に設定した場合に比して、エッジの判別が行い難くなるが、判別を行えないわけではない。
図4において、符号11はカメラであり、このカメラ11は金属帯1の幅方向の一端面側に金属帯1から所定距離だけ離間して配置され、バーライト12は、金属帯1をその幅方向において挟んでカメラ11と対向する位置に金属帯1から所定距離だけ離間して配置されている。このように、カメラ11は金属帯1の幅方向の一端面側に配置され、バーライト12は金属帯1の幅方向の他端面側に配置されている。
また、金属帯1をその幅方向と直交する方向に挟むようにして左右一対のワイピングノズル6,6が配置され、このワイピンノズル6,6を金属帯1の搬送方向と直交する方向に移動させるアクチュエータ(例えば電動シリンダ等)14が制御装置15に接続されている。そして、この制御装置15によってアクチュエータ14が制御され、これによってワイピングノズル6,6は金属帯1に対して接離する方向に移動制御される。また、制御装置15を図示しない浴中ロールを移動させる図示しないアクチュエータに接続し、制御装置15によってアクチュエータが制御され、これによって浴中ロールの押込み量を制御して金属帯1のパスラインの位置を調整してもよい。
上述したように、カメラ11とバーライト12(12a,12b)を配置することによって、金属帯1に反り(C反り)が生じていない場合には、金属帯1の板厚分のみしか影とはならない。
これに対し、金属帯1の凸部側では、当該金属帯1の凸曲面(カメラ側鏡面)1aにバーライト12aからの光がバーライト12aに対して傾斜して映り込んで反射する。このため、カメラ11側から見れば、バーライト12aからの直接的な光と凸曲面(カメラ側鏡面)1aに映り込んだ光HがV字をなす。
そして、これを計算装置16によって、画像処理で平面データを2値化し、金属帯1の幅方向の先端(凹部先端)13aおよび凸曲面(鏡面)1aに映り込んだ光Hの先端(凸部先端)13bを把握し、差分から反り量を求めることができる。
これに対し、金属帯1の凸部側では、当該金属帯1の凸曲面(カメラ側鏡面)1aにバーライト12bからの光が映り込んで反射するが、前記バーライト12aを使用した場合とは異なり、バーライト12bからの直接的な光と凸曲面(カメラ側鏡面)1aに映り込んだ光HがV字をなすことはなく、両者によって形成される光は直線をなす。この場合、視覚的に金属帯1の幅方向の凸部先端13bを捉えることは難しくなるが、計算装置16によって、画像処理で平面データを2値化すれば、金属帯1の幅方向の先端(凹部先端)13aおよび凸曲面(鏡面)1aに映り込んだ光Hの先端(凸部先端)13bを把握し、差分から反り量を求めることができる。
すなわち、計算装置16によって計算された金属帯1の反り量が制御装置15に入力され、この反り量に基づいてアクチュエータ14を介してワイピングノズル6,6を移動制御して、金属帯1に対する位置を調整したり、浴中ロールの位置を調整する。つまり、金属帯1のパスラインがワイピングノズル6,6から等しい距離となるように、ワイピングノズル6,6を移動制御したり、浴中ロールの押込み量を変更してパスラインの位置を調整する。また、金属帯1の製造中に反り量を計算装置16によって連続的に求め、この反り量を制御装置15にフィードバックする制御を行うことによって、ほぼリアルタイムでワイピングノズル6,6の位置や浴中ロール押込み量を調整することができる。
そして、このようにワイピングノズル近傍で、ワイピングノズル6,6と金属帯1との距離の測定および金属帯1の反り検知を行えば、ワイピングノズル6,6から一定距離(100m)離れた位置の付着量計で付着量の測定を行い、それをフィードバックすることも不要であり、ほぼリアルタイムでワイピングノズル6,6の位置や浴中ロール押込み量を調整することができるようになる。
また、カメラ11によって撮影された画像に基づいて計算装置16が金属帯1の反り量を計算するので、ワイピングノズル6よりかなり下流側(100m)にある付着量計により付着量を確認しなくても、金属帯1のオモテ面とウラ面のめっき付着量は同一かつ幅方向に均一にすることができる。したがって、金属帯1のめっき付着量外れに伴う切下げ量を減少させることができ、歩留まりが上昇、金属帯1の生産効率も上げることができる。
次に実施例について説明する。
金属帯に溶融亜鉛めっき鋼板を用いた予備試験を実施した。溶融亜鉛めっき鋼板の板幅は900mm、板厚は1.0mm、バーライトにはLED灯(出力10W)、バーライトの長さは400mmを用いた。カメラには汎用ビデオカメラを用い、溶融亜鉛めっき鋼板のエッジ(幅方向の端部)からバーライトまでの距離およびカメラまでの距離はそれぞれ1mとした。
溶融亜鉛めっき鋼板の幅中央部が凸になるように意図的に3mmのC反りを溶融亜鉛めっき鋼板に付与し、カメラで撮影された反り像を画像処理ソフトを用いて二値化し、反り量を求めた。その結果、手前側エッジ(金属帯の凸曲面(鏡面)に映り込んだバーライトの光の先端)の位置と反り量の両方を正確に検出することができ、反り量は3mmと算出できた。これより、本発明の金属帯の反り測定方法の有効性を確認できた。
実製造ラインでは、金属帯の板幅が900~1500mmで変化するので、広幅の1500mmが通板してもバーライトやカメラに接触しないようことが必要であり、板幅1500mmの時で600mm、板幅900mmの時で900mmの間隔を金属帯とバーライトおよびカメラとの間に設けた。
溶融亜鉛めっき鋼板(金属帯)の移動速度は、約60~180m/minの間で変化したが、この通常操業中においても反り量を検知することができた。その結果、反り量を平坦にする操業操作を行うことができ、溶融亜鉛めっきの幅方向付着量を一様に制御することができた。
また、連続通板ラインでは、先行コイルと後行コイルの材質が異なる場合には、先行コイルと後行コイルとの溶接部で板形状が大きく変化することがあるが、本検出方法を用いることで、その変化量をリアルタイムに把握することができ、迅速な操業操作を行うことができた。
3 めっき浴
6 ワイピングノズル
11 カメラ
12,12a,12b バーライト
Claims (4)
- 連続的にめっき浴に浸漬させ、ワイピングノズルにより余剰メッキ液を払拭してめっき層を形成する金属帯を製造する際に、前記ワイピングノズル近傍の金属帯に発生した反りを測定する方法であって、
前記ワイピングノズルの下流側に、前記金属帯の幅方向の端面側を撮影するカメラと、前記金属帯を挟んで前記カメラと対向する位置にバーライトとを配置し、
前記カメラにより検知された前記バーライトからの光に基づいて、前記金属帯の反りを測定することを特徴とする金属帯の反り測定方法。 - 前記バーライトを前記金属帯の搬送方向に対して傾斜させて配置することを特徴とする請求項1に記載の金属帯の反り測定方法。
- 前記カメラにより得られた画像に基づいて前記金属帯の反り量を求めることを特徴とする請求項1または2に記載の金属帯の反り測定方法。
- 連続的にめっき浴に浸漬させ、ワイピングノズルにより余剰メッキ液を払拭してめっき層を形成する金属帯を製造する方法であって、
請求項1~3に記載の金属帯の反り測定方法により測定した反りに基づき、前記ワイピングノズルの位置または前記めっき浴中のロール位置を変更することを特徴とする金属帯の製造方法。
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