JP7321778B2 - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物及び電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロースナノファイバーを含む硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、及び配線板などの電子部品に関する。
従来、プリント配線板材料である層間絶縁材、封止材、ソルダーレジスト等では、エポキシ樹脂等を含有した硬化性樹脂組成物が、接着性、機械特性、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気絶縁性等の諸特性に優れた硬化物が得られることから、広く用いられている。
最近では、このような硬化性樹脂組成物は、配線板の高機能化、多機能化にともない、より一層優れた特性が求められている。例えば、配線板への部品実装や配線の高密度化、薄型化が進むなか、硬化性樹脂組成物の硬化物として、低熱膨張性(熱寸法安定性)、銅回路との密着性、強靭性などが求められている。
このような要求に対し、特許文献1には、銅との接着強度に優れる封止材として、ジフェノリック系ジスルフィド化合物と、エポキシ樹脂を含有することを特徴とする樹脂組成物が開示されている。
また、半導体パッケージ用のプリント配線板材料では、上記硬化性樹脂組成物は、膜厚制御の観点からフィルム上に成膜したドライフィルムの形態で用いられている。
特開2004-137397号公報
特許文献1に記載された技術によれば、確かにフェノリック系ジスルフィド化合物をエポキシ樹脂に添加すると、その樹脂組成物の硬化物は優れた接着強度を有する。しかしながら、かかる特許文献1に記載された樹脂組成物では、硬化後の工程において、部品実装時のリフロー処理など、高温での処理を行うと、硬化物の破断伸びが大きく低下したり、また硬化物の熱膨張率も増大するといった問題が生じることを、本発明者らは新たに気付いた。
そこで、本発明の主たる目的は、硬化物の金属材料との接着性、硬化物の破断伸び及び硬化物の低熱膨張性(熱寸法安定性)のいずれにも優れた硬化性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物、硬化物を用いた配線板などの電子部品を提供することにある。
本発明者らは、新たに気付いた上記課題の解決に向け鋭意検討する中で、スルフィド結合を有する硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物は、加熱により硬化物中のスルフィド結合が開裂することで、特性が劣化すると推測した。そして、さらに鋭意検討した結果、意外なことにスルフィド結合を有する硬化性樹脂とセルロースナノファイバーとを併用することで、加熱による硬化物の破断伸びの低下及び熱膨張率の増大を抑えられることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、スルフィド結合を有する硬化性樹脂を含む硬化性成分と、セルロースナノファイバーと、を含む、硬化性樹脂組成物を提供する。
前記スルフィド結合を有する硬化性樹脂は、好ましくはスルフィド結合を有するエポキシ樹脂である。
また、本発明は、前記硬化性樹脂組成物が、フィルム上に塗布又は含浸、乾燥されてなる樹脂層を有することを特徴とする、ドライフィルムを提供する。
また、本発明は、前記硬化性樹脂組成物又は前記ドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とする、硬化物を提供する。
また、本発明は、前記硬化物を備えることを特徴とする、配線板などの電子部品を提供する。
本発明によれば、硬化物の金属材料との接着性、硬化物の破断伸び及び硬化物の低熱膨張性(熱寸法安定性)のいずれにも優れた硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物、硬化物を用いた配線板などの電子部品を提供することができる。
なお、説明した化合物に異性体が存在する場合、特に断らない限り、存在し得る全ての異性体が本発明において使用可能である。
<<<硬化性樹脂組成物>>>
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、スルフィド結合を有する硬化性樹脂を含む硬化性成分と、セルロースナノファイバー(CNFと略す場合がある)と、を含む。
以下に、本発明にかかる硬化性樹脂組成物について詳述する。
<<硬化性成分>>
<スルフィド結合を有する硬化性樹脂>
本発明の硬化性樹脂組成物を構成する硬化性成分は、スルフィド結合を有する硬化性樹脂を含む。この硬化性樹脂は、スルフィド結合を有していれば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれであってもよく、これらの混合物であってもよい。また、この硬化性樹脂は、熱硬化性官能基と光硬化性官能基を共に有する光熱硬化性樹脂であってもよい。
スルフィド結合とは、硫黄原子が線形に連結した構造であり、化学式R’-S-Rの鎖状又は環状の化合物として表される。
前記化学式において、R’及びRは、同一又は異なる有機基であり、xは2以上である。
また、「スルフィド」は、「サルファイド」あるいは「チオエーテル」とも称される。
(スルフィド結合を有する熱硬化性樹脂)
本発明におけるスルフィド結合を有する硬化性樹脂を構成する熱硬化性樹脂としては、熱による硬化反応が可能な官能基を有する樹脂や化合物であれば、特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂、エピスルフィド樹脂、フェノール樹脂、尿素(ユリア)樹脂、トリアジン環含有樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、ノルボルネン系樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、マイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、熱硬化性ポリイミド、シアネートエステル樹脂等が挙げられ、これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。
なかでも、硬化物としての柔軟性(破断伸び)と金属材料との密着性がより優れるという観点から、分子中に1個以上のスルフィド結合を有し、かつ主骨格にエーテル結合を1個以上有する硬化性樹脂が好ましく、また、低熱膨張性(熱寸法安定性)により優れることから、スルフィド結合を有する分子量が600以上のエポキシ樹脂がより好ましい。
このようなスルフィド結合を有するエポキシ樹脂としては、例えば、市販品として、東レ・ファインケミカル(株)製のフレップ50、フレップ60、フレップ80等が挙げられる。
また、スルフィド結合等を有するフェノール化合物は、熱硬化性樹脂としても機能するが、後述する硬化剤としても機能する。このスルフィド結合等を有するフェノール化合物としては、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド(4,4’-ジチオジフェノールとも称される。)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド等が挙げられる。
このような熱硬化性樹脂の含有量としては、硬化性成分の全量(固形分基準)に対して、例えば、50質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上等としてもよい。あるいは、1質量%以上90質量%以下、10質量%以上85質量%以下、20質量%以上80質量%以下等としてもよい。
(スルフィド結合を有する光硬化性樹脂)
本発明におけるスルフィド結合を有する硬化性樹脂を構成する光硬化性樹脂としては、活性エネルギー線照射による硬化反応が可能な官能基を有する樹脂を用いることができ、ラジカル重合性でもカチオン重合性でもよい。
ラジカル重合性の光硬化性樹脂としては、(メタ)アクリレート化合物(好ましくは2官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物);多官能ビニルエーテル化合物;ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート化合物;多官能アリルエーテル化合物;アリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。カチオン重合性の光硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂等が挙げられる。
具体的には、スルフィド結合を有する光硬化性樹脂である(メタ)アクリレート化合物としては、4-(4-ジチオ(メタ)アクリロイルサルファニル-フェニルサルファニル)-フェニルジチオ(メタ)アクリレート、ビス(4-メタクロイルチオフェニル)ジスルフィド等が挙げられる。
また、スルフィド結合を有する光硬化性樹脂である多官能ビニルエーテル化合物としては、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルジスルフィド、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルジスルフィド、1,9-ノナンジオールジビニルジスルフィド、1,6-ヘキサンジオールジビニルジスルフィド、1,4-ブタンジオールジビニルジスルフィド、エチレングリコールジビニルジスルフィド、ジエチレングリコールジビニルジスルフィド、トリエチレングリコールジビニルジスルフィド、テトラエチレングリコールジビニルジスルフィド、ビスフェノールAジビニルジスルフィド、水添ビスフェノールAジビニルジスルフィド等が挙げられる。
また、スルフィド結合を有する光硬化性樹脂である多官能アリルエーテル化合物としては、2個以上のアリル基(-CH-CH=CH基)及びスルフィド結合を有する化合物が挙げられ、具体的には、アルキレングリコールジアリルジスルフィド等を例示することができる。
このようなスルフィド結合を有する光硬化性樹脂は、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。
このような光硬化性樹脂の含有量としては、硬化性成分の全量(固形分基準)に対して、例えば、50質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上等としてもよい。あるいは、1質量%以上90質量%以下、10質量%以上85質量%以下、20質量%以上80質量%以下等としてもよい。
<硬化性成分中のその他成分>
(硬化剤、硬化触媒)
本発明の硬化性樹脂組成物を構成する硬化性成分は、その他成分として、硬化剤や硬化触媒を含むことができる。硬化剤は、硬化剤自体が熱硬化性樹脂成分と反応し、自らも硬化物の骨格を形成する場合と、硬化剤自体が熱硬化性樹脂としても機能し、他の熱硬化性樹脂成分と併用することで硬化物として、自らも硬化物の骨格を形成する場合がある。例えば、エポキシ樹脂に対するフェノール樹脂は、硬化剤であるが、熱硬化性樹脂でもある。
このような硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂;脂肪族ポリアミン、ポリアミノアミド(ポリアミド樹脂)、ケティミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン、メラミン樹脂、ジシアンジアミド、その他のアミン系(イミダゾール、3級アミン)等のアミン系化合物;酸無水物;メルカプタン系化合物;シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂(活性エステル化合物);ベンゾオキサジン環を有する樹脂;ルイス酸錯化合物等や、これらの変性物が挙げられる。
また、硬化触媒としては、公知慣用のものを用いることができ、例えば、イミダゾール誘導体や、アミン化合物、ヒドラジン化合物、リン化合物、ジメチルアミノピリジンなどを用いることができる。
硬化剤の含有量は、硬化剤の反応基当量/硬化性樹脂の硬化性基当量(例えば、エポキシ当量)が、0.5~1.4であることが好ましく、0.8~1.2がより好ましい。かかる範囲にあることで、優れた硬化性を得ることができる。
硬化触媒の含有量は、硬化性成分中の硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上20質量部以下、好ましくは0.05質量部以上15質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上15質量部以下である。
(光重合開始剤)
本発明の硬化性樹脂組成物を構成する硬化性成分は、その他成分として、光重合開始剤を含むことができる。この光重合開始剤は、硬化性成分を構成する硬化性樹脂のうち、光硬化性樹脂の重合を開始させるためのものであり、光照射によりラジカル又はカチオンを発生して、光重合性不飽和基を有する光硬化性樹脂を硬化させる。光重合開始剤の種類は、特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、ベンゾイン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等を用いることができる。
この光重合開始剤の含有量は、硬化性成分中の光硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上20質量部以下、好ましくは0.05質量部以上15質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上15質量部以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物を構成する硬化性成分は、その他成分として、スルフィド結合を有する硬化性樹脂以外の熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を含むことができる。この熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂としては、上述したような公知慣用の樹脂を用いることができる。
<<セルロースナノファイバー>>
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、セルロースナノファイバー(CNF)を含む。CNFの種類は特に限定されず、無変性のCNFであってもよいし、5位のメチロール基が酸化されてカルボキシル基になったカルボキシル基含有CNFであってもよい。また、当該カルボキシル基をアミン化合物で修飾させたアミン塩修飾CNFであってもよいし、カルボキシル基にアミド化合物を付加させたアミド修飾CNFであってもよい。
また、セルロースナノファイバーの分子中の水酸基が化学修飾されたCNFであってもよい。
本発明にかかる硬化性樹脂組成物におけるCNFの配合量は、硬化性樹脂の全量(固形分基準)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは2質量部以上15質量部以下である。配合量を0.1質量部以上とすると、硬化性樹脂にスルフィド基を導入する際に懸念される硬化物の破断伸び及び低熱膨張性(熱寸法安定性)の悪化を抑えることができる。また、配合量を30質量部以下とすると、硬化性樹脂の本来の機能である基材との接着性を損なうのを防ぐことができる。
なお、本発明において固形分とは、溶媒(特に有機溶媒)以外の組成物を構成する成分、またはその質量や体積を意味する。
本発明にかかる硬化性樹脂組成物におけるCNFは、原材料である天然セルロース繊維の水酸基を化学修飾した後に解繊処理するか、天然セルロース繊維を解繊処理して得られるCNFの水酸基を化学修飾することで得られる。
このようなCNFとしては、例えば、機械解繊されたCNF;2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(TEMPOとも称す)や、リン酸基を有する化合物または/およびその塩による酸化処理で解繊したCNF(セルロースの構造中のメチロール基がカルボキシル基に酸化されたCNF);酸化処理で解繊したCNFにアミノ化合物により共有結合修飾され解繊されたCNF(セルロースの構造中のカルボキシル基がアミノ化合物により共有結合修飾されたCNF);又は、前記酸化処理で解繊した後に第4級アンモニウム化合物によりイオン結合修飾され解繊されたCNF(セルロースの構造中のカルボキシル基が第4級アンモニウム化合物によりイオン結合修飾されたCNF);又は、前記機械解繊や酸化処理で解繊した後にイソシアネート化合物により修飾したCNF(セルロースの構造中の2位、3位、6位のいずれか1つ以上の水酸基がイソシアネート化合物によりされたCNF)が挙げられる。
なかでも、TEMPOを用いた酸化処理を行う解繊方法は、セルロース繊維を比較的弱いせん断力で、ナノサイズまで解きほぐすことができる。
原材料の天然セルロース繊維としては、例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等の木材パルプ;コットンリンター、コットンリントのような綿系パルプ;麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ;バクテリアセルロース等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようにして得られた本発明にかかるCNFは、その形態としては、必要に応じ、固形分濃度を調整した懸濁液状(目視的に無色透明又は不透明な液)、あるいは乾燥処理した粉末状(但し、CNFが凝集した粉末状であり、セルロース粒子を意味するものではない)とすることもできる。なお、懸濁液状にする場合、分散媒として水のみを使用してもよく、水と他の有機溶媒(例えば、エタノール等のアルコール類)や界面活性剤、酸、塩基等との混合溶媒を使用してもよい。
〔CNFの平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比〕
CNFの平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比は、以下のようにして測定することができる。
CNFに水を加えて、その濃度が0.0001質量%の分散液を調製し、この分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(AFM、Nanoscope III Tapping mode AFM、Digital instrument社製、プローブはナノセンサーズ社製Point Probe(NCH)を使用)を用いて、観察試料中のCNFの繊維高さを測定する。その際、CNFが確認できる顕微鏡画像において、CNFを5本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。また、繊維方向の距離より、平均繊維長を算出する。平均アスペクト比は平均繊維長/平均繊維径より算出される。
本発明におけるCNFの平均繊維径は、例えば、0.1nm以上200nm以下であり、好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは2nm以上50nm以下、さらに好ましくは2.5nm以上20nm以下である。平均繊維径0.1nm未満のものは製造が困難であり、また、平均繊維径が200nm以下とすることで、プリント配線板の導体などの金属材料との密着性が良好な硬化物を得ることができる。
CNFの平均繊維長は、例えば、600nm以下であり、好ましくは50nm以上600nm以下、より好ましくは100nm以上500nm以下、さらに好ましくは100nm以上400nm以下である。平均繊維長がかかる範囲にある場合には、組成物にしたときの分散が容易になる。
CNFの平均アスペクト比は、例えば、1以上200以下であり、好ましくは5以上180以下、より好ましくは9以上170以下、特に好ましくは9以上100未満である。平均アスペクト比が1未満のものは製造が困難であり、平均アスペクト比が200以下であると、CNFを含む硬化物のプリント配線板の導体などの金属材料との密着性が良好となり、この平均アスペクト比が小さくなるほど金属材料との密着性に優れ、組成物の粘度を下げることができる。
<その他の成分>
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、用途に応じて、上述した成分以外のその他の成分、例えば、公知慣用の添加物を配合することができる。この公知慣用の添加物としては、特に限定されないが、例えば、樹脂及びエラストマー、無機フィラー、着色剤、分散剤、消泡剤・レベリング剤、揺変剤、カップリング剤、難燃剤などが挙げられる。また、本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤などを含んでいてもよい。
(樹脂及びエラストマー)
樹脂及びエラストマーとしては、上述の硬化性樹脂以外の樹脂成分であり、不飽和ポリエステル樹脂、アクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ノルボルネン系樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ブロック共重合体、天然ゴム、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの樹脂及びエラストマーは、単独又は混合して用いることができる。
(無機フィラー)
無機フィラーとしては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。これらの無機フィラーは、単独又は混合して用いることができる。これらの無機フィラーの中でも、比重が小さく、組成物中に高い割合で配合可能であり、低熱膨張性に優れる点から、シリカ、中でも、球状シリカが好ましい。無機フィラーの平均粒径は3μm以下であることが好ましく、1μm以下がさらに好ましい。なお、無機フィラーの平均粒径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。
この無機フィラーの配合量は、組成物の固形分に対して、例えば、25~90質量%、好ましくは30~90質量%、より好ましくは35~85質量%である。無機フィラーの配合量を上記範囲内とすることで、硬化後の硬化物の塗膜性能を良好に確保することができる。
(着色剤)
着色剤としては、着色顔料や染料等としてカラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる。例えば、赤色着色剤としては、モノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがある。青色着色剤としては、フタロシアニン系、アントラキノン系などがあり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物を使用することができる。これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系がある。これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等がある。白色着色剤としては、ルチル型又はアナターゼ型酸化チタンなどが挙げられる。黒色着色剤としては、カーボンブラック系、黒鉛系、酸化鉄系、チタンブラック、酸化鉄、アンスラキノン系、酸化コバルト系、酸化銅系、マンガン系、酸化アンチモン系、酸化ニッケル系、ペリレン系、アニリン系、硫化モリブデン、硫化ビスマスなどがある。その他、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色などの着色剤を加えてもよい。
着色剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の全量(固形分基準)に対して、例えば、0.01質量%以上3質量%以下、好ましくは0.05質量%以上1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。また、酸化チタン等を用いて白色の硬化膜を得る場合は、硬化性樹脂組成物の全量(固形分基準)に対して、例えば、1質量%以上65質量%以下、好ましくは3質量%以上60質量%以下、より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。
(分散剤)
分散剤としては、ポリカルボン酸系、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合系、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸部分アルキルエステル系、ポリエーテル系、ポリアルキレンポリアミン系等の高分子型分散剤、アルキルスルホン酸系、四級アンモニウム系、高級アルコールアルキレンオキサイド系、多価アルコールエステル系、アルキルポリアミン系等の低分子型分散剤等が使用でき、十分な分散効果が得られ、さらに硬化物の良好な塗膜特性を得ることができる。
(消泡剤・レベリング剤)
消泡剤・レベリング剤としては、シリコーン、変性シリコーン、鉱物油、植物油、脂肪族アルコール、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等の化合物等が使用でき、ボイドの発生を防止することができ、また、被着体との密着性がより良好となる。
(揺変剤)
揺変剤としては、微粒子シリカ、シリカゲル、不定形無機粒子、ポリアミド系添加剤、変性ウレア系添加剤、ワックス系添加剤などが使用でき、硬化性樹脂組成物の成膜性が良好となり、塗膜の被着体への密着性が優れたものとなる。
(カップリング剤)
カップリング剤としては、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、アセチル等であり、反応性官能基としてビニル、メタクリル、アクリル、エポキシ、環状エポキシ、メルカプト、アミノ、ジアミノ、酸無水物、ウレイド、スルフィド、イソシアネート等である、例えば、ビニルエトキシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシラン等のビニル系シラン化合物、γ-アミノプロピルトリメトキシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シラン化合物、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ系シラン化合物、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シラン化合物、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のフェニルアミノ系シラン化合物等のシランカップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイル化チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス-(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタネート系カップリング剤、エチレン性不飽和ジルコネート含有化合物、ネオアルコキシジルコネート含有化合物、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデシル)ベンゼンスルホニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ジオクチル)ホスフェートジルコネート、ネオアルコキシトリス(ジオクチル)ピロホスフェートジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノ)エチルジルコネート、ネオアルコキシトリス(m-アミノ)フェニルジルコネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル)ブチル,ジ(ジトリデシル)ホスフィトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリネオデカノイルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ドデシル)ベンゼン-スルホニルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ホスファトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ピロ-ホスファトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(N-エチレンジアミノ)エチルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(m-アミノ)フェニルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリメタクリルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリアクリルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリル)オキシ,ジパラアミノベンゾイルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリル)オキシ,ジ(3-メルカプト)プロピオニックジルコネート、ジルコニウム(IV)2,2-ビス(2-プロペノラトメチル)ブタノラト,シクロジ[2,2-(ビス2-プロペノラトメチル)ブタノラト]ピロホスファト-O,O等のジルコネート系カップリング剤、ジイソブチル(オレイル)アセトアセチルアルミネート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミネート系カップリング剤等が使用でき、基材との密着性の向上や、硬化物の硬度の向上が見込める。
(難燃剤)
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属系、赤燐、燐酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、モリブデン化合物系、臭素化合物系、塩素化合物系、燐酸エステル、含燐ポリオール、含燐アミン、メラミンシアヌレート、メラミン化合物、トリアジン化合物、グアニジン化合物、シリコンポリマー等が使用でき、硬化物の自己消火性、耐熱性を高いレベルでバランスよく達成できる。
(有機溶剤)
有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及び上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等を挙げることができる。
有機溶剤の含有量は特に限定されず、硬化性樹脂組成物の用途に応じて適宜調整可能である。
なお、このような硬化性樹脂組成物は、各原料を混合及び分散することにより得られる。
<<<ドライフィルム>>>
本発明のドライフィルムは、上述した硬化性樹脂組成物を基材上に塗布又は含浸し、乾燥して樹脂層を形成したものである。
ここで基材とは、銅箔等の金属箔、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のフィルム、ガラスクロス、アラミド繊維等の繊維が挙げられる。
ドライフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に硬化性樹脂組成物を塗布乾燥させ、必要に応じてポリプロピレンフィルムを積層することにより得られる。
<<<硬化物>>>
硬化物は、上述した硬化性樹脂組成物(ドライフィルムに含まれる樹脂層を含む)を硬化することで得られる。
硬化性樹脂組成物から硬化物を得るための方法は、特に限定されるものではなく、硬化性樹脂組成物の組成に応じて適宜変更可能である。一例として、上述したような基材上に硬化性樹脂組成物の塗布(例えば、アプリケーター等による塗布)を行う工程を実施した後、必要に応じて硬化性樹脂組成物を乾燥させる乾燥工程を実施し、加熱(例えば、イナートガスオーブン、ホットプレート、真空オーブン、真空プレス機等による加熱)により硬化性樹脂と硬化剤を熱架橋させる熱硬化工程を実施すればよい。なお、各工程における実施の条件(例えば、塗布厚、乾燥温度及び時間、加熱温度及び時間等)は、硬化性樹脂組成物の組成や用途等に応じて適宜変更すればよい。
<<<電子部品>>>
このような硬化物は、導体などの金属材料との接着性、硬化物の破断伸び及び硬化物の低熱膨張性(熱寸法安定性)に優れた特性を有するため、配線板などの電子部品用等に使用可能である。特に、層間絶縁材やソルダーレジスト等としてプリント配線板に用いたり、封止材等として、電子部品に用いられる。
<酸化パルプ1の調製>
ユーカリ由来の広葉樹漂白クラフトパルプ(CENIBRA社製)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。臭化ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。
まず、広葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、このパルプ質量100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行い固形分30.4質量%の酸化パルプ1を得た。
<セルロースナノファイバー水分散液の調製>
(調製例1)
105.3gの酸化パルプ1を、1000gのイオン交換水で希釈し、濃塩酸を346g加えて、酸化パルプ固形分濃度2.34wt%、塩酸濃度2.5Mの分散液に調製し、10分間還流させた。得られた酸化パルプを十分に洗浄し、固形分41質量%の酸加水分解TEMPO酸化パルプを得た。その後、酸化パルプ0.88gとイオン交換水35.12gを高圧ホモジナイザーを用いて150MPaで微細化処理を10回行い、カルボキシル基含有セルロースナノファイバー水分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。このセルロースナノファイバーの平均繊維径は11.0nm、平均繊維長は187nm、平均アスペクト比は17、カルボキシル基含有量は1.1mmol/gであった。
<修飾基を有するセルロースナノファイバー分散液の作製>
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、調製例1で得られたセルロースナノファイバー水分散液35g(固形分濃度5質量%)を仕込んだ。続いて、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを、CNFのカルボキシル基1molに対してアミノ基1molに相当する量を仕込み、DMF300gで溶解させた。反応液を室温(25℃)で1時間反応させた。反応終了後ろ過し、DMFで洗浄することで、CNFに、アミン塩が結合したCNFを得た。得られた、CNF・DMF分散液の固形分濃度は4.0質量%であった。
<硬化性樹脂組成物の調製>
下記の表1中の記載に従って、各成分を配合撹拌後、吉田機械興業製高圧ホモジナイザーNanovater NVL-ES008を使用し、6回繰り返して分散させて各組成物を調製した。なお、表1中のCNFは、上記「修飾基を有するセルロースナノファイバー分散液の作製」で得られた、5位のカルボキシル基がアミン塩によって修飾された疎水性CNFである。また、表1中の数値は、固形分(揮発成分を除く)の質量部を示す。
<銅箔付硬化膜の作製>
厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの銅箔の光沢面に、真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物のドライフィルムをラミネートして、PETフィルムを剥がし、各組成物の樹脂層を形成した。次いで、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱・硬化して銅箔付硬化膜を作製した。
<破断伸びの評価>
作製した銅箔付硬化膜から銅箔を剥離し、得られた硬化膜を測定用サンプルとした。この測定用サンプルを5mm幅×70mm長にカットし、試験片とした。この試験片を、島津製作所社製のEZ-SXを用いた引張試験に、つかみ具間距離は50mm、引張速度は1mm/minの条件にて供し、試験片が破断するまでの伸び率を10回測定し、その最大値を引張破断伸び率(%)として破断伸びを評価した。評価基準を下記に示す。また結果を表1に示した。
◎:40%以上
○:10%以上40%未満
×:10%未満
<熱膨張率の評価>
上記測定用サンプルを3mm幅×30mm長にカットし、試験片とした。この試験片をティー・エイ・インスツルメント社製TMA(Thermomechanical Analysis)Q400を用いて、引張モードで、チャック間16mm、荷重30mN、窒素雰囲気下、-50℃~150℃まで5℃/分で昇温し、次いで、150℃~-50℃まで5℃/分で降温して測定した。降温時における-30℃から20℃の平均熱膨張率を求めた。評価基準を下記に示す。また結果を表1に示した。
◎:70ppm/K以下
○:70ppm/K超100ppm/K以下
×:100ppm/K超
<銅との密着性の評価>
作製した銅箔付硬化膜を5mm幅×70mm長にカットし、島津製作所製
小型卓上試験機EZ-SXを使用し、90度プリントハクリ治具を用いて、90度の角度
で剥離強度を求めた。評価基準を下記に示す。また結果を表1に示した。
◎:5.0N/cm以上
○:2.0N/cm以上5.0N/cm未満
×:2.0N/cm未満
Figure 0007321778000001
※1 エポキシ樹脂1:フレップ50(ジスルフィド結合含有エポキシ樹脂,分子量:640,エポキシ当量:320) 東レファインケミカル(株)製
※2 エポキシ樹脂2:フレップ60(ジスルフィド結合含有エポキシ樹脂,分子量:560,エポキシ当量:280) 東レファインケミカル(株)製
※3 エポキシ樹脂3:JER828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂) 三菱化学(株)製
※4 活性エステル化合物:HPC8000-65T(活性エステル化合物,固形分65質量%、表1中の数値は固形分) DIC(株)製
※5 フェノール化合物:HF4M(フェノールノボラック樹脂) 明和化成(株)製
※6 フェノール化合物:4,4’-ジチオジフェノール(ジスルフィド結合含有フェノール化合物)
※7 硬化触媒:2E4MZ(2-エチル-4-メチルイミダゾール) 四国化成工業(株)製
以上詳述した通り、スルフィド結合を有する硬化性樹脂と、CNFとを含む硬化性樹脂組成物を用いることにより、硬化性樹脂とスルフィド化合物とを併用する際に懸念される、硬化物の破断伸びの低下及び熱膨張率の増大を抑えられることが確認された。

Claims (4)

  1. スルフィド結合を有するエポキシ樹脂を含む硬化性成分と、セルロースナノファイバーと、を含む、硬化性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を、フィルム上に塗布又は含浸、乾燥させてなる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
  3. 請求項1に記載の硬化性樹脂組成物、又は、請求項に記載のドライフィルムの前記樹脂層が、硬化されてなることを特徴とする、硬化物。
  4. 請求項に記載の硬化物を備えることを特徴とする、電子部品。
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