[実施の形態1]
図1は、建築資材運搬システム10の概要を説明する説明図である。建築資材運搬ロボット20が、オペレータに追随走行している。建築資材運搬ロボット20は、2本のマーカ268を路面に投影する、2個の投影部269を備える。マーカ268は、建築資材運搬ロボット20が通過可能な幅に対応し、オペレータよりも前方まで延びる略平行線である。なお、図1においては、建築資材運搬ロボット20の側方からオペレータの前方にかけて2本のマーカ268が投影されている例を示すが、マーカ268はオペレータの近傍からオペレータの前方にかけて投影されてもよい。
オペレータは、背後から照射されている2本のマーカ268に基づいて、通ろうとしている場所に、建築資材運搬システム10が通過できる幅があるか否かを判断できる。すなわち、オペレータはマーカ268が他の資材等の障害物により妨げられる場所を迂回するか、または障害物を適宜移動させて建築資材運搬システム10の通路を確保することにより、建築資材運搬ロボット20を安全に誘導できる。
建築資材運搬ロボット20は、オペレータとの距離、および、路面の状態等を検出するセンサ25を有し、オペレータとの間に所定の間隔を空けて走行する、追随走行を行なう。したがって、オペレータは後を振り返って建築資材運搬システム10との距離を確認する必要がない。なお、建築資材運搬ロボット20の通路が規定されていない建築現場においては、センサ25は建築現場の床面または地面の状態等を検知する。以下の説明では、建築資材運搬ロボット20が追随走行を行なう動作モードを、追随走行モードと記載する。
建築資材運搬ロボット20は、追随走行モードに加えて、先行走行モードおよび帰還走行モードでも走行可能である。先行走行モードにおいては、建築資材運搬ロボット20はオペレータとの距離を一定に保ってオペレータの前方を走行する、先行走行を行なう。たとえば、建築資材運搬ロボット20をエレベータに載せる際には、オペレータは建築資材運搬ロボット20を先行走行モードに切り替える。以下の説明においては、追随走行と先行走行とを合わせて、随伴走行と記載する場合がある。
先行走行中のオペレータの操作について説明する。オペレータは、自分の歩行速度を変更することにより、建築資材運搬ロボット20の走行速度を制御できる。オペレータは、たとえばジェスチャ入力により、建築資材運搬ロボット20が走行する向きを制御できる。たとえばオペレータが右に小さく手を振る動作をしたことを検出した場合に、制御部21は建築資材運搬ロボット20の進路を少し右にずらし、オペレータが右に大きく手をふる動作をしたことを検出した場合に、制御部21は建築資材運搬ロボット20の進路を大きく右にずらす。
制御部21は、オペレータの脚の向きに合わせて、建築資材運搬ロボット20の進路を変更してもよい。制御部21はオペレータによる音声入力に基づいて走行してもよい。制御部21は情報処理装置30等を介したリモコン操作に基づいて走行してもよい。
帰還走行モードにおいては、建築資材運搬ロボット20はそれまでに走行した経路を逆にたどって元の位置に戻る。たとえば、オペレータは待機場所から建築資材運搬ロボット20を引き出して資材を運搬した後、建築資材運搬ロボット20を帰還走行モードに切り替える。建築資材運搬ロボット20は単独で待機場所に戻る。建築資材運搬ロボット20の構成の詳細については、後述する。
図2は、建築資材運搬システム10の構成を説明する説明図である。建築資材運搬システム10は、建築資材運搬ロボット20に加えて情報処理装置30およびサーバ40を備える。
建築資材運搬ロボット20と情報処理装置30とは、近接している場合にはBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により直接通信し、離れている場合にはLAN(Local Area Network)または商用通信回線等のネットワークを介して通信する。このようにすることにより、建築資材運搬ロボット20と情報処理装置30とが近接している場合、ネットワークによる通信の遅れを防止できる。サーバ40は、ネットワークを介して情報処理装置30および建築資材運搬ロボット20と通信する。
情報処理装置30は、制御部31、主記憶装置32、補助記憶装置33、通信部34、タッチパネル35、マイク361、スピーカ362およびバスを備える。制御部31は、本実施の形態のプログラムを実行する演算制御装置である。制御部31には、一または複数のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)またはマルチコアCPU等が使用される。制御部31は、バスを介して情報処理装置30を構成するハードウェア各部と接続されている。
主記憶装置32は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置32には、制御部31が行なう処理の途中で必要な情報および制御部31で実行中のプログラムが一時的に保存される。
補助記憶装置33は、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクまたは磁気テープ等の記憶装置である。補助記憶装置33には、制御部31に実行させるプログラムおよびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。通信部34は、情報処理装置30とネットワークまたは他の機器との間の通信を行なうインターフェイスである。
タッチパネル35は、積層配置された入力部351と表示部352とを含む。表示部352は、たとえば液晶表示パネルまたは有機EL(electro-luminescence)パネルである。
情報処理装置30は、オペレータが建築資材運搬ロボット20を操作する際に使用する汎用のスマートフォンまたはタブレット等の携帯端末である。情報処理装置30は、建築資材運搬ロボット20の制御に用いる専用リモコンであってもよい。たとえば図1に示すように、オペレータは、情報処理装置30を身に着けて建築資材運搬ロボット20を操作する。情報処理装置30は、建築資材運搬ロボット20の外装に取り付けられていてもよい。制御部21は、情報処理装置30を介してオペレータによるリモコン操作を受け付けるリモコン受付部の機能を実現する。
図2に戻って説明を続ける。サーバ40は、制御部41、主記憶装置42、補助記憶装置43、通信部44およびバスを備える。制御部41には、一または複数のCPU、GPUまたはマルチコアCPU等が使用される。制御部41は、バスを介してサーバ40を構成するハードウェア各部と接続されている。
主記憶装置42は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置42には、制御部41が行なう処理の途中で必要な情報および制御部41で実行中のプログラムが一時的に保存される。
補助記憶装置43は、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクまたは磁気テープ等の記憶装置である。補助記憶装置43には、第2移動記録DB(Database)52、制御部41に実行させるプログラムおよびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。通信部44は、サーバ40とネットワークとの間の通信を行なうインターフェイスである。第2移動記録DB52は、サーバ40に接続された外部の大容量記憶装置に記憶されていてもよい。
サーバ40は、汎用のパソコン、タブレット、スマートフォン等である。サーバ40は、大型計算機、大型計算機上で動作する仮想マシン、分散処理を行なう複数のパソコン、または、クラウドコンピューティングシステムと、端末装置との組み合わせにより構成されてもよい。
図3は、建築資材運搬ロボット20の構成を説明する説明図である。図1および図3を使用して、建築資材運搬ロボット20の構成を説明する。
図1に示すように、本実施の形態の建築資材運搬ロボット20は、いわゆるカゴ型の形状である。建築資材運搬ロボット20は、建築資材を積載可能な荷台273の下に、4個の車輪272を有する。荷台273は、長方形板状の台座274と、台座274の縁に配置された格子状の柵275とを有する。台座274の各側面に、前述のセンサ25が配置されている。台座274の図1における右側の隅に、先端に表示灯263を有する柱が配置されている。
図3に示すように、建築資材運搬ロボット20は、前述のセンサ25および投影部269に加えて、制御部21、主記憶装置22、補助記憶装置23、通信部24、出力部26、サービスコンセント270、駆動部271、緊急停止ボタン277、プラグ278、バッテリ279およびバスを備える。
制御部21には、一または複数のCPU、GPUまたはマルチコアCPU等が使用される。制御部21は、バスを介して建築資材運搬ロボット20を構成する電気回路系のハードウェア各部と直接的または間接的に接続されている。なお、図3においては、バスと駆動部271等のアナログ回路との間を接続するドライバについては、図示を省略する。
主記憶装置22は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置22には、制御部21が行なう処理の途中で必要な情報および制御部21で実行中のプログラムが一時的に保存される。
補助記憶装置23は、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクまたは磁気テープ等の記憶装置である。補助記憶装置23には、第1移動記録DB51、制御部21に実行させるプログラムおよびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。通信部24は、建築資材運搬ロボット20とネットワークまたは他の機器との間の通信を行なうインターフェイスである。なお、第1移動記録DB51は建築資材運搬ロボット20に搭載された外部の大容量記憶装置に記憶されていてもよい。
センサ25は、たとえば随伴センサ251、段差センサ252、近接センサ253、傾斜センサ254、重量センサ255、荷高センサ256、カメラ257およびマイク258を含む。センサ25は、図3に列挙した各種センサの一部のみを含んでもよい。センサ25は、図3に列挙していないセンサを含んでもよい。台座274の各側面に配置されたセンサ25に含まれるセンサの組み合わせは、異なっていてもよい。
以後の説明では、台座274の各側面に配置されたセンサ25は、随伴センサ251と段差センサ252と、近接センサ253との機能を有する複合センサである場合を例にして説明する。この複合センサは、細く絞った赤外線を用いて所定の範囲を走査し、赤外線を反射する物体までの距離と、当該物体の向きとを検出する赤外線センサである。
随伴センサ251の機能は、赤外線を略水平方向に走査して、オペレータの体や脚部などの身体形状と、オペレータの身体の動きを検出することにより実現される。随伴センサ251の機能は、オペレータに取り付けた特徴的なマークを画像認識により検出することにより実現されてもよい。特徴的なマークは、たとえばオペレータが勤務する企業のロゴマークである。随伴センサ251は、オペレータを検出する第1検出部の例示である。
制御部21は、当該身体形状またはマークとの距離を一定に保つように駆動部271を制御することにより、随伴走行を実行する。すなわち、駆動部271と車輪272とは、随伴走行を行なう随伴走行部の機能を実現する。制御部21は、随伴走行部を制御する制御信号を出力する信号出力部の機能を実現する。
図4は、段差センサ252を説明する説明図である。段差センサ252の機能は、赤外線を水平線よりも下向きに略垂直面内で走査して、段差の形状を検出することにより実現される。図4において、太い実線は、それぞれ赤外線による走査線を示す。
走査線B1からB3のそれぞれについて、赤外線を放射してから反射光を受光するまでの時間に基づいて、障害物である床面までの距離が測定される。それぞれの放射線の放射角度と、距離とに基づいて、段差の位置および高さ等を含む床面の形状が計測される。制御部21は、段差の高さが所定の閾値を超える場合に、通行できないと判定する。
なお、図4においては下りの段差が存在する場合を図示するが、制御部21は上りの段差についても同様に計測し、段差の高さが所定の閾値を超える場合に、通行できないと判定する。二足歩行を行なうオペレータが無意識のうちに上り下りした段差であっても、制御部21は検出できる。
なお、段差センサ252は図4の紙面に垂直な方向に対する走査も行なう。したがって制御部21は、オペレータが段差を斜めに上り下りした場合であっても、段差の縁に対して斜めに近づいた場合であっても段差の形状を検出できる。段差センサ252は、路面の状態が乾燥状態、湿潤状態のいずれであっても段差を検知できるように調整されている。なお、建設現場の路面に使用される素材は、たとえばコンクリート、ベニヤ板、または、プラスティック製段ボール等である。
近接センサ253の機能は、赤外線を三次元空間内で走査して、オペレータの両脚および段差を除く障害物の形状を検出することにより実現される。複数回の走査を繰り返した結果に基づいて、制御部21は、障害物が移動体であるか否かを判定し、移動体である場合は移動の向きおよび速度を算出できる。なお赤外線センサは、随伴センサ251、段差センサ252および近接センサ253の機能を、一回の三次元走査により実現できる。段差センサ252および近接センサ253は、建築資材運搬ロボット20の周囲の状態を検出する第2検出部の例示である。
なお、随伴センサ251の機能はオペレータが身に着けたビーコンを電磁波等により検出することで実現されてもよい。建築資材運搬ロボット20の各部に取り付けたカメラ257により撮影した画像を解析することにより、随伴センサ251、段差センサ252および近接センサ253の一部または全部の機能が実現されてもよい。赤外線センサの代わりに、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサまたは超音波センサが用いられてもよい。
傾斜センサ254は、たとえば台座274の下面に取り付けられており、台座274の傾斜の向きおよび傾斜の角度を検出する。重量センサ255は、たとえば台座274の上面に配置されており、荷台273に積載された資材の重量を検出する。荷高センサ256は、たとえば図1に示すように表示灯263を支える柱の側面に取り付けられた赤外線センサであり、荷台273に積載された資材の高さを検出する。
カメラ257は、随伴センサ251等の機能を果たす場合には荷台273に取り付けられている。さらに、建築現場の床面にバーコード等の位置マーカ17(図1参照)が配置されている場合には、建築資材運搬ロボット20は位置マーカ17読み取り用のカメラ257を有してもよい。建築資材運搬ロボット20は、位置マーカ17に基づいて現在位置を補正できる。マイク258は、たとえば柵275または表示灯263の柱に取り付けられている。建築資材運搬ロボット20は後述するオペレータ認証用のカメラ257およびマイク258を有してもよい。
出力部26は、前述の表示灯263に加えてスピーカ262を含む。出力部26は、表示灯263の代わりに、または表示灯263とともに液晶表示パネルまたは有機EL表示パネル等の表示部を含んでも良い。
表示灯263は、建築資材運搬ロボット20の通行を周囲で別の作業を行なっている作業者に知らせる警告灯の機能を果たす。並行してスピーカ262が音楽を鳴らして注意喚起を行なってもよい。
表示灯263は、追随走行モード、先行走行モードおよび帰還走行モードのいずれのモードで建築資材運搬ロボット20が動作しているかを表示してもよい。周囲の作業者は、オペレータが建築資材運搬ロボット20の前方にいるか、後方にいるか、別の場所にいるかを把握できる。
表示灯263は、重量センサ255により検出した資材の重量を表示してもよい。たとえば、重い資材を積載している建築資材運搬ロボット20は慣性があり急停止できないため、赤色の表示灯263を回転させるとともに、警告音を鳴らして、周囲の作業者に対する警告を行なう。
表示灯263の代わりに、建築資材運搬ロボット20の外装に取り付けられた液晶表示パネル等の表示部に、積載している資材の重量、建築資材運搬ロボット20の総重量、または、建築資材運搬ロボット20の走行モード等の情報が表示されてもよい。
投影部269は、たとえば図1に示すように台座274の隅に配置されている。投影部269は、たとえばレーザポインタまたはサーチライト等の、特定の方向に光線を放射する光源を、機械的に揺動させることにより、線状のマーカ268を路面に投影する。投影部269は、固定された光源と、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)ミラー等の揺動する反射体との組み合わせにより、マーカ268を投影する構造であってもよい。投影部269は、プロジェクタにより構成されていてもよい。
オペレータは、進行方向に、マーカ268が乗り上げている障害物が存在しないことを確認しながら、建築資材運搬ロボット20を誘導する。
緊急停止ボタン277は、図1に示すように柵275に複数取り付けられている。それぞれの緊急停止ボタン277は、建築資材運搬ロボット20の近傍で作業を行なう作業者が、緊急時に容易に操作できる位置に配置されている。どの緊急停止ボタン277が操作された場合であっても、建築資材運搬ロボット20は速やかに走行を停止する。
駆動部271には、車輪272が接続されている。駆動部271は、制御部21による制御に基づいて、車輪272を回転させるとともに向きを変更して、建築資材運搬ロボット20を前進、後退、左折および右折させる。以下の説明では、4個の車輪272が駆動部271に接続されており、それぞれの車輪272の回転および向きが制御される、いわゆる4WD(four-wheel drive)型の建築資材運搬ロボット20を例にして説明する。
建築資材運搬ロボット20の走行中以外は、駆動部271は駆動輪をロック状態に維持する。すなわち、停止状態の建築資材運搬ロボット20は、ブレーキが掛かった状態である。仮に傾斜がある場所で停止している場合であっても、建築資材運搬ロボット20は勝手に動き出さない。
なお、2個の車輪272が駆動部271に接続され、残りの車輪272は従動輪であってもよい。建築資材運搬ロボット20が有する車輪272の数は、4個に限定しない。建築資材運搬ロボット20は、3個、または5個以上の車輪272を有してもよい。
車輪272には、タイヤを用いることが望ましい。走行音を比較的小さくできるとともに、積載している資材に加わる振動を低減できる。車輪272には、ノーパンクタイヤを用いることがさらに望ましい。鋭利な金属屑等によるパンクを防止できる。
バッテリ279は、図示を省略する電源線を介して、建築資材運搬ロボット20を構成する各部品に電力を供給する。バッテリ279には、図示を省略する充電回路を介して、プラグ278が接続されている。バッテリ279とプラグ278とを接続する電源ケーブルは、図示を省略する巻き取りリールに巻き付けられている。建築資材運搬ロボット20を使用した後、オペレータはプラグ278を商用電源に接続してバッテリ279への充電を行なう。
バッテリ279は、無線給電システムにより充電されてもよい。バッテリ279は残量が減った場合に充電済の別のバッテリ279に交換される、交換式であってもよい。建築資材運搬ロボット20は、バッテリ279の代わりに発電機を有してもよい。
バッテリ279には、図示を省略するDC-AC(Direct Current - Alternating Current)コンバータを介して、サービスコンセント270が接続されている。オペレータは、たとえば電動工具または電子計測器等の商用電源で動作する機器を、サービスコンセント270に接続して使用できる。
バッテリ279に、バッテリ279と同じ電圧の直流電源を出力する直流コンセントが接続されていてもよい。バッテリ279と直流コンセントとの間に、電圧を変換するDC-DC((Direct Current - Direct Current)コンバータが配置されていてもよい。
転倒を防止するために、建築資材運搬ロボット20の重心は低いことが望ましい。段差等を通過するために、車輪272の直径は大きいことが望ましい。
図5は、第1移動記録DB51および第2移動記録DB52のレコードレイアウトを説明する説明図である。第1移動記録DB51および第2移動記録DB52は、それぞれの建築資材運搬ロボット20に固有に付与されたロボットID(Identifier)と、それぞれのオペレータに固有に付与されたオペレータIDと、建築資材運搬ロボット20を使用するオペレータの認証を行なった時刻と、時刻ごとの建築資材運搬ロボット20の位置および向きとを関連づけて記録するDBである。
第1移動記録DB51と第2移動記録DB52とは、同一のデータベース構造を有する。第1移動記録DB51には、1台の建築資材運搬ロボット20のデータが記録されている。第2移動記録DB52には、複数の建築資材運搬ロボット20のデータが記録されている。制御部21は、建築資材運搬ロボット20を制御しながら第1移動記録DB51に逐次データを追加する。データベースの同期処理により、複数の建築資材運搬ロボット20それぞれに記録された第1移動記録DB51のデータが、第2移動記録DB52に複写される。データベースの同期処理は公知であるため、詳細については説明を省略する。
以下の説明においては、第1移動記録DB51を例にして説明する。第1移動記録DB51は、ロボットIDフィールド、オペレータIDフィールド、認証時刻フィールド、時刻フィールド、Xフィールド、Yフィールドおよびθフィールドを有する。
ロボットIDフィールドには、ロボットIDが記録されている。オペレータIDフィールドには、オペレータIDが記録されている。認証時刻フィールドには、オペレータの認証を行なった時刻が記録されている。図5に示す例では、「10時23分0秒」に認証が行なわれて、「P551」のオペレータが、「R02」の建築資材運搬ロボット20の使用を開始している。
時刻フィールドには、オペレータが建築資材運搬ロボット20を使用している間の時刻が記録されている。Xフィールド、Yフィールドおよびθフィールドには、あらかじめ定義されたXY座標系に基づく建築資材運搬ロボット20のX座標、Y座標および向きθがそれぞれ記録されている。第1移動記録DB51は、建築資材運搬ロボット20の高さ方向の座標を記録するフィールドを有してもよい。
制御部21は、たとえばそれぞれの車輪272の回転数および向きに基づいて建築資材運搬ロボット20の座標および向きを算出する。車輪272の回転数および向きは、駆動部271から出力される。建築資材運搬ロボット20は、それぞれの車輪272の実際の回転数および実際の向きを検出するセンサを有してもよい。
制御部21は、位置マーカ17を検出した場合、車輪272の回転数および向きに基づいて算出した建築資材運搬ロボット20の座標および向きを補正する。車輪272の回転数および向きに基づいて建築資材運搬ロボット20のXY座標および向きθを算出する方法、および算出した位置を位置マーカ17に基づいて補正する方法は公知であるため、詳細については説明を省略する。
図5に示す例では、1秒ごとに、建築資材運搬ロボット20のXY座標および向きθが記録されている。第1移動記録DB51にデータを記録する周期は、1秒に限定しない。第1移動記録DB51にデータを記録する周期は、一定でなくてもよい。第1移動記録DB51は、データを記録した一つの時刻ごとに一つのレコードを有する。
第1移動記録DB51には、建築資材運搬ロボット20に取り付けられたジャイロセンサの出力に基づいて、建築資材運搬ロボット20の移動経路が記録されていてもよい。第1移動記録DB51には、建築現場を俯瞰するカメラにより撮影された画像に基づいて、建築資材運搬ロボット20の移動経路が記録されていてもよい。
図6は、プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。図6に示すプログラムは、制御部21により実行される。制御部21は、オペレータの認証を行なう(ステップS501)。オペレータ認証は、たとえばオペレータが所持する情報処理装置30を介して、オペレータIDおよびパスワードを入力することにより実行される。制御部21は、リモコンの機能を果たす情報処理装置30の使用者を認証する認証部の機能を実現する。
オペレータ認証は、建築資材運搬ロボット20に搭載されたICカードリーダに、情報処理装置30またはオペレータが所持するIDカードに搭載されたICチップを読み込ませることにより実行されてもよい。オペレータ認証は、顔認証、指紋認証、または声紋認証等の生体認証により実行されてもよい。オペレータ認証は、オペレータが所定の鍵を建築資材運搬ロボット20に設けられた鍵穴に差し込むことにより実行されてもよい。種々の認証技術が実用化されているため、詳細については説明を省略する。
オペレータ認証に成功しない場合(ステップS501でNG)、具体的にはたとえば不正なオペレータIDとパスワードとの組み合わせの入力が所定の回数繰り返された場合、制御部21は周囲に通知する(ステップS502)。具体的には制御部21は、たとえば表示灯263を所定の態様で点灯させる、または、スピーカ262から警報音を出す。周囲の作業者、現場監督または警備員等は、建築資材運搬ロボット20に不正使用または盗難の可能性があることに気付き、適切な対処を行なえる。制御部21はネットワークを介して情報処理装置30またはサーバ40に、不正なアクセスが行なわれたことを通知してもよい。
仮に、駆動部271が車輪272をロックしておらず、建築資材運搬ロボット20を人力により移動させることが可能である場合、制御部21は駆動部271を制御して車輪272をロックする。すなわち、制御部21はオペレータ認証に成功しない場合に建築資材運搬ロボット20の走行をロックするセキュリティロック機構を実現する。
オペレータ認証に成功した場合(ステップS501でOK)、制御部21は変数「走行モード」を初期値である「停止中」に設定する(ステップS503)。
制御部21は投影部269からマーカ268を投影する(ステップS504)。たとえば、建築資材運搬ロボット20に前後の別がある場合、制御部21は建築資材運搬ロボット20の前方にマーカ268を投影する。建築資材運搬ロボット20が前後の区別なくどちらの向きにも走行可能である場合、制御部21は建築資材運搬ロボット20の前方と後方との両方にマーカ268を投影する。建築資材運搬ロボット20が前後左右の区別なくどの向きにも走行可能である場合、制御部21は、建築資材運搬ロボット20の前後左右の四方にマーカ268を投影する。オペレータは、マーカ268により建築資材運搬ロボット20が走行する経路に障害物があるか否かを確認できる。
制御部21は、オペレータによる指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS505)。オペレータは、たとえばタッチパネル35に表示されたボタンを用いて、追随走行モード、先行走行モードおよび帰還走行モードのいずれかを建築資材運搬ロボット20に指示する。ステップS505により、制御部21はオペレータによる走行モードの切替指示を受け付ける切替部の機能を実現する。
オペレータは、音声入力により、指示を行なってもよい。制御部21は、マイク258を介してオペレータの指示を受け付ける。オペレータは、ジェスチャ入力により、指示を行なってもよい。制御部21は、カメラ257またはジェスチャ入力用のセンサ等のジェスチャ入力部を介してオペレータの指示を受け付ける。オペレータは、建築資材運搬ロボット20に取り付けられたハードウェアスイッチを操作して、指示を行なってもよい。
指示を受け付けたと判定した場合(ステップS505でYES)、制御部21は変数「走行モード」をオペレータの指示に基づいて更新する(ステップS506)。制御部21は、駆動部271を制御して、建築資材運搬ロボット20の走行を停止する(ステップS507)。
指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS505でNO)、またはステップS507の終了後、制御部21は変数「走行モード」に追随走行モードが設定されているか否かを判定する(ステップS508)。追随走行モードが設定されていると判定した場合(ステップS508でYES)、制御部21は追随走行のサブルーチンを起動する(ステップS509)。追随走行のサブルーチンは、オペレータに追随して走行するサブルーチンである。追随走行のサブルーチンの処理の流れは後述する。
「追随走行モード」が設定されていないと判定した場合(ステップS508でNO)、制御部21は変数「走行モード」に先行走行モードが設定されているか否かを判定する(ステップS511)。先行走行モードが設定されていると判定した場合(ステップS511でYES)、制御部21は先行走行のサブルーチンを起動する(ステップS512)。先行走行のサブルーチンは、オペレータに先行して走行するサブルーチンである。先行走行のサブルーチンの処理の流れは後述する。
ステップS509またはステップS512の終了後、制御部21は第1移動記録DB51の新規レコードを作成して、現在時刻と、建築資材運搬ロボット20の位置および向きとを関連付けて記録する(ステップS515)。前述のように、データベースの同期処理により、第1移動記録DB51のデータは、第2移動記録DB52に複写される。同期処理により、制御部41は建築資材運搬ロボット20の走行位置に関する情報を受信する位置受信部の機能と、建築資材運搬ロボット20の位置を記録する位置記録部の機能とを実現する。同様に同期処理により、制御部21は建築資材運搬ロボット20の走行位置に関する情報を送信する第1位置送信部の機能を実現する。
先行走行モードが設定されていないと判定した場合(ステップS511でNO)、制御部21は変数「走行モード」に帰還走行モードが設定されているか否かを判定する(ステップS513)。帰還走行モードが設定されていないと判定した場合(ステップS513でNO)、またはステップS515の終了後、制御部21は建築資材運搬ロボット20の動作を終了するか否かを判定する(ステップS516)。たとえば、オペレータが建築資材運搬ロボット20の動作終了を指示した場合、制御部21は動作を終了すると判定する。
動作を終了しないと判定した場合(ステップS516でNO)、制御部21はステップS505に戻る。なお、本プログラムのステップS505からステップS516までのループは、たとえば0.5秒程度の時間で実行されるように調整されている。
帰還走行モードが設定されていると判定した場合(ステップS513でYES)、制御部21は帰還走行のサブルーチンを起動する(ステップS514)。帰還走行のサブルーチンは、第1移動記録DB51に記録されたデータに基づいて元の場所に帰還するサブルーチンである。帰還走行のサブルーチンの処理の流れは後述する。動作を終了すると判定した場合(ステップS516でYES)、またはステップS514の終了後、制御部21は処理を終了する。
図7は、追随走行のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。追随走行のサブルーチンは、オペレータに追随して走行するサブルーチンである。
制御部21は、センサ25から取得したデータを用いてオペレータを検出する(ステップS531)。制御部21は、オペレータに追随して走行できるか否かを判定する(ステップS532)。たとえば、オペレータと建築資材運搬ロボット20との間の距離が所定の閾値以下である場合、制御部21はオペレータに追随して走行できないと判定する。たとえば建築資材運搬ロボット20が前後にしか走行できないにも関わらず、オペレータが建築資材運搬ロボット20の左または右に検出された場合も、制御部21はオペレータに追随して走行できないと判定する。
追随して走行できないと判定した場合(ステップS532でNO)、制御部21は駆動部271を制御して建築資材運搬ロボット20を停止させる(ステップS533)。その後、制御部21は処理を終了する。
追随して走行できると判定した場合(ステップS532でYES)、制御部21は、センサ25から取得したデータを用いてオペレータと建築資材運搬ロボット20との間に障害物があるか否かを判定する(ステップS534)。障害物があると判定した場合(ステップS534でYES)、制御部21は障害物を回避するルートを検索する(ステップS535)。具体的には制御部21は、建築資材運搬ロボット20とオペレータとを結ぶ直線を中心にして所定の範囲内で、障害物を回避できる走行経路を検索する。
制御部21は、障害物を回避可能な経路を発見できたか否かを判定する(ステップS536)。発見できないと判定した場合(ステップS536でNO)、制御部21は駆動部271を制御して建築資材運搬ロボット20を停止させる(ステップS537)。制御部21は、障害物があるために追随走行できない旨をオペレータに通知する(ステップS538)。
オペレータへの通知は、たとえば「障害物があり通れません」等の音声をスピーカ262から出力することにより行なう。制御部21は、投影部269により障害物を照射して、問題になっている障害物をオペレータに通知してもよい。制御部21は、マーカ268の色を変更して、オペレータに通知してもよい。その後、制御部21は処理を終了する。
障害物を回避可能な経路を発見できたと判定した場合(ステップS536でYES)、制御部21は駆動部271を制御して回避経路を走行する(ステップS539)。障害物がないと判定した場合(ステップS534でNO)、制御部21はオペレータと建築資材運搬ロボット20との間に段差があるか否かを判定する(ステップS541)。
段差があると判定した場合(ステップS541でYES)、制御部21は、段差を乗り越えて走行可能であるか否かを判定する(ステップS542)。走行可能であると判定した場合(ステップS542でYES)、制御部21は駆動部271を制御して、オペレータに追随して走行する(ステップS543)。
段差を乗り越えられないと判定した場合(ステップS542でNO)、制御部21は駆動部271を制御して建築資材運搬ロボット20を停止させる(ステップS544)。制御部21は、段差があるために追随走行できない旨をオペレータに通知する(ステップS545)。その後、制御部21は処理を終了する。
段差がないと判定した場合(ステップS541でNO)、制御部21は駆動部271を制御して、オペレータに追随して走行する(ステップS546)。ステップS539、ステップS543またはステップS546により所定の距離または所定の時間走行した後、制御部21はセンサ25から取得したデータに基づいて建築資材運搬ロボット20の傾斜が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS551)。
ここで、閾値は建築資材運搬ロボット20が安全に停止できる角度に定められている。表1に、積載した資材の重量に基づく閾値の定め方の例を示す。
閾値は、積載した資材の重量と、高さとに基づいて定められてもよい。表2に閾値の定め方の例を示す。
表1および表2は、いずれも閾値の定め方の例示である。閾値は、積載している資材の種類または形状等、任意の条件に基づいて定められていてもよい。
閾値を超えると判定した場合(ステップS551でYES)、制御部21は駆動部271を制御して建築資材運搬ロボット20を停止させる(ステップS552)。制御部21は、傾斜が大きいため走行できない旨をオペレータに通知する(ステップS553)。閾値を超えないと判定した場合(ステップS551でNO)、またはステップS553の終了後、制御部21は処理を終了する。
図8は、先行走行のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。先行走行のサブルーチンは、オペレータに先行して走行するサブルーチンである。
制御部21は、センサ25から取得したデータを用いてオペレータを検出する(ステップS561)。制御部21は、オペレータに先行して走行できるか否かを判定する(ステップS562)。たとえば、建築資材運搬ロボット20がオペレータの反対側で壁にほぼ接している場合、制御部21はオペレータに先行して走行できないと判定する。たとえば建築資材運搬ロボット20が前後にしか走行できないにも関わらず、オペレータが建築資材運搬ロボット20の左または右に検出された場合も、制御部21はオペレータに先行して走行できないと判定する。
先行して走行できないと判定した場合(ステップS562でNO)、制御部21は駆動部271を制御して建築資材運搬ロボット20を停止させる(ステップS563)。その後、制御部21は処理を終了する。
先行して走行できると判定した場合(ステップS562でYES)、制御部21は、センサ25から取得したデータを用いて建築資材運搬ロボット20を挟んでオペレータの反対側に障害物があるか否かを判定する(ステップS564)。障害物があると判定した場合(ステップS564でYES)、制御部21は駆動部271を制御して建築資材運搬ロボット20を停止させる(ステップS565)。
制御部21はオペレータに障害物がある旨を通知する(ステップS566)。たとえば、障害物がエレベータの奥の壁であり、建築資材運搬ロボット20を障害物に近づけたい場合、オペレータは、たとえばタッチパネル35に表示されたボタンを用いて、「前進」を指示する。オペレータは、音声入力またはジェスチャ入力により、指示を行なってもよい。
制御部21は、オペレータが「前進」の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS567)。受け付けたと判定した場合(ステップS567でYES)、制御部21はステップS564で検出した障害物に衝突する直前まで走行する(ステップS568)。受け付けていないと判定した場合(ステップS567でNO)、またはステップS568の終了後、制御部21は処理を終了する。
障害物がないと判定した場合(ステップS564でNO)、制御部21は、建築資材運搬ロボット20を挟んでオペレータの反対側に段差があるか否かを判定する(ステップS571)。段差があると判定した場合(ステップS571でYES)、制御部21は、段差を乗り越えて走行可能であるか否かを判定する(ステップS572)。
なお、乗り越えて走行可能である段差の高さは、駆動部271の出力および車輪272の直径等の、建築資材運搬ロボット20の仕様に基づいて定められる。さらに坂道を走行中である場合、または積載している資材の重量が大きい場合等、建築資材運搬ロボット20にかかる負荷が大きい状況においては、走行可能であるか否かを判定する閾値が小さく定められてもよい。
段差を乗り越えられないと判定した場合(ステップS572でNO)、制御部21は駆動部271を制御して建築資材運搬ロボット20を停止させる(ステップS573)。制御部21は、段差があるために追随走行できない旨をオペレータに通知する(ステップS574)。その後、制御部21は処理を終了する。
段差がないと判定した場合(ステップS571でNO)、または、段差を乗り越えて走行可能であると判定した場合(ステップS572でYES)、制御部21は駆動部271を制御して、オペレータとの間に所定の距離を保ちながら、オペレータの反対側に向けて走行する(ステップS575)。
ステップS575により所定の距離または所定の時間走行した後、制御部21はセンサ25から取得したデータに基づいて建築資材運搬ロボット20の傾斜が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS576)。閾値は、たとえば表1または表2により定められる。
閾値を超えると判定した場合(ステップS576でYES)、制御部21は駆動部271を制御して建築資材運搬ロボット20を停止させる(ステップS577)。制御部21は、傾斜が大きいため走行できない旨をオペレータに通知する(ステップS578)。閾値を超えないと判定した場合(ステップS576でNO)、またはステップS578の終了後、制御部21は処理を終了する。
図9は、帰還走行のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。帰還走行のサブルーチンは、第1移動記録DB51に記録されたデータに基づいて元の場所に帰還するサブルーチンである。
制御部21は、第1移動記録DB51に記録されたデータを、新しい方から1レコード分または数レコード分取得する(ステップS601)。制御部21は、センサ25から取得したデータを用いて、第1移動記録DB51に記録された走行経路を逆走する経路に障害物があるか否かを判定する(ステップS602)。なお、以下の説明においては、第1移動記録DB51に記録された走行経路を逆走する経路を帰還経路と記載する。
障害物があると判定した場合(ステップS602でYES)、制御部21は障害物を回避するルートを検索する(ステップS603)。具体的には制御部21は、帰還経路を中心にして所定の範囲内で、障害物を回避できる走行経路を検索する。
制御部21は、障害物を回避可能な経路を発見できたか否かを判定する(ステップS604)。発見できないと判定した場合(ステップS604でNO)、制御部21は駆動部271を制御して建築資材運搬ロボット20を停止させる(ステップS605)。制御部21は、障害物があるために帰還走行できない旨をオペレータに通知する(ステップS606)。具体的には、制御部21はサーバ40を介して情報処理装置30に現在位置および障害物がある旨を表示させる。
制御部21は、たとえば表示灯263を点灯して、オペレータへの通知をおこなってもよい。その後、制御部21は処理を終了する。
障害物を回避可能な経路を発見できたと判定した場合(ステップS604でYES)、制御部21は駆動部271を制御して回避経路を走行する(ステップS607)。障害物がないと判定した場合(ステップS602でNO)、制御部21は帰還経路に段差があるか否かを判定する(ステップS611)。段差があると判定した場合(ステップS611でYES)、制御部21は、段差を乗り越えて走行可能であるか否かを判定する(ステップS612)。
段差を乗り越えられないと判定した場合(ステップS612でNO)、制御部21は駆動部271を制御して建築資材運搬ロボット20を停止させる(ステップS613)。制御部21は、段差があるために帰還走行できない旨をオペレータに通知する(ステップS614)。その後、制御部21は処理を終了する。
段差がないと判定した場合(ステップS611でNO)、または、段差を乗り越えて走行可能であると判定した場合(ステップS612でYES)、制御部21は駆動部271を制御して、帰還経路を走行する(ステップS615)。
ステップS607またはステップS615により所定の距離または所定の時間走行した後、制御部21はセンサ25から取得したデータに基づいて建築資材運搬ロボット20の傾斜が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS621)。閾値は、たとえば表1または表2により定められる。
閾値を超えると判定した場合(ステップS621でYES)、制御部21は駆動部271を制御して建築資材運搬ロボット20を停止させる(ステップS622)。制御部21は、傾斜が大きいため帰還走行できない旨をオペレータに通知する(ステップS623)。
閾値を超えないと判定した場合(ステップS621でNO)、制御部21は、帰還走行の目的地に到着したか否かを判定する(ステップS628)。到着していないと判定した場合(ステップS628でNO)、制御部21はステップS601に戻る。
到着したと判定した場合(ステップS628でYES)、制御部21はオペレータに帰還走行の終了を通知する(ステップS629)。ステップS627またはステップS629の終了後、制御部21は処理を終了する。
図10は、情報処理装置30が表示する画面例である。たとえば図9を使用して説明したステップS606、ステップS614またはステップS623において、制御部21はサーバ40を介して制御部31に図10に例示する画面を表示させる。
図10の画面には、地図欄61およびコメント欄62が表示されている。地図欄61には、建築現場を示す地図が表示されている。なお、図10においては地図の記載を省略する。地図上に、黒四角で示す開始地マーク611、白丸で示す現在地マーク612、白四角で示す目的地マーク613、黒丸で示すオペレータ位置マーク614、破線の白丸で示す他ロボットマーク615、実線で示す通過経路ライン618および破線で示す予定経路ライン619が表示されている。なお、オペレータ位置マーク614は、情報処理装置30の現在地を示す。コメント欄62に、建築資材運搬ロボット20の状態が文字で表示されている。
他ロボットマーク615は、同じ建築現場で可動中の他の建築資材運搬ロボット20の現在地を示す。他ロボットマーク615の近傍に、たとえばそれぞれの建築資材運搬ロボット20を使用しているオペレータの名前、または、建築資材運搬ロボット20の動作モード等の情報が表示されてもよい。
制御部31は、サーバ40から第2移動記録DB52に記録された情報を取得して、地図欄61の表示を行なう。このとき、制御部41は制御部31からの要求に基づいて建築資材運搬ロボット20の位置に関する情報を送信する第2位置送信部の機能を実現する。制御部31は、建築資材運搬ロボット20の位置を地図上に表示する地図表示部の機能を実現する。
図10に示す例では、開始地マーク611で示される場所で、オペレータは建築資材運搬ロボット20の帰還走行を指示した。建築資材運搬ロボット20は、第1移動記録DB51に記録されたデータに沿って通過経路ライン618の帰還経路を走行したが、現在地マーク612の地点で、障害物、段差または傾斜等により、帰還走行を継続できなくなった。
このように建築現場においては、状況が随時変化するため、往路では通行できた経路が帰路では通行できない場合がある。このようなケースにおいて、建築資材運搬ロボット20に自律的に通過できる経路を探索させることは困難である。
オペレータは、図10に例示する画面を見て、たとえば建築資材運搬ロボット20の現在地まで移動し、たとえば追随走行モードを使用して建築資材運搬ロボット20を目的地マーク613まで誘導する。オペレータは、電話等を使用して、同僚または現場監督に建築資材運搬ロボット20の現在地を伝えて、処置を依頼してもよい。
なお、同じ場所に繰り返し資材を運び込んで帰還走行を開始する場合、当該荷下ろし場所に位置マーカ17が配置されていてもよい。オペレータが帰還走行を指示した場合、制御部21は位置マーカ17を読み取ることにより、帰還走行を開始する位置を第1移動記録DB51に記録する。前述のように、データベースの同期処理により、第1移動記録DB51に記録された情報は、第2移動記録DB52に反映される。したがって、地図欄61上の開始地マーク611が正確な位置に表示される建築資材運搬システム10を提供できる。
荷下ろし場所に、位置マーカ17の代わりに定点を規定する電波源等が配置されていてもよい。制御部21は、電波源から受信した信号に基づいて、帰還走行を開始する位置を第1移動記録DB51に正確に記録する。オペレータが、情報処理装置30を使用して帰還走行を開始する位置を入力して、第1移動記録DB51または第2移動記録DB52に記録させてもよい。
制御部21が地図欄61の表示に使用する情報は、第2移動記録DB52に記録された情報に限定しない。たとえば屋根が施工される前の建築現場においては、制御部31は、建築資材運搬ロボット20に搭載されたGPS(Global Positioning System)を遠隔操作して建築資材運搬ロボット20の位置を随時取得し、地図欄61に表示してもよい。離れた場所にある装置に搭載されたGPSから、位置情報を遠隔取得する手法は公知であるため、詳細については説明を省略する。
ビーコン等を用いた屋内位置情報測位システムが設置されている建築現場においては、制御部31は屋内位置情報測位システムから建築資材運搬ロボット20の位置を随時取得し、地図欄61に表示してもよい。なお、制御部21は、GPSまたは屋内位置情報測位システムを用いて得た位置情報を第1移動記録DB51に記録してもよい。
本実施の形態によると、オペレータの前または後ろに随伴して自動的に走行する建築資材運搬ロボット20を提供できる。オペレータは歩くだけであるため、建築資材運搬ロボット20を容易に使用できる。
本実施の形態によるとオペレータは、先導して歩行するだけで建築資材運搬ロボット20を目的地まで誘導し、自動走行により元の場所に戻せる。したがって、オペレータは、走行経路のプログラミング等の特殊な操作を習得する必要がない。
本実施の形態によると、先行走行モードを使用できるため、たとえばエレベータを安全に使用できる建築資材運搬ロボット20を提供できる。
本実施の形態によると、マーカ268を表示することにより、オペレータは建築資材運搬ロボット20が通過できるギリギリの幅の経路であっても、安心して誘導を行なえる。オペレータは、必要以上に広い幅の経路を探す必要がないため、効率の良い経路で建築資材運搬ロボット20を誘導できる。
本実施の形態によると、たとえばオペレータが無意識に段差および傾斜路等を超えて建築資材運搬ロボット20を誘導した場合に、走行可否を判定し、走行できない場合には自動的に停止してオペレータに通知する建築資材運搬ロボット20を提供できる。積載している資材の重量および高さ等に基づいて、走行可否を判定する基準を適宜設定できる建築資材運搬ロボット20を提供できる。
なお、制御部21は、追随走行および先行走行を行なう際の、オペレータと建築資材運搬ロボット20との間の距離に関する設定をそれぞれ受け付けてもよい。たとえば、制御部21は情報処理装置30を介してオペレータによる設定を受け付ける。建築資材運搬ロボット20の外装に、オペレータとの距離の設定を受け付けるボタンが配置されていてもよい。追随走行を行なう際の距離と、先行走行を行なう際の距離とは、同一の距離に設定されてもよい。
たとえば追随走行中に下り坂を通過する場合、制御部21はオペレータと建築資材運搬ロボット20との間の距離を平地よりも大きく設定してもよい。同様に先行走行中に上り坂を通過する場合も、制御部21はオペレータと建築資材運搬ロボット20との間の距離を平地よりも大きく設定してもよい。平地に比べてブレーキの効きにくい坂道において、オペレータとの間に安全な距離を確保する建築資材運搬ロボット20を提供できる。
追随走行を行なう際の距離が大きく設定された場合、制御部21は投影部269を制御してマーカ268を遠方まで照射させる。すなわち、制御部21はオペレータよりも前方までマーカ268を照射する。
建築資材運搬ロボット20は周囲の明るさを検出する明るさセンサを備え、制御部21は周囲の明るさに応じて投影部269が投影するマーカ268の明るさを調整してもよい。具体的には制御部21は、明るい場所においてはマーカ268を高輝度で照射し、暗い場所においてはマーカ268を低輝度で照射する。
投影部269が、周囲の明るさに基づいて自律的にマーカ268を照射する輝度を調整する機能を備えてもよい。制御部21に負荷を掛けずに、マーカ268の照射輝度を調整する建築資材運搬ロボット20を提供できる。
制御部21は、図6を使用して説明したステップS501でオペレータ認証を行なった後も、適宜オペレータ認証を繰り返してもよい。このようにする場合には、適切な認証が行なわれない場合、制御部21は駆動部271を操作して建築資材運搬ロボット20をその場に停止させるロック状態にする。制御部21と駆動部271とは、連携して本実施の形態のセキュリティロック機構を実現する。たとえば、所定の時間ごとにオペレータ認証を繰り返すことにより、正規のオペレータ以外の者による建築資材運搬ロボット20の使用および盗難等を防止できる。
[変形例1-1]
本変形例は、資材を積載するカゴ289が着脱可能な建築資材運搬ロボット20に関する実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
図11は、変形例1-1の建築資材運搬ロボット20の分解図である。カゴ289は、上面が開放されており、側面に柵275を有する箱型である。カゴ289の底面は板状である。台座274の上面には、ゴム製のシート16が固定されている。図示を省略するが、台座274にはカゴ289を固定する固定機構が設けられている。
たとえば、資材を積載したカゴ289が、トラックで建築現場に輸送される。カゴ289は、クレーン等により吊り上げられて、台座274の上に載せられる。オペレータは、シート16が滑り止めの機能を果たしている間に、固定機構を操作してカゴ289と台座274とを固定する。なお、固定機構はカゴ289を検知して自動的に作動してもよい。制御部21が固定機構を作動させてもよい。オペレータは、緊急停止ボタン277を柵275に取り付ける。その後オペレータは、実施の形態1で説明したように、建築資材運搬ロボット20を使用する。
台座274は、固定機構を備えず、シート16のすべり止め機能によりカゴ289が台座274の上に保持されてもよい。台座274の上にシート16が配置されておらず、台座274の上にカゴ289が直接搭載されてもよい。
本変形例によると、建築資材運搬ロボット20に資材を積載する作業を省力化できる。
建築資材運搬ロボット20自体を十分に安価に製作できる場合には、資材を積載した建築資材運搬ロボット20が、トラックにより建築現場に輸送されてもよい。建築資材運搬ロボット20にクレーン吊り上げ用の吊り治具を設けることにより、輸送された建築資材運搬ロボット20をトラックから速やかに降ろして使用できる。
吊り治具を有する建築資材運搬ロボット20は、たとえば高層ビルの建築現場において、クレーンにより屋上等まで吊り上げることもできる。エレベータを使用するよりも速やかに高所まで移動させられる建築資材運搬ロボット20を提供できる。
たとえば、台座274の下面に、工具および設計図等を収納する収納ボックスが取り付けられていてもよい。建築資材運搬ロボット20は、オペレータの指示に応じて車輪272を固定するストッパ機構を有してもよい。
[変形例1-2]
本変形例は、パイプ型の建築資材運搬ロボット20に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
図12は、変形例1-2の建築資材運搬ロボット20の構成を説明する説明図である。本変形例の建築資材運搬ロボット20は、台座274の四隅にパイプ276が立設されている、いわゆるパイプ型の形状である。それぞれのパイプ276には、三か所に緊急停止ボタン277が取り付けられている。なお、1本または複数本のパイプ276の先端に、表示灯263が取り付けられていてもよい。1本のパイプ276に対して、複数の向きに緊急停止ボタン277が取り付けられていてもよい。
本変形例によると、たとえば座り作業をしている作業者や、踏み台に載って作業をしている作業者であっても、緊急停止ボタン277を押しやすい建築資材運搬ロボット20を提供できる。
なお、建築資材運搬ロボット20は台座274を上下させる昇降機構を有してもよい。資材の積み下ろしを行なう際に、資材の上部をオペレータの腰の高さ程度に合わせることにより、オペレータの身体への負担を軽減できる。
[変形例1-3]
本変形例は、折りたたみ式の机を備える建築資材運搬ロボット20に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
図13は、変形例1-3の建築資材運搬ロボットの構成を説明する説明図である。本変形例の建築資材運搬ロボット20は、折りたたみ式の図面台283と、図面台283を照らす照明器具284とを備える。
図13に示す状態では、図面台283は図示を省略するストッパにより、水平に支持されている。図面台283は、図19における反時計回りに回転させて、台座274の縁に沿って立った状態に収納できる。
本変形例によると、オペレータは必要に応じて図面台283を広げて、設計図等を確認できる。照明器具284により、薄暗い場所であっても図面台283を使用できる。
[変形例1-4]
本変形例は、従動台車71を牽引可能な建築資材運搬ロボット20に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
図14は、変形例1-4の建築資材運搬ロボット20の構成を説明する説明図である。建築資材運搬ロボット20は、連結具72を備える。連結具72は、たとえばロープの先端に図示を省略する牽引フックが付いた構成である。ロープは、図示を省略するリールに巻き取り可能である。
図14Aにおいては、建築資材運搬ロボット20は連結具72を使用して従動台車71を牽引している。なお、2台以上の従動台車71が連なって連結されていてもよい。従動台車71の目的地に到達した場合、図14Bに示すように建築資材運搬ロボット20は従動台車71から連結具72を外す。
図14Cに示すように、建築資材運搬ロボット20は連結具72をリールに巻き取って収納し、次の目的地に向けて走行する。本変形例によると、1台の建築資材運搬ロボット20を使用して、多くの資材を搬送できる。
なお、従動台車71の代わりに別の建築資材運搬ロボット20が連結具72に連結されてもよい。
[実施の形態2]
本実施の形態は、手動操作用のハンドル292を備える建築資材運搬ロボット20に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
図15は、実施の形態2の建築資材運搬ロボット20の構成を説明する説明図である。図15Aに示すように、本実施の形態の建築資材運搬ロボット20は、台座274の隅に一対のハンドル穴291を備える。ハンドル穴291は、内面に図示を省略する応力センサおよび電極を備える。
オペレータは台座274に資材を積み込む。台座274の上面が平らであるため、積み込み作業が容易である。その後、オペレータは略U字形状のハンドル292の両端をハンドル穴291に嵌め込む。ハンドル292には、オペレータの接触を検出するハンドルセンサと、情報処理装置30を収容できるホルダ293とが設けられている。ハンドルセンサは、ハンドル穴291の内面に設けられた電極を介して制御部21に接続される。
なお、ハンドルセンサの代わりに、オペレータがハンドルを握った場合にON状態になるハンドルスイッチが設けられていてもよい。
本実施の形態の建築資材運搬ロボット20は、実施の形態1と同様に追随走行モード、先行走行モードおよび帰還走行モードで使用できる。建築資材運搬ロボット20は、オペレータがハンドル292を押し引きする力に応じて、駆動部271が車輪272を動作させる、手動アシストモードを有する。
図16は、実施の形態2のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。制御部21は、オペレータの認証を行なう(ステップS501)。オペレータ認証に成功しない場合(ステップS501でNG)、制御部21は周囲に通知する(ステップS502)。
オペレータ認証に成功した場合(ステップS501でOK)、制御部21はオペレータにより手動アシストモードが指示されているか否かを判定する(ステップS651)。手動アシストモードが指示されていないと判定した場合(ステップS651でNO)、制御部21は図6を使用して説明した実施の形態1のプログラムのステップS503に進む。以下の処理は、実施の形態1と同一であるため、説明を省略する。
手動アシストモードが指示されていると判定した場合(ステップS651でYES)、制御部21はハンドル292に取り付けられたセンサからの信号に基づいて、オペレータがハンドル292に接触しているか否かを判定する(ステップS652)。
接触していると判定した場合(ステップS652でYES)、制御部21はオペレータがハンドル292を押し引きする力に応じて駆動部271を制御して、建築資材運搬ロボット20の走行をアシストする(ステップS653)。ステップS653により、制御部21と駆動部271とは連携して本実施の形態のアシスト走行部の機能を実現する。
オペレータが単にハンドル292に触れている場合、制御部21は建築資材運搬ロボット20を走行させない。オペレータがハンドル292を前方に押した場合、制御部21は建築資材運搬ロボット20を前方、オペレータから離れる向きに走行させる。オペレータがハンドル292を斜め右前方に押した場合、制御部21は建築資材運搬ロボット20を右折する向きに走行させる。
制御部21は、センサ25から取得したデータを用いて走行中の方向に障害物があるか否かを判定する(ステップS654)。障害物があると判定した場合(ステップS654でYES)、制御部21は障害物の存在をオペレータに通知する(ステップS655)。通知は、たとえば「2メートル先に障害物があり通れません」等の音声をスピーカ262から出力することにより行なう。
オペレータがハンドル292に接触していないと判定した場合(ステップS652でNO)、制御部21は駆動部271を制御して駆動輪をロック状態にする(ステップS661)。オペレータがハンドル292に触れていない場合、建築資材運搬ロボット20は、ブレーキが掛かった状態に維持される。
障害物がないと判定した場合(ステップS654でNO)、ステップS655の終了後、またはステップS661の終了後、制御部21は第1移動記録DB51の新規レコードを作成して、現在時刻と、建築資材運搬ロボット20の位置および向きとを関連付けて記録する(ステップS656)。
制御部21はオペレータによる走行モード変更の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS657)。指示を受け付けたと判定した場合(ステップS657でYES)、制御部21はステップS651に戻る。走行モード変更の指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS657でNO)、制御部21は建築資材運搬ロボット20の動作を終了するか否かを判定する(ステップS658)。たとえば、オペレータが建築資材運搬ロボット20の動作終了を指示した場合、制御部21は動作を終了すると判定する。終了すると判定した場合(ステップS658でYES)、制御部21は処理を終了する。
動作を終了しないと判定した場合(ステップS658でNO)、制御部21はステップS652に戻る。なお、本プログラムのステップS652からステップS658までのループは、たとえば0.1秒程度の時間で実行されるように調整されている。
図17は、実施の形態2の情報処理装置30が表示する画面例である。図17の画面には、ロボットID欄631、オペレータID欄632、状態欄633、追随走行ボタン641、先行走行ボタン642、帰還走行ボタン643、手動アシストボタン644、終了ボタン648および緊急停止ボタン649が表示されている。
ロボットID欄631には、近距離無線通信を介して情報処理装置30と接続中である建築資材運搬ロボット20に固有に付与された、ロボットIDが表示されている。オペレータID欄632には、情報処理装置30を使用しているオペレータに固有に付与されたオペレータIDが表示されている。
状態欄633には建築資材運搬ロボット20の動作モードが表示されている。図17においては「手動アシストモード」で建築資材運搬ロボット20が動作中であることが表示されている。制御部21は、通信部24を介して建築資材運搬ロボット20の動作状態を情報処理装置30に送信する動作状態送信部の機能を実現する。制御部31は、図17に示す画面に建築資材運搬ロボット20の動作状態を表示する動作状態表示部の機能を実現する。
追随走行ボタン641、先行走行ボタン642、帰還走行ボタン643および手動アシストボタン644は、オペレータが建築資材運搬ロボット20の動作モードを選択する際に使用するボタンである。図17においては、手動アシストボタン644が選択されている。
終了ボタン648は、オペレータが建築資材運搬ロボット20の動作を終了させる際に使用するボタンである。終了ボタン648の選択を受け付けた場合、図16を使用して説明したプログラムのステップS658で制御部21はYESと判定する。
緊急停止ボタン649の選択を受け付けた場合、緊急停止ボタン277が操作された場合と同様に建築資材運搬ロボット20は緊急停止する。建築資材運搬ロボット20は緊急停止ボタン649を介して緊急停止指示を受け付ける。緊急停止ボタン649が選択されたことを受信した場合、制御部21は割り込み処理により緊急停止処理を実行する。
なお、ハンドル292は台座274に固定されており、着脱できない構造であってもよい。台座274に強固に固定可能であれば、ハンドル292はT字型であってもよい。オペレータがハンドル292に触れていることを検出するセンサと、オペレータによる押し引きを検出するセンサとは、一体であってもよい。
複数のハンドル292が、台座274の複数の辺に沿ってそれぞれ配置されていてもよい。制御部21は、オペレータが接触しているハンドル292からの入力を受け付けて、駆動部271を動作させる。
本実施の形態によると、いわゆる電動アシスト操作が可能な建築資材運搬ロボット20を提供できる。オペレータは旧来の単純な台車と同様の操作により、容易に建築資材運搬ロボット20を使用できる。オペレータは、非常に重い資材であっても身体に負担を掛けずに運搬できる。
[実施の形態3]
本実施の形態は、台座274よりも長い長物の資材を運搬できる建築資材運搬ロボット20に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
図18は、実施の形態3の建築資材運搬ロボット20の構成を説明する説明図である。本実施の形態においては、たとえばケーブルラック、配管または照明器具等の長物の資材が運搬される。このような長物の運搬には、変形例1-2で説明したパイプ型の建築資材運搬ロボット20が適している。
図19は、実施の形態3の建築資材運搬ロボット20の追随走行を説明する説明図である。L1は、建築資材運搬ロボット20の縁とオペレータとの間の間隔を示す。L2は、建築資材運搬ロボット20に積載された長尺資材18の先端と、オペレータとの間の間隔を示す。制御部21は、オペレータの後をL2離れて追随走行する。
同様に先行走行を行なう場合、制御部21は長尺資材18の後端とオペレータとの間の間隔を一定に保って走行する。
図20は、実施の形態3の情報処理装置30が表示する画面例である。図20の画面は、搬送を開始する前にオペレータが使用する画面の例である。図20に示す画面には、4個の長さボタン645、キャンセルボタン646、追随走行ボタン641および先行走行ボタン642が表示されている。
オペレータは長さボタン645により運搬する長尺資材の長さを入力する。図20においては「4m」の長さボタン645が選択されている。制御部21は、(1)式に基づいて、L2を決定する。
L2=(X-A)/2+L1
Xは、長尺資材の長さである。
Aは、建築資材運搬ロボットの長さである。
L1は、所定の定数である。
L1は、たとえば台座274からはみ出さない資材を積載して追随走行を行なう場合の、オペレータと建築資材運搬ロボット20との間の距離である。
本実施の形態によると、台座274からはみ出す資材を運搬する場合であっても安全に追随走行および先行走行を行なう建築資材運搬ロボット20を提供できる。
なお、建築資材運搬ロボット20に資材を積載した後に、オペレータが情報処理装置30を使用して撮影した建築資材運搬ロボット20の写真に基づいて、制御部31がXを自動的に算出してもよい。建築資材運搬ロボット20の寸法が既知であれば、画像解析により積載された資材の寸法を算出できる。
[実施の形態4]
図21は、実施の形態4の建築資材運搬システム10の機能ブロック図である。建築資材運搬システム10は、建築資材運搬ロボット20と、情報処理装置30と、サーバ40とを備える。
建築資材運搬ロボット20は、荷台81と第1位置送信部82とを有する。荷台81は、建築資材を積載可能である。第1位置送信部82は、走行位置に関する情報を送信する。サーバ40は、位置受信部83と、位置記録部84と、第2位置送信部85とを有する。位置受信部83は、走行位置に関する情報を受信する。位置記録部84は、建築資材運搬ロボット20の位置を記録する。第2位置送信部85は、情報処理装置30からの要求に基づいて建築資材運搬ロボット20の位置に関する情報を送信する。情報処理装置30は、地図表示部86を有する。地図表示部86は、第2位置送信部85から受信した情報に基づいて、建築資材運搬ロボット20の位置を地図上に表示する。
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。