JP7320346B2 - 不飽和ニトリルの製造方法 - Google Patents

不飽和ニトリルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7320346B2
JP7320346B2 JP2018222218A JP2018222218A JP7320346B2 JP 7320346 B2 JP7320346 B2 JP 7320346B2 JP 2018222218 A JP2018222218 A JP 2018222218A JP 2018222218 A JP2018222218 A JP 2018222218A JP 7320346 B2 JP7320346 B2 JP 7320346B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
fluidized bed
bed reactor
cyclone
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018222218A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020083832A (ja
Inventor
翔 田村
聡 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2018222218A priority Critical patent/JP7320346B2/ja
Publication of JP2020083832A publication Critical patent/JP2020083832A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7320346B2 publication Critical patent/JP7320346B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、不飽和ニトリルの製造方法に関する。
流動層反応器を用いたアンモオキシデーションは、古くから工業的に実施されている。α,β-不飽和ニトリルの反応収率の向上を目的として、触媒の開発及び反応器内部装置の改良として、例えば、原料ガス分散管や分散板の改良がなされている。鞭巌・森滋勝・堀尾正靭「流動層の反応工学」(倍風館(1984)発行)や、Fluidization Engineering(流動層工学);DAIZO KUNII・OCTAVE LEVENSPIEL(JOHNWILEY & SONS.INC,(1969)発行)には、ごく一般的な流動層反応技術について述べられている。
工業規模での装置においては、長期連続で生産運転を行うため、反応収率に影響を及ぼす触媒の活性低下及び触媒流出による触媒充填量の減少や触媒粒径分布の変化等が生じる。このため、連続運転中に、これら触媒活性・充填量・粒径分布などの調整が一般的に行われている。例えば、反応収率維持を目的として、流動層反応器の外へ飛散する触媒分の補填や、触媒中の活性成分の濃度低下防止のために、触媒を新たに追加したり、一部を抜き出して再生後、戻したり、あるいは触媒全量の交換を行っている。また、反応器外への触媒の飛散を防止することが要求される。
反応器外への触媒の飛散を防止するために、例えば、特許文献1において、反応器内に設置されたサイクロンにより触媒と生成ガスとを分離し、ここで、反応器とサイクロンとの間の1時間あたりの触媒循環量を全触媒量(100質量%)の500~3000質量%の範囲とすることが記載されている。
特許第4762554号明細書
特許文献1に記載の技術によれば、触媒粒子へ加わる衝撃力及び衝撃頻度の両方を制御することで、経時的なアクリロニトリル収率の低下をある程度抑制することはできるが、サイクロンにより分離された触媒を戻す位置については特に言及されていない。ここで、サイクロンに捕捉される前の触媒は、触媒希薄層(触媒の空間密度の低い領域)に存在するものであり、触媒濃厚層に比べて還元状態となっており触媒の活性としては低下する傾向にある。このような触媒希薄層の触媒をそのまま循環させると、反応収率はやがて低下する。本発明は、以上の従来技術が有する問題点に鑑みなされたものであり、長期にわたり高い水準の反応収率を維持できる不飽和ニトリルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、サイクロンに捕捉される流動層反応器の触媒希薄層に位置する触媒を、所定の触媒密度となる位置に戻し、且つ、触媒の循環量を所定の範囲に調整することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
流動層反応器における原料ガス供給口上に形成される触媒濃厚層に原料ガスを供給し、気相接触アンモ酸化反応により生成ガスを得る工程と、
前記流動層反応器に設置されたサイクロンで前記生成ガスと前記触媒とを分離し、分離された触媒を前記触媒濃厚層に戻すと共に前記生成ガスを前記流動層反応器の塔頂部から排出する工程と、
を含み、
前記サイクロンにより分離された触媒の、前記触媒濃厚層への供給位置における触媒密度が、150~800kg/m3であり、
前記流動層反応器に収容した全触媒量100質量%に対し、前記サイクロンから前記触媒濃厚層に戻される触媒量が、2000~20000質量%/hである、不飽和ニトリルの製造方法。
[2]
前記サイクロンから前記触媒濃厚層に戻される触媒量が、2800~19000質量%/hである、[1]に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[3]
前記サイクロンから前記触媒濃厚層に戻される触媒量が、3000~18000質量%/hである、[1]に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[4]
前記原料ガスが、炭素数2~4のアルカン又はアルケンを含む、[1]又は[2]又は[3]に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[5]
前記アルカンが、プロパン又はイソブタンである、[4]に不飽和ニトリルの製造方法。
[6]
前記アルケンが、プロピレン又はイソブテンである、[4]に不飽和ニトリルの製造方法。
本発明によれば、長期にわたり高い水準の反応収率を維持できる不飽和ニトリルの製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る不飽和ニトリルの製造方法に使用できる流動層反応装置の一例を示す概略断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態に係る不飽和ニトリルの製造方法は、流動層反応器における原料ガス供給口上に形成される触媒濃厚層に原料ガスを供給し、気相接触アンモ酸化反応により生成ガスを得る工程(以下、「工程(1)」ともいう。)と、前記流動層反応器に設置されたサイクロンで前記生成ガスと前記触媒とを分離し、分離された触媒を前記触媒濃厚層に戻すと共に前記生成ガスを前記流動層反応器の塔頂部から排出する工程(以下、「工程(2)」ともいう。)と、を含み、前記サイクロンにより分離された触媒の、前記触媒濃厚層への供給位置における触媒密度が、150~800kg/m3であり、前記流動層反応器に収容した全触媒量100質量%に対し、前記サイクロンから前記触媒濃厚層に戻される触媒量が、2000~20000質量%/hである。このように構成されているため、本実施形態に係る不飽和ニトリルの製造方法によれば、長期にわたり高い水準の反応収率を維持できる。
本実施形態に係る不飽和ニトリルの製造方法を実施するための手段の一例として、図1に本実施形態で用いられる流動層反応装置の概略図を例示する。
図1における流動層反応器1は気相反応の反応系と外部とを分画する気相反応装置の本体部分に相当し、その形状としては公知のものと同様でよい。流動層反応器1は、その内部において、例えば、
該流動層反応器下部に接続され、反応系内に空気(酸素)を導入する空気(酸素)導入管2と、
該流動層反応器1の下部に設けられ、反応原料である空気(酸素)を反応系内で分散させる空気(酸素)分散板3と、
後述する原料ガス供給口5上部に接続され、空気(酸素)以外の反応原料となる原料ガスを反応系内に導入する原料ガス導入管4と、
該流動層反応器1の下部に設けられ、原料ガスを反応系内で分散させる原料ガス供給口5と、
該原料ガス供給口5上部に充填された流動層触媒から構成される触媒濃厚層6と、
該流動層反応器1内の上部に備え付けられた第3段サイクロン8a、第2段サイクロン8b及び/又は第1段サイクロン8cと、
該第1段サイクロン8cの入り口に相当するサイクロン入口7と、
該第3段サイクロン8a、第2段サイクロン8b及び/又は第1段サイクロン8cに接続された第3段ディプレッグ9a、第2段ディプレッグ9b及び/又は第1段ディプレッグ9cと、
該第3段ディプレッグ9a、第2段ディプレッグ9b及び/又は第1段ディプレッグ9c下部に設けられたトリクルバルブ10a及び/又はトリクルバルブ10b、受け板10cと、
該流動層反応器上部に設けられた生成ガス流出管11と、
を備えている。
また、図示していないが、流動層反応器1内に複数の除熱管を設置して反応熱を除熱する等により、反応温度を制御することが好ましい。反応温度は温度計で測定されるが、ケミカルプラントにおいて通常用いられるものでよく、特に形式等は限定されない。温度計は触媒層の温度分布を把握できる箇所に複数個設置することが好ましい。
以下、図1に例示する流動層反応装置を用いた、本実施形態の不飽和ニトリルの製造方法について詳述する。
[工程(1)]
工程(1)は、流動層反応器における原料ガス供給口上に形成される触媒濃厚層に原料ガスを供給し、気相接触アンモ酸化反応により生成ガスを得る工程である。
原料ガスは、原料ガス導入管4等により流動層反応器1に供給される。原料ガスとしては気相反応の反応原料となるものであれば特に限定されず、例えば、アルカン、アルケン等の炭化水素に加えてアンモニアが使用される。また、反応原料として使用しうる空気(酸素)は、爆発防止の観点から空気(酸素)導入管2を通じ、該流動層反応器1の下部に設けられた空気(酸素)分散板3から反応器に導入される。具体的には、前記炭化水素と、酸素や空気等の酸化剤と、アンモニアとが用いられる。本実施形態において、これらの反応原料を総称して反応原料ガスともいう。
アルカンとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数1~4のもの(メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン等)が挙げられ、アルケンとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数2~4のもの(エチレン、プロピレン、n-ブテン、イソブテン、t-ブテン等)が挙げられる。
生成する不飽和ニトリルの化学品中間原料としての価値の観点から、原料ガスは炭素数2~4のアルカン又はアルケンを含むことが好ましい。同様の観点から、上記アルカンは、プロパン又はイソブタンであることがより好ましい。また、上記アルケンは、プロピレン又はイソブテンであることがより好ましい。
原料ガス供給口5の上部には、反応の種類に応じた触媒が必要量充填され、触媒濃厚層6が形成されている。本実施形態で用いられる触媒としては、固体触媒であれば特に限定されず、例えば、シリカ等に担持された金属酸化物触媒が挙げられる。例えば、プロパン又はプロピレンのアンモ酸化の場合、Mo-V-(Sb及び/又はTi)系、Mo-V-Fe系やMo-Bi-Fe系の複合酸化物であって、90質量%以上の触媒粒子の粒子径が10~197μm、圧壊強度が10MPa以上のものが好適に用いられる。
原料ガスは、流動層反応器1の下側に接続された原料ガス導入管4等を経て原料ガス供給口5から、触媒濃厚層6に供給される。空気(酸素)は、流動層反応器1の下側に接続された空気(酸素)導入管2を経て空気(酸素)分散板3から、必要量の触媒が充填されている流動層反応器内に導入される。反応原料及び反応生成物は概して反応器内を下から上へと流通する。
反応原料ガスが触媒濃厚層6に導入されることで、触媒は流動化する。なお、図1には触媒濃厚層6の界面が記載されている。該界面は、原料ガス未導入時までは静止している。原料ガス導入後は、触媒層の空隙率の増加及び大小のあわだちによって界面の突出が起こるため、層高は変動する。従って、界面の位置はあくまで近似的・平均的に図示されたものにすぎない。流動層反応器1の運転中、この界面の上部には、触媒濃厚層よりも触媒密度が低い触媒希薄層が形成される。ここで、気相接触アンモ酸化反応中の、流動層反応器の内部空間における、サイクロンの入口下端より低く分散板までの空間を占める下部空間を触媒濃厚層と定義し、該濃厚層と反応器の生成ガス流出管との間に位置し、かつサイクロンの入口下端から内部空間の上端までの空間を占める上部空間を触媒希薄層と定義する。本実施形態において、触媒希薄層の触媒密度は特に限定されないが、10~100kg/m3であることが好ましい。
反応原料ガスは触媒濃厚層を通過しながら反応して、生成ガスが得られる。得られる生成ガスとしては、特に限定されないが、例えば、プロパン及び/又はプロピレンを原料とするアンモ酸化反応の場合はアクリロニトリル等を含むガスであり、イソブテン及び/又はイソブタンを原料とするアンモ酸化反応の場合はメタクリロニトリル等を含むガスである。
[工程(2)]
工程(2)は、流動層反応器に設置されたサイクロンで前記生成ガスと前記触媒とを分離し、分離された触媒を前記触媒濃厚層に戻すと共に前記生成ガスを前記流動層反応器の塔頂部から排出する工程である。
触媒濃厚層6を通過した生成ガスは、触媒希薄層に存在する触媒と共に、サイクロン入り口7からサイクロン8c、8b及び/又は8aに導入される。次いで、触媒から分離された生成ガスについては、生成ガス排出管11を経て流動層反応器1の塔頂部から排出される。また、生成ガスと共にサイクロンに導入された触媒については、第3段サイクロン8c、第2段サイクロン8b、第1段サイクロン8aの順に通過する際に、生成ガスから分離される。分離された触媒は、それぞれのサイクロンに取り付けられた第3段ディプレッグ9a、第2段ディプレッグ9b及び第1段ディプレッグ9c中に回収され、触媒濃厚層6へ戻される。
本実施形態において、分離された触媒が触媒濃厚層6へ戻される位置が重要となる。すなわち、サイクロンにより分離された触媒の、触媒濃厚層への供給位置における触媒密度が、150~800kg/m3である必要がある。触媒密度が上記範囲となる触媒濃厚層は、反応器内で主に反応が進行する部分であり、十分な量の酸素が存在している。これに対して、触媒希薄層は、反応が殆ど進行していない部分であり、酸素量は比較的少ない。本実施形態において、触媒濃厚層から触媒希薄層へ移行した触媒は、触媒希薄層の酸素濃度が比較的低いことに起因して還元が進行する。すなわち、サイクロンにより分離された触媒は、還元された状態となっている傾向にある。このような状態にある分離された触媒を、触媒密度が上記範囲である触媒濃厚層に供給することにより、還元された触媒の再酸化が促進され、触媒活性の低下を防止することができる。上記と同様の観点から、上記触媒密度は、175~750kg/m3であることが好ましく、200~700kg/m3であることがより好ましい。上記触媒密度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができ、例えば、流動層反応器1内におけるサイクロン等の配置を適宜変更する他、流動層反応器1に充填される触媒の量や供給される反応原料ガスの量、反応器内圧力等により、上記範囲に調整することができる。
本実施形態においては、サイクロンにより分離された触媒を触媒濃厚層に戻す位置を上述したように調整した上で、さらに、流動層反応器に収容した全触媒量100質量%に対し、前記サイクロンから前記触媒濃厚層に戻される触媒量が2000~20000質量%/hとなるように調整する。
上記触媒量が2000質量%/h未満であると、流動層反応器1における触媒の循環量が少な過ぎることに起因して、触媒希薄層(低酸素濃度領域)に触媒が滞留する時間が長くなり、結果として触媒が還元されやすくなる。また、上記触媒量が20000質量%/h超であると、流動層反応器1における触媒の循環量が多過ぎることに起因して、サイクロン内部における触媒への物理的負荷が顕在化して触媒の割れが増加し、結果として触媒飛散量が増加して生産効率が低下する。したがって、本実施形態においては、上記触媒量が2000~20000質量%/hとなるように調整する。上記と同様の観点から、上記触媒量は、2800~19000質量%/hであることが好ましく、3000~18000質量%/hであることがより好ましい。上記触媒量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができ、例えば、流動層反応器1に充填される触媒の量や供給される反応原料ガスの量、ガス線速、触媒のかさ密度等により、上記範囲に調整することができる。
次に、本実施形態を実施例及び比較例により更に詳細に説明する。ただし、本実施形態はその要旨を逸脱しない限り、下記の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で用いた流動層反応装置は、図1に示したものと同様であり、流動層反応器の下部には、反応原料であるガスの分散管及び分散板を有し、また、流動層反応器の上部には、反応器から流出する生成ガスに混入した触媒を捕集するサイクロンを有し、ディプレッグで触媒を下部に返送した。
(触媒密度の測定)
触媒密度は流動床差圧を用いて下記式により算出した。すなわち、流動床反応器の内部空間において、高さの異なる複数の測定点の各所に設置した圧力計から高さ毎の圧力を測定し、触媒の存在量を算出することにより、上部空間及び下部空間の触媒の存在量を特定した。
高さh1~h2(>h1)の触媒密度=(h2-h1間差圧)/(h2-h1間距離)
本実施例においては、希薄層密度はh1=11m、h2=15m、濃厚層密度はh1=0.06、h2=1.2mで測定した。
(触媒循環量の測定)
サイクロンの触媒循環量は下記式により算出した。
触媒循環量=総ガス量(m3/hr)×希薄層密度(kg/m3)/触媒量(kg)
(収率の測定)
アクリロニトリル(以下、AN)の収率は次の通り求めた。生成したANのモル数は、予め濃度既知のANのガスをガスクロマトグラフィー(GC)にて測定して検量線を採った後に、アンモ酸化反応によって生成したガスをGCに定量注入し、測定した。測定して得られた「生成したANのモル数」から、下記式に基づいてANの収率を算出した。
AN収率(%)=(生成したANのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
[実施例1]
図1に示すものと同様の流動床反応器を用意した。流動床反応器は、内径0.6m、長さ17.5mの縦型円筒形を有し、流動床反応器の下端から1mの位置に空気(酸素)分散板3、その上に原料ガス供給口5を対向するように有するものとした。また、流動床反応器内の圧力を測定するための圧力計を空気(酸素)分散板3の上端、サイクロン7の入口上端、及び流動床反応器の上端に設置した。
流動床反応器内に、特許第5694379号明細書の実施例1に記載の触媒(Mo1.00.207Sb0.219Nb0.1020.030Ce0.005On/51.0wt%-SiO2)500kgを充填し、反応温度450℃、反応圧力0.60K/G下でプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:2.8のモル比となるように、反応原料であるプロパン及びアンモニアを原料供給口5から供給し、空気を空気(酸素)分散版3から供給した。その際の希薄層のガス線速、希薄層密度、サイクロンの戻し位置の触媒密度、触媒循環量、気相接触アンモ酸化反応を開始してから、1日経過後のAN収率と、1ヶ月後のAN収率を、表1に示す。
[実施例2]
流動床反応器内に、実施例1に記載の触媒(Mo1.00.207Sb0.219Nb0.1020.030Ce0.005On/51.0wt%-SiO2)500kgを充填し、反応温度450℃、反応圧力0.83K/G下でプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:2.8のモル比となるように、反応原料であるプロパン及びアンモニアを原料供給口5から供給し、空気を空気(酸素)分散版3から供給した。その際の希薄層のガス線速、希薄層密度、サイクロンの戻し位置の触媒密度、触媒循環量、気相接触アンモ酸化反応を開始してから1日経過後のAN収率と、1ヶ月後のAN収率を、表1に示す。
[実施例3]
流動床反応器内に、実施例1に記載の触媒(Mo1.00.207Sb0.219Nb0.1020.030Ce0.005On/51.0wt%-SiO2)500kgを充填し、反応温度450℃、反応圧力0.42K/G下でプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:2.8のモル比となるように、反応原料であるプロパン及びアンモニアを原料供給口5から供給し、空気を空気(酸素)分散版3から供給した。その際の希薄層のガス線速、希薄層密度、サイクロンの戻し位置の触媒密度、触媒循環量、気相接触アンモ酸化反応を開始してから1日経過後のAN収率と、1ヶ月後のAN収率を、表1に示す。
[実施例4]
金属成分の組成がMo12.00Bi0.39Fe1.60Ni6.97Mg0.77Ce0.63Rb0.17で表される60質量%の複合酸化物を40質量%のシリカに担持した触媒を、以下の手順で製造した。
(調製例)原料混合液
まず、30質量%のSiO2を含む水性シリカゾル1333gに、873.5gの水に溶解させた485.9gのパラモリブデン酸アンモニウム[(NH46Mo724・4H2O]を撹拌下で加え、モリブデンとシリカとを含む第一の溶液を得た。次に、16.6質量%の硝酸396.7gに、43.1gの硝酸ビスマス[Bi(NO33・5H2O]、148.0gの硝酸鉄[Fe(NO33・9H2O]、464.7gの硝酸ニッケル[Ni(NO32・6H2O]、45.5gの硝酸マグネシウム[Mg(NO32・6H2O]、62.6gの硝酸セリウム[Ce(NO33・6H2O]、5.89gの硝酸ルビジウム[RbNO3]を溶解させ、第二の溶液を得た。そして、第一の溶液に第二の溶液を混合してスラリー状の原料混合液を得た。
(調製例)触媒
得られた40℃の原料混合液を第一の乾燥装置100を用いて、原料混合液量及び熱風量を表2に示すように変更し、熱風の温度を乾燥室110の直前で230℃、排出した直後で110℃とした以外は実施例1と同様にして乾燥した。得られた乾燥粉体を200℃で5分間保持し、200℃から450℃まで2.5℃/分で昇温し、450℃で20分間保持することで脱硝した。得られた脱硝粉体を580℃で2時間焼成して、触媒を得た。
流動床反応器に、得られた触媒700kgを充填し、反応温度450℃、反応圧力0.60K/G下でプロピレン:アンモニア:酸素=1:1.1:1.8のモル比となるように、反応原料であるプロピレン及びアンモニアを原料供給口5から供給し、空気を空気(酸素)分散版3から供給した。その際の希薄層のガス線速、希薄層密度、サイクロンの戻し位置の触媒密度、触媒循環量、気相接触アンモ酸化反応を開始してから1日経過後のAN収率と、1ヶ月後のAN収率を、表1に示す。
[実施例5]
流動床反応器に、実施例4に記載の触媒700kgを充填し、反応温度450℃、反応圧力0.85K/G下でプロピレン:アンモニア:酸素=1:1.1:1.8のモル比となるように、反応原料であるプロピレン及びアンモニアを原料供給口5から供給し、空気を空気(酸素)分散版3から供給した。その際の希薄層のガス線速、希薄層密度、サイクロンの戻し位置の触媒密度、触媒循環量、気相接触アンモ酸化反応を開始してから1日経過後のAN収率と、1ヶ月後のAN収率を、表1に示す。
[実施例6]
流動床反応器に、実施例4に記載の触媒700kgを充填し、反応温度450℃、反応圧力0.85K/G下でプロピレン:アンモニア:酸素=1:1.1:1.8のモル比となるように、反応原料であるプロピレン及びアンモニアを原料供給口5から供給し、空気を空気(酸素)分散版3から供給した。その際の希薄層のガス線速、希薄層密度、サイクロンの戻し位置の触媒密度、触媒循環量、気相接触アンモ酸化反応を開始してから1日経過後のAN収率と、1ヶ月後のAN収率を、表1に示す。
[比較例1]
流動床反応器内に、実施例1に記載の触媒(Mo1.00.207Sb0.219Nb0.1020.030Ce0.005On/51.0wt%-SiO2)650kgを充填し、反応温度450℃、反応圧力0.42K/G下でプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:2.8のモル比となるように、反応原料であるプロパン及びアンモニアを原料供給口5から供給し、空気を空気(酸素)分散版3から供給した。その際の希薄層のガス線速、希薄層密度、サイクロンの戻し位置の触媒密度、触媒循環量、気相接触アンモ酸化反応を開始してから1日経過後のAN収率と、1ヶ月後のAN収率を、表1に示す。
[比較例2]
流動床反応器内に、実施例1に記載の触媒(Mo1.00.207Sb0.219Nb0.1020.030Ce0.005On/51.0wt%-SiO2)500kgを充填し、反応温度450℃、反応圧力1.14K/G下でプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:2.8のモル比となるように、反応原料であるプロパン及びアンモニアを原料供給口5から供給し、空気を空気(酸素)分散版3から供給した。その際の希薄層のガス線速、希薄層密度、サイクロンの戻し位置の触媒密度、触媒循環量、気相接触アンモ酸化反応を開始してから1日経過後のAN収率と、1ヶ月後のAN収率を、表1に示す。
[比較例3]
流動床反応器に、実施例4に記載の触媒700kgを充填し、反応温度450℃、反応圧力0.21K/G下でプロパン:アンモニア:酸素=1:1.1:1.8のモル比となるように、反応原料であるプロパン及びアンモニアを原料供給口5から供給し、空気を空気(酸素)分散版3から供給した。その際の希薄層のガス線速、希薄層密度、サイクロンの戻し位置の触媒密度、触媒循環量、気相接触アンモ酸化反応を開始してから1日経過後のAN収率と、1ヶ月後のAN収率を、表1に示す。
[比較例4]
流動床反応器に、実施例4に記載の触媒700kgを充填し、反応温度450℃、反応圧力0.33K/G下でプロピレン:アンモニア:酸素=1:1.1:1.8のモル比となるように、反応原料であるプロピレン及びアンモニアを原料供給口5から供給し、空気を空気(酸素)分散版3から供給した。その際の希薄層のガス線速、希薄層密度、サイクロンの戻し位置の触媒密度、触媒循環量、気相接触アンモ酸化反応を開始してから1日経過後のAN収率と、1ヶ月後のAN収率を、表1に示す。
[比較例5]
流動床反応器に、実施例4に記載の触媒700kgを充填し、反応温度450℃、反応圧力01.01K/G下でプロピレン:アンモニア:酸素=1:1.1:1.8のモル比となるように、反応原料であるプロピレン及びアンモニアを原料供給口5から供給し、空気を空気(酸素)分散版3から供給した。その際の希薄層のガス線速、希薄層密度、サイクロンの戻し位置の触媒密度、触媒循環量、気相接触アンモ酸化反応を開始してから1日経過後のAN収率と、1ヶ月後のAN収率を、表1に示す。
上記した実施例1~6及び比較例1~5の評価結果を次の表1にまとめて示す。
Figure 0007320346000001
本発明は、流動層反応装置を用いて流動層反応を実施する際に、有効に利用できる。
1 流動層反応器
2 空気(酸素)導入管
3 空気(酸素)分散板
4 原料ガス導入管
5 原料ガス供給口
6 触媒層
7 サイクロン入口
8c 第1段サイクロン
8b 第2段サイクロン
8a 第3段サイクロン
9c 第1段ディプレッグ
9b 第2段ディプレッグ
9a 第3段ディプレッグ
10c 受け板
10b トリクルバルブ
10a トリクルバルブ
11 生成ガス流出管

Claims (4)

  1. 流動層反応器における原料ガス供給口上に形成される触媒濃厚層に原料ガスを供給し、気相接触アンモ酸化反応により生成ガスを得る工程と、
    前記流動層反応器に設置されたサイクロンで前記生成ガスと前記触媒とを分離し、分離された触媒を前記触媒濃厚層に戻すと共に前記生成ガスを前記流動層反応器の塔頂部から排出する工程と、
    を含み、
    前記サイクロンにより分離された触媒の、前記触媒濃厚層への供給位置における触媒密度が、150~800kg/m3であり、
    前記流動層反応器に収容した全触媒量100質量%に対し、前記サイクロンから前記触媒濃厚層に戻される触媒量が、3000~18000質量%/hである、不飽和ニトリルの製造方法。
  2. 前記原料ガスが、炭素数2~4のアルカン又はアルケンを含む、請求項に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
  3. 前記アルカンが、プロパン又はイソブタンである、請求項に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
  4. 前記アルケンが、プロピレン又はイソブテンである、請求項に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
JP2018222218A 2018-11-28 2018-11-28 不飽和ニトリルの製造方法 Active JP7320346B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018222218A JP7320346B2 (ja) 2018-11-28 2018-11-28 不飽和ニトリルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018222218A JP7320346B2 (ja) 2018-11-28 2018-11-28 不飽和ニトリルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020083832A JP2020083832A (ja) 2020-06-04
JP7320346B2 true JP7320346B2 (ja) 2023-08-03

Family

ID=70906434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018222218A Active JP7320346B2 (ja) 2018-11-28 2018-11-28 不飽和ニトリルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7320346B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114425282B (zh) * 2020-10-14 2023-05-02 中国石油化工股份有限公司 芳烃氨氧化流化床反应装置及反应方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002193906A (ja) 2000-12-25 2002-07-10 Mitsubishi Chemicals Corp 炭化水素の気相接触酸化反応方法
JP2006188457A (ja) 2005-01-06 2006-07-20 Daiyanitorikkusu Kk アクリロニトリルの製造方法
JP2010168331A (ja) 2009-01-26 2010-08-05 Asahi Kasei Chemicals Corp 気相反応方法及び気相反応装置
JP6427723B1 (ja) 2017-07-03 2018-11-21 旭化成株式会社 不飽和ニトリルの製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3976824B2 (ja) * 1996-11-06 2007-09-19 ダイヤニトリックス株式会社 アクリロニトリルの製造法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002193906A (ja) 2000-12-25 2002-07-10 Mitsubishi Chemicals Corp 炭化水素の気相接触酸化反応方法
JP2006188457A (ja) 2005-01-06 2006-07-20 Daiyanitorikkusu Kk アクリロニトリルの製造方法
JP2010168331A (ja) 2009-01-26 2010-08-05 Asahi Kasei Chemicals Corp 気相反応方法及び気相反応装置
JP6427723B1 (ja) 2017-07-03 2018-11-21 旭化成株式会社 不飽和ニトリルの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020083832A (ja) 2020-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20080248947A1 (en) Mixed metal oxide catalysts and catalytic processes for conversions of lower alkane hydrocarbons
JP7320346B2 (ja) 不飽和ニトリルの製造方法
KR101950629B1 (ko) 유동상 반응기에 촉매를 충전시키는 방법 및 니트릴 화합물의 제조 방법
JP6373523B1 (ja) 化合物の製造方法
KR102000899B1 (ko) 불포화 니트릴의 제조 방법
JP7352692B2 (ja) 不飽和ニトリルの製造方法
CN109311805B (zh) 不饱和腈的制造方法
KR101726113B1 (ko) 부타디엔의 제조 방법
JP6427723B1 (ja) 不飽和ニトリルの製造方法
JP7166770B2 (ja) アクリロニトリルの製造方法
TWI685380B (zh) 不飽和腈之製造方法
JPS6144856B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220927

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230629

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230724

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7320346

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150