JP7319411B2 - ポリオレフィン組成物及びポリオレフィンプラスチック - Google Patents

ポリオレフィン組成物及びポリオレフィンプラスチック Download PDF

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Description

本開示内容は、ポリオレフィン組成物及びポリオレフィンプラスチックに関し、特に、良好な抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物及びポリオレフィンプラスチックに関する。
近年、有機材料の性質改良や加工技術の向上により、ポリオレフィン材料を利用して得られるプラスチック製品は、既に多くの分野で適用されている。複数種類のポリオレフィン材料を採用し、加工射出されたポリオレフィン製品は異なる特性を有することができ、異なる分野への適用の需要を満たすことができる。したがって、ポリオレフィン材料の適用性をさらに拡大し、より多くの製品の需要に適合するように、製造者は、ポリオレフィン材料の組成を調整することを試みようとしている。
ポリオレフィン組成物は適用性が広く、異なる分野への適用の需要を満たすことができる。例えば、ポリオレフィン組成物は、スーツケース、包装、家電、衛生材料などを製造する分野に適用され得る。上記ポリオレフィン製品は、使用中に硬質物によって擦られることにより内部応力が集中し、表面に白化現象が発生する可能性があり、これは、応力白化と呼ばれる。また、上記ポリオレフィン製品は、人体に常に接触し、制菌、抗菌機能を有しないため、細菌が繁殖しやすい。
これに鑑み、現在では、上記の問題を解決するように、良好な抗菌性、耐白化性を有する新たなポリオレフィン組成物の開発が急務となっている。
本開示内容は、ポリオレフィン組成物を提供する。ポリオレフィン組成物は、以下を備える。
ポリプロピレンとポリオレフィンエラストマーとを含むポリオレフィン基材70重量部~99重量部
プロピレン、エチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン又はこれらの組み合わせを含む反応物によって重合されてなる主鎖構造と、無水マレイン酸基、マレイン酸基、エチルアクリレート基又はこれらの組み合わせを含む側鎖変性基と、を有する変性ポリオレフィン。
焼成貝殻粉末0.5重量部~10重量部
いくつかの実施形態において、ポリオレフィンエラストマーは、エチレンプロピレン共重合ゴムを含む。
いくつかの実施形態において、ポリオレフィンエラストマーの含有量は、ポリオレフィン基材100重量%に対して10重量%~50重量%である。
いくつかの実施形態において、変性ポリオレフィンは、ポリプロピレングラフト無水マレイン酸を含む。
いくつかの実施形態において、変性ポリオレフィンは、0.5重量部~20重量部である。
いくつかの実施形態において、側鎖変性基のグラフト率は、0.1%~10%である。
いくつかの実施形態において、ポリオレフィン基材は、ポリエチレン、プロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、又はこれらの組み合わせからなる共重合体、又はこれらの組み合わせをさらに含む。
いくつかの実施形態において、焼成貝殻粉末は、焼成されたカキ殻粉末、ハマグリ殻粉末、シジミ殻粉末、九穴貝殻粉末、ムール貝殻粉末、帆貝殻粉末、アワビ貝殻粉末、牡蠣の殻粉末、オイスター殻粉末、アコヤ貝殻粉末、蝶貝殻粉末、ホタテ貝殻粉末、又はこれらの組み合わせを含む。
本開示内容は、上述のいずれかの実施形態に記載のポリオレフィン組成物を混練してなるポリオレフィンプラスチックを提供する。
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、単に例示的かつ説明的なものであり、請求される本開示内容に対する更なる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
明細書の内容を参照して、添付図面と併せて、本開示内容の上記及び他の態様、特徴、及び他の利点をより明確に理解する。
本開示内容の比較例2による偏光顕微鏡で撮影した実験図である。 本開示内容の実施例1による偏光顕微鏡で撮影した実験図である。
以下、本開示内容の実施例の製造及び使用を詳細に検討する。しかしながら、実施例は、多種多様な特定のコンテンツにおいて実施され得る多くの適用可能な概念を提供することを理解されたい。検討された特定の実施例は、説明するためのものだけであり、本開示内容の範囲を限定するためのものではない。
本明細書において、「一数値から他の数値」で表される範囲は、明細書においてその範囲内の全ての数値を一々列挙することを避けるための概略的な表現である。したがって、ある特定の数値範囲の記載は、その数値範囲内の任意の数値、及びその数値範囲内の任意の数値によって定義される小さな数値範囲を包含し、その任意の数値及びその小さな数値範囲が明細書において明示的に記載されているのと同様である。
ポリオレフィン組成物は、従来技術で述べたように、擦れによる表面白化が起こる可能性があり、且つ細菌が繁殖しやすいという問題があった。大衆が製品の外観、衛生、健康面を重視することに伴い、上記の既存の技術的課題及び欠陥を如何に克服するかが、解決すべき重要な課題となっている。これに鑑み、前述の課題及び欠陥を改善するために、良好な抗菌性、耐白色化性を有するポリオレフィン組成物を開発することが望まれている。
本開示内容は、ポリオレフィン組成物を提供する。ポリオレフィン組成物は、ポリオレフィン基材70重量部~99重量部と、焼成貝殻粉末0.5重量部~10重量部と、を含む。ポリオレフィン基材は、ポリプロピレンとポリオレフィンエラストマーとを含む。ポリオレフィン組成物は、良好な抗菌性、耐白化性を有する。
一実施形態において、ポリオレフィン基材は、90重量部~99重量部であることが好ましい。いくつかの実施形態において、ポリプロピレンの含有量は、ポリオレフィン基材100重量%に対して50重量%以上100重量%未満である。好ましくは、ポリプロピレンの含有量は、ポリオレフィン基材100重量%に対して50重量%以上90重量%未満である。いくつかの実施形態において、ポリオレフィンエラストマーの含有量は、ポリオレフィン基材100重量%に対して10重量%~50重量%である。好ましくは、ポリオレフィンエラストマーの含有量は、ポリオレフィン基材100重量%に対して10重量%~25重量%である。
いくつかの実施形態において、ポリオレフィンエラストマー(polyolefin elastomer;POE)は、エチレンプロピレン共重合ゴムを含む。エチレンプロピレン共重合ゴムは、エチレンプロピレンゴム(ethylene propylene rubber;EPR)、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(ethylene propylene diene-terpolymer;EPDM)、又はこれらの組み合わせを含む。しかし、本開示内容はこれらに限定されず、他の適切なエチレンプロピレン共重合ゴムも本開示内容のポリオレフィンエラストマーとして使用されてもよい。
ポリオレフィン組成物がポリオレフィンエラストマーを含む場合、ポリプロピレン、ポリオレフィンエラストマー及び焼成貝殻粉末を混練する時に、ポリオレフィンエラストマーによってポリプロピレンの混練時の結晶球のサイズが制限されるため、ポリオレフィン基材の結晶球晶を細かくし、さらに本開示内容のポリオレフィン組成物の耐白化性を向上させることができる。
ポリオレフィン基材は、ポリプロピレンとは異なるポリオレフィンをさらに含んでもよい。詳細には、いくつかの実施形態において、ポリオレフィン基材は、ポリエチレン、プロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、又はこれらの組み合わせからなる共重合体、又はこれらの組み合わせをさらに含む。例えば、好ましくは、ポリオレフィン基材は、プロピレンとエチレンとの共重合体をさらに含む。いくつかの実施形態において、ポリオレフィン基材は、プロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、又はこれらの組み合わせの混合物を反応させてなる共重合体をさらに含む。この実施形態において、混合物100重量%に対して、プロピレンの含有量は20重量%~100重量%であってもよく、エチレンの含有量は0重量%~20重量%であってもよく、ブテンの含有量は0重量%~20重量%であってもよく、ヘキセンの含有量は0重量%~20重量%であってもよく、オクテンの含有量は0重量%~20重量%であってもよい。いくつかの実施形態において、ポリオレフィン基材は、ポリエチレンをさらに含み、ポリエチレンの含有量がポリオレフィン基材100重量%に対して20重量%か~50重量%である。
ポリオレフィン基材が、プロピレンと他のアルケニル化合物とにより形成された共重合体を含む場合、他のアルケニル化合物により形成される共重合セグメントがプロピレン重合セグメントに挿通されて、形成されたポリオレフィンの結晶球を小さくすることができる。ポリオレフィンが硬質物によって擦られる時に結晶球界面に応力が集中しやすいため、屈折率差が生じて白化現象を引き起こす。他のアルケニル化合物により形成された共重合体が小さな結晶球を有することにより優れた耐白化性をもたらすので、これらの共重合体セグメントは、抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物の耐白化性の向上に寄与する。ポリオレフィン基材がポリエチレンを含む場合、ポリオレフィン組成物を混練する時に、ポリエチレンによってポリプロピレンの混練時の結晶球のサイズが制限されるため、ポリオレフィン基材の結晶球晶を細かくし、さらに本開示内容のポリオレフィン組成物の耐白化性を向上させることができる。
いくつかの実施形態において、焼成貝殻粉末は、焼成されたカキ殻粉末、ハマグリ殻粉末、シジミ殻粉末、九穴貝殻粉末、ムール貝殻粉末、帆貝殻粉末、アワビ貝殻粉末、牡蠣の殻粉末、オイスター殻粉末、アコヤ貝殻粉末、蝶貝殻粉末、ホタテ貝殻粉末、又はこれらの組み合わせを含む。例えば、焼成温度は、900℃~1200℃である。貝殻粉末は、一般的に、廃棄された天然貝類の外殻に対して洗浄、粉砕、焼成、研磨等を行って製造される。貝殻粉末は、酸化カルシウムを含み、抗菌材とすることができる。酸化カルシウムは、空気、水分とアルカリ性環境を作り、抗菌効果を有する。本開示内容の貝殻粉末は、上述した材料に限定されず、前述の説明から分かるように、焼成貝殻粉末が酸化カルシウムを含む場合、本開示内容の抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物の抗菌特性を効果的に向上させることができる。本開示内容は、廃棄された殻本体を利用して、焼成貝殻粉末を製造することができ、環境にやさしいだけでなく、廃棄された殻本体のリサイクルの価値を大幅に向上させることができる。
いくつかの実施形態において、焼成貝殻粉末は、貝殻に対して前処理工程を行って貝殻粒子を得る工程(a)と、貝殻粒子に対してアルカリコーティング工程を施す工程(b)と、アルカリコーティング粒子に対して焼成工程を行って焼成粒子を得る工程(c)と、焼成粒子に対して研磨工程を行って焼成貝殻粉末を得る工程(d)とによって製造される。いくつかの実施形態において、前処理工程は、貝殻粒子を得るように、例えば、貝殻内の残肉及び不純物を除去する工程、表面洗浄工程及び粗破砕工程を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、アルカリコーティング工程は、貝殻粒子に対してカルシウム塩スラリーでコーティングを2時間~4時間行うことであり、カルシウム塩スラリーが少なくとも2.5wt%のカルシウム塩を含み、貝殻粒子とそのカルシウム塩スラリーとの重量体積比(g/mL)が0.1~1である。いくつかの実施形態において、カルシウム塩は水酸化カルシウムである。いくつかの実施形態において、焼成工程は、900℃~1200℃の温度で行われる。いくつかの実施形態において、焼成時間は3時間~6時間である。いくつかの実施形態において、貝殻は、一枚貝の殻及び/又は二枚貝の殻に由来するものである。
いくつかの実施形態において、上記工程で製造された焼成貝殻粉末は、コアシェル構造を有し、コアシェル構造のコア層は、ミクロンオーダーの酸化カルシウム粒子であり、コアシェル構造のシェル層は、ナノメートルオーダーからサブミクロンオーダーの酸化カルシウム微粒子である。ミクロンオーダーの酸化カルシウム粒子は、平均粒径が7μm~500μmであり、ナノメートルオーダーからサブミクロンオーダーの酸化カルシウム微粒子は、平均粒径が200nm以下である。いくつかの実施形態において、焼成貝殻粉末は、白色度が少なくとも60である。白色度は、例えば60~88である。いくつかの実施形態において、焼成貝殻粉末は、亜鉛の含有量が1.67ppm未満、マンガンの含有量が40ppm未満、鉄の含有量が350ppm未満である。いくつかの実施形態において、コアシェル構造のシェル層は、不連続層又は連続層である。いくつかの実施形態において、ナノメートルオーダーからサブミクロンオーダーの酸化カルシウム微粒子は、平均粒径が60nm~150nmである。いくつかの実施形態において、焼成貝殻粉末は、比表面積が少なくとも8000cm2/gである。
本開示内容のポリオレフィン組成物は、混練によってポリオレフィンプラスチックにすることができる。酸化カルシウムを含有する焼成貝殻粉末はポリオレフィン基材に分散されるため、不均一核生成(heterogeneous nucleation)現象が発生し、ポリオレフィン基材の結晶化速度が上昇し、ポリオレフィン基材の結晶球晶を細かくできる。且つ、結晶球同士の境界がぼける傾向があり、ポリオレフィンエラストマー、プロピレンと他のアルケニル化合物により形成された共重合体、及びポリエチレンの耐白化性と相乗作用を有するため、本開示内容のポリオレフィン組成物の耐白化性を向上させることができる。
本開示内容のポリオレフィン組成物において、ポリオレフィン組成物100重量部に対して、焼成貝殻粉末の含有量が0.5重量部未満である場合、焼成貝殻粉末が少なすぎると、抗菌要求を満たすことができず、ポリオレフィン組成物の抗菌特性を効果的に向上させることが困難である。貝殻粉末の含有量が10重量部を超える場合、ポリオレフィン基材の抗菌性を効果的に向上させることができるが、焼成貝殻粉末が多すぎると、混練中に凝集しやすくなり、ポリオレフィン基材に均一に分散されず、さらにポリオレフィン組成物の機械的特性を低下させる。いくつかの実施形態において、焼成貝殻粉末は、1重量部~6重量部であることが好ましい。
いくつかの実施形態において、ポリオレフィン組成物は、プロピレン、エチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン又はこれらの組み合わせを含む反応物によって重合されてなる主鎖構造と、無水マレイン酸基、マレイン酸基、アクリル酸基、メタクリル酸基、メチルメタクリレート基、エチルアクリレート基又はこれらの組み合わせを含む側鎖変性基と、を有する変性ポリオレフィンをさらに備える。本開示内容は、これらに限定されず、他の適切なアルケンも本開示内容の反応物として使用されてもよい。いくつかの実施形態において、変性ポリオレフィンの含有量は、0.5重量部~20重量部である。いくつかの実施形態において、変性ポリオレフィンの含有量は、1重量部~6重量部であることが好ましい。
変性ポリオレフィンはポリオレフィンと均一に混合でき、側鎖変性基は焼成貝殻粉末の表面基と吸引できるため、貝殻粉末をポリオレフィン基材により均一に分散させ、さらにポリオレフィン組成物の抗菌性、耐白化特性を向上させることに寄与する。いくつかの実施形態において、変性ポリオレフィンは、ポリプロピレングラフト無水マレイン酸(PP-g-MA)を含む。無水マレイン酸の側鎖変性基を有するポリプロピレンは、無水マレイン酸基を介して貝殻粉末と結合し、ポリプロピレンセグメントによりポリオレフィン基材と吸引して、ポリオレフィン基材に貝殻粉末をさらに分散させることができる。無水マレイン酸基をグラフトしたポリプロピレンは、変性層を形成し、貝殻粉末の表面をコーティングすることができるので、ポリオレフィン基材への貝殻粉末の分散性を向上させることができる。
いくつかの実施形態において、側鎖変性基のグラフト率は、0.1%~10%である。側鎖変性基のグラフト率が前述の範囲である場合、適切な含有量の側鎖修飾基により、より効果的に貝殻粉末をポリオレフィン基材に均一に分散させることができる。また、適切な含有量の側鎖変性基により、製造されたポリオレフィン組成物の耐白化性と抗菌特性とを両立させることができる。
いくつかの実施形態において、変性ポリオレフィンの含有量は、ポリオレフィン組成物100重量部に対して0.5重量部~20重量部であり、好ましくは1重量部~6重量部である。変性ポリオレフィンの使用量が0.5重量部未満である場合、前述の変性ポリオレフィンの貝殻粉末への分散効果が不十分となり、ポリオレフィン組成物の抗菌性、耐白化効果を効果的に向上させることができない。変性ポリオレフィンの含有量が20重量部を超える場合、変性ポリオレフィンが多すぎると、製造されたポリオレフィン組成物の機械的性質を低下させる。
本開示内容は、上記のいずれかの実施形態に記載のポリオレフィン組成物を混練してなるポリオレフィンプラスチックを提供する。詳細には、ポリオレフィン組成物の原料を、高温と加えられたせん断力等により均一に混合し、押出冷却により、抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィンプラスチック粒子を製造することができる。例えば、混練の温度は、180℃~250℃である。
以下、実施例を用いて本開示内容の適用を説明するが、それは本開示内容を限定するものではなく、当業者であれば、本開示の精神と範囲から逸脱しない限り、様々な変更や修正を加えることができる。
[実験例1:抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物の製造、耐白化評価、及び抗菌評価]
実施例1のポリオレフィン組成物のポリオレフィン基材は、55重量%のポリプロピレンと、25重量%のポリエチレンと、20重量%のエチレンプロピレン共重合ゴムとを含む。次に、実施例1の抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物は、前述のポリオレフィン基材99重量部と、カキ殻粉末1重量部と、ポリプロピレングラフト無水マレイン酸(PP-g-MA)0重量部とを含む。上記した材料を混練すれば、実施例1の抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物を製造することができる。
実施例2~14及び比較例1~3の抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物は、抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物におけるポリオレフィン基材の組成及びその使用量、ならびに抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物におけるカキ殻粉末及びポリプロピレングラフト無水マレイン酸の使用量を変化させた以外、実施例1の抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物の製造方法と同じ手順で製造された。
上記した実施例1~14及び比較例1~3のレシピ、耐白化性及び抗菌性の評価結果は、それぞれ、以下の表1、表2、表3及び表4に示す通りで、ここで、さらに説明しない。耐白化性及び抗菌性の測定方式については後述する。
Figure 0007319411000001
Figure 0007319411000002
Figure 0007319411000003
Figure 0007319411000004
試験片L値の評価方式:実施例1~14及び比較例1~3の抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物を、射出機(製造社:富強▲きん▼精密工業股▲ふん▼有限公司製、型番HT100)により、長さ120mm、幅70mm、厚さ2mmの試験片に作製し、色度計(製造社:NIPPON DENSHOKU、型番SA2000)によりその試験片の明度を分析し、L値として示された。
耐白化性の評価方式は、耐衝撃白化と耐折曲白化の両者を区別する。耐衝撃白化の評価は以下の通りである。2Kgのおもりを高さ500mmから自由に落下させて2mmの試験片に衝撃を与え、前後のL値の差(ΔL)を耐衝撃白化として取る。そのため、耐衝撃白化ΔLが小さいほど耐衝撃白化に優れることを示す。耐折曲白化の評価方式は以下の通りである。試験片を折り曲げ、前後のL値の差(ΔL)を耐折曲白化として取って、耐折曲白化のΔLが小さいほど耐衝撃白化に優れることを示す。
抗菌性の評価方式:実施例1~実施例14及び比較例1~3の抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物の抗菌性の評価方法は、以下の通りである。前述の射出機により長さ120mm、幅70mm、厚さ2mmの試験片に作製し、CNS15823法に準拠して75%のアルコールで洗浄し、その試験片に菌液0.4mLを接種し、さらに被膜を被覆してシャーレに入れ24時間培養した。培養終了後、さらに試験片を10mLの培養液で洗浄し、対照群と抗菌試験片の培養液のコロニー数の差を比較した。
前述の表2~4に記載の実施例1~14、及び表1に記載の比較例1~3からわかるように、ポリオレフィン基材にポリプロピレンとは異なる第2のポリオレフィン(エチレンプロピレン共重合ゴム)及び/又は第3のポリオレフィン(ポリエチレン)が含まれた場合、製造された抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物の耐白化特性が良好である。中でも、抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物のポリオレフィン基材が、エチレンプロピレン共重合ゴム又はエチレンプロピレン共重合ゴムとポリエチレンとを含み、かつ、カキ殻粉末を含む場合、より好適な耐白化特性を有する。また、抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物のポリオレフィン基材が、ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合ゴム、カキ殻粉末、及びポリプロピレングラフト無水マレイン酸を含む場合、最適な耐白化特性を有する。
前述の表2~4に記載の実施例1~14、及び表1に記載の比較例1~3からわかるように、抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物がカキ殻粉末を含む場合、製造された抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物は、高い抗菌性を有する。さらに、抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物がカキ殻粉末とポリプロピレングラフト無水マレイン酸とを同時に含む場合、抗菌性をさらに向上させることができる。
[実験例2:抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物の結晶球のサイズ評価]
実施例1と比較例2の抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物の結晶球のサイズの評価方法は、偏光顕微鏡(製造社:NIKON、型番LV100POL)により、組成物の結晶球のサイズを分析するというものである。比較例2はカキ殻粉末を含まず、実施例1はカキ殻粉末を含む。
図1及び図2を参照されたい。図1は、本開示内容の比較例2による偏光顕微鏡で撮影した実験図である。図2は、本開示内容の実施例1による偏光顕微鏡で撮影した実験図である。図1及び図2から分かるように、抗菌性、耐白化性を有するポリオレフィン組成物がカキ殻粉末を含む場合、不均一核生成現象が発生するため、ポリオレフィン基材の結晶球晶を細かくでき、且つ、結晶球同士の境界がぼける傾向がある。このことからわかるように、カキ殻粉末は本開示内容のポリオレフィン組成物の耐白化特性を向上させることができる。
前述の説明から分かるように、本開示内容のポリオレフィン組成物は、ポリプロピレンと、ポリオレフィンエラストマーと、焼成貝殻粉末とを含み、良好な耐白化性を有するとともに、抗菌性を具備し、適用性が広く、様々な製品の要求を満たすことができる。また、ポリプロピレンとは異なるポリオレフィン及び/又は変性ポリオレフィンを添加することにより、ポリオレフィン組成物の耐白化性をさらに向上させることができる。
いくつかの実施形態を参照して本開示内容をかなり詳細に説明したが、他の実施形態も可能である。したがって、特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の記載に限定されるべきではない。
本開示内容の範囲又は精神から逸脱しない場合、本開示内容の構造に対する様々な修正及び変更を加えることができることは、当業者には明らかである。前述の内容に鑑み、本開示内容は、特許請求の範囲内に入る本開示内容の修正及び変更を包含することを意図している。

Claims (9)

  1. ポリプロピレンとポリオレフィンエラストマーとを含むポリオレフィン基材70重量部~99重量部と、
    プロピレン、エチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン又はこれらの組み合わせを含む反応物によって重合されてなる主鎖構造と、無水マレイン酸基、マレイン酸基、エチルアクリレート基又はこれらの組み合わせを含む側鎖変性基と、を有する変性ポリオレフィンと、
    焼成貝殻粉末0.5重量部~10重量部と、
    を備えるポリオレフィン組成物。
  2. 前記ポリオレフィンエラストマーは、エチレンプロピレン共重合ゴムを含む請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
  3. 前記ポリオレフィンエラストマーの含有量は、前記ポリオレフィン基材100重量%に対して10重量%~50重量%である請求項1又は2に記載のポリオレフィン組成物。
  4. 前記変性ポリオレフィンは、ポリプロピレングラフト無水マレイン酸を含む請求項に記載のポリオレフィン組成物。
  5. 前記変性ポリオレフィンは、0.5重量部~20重量部である請求項又はに記載のポリオレフィン組成物。
  6. 前記側鎖変性基のグラフト率は、0.1%~10%である請求項1、4又は5に記載のポリオレフィン組成物。
  7. 前記ポリオレフィン基材は、ポリエチレン、プロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、又はこれらの組み合わせからなる共重合体、又はこれらの組み合わせをさらに含む請求項1~のいずれか1項に記載のポリオレフィン組成物。
  8. 前記焼成貝殻粉末は、焼成されたカキ殻粉末、ハマグリ殻粉末、シジミ殻粉末、九穴貝殻粉末、ムール貝殻粉末、帆貝殻粉末、アワビ貝殻粉末、牡蠣の殻粉末、オイスター殻粉末、アコヤ貝殻粉末、蝶貝殻粉末、ホタテ貝殻粉末、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~のいずれか1項に記載のポリオレフィン組成物。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載のポリオレフィン組成物を混練してなるポリオレフィンプラスチック。
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