JP7318510B2 - 研磨部材固定用粘着剤および粘着シート - Google Patents
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Description
また、研磨終了後、糊残りすることなく研磨機定盤から容易に剥がすことが可能であり、長期経時後の再剥離性にも優れた研磨部材固定用粘着シートを提供することを目的とする。
すなわち、基材の片面または両面に、研磨部材固定用粘着剤から形成されてなる粘着剤層を備えた、研磨部材固定用粘着シートとして用いることができる。
なお本発明で粘着シート、粘着テープ、粘着フィルムは同義語である。
本発明の研磨部材固定用粘着剤は、長時間の使用耐性に優れ、研磨の際にかかる強いせん断力に耐えうる凝集力と、従来よりも優れた耐酸性や耐アルカリ性をも持ち合わせているため、研磨機定盤側、および研磨部材側のいずれにも用いることができ、基材の片面または両面に、本発明の研磨部材固定用粘着剤から形成されてなる粘着剤層を備えた、研磨部材用粘着シートとすることができる。とくに、再剥離性に優れ、研磨機の定盤から容易に再剥離が可能であるため、研磨機定盤側に本発明の研磨部材固定用粘着剤を好適に用いることができる。このとき、他方の面の粘着剤層を形成する粘着剤は、従来公知の粘着剤を用いることができる。
なお本発明で研磨部材、研磨布、研磨パット、研磨パッド、研磨PADは同義語である。
本発明の研磨部材固定用粘着剤は、合成ゴム、粘着付与樹脂、および老化防止剤を含有し、前記合成ゴムは、スチレン含有量5~40重量%、かつジブロック含有量5~70重量%であるスチレンイソプレンブロック共重合体(A)を含み、前記粘着付与樹脂は、軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)を含み、前記老化防止剤は、リン酸系老化防止剤(C)を含む。
本発明の合成ゴムは、スチレンイソプレンブロック共重合体(A)を含み、スチレンイソプレンブロック共重合体(A)は、スチレン含有量5~40重量%、ジブロック含有量5~70重量%であるスチレンイソプレンブロック共重合体である。
このようなスチレンイソプレンブロック共重合体(A)を使用することで、適度な粘着性と凝集力を併せ持ち、研磨機定盤から粘着シートを剥がす際に糊残りし難く、再剥離し易い粘着シートとすることが可能となる。
本発明の粘着付与樹脂は、軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)を含む。
テルペンモノマー(αピネン、βピネン等)を合成することで出来るテルペン樹脂を使用することで、スチレンイソプレンブロック共重合体のイソプレン部位に相互に作用し、イソプレン部位を適度に拘束することで、バランスよく低粘着力と凝集力を付与することが可能となり、さらに良好な再剥離性をも有する粘着剤とすることが出来る。また、軟化点が上記範囲であることで、耐熱性と長期経時安定性をバランスよく持ち合わせることが可能となる。
老化防止剤とは、ゴムの老化を防止するものであって、本発明の研磨部材固定用粘着剤は、リン酸系老化防止剤(C)を含む。
スチレン含有量とジブロック含有量が特定範囲であるスチレンイソプレンブロック共重合体(A)と、軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)に加えて、リン酸系老化防止剤(C)を含むことで、熱等により分子鎖が切れることで発生する凝集力の低下を抑制することが可能となり、長時間性能を付与し、長時間の研磨に耐えうる性能も付与することが可能となる。
これらのなかでも、Tris(2,4-di-tert.-butylphenyl)phosphite、またはTris(nonylated phenyl)phosphiteが、長期経時安定性と耐熱性を高度に併せ持つことが可能な点で好ましい。
などを例示することができるが、老化防止剤であれば、これらに限定するものではなく、このような老化防止剤は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
更に、本発明において、粘着剤には、必要に応じて公知の粘着剤に配合される、充填剤、顔料、染料、希釈剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、カップリング剤等、各種添加剤を含んでもよく、また、2種類以上を用いてもよい。また、添加剤の添加量は、必要な物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
本発明の粘着シートは、研磨部材の固定に用いられる粘着シートであって、基材の片面または両面に、本発明の研磨部材固定用粘着剤から形成されてなる粘着剤層を備える。
粘着シートの製造方法としては、粘着剤を剥離ライナーに塗工して粘着剤層を形成した後、基材を貼り合わせる方法(1)。または、基材に粘着剤を塗工し、粘着剤層を形成した後、剥離ライナーに粘着剤を塗工して粘着剤層を形成する方法(2)等で製造できる。
なお、粘着剤層は、粘着シートを使用する直前まで剥離ライナーで保護されていることが通常である。
本発明の研磨部材固定用粘着剤から形成されてなる粘着剤層は、優れた長期経時安定性と耐性を併せ持つことが可能であるため、研磨部材側用、および研磨機定盤用のいずれにも用いることが可能であり、さらに再剥離性にも優れるため、研磨機定盤用にも好適に用いることができる。
粘着剤層を上記範囲にすることで、研磨部材固定用として優れた粘着シートを得ることが出来る。
本発明において、前記フィルム基材は、粘着剤の基材として使用できるプラスチックフィルムである。前記プラスチックフィルムは、例えばポリエチレンおよびポロプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ナイロン、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン、ポリイミドおよびポリアミド等をフィルムにしたものが挙げられる。また、基材は、粘着剤層との密着性を高めるため易接着処理を施してもよい。前記易接着処理は、コロナ放電を行う乾式法およびアンカーコート剤と塗工する湿式法等の公知の方法を使用できる。また、基材は、帯電防止層を形成することができる。帯電防止剤は上段で説明した帯電防止剤の他に、導電性カーボン粒子、導電性金属粒子および導電性ポリマー等の少なくともいずれかを必要に応じて樹脂と配合した組成物が好ましい、または基材に金属蒸着または金属メッキを施すことで帯電防止層を形成できる。本発明の研磨部材固定用粘着剤は、前記基材の中で、易接着処理等の施されていないフィルムを用いることがより好ましい。ゴム系粘着剤の場合、易接着処理面等が施されていると、極性差により、基材から粘着剤が剥がれやすくなるため、両面ともに本発明の研磨部材固定用粘着剤を用いる場合には、両面ともに易接着処理等の施されていないフィルムが好ましく、片面にアクリル系粘着剤、もう一方の面に本発明の研磨部材固定用粘着剤を用いる場合には、易接着処理面等が施されていない面に本発明の研磨部材固定用粘着剤を塗布することが好ましい。
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた4口フラスコに、窒素雰囲気下で、合成ゴムとしてクレイトン社製、D1161を100重量部、溶剤としてメチルエチルケトン、トルエンを適量仕込んだ。次いでフラスコを徐々に加熱し、内温約50℃で3時間加熱を継続した。加熱終了後、冷却し、内温約40℃以下で、粘着付与樹脂として、YSレジンPX1000(ヤスハラケミカル社製)を35重量部、老化防止剤として、Irgafos168(BASFジャパン社製)を1.5重量部仕込み、メチルエチルケトン、トルエンで希釈し、粘着付与樹脂が溶解するまで攪拌を継続し、不揮発分40%、粘度4200mPa・sの研磨部材固定用粘着剤(粘着剤1)を得た。
得られた研磨部材固定用粘着剤(粘着剤1)を、乾燥後の厚みが40μmになるよう25μmのPETフィルム基材に塗工し、100℃で2分間乾燥した後、剥離ライナーを貼り合わせ、次いで得られた研磨部材固定用粘着剤(粘着剤1)を、乾燥後の厚さが40μmになるよう剥離ライナーに塗工し、100℃で2分間乾燥した後、PETフィルム基材の粘着剤が塗布されていない面に貼り合わせ、23℃-50%で1週間放置し、層厚105μmの両面粘着シート1を得た。
合成ゴム、粘着付与樹脂、老化防止剤の種類、および配合量(不揮発分重量部)を表1~3に記載したように変更した以外は、研磨部材固定用粘着剤(粘着剤1)と同様にして、研磨部材固定用粘着剤(粘着剤2~32)の溶液を得た。
なお、表1~5における実施例7~8、16、21は、それぞれ参考例7~8、16、21の意である。
<合成ゴム:スチレンイソプレンブロック共重合体(重量%)>
[スチレンイソプレンブロック共重合体(A)]
・Kraton D1161
(クレイトン社製、スチレン含有量15重量%、ジブロック含有量19重量%、リニア構造)
・Quintac3620
(日本ゼオン社製、スチレン含有量14重量%、ジブロック含有量12重量%、リニア構造)
・Kraton D1193
(クレイトン社製、スチレン含有量24重量%、ジブロック含有量20重量%、リニア構造)
・Quintac3421
(日本ゼオン社製、スチレン含有量14重量%、ジブロック含有量26重量%、リニア構造)
・Kraton D1126
(クレイトン社製、スチレン含有量21重量%、ジブロック含有量30重量%、リニア構造)
・Quintac3450
(日本ゼオン社製、スチレン含有量14重量%、ジブロック含有量26重量%、リニア構造)
・Kraton D1119
(クレイトン社製、スチレン含有量22重量%、ジブロック含有量66重量%、リニア構造)
・Quintac 3270
(日本ゼオン社製、スチレン含有量24重量%、ジブロック含有量67重量%、リニア構造)
[粘着付与樹脂(B)]
・YSレジン PX800
(ヤスハラケミカル社製、テルペン系樹脂、軟化点80℃)
・YSレジン PX1000
(ヤスハラケミカル社製、テルペン系樹脂、軟化点100℃)
・YSレジン PX1250
(ヤスハラケミカル社製、テルペン系樹脂、軟化点125℃)
[その他粘着付与樹脂]
・YSレジン PX300N
(ヤスハラケミカル社製、テルペン系樹脂、軟化点30℃)
・アルコン P100
(荒川化学社製、石油系樹脂、軟化点100℃)
・ペンセル D125
(荒川化学社製、ロジン系樹脂、軟化点125℃)
・YSポリスター T115
(ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点115℃)
[リン酸系老化防止剤(C)]
・Irgafos 168(BASFジャパン社製、老化防止剤、Tris(2,4-di-tert.-butylphenyl)phosphite))
・ノンフレックス TNP(精工化学社製、老化防止剤、Tris(nonylated phenyl)phosphite)
[その他老化防止剤]
・ノンフレックス EBP(精工化学社製、老化防止剤、2,2'-Methylene-bis(4-ethyl-6-tert-butylphenol))
・IrganoxPS 800 FL(BASFジャパン社製、Didodecyl-3,3'-thiodipropionate)
・IrganoxPS 802 FL(BASFジャパン社製、3,3'-Thiodipropionic acid dioctadecylester)
・Irganox 1010(BASFジャパン社製、Pentaerythritol tetrakis(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propionate))
・Irganox 1035(BASFジャパン社製、Thiodiethylene bis[3-(3,5-di-tert.-butyl-4-hydroxy-phenyl)propionate])
得られた粘着シートの測定しない面の剥離ライナーを剥がし、25μmのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から、25μmのPETフィルムを貼り合せた面と逆の剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層をステンレス板に2kgのローラーで1往復圧着し、20分または24時間放置後、引張試験機を使用して剥離角度180度、剥離速度0.3m/分の条件で粘着力を測定した。
得られた粘着シートの測定しない面の剥離ライナーを剥がし、25μmのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から25μmのPETフィルムを貼り合せた面と逆の剥離ライナーを長さ25mm×幅25mm剥がしステンレス板に2kgロールで1往復圧着し、23℃-50%の雰囲気下で20分間放置した。その後、80℃の雰囲気下で1kgの重りを付け180度の方向に力が加わるようセットし、24時間後に粘着シートが被着体から何ミリずれているか、もしくは完全にずれ落ちた落下秒数を測定した。
得られた粘着シートを、80℃および60℃‐90%の恒温恒湿機の中で200時間放置する。200時間放置したシートを取り出し、23℃-50%の雰囲気下で24時間放置後、測定しない面の剥離ライナーを剥がし、25μmのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から25μmのPETフィルムを貼り合せた面と逆の剥離ライナーを長さ25mm×幅25mm剥がしステンレス板に2kgロールで1往復圧着し、23℃-50%の雰囲気下で20分間放置した。その後、80℃の雰囲気下で1kgの重りを付け180度の方向に力が加わるようセットし、24時間後に粘着シートが被着体から何ミリずれているか、もしくは完全にずれ落ちた落下秒数を測定した。
得られた粘着シートの測定しない面の剥離ライナーを剥がし、25μmのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から、25μmのPETフィルムを貼り合せた面と逆の剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層をステンレス板に2kgのローラーで1往復圧着した直後に、水酸化ナトリウムを用いてpH11.5に調整した水溶液中に浸し、40℃の環境下で、24時間放置した。その後、水溶液より試料を取り出し、水洗浄後、23℃-50%の雰囲気下で1時間放置した後にJISZ1528の測定方法に準拠して、引っ張り試験を用いて剥離速度300mm/分で粘着力を測定した。180度粘着力の値に対する変化が少ないほど耐アルカリ性に優れる。
得られた粘着シートの測定しない面の剥離ライナーを剥がし、25μmのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から、25μmのPETフィルムを貼り合せた面と逆の剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層をステンレス板に2kgのローラーで1往復圧着した直後に、硫酸を用いてpH1.5に調整した水溶液中に浸し、40℃の環境下で、24時間放置した。その後、水溶液より試料を取り出し、水洗浄後、23℃-50%RHの雰囲気下で1時間放置した後にJISZ1528の測定方法に準拠して、引っ張り試験を用いて剥離速度300mm/分で粘着力を測定した。180度粘着力の値に対する変化が少ないほど耐酸性に優れる。
得られた粘着シートを、80℃および60℃-90%RHの恒温恒湿機の中で200時間放置する。200時間放置したシートを取り出し、23℃-50%RHの雰囲気下で24時間放置後、得られた粘着シートの測定しない面の剥離ライナーを剥がし、25μmのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から、25μmのPETフィルムを貼り合せた面と逆の剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層をステンレス板に2kgのローラーで1往復圧着した直後に、80℃の温水中に投入し、24時間放置した。24時間経過後、温水中より試料を取り出した直後に、23℃-50%RHの雰囲気下でJISZ1528の測定方法に準拠して、引っ張り試験を用いて剥離速度300mm/分で剥離した。剥離後のステンレス板(SUS板)の表面を目視で評価することで再剥離性を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:SUS板に粘着剤が全く残らず剥離できた。 (非常に良好)
〇:SUS板に粘着剤がごく僅かに付着した。 (良好)
△:SUS板に粘着剤が少量付着した。 (実用上、問題なし)
×:SUS板に粘着剤が付着した。 (実用不可)
さらに再剥離性も優れていることより、研磨部材側だけでなく、定盤側用にも好適に用いることが可能であることが確認できた。
Claims (7)
- 合成ゴム、および粘着付与樹脂を含有する研磨部材固定用粘着剤であって、
前記合成ゴムは、スチレン含有量5~40重量%、かつジブロック含有量8~40重量%であるスチレンイソプレンブロック共重合体(A)を含み、
前記粘着付与樹脂は、軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)を含み、
前記スチレンイソプレンブロック共重合体(A)100重量部に対し、0.3~6重量部のリン酸系老化防止剤(C)を含むことを特徴とした研磨部材固定用粘着剤。 - 前記軟化点70~150℃のテルペン樹脂(B)の含有量は、前記スチレンイソプレンブロック共重合体(A)100重量部に対し、10~50重量部であることを特徴とした、請求項1記載の研磨部材固定用粘着剤。
- 前記リン酸系老化防止剤(C)の含有量は、前記スチレンイソプレンブロック共重合体(A)100重量部に対し、0.4~5重量部であることを特徴とした、請求項1または2記載の研磨部材固定用粘着剤。
- 前記スチレンイソプレンブロック共重合体(A)のジブロック含有量は、10~28重量%であることを特徴とした、請求項1~3いずれか1項記載の研磨部材固定用粘着剤。
- 基材の片面または両面に、請求項1~4いずれか1項記載の研磨部材固定用粘着剤から形成してなる粘着剤層を備えた、粘着シート。
- 前記粘着剤層が、研磨機定盤側用であることを特徴とした、請求項5記載の粘着シート。
- 請求項5または6記載の粘着シートを、研磨部材に貼り合わせ、一体化された、研磨部材積層体。
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