JP7316894B2 - 清掃用ウェットシート - Google Patents

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Description

本発明は、清掃用ウェットシートに関する。
清掃用ウェットシートは、洗浄液を含むシート状の繊維集合基材からなる拭き取り用シートであり、床のシミ汚れや土ボコリの除去と並行して、床の保護、つや出し、除菌を行うことができる(特許文献1参照)。
特許第3578956号公報
しかし、清掃用ウェットシートは、静置による洗浄液の蒸散や、掃除に際しての清掃面への負荷によって洗浄液が過剰に放出され、乾燥してしまうことで、上記した機能が失われてしまうという課題があった。
そこで、本発明の目的は、水分感を持続させながら清掃することができる清掃用ウェットシートを提供することである。
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、洗浄液が含浸されたシート状の繊維集合基材からなる清掃用ウェットシートであって、
前記洗浄液は0.02質量%より多くかつ0.50質量%以下のセルロースナノファイバーを含むことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の清掃用ウェットシートにおいて、
前記洗浄液の含浸率は、前記繊維集合基材の乾燥質量に対して200~350質量%であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の清掃用ウェットシートにおいて、
400g/100cm荷重下での前記洗浄液の放出量が0.0022~0.0039g/100cmであることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の清掃用ウェットシートにおいて、
前記繊維集合基材は複層構造であり、
シートの表面を形成し、疎水性繊維からなる疎水性繊維層と、前記疎水性繊維層に挟まれ、親水性繊維からなる親水性繊維層と、を備え、
前記疎水性繊維層と前記親水性繊維層の境界領域は、互いの繊維が交絡していることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の清掃用ウェットシートにおいて、
前記繊維集合基材は単層構造であり、
40~70質量%の親水性繊維と、30~60質量%の疎水性繊維と、からなることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項4又は5に記載の清掃用ウェットシートにおいて、
前記親水性繊維はパルプからなることを特徴とする。
本発明によれば、水分感を持続させながら清掃することができる清掃用ウェットシートを提供することができる。
実施形態に係る清掃用ウェットシートの斜視図である。 荷重下における洗浄液放出量の測定方法を示す模式図である。
[清掃用ウェットシート]
本発明に係る清掃用ウェットシートPは、例えば不織布等のシート状の繊維集合基材に対して、精製水にセルロースナノファイバー(以下、CNF)を含む各種成分を添加した洗浄液を含浸させたものである。
清掃用ウェットシートPは、例えば、全面にCNFを含む洗浄液が含浸されており、CNFを含まない洗浄液が含浸されたシートよりも親水性及び吸湿性が高くなっている。
清掃用ウェットシートPは、製品形態では、複数枚積層された積層体の状態として、開閉蓋により密閉可能とされたシート取出口を有する密閉容器や袋等の包装手段内に収容することができる。
使用に際しては、清掃用ウェットシートPを容器又は袋内に直に入れたもの、あるいは清掃用ウェットシートPを直に入れた袋を容器内に入れたものから、使用者が取出口を開けて内部のシートを引き出して使用する。
かかる清掃用ウェットシートPは、例えば、身体拭きシート、床等の清掃用シートなど、広範な用途に用いられる。
[繊維集合基材]
繊維集合基材としては、所定の繊維を繊維素材として、例えば、スパンレース、エアスルー、エアレイド、ポイントボンド、スパンボンド、ニードルパンチ等の周知の技術により製造される不織布を用いることができる。
所定の繊維としては、天然、再生、合成を問わず用いることができるが、例えば、レーヨン、リヨセル、テンセル、コットン等のセルロース系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、清掃用ウェットシートPは、図1に示すように、両側の表層が疎水性繊維からなる疎水性繊維層2,2であり、中層が親水性繊維からなる親水性繊維層3である3層構造をなし、疎水性繊維層2,2の繊維と親水性繊維層3の繊維の境界領域は、互いの繊維がそれぞれ交絡するよう構成されている。
このように、疎水性繊維層2,2は、裏面層の親水性繊維層3と隣接しているので、親水性繊維層3に含浸された洗浄液が疎水性繊維層2と隣接する床面へ放出されにくくなっている。そのため、洗浄液を床面へ選択的に放出することができ、清掃に有効でない洗浄液の放出を抑制することができる。
また、疎水性繊維と親水性繊維がそれぞれ交絡するよう構成することで、交絡している部分の保持する空気により、洗浄液の保持性をより高めることができる。
(親水性繊維)
親水性繊維としては、綿、パルプ、麻などの天然繊維、レーヨン、キュプラなどの再生繊維などを使用することができるが、保水性を維持する観点からパルプやセルロースナノファイバーを使用することが好ましい。
(疎水性繊維)
疎水性繊維としては、上記したポリオレフィン系繊維やポリエステル系繊維等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上の複合繊維としては、相対的に融点の低い樹脂(低融点樹脂)鞘部、相対的に融点の高い樹脂(高融点樹脂)を芯部とした芯鞘型や低融点樹脂と高融点樹脂とが所定方向に並列したサイドバック型等が挙げられる。
なお、疎水性繊維におけるポリエチレンテレフタレート繊維の配合率は80質量%以上であることが好ましく、その繊維径は、3.3dtex以上であることが好ましい。繊維径を3.3dtex以上とすることで、繊維の剛性(クッション性)が向上し、軽い力でも操作できるようになる。また、3.3dtex以上の太い繊維径のポリエチレンテレフタレート繊維により、繊維間空隙が確保され、毛細管現象が起きにくくなる。また、芯鞘繊維を用いることで、繊維層間での交絡度合いを調整することができ、清掃時における、繊維の脱落を抑制することができる。
(繊維交絡)
親水性繊維と疎水性繊維を交絡させる手法として、水流交絡が採用されている。具体的には、全面に20kPa未満の微弱な水圧で水を掛けてプレ交絡を施して疎水性繊維層2と親水性繊維層3とを一体にし、その後、交絡部となる箇所に60-80kPaの水圧で水流交絡を施すことで、凹凸のパターニングを有する形状が形成される。
また、本実施形態において水流交絡は、清掃用ウェットシートPの表面層及び裏面層の同一箇所に両側から水を当てて行う。すなわち、交絡部は、凹凸のパターニングが表面層と裏面層とにおいて、同一箇所に対応して形成されている。
交絡部は、水流交絡が施されるため疎水性繊維層2及び親水性繊維層3の繊維が絡まり合っており、繊維密度が高くなっている。このため、交絡部を形成する疎水性繊維は、それぞれの繊維が空間的な自由度を非交絡部に比べて持たず、拭き動作の際、それぞれの繊維が非交絡部に比べて自由に動くことがないようになっている。
このように、水流交絡により交絡するので、疎水性繊維層2と親水性繊維層3とを接着剤等を用いずに交絡することができて、簡易な構成とすることができるとともに、洗浄液の放出面を接着剤が閉塞してしまうことによる拭きムラ等を回避することができる。
(目付け)
本発明の繊維集合基材の場合、基材の目付け量は20~80g/m、特に30~60g/m程度であるのが好ましい。基材の目付け量が20g/m未満では汚れの保持能力が乏しくなり、80g/mを超えると柔軟性が乏しくなる。
[洗浄液]
洗浄液は、清掃用ウェットシートPの清掃洗剤として用いられ、少なくとも水(精製水)、CNFを含有しており、洗浄液全体を100.00質量%としたときに、濃度2.00%のCNF溶液を1.00質量%よりも多く25.00質量%以下の割合で、すなわち、CNFを0.02質量%よりも多く0.50質量%以下の割合で含有していることが好ましく、0.10~0.30質量%含有していることがさらに好ましい。
CNFの含有量が0.02質量%以下では、顕著な効果が得られないのに対し、0.50質量%より多いと、洗浄液の粘度が大きくなり含浸する際の操業性が悪くなる。
なお、洗浄液としては、エタノールなどの低級アルコールと、塩化ベンザルコニウムなどの界面活性剤や殺菌剤と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)と、を水に溶かしたものが例として挙げられる。
洗浄液には、ほかに、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)などの水溶性高分子、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオールなどの多価アルコール、塩化ベンゼトニウム、安息香酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム、及び塩酸ポリヘキサメチレンビグアニド等を含有することができるが、含有し得る成分はこれらに限定されない。
また、洗浄液は、繊維集合基材の乾燥質量に対して100~500質量%の範囲内で含浸させることができるが、200~350質量%含浸させることが好ましい。また、洗浄液は、粘度が25℃において1~15mPa・sになるように調製されているのが好ましい。
(CNF)
CNFは、水分を保持する特性を有し、且つ安全性が高い素材であって、パルプ繊維を解繊して得られる微細なセルロース繊維であり、一般的に繊維幅がナノサイズ(1nm以上、1000nm以下)のセルロース微細繊維を含むセルロース繊維をいうが、平均繊維幅は、100nm以下の微細繊維が好ましい。平均繊維幅の算出は、例えば、一定数の数平均、メジアン、モード径(最頻値)などを用いる。
(CNFに使用可能なパルプ繊維)
CNFとして使用可能なパルプ繊維としては、例えば、広葉樹パルプ(LBKP)、針葉樹パルプ(NBKP)等の化学パルプ、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される古紙パルプ、古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプ(DIP)などが挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
(CNFの解繊方法)
CNFの製造に用いられる解繊方法としては、例えば、高圧ホモジナイザー法、マイクロフリュイダイザー法、グラインダー磨砕法、ビーズミル凍結粉砕法、超音波解繊法等の機械的手法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
なお、上記解繊方法などにより機械的処理のみ施した(変性させていない)CNF、即ち、官能基未修飾のCNFは、リン酸基やカルボキシメチル基などの官能基修飾されたものに対し、熱安定性が高いため、より幅広い用途に使用可能であるが、リン酸基やカルボキシメチル基などの官能基修飾されたCNFを本発明に使用することも可能である。
また、例えば、パルプ繊維に対して機械的手法の解繊処理を施したものに、カルボキシメチル化等の化学的処理を施しても良いし、酵素処理を施してもよい。化学的処理を施したCNFとしては、例えば、TEMPO酸化CNF、リン酸エステル化CNF、亜リン酸エステル化CNF等の、直径が3~4nmとなるiCNF(individualized CNF)(シングルナノセルロース)が挙げられる。
また、化学的処理や酵素処理のみを施したCNFや、化学的処理や酵素処理を施したCNFに、機械的手法の解繊処理を施したCNFでもよい。
[CMC]
なお、CNFの溶液中での凝集を防止するために、水溶性高分子であるCMCを添加してもよい。
CNFを水系溶媒に添加した場合、CNFのミクロフィブリル繊維同士が結合して凝集してしまうところ、CMCを添加してCNFとCMCを共存させることで、CNFのOH基と、CMCのOH基とが水素結合し、分子鎖の静電相互作用と立体障害効果によって、CNFの凝集が防止され、CNFを溶液中に均一に分散させることができる。
なお、CMCは、セルロースを原料として得られ、緩やかな生分解性を有し、且つ使用後の焼却廃棄が可能であるため、環境に極めてやさしい素材であることから好ましく使用されるが、CNFの溶液中での凝集を防止できるものであれば、CMC以外の水溶性高分子を用いることとしても良い。
また、CMCを添加する場合には、溶液全体を100.00質量%としたときに、CMCを0.10~1.00質量%の割合で含有していることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[サンプル作成]
まず、両側の表層が約80%のPET繊維と約20%のPP/PE芯鞘繊維からなる疎水性繊維層2,2であり、中層がパルプを約85%以上含む親水性繊維からなる親水性繊維層3である、3層構造の繊維集合基材を準備した。
次いで、実施例1-5及び比較例1-3の条件で、洗浄基剤を0.2質量%以上、アルコールを1.0質量%以上、精製水を50.0質量%以上含む洗浄液を含浸させ、清掃用ウェットシートPを作成した。
実施例1-5及び比較例1-5の条件は以下の通りである。
(実施例1)
84.6gの洗浄液に2.0%機械処理CNF溶液を10.0gと5.4gの精製水を添加し、機械処理CNF(0.20質量%)洗浄液を調薬し、繊維集合基材の乾燥質量に対して300.0質量%含浸させた。
(実施例2)
84.6gの洗浄液に2.1%酵素処理CNF溶液を9.6gと5.8gの精製水を添加し、酵素処理CNF(0.20質量%)洗浄液を調薬し、繊維集合基材の乾燥質量に対して洗浄液を300.0質量%含浸させた。
(実施例3)
84.6gの洗浄液に1.3%酵素処理CNF溶液を15.4g添加し、TEMPO酸化処理CNF(0.20質量%)洗浄液を調薬し、繊維集合基材の乾燥質量に対して洗浄液を300.0質量%含浸させた。
(実施例4)
84.6gの洗浄液に2.0%機械処理CNF溶液を10.0gと5.4gの精製水を添加し、機械処理CNF(0.20質量%)洗浄液を調薬し、繊維集合基材の乾燥質量に対して洗浄液を320.0質量%含浸させた。
(実施例5)
84.6gの洗浄液に2.1%酵素処理CNF溶液を9.6gと5.8gの精製水を添加し、酵素処理CNF(0.20質量%)洗浄液を調薬し、繊維集合基材の乾燥質量に対して洗浄液を320.0質量%含浸させた。
(比較例1)
84.6gの洗浄液に15.6gの精製水を添加し、繊維集合基材の乾燥質量に対して洗浄液を300.0質量%含浸させた。
(比較例2)
84.6gの洗浄液に15.6gの精製水を添加し、繊維集合基材の乾燥質量に対して洗浄液を320.0質量%含浸させた。
(比較例3)
84.6gの洗浄液に15.6gの精製水を添加し、繊維集合基材の乾燥質量に対して洗浄液を250.0質量%含浸させた。
(比較例4)
84.6gの洗浄液に2.0%機械処理CNF溶液を1.0gと14.4gの精製水を添加し、機械処理CNF(0.02質量%)洗浄液を調薬し、繊維集合基材の乾燥質量に対して洗浄液を320.0質量%含浸させた。
(比較例5)
84.6gの洗浄液に2.0%機械処理CNF溶液を0.5gと14.9gの精製水を添加し、機械処理CNF(0.01質量%)洗浄液を調薬し、繊維集合基材の乾燥質量に対して洗浄液を320.0質量%含浸させた。
上記実施例1-3及び比較例1のシートを用いて、以下の試験1を行った。
[試験1.CNF溶液の塗布による静置時の洗浄液蒸散率の比較]
実施例1-3及び比較例1のシートを300mm×200mmにカットする。カットした試験紙を60℃の恒温槽に5分又は10分静置し、静置前と静置後の質量を比較することで洗浄液の蒸散率を算出する。このような試験を各実施例及び比較例ごとに3回ずつ行い、蒸散率の平均値を算出した。
試験の結果を表Iに示す。
Figure 0007316894000001
[評価]
実施例1-3と比較例1を比較すると、洗浄液にCNF溶液を添加させると、精製水を添加させた場合に比べて洗浄液の蒸散率は低くなることがわかった。
また、5分静置と10分静置を比較すると、時間が長いほど蒸散率の差が開く傾向にあることがわかった。
これはパルプ由来のCNFが保水性を有しており、洗浄液を保持しやすくなったためと
考えられる。
また、実施例1-3を比較すると、いずれの解繊方法のCNF溶液であっても、洗浄液に添加させると蒸散率が下がったが、特にTEMPO酸化CNF溶液を添加させた場合が最も蒸散率が低くなることがわかった。
これは、TEMPO酸化CNFが機械処理CNFや酵素処理CNFよりも繊維幅(繊維径)が小さいため、比表面積が大きくなり保水量も増大するためと考えられる。
次に、上記実施例4-5及び比較例2-5のシートを用いて以下の試験2を、実施例4-5及び比較例2-4のシートを用いて以下の試験3を、それぞれ行った。
[試験2.荷重下における洗浄液放出量の比較]
洗浄液を含浸させたシートを100mm×100mmにカットする。図2に示すように、カットした試験紙を100mm×100mmのアクリル板の上に静置し、更にその上にアクリル板と重りを乗せ(アクリル板と重りを合わせて400g)、重りの載置前と載置後の試験紙の質量を比較することで洗浄液放出量を算出する。このような試験を各実施例及び比較例ごとに20回ずつ行い、洗浄液放出量の平均値を算出した。
[試験3.洗浄性の比較]
100mm×300mmのアクリル板の質量Uを測定する。
次に、当該アクリル板に牛脂:オリーブオイル:アセトニトニル=1:1:5の割合で混合した擬似汚れを500μL付着させ、アクリル板の質量Sを測定する。
次に、上記擬似汚れを付着させたアクリル板を平らな面に固定する。その上に100mm×100mmにカットした試験紙を載置し、更にその上に質量500gの重りを載置する。
次に、試験紙を1往復水平に動かして擬似汚れを拭き取り、自然乾燥させたアクリル板の質量Tを測定し、下記式Iにより洗浄率を算出した。
このような試験を各実施例及び比較例ごとに4回ずつ行い、洗浄率の平均値を算出した。
(式I)
洗浄率(%)=(S―T)/(S―U)×100
U:アクリル板の質量
S:擬似汚れが付着したアクリル板の質量
T:清拭後のアクリル板の質量
試験の結果を表IIに示す。
Figure 0007316894000002
[評価]
表IIの実施例4-5と比較例2を比較すると、洗浄液にCNF溶液を添加させると、荷重下における洗浄液放出量も少なくなることがわかった。
これはパルプ由来のCNFが保水性を有しており、洗浄液を保持しやすくなったためと考えられる。
また、実施例4-5と比較例3をそれぞれ比較すると、実施例4-5は洗浄液放出量が同程度である比較例3よりも洗浄率が高いことがわかる。
すなわち、洗浄液にCNF溶液を添加させることで、洗浄率を高めることができるため、洗浄液放出量を少なくしながら、洗浄性能を高くできることがわかった。
これは、ナノレベルの極細繊維を不織布に塗布することで表面積が増大し、汚れと接触する面積が大きくなったためと考えられる。
また、実施例4と比較例3を比較すると、実施例4は比較例3よりも洗浄液の含浸率が高いにもかかわらず、洗浄液放出量は同程度であることがわかる。
これは、CNFによって保水性が向上して洗浄液を保持しやすくなったためと考えられる。
また、比較例2と比較例4を比較すると、0.02質量%のCNFを添加した場合は、洗浄液放出量が抑制されていることがわかる一方で、比較例2と比較例5を比較すると、0.01質量%のCNFを添加しても、CNFを添加しない場合と洗浄液放出量は同等であることがわかる。
したがって、CNFの下限添加量は0.02質量%であり、0.02質量%より多いCNFを添加することで清掃用ウェットシートPの保水性を高められることがわかる。
[試験4.洗浄液粘性試験]
下記の洗浄液I-IIIと、直径35mm、厚さ12mmの円盤である撹拌子を200mLのビーカーにそれぞれ加え、マグネティックスターラーで撹拌子の毎分回転数が約300rpmになるよう調整を行う。
次に、ビーカー内の洗浄液に下記の各条件の機械処理CNF溶液を添加し、添加から3分後に撹拌子の毎分回転数を測定した。
このような試験を各洗浄液につき2回ずつ行い、機械処理CNF溶液添加後の毎分回転数の平均値から機械処理CNF洗浄液の操業性について評価を行う。
試験結果は平均毎分回転数が270~300rpmのものを「◎」(操業性に問題無し)、240~270rpmのものを○(操業性に多少の変化はあるが、問題無し)、240rpmより小さいものを「×」(操業効率が低下する恐れがある)として評価した。
(洗浄液I)
90.0gの洗浄液(内訳:84.6gの洗浄液及び5.4gの精製水)を用いた。
機械処理CNF溶液は、濃度2.0質量%のものを10.0g添加した(0.2質量%)。
(洗浄液II)
75.0gの洗浄液を用いた。
機械処理CNF溶液は、濃度2.0質量%のものを25.0g添加した(0.5質量%)。
(洗浄液III)
72.5gの洗浄液を用いた。
機械処理CNF溶液は、濃度2.0質量%のものを27.5g添加した(0.6質量%)。
試験の結果を表IIIに示す。
Figure 0007316894000003
[評価]
表IIIの洗浄液I-IIIを比較すると、洗浄液に添加する機械処理CNFの量を増やすにつれて撹拌子の回転数が落ち込むようになることがわかる。
すなわち、洗浄液に添加する機械処理CNFの量を増やすにつれて機械処理CNF洗浄液の粘性は大きくなり、特に、0.6質量%の機械処理CNF溶液を添加した場合、粘性が大きすぎて操業効率が低下する恐れが生じるようになることがわかる。
したがって、CNFの上限添加量は0.5質量%であり、0.5質量%以下のCNFを添加することで洗浄液が実用性を有し、清掃用ウェットシートPの操業性を高められることがわかる。
[実施形態の効果]
清掃用ウェットシートPは、含浸させる洗浄液にCNF溶液が添加されているため、洗浄液蒸散率及び荷重下における洗浄液放出量を共に低下させることができる。
すなわち、清掃用ウェットシートPの洗浄液蒸散率が低くなることで、密閉容器や包装手段内に保管時の洗浄液蒸散量を抑制することができ、水分感の持続が可能になる。
また、荷重下における清掃用ウェットシートPの洗浄液放出量が低くなることで、清掃時に適度に洗浄液が放出されるようになり、シートの水分感を持続させながら清掃することができるようになる。
また、CNFが添加された洗浄液を含浸したウェットシートは洗浄性能が向上するため、洗浄液放出量が少なくなっても従来の洗浄性能を維持することができる。
また、CNF溶液を洗浄液に添加するだけで清掃用ウェットシートPの水分感の持続が可能になるため、製造が容易である。
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施の形態においては、清掃用ウェットシートPは身体拭きや清掃等に用いられるものとして説明したが、その用途はこれに限定されるものではない。また、用途に応じて、洗浄液に添加される成分が変更されるのは勿論である。
また、本発明における不織布は、製法に特に制限は持たない。例えば、捕集性や見た目の向上のためにエンボス加工が施されていても良い。
また、本実施形態の清掃用ウェットシートPは、3層構造であることに限らず、親水性繊維層3が外層を形成する疎水性繊維層2に挟まれるような複層構造であればよく、疎水性繊維層2と親水性繊維層3がそれぞれ複数層積層されてなるよう構成されてもよい。
また、本発明の清掃用ウェットシートPは、単層構造であってもよく、その場合は、洗浄液を含浸させるため、全部または一部が親水性繊維であり、一部が親水性繊維である場合には、残りが疎水性繊維である。
このような構成を取る場合、かかる親水性繊維は、基材中に40~70質量%の含有比で配合するのがより望ましい。親水性繊維の含有量が40質量%未満である場合には、十分な柔軟性と保水性を与えることが出来ず、70質量%を超える場合には、湿潤時強度が低すぎて破れなどが生じ易くなるとともに、容器からポップアップ式で取り出す際に伸びが生じ過ぎるようになる。
また、本発明の清掃用ウェットシートPは、柄付きの基台に取り付けてモップ等の清掃具として使用されても良いし、そのまま手で拭き取り作業を行っても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
P 清掃用ウェットシート
2 疎水性繊維層
3 親水性繊維層

Claims (6)

  1. 洗浄液が含浸されたシート状の繊維集合基材からなる清掃用ウェットシートであって、
    前記洗浄液は0.02質量%より多くかつ0.50質量%以下のセルロースナノファイバーを含むことを特徴とする清掃用ウェットシート。
  2. 前記洗浄液の含浸率は、前記繊維集合基材の乾燥質量に対して200~350質量%であることを特徴とする請求項1記載の清掃用ウェットシート。
  3. 400g/100cm荷重下での前記洗浄液の放出量が0.0022~0.0039g/100cmであることを特徴とする請求項1又は2記載の清掃用ウェットシート。
  4. 前記繊維集合基材は複層構造であり、
    シートの表面を形成し、疎水性繊維からなる疎水性繊維層と、前記疎水性繊維層に挟まれ、親水性繊維からなる親水性繊維層と、を備え、
    前記疎水性繊維層と前記親水性繊維層の境界領域は、互いの繊維が交絡していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の清掃用ウェットシート。
  5. 前記繊維集合基材は単層構造であり、
    40~70質量%の親水性繊維と、30~60質量%の疎水性繊維と、からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の清掃用ウェットシート。
  6. 前記親水性繊維はパルプからなることを特徴とする請求項4又は5記載の清掃用ウェットシート。
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