JP7315502B2 - 釣用ロッドバランサー及び振出式の釣竿 - Google Patents

釣用ロッドバランサー及び振出式の釣竿 Download PDF

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Description

本発明は、釣竿に装着されて釣竿の重量バランスを調整するための釣用ロッドバランサー、及び、そのようなロッドバランサーを装着可能に構成した振出式の釣竿に関する。
従来から、釣竿にバランス錘として装着されて釣竿全体の重量バランスをとるロッドバランサーは知られている(例えば、特許文献1参照)。そのようなロッドバランサーは、例えば、釣人が一方の手でリールシートに取り付けられたリールと共に釣竿のリールシート付近を把持するとともに他方の手で釣竿の竿元側端部付近を把持しつつ釣りを行なう場合に、釣竿の長さ方向の重量バランスをとってキャスティングやリトリーブ等の釣り操作を違和感無く良好に行なえるようにする。
すなわち、釣竿に対するこのようなロッドバランサーの装着は、例えば、投竿としての使用のように釣竿を投擲操作する場合などにおいては、一般に手で保持した釣竿位置から先側の長さに比較して手元側が短く、したがって、保持した手の位置を支点にした重量バランスが不均衡であるという釣竿固有の問題を改善できるという点で、つまり、釣竿の重量バランスを均衡状態に近づけて、持ち重り感を解消でき、例えば投擲距離を伸ばすことができるという点で有益である。
特開2003-61521号公報
しかしながら、従来のロッドバランサーは、それ自体に固有の重量(自重)によって重量バランスをとるものであり、一般にそれ自体で重量調整できるものではなく、また、個々のタイプの釣竿にそれ専用の付属品として装着される比較的高価な物品でもあり、既存の釣竿に手軽に装着して使用できるものではない。
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、重量調整可能であるとともに、既存の釣竿に装着して使用可能な釣用ロッドバランサー及び振出式の釣竿を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明は、釣竿に装着されて釣竿の重量バランスを調整するための釣用ロッドバランサーであって、加重体を収容できる収容空間を有し、釣竿の竿杆の中空の内部空間内に収容可能な筒状体と、前記収容空間の容積を変えるための容積可変手段とを有することを特徴とする。
このようなロッドバランサーは、釣竿に中空の内部空間がありさえすれば、どのような釣竿にも装着できるとともに、釣竿を保持した手の位置を支点にした釣竿の重量バランスが不均衡である場合に、収容空間内に収容する物体の重量を調整しつつ釣竿の内部空間に装着するだけで、釣竿の重量バランスを均衡状態に近づけることができる。すなわち、例えば、投竿としての使用のように釣竿を投擲操作する場合や、通常、魚が掛かるのを待っている実釣時の待ち状態の場合等において、手で保持した釣竿位置から先側の長さに比較して手元側は短く、したがって、保持した手の位置を支点にした重量バランスが不均衡であり、そのため、投擲操作の場合に、投擲距離が出なかったり、また、待ち状態の場合に、先部が重い、所謂、持ち重り感が解消できないという問題を容易に解決できる。
なお、上記構成において、収容空間内に収容可能な「加重体」は、釣り用の錘は勿論のこと、釣り場で容易に入手できる水や砂など、バランス錘として使用できるものであれば、どのようなものであってもよい。
上記構成では、筒状体がシリンダ部であり、容積可変手段がシリンダ部内でその軸方向に沿って往復動可能なピストン部であるとともに、ピストン部が、加重体を収容できる収容空間をシリンダ部と協働して画定し、シリンダ部内で進退することによって収容空間の容積を変えてもよい。この場合、シリンダ部は、釣竿の竿杆の内部空間内に嵌合されることが好ましい。これによれば、ロッドバランサーを釣竿に安定的に装着できる。また、上記構成において、シリンダ部は、釣竿の竿杆の基端に取着される尻栓と螺合可能な螺合部を有することが好ましい。これによれば、螺合部を用いた固定によってロッドバランサーを竿杆内に安定して配置でき、竿杆内でロッドバランサーが移動してガタ付くことを防止できる。
また、上記構成では、複数の筒状体を着脱自在に連結することによって容積可変手段が構成されてもよく、或いは、内側に収容空間を有する筒状体がその弾性変形によって拡縮することによって容積可変手段が構成されてもよい。
また、本発明は、上記構成の釣用ロッドバランサーが着脱自在に装着される振出式の釣竿であって、複数の竿杆を収納する元竿杆を備え、前記元竿杆に対して前記複数の竿杆が突出しないように被着されるカバー部材を有し、前記カバー部材は、前記元竿杆の後端に対して着脱可能なグリップを構成するとともに、該グリップを構成するときに中空の内部空間を内側に画定し、前記カバー部材の前記内部空間には、釣竿の重量バランスを調整するための釣用ロッドバランサーが着脱自在に装着される、振出式の釣竿も提供する。
上記した構成の振出式の釣竿は、元竿杆に収納される複数の竿杆を突出させないカバー部材(保護カバー)が、元竿杆の後端に対して着脱可能なグリップを構成(兼用)するため、実釣時において、カバー部材が紛失したり破損等するようなことを防止できるとともに、カバー部材を有効活用でき、カバー部材の取扱い性に優れる。また、元竿杆に対してカバー部材をグリップとして装着する構成であるため、使用時は、元竿杆を長くすることができ、かつ、収納時には、カバー部材となるため、運搬性及び使用時の操作性が向上する。更に、上記構成において、カバー部材は、グリップを構成するときに釣用ロッドバランサーを収容可能な内部空間を内側に画定するため、釣用ロッドバランサーをカバー部材の内部空間内にコンパクトに収納して、釣竿の重量バランスを均衡状態に容易に近づけることができる。
本発明によれば、重量調整可能であるとともに、既存の釣竿に装着して使用可能な釣用ロッドバランサー及び振出式の釣竿が得られる。
本発明の一実施形態に係る釣用ロッドバランサーの側断面図である。 図1の釣用ロッドバランサーを装着可能な釣竿の第1の実施形態を示す図であり、(a)は複数の竿杆の収納状態を示す部分断面図、(b)は収納状態の斜視図。 図2に示す釣竿の複数の竿杆の一部を振り出した状態(使用状態)を示す斜視図。 図2に示す釣竿の使用状態でのグリップ部分を示す図であり、(a)は部分断面図、(b)は斜視図。 尻栓の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は部分断面図。 上栓の構成を示す斜視図。 着脱式の釣糸ガイドの構成を示す斜視図。 着脱式のトリガーの構成を示す斜視図。 振出式の釣竿セットを構成する保持部材を示す斜視図。 釣竿の第2の実施形態を示す図であり、(a)は複数の竿杆の収納状態を示す部分断面図、(b)は収納状態の斜視図。 図10に示す釣竿の使用状態でのグリップ部分を示す図であり、(a)は部分断面図、(b)は斜視図。 起伏可能な釣糸ガイドの一例を示す図4の(b)に対応する斜視図である。 固定部材によって図1のシリンダ部に対するピストン部の相対移動を防止する形態の要部断面図である。 図13の固定部材の変形例を示し、(a)は、固定部材を構成する固定用ストッパの斜視図、(b)は、固定用ストッパをシリンダ部に固定した状態を示す要部断面図、(c)は、シリンダ部に固定された固定用ストッパに圧着螺子部材を螺合させた状態を示す要部断面図である。 ロッドバランサーの他の例を示す断面図である。 ロッドバランサーの更に他の例を示し、(a)は、収容体をカバー部材内に装着した状態を示す要部断面図、(b)は、収容体を構成する圧着体の拡開状態から縮径状態への変化を示す概略的な線図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る釣用ロッドバランサー(以下、単にロッドバランサーと称する)60が示される。図示のように、ロッドバランサー60は、筒状体としてのシリンダ部92と、シリンダ部92内でその軸方向(長手方向)に沿って往復動可能なピストン部90とによって構成される。
シリンダ部92は、例えば樹脂、金属等の材料により一体形成される筒状体60aを成しており、後述する釣竿の内部空間内にほぼ隙間なく嵌合される。また、筒状体60aの後端側部位は、後述する釣竿の後端(基端)に取着される下栓(尻栓)10(図2参照)の雌螺子部10d(図5の(b)参照)と螺合可能な雄螺子部63を有する螺合部60bを形成している。
一方、ピストン部90は、例えば樹脂、金属等の材料により形成され、ロッドバランサー60の軸方向(長手方向)に沿って延びる軸部90aと、軸部90aの一端にフランジ状に形成されてシリンダ部92の外側に位置される操作部90bと、軸部90bの他端にフランジ状に形成されるとともにシリンダ部92の内側に位置されてシリンダ部92の内周面と接触する作用部90cとを有する。作用部90cは、シリンダ部92と協働してほぼ密閉された収容空間S1を画定し、操作部90bから入力される操作力によりシリンダ部92内で進退することによって収容空間S1の容積を変えることができる。すなわち、作用部90cは、収容空間S1の容積を変えるための容積可変手段を構成している。
なお、作用部90cは、シリンダ部92内にシール状態で圧入されつつシリンダ部92に対して摺動してもよいが、本実施形態では、作用部90cの外周面に形成された雄螺子部96がシリンダ部92の内周面にそのほぼ全長にわたって形成された雌螺子部95と螺合することによってシリンダ部92内で進退できるようになっている。また、収容空間S1内には、バランス錘として使用できる加重体、例えば、釣り具としての錘、又は、釣り場に存在し得る水や砂などを収容できるようになっている。
このようなロッドバランサー60は、釣竿を保持した手の位置を支点にした釣竿の重量バランスが不均衡である場合に、収容空間S1内に収容する加重体の重量を調整しつつロッドバランサー60を釣竿の内部空間内に装着するだけで、釣竿の重量バランスを均衡状態に近づけることができる。
図2~図4には、ロッドバランサー60を装着可能な振出式の釣竿1の第1の実施形態が示されている。なお、図2(a)は複数の竿杆の収納状態を示す部分断面図、図2(b)は収納状態の斜視図、図3は、図2に示す釣竿の複数の竿杆の一部を振り出した使用状態を示す斜視図、そして、図4は、図2に示す釣竿の使用状態でのグリップ部分を示す図であり、(a)は部分断面図、(b)は斜視図である。
本発明の釣竿1は、公知のように、複数の竿杆6a,6b,6c,6d,6e……6Nを順次振り出して、大径の竿杆の先端に小径の竿杆の基端を継合させる振出式に構成されており、複数の竿杆は、大径の竿杆内に順次収納され、全ての竿杆が最も大径の竿杆(元竿杆)5の内部に収納された状態となっている。本発明では、元竿杆5の内部に収納される竿杆の本数(継合本数)については任意であり、N本(竿杆6a~竿杆6N)の竿杆が順次大径の竿杆に収納され、最も小径の竿杆6Nが穂先竿杆となっている。
なお、図2(a)及び図3では、収納される竿杆の全てを図示していない。また、図2(a)では、分かりやすくするために、収納される竿杆を示しているが、元竿杆5に後述するカバー部材30が装着されて元竿杆が覆われるため、露出することはない(図2(b)参照)。更に、本実施形態の釣竿は、リールシート及び釣糸ガイドを備えており、スピニングリール及び両軸受リールの両タイプのリールが使用できる構成となっている。このため、スピニングリールを使用する場合、リールシート及び釣糸ガイドが下方側に向くように使用され、両軸受リールを使用する場合、リールシート及び釣糸ガイドが上方側に向くように使用される。
本実施形態の釣竿1は、上記したように、スピニングリール、両軸受型リール等のリールを装着して使用可能な構成となっており、各竿杆の先端部分には、リールから繰り出される釣糸を挿通案内させる釣糸ガイド8,8a~8Nが取り付けられ(取着され)ている。この場合、釣糸ガイド8Nは、いわゆる穂先ガイドとなっている。また、図2(a)では、図3において示す元竿杆5に装着される釣糸ガイド8が示されていないが、この釣糸ガイド8は、後述するように着脱式に構成されている。また、釣糸ガイドの一部には遊動ガイドが含まれていても良い。
上記した元竿杆5及び元竿杆5に収納される複数の竿杆6a~6Nは、公知のように繊維強化樹脂製の管状体として構成されており、例えば、強化繊維(主に炭素繊維やガラス繊維等)に、エポキシ樹脂等の合成樹脂を含浸した繊維強化樹脂のプリプレグシートを芯金(マンドレル)に巻回し加熱工程を経た後、脱芯するなど、定法に従って形成されている。前記穂先竿杆6Nについては、管状体以外にも、中実ソリッド、或いは、ソリッド体と管状体の組み合わせで構成されていても良い。
前記元竿杆5には、リールが装着されるリールシート7が設けられている。リールシート7は、元竿杆5の基端領域に設けられており、公知のように、リール脚が載置されるリール脚載置部7aと、その前後に配設されてリール脚を締め付けるフード部7b,7cとを備えている。本実施形態では、後方側のフード部7cが固定フードとなっており、前方側のフード部7bが軸方向に移動する移動フードとなっている(以下、移動フード7b、固定フード7cと称する)。
前記固定フード7cは、元竿杆5の基端部の外周面に固定されており、リール脚載置部7aに向けて開口する受入穴7caを備えている。また、移動フード7bは、リール脚載置部7aに向けて開口する受入穴7baを備えている(受入穴7baは360°に亘って開口していても良い)。前記移動フード7bは、元竿杆5に設けられた雄螺子部に対して螺合する雌螺子部が形成された操作部7bbを備えており、リール脚載置部7aにリール脚を載置しながら後方側を固定フード7cの受入穴7caに嵌入し、操作部7bbを回転操作することで、リール脚は、移動フード7bの受入穴7baと固定フード7cの受入穴7caとで締め付け固定される。なお、リールシートの構成、移動フードの移動機構等については公知であるため、詳細な説明については省略する。
元竿杆5は、前記固定フード7cの後端側が軸方向に突出しており、その突出部5aの外周に下栓(尻栓)10が取り付けられている。下栓10は、図5に示すようにキャップ状に形成されており、その後端面10aには空気孔10bが形成されている。下栓10の周壁10cの内面には、前記突出部5aに形成された雄螺子部に螺合する雌螺子部10dが設けられている。この雌螺子部10dは、周壁10cの内面に直接形成しても良いし、図5に示すように、周壁10cに圧入固定される環状体10eの内面に形成されたものであっても良い。また、周壁10cの外周面には、後述するカバー部材30の開口端部を圧入して固定し易いようにリング状の凹凸10fが複数個形成されている(圧入構造が形成されている)。すなわち、下栓10は、元竿杆5の後端の開口を閉塞すると共に、カバー部材30の後端の開口を閉塞する機能を有する。
なお、下栓10の内面は、螺合構造ではなく圧入構造であっても良いし、下栓10の外面は、圧入構造ではなく螺合構造であっても良い。
前記元竿杆5の後端開口部分には、キャップ部材12が着脱可能に固定されている。このキャップ部材12は、元竿杆5から下栓10を取り外し、これをカバー部材30に取り付けするに際して、収納された竿杆を落下させない機能を有する。このキャップ部材12の後端面には、空気抜き用の開口12aを形成しておくことが好ましい。
前記元竿杆5には、従来の振出式の釣竿における保護カバーとしての機能(元竿杆内に収納された複数の竿杆の突出を防止する機能)を果たすカバー部材30が着脱可能に装着されている。このカバー部材30は、元竿杆5から取り外すことができ、元竿杆5の後端部に装着することで、実釣時に握持、保持される、いわゆるグリップとしての機能を兼ね備えている。
以下、カバー部材30の構成について具体的に説明する。
本実施形態のカバー部材30は、前記元竿杆5に対して軸方向に沿って被せられるように(元竿杆5を覆うように)筒状体で構成されており、収納状態で棒状になるように構成されている。筒状体の断面形状については、多角形、円、楕円等、特に限定されることはないが、元竿杆5が断面円形の管状体であるため、デザイン及び外観等を考慮して、円筒形状(断面円形)に形成することが好ましい。また、材質についても特に限定されることはなく、例えば、元竿杆5、及び、これに収納される複数の竿杆6a~6Nと同じ材料、アルミ、SUS等の各種金属、樹脂、繊維強化樹脂等で形成されていても良く、必要に応じて塗装や物理的な蒸着、化学的な蒸着などの各種表面処理を施して外観を向上させても良い。或いは、グリップとしての機能を兼ね備えることから、通常のグリップと同様、例えば、EVA、コルク等の柔軟性のある素材を被着して、握持、保持性を向上させても良い。
前記円筒形状のカバー部材30は、元竿杆5の先端側から軸方向から被せるように被着することから、カバー部材30と元竿杆5には、カバー部材30を被着した際、両者を固定する固定構造が設けられている。本実施形態のカバー部材30は、元竿杆5に設けられた前記リールシート7を露出させる位置まで被せることが可能に構成されており、固定構造は、カバー部材30を圧入して、元竿杆5との間の摩擦力で固定するよう構成されている。
具体的には、前記移動フード7bの外表面、及び、移動フードの操作部7bbの前側に装着されたリング部材の外表面に、それぞれリング状の凹凸5A,5Bを形成し(又はOリング等を設け)、その部分で、カバー部材30の開口内面、及び、先端側の内面が圧入、固定できるように構成されている。このため、カバー部材30を元竿杆5に被着して固定すると、前記リールシート7のリール脚載置部7aが露出した状態となる。
なお、カバー部材30と元竿杆5の固定構造、固定位置、固定方法については特に限定されることはなく、螺合構造で固定しても良いし、爪による係止構造等、適宜変形することが可能である。
本実施形態のカバー部材30の先端には、上栓40が着脱可能に設けられている。上栓40は、カバー部材30の先端開口に対して圧入可能であり、本実施形態では、図6にも明確に示されるように、上栓40の本体41に雄螺子部41aを形成しておき、この部分をカバー部材30の先端に固定されている雌螺子部材32に螺合することで着脱可能に固定されるようになっている。また、上栓40の本体41には、後述するリング状の保持部材70(図9参照)に係止してセット化できるように、開口係止部41bが形成されている。この開口係止部41bは、保持部材70が挿通できるような構造であれば良く、図9に示すように、リング部材72を介して保持部材70に係止する等、適宜変形することが可能である。
なお、上栓40は、カバー部材30の先端の開口内面に圧入して固定する構造であっても良い。また、カバー部材30は、上栓40を設けることなく、複数の竿杆の突出を防止するだけの構造であっても良い。このような構成では、カバー部材30のいずれかに開口係止部を設けておけば良い。
上記したカバー部材30は、軸長方向に所定の長さL1を備えており、図3及び図4に示すように、元竿杆5の後端に取り付けることにより、釣竿として、長さL1のグリップを構成する。すなわち、従来の振出式の釣竿では、握持、保持される部分は、長さLの元竿杆5の領域となっていたが、カバー部材30を元竿杆5の後端に取り付けることで、実釣時の釣竿は、カバー部材30の長さL1分だけ伸ばすことが可能となる(操作方法については後述する)。
本実施形態の釣竿は、上記したようにリールが装着可能に構成されており、各竿杆には、リールから繰り出される釣糸を挿通させる釣糸ガイド8,8a~8Nが装着されている。この場合、被着されるカバー部材30は、装着された釣糸ガイドとの間で干渉しないように構成することが好ましい。例えば、両軸受型リールの場合、装着される釣糸ガイドの高さはそれほど高くなくても良いため、前記カバー部材30を元竿杆5に被着しても、カバー部材30と釣糸ガイドは干渉しないようにすることが可能である。或いは、カバー部材30の径を多少、大きくすることで、そのような干渉を防止することも可能である。
ただし、スピニングリールを装着する場合、図3及び図4に示すように、釣糸ガイド(特に基端側の釣糸ガイド8)の高さは高くなり、元竿杆5に被着されるカバー部材30との間で干渉する可能性が生じる。上記したように、カバー部材30の径を大径化することで干渉を防ぐことも可能であるが、干渉が生じる釣糸ガイドを竿杆に対して着脱可能に構成することで、カバー部材30を大径化する必要性がなくなる。例えば、元竿杆5の先端に装着される釣糸ガイド8の高さが高い場合、図7に示すように、元竿杆5の先端に差込開口5eを有する膨出部5dを設けておき、この部分に釣糸ガイド8の脚部8Aを圧入して着脱可能な構造とする。すなわち、本実施形態では、カバー部材30を元竿杆5に被着した際にカバー部材30と干渉する釣糸ガイド8が(それ以外の干渉する釣糸ガイドが存在する場合には、その釣糸ガイドも)竿杆(元竿杆5)に対して着脱可能に取着されている。
このような着脱式の釣糸ガイド8は、釣糸が挿通される釣糸挿通孔8Bや、場合によっては軽量化を図るための開口8Cが形成されるため、図9に示すように、この部分を利用してリング状の保持部材70に係止することが可能である(すなわち、保持部材70は、着脱自在に取着される釣糸ガイド8を保持可能である)。
また、本実施形態の釣竿は、上記したように、スピニングリール及び両軸受リールの両タイプのリールが使用可能であるため、元竿杆5に着脱可能な釣糸ガイド8は、スピニングリール用として高さが高いもの(釣糸ガイド8)、及び、両軸受リール用として高さが低いもの(図9、図11に示す釣糸ガイド18)がセット化されている。すなわち、本実施形態において、着脱可能に取着される釣糸ガイドは、竿杆に対して同じ位置に装着可能な高さが異なる複数の釣糸ガイド8,18を含み、それにより、スピニングリール、及び、両軸受リールの両タイプのリールが使用可能となっている。
なお、着脱式に構成される釣糸ガイドは、複数であっても良い。また、干渉する釣糸ガイドを各竿杆に対して着脱する方式にするのではなく、折曲可能な構成にして、収納時にカバー部材30と釣糸ガイドとが干渉しないように構成することも可能である。折曲可能な構成としては、例えば図12に示されるように、釣糸ガイド8を元竿杆5に対して例えばヒンジ等により起伏可能に取着する構成、又は、釣糸ガイド8をその弾性変形によって起伏可能にする構成などを挙げることができる(図12中、実線が起立状態、一点鎖線が倒伏状態を示す)。また、起伏可能な釣糸ガイド8の高さが高い場合、図12に示されるように、釣糸ガイド8は、その高さ方向でスピニングリール仕様の第1のガイド孔81と該第1のガイド孔81よりも小径な両軸受リール仕様の第2のガイド孔82とが並設されていてもよい。
上記した釣竿は、釣法等に応じて各種の形態で使用することが可能であり、例えば、ベイトリールを使用するルアーフィッシング等では、リールを装着する部分に対応して指を掛けることが可能なトリガーを設けることが好ましい。本実施形態では、元竿杆5に対してトリガー50が着脱式に固定できるように構成されている(図3、図4に示す釣竿及び釣糸ガイドの向きは、スピニングリール対応となっているが、便宜上、トリガー50についても示してある)。
トリガー50は、元竿杆5のリールシート7が設けられる位置に対応して、着脱可能に配設することができ、装着されるリール(両軸受型リール)を元竿杆5と共に保持した際に、指が掛けられるように、固定フード7cの部分に装着されることが好ましい。本実施形態では、元竿杆5の後端に設けられた前記突出部5aの部分に装着可能に構成されており、図8に示すように、突出部5aが嵌合される開口51と指掛け部52を備えた構成となっている。
このようなトリガー50は、下栓10を元竿杆5から外し、開口51を突出部5aに嵌合させ、この状態でカバー部材30を突出部5aに取り付けることで、カバー部材30と元竿杆5との間に挟持、固定することが可能である。このような着脱構造では、トリガー50の指掛け部52の周方向の位置をずらして固定することができるため、釣竿の使用態様(釣竿のシェイキング等)に応じて最適な位置でトリガー50を配設することが可能となる。
また、トリガー50は、元竿杆の突出部5aに嵌合する開口51が設けられているため、上記した上栓40、釣糸ガイド7と同様、図9に示すように、この部分を利用してリング状の保持部材70に係止してセット化することが可能である。
この保持部材70は、実釣時に使用される釣竿、及び、その構成要素(釣糸ガイド、トリガー、上栓、その他の小物類など)に設けられた開口係止部に挿通して、これらを一体化するものであり、実釣時に用いられる釣竿や構成要素を紛失等させることなく、持ち運びが容易となるように用いられる部材である。保持部材70については、リング状の部材、例えば、カラビナ型のフック等で構成することが好ましく、ズボンのベルト装着部分に取り付ける等することで、運搬時及び使用時の取扱性の向上が図れる。特に、モバイル式の釣竿セット(仕舞寸法が30cm程度以下のロッド)では、全長を短くして取扱性が向上するようになる。
本実施形態では、釣竿セットの構成として、図9に示すように、保持部材70に対しては、スピニングリール用として高さが高い釣糸ガイド8、及び、両軸受リール用として高さが低い釣糸ガイド18を保持している。この釣糸ガイド18は、釣糸ガイド8と同様、保持部材70を挿通させる釣糸挿通孔18B及び元竿杆5の差込開口5eに圧入する脚部18Aを備えている。また、トリガーについても、図9に示すように、例えば、指掛け部56が多少湾曲した大きめのトリガー55のように、好みに応じてタイプの異なるものを保持しても良い。
また、本実施形態において、カバー部材30は、図4に示されるように元竿杆5の後端に取り付けられてグリップを構成するときに前述したロッドバランサー60を収容可能な(ロッドバランサー60が嵌合する)内部空間Sを内側に画定する。このようにカバー部材30の内側の内部空間Sを有効活用してカバー部材30をロッドバランサー装着体として使用すれば、モバイルロッドの携帯性のみならず収納容量も高めることができ有益である。
次に、上記した釣竿1の使用例について説明する。
図2(a)(b)に示すように、未使用状態では、カバー部材30は、元竿杆5に対して被着された状態(リールシート領域を除いて元竿杆の外周面を覆う固定状態)となっており、釣竿としての仕舞寸法は、カバー部材30の軸方向長さL1に加え、露出するリールシート7までの長さ(下栓10を加えた長さ)となる。
本実施形態では、リールシート7が露出した構成であることから、竿杆の収納状態となる仕舞寸法でリールを装着したまま運搬等することが可能である。この場合、図9に示すように、上栓40は、保持部材70に係止されており、また、釣糸ガイド8、トリガー50も併せて保持部材70に係止されるため、釣竿セットとしての運搬や取扱性が向上し、釣竿として必要な構成部材を紛失することが防止される。
釣竿を使用する際、カバー部材30を元竿杆5から取り外して、そのまま元竿杆5の基端部に取り付ける(図3及び図4参照)。本実施形態では、カバー部材30の先端を元竿杆5の基端部に取り付ける構成であるため、前記上栓40は取り外され、カバー部材30の先端は開口状態にされる。また、元竿杆5に取り付けられている下栓10も元竿杆5の後端から取り外される。下栓10を取り外しても、元竿杆の後端にはキャップ部材12が取り付けられているため、カバー部材の取り付け作業中に収納されている竿杆が脱落することはない。
元竿杆5から取り外され、かつ、上栓40が取り外されたカバー部材30は、上記したように、先端側に上栓40と螺合する雌螺子部材32が形成されており、この部分がそのまま元竿杆の突出部5aに形成された雄螺子部に螺合するようになっている。両者が結合されることで、元竿杆5の後端側には、カバー部材30によって、長さL1のグリップが形成される(図3、図4参照)。また、元竿杆5の先端に釣糸ガイド8(スピニングリールの場合)、或いは、釣糸ガイド18(両軸受リールの場合;図9参照)が固定されると共に、必要に応じて元竿杆5とカバー部材30との間にトリガー50、或いは、トリガー55が固定され、元竿杆5から取り外された下栓10は、カバー部材30の後端開口の内周面に圧入、固定される(下栓10のリング状の凹凸10fにカバー部材の後端開口が圧入されて、開口縁が段部10f´に当て付いて固定される)。また、この使用状態では、カバー部材30の内部空間S内にロッドバランサー60を収容することができる。
カバー部材30が元竿杆5の後端に取り付けられてグリップとしての機能を果たすことで、従来の保護カバーのように、実釣時に紛失するようなことはない。また、グリップとして元竿杆5に取り付けることで、元竿杆5の長さが長くなり、振出式の釣竿として、仕舞寸法が短くコンパクトな状態にもかかわらず、実際の使用時には、元竿杆が長くなって操作性の向上が図れるようになる。更に、図2に示すように、収納状態がコンパクトになるため、嵩張ることもなく、持ち運びが容易になる。
なお、図3及び図4に示す使用状態から図2に示すように収納する場合、グリップ状態となっているカバー部材30を元竿杆5の後端から取り外すと共に、下栓10及び釣糸ガイド8を取り外し、各竿杆を元竿杆5に収納してカバー部材30を軸方向から被着すれば良い。この際、下栓10を元竿杆5の後端に固定してカバー部材30の被着操作を行なっても、上記したように、キャップ部材12の後端面には、空気抜き用の開口12aが形成されており、かつ、下栓10にも空気孔10bが形成されているため、カバー部材30の挿入時に空気が抜け、容易に被着操作を行なうことができる。また、釣糸ガイド8も元竿杆5から取り外されているため(図12の例では、釣糸ガイド8が倒伏されているため)、釣糸ガイド8とカバー部材30とが干渉することもない。
上記したカバー部材30と元竿杆5との長さ関係については、適宜、変形することが可能である。例えば、図2に示すように、カバー部材30の寸法L1を長くして、元竿杆5の先端との間で空洞部を長くしても良い。この場合、カバー部材30の内部に柔軟性のある部材(図示せず)を取着しておき、元竿杆5の先端から収納されている竿杆が飛び出さないようにすることが好ましい。或いは、カバー部材30の内部に仕切り構造を設けておき、各種の小物(仕掛け等)を収容できるように構成しても良い。カバー部材30の軸方向の寸法L1については、元竿杆5の軸方向の寸法L以上(L1>L)にすることで、元竿杆5を短くしつつ、グリップ長さを十分確保することができ、コンパクト性と魚釣り操作性を向上することが可能となる。
図10及び図11は、本発明に係る釣竿の第2の実施形態を示す図であり、図10(a)は複数の竿杆の収納状態を示す部分断面図、図10(b)は収納状態の斜視図、図11は、図10に示す釣竿の使用状態でのグリップ部分を示す図であり、図11(a)は部分断面図、図11(b)は斜視図である。
上記した第1の実施形態では、カバー部材30は、リールシート7を露出させるように構成されていたが、本実施形態では、元竿杆5に被せた状態で、元竿杆5の基端部で固定されるようになっている。具体的には、固定フード7cの外表面に、リング状の凹凸5Cを形成しておき、その部分で、カバー部材30の開口内面が圧入、固定できるように構成されている。このため、カバー部材30を元竿杆5に被着して固定すると、前記リールシート7は露出することはなく覆われた状態となる。
このような構成では、仕舞寸法を更に短くすることができ、取扱性、運搬性の向上が図れるようになる。なお、この実施形態の釣竿は、両軸受リールが装着されるものとして、元竿杆5には、高さが低い釣糸ガイド18が装着されており、また、大きめのトリガー55が装着されている。また、前述した第1の実施形態と同様に挿入体60もカバー部材30内に挿入配置されている。
ところで、前述した図1に示されるようなピストン・シリンダタイプのロッドバランサー60では、シリンダ部92に対するピストン部90の挿入嵌合が圧入形式である場合、釣竿1を振った際にピストン部90がシリンダ部92に対して移動する虞もある。そのため、図13に示されるように、弾性材料から成る筒状の固定部材120をシリンダ部92のピストン挿入開口に圧入し、この固定部材120によってシリンダ部92とピストン部90の軸部90aとの間の隙間を埋めて、シリンダ部92に対するピストン部90の相対移動を防止するようにしてもよい。この場合、固定部材120は、その側面にその全長にわたって切り欠き120aを有し、この切り欠き120aを利用した弾性的な拡縮によって(すなわち、切り欠き部120aの両側の固定部材120の部位を互いに接近/離間させるように切り欠き部120aを広げる/狭めることによって)ピストン部90の軸部90aに対する着脱及びシリンダ部92内に対する挿脱が容易となっており、該切り欠き120aの存在によりピストン部90の軸部90aに着脱自在に固定される。また、シリンダ部92内に対する固定部材120の挿入を更に容易にするために、シリンダ部92内に挿入される固定部材120の周側面の部位120bは、先端に向かって先細るテーパ面として形成されている。
図14は、このような固定部材の変形例を示している。この変形例に係る固定部材は、弾性筒状体として形成される固定用ストッパ100(図14の(a)(b)参照)と、圧着螺子部材130(図14の(c)参照)とから構成される。固定用ストッパ100は、先細る円錐台形状の外形を有して外周面に雄ネジ110が形成された螺合部100Aと、外表面に環状の突起102が設けられた円筒状のシリンダ嵌合部100Bとから成る。シリンダ嵌合部100Bは、その突起102がシリンダ部92の内面に形成された環状の係合溝92aと係脱可能に係合できる(図14の(b)(c)参照)ようになっており、突起102が係合溝92aに係合することにより固定用ストッパ100がシリンダ部92に対して軸方向に移動不能に固定される。
また、固定用ストッパ100は、ピストン部90の軸部90aが挿入嵌合可能な内孔104を有し、この内孔104は、螺合部110Aとシリンダ嵌合部100Bとにわたって延びるように固定用ストッパ100を貫通している。また、固定用ストッパ100は、その側面にその全長にわたって切り欠き106を有し、この切り欠き106を利用した弾性的な拡縮によって(すなわち、切り欠き部106の両側の固定ストッパ100の部位を互いに接近/離間させるように切り欠き部106を広げる/狭めることによって)圧着螺子部材130を介したピストン部90の軸部90aに対する着脱及びシリンダ部92内に対する挿脱が容易となっている。
圧着螺子部材130は、固定用ストッパ100の螺合部100Aの雄ネジ110と螺合可能な雌ネジを内周面に有しており、螺合部100Aと螺合することによって螺合部100Aを弾性的に縮径させて螺合部100Aをピストン部90の軸部90aの外周に圧着させ、それより、ピストン部90の軸部90aを固定用ストッパ100に対して固定する。つまり、ピストン部90は、固定用ストッパ100と圧着螺子部材130とから成る固定部材により、シリンダ部92に対する相対移動が防止される。
なお、固定用ストッパ100は、弾性部材であるため、シリンダ部92内からピストン部90を引き抜く際にピストン部90の作用部90cによって押圧されて弾性変形することによりその突起102がシリンダ部92の係合溝92aから離脱されるが、この離脱を更に容易且つ確実にするために、図14の(c)に破線で示されるような環状の凹陥部90dを作用部90cの近傍でピストン部90の軸部90aの外周面に設け、シリンダ部92内からピストン部90を引き抜く際にシリンダ嵌合部100Bを凹陥部90dに落とし込ませるようにしてもよい。これにより、係合溝92aからの突起102の離脱を容易ならしめてシリンダ部92から固定用ストッパ100を確実に取り外すことができる。
図15は、ロッドバランサーの他の例を示している。この例に係るロッドバランサー60Aは、図1に示されるロッドバランサー60と同様にバランス錘を構成しているが、その形態が異なる。すなわち、ロッドバランサー60Aは、互いに螺合によって直列式に連結可能な筒状体としての複数のバランサー体140A,140B,140c・・・を有し、したがって、各バランサー体140A,140B,140c・・・は連結のためのネジ部を有する。具体的には、連結群の先頭を構成する第1のバランサー体140Aは、その一端部にのみ小径の雄ネジ連結部140Aaを有し、一方、第1のバランサー体140Aに順次に連結可能な2つ目以降の第2のバランサー体140B、第3のバランサー体140C・・・は、その一端部に大径の雌ネジ連結部140Ba,140Ca,・・・を有するとともに、その他端部に小径の雄ネジ連結部140Bb,140Cb,・・・を有する。そして、各バランサー体140A,140B,140c・・・は、例えば樹脂、金属等の材料により形成されてカバー部材30内にほぼ隙間なく嵌合されるようになっているとともに、バランス錘として使用できる物品(例えば、釣り具としての錘、又は、釣り場に存在し得る水や砂など)を収容できるようになっている収容空間S2を内側に画定している。つまり、ロッドバランサー60Aは、連結されるバランサー体の数によって及び/又は各バランサー体の収容空間S2内に収容される物体の重量によってバランス錘としてのそれ自体の重量を調整できるようになっている。すなわち、この例において、着脱可能な各バランサー体140A,140B,140c・・・の連結形態は、ロッドバランサー全体の収容空間の容積を変えるための容積可変手段を構成している。
なお、各バランサー体140A,140B,140c・・・の収容空間S2は、各バランサー体140A,140B,140c・・・に対して着脱自在な栓体150によって密閉されるようになっている。また、連結された複数のバランサー体は、1つの連結体として、連結部材145を介してカバー部材30に連結固定されるようになっている。ここで、連結部材145は、各バランサー体140A,140B,140c・・・の小径の雄ネジ連結部140Bb,140Cb,・・・と螺合可能な大径の雌ネジ連結部145aを一端に有するとともに、カバー部材30の後端(基端)に取着される下栓10の雌螺子部10dと螺合可能な雄螺子部63を外周面に有する小径の雄ネジ連結部145bを他端に有する。
このようなロッドバランサー60Aも、釣竿1を保持した手の位置を支点にした釣竿1の重量バランスが不均衡である場合に、連結されるバランサー体の数及び/又は収容空間S2内に収容する物体の重量を調整しつつロッドバランサー60Aをカバー部材30内に装着するだけで、釣竿1の重量バランスを均衡状態に近づけることができる。なお、この例では、バランサー体同士が螺合によって連結されているが、螺合ではなく圧入によってバランサー体同士を直列式に連結するようにしてもよい。
図16は、ロッドバランサーの更に他の例を示している。この例に係るロッドバランサー60Bは、バランス錘として使用できる物品(例えば、釣り具としての錘、又は、釣り場に存在し得る水や砂など)を収容できるようになっている収容空間S3を内側に画定する筒状体(有底円筒体)としての弾性収納体170と、弾性収納体170を内側に保持してカバー部材30内に圧着式に嵌合装着される弾力性がある圧着体160とによって構成される。
弾性収納体170は例えばPP、PE、シリコン等の樹脂によって形成されており、その弾力(弾性変形)によって拡縮して収容空間S3の容積を自在に変えることができるようになっており(容積可変手段を構成しており)、弾性収納体170の収容空間S3は、弾性収納体170に対して着脱自在な栓体165によって密閉されるようになっている。
また、圧着体160は、例えば円弧状の弾性プレート160Aをその円弧の曲率中心の側へと折り返す(折り曲げる)ようにして形成され、その折り曲げ両端部160a,160aには、弾性的に径方向外側に広がる拡開習性が付与されている(拡開するように弾性的に付勢されている)。また、弾性プレート160Aは、その折り返し部160dの側で、弾性収納体170を収容保持するための収容部160bを内側に形成している。したがって、圧着体160は、図15の(b)に示されるように、両端部160a,160aを操作摘み部として摘んで操作力Fを径方向内側に向けて作用させると、収容部160bを閉じる方向(図中の矢印参照)で縮径する。
そのため、圧着体160が拡開された状態(図15の(b)の左側の状態)で、バランス錘として使用できる物品が収納された弾性収納体170を収容部160b内に収容し、その後、両端部160a,160aを摘んで操作力Fを径方向内側に向けて作用させて圧着体160を縮径させると、弾性収納体170が弾性プレート160Aにより挟持されつつ収容部160b内に保持される。したがって、その状態で、圧着体160と弾性収納体170とから成るロッドバランサー60Bをカバー部材30の収容空間S内に挿入した後、圧着体160の両端部160a,160aに付与された操作力Fを解除すれば、図15の(a)に示されるように、圧着体160がその端部160a,160aの弾性的な拡開復元力によって径方向外側に広がってカバー部材30の内周面に弾発的に圧着し、ロッドバランサー60Bがカバー部材30内に固定状態で装着される。
なお、ロッドバランサー60Bのこの装着状態で弾性収納体170が圧着体160の端部160a,160a側へと移動して収容部160bから抜け出るのを防止するため、圧着体160の端部160a,160aと収容部160bとの間の弾性プレート160Aの部位には、収容部160b内の弾性収納体170の壁面に係止する凹陥状の屈曲部160cが形成されている。
このようなロッドバランサー60Bも、釣竿1を保持した手の位置を支点にした釣竿1の重量バランスが不均衡である場合に、収容空間S3内に収容する物体の重量を調整しつつロッドバランサー60Bをカバー部材30内に装着するだけで、釣竿1の重量バランスを均衡状態に近づけることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施の形態に限定されることはなく、例えば、以下のように種々変形することが可能である。
上記した実施形態では、リールが装着される釣竿を例示したが、リールシート及び釣糸ガイドを備えていない通常の振出式の釣竿として構成することが可能である。また、スピニングリール専用の釣竿、両軸受リール専用の釣竿として構成しても良い。
前記カバー部材30については、その先端部分を元竿杆5の基端部に固定する構造としたが、カバー部材の後端部分を元竿杆5の基端部に固定する構造としても良い。
前記カバー部材30の長さについては、適宜変形することができ、例えば、元竿杆5と略同じ長さにして、全長に亘って被着する構造にすることで、釣竿としてコンパクト化(モバイル化)が図れ、かつ、使用時に長くして使用することができ、取扱性の向上が図れる。
前記カバー部材30の元竿杆5に対する固定方法については、圧入構造、螺合構造、クランプ等による構造等、適宜変形することが可能であり、その固定位置についても適宜変形することが可能である。
前記カバー部材30の形状については、元竿杆5に収納される竿杆の飛び出しを防止し、元竿杆のグリップとして機能されれば、形状、長さ等適宜変形することが可能である。
1 釣竿
5 元竿杆
6a~6N 竿杆
7 リールシート
8,8a~8N,18 釣糸ガイド
10 下栓(尻栓)
30 カバー部材
40 上栓
60 釣用ロッドバランサー
60b 螺合部
90 ピストン部
90a 軸部
90b 操作部
90c 作用部
92 シリンダ部
S 内部空間
S1 収容空間

Claims (17)

  1. 釣竿に装着されて釣竿の重量バランスを調整するための釣用ロッドバランサーであって、
    加重体を収容できる収容空間を有し、釣竿の竿杆の中空の内部空間内に収容可能な筒状体と、
    前記収容空間の容積を変えるための容積可変手段と、
    を有し、
    複数の前記筒状体を着脱自在に連結することによって前記容積可変手段が構成されることを特徴とする釣用ロッドバランサー。
  2. 釣竿に装着されて釣竿の重量バランスを調整するための釣用ロッドバランサーであって、
    加重体を収容できる収容空間を有し、釣竿の竿杆の中空の内部空間内に収容可能な筒状体と、
    前記収容空間の容積を変えるための容積可変手段と、
    を有し、
    内側に前記収容空間を有する前記筒状体がその弾性変形によって拡縮することによって前記容積可変手段が構成されることを特徴とする釣用ロッドバランサー。
  3. 釣竿に装着されて釣竿の重量バランスを調整するための釣用ロッドバランサーであって、
    加重体を収容できる収容空間を有し、釣竿の竿杆の中空の内部空間内に収容可能な筒状体と、
    前記収容空間の容積を変えるための容積可変手段と、
    を有し、
    前記筒状体がシリンダ部であり、前記容積可変手段が前記シリンダ部内でその軸方向に沿って往復動可能なピストン部であり、
    前記ピストン部は、加重体を収容できる前記収容空間を前記シリンダ部と協働して画定し、前記シリンダ部内で進退することによって前記収容空間の容積を変え、
    前記ピストン部は、前記シリンダ部の軸方向に沿って延びる軸部と、この軸部の一端にフランジ状に形成されて前記シリンダ部の外側に位置される操作部と、前記軸部の他端にフランジ状に形成されるとともに前記シリンダ部の内側に位置されて前記シリンダ部の内周面と接触する作用部とを有し、前記作用部は、前記シリンダ部と協働して前記収容空間を画定し、前記操作部から入力される操作力により前記シリンダ部内で進退することによって前記収容空間の容積を変えることを特徴とする釣用ロッドバランサー。
  4. 前記ピストン部は、前記作用部の外周面に形成された雄螺子部が前記シリンダ部の内周面にそのほぼ全長にわたって形成された雌螺子部と螺合することによって前記シリンダ部内で進退することを特徴とする請求項に記載の釣用ロッドバランサー。
  5. 前記シリンダ部は、釣竿の竿杆の前記内部空間内に嵌合されることを特徴とする請求項3又は4に記載の釣用ロッドバランサー。
  6. 前記シリンダ部は、釣竿の竿杆の基端に取着される尻栓と螺合可能な螺合部を有することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の釣用ロッドバランサー。
  7. 複数の竿杆を収納する元竿杆を備え、収納された各竿杆を振出式に継合する振出式の釣竿であって、
    前記元竿杆に対して前記複数の竿杆が突出しないように被着されるカバー部材を有し、
    前記カバー部材は、前記元竿杆の後端に対して着脱可能なグリップを構成するとともに、該グリップを構成するときに中空の内部空間を内側に画定し、
    前記カバー部材の前記内部空間には、釣竿の重量バランスを調整するための釣用ロッドバランサーが着脱自在に装着され、
    前記釣用ロッドバランサーは、
    加重体を収容できる収容空間を有し、釣竿の竿杆の中空の内部空間内に収容可能な筒状体と、
    前記収容空間の容積を変えるための容積可変手段と、
    を有する、
    ことを特徴とする振出式の釣竿。
  8. 前記釣用ロッドバランサーの前記筒状体がシリンダ部であり、前記容積可変手段が前記シリンダ部内でその軸方向に沿って往復動可能なピストン部であり、
    前記ピストン部は、加重体を収容できる前記収容空間を前記シリンダ部と協働して画定し、前記シリンダ部内で進退することによって前記収容空間の容積を変える、ことを特徴とする請求項に記載の振出式の釣竿。
  9. 前記シリンダ部は、前記カバー部材の前記内部空間内に嵌合されることを特徴とする請求項に記載の振出式の釣竿。
  10. 前記シリンダ部は、前記カバー部材の基端に取着される尻栓と螺合可能な螺合部を有することを特徴とする請求項又はに記載の振出式の釣竿。
  11. 前記ピストン部は、前記シリンダ部の軸方向に沿って延びる軸部と、この軸部の一端にフランジ状に形成されて前記シリンダ部の外側に位置される操作部と、前記軸部の他端にフランジ状に形成されるとともに前記シリンダ部の内側に位置されて前記シリンダ部の内周面と接触する作用部とを有し、前記作用部は、前記シリンダ部と協働して前記収容空間を画定し、前記操作部から入力される操作力により前記シリンダ部内で進退することによって前記収容空間の容積を変えることを特徴とする請求項から10のいずれか一項に記載の振出式の釣竿。
  12. 前記ピストン部は、前記作用部の外周面に形成された雄螺子部が前記シリンダ部の内周面にそのほぼ全長にわたって形成された雌螺子部と螺合することによって前記シリンダ部内で進退することを特徴とする請求項11に記載の振出式の釣竿。
  13. 複数の前記筒状体を着脱自在に連結することによって前記容積可変手段が構成されることを特徴とする請求項に記載の振出式の釣竿。
  14. 内側に前記収容空間を有する前記筒状体がその弾性変形によって拡縮することによって前記容積可変手段が構成されることを特徴とする請求項に記載の振出式の釣竿。
  15. 前記カバー部材は、前記元竿杆に対して軸方向に沿って被せられる筒状体で構成されることを特徴とする請求項から14のいずれか一項に記載の振出式の釣竿。
  16. 前記筒状体は、前記元竿杆に被せた状態で、元竿杆の基端部で固定されることを特徴とする請求項15に記載の振出式の釣竿。
  17. 前記元竿杆は、リールが装着されるリールシートを備えており、
    前記筒状体は、前記元竿杆に被せて前記リールシートを露出させた状態で元竿杆に固定されることを特徴とする請求項15に記載の振出式の釣竿。
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