JP7315474B2 - 歯科用ミルブランクおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]無機充填材(A)および無機充填材(B)を含む無機充填材と重合体とを含み、当該無機充填材(A)の一部が凝集体を形成している歯科用ミルブランクであって、無機充填材(A)の平均一次粒子径をaμm、無機充填材(B)の平均一次粒子径をbμmおよび凝集体の平均粒子径をxμmとしたときに、以下の式(I)~(III)を満たす、歯科用ミルブランク。
0.001 ≦ a < 0.3 (I)
0.3 ≦ b ≦ 10 (II)
5 ≦ x ≦ 80 (III)
[2]凝集体を含む島成分と、無機充填材(A)および無機充填材(B)を含む海成分とを含む、[1]に記載の歯科用ミルブランク。
[3]断面を顕微鏡観察した際に、当該断面において、島成分の面積の占める割合が5~20%である、[2]に記載の歯科用ミルブランク。
[4]断面を顕微鏡観察した際に、海成分における、[無機充填材(A)および無機充填材(B)の合計面積]/[重合体の面積]が60/40~80/20である、[2]または[3]に記載の歯科用ミルブランク。
[5]断面を顕微鏡観察した際に、島成分における、[無機充填材(A)の面積]/[重合体の面積]が50/50~60/40である、[2]~[4]のいずれかに記載の歯科用ミルブランク。
[6]無機充填材の含有量が70~95質量%である、[1]~[5]のいずれかに記載の歯科用ミルブランク。
[7]重合体の含有量が5~30質量%である、[1]~[6]のいずれかに記載の歯科用ミルブランク。
[8][無機充填材(A)の含有量]/[無機充填材(B)の含有量](質量/質量)が10/90~40/60である、[1]~[7]のいずれかに記載の歯科用ミルブランク。
[9]凝集体の含有量が2~15質量%である、[1]~[8]のいずれかに記載の歯科用ミルブランク。
[10][1]~[9]のいずれかに記載の歯科用ミルブランクの製造方法であって、無機充填材をプレス成形してなる無機充填材成形体と重合性単量体含有組成物とを接触させて、重合性単量体を重合硬化させる工程を含む、製造方法。
[11]プレス成形が冷間等方圧加圧(CIP)工程を含む、[10]に記載の製造方法。
[12][1]~[9]のいずれかに記載の歯科用ミルブランクの製造方法であって、無機充填材と重合性単量体含有組成物とを混合してペーストとし、重合性単量体を重合硬化させる工程を含む、製造方法。
本発明の歯科用ミルブランクは、無機充填材(A)および無機充填材(B)を含む無機充填材と重合体とを含む。すなわち、本発明の歯科用ミルブランクは、無機充填材(A)、無機充填材(B)および重合体の少なくとも3成分を含む。そして、本発明の歯科用ミルブランクにおいては、無機充填材(A)の一部が凝集体を形成している。ここで、無機充填材(A)の平均一次粒子径をaμm、無機充填材(B)の平均一次粒子径をbμmおよび凝集体の平均粒子径をxμmとしたときに、以下の式(I)~(III)を満たす。
0.001 ≦ a < 0.3 (I)
0.3 ≦ b ≦ 10 (II)
5 ≦ x ≦ 80 (III)
すなわち、無機充填材(A)の一部が凝集体を形成していることにより、残りの無機充填材(A)と無機充填材(B)とが、より密な領域を形成しやすく、特に歯科用ミルブランクの断面を顕微鏡観察した際に海成分となる領域(連続領域)を形成しやすい。このような領域では、粒子径が相対的に小さい無機充填材(A)と粒子径が相対的に大きい無機充填材(B)とが含まれるため、無機充填材全体として高密度に充填されやすく、より剛直で無機充填材同士の機械的嵌合力も向上しやすい。
一方で、無機充填材(A)より形成される凝集体は、歯科用ミルブランクの断面を顕微鏡観察した際に島成分となる領域(不連続領域)を形成しやすく、このような領域は、凝集体を形成していない無機充填材(A)と無機充填材(B)とを含む無機充填材がより高密度に充填された上記剛直な領域と比較して、無機充填材全体としての充填率が低くなりやすい。したがって、このような領域では上記剛直な領域よりも重合体の含有率が高くなりやすく、当該重合体の低弾性などに起因して、より柔軟で荷重がかかった際に応力分散しやすい領域になりやすい。
このように本発明の歯科用ミルブランクは、より剛直で無機充填材同士の機械的嵌合力の強い領域と、より柔軟で荷重がかかった際に応力分散しやすい領域とを合わせ持つことができるため、結果として、それ自体は機械的強度に優れるにもかかわらず、対合歯との間で断続的に応力が加わった際に当該対合歯の摩耗量を少なくすることができて、対合歯の耐摩耗性に優れたものとなるものと考えられる。
無機充填材としては、歯科用硬化性組成物の充填材として用いられている公知の無機粒子を用いることができ、歯科用コンポジットレジンの充填材として用いられている公知の無機粒子を用いることが好ましい。当該無機粒子としては、例えば、各種ガラス類(例えば、二酸化珪素(石英、石英ガラス、シリカゲル等)、珪素を主成分とし各種重金属と共にホウ素および/またはアルミニウムを含有するものなど)、アルミナ、各種セラミック類、珪藻土、カオリン、粘土鉱物(モンモリロナイト等)、活性白土、合成ゼオライト、マイカ、シリカ、フッ化カルシウム、フッ化イッテルビウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)、二酸化チタン(チタニア)、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。また、無機充填材は、前記無機粒子に重合性単量体を添加し重合硬化させた後に粉砕するなどして得られる有機無機複合粒子(有機無機複合フィラー)であってもよい。なお、無機充填材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
0.001 ≦ a < 0.3 (I)
0.3 ≦ b ≦ 10 (II)
本発明の歯科用ミルブランクにおいては、上記無機充填材(A)の一部が凝集体を形成している。そして、当該凝集体の平均粒子径(x)は、5μm以上80μm以下の範囲内にある。当該平均粒子径を有する凝集体を含むことで、対合歯の耐摩耗性に優れた歯科用ミルブランクとなる。このような観点から、凝集体の平均粒子径(x)は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、また、70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。平均粒子径(x)があまりに小さいと得られる歯科用ミルブランクの対合歯の耐摩耗性が低下しやすく、またあまりに大きいと、得られる歯科用ミルブランクひいてはそれから得られる歯科用補綴物の対合歯の耐摩耗性および機械的強度が低下する恐れがある。
無機充填材は、予め表面処理が施されたものであることが好ましい。表面処理が施された無機充填材を用いることで、得られる歯科用ミルブランクの機械的強度をより向上させることができる。また、無機充填材をプレス成形してなる無機充填材成形体と、後述の重合性単量体含有組成物とを接触させて、無機充填材の隙間に重合性単量体含有組成物を浸入させる際などにおいて、無機充填材表面と重合性単量体含有組成物とのなじみが良くなり、重合性単量体含有組成物が浸入しやすくなるという利点もある。
なお、無機充填材(A)および無機充填材(B)のうちのいずれかのみが表面処理が施されたものであってもよく、無機充填材(A)および無機充填材(B)の両方が表面処理が施されたものであってもよい。後者の場合、表面処理された各無機充填材を別々に調製してもよいし、無機充填材(A)と無機充填材(B)との混合物に表面処理を施すことにより調製してもよい。また上記凝集体を形成している無機充填材(A)は、個々の一次粒子に対して表面処理されていてもよいし、凝集体に対して表面処理されていてもよい。
無機充填材は、その表面にバインダーを有する無機充填材複合体を形成していてもよい。表面にバインダーを有する無機充填材複合体は、無機充填材とバインダーとを混合することにより得ることができる。表面にバインダーを有する無機充填材複合体を用いることにより、無機充填材(無機充填材複合体)をプレス成形する際の成形性が向上し、特に得られる無機充填材成形体におけるクラックや欠けの発生を低減でき、また、得られる無機充填材成形体と、後述の重合性単量体含有組成物とを接触させて、無機充填材の隙間に重合性単量体含有組成物を侵入させる際や、あるいは、無機充填材と重合性単量体含有組成物とを混合してペーストとする際などにおいて、無機充填材表面と重合性単量体含有組成物とのなじみが良くなり、得られる歯科用ミルブランクの機械的強度が向上する。
なお、無機充填材(A)および無機充填材(B)のいずれか一方がその表面にバインダーを有する無機充填材複合体を形成していてもよいが、無機充填材(A)および無機充填材(B)の両方がその表面にバインダーを有する無機充填材複合体を形成していることが好ましい。また上記凝集体を形成している無機充填材(A)は、個々の一次粒子がその表面にバインダーを有する無機充填材複合体を形成していてもよいし、凝集体がその表面にバインダーを有する無機充填材複合体を形成していてもよい。
上記無機充填材の含有量は、歯科用ミルブランクを灰化することにより求めることができる。無機充填材および重合体を含む歯科用ミルブランクを灰化すると、通常は、重合体等の有機成分が焼却される。したがって、灰化後の灰化物の質量を灰化前の質量で除すことにより歯科用ミルブランクにおける無機充填材の含有量を求めることができる。当該灰化は、例えば、歯科用ミルブランクを坩堝に入れて電気炉等を用いて575℃で所定時間(例えば2時間)加熱することにより行うことができる。なお無機充填材として表面処理が施されたものを用いた場合やその表面にバインダーを有する無機充填材複合体を用いた場合は、上記条件で灰化すると表面処理剤やバインダーに由来する成分は、通常、有機成分として焼却される。
本発明の歯科用ミルブランクを構成する重合体に特に制限はなく、重合性単量体が重合してなるものを用いることができ、重合性単量体を含む重合性単量体含有組成物中の重合性単量体が重合硬化したものであることが好ましい。
重合体を形成する重合性単量体(重合体に含まれる構造単位を形成する重合性単量体)としては、歯科用コンポジットレジン等に使用される公知の重合性単量体を用いることができ、一般には、ラジカル重合性単量体が好適に用いられる。ラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、α-シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α-ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸のエステル;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリルアミド誘導体;ビニルエステル類;ビニルエーテル類;モノ-N-ビニル誘導体;スチレン誘導体などが挙げられる。これらの中でも、カルボン酸のエステル、(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド誘導体がより好ましく、(メタ)アクリル酸エステルがさらに好ましい。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」との表記は、メタクリルとアクリルの両者を包含する意味で用いられる。(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリルアミド誘導体の例を以下に示す。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3-ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロリド、10-メルカプトデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-〔3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-〔3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン(Bis-GMA)、2,2-ビス〔4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、1,2-ビス〔3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、[2,2,4-トリメチルヘキサメチレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート(UDMA)、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンチルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N’-(2,2,4-トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2-(アミノカルボキシ)プロパン-1,3-ジオール〕テトラ(メタ)アクリレート、1,7-ジアクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラ(メタ)アクリロイルオキシメチル-4-オキシヘプタンなどが挙げられる。
重合性単量体を重合して重合体を得るにあたっては、重合を容易にするために重合開始剤を用いることができ、特に重合性単量体含有組成物中の重合性単量体を重合硬化させることにより重合体を得る場合には、当該重合性単量体含有組成物がさらに重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤としては、一般工業界で使用されている重合開始剤を用いることができ、特に歯科用途に用いられる重合開始剤を好ましく用いることができる。重合開始剤としては、例えば、加熱重合開始剤、光重合開始剤および化学重合開始剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
加熱重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物などが挙げられる。
光重合開始剤としては、歯科用硬化性組成物に広く使用されているものを好ましく使用することができ、例えば、(ビス)アシルホスフィンオキシド類、α-ジケトン類、クマリン類などが挙げられる。
化学重合開始剤としては、例えば、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。当該レドックス系重合開始剤としては、有機過酸化物-アミン系;有機過酸化物-アミン-スルフィン酸(またはその塩)系などを好ましく用いることができる。レドックス系重合開始剤を使用する場合、酸化剤と還元剤とを別々に包装しておき、使用する直前に両者を混合するのが好ましい。
重合開始剤を使用するにあたっては、重合促進剤を併用してもよく、特に重合性単量体含有組成物中の重合性単量体を重合硬化させることにより重合体を得る場合には、当該重合性単量体含有組成物が重合開始剤と共にさらに重合促進剤を含んでもよい。重合促進剤を併用することで、重合をより短時間で効率的に行うことができる場合がある。当該重合促進剤としては、一般工業界で使用されている重合促進剤を用いることができ、特に歯科用途に用いられる重合促進剤を好ましく用いることができる。重合促進剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記脂肪族アミンとしては、例えば、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-オクチルアミン等の第1級脂肪族アミン;ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N-メチルエタノールアミン等の第2級脂肪族アミン;N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-n-ブチルジエタノールアミン、N-ラウリルジエタノールアミン、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N-メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N-エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級脂肪族アミンなどが挙げられる。これらの中でも、重合性および保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンがより好ましい。
本発明の歯科用ミルブランクは、無機充填材および重合体以外に、目的に応じて、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、顔料、抗菌剤、X線造影剤、増粘剤、蛍光剤などの他の成分をさらに含んでいてもよい。
本発明の歯科用ミルブランクの製造方法に特に制限はないが、所望の物性を有する歯科用ミルブランクをより効率的に得ることができることなどから、(1)無機充填材をプレス成形してなる無機充填材成形体と重合性単量体含有組成物とを接触させて、重合性単量体を重合硬化させる工程を含む方法(方法1)(2)無機充填材と重合性単量体含有組成物とを混合してペーストとし、重合性単量体を重合硬化させる工程を含む方法(方法2)などにより製造するのが好ましく、方法1がより好ましい。無機充填材が、無機充填材(A)および無機充填材(B)を含み、当該無機充填材(A)の一部が凝集体を形成していることは上述のとおりである。
超音波分散を行う際の出力に特に制限はなく、50~2,000Wの範囲内とすることができ、100~1,000Wの範囲内であることが好ましく、300~900Wの範囲内であることがより好ましい。また、超音波分散を行う際の周波数に特に制限はなく、20kHz以上とすることができ、25~300kHzの範囲内であることが好ましく、30~100kHzの範囲内であることがより好ましい。超音波分散を行う際の温度に特に制限はなく、0~100℃の範囲内とすることができる。
超音波分散を行う際の処理時間に特に制限はなく、上記の出力、周波数などにもよるが、あまりに長い時間処理すると、全ての無機充填材(A)が分散してしまうことなどから、1分間以上であることが好ましく、5分間以上であることがより好ましく、10分間以上であることがさらに好ましく、また、12時間以下であることが好ましく、6時間以下であることがより好ましく、4時間以下であることがさらに好ましい。
方法1における無機充填材成形体は、無機充填材をプレス成形してなる。無機充填材をプレス成形する方法に特に制限はなく、公知の方法を採用することができる。プレス成形の具体的な方法としては、例えば、無機充填材を所望の大きさのプレス用金型(ダイ)に充填し、上パンチと下パンチを用いて一軸プレスにより加圧する方法が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄等のクロム酸塩;紺青等のフェロシアン化物;銀朱、カドミウム黄、硫化亜鉛、アンチモン白、カドミウムレッド等の硫化物;硫酸バリウム、硫酸亜鉛、硫酸ストロンチウム等の硫酸塩;亜鉛華、チタン白、ベンガラ、鉄黒、黄酸化鉄、酸化クロム等の酸化物;水酸化アルミニウム等の水酸化物;ケイ酸カルシウム、群青等のケイ酸塩;カーボンブラック、グラファイト等の炭素などが挙げられる。
有機顔料としては、例えば、ナフトールグリーンB、ナフトールグリーンY等のニトロソ系顔料;ナフトールS、リソールファストイエロー2G等のニトロ系顔料;パーマネントレッド4R、ブリリアントファストスカーレット、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー等の不溶性アゾ系顔料;リソールレッド、レーキレッドC、レーキレッドD等の難溶性アゾ系顔料;ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF5R、ピグメントスカーレット3B、ボルドー10B等の可溶性アゾ系顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー等のフタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の塩基性染料系顔料;ピーコックブルーレーキ、エオシンレーキ、キノリンイエローレーキ等の酸性染料系顔料などが挙げられる。
これらの顔料は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよく、目的とする色調に応じて適宜選択することができる。これらの顔料の中でも、耐熱性や耐光性等に優れる無機顔料であるチタン白(局方酸化チタン白等)、ベンガラ、鉄黒、黄酸化鉄が好ましい。
方法1において、上記の無機充填材成形体と重合性単量体含有組成物とを接触させることで、無機充填材成形体の隙間に重合性単量体含有組成物が浸入し、その結果、重合性単量体含有組成物中に無機充填材が極めて密に分散した構造を有する組成物が得られる。このような観点から、方法1においては、焼結して連通した多孔質体としていない無機充填材成形体を用いることが好ましい。
上記の方法1および2などにおいて使用される重合性単量体含有組成物における重合性単量体の含有量は、例えば、50質量%以上とすることができ、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。
一方、方法2において、無機充填材と重合性単量体含有組成物とを混合してペーストとする際の方法に特に制限はなく、例えば、無機充填材と重合性単量体含有組成物とを混錬することにより行うことができる。混合時や混合後のペーストに対して、必要に応じて真空脱泡処理を行うこともできる。
方法1において、無機充填材成形体と重合性単量体含有組成物とを接触させて重合性単量体含有組成物が無機充填材成形体内部に浸入した状態(重合性単量体含有組成物が含浸した状態)で当該重合性単量体含有組成物中に含まれる重合性単量体の重合硬化を行うことにより、目的とする歯科用ミルブランクを得ることができる。また方法2において、ペーストに含まれる重合性単量体の重合硬化を行うことにより、目的とする歯科用ミルブランクを得ることができる。後者の場合には、所望の形状を有する歯科用ミルブランクが容易に得られることなどから、金型にペーストを充填し成形体とした上で重合硬化を行うことが好ましい。成形体とする際には必要に応じてプレス処理を施してもよい。
本発明の歯科用ミルブランクは歯科用途に使用され、例えば、切断、カービング、切削等の加工を施すことにより歯科用補綴物を作製する用途に使用することができる。当該歯科用ミルブランクを用いることで、対合歯の耐摩耗性に優れた歯科用補綴物を得ることができる。当該歯科用補綴物としては、例えば、インレー、アンレー、ベニア、クラウン、ブリッジ等の歯冠修復物;支台歯、歯科用ポスト、義歯、義歯床、インプラント部材(フィクスチャー、アバットメント等)などが挙げられる。歯科用ミルブランクに対する上記加工は、歯科用CAD/CAMシステムを用いて行うことが好ましい。当該歯科用CAD/CAMシステムの例としては、例えば、シロナデンタルシステムズ社製の「CEREC」システム、クラレノリタケデンタル株式会社製の「カタナ」システムなどが挙げられる。
UF2.0:バリウムガラス(平均一次粒子径2.0μm、ショット社製)
UF1.0:バリウムガラス(平均一次粒子径1.0μm、ショット社製)
UF0.4:バリウムガラス(平均一次粒子径0.4μm、ショット社製)
NF180:バリウムガラス(平均一次粒子径0.18μm、ショット社製)
Ox-50:微粒子シリカ(平均一次粒子径0.04μm、日本アエロジル社製)
・表面処理剤
γ-MPS:γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製)
・バインダー
UDMA:[2,2,4-トリメチルヘキサメチレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート
・重合性単量体
UDMA:[2,2,4-トリメチルヘキサメチレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
・重合開始剤
THP:1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド(日油社製)
・無機充填材(F1)の製造
70質量部のUF2.0および30質量部のNF180の混合物100質量部をエタノール300質量部に分散し、超音波発振器によって、出力720Wおよび周波数40kHzの条件で30分間超音波分散した。これにγ-MPS2.5質量部、酢酸0.15質量部および水5質量部を加えて室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、さらに90℃で3時間乾燥することによって、表面処理剤で表面処理された無機充填材(F1)を得た。
・無機充填材(F2)の製造
70質量部のUF2.0および30質量部のNF180の混合物100質量部をエタノール300質量部に分散し、超音波発振器によって、出力730Wおよび周波数28kHzの条件で30分間超音波分散した。これにγ-MPS2.5質量部、酢酸0.15質量部および水5質量部を加えて室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、さらに90℃で3時間乾燥することによって、表面処理剤で表面処理された無機充填材(F2)を得た。
・無機充填材(F3)の製造
70質量部のUF2.0および30質量部のNF180の混合物100質量部をエタノール300質量部に分散し、超音波発振器によって、出力720Wおよび周波数40kHzの条件で180分間超音波分散した。これにγ-MPS2.5質量部、酢酸0.15質量部および水5質量部を加えて室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、さらに90℃で3時間乾燥することによって、表面処理剤で表面処理された無機充填材(F3)を得た。
・無機充填材(F4)の製造
70質量部のUF1.0および30質量部のNF180の混合物100質量部をエタノール300質量部に分散し、超音波発振器によって、出力720Wおよび周波数40kHzの条件で30分間超音波分散した。これにγ-MPS5質量部、酢酸0.15質量部および水5質量部を加えて室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、さらに90℃で3時間乾燥することによって、表面処理剤で表面処理された無機充填材(F4)を得た。
・無機充填材(F5)の製造
80質量部のUF0.4および20質量部のOx-50の混合物100質量部をエタノール300質量部に分散し、超音波発振器によって、出力720Wおよび周波数40kHzの条件で60分間超音波分散した。これにγ-MPS11質量部、酢酸0.15質量部および水5質量部を加えて室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、さらに90℃で3時間乾燥することによって、表面処理剤で表面処理された無機充填材(F5)を得た。
・無機充填材(F6)の製造
30質量部のNF180をエタノール300質量部に分散し、超音波発振器によって、出力720Wおよび周波数40kHzの条件で24時間超音波分散した後、70質量部のUF2.0を加えて、出力720Wおよび周波数40kHzの条件でさらに30分間超音波分散した。これにγ-MPS2.5質量部、酢酸0.15質量部および水5質量部を加えて室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、さらに90℃で3時間乾燥することによって、表面処理剤で表面処理された無機充填材(F6)を得た。
・無機充填材(F7)の製造
70質量部のUF2.0および30質量部のNF180の混合物100質量部をエタノール300質量部に分散し、超音波分散は行わずに、γ-MPS2.5質量部、酢酸0.15質量部および水5質量部を加えて室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、さらに90℃で3時間乾燥することによって、表面処理剤で表面処理された無機充填材(F7)を得た。
・無機充填材(F8)の製造
70質量部のUF2.0および30質量部のUF0.4の混合物100質量部をエタノール300質量部に分散し、超音波発振器によって、出力720Wおよび周波数40kHzの条件で30分間超音波分散した。これにγ-MPS2.5質量部、酢酸0.15質量部および水5質量部を加えて室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、さらに90℃で3時間乾燥することによって、表面処理剤で表面処理された無機充填材(F8)を得た。
・重合性単量体含有組成物(P1)の製造
UDMA99質量部に、重合開始剤としてTHP1質量部を溶解させて、重合性単量体含有組成物(P1)を調製した。
・重合性単量体含有組成物(P2)の製造
UDMA80質量部および3G19質量部に、重合開始剤としてTHP1質量部を溶解させて、重合性単量体含有組成物(P2)を調製した。
(1)前記製造例で得た無機充填材(F1)7.0gを、14.5mm×18mmの長方形の穴を持つプレス用金型の下パンチ棒の上に敷いた。タッピングにより粉末をならし、上パンチ棒を上にセットし、テーブルプレス機を用いて一軸プレス(プレス圧:10kN(38.3MPa)、プレス時間:2分間)を行った。上パンチ棒と下パンチ棒を金型から外して、無機充填材(F1)が凝集した成形体を取り出した。当該成形体についてCIP工程によりプレス成形(圧力:170MPa、加圧時間:5分間)を行い、無機充填材成形体を得た。
(2)得られた無機充填材成形体を重合性単量体含有組成物(P1)に浸漬し、減圧(10hPa)して脱気し、70℃で48時間静置して、重合性単量体含有組成物が含浸した無機充填材成形体(重合性単量体含浸成形体)を得た。この重合性単量体含浸成形体を、熱風乾燥機を用いて110℃で7時間加熱した後、150℃で7時間加熱して、目的とする直方体状の歯科用ミルブランクを得た。
実施例1において無機充填材および重合性単量体含有組成物の種類をそれぞれ表1に記載されたように変更したこと以外は実施例1と同様にして直方体状の歯科用ミルブランクを得た。
なお実施例6については、(2)において無機充填材成形体を重合性単量体含有組成物(P2)に浸漬した後、減圧(10hPa)して脱気し、40℃で48時間静置して重合性単量体含浸成形体を得て、この重合性単量体含浸成形体を、熱風乾燥機を用いて55℃で18時間加熱した後、110℃で3時間加熱して、目的とする直方体状の歯科用ミルブランクを得た。
前記製造例で得た無機充填材(F1)75gと、重合性単量体含有組成物(P2)25gを混合混錬して均一にしたものを真空脱泡し、ペーストを調製した。これを、14.5mm×14.5mm×18mmの長方体状の金型に流し込み、真空引きにより脱泡しつつ酸素を除外した。減圧を解除後、50MPaでプレス成形した。得られた成形体を55℃で18時間加熱した後、110℃で3時間加熱して、目的とする直方体状の歯科用ミルブランクを得た。
・断面の顕微鏡観察
得られた歯科用ミルブランクの断面を顕微鏡観察して凝集体からなる島成分の存在と、無機充填材(A)および無機充填材(B)を含む海成分の存在とをそれぞれ確認した上で、(i)島成分(凝集体)の平均粒子径(x)、(ii)島成分(凝集体)の面積の占める割合、(iii)海成分における、[無機充填材(A)および無機充填材(B)の合計面積]/[重合体の面積]、および、(iv)島成分における、[無機充填材(A)の面積]/[重合体の面積]をそれぞれ測定ないし算出した。
すなわち、まず、製造した歯科用ミルブランクから、ダイヤモンドカッターを用いて、試験片(10mm×10mm×1.2mm)を作製し、綺麗な平滑面を#1000研磨紙、#2000研磨紙、#3000研磨紙、ラッピングフィルムの順に乾燥条件下で研磨した。これを走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立ハイテクノロジーズ製「SU3500」)を用いて300倍で撮影した。
上記で得られたSEM画像の単位視野内に観察される全ての島成分(凝集体)(200個以上)の粒子径を画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(株式会社マウンテック製「Macview」)を用いて測定した。ここで、島成分(凝集体)の粒子径は、その島成分(凝集体)の面積と同一の面積をもつ円の直径である円相当径とした。得られた各島成分(凝集体)の粒子径を平均して島成分(凝集体)の平均粒子径(x)とした。
上記で得られたSEM画像から、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(株式会社マウンテック製「Macview」)を用いて島成分(凝集体)の合計面積を求め、これを全体の面積で除すことにより求めた。なお、粒子径が5μm未満のものは島成分として扱わなかった。
上記で得られたSEM画像から、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(株式会社マウンテック製「Macview」)を用いて、海成分における、無機充填材(A)の合計面積、無機充填材(B)の合計面積および重合体の合計面積をそれぞれ求め、無機充填材(A)の合計面積と無機充填材(B)の合計面積の和を重合体の合計面積で除すことにより求めた。
上記で得られたSEM画像から、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(株式会社マウンテック製「Macview」)を用いて、島成分における、無機充填材(A)の合計面積および重合体の合計面積をそれぞれ求め、無機充填材(A)の合計面積を重合体の合計面積で除すことにより求めた。なお、粒子径が5μm未満のものは島成分として扱わなかった。
・耐摩耗試験
得られた歯科用ミルブランクについての対合歯の耐摩耗性を以下の方法により測定した。すなわち、製造した歯科用ミルブランクから、φ10.0mmの半球状のサンプルを歯科用ミリング装置「DWX-50」(ローランド ディー.ジー.社製)を用いたミリングによって削り出し、カーボランダム → シリコンポイント茶 → シリコンポイント青 → ブラシ(エステニア用の研磨材) → フェルト(ダイヤモンドペースト1μm)の順に技工用エンジンを用いてサンプルの表面を研磨した。また、別途用意した牛歯のエナメル質を#1000で研磨し、平坦面を削り出した。これらを摩耗試験機(ナビック社製)にセットし、室温水中下で、固定された牛歯のエナメル質に対して、上記半球状のサンプルを接触させた状態(初期状態)から、接触を維持したまま、サンプルを押し込むように荷重を加えながら35°回転させた。この際の荷重は15.6kg/cm2とし、動作時間は1秒間とした。次いで、1秒後に-35°回転させながら荷重を解放し、初期状態に戻した。このサイクルを10万回繰り返した。その後、サンプルが接触していない牛歯エナメル質の平坦面部分を基準(摩耗深さ0μm)として、摩耗痕の幅および深さを表面粗さ計「レーザフォーカス変位計 LT-8100」(株式会社キーエンス製)で牛歯エナメル質の摩耗量(摩耗体積)として測定し、これを当該歯科用ミルブランクについての対合歯の耐摩耗性の指標とした。牛歯エナメル質の摩耗量は、1サンプルにつき3回測定し、2サンプルを測定した平均値とした。結果を表1に示す。なお、当該摩耗量は、0.12mm3以下であることが好ましく、0.1mm3以下であることがより好ましく、0.08mm3以下であることがさらに好ましく、0.06mm3以下であることが特に好ましく、0.05mm3以下であることが最も好ましい。また当該摩耗量は、例えば0.01mm3以上であってもよい。
Claims (11)
- 無機充填材(A)および無機充填材(B)を含む無機充填材と重合体とを含み、当該無機充填材(A)の一部が凝集体を形成している歯科用ミルブランクであって、
無機充填材(A)の平均一次粒子径をaμm、無機充填材(B)の平均一次粒子径をbμmおよび凝集体の平均粒子径をxμmとしたときに、以下の式(I)~(III)を満たし、
凝集体を含む島成分と、無機充填材(A)および無機充填材(B)を含む海成分とを含み、
断面を顕微鏡観察した際に、当該断面において、島成分の面積の占める割合が5~20%である、歯科用ミルブランク。
0.001 ≦ a < 0.3 (I)
0.3 ≦ b ≦ 10 (II)
10 ≦ x ≦ 80 (III) - 断面を顕微鏡観察した際に、当該断面において、島成分の面積の占める割合が7~18%である、請求項1に記載の歯科用ミルブランク。
- 断面を顕微鏡観察した際に、海成分における、[無機充填材(A)および無機充填材(B)の合計面積]/[重合体の面積]が60/40~80/20である、請求項1又は2に記載の歯科用ミルブランク。
- 断面を顕微鏡観察した際に、島成分における、[無機充填材(A)の面積]/[重合体の面積]が50/50~60/40である、請求項1~3のいずれかに記載の歯科用ミルブランク。
- 無機充填材(A)および無機充填材(B)を含む無機充填材と重合体とを含み、当該無機充填材(A)の一部が凝集体を形成している歯科用ミルブランクであって、無機充填材(A)の平均一次粒子径をaμm、無機充填材(B)の平均一次粒子径をbμmおよび凝集体の平均粒子径をxμmとしたときに、以下の式(I)~(III)を満たし、
凝集体の含有量が2~15質量%である、歯科用ミルブランク。
0.001 ≦ a < 0.3 (I)
0.3 ≦ b ≦ 10 (II)
10 ≦ x ≦ 80 (III) - 無機充填材の含有量が70~95質量%である、請求項1~5のいずれかに記載の歯科用ミルブランク。
- 重合体の含有量が5~30質量%である、請求項1~6のいずれかに記載の歯科用ミルブランク。
- [無機充填材(A)の含有量]/[無機充填材(B)の含有量](質量/質量)が10/90~40/60である、請求項1~7のいずれかに記載の歯科用ミルブランク。
- 請求項1~8のいずれかに記載の歯科用ミルブランクの製造方法であって、
分散処理工程と、無機充填材をプレス成形してなる無機充填材成形体と重合性単量体含有組成物とを接触させて、重合性単量体を重合硬化させる工程を含み、
当該無機充填材が無機充填材(A)および無機充填材(B)を含み、
当該無機充填材(A)の一部が凝集体を形成しており、
当該無機充填材(A)の平均一次粒子径をaμm、無機充填材(B)の平均一次粒子径をbμmおよび凝集体の平均粒子径をxμmとしたときに、以下の式(I)~(III)
0.001 ≦ a < 0.3 (I)
0.3 ≦ b ≦ 10 (II)
10 ≦ x ≦ 80 (III)
を満たし、
当該分散処理工程が、凝集体を形成している無機充填材(A)に対する超音波分散処理、又は凝集体を形成している無機充填材(A)と無機充填材(B)との混合物に対する超音波分散処理であり、
当該超音波分散処理が、出力50~2,000W、及び周波数25~300kHzの範囲内であり、かつ1分間以上6時間以下である、製造方法。 - プレス成形が冷間等方圧加圧(CIP)工程を含む、請求項9に記載の製造方法。
- 請求項1~8のいずれかに記載の歯科用ミルブランクの製造方法であって、
分散処理工程と、無機充填材と重合性単量体含有組成物とを混合してペーストとし、重合性単量体を重合硬化させる工程を含み、
当該無機充填材が無機充填材(A)および無機充填材(B)を含み、
当該無機充填材(A)の一部が凝集体を形成しており、
当該無機充填材(A)の平均一次粒子径をaμm、無機充填材(B)の平均一次粒子径をbμmおよび凝集体の平均粒子径をxμmとしたときに、以下の式(I)~(III)
0.001 ≦ a < 0.3 (I)
0.3 ≦ b ≦ 10 (II)
10 ≦ x ≦ 80 (III)
を満たし、
当該分散処理工程が、凝集体を形成している無機充填材(A)に対する超音波分散処理、又は凝集体を形成している無機充填材(A)と無機充填材(B)との混合物に対する超音波分散処理であり、
当該超音波分散処理が、出力50~2,000W、及び周波数25~300kHzの範囲内であり、かつ1分間以上6時間以下である、製造方法。
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