JP7314853B2 - 圧粉体および圧粉体の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献3には、難燃薬剤を含まない木材で構成された表面層と、この表面層の内側に、木材に難燃薬剤を注入処理した難燃薬剤含有層とを備える耐火集成材が提案されている。
また、耐火性向上効果を有効に発揮させるためには、木材に難燃薬剤を適切に配置/固定化することが有効と考えられるが、一般的に使用される無機系難燃剤は、成形性や耐水性に乏しく、直接的な木材への固定化には適さないうえ、水により溶出しやすいという問題があった。
1. 固体難燃剤成分(A)を80質量%以上含む圧粉体、
2. 前記固体難燃剤成分(A)が、有機リン化合物、リン酸、リン酸エステル、リン酸塩、有機ホウ素化合物、ホウ酸、ホウ酸エステル、およびホウ酸塩からなる群から選ばれる一種以上である1の圧粉体、
3. 前記固体難燃剤成分(A)が、ホウ酸である2の圧粉体、
4. 前記固体難燃剤成分(A)100質量部に対し、非水溶性有機化合物(B)が0.1~20質量部含まれる1~3のいずれかの圧粉体、
5. 前記非水溶性有機化合物(B)が、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物、その加水分解縮合物、またはその両方を含む4の圧粉体、
SiR1 (4-n)R2 n (1)
(式中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、または一つ以上のアミノ基、エポキシ基、酸無水物基、マレイミド基、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタアクリル基、もしくはヘテロ環基で置換されていてもよい、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基もしくは炭素原子数7~20のアラルキル基を表し、R2は、それぞれ独立して、水酸基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、nは、1~3の整数を表す。)
6. 前記R1の一部または全部が、炭素原子数1~20のアルキル基である5の圧粉体、
7. 前記nが、3である5または6の圧粉体、
8. 前記固体難燃剤成分(A)を含む粉末を圧粉成形する工程を有する1~7のいずれかの圧粉体の製造方法、
9. 下記工程(α)および工程(β)を有する4~7のいずれかの圧粉体の製造方法、
工程(α):固体難燃剤成分(A)および非水溶性有機化合物(B)を混合する工程
工程(β):前記工程(α)で得られた混合物の圧粉成形を行う工程
10. 前記工程(α)において、前記固体難燃剤成分(A)および非水溶性有機化合物(B)を加熱混合し、前記固体難燃剤成分(A)を前記非水溶性有機化合物(B)により表面処理する9の圧粉体の製造方法、
11. 下記工程(β’)および工程(α’)を有する4~7のいずれかの圧粉体の製造方法、
工程(β’):固体難燃剤成分(A)を含む粉体の圧粉成形を行い、第1の圧粉体を得る工程
工程(α’):前記工程(β’)で得られた第1の圧粉体を、非水溶性有機化合物(B)または非水溶性有機化合物(B)を含む組成物によって表面処理を行い、第2の圧粉体を得る工程
12. 前記非水溶性有機化合物(B)を含む組成物が、湿気硬化性コーティング組成物または加熱硬化性コーティング組成物である11の圧粉体の製造方法
を提供する。
また、本発明の圧粉体は、高い嵩密度を有し、難燃薬剤を高濃度に固定化することができるため、木材等に安定的に耐火性能を付与することができる。
〔1〕圧粉体
本発明に係る圧粉体は、固体難燃剤成分(A)を80質量%以上含むものである。
本発明で用いる固体難燃剤成分(A)は、特に限定されるものではなく、従来公知の一般的な難燃薬剤を含んでいるものを使用することができる。
その具体例としては、リン系難燃薬剤、窒素系難燃薬剤、ホウ素系難燃薬剤、ハロゲン系難燃薬剤等が挙げられ、これらの中でも、短時間で炭化層を形成し、防炎性能を確保し易い特徴が知られているリン系化合物を含むリン系難燃薬剤や、燃焼時に木材に良質な炭化層を形成することが知られているホウ素系化合物を含むホウ素系難燃薬剤が好ましい。
ホウ素系化合物としては、例えば、有機ホウ素化合物、ホウ酸、硼砂、酸化ホウ素、ホウ酸エステル、ホウ酸塩類等が挙げられる。
その他、硫酸アンモニウムや、塩化亜鉛等も固体難燃剤成分(A)として好適に用いることができる。
これらの中でも、特にホウ酸が好ましい。
なお、固体難燃剤成分は、単独で用いても、2種以上併用してもよい。
非水溶性有機化合物(B)は、固体難燃剤成分(A)と混合後、湿気による加水分解縮合反応や、酸素による酸化重合等によって非水溶性となるものであればよく、固体難燃剤成分(A)との混合時に非水溶性を示す化合物である必要はない。
また、非水溶性有機化合物(B)は、固体難燃剤成分(A)との混合時に固体であってもよく、特に、加熱により溶融し、固体難燃剤成分(A)の表面を被覆し得るものが好適である。
なお、無溶剤型湿気硬化シリコーン塗料(KR-400、信越化学工業(株)製)、油性エポキシ塗料(透明エポキシさび止め塗料、ニップホームプロダクツ(株)製)、油性シリコーン塗料(防水一番クリア、日本特殊塗料(株)製)、油性ウレタン塗料(油性ニス、和信ペイント(株)製)等の市販の製品を使用することもできる。
SiR1 (4-n)R2 n (1)
炭素原子数6~20のアリール基としては、フェニル、ビフェニル、ナフチル基等が挙げられる。
炭素原子数7~20のアラルキル基としては、ベンジル、フェネチル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、ピペリジル、ピリジル、ピロリル、チエニル基等が挙げられる。
特に、耐水性の観点から、R1の一部または全部は、炭素原子数1~20のアルキル基が好ましく、炭素原子数6~20のアルキル基がより好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられ、塩素、フッ素原子が好ましい。
本発明では、無機化合物の表面処理性に優れるT単位(n=3)を含むケイ素化合物が好ましい。なお、ケイ素化合物の各構成単位の比は、例えば、29Si-NMR(核磁気共鳴)シグナルの化学シフトと積分値の比を用いた公知の方法で確認することができる。
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のD単位モノマー;
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、n-プロピルジメチルメトキシシラン、n-プロピルジエチルメトキシシラン、iso-プロピルジメチルメトキシシラン、iso-プロピルジエチルメトキシシラン、プロピルジメチルエトキシシラン、n-ブチルジメチルメトキシシラン、n-ブチルジメチルエトキシシラン、n-ヘキシルジメチルメトキシシラン、n-ヘキシルジメチルエトキシシラン、n-ペンチルジメチルメトキシシラン、n-ペンチルジメチルエトキシシラン、n-ヘキシルジメチルメトキシシラン、n-ヘキシルジメチルエトキシシラン、n-デシルジメチルメトキシシラン、n-デシルジメチルエトキシシラン、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、n-プロピルジメチルシラノール、n-プロピルジエチルシラノール、iso-プロピルジメチルシラノール、iso-プロピルジエチルシラノール、プロピルジメチルシラノール、n-ブチルジメチルシラノール、n-ヘキシルジメチルシラノール、n-ペンチルジメチルシラノール、n-デシルジメチルシラノール、γ-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)アミノプロピルジメチルメトキシシラン等のM単位モノマー;
上記T、D、M単位モノマーの加水分解縮合物、共加水分解縮合物等が挙げられる。
なお、錠剤硬度は、錠剤硬度計(ミニ錠剤硬度計KD3、(株)富士薬品機械(株))等により測定することができる。
また、空隙を少なくする観点から、圧粉体の体積は、0.1cm3以上が好ましく、0.5cm3以上がより好ましく、1.0cm3以上がより一層好ましい。
次に、本発明の圧粉体の製造方法について詳細に説明する。
本発明の圧粉体は、上記固体難燃剤成分(A)、および必要に応じて用いられる上記非水溶性有機化合物(B)を含む粉末を圧粉成形して得ることができる。これにより、難燃剤成分を十分な機械的強度を維持したまま所望の形状に成形することができ、さらに耐水性が向上する。
工程(α):固体難燃剤成分(A)および非水溶性有機化合物(B)を混合する工程
工程(β):工程(α)で得られた混合物の圧粉成形を行う工程
工程(β’):固体難燃剤成分(A)を含む粉体の圧粉成形を行い、第1の圧粉体を得る工程
工程(α’):工程(β’)で得られた第1の圧粉体に対し、非水溶性有機化合物(B)または非水溶性有機化合物(B)を含む組成物により第1の圧粉体の表面処理を行い、第2の圧粉体を得る工程
特に、非水溶性有機化合物(B)が液体である場合、固体難燃剤成分(A)を撹拌中に非水溶性有機化合物(B)を滴下、またはスプレー噴霧することで均一に混合することができる。このような混合が可能な粉体処理装置としては、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
この際、粉体を加熱混合することで、固体難燃剤成分(A)の非水溶性有機化合物(B)による表面処理がより加速され、作業時間の短縮が図れることから、加熱混合することが特に好ましい。加熱の際の温度は特に制限されないが、50~120℃が好ましい。
例えば、打錠機を用いる場合、打錠圧は0.1kN以上が好ましく、1kN以上がより好ましく、5kN以上がより一層好ましい。0.1kN以上の打錠圧で圧粉成形することで、形状保持性や耐水性が良好となる。打錠圧の上限に関して特に制限は無いが、20kN以下が好ましい。
なお、圧粉成形に際し、所望の形状に対して圧力はどのような方向から加えられてもよい。
また、工程(α’)において、上記工程(β’)で得られた第1の圧粉体に対し、非水溶性有機化合物(B)または非水溶性有機化合物(B)を含む組成物により上記第1の圧粉体の表面処理を行う方法としては、公知の手法から適宜選択すればよく、例えば、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フローコート等の各種塗布方法を用いることができる。また、圧粉体の表面コーティング装置としては公知の錠剤糖衣機等を用いることができる。
それらの具体例としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン変性ポリエステル樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリケート樹脂、フッ素樹脂、塩素系樹脂、ポリオレフィン樹脂等の樹脂成分を含有する湿気硬化性または加熱硬化性の塗料組成物などが挙げられ、例えば、無溶剤型湿気硬化シリコーンコーティング組成物(KR-400、信越化学工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
ホウ酸粉末(OPTIBOR-TG、Borax社製、以下同様)をφ9.5mmの円柱錠剤成形用金型を取り付けた単式打錠機(FY-TPF-100S、(株)富士薬品機械製、以下同様)を用いて打錠圧力10kNで圧粉成形し、φ9.5mm×高さ14.7mmの円柱状圧粉体を得た。
(工程α)
ホウ酸粉末100質量部、およびデシルトリメトキシシラン(KBM-3103C、信越化学工業(株)製、以下同様)1質量部を、プラスチック容器内に加え、振盪して混合した。混合物を金属製の容器に移し、大気下105℃で2時間加熱した後、ミキサーにて解砕することで表面処理ホウ酸粉末を得た。
(工程β)
上記工程αで得られた表面処理ホウ酸粉末を、φ9.5mmの円柱錠剤成形用金型を取り付けた単式打錠機を用いて打錠圧力10kNで圧粉成形し、φ9.5mm×高さ14.9mmの円柱状圧粉体を得た。
工程αにおいて、デシルトリメトキシシランの添加量を5質量部に変更した以外は、実施例1-2と同様の操作を行い、φ9.5mm×高さ14.7mmの円柱状圧粉体を得た。
工程αにおいて、デシルトリメトキシシランの添加量を10質量部に変更した以外は、実施例1-2と同様の操作を行い、φ9.5mm×高さ15.1mmの円柱状圧粉体を得た。
(工程α)
ホウ酸粉末100質量部、およびメチルメトキシシロキサンオリゴマー(KR-500、信越化学工業(株)製)5質量部を、プラスチック容器内に加え、振盪して混合した。混合物を金属製の容器に移し、大気下105℃で2時間加熱した後、ミキサーにて解砕することで表面処理ホウ酸粉末を得た。
(工程β)
上記工程αで得られた表面処理ホウ酸粉末を、φ9.5mmの円柱錠剤成形用金型を取り付けた単式打錠機を用いて打錠圧力10kNで圧粉成形し、φ9.5mm×高さ14.5mmの円柱状圧粉体を得た。
(工程α)
ホウ酸粉末100質量部、およびメチルメトキシシロキサンレジン粉体(KR220LP、軟化点60~80℃、信越化学工業(株)製)5質量部を、プラスチック容器内に加え、振盪して混合した。混合した粉体を、金属製の容器に移し、大気下105℃で2時間加熱した後、ミキサーにて解砕することで表面処理ホウ酸粉末を得た。
(工程β)
上記工程αで得られた表面処理ホウ酸を、φ9.5mmの円柱錠剤成形用金型を取り付けた単式打錠機を用いて打錠圧力10kNで圧粉成形し、φ9.5mm×高さ14.9mmの円柱状圧粉体を得た。
(工程β′)
ホウ酸粉末を、φ9.5mmの円柱錠剤成形用金型を取り付けた単式打錠機を用いて打錠圧力10kNで圧粉成形し、φ9.5mm×高さ14.7mmの円柱状圧粉体を得た。
(工程α′)
上記工程α′で得られた圧粉体100質量部を、ポリエチレン製の袋に入れ、その中にデシルトリメトキシシラン1質量部を噴霧し、袋を振盪した後、圧粉体をシャーレに取り出し、25℃大気下で5日間静置して表面処理圧粉体を得た。
工程α′において、デシルトリメトキシシランの噴霧量を2質量部に変更した以外は、実施例1-7と同様の操作を行い、φ9.5mm×高さ14.7mmの円柱状圧粉体を得た。
工程α′において、デシルトリメトキシシランをメチルメトキシシロキサンオリゴマー(KR-500、信越化学工業(株)製)に変更し、噴霧量を2質量部とした以外は、実施例1-7と同様の操作を行い、φ9.5mm×高さ14.8mmの円柱状圧粉体を得た。
工程α′において、デシルトリメトキシシランを、メチルメトキシシロキサンオリゴマーを含む無溶剤型湿気硬化塗料(KR-400、信越化学工業(株)製)に変更し、噴霧量を2質量部とした以外は、実施例1-7と同様の操作を行い、φ9.5mm×高さ14.7mmの円柱状圧粉体を得た。
ホウ酸粉末そのものを固体難燃剤として用いた。
ホウ酸粉末1質量部をイオン交換水20質量部に溶解した溶液を、プラスチック製の筒(φ=10mm)に入れ、大気下開放系において、80℃で7日間乾燥させた。得られた固体は非常に脆く、所望の形状のまま取り出すことができなかった。
ホウ酸粉末100質量部、およびメチルメトキシシロキサンオリゴマーを含む無溶剤型湿気硬化コーティング組成物(KR-400、信越化学工業(株)製)5質量部を、プラスチック容器内に加え、金属製の薬さじで撹拌混合した。混合した粉体をプラスチック製の筒(φ=10mm)に入れ、大気下開放系において、80℃で1日間乾燥させた。得られた固体は非常に脆く、所望の形状のまま取り出すことができなかった。
KR-400の添加量を10質量部に変更した以外は、比較例1-3と同様の操作を行って固体を得た。得られた固体は非常に脆く、所望の形状のまま取り出すことができなかった。
[固体難燃剤成分含有率]
(固体難燃剤成分の質量)/(固体難燃剤成分の質量+非水溶性有機化合物の質量)×100(%)として算出した。
[形状保持性]
成形後、所定の型枠から割れなど無く取り出せた場合を「○」、割れが発生した場合を「×」として評価した。
[錠剤硬度]
錠剤硬度計(ミニ錠剤硬度計KD3、(株)富士薬品機械製)を用いて円柱状サンプルの側面から圧力をかけた際に、錠剤が崩壊した際の力(N)を記載した。
[耐水試験後残存率]
プラスチック製容器に、実施例1-1~1-10で得られた圧粉体と、圧粉体1質量部に対して10質量部のイオン交換水を加え、密閉系で24時間静置した。静置後のサンプルをろ紙を用いて不溶固体成分と溶液成分に分離し、さらに10質量部のイオン交換水を用いてろ紙上の固体を洗浄し、その際の洗浄液も溶液成分として回収した。分離した溶液成分中のイオン交換水を、開放系で80℃3日乾燥して除去し、イオン交換水中に溶出した固体難燃剤成分の質量を計量した。耐水試験後残存率は、(耐水試験前の円柱状圧粉体の質量-イオン交換水中に溶出した固体難燃剤成分の質量)/(耐水試験前の円柱状圧粉体の質量)×100(質量%)として算出した。
比較例1-1~1-4で得られた固体に関しても、上記実施例1-1~1-10と同様の操作にて耐水試験後残存率を算出した。
[嵩密度]
実施例1-1~1-10で得られた圧粉体に関しては、体積に対する質量から嵩密度を算出した。比較例1-1の粉体に関しては、パウダテスタ(PT-X型、ホソカワミクロン(株)製)を用いて、固め嵩密度を算出した。比較例1-2~1-4で得られた固体に関しては、ミキサーにて固体を解砕した後、パウダテスタ(PT-X型、ホソカワミクロン(株)製)を用いて、固め嵩密度を算出した。
また、実施例1-1~1-10で得られた圧粉体は、比較例1-1や比較例1-2で得られた、圧粉成型または非水溶性有機化合物による表面処理を行っていない固体難燃剤成分と比較して、固体難燃剤成分の水への溶出量が大きく抑制されていることがわかる。これは、圧粉成形により、粉末の状態と比較して水と接触する面積を削減出来ることに加え、高密度に凝集させることによる分子間相互作用の影響が考えられる。
さらに、実施例1-1~1-10で得られた圧粉体は、高い嵩密度を有していることから、固体難燃剤成分を高濃度に固定化することが可能であるため、様々な部材に耐火性を付与する点において有用である。
図1に示される、複数の開孔21が形成された、縦100mm、横100mm、厚み15mmの針葉樹合板からなる木質基材20と、上記開孔21の一方を封止するように上記木質基材20の厚み方向Zの片面に配設された、開孔を有しない針葉樹合板からなる封止層4と、上記開孔21に充填された難燃薬剤含有固形物30と、を備えて構成される難燃薬剤保持層10を接着して、図2に示される耐火性木質複合材1を製造する際の作業性を確認した。
この場合、開孔21の直径は10mmであり、X方向およびY方向における開孔21の中心点21aの間隔TxおよびTyはいずれも20mmであった(図1(b)参照)。
開孔21に充填する難燃薬剤含有固形物30としては、実施例1-3で得られた圧粉体を使用した。難燃薬剤含有固形物30(圧粉体)を開孔21に充填し、開孔21を有する面同士が接着面となるように酢酸ビニル系接着剤をローラーで塗布し、難燃薬剤保持層10どうしの接着を行い、耐火性木質複合材1を得た(図2参照)。
木質基材20の開孔21に難燃薬剤含有固形物30(圧粉体)を充填する際、開孔21に酢酸ビニル系接着剤を塗布した以外は、実施例2-1と同様の試験を行った。
実施例1-3で得られた圧粉体に代えて、実施例1-6で得られた圧粉体を難燃薬剤含有固形物30として用いた以外は、実施例2-1と同様の試験を行った。
実施例1-3で得られた圧粉体に代えて、実施例1-6で得られた圧粉体を難燃薬剤含有固形物30として用いた以外は、実施例2-2と同様の試験を行った。
実施例1-3で得られた圧粉体に代えて、ホウ酸粉末を用いた以外は、実施例2-1と同様の試験を行った。
また、同じく張り合わせ時の作業性について、逆さまにしても難燃薬剤含有固形物30(圧粉体)がこぼれずにスムーズに張り合わせられるものを〇、向きに気を付けて貼り合わせれば難燃薬剤含有固形物30(圧粉体)がこぼれずに張り合わせられるものを△、張り合わせ時に難燃薬剤含有固形物30(圧粉体)がこぼれるものを×として評価した。評価結果を表2にまとめて示す。
図3に示されるように、複数の開孔21が形成された、縦420mm、横350mm、厚み15mmの針葉樹合板からなる木質基材20と、上記開孔21の一方を封止するように上記木質基材20の厚み方向Zの片側に配された、開孔を有しない針葉樹合板からなる封止層4と、上記開孔21に充填された難燃薬剤含有固形物30と、を備えて構成される難燃薬剤保持層10を接着して耐火性木質複合材2を製造した。
この場合、開孔21の直径は10mmであり、X方向およびY方向における開孔21の中心点21aの間隔TxおよびTyはいずれも20mmであった(図4(a)参照)。
開孔21に充填する難燃薬剤含有固形物30としては、実施例1-3で得られた圧粉体を使用した。難燃薬剤含有固形物30(圧粉体)を開孔21に充填し、難燃薬剤保持層10を作製した。
得られた厚さ15mmの難燃薬剤保持層10を、開孔21どうしが重ならないように、Z方向に3つ積層した(図4(b)参照)。重なり合う難燃薬剤保持層10の開孔21の中心点21aどうしは、X方向およびY方向にそれぞれ10mmずれていた。
続いて、積層した難燃薬剤保持層10のZ方向における最下面に、縦420mm、横350mm、厚み24mmの針葉樹からなる合板(図示省略)を積層し、接着した。なお、難燃薬剤保持層10および合板の接着には、レゾルシノール・フェノール共縮合樹脂(ディアノールD-33N、(株)オーシカ製)を使用した。
このようにして製造した、耐火性木質複合材2および合板の積層体における難燃薬剤保持層10の面以外の面をセラミックブランケットと石膏ボードで養生し、燃焼試験用試験体とした。
難燃薬剤含有固形物30として、実施例1-3で得られた圧粉体に代えて実施例1-6で得られた圧粉体を用いた以外は、実施例3-1と同様の手順で試験体を製造した。
難燃薬剤保持層10に代えて、縦420mm、横350mm、厚み24mmのラワン合板を2層重ねて用いた以外は、実施例3-1と同様の手順で試験体を製造した。
実施例3-1、実施例3-2および比較例3-1で得られた各試験体を、燃焼試験炉に収容した。試験体において、合板を配置した面とは逆側の面(難燃薬剤保持層10側の面)が一面加熱される加熱面である。
通常の火災を想定したISO834標準加熱により1時間加熱を行い、加熱終了後、加熱時間の3倍以上の時間(3時間以上、約4時間)の炉内放冷を行った。その際、実施例3-1、実施例3-2、および比較例3-1では、炉内、鉛直方向の上側の面から90mm、100mm、110mmの位置において加熱面からの深さが15mm、30mm、45mmとなる位置(それぞれ上15、上30、上45と表記する)、および鉛直方向の下側の面から90mm、100mm、110mmの位置において加熱面からの深さが15mm、30mm、45mmとなる位置(それぞれ下15、下30、下45と表記する)における温度変化を計測し、各位置における温度の継時的変化を確認した。
一方、比較例3-1では、燃え止まりが確認できず、炭化層に大きなひび割れや脱落が見られた。また、図6に示されるように、加熱終了後にも燃焼がおさまらず、試験体内の温度が低下しなかった。加熱開始180分後には燃え抜けの可能性があると判断し、試験を中止した。
さらに、比較例3-1においては目視にて燃え止まりが確認できず、炭化層に大きなひび割れや脱落が見られた。
10 難燃薬剤保持層
20 木質基材
21 開孔
21a 開孔の中心点
30 難燃薬剤含有固形物
4 封止層
Tx X方向における開孔の中心点の間隔
Ty Y方向における開孔の中心点の間隔
Claims (10)
- 固体難燃剤成分(A)を80質量%以上含み、
前記固体難燃剤成分(A)100質量部に対し、非水溶性有機化合物(B)が0.1~20質量部含まれ、
前記非水溶性有機化合物(B)が、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物、その加水分解縮合物、またはその両方を含む圧粉体。
SiR1 (4-n)R2 n (1)
(式中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、または一つ以上のアミノ基、エポキシ基、酸無水物基、マレイミド基、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタアクリル基、もしくはヘテロ環基で置換されていてもよい、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基もしくは炭素原子数7~20のアラルキル基を表し、R2は、それぞれ独立して、水酸基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、nは、1~3の整数を表す。) - 前記固体難燃剤成分(A)が、有機リン化合物、リン酸、リン酸エステル、リン酸塩、有機ホウ素化合物、ホウ酸、ホウ酸エステル、およびホウ酸塩からなる群から選ばれる一種以上である請求項1記載の圧粉体。
- 前記固体難燃剤成分(A)が、ホウ酸である請求項2記載の圧粉体。
- 前記R1の一部または全部が、炭素原子数1~20のアルキル基である請求項1~3のいずれか1項記載の圧粉体。
- 前記nが、3である請求項1~4のいずれか1項記載の圧粉体。
- 前記固体難燃剤成分(A)を含む粉末を圧粉成形する工程を有する請求項1~5のいずれか1項記載の圧粉体の製造方法。
- 下記工程(α)および工程(β)を有する請求項1~5のいずれか1項記載の圧粉体の製造方法。
工程(α):固体難燃剤成分(A)および非水溶性有機化合物(B)を混合する工程
工程(β):前記工程(α)で得られた混合物の圧粉成形を行う工程 - 前記工程(α)において、前記固体難燃剤成分(A)および非水溶性有機化合物(B)を加熱混合し、前記固体難燃剤成分(A)を前記非水溶性有機化合物(B)により表面処理する請求項7記載の圧粉体の製造方法。
- 下記工程(β’)および工程(α’)を有する請求項1~5のいずれか1項記載の圧粉体の製造方法。
工程(β’):固体難燃剤成分(A)を含む粉体の圧粉成形を行い、第1の圧粉体を得る工程
工程(α’):前記工程(β’)で得られた第1の圧粉体を、非水溶性有機化合物(B)または非水溶性有機化合物(B)を含む組成物によって表面処理を行い、第2の圧粉体を得る工程 - 前記非水溶性有機化合物(B)を含む組成物が、湿気硬化性コーティング組成物または加熱硬化性コーティング組成物である請求項9記載の圧粉体の製造方法。
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