以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態に記載されている構成要素は、本発明の例としての形態を示すものであり、本発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
<第1の実施形態>
本実施形態では、留め置き印刷機能を備える印刷装置を制御する印刷制御装置であって、印刷ジョブが記憶装置等に留め置かれている間に、該印刷ジョブに対して設定されているカラーモードにおける色変換方式を切り替える印刷制御装置について説明する。なお、本実施形態では、受信した印刷ジョブに弁別性を向上させるための設定(以下、弁別性向上の設定と呼ぶ)がなされているものとする。
弁別性向上の設定とは、例えば、カラーの画像データをグレースケール変換する設定(白黒弁別設定)や、カラーの画像データをCUD(カラーユニバーサルデザイン)の画像データに変換する設定(CUD設定)である。ここで、白黒弁別設定とCUD設定について説明する。円グラフなど、色が異なる二つの領域が部分的に重なるように、あるいは接するように描画されている画像をグレースケール変換した場合、その二つの領域の色によっては、互いの色が同じ(あるいは近い)色に変換される可能性がある。その場合、領域間の境界線が消滅してしまう。よって、そのような原稿をモノクロ出力した場合には、カラー出力した場合に比べて弁別性が低下するおそれがあった。そこで、そのような白黒の弁別性を向上させるための設定として、白黒弁別設定が印刷時に指定可能になっている。また、色弱者にとっては、異なるRGB値(色)で表現されている各色が、同じ(あるいは近い)色に見えてしまう場合がある。したがって、RGB形式などで表現されたカラー原稿をカラー出力した場合でも、色弱者にとっては色の違いが識別できなかったり、一般色覚者と見え方が異なったりするなど、印刷画像における弁別性が悪くなるおそれがあった。そこで、近年、誰が見ても理解できる配色を用いて視覚バリアフリーを実現するカラーユニバーサルデザイン(CUD)の取り組みが進められていて、CUDを考慮した設定(CUD設定)も印刷時に指定可能になってきている。
図1は、第1実施形態に係る印刷制御装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。CPU101は、印刷制御装置100の制御中枢部である。RAM102は、CPU101がアクセス可能な記憶デバイスであり、本実施形態では、CPU101が動作するためのワークメモリとして利用される。ROM103には、プログラムが格納されていて、該プログラムをCPU101がRAM102上にロードして実行することで、後述する図2に示す各ソフトウェアモジュールが動作する。ネットワークIF104は、ネットワークを介して外部装置(パーソナルコンピュータや他の装置等)と接続され、主に印刷ジョブの受信を行うためのインタフェースである。エンジン105は、CPU101によって解釈された印刷ジョブに従って記録媒体(用紙等)に印刷を行う印刷エンジンである。HDD106は、投入された印刷ジョブを留め置く際に利用される記憶デバイスである。
図2は、印刷制御装置100のソフトウェア構成の一例を示す図である。印刷制御装置100は、ソフトウェアモジュール201~207を有する。上述したように、CPU101がROM103からRAM102上にロードしたプログラムを実行することで、これらのソフトウェアモジュールが動作する。
PDL(Page Description Language)受信部201は、ネットワークIF104から印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブをRAM102に格納する。なお、印刷ジョブはRAM102に予め保存されていてもよい。つまり、本実施形態は、RAM102に保存されている印刷ジョブを読み出して印刷処理を行う場合にも適用可能である。留め置き制御部202は、留置き設定の要否に応じてRAM102に格納された印刷ジョブに対して留め置き処理を実行すべきか、印刷処理を実行すべきかを制御する。印刷ジョブ解釈部(PDL解釈部とも呼ぶ)203は、RAM102に格納された印刷ジョブで指定される描画コマンドを読み出して解釈する。この描画コマンドに従い、描画対象であるオブジェクトの形状や色情報が決定され、オブジェクトが生成される。
ここで、図3を参照して印刷ジョブの構成を説明する。図3は、印刷ジョブの構成の一例を示す図である。図3に示すように印刷ジョブ300は、各種設定情報を含むヘッダ情報と、各ページのデータ(PDLデータ)とを含む。PDLデータは一般的に階層構造となっていて、印刷ジョブの開始及び終了を示すコマンドの間に、各ページの開始及び終了を示すページ開始コマンド及びページ終了コマンドが対となってページ数分記述されている。図中の「BeginPage」及び「EndPage」はそれぞれ、ページ開始コマンド及びページ終了コマンドを表している。そして、各ページの開始コマンドと終了コマンドの間に、各種描画処理に用いるコマンド群が記述されている。各ページの描画処理に用いられる描画コマンドには、グラフィックコマンドや文字コマンドがある。また、グラフィックや文字の色を指定する色指定コマンドがあり、色指定コマンドにより、RGBやCMYKなどの色空間を指定して色値を設定することが可能である。図中の「SetColor」は、色指定コマンドを表している。また描画コマンドにはイメージコマンドがあり、イメージコマンドはJPEGなどのイメージを表現することが可能である。これらの描画コマンドに従い、描画対象であるオブジェクトの形状や色情報が決定され、オブジェクトが生成される。図4は、オブジェクトの構成の一例を示す図である。オブジェクト情報401は、オブジェクトがイメージオブジェクトであるか、グラフィックオブジェクトであるか等、オブジェクトの属性を示す情報である。パス形状情報402は、オブジェクトの描画範囲情報や、オブジェクトのアウトラインを点列で表現したパス点列情報等、オブジェクトの位置やアウトラインに関する情報である。オペランド情報403は、オブジェクトのオペランド種別(イメージ(Image)、フラットフィル(FlatFill)等)、色情報、色空間(RGB、グレー(Gray)等)といった、描画に関する情報である。オペレータ情報404は、オブジェクトの階層に関連する情報である。
図2の説明に戻る。DL生成部204は、オブジェクトから中間データであるDL(Display List)を生成する。また、オブジェクトに紐付く色情報を解析し、解析した色情報を保持する。
特定色対象色変換部(以下、第1の色変換部と呼ぶ)205は、印刷ジョブ解釈部203やDL生成部204が保持する色情報が所定の条件を満たす場合、特定の色に限定した特別な色変換処理を実行する。以下、この色変換方式を第1の色変換方式とよぶ。また第1の色変換方式による色変換処理を、特定色対象色変換処理または第1の色変換処理と呼ぶ。第1の色変換処理の詳細については図8を用いて後述する。
全カラー対象色変換部(以下、第2の色変換部と呼ぶ)206は、印刷ジョブ解釈部203やDL生成部204が保持する色情報が所定の条件を満たさない場合、全カラーに対し一律の変換式(NTSC変換など)を用いて色変換処理を実行する。以下、この色変換方式を第2の色変換方式とよぶ。また第2の色変換方式による色変換処理を全カラー対象色変換処理または第2の色変換処理と呼ぶ。RIP(Raster Image Processor)処理部207は、DL生成部204で生成されたDLに基づき、ラスタライズを行う。DLの構造については図12を用いて後述する。
次に、印刷制御装置100の動作について説明する。図5は、第1実施形態における留め置き処理の例を示すフローチャートである。図5に示す各処理は、ROM103に記憶されたプログラムをCPU101が実行することによって実現される。
S501にて、印刷制御装置100は、ネットワークIF104から印刷ジョブを受信すると、受信した印刷ジョブをRAM102に格納する。S502にて、印刷制御装置100は、留め置き設定が有効かどうかを判断する。なお、印刷制御装置100は、留め置き設定が有効かどうかを示す情報をRAM102に保持していて、印刷制御装置100は、その情報を読み出して留め置き設定の要否を判断する。留め置き設定が有効である場合、つまり印刷ジョブを留め置く場合(S502のYES)、S503にて印刷制御装置100は、留め置き処理を実行する。留め置き処理の詳細は図6を用いて後述する。留め置き設定が有効である場合、つまり印刷ジョブを留め置かない場合(S502のNO)、S504にて印刷制御装置100は、印刷処理を実行する。印刷処理の詳細は図10を用いて後述する。
図6は、本実施形態におけるS503の留め置き処理の例を示すフローチャートである。本実施形態における留め置き処理では、印刷ジョブに指定されているカラーモードが、色の弁別性を向上させるカラーモードである場合、印刷ジョブのページごとに色変換方式が決定される。そして、決定された色変換方式によって印刷ジョブのPDLデータを書き換える処理をする。ページごとに色変換方式が決定される理由は、階調性が求められるページ(例えばイメージオブジェクトが含まれるページ)には、弁別性を向上させるカラーモードであっても、階調性を優先するためである。
S601にて留め置き制御部202は、RAM102に格納されている印刷ジョブ300を取得する。S602にて印刷ジョブ解釈部203は、印刷ジョブ300のヘッダ情報を解析する。S603にて印刷ジョブ解釈部203は、印刷ジョブ300のヘッダ情報のカラーモードに「白黒弁別」又は「CUD」が設定されていれば(S603のYES)、S604~S608の処理(色変換切り替え判定)を行う。設定されていなければ(S603のNO)、処理はS609に移行する。なお、ここでは、色変換切り替え判定を行うか否かをヘッダ情報のカラーモードから判断しているが、印刷制御装置100の本体設定の値など、他の情報から判断しても良い。
S604~S608にて、S601で取得した印刷ジョブ300の描画コマンドがページ毎に読み出され、全ページ終了するまで、S605~S608の処理が繰り返し実行される。まずS605ではPDLデータを解析して、色変換テーブルを生成する色情報解析処理が行われる。色情報解析処理の詳細については図23のフローチャートを用いて説明する。
S2301において印刷ジョブ解釈部203は、S601で取得した印刷ジョブ300の描画コマンドを解析し、色の識別情報とその色値を取得する。色の識別情報は、色を塗られるオブジェクトの属性、色数などの情報である。
S2302において印刷ジョブ解釈部203は、解析対象ページの描画コマンドの解析中に属性がイメージであるオブジェクトを検出したかを判定する。解析対象ページのすべての描画オブジェクトを解析した結果、イメージオブジェクトを検出しない場合(S2302がNO)はS2303に進む。
S2303において印刷ジョブ解釈部203は、色変換テーブルが生成されていない場合は、色変換テーブルを生成する。図7は、色変換テーブル700の説明するための色変換テーブル700の一例を示す図である。色変換テーブル700は、解析対象のページに含まれる色値(色変換前の色値)と、弁別性を向上させるため色値である色変換後の色値とを対応付けて格納(登録)するテーブルである。色変換テーブル700はページ毎に生成される。解析対象ページの色変換方式が第1の色変換方式と決定された場合、後続の処理においてその解析対象のページに対し第1の色変換処理が行われる。第1のページの色変換テーブル700は、第1のページの第1の色変換処理において使用される。
印刷ジョブ解釈部203は、S2301で取得された色値をその色変換テーブルの変換前の色値に格納する。本ステップによって、色変換テーブル700は、図7(a)に示すように登録ID(ConvertID)と変換前の色値のみが格納された状態となる。なお、取得された色値と同じ色値が既に色変換テーブル700の変換前の色値に格納されている場合、印刷ジョブ解釈部203は、色変換テーブル700の変換前の色値への格納を行わない。
S2304において印刷ジョブ解釈部203は、新規に色値を色変換テーブル700の変換前の色値に格納した場合、印刷ジョブ解釈部203は、色変換テーブル700に格納されている色値のカウント数(以下、色カウントと呼ぶ)をインクリメントする。印刷ジョブ解釈部203は、ページ毎に色カウントを保持する。
S2305において印刷ジョブ解釈部203は、色カウントが所定の閾値を超えたかを判定する。色カウントが所定の閾値を超えない場合(S2305がNO)印刷ジョブ解釈部203は、解析対象ページに適用する色変換方式を、第1の色変換方式として決定(選択)して解析対象ページの色情報解析処理を終了する。
色カウントが所定の閾値を超えない場合は、ページに多数の色が含まれていないため階調性は求められていないと考えられる。この場合は、色の弁別性を向上するために第1の色変換方式による色変換処理が後続の処理において行われる。よって生成された色変換テーブル700は後続の色変換処理において使用されるため、変換テーブルは、図7(a)に示すように登録IDと変換前の色値のみが格納された状態のまま、解析対象ページの色情報解析処理を終了する。
色カウントが所定の閾値を超えたと判定された場合(S2305がYES)、又はイメージオブジェクトを検出したと判定された場合(S2302がYES)、印刷ジョブ解釈部203は、生成した色変換テーブル700を削除する。そして、解析対象ページに適用する色変換方式を第2の色変換方式に決定する。
色カウントが所定の閾値を超えた場合、または、解析対象ページの描画オブジェクトからイメージオブジェクトが検出された場合は、解析対象ページに多数の色が含まれており、階調性が求められていると考えられる。例えば、カラーデータをグレースケールに変換する場合、第2の色変換方式では、全カラー対象のグレー変換の変換式を用いて変換前の各色値から導出されたグレー値がそのまま変換後の色値となる。この色変換方式では階調性が求められる原稿には有効であることから、第2の色変換方式が決定される。また第2の色変換方式による色変換処理では色変換テーブル700は用いられないため、色変換テーブルは削除される。
なお、その後の処理では処理対象のページの色変換テーブルが生成されていれば、処理対象のページの色変換方式は第1の色変換方式と判定できる。同様に処理対象のページの色変換テーブルが生成されていなければ、処理対象のページの色変換方式は第2の色変換方式と判定できる。よって、色情報解析処理では変換方式を選択しなくてもよい。
図6に戻って留め置き処理の説明を続ける。S606にて、印刷ジョブ解釈部203は、S605で選択された色変換方式に従って色変換方式を切り替える。色変換方式として第2の色変換方式が選択されている場合、処理はS607に移行し、色変換方式として第1の色変換方式が選択されている場合、処理はS608に移行する。判定方法は、処理対象のページの色変換テーブルが保存されている場合は、第1の色変換方式が選択されたと判定し、処理対象のページの色変換テーブルが保存されていない場合は、第2の色変換方式が選択されたと判定する方法でもよい。
第1の色変換方式が選択されている場合(S606がNO)、S608にて第1の色変換部205は、S601で取得した印刷ジョブに対して第1の色変換処理(特定色対象色変換処理)を実行する。
図8は、第1の色変換処理の詳細を示すフローチャートである。図8を用いて、S608の処理の詳細を説明する。S801にて、第1の色変換部205は、色情報解析処理において生成された図7(a)に示す色変換テーブル700と色カウントを取得する。
S802にて第1の色変換部205は、色カウントと色変換テーブル700に格納された変換前の色値と基づき、第1の色変換処理を実行する。例えば、変換前の色値が色変換テーブル700で例示されている値であるとする。印刷ジョブのヘッダ情報に「白黒弁別」の指定がされている場合は、第1の色変換部205は、まず、変換前の各色値に対して、全カラー対象のグレー変換(NTSC変換など)の変換式を用いてグレー値を取得し、出力濃度を求める。出力濃度を求めると、第1の色変換部205は、各色値を出力濃度の高い順に並べる。図7(a)に示す例では、ConvID#3>ConvID#1>ConvID#2となる。なお、ConvID#nは、ConvertIDがnである色値を表す。最後に、第1の色変換部205は、色カウントの数に応じて、出力濃度が低い色値から順に均等に濃度を割り当てるように変換後の色値を決定する。なお、「白黒弁別」の指定の場合の第1の色変換処理の方法は上記に限定されるものではない。他にも例えば変換前の色値に関わらず色カウントのみを用いて均等に濃度を割り当てても良いし、別の方法を用いても構わない。
また、印刷ジョブのヘッダ情報に「CUD」指定がされている場合、第1の色変換部205は、変換前の色値と色カウント数に応じて、予め記録されているCUDのための色値に基づき、変換後の色値を決定する。
なお、「CUD」の指定の場合の第1の色変換処理の方法は上記に限定されるものではない。他にも例えば変換前の色値に関わらず色カウントのみを用いて、記憶されているCUD用の色値を変換後の色値として割り当てる方法でもよい。
変換後の色値を導出して決定すると、S803にて、第1の色変換部205は、変換後の色値を色変換テーブル700に格納する。変換後の色値が格納された色変換テーブル700の例を図7(b)に示す。
S804にて第1の色変換部205は、印刷ジョブ300の「SetColor」で指定されている色値を色変換テーブル700に従って差し替える。図9には、「SetColor」の差し替えが行われる前と後、つまり色変換前と色変換後の印刷ジョブが示されている。色変換後の印刷ジョブ900では、「SetColor」で指定されている色値が色変換テーブル700に格納されている変換後の色値に差し替えられていて、且つ、ヘッダ情報の色変換状況フラグが「済」に変更されている。
こうして、留め置かれた印刷ジョブに含まれるPDLデータを解析し、その解析結果に基づいて、印刷ジョブ300が留め置かれている間にPDLデータに含まれる色情報を書き換えることができる。
第2の色変換方式が選択されている場合(S606がYES)、S607にて第2の色変換部206は、S601で取得した印刷ジョブに対して第2の色変換処理(全カラー対象色変換処理)を実行する。
印刷ジョブのカラーモードが「白黒弁別」指定である場合、第2の色変換部206は、印刷ジョブを再度解析する。そして、第2の色変換部206は、全カラー値を一律にグレー値に変換するグレースケール変換方式(NTSC変換など)を用いて変換前の各色値からグレー値を導出する。そして、第2の色変換部206は、導出したグレー値をそのまま変換後の色値として、印刷ジョブ300の「SetColor」で指定されている色値を差し替える。
一方、印刷ジョブのカラーモードが「CUD」指定である場合、S607において第2の色変換部206は何もしない。即ち、第2の色変換方式が選択されており、「CUD」指定の場合、印刷ジョブの色がそのまま印刷に使用される。
S609にて留め置き制御部202は、全ページについて色変換が施された印刷ジョブを、HDD106に格納する。なお、留め置き制御部202は印刷ジョブをサーバ等、印刷装置の外部の装置に格納して留め置くようにしてもよい。以上が留め置き処理の概要である。
図10は、印刷処理の例を示すフローチャートである。第1実施形態におけるS504の印刷処理の詳細について図10を用いて説明する。なお、図6の留め置き処理された印刷ジョブに対して印刷する場合についても、図10に示す印刷処理によって処理される。即ち、S503の留め置き処理された印刷ジョブを送信したユーザが、実際に印刷装置(印刷制御装置100)の前に移動して印刷指示を印刷制御装置100に入力した場合についても、図10に示す印刷処理が行われる。
S1001にてRAM102又はHDD106に格納されている印刷ジョブが取得される。S1002にて印刷ジョブ解釈部203は、S1001で取得された印刷ジョブのヘッダ情報を解析する。また、印刷ジョブ解釈部203は、印刷ジョブの描画コマンドを読み出して、読み出した描画コマンドを解釈してオブジェクトを生成し、生成したオブジェクトをDL生成部204に渡す。
S1003にて印刷ジョブのヘッダ情報のカラーモードに「白黒弁別」又は「CUD」が設定されていて、かつ、色変換状況フラグが「未」に設定されているか判定される。
S1003の判定がYESの場合、S1004~S1009の処理(色変換切り替え判定)が行われる。なお、色変換切り替え判定をするかの判定は、カラーモードと色変換状況フラグとに基づき判定しているが、印刷制御装置100の本体設定の値や他の情報を用いて判定しても良い。
なお、図6の留め置き処理がされている印刷ジョブについては、色変換状況フラグが「済」に設定されているためS1003の判定では、NOと判定される。
S1004~S1009では、S1001で取得した印刷ジョブの描画コマンドがページごとに読み出され、全ページ終了するまでS1003~S1009の処理が各ページに対して繰り返し実行される。
S1005にてDL生成部204は、S1002で生成されたオブジェクトからDLを生成する。またこのとき、DL生成部204は、オブジェクトに紐付く色情報を解析し、解析した色情報に基づいて色変換方式を第2の色変換方式とするか、第1の色変換方式とするかを選択する。以下、DLの生成とともに色情報の解析が行われるDL生成処理を第1DL生成処理と呼ぶ場合がある。
図11は、第1DL生成処理を示すフローチャートである。図11を用いてS1005の第1DL生成処理について説明する。S1005の第1DL生成処理では、DL生成部204が、S1002で取得したオブジェクトの各々に対して、フィル(FILL)生成処理、レベル(Level)生成処理、エッジ(Edge)生成処理を順次実行し、それらの処理結果をDLにマージする。またその際、DL生成部204は、色情報解析処理(後述するS1102~S1107の処理)を実行する。
第1DL生成処理の各ステップについて説明する前に、図12を参照してS1004で生成されるDLの構造について説明する。図12には、DLの構造が簡易的に示されている。DL1200は、オブジェクトのパス形状情報から取得されたエッジの開始点座標を軸とするリスト構造を有するエッジリスト情報1201と、エッジ同士の上下関係を保持するレベルリスト情報1202と、色情報を保持するフィルリスト情報1203とを含む。DL生成処理では、DL生成部204がオブジェクトからエッジリスト情報1201、レベルリスト情報1202、及びフィルリスト情報1203を生成し、それらをDLにマージ(合成)する処理を実行する。
S1101にてDL生成部204は、S1002で生成されたオブジェクトのオペランド情報からフィルリスト情報1203を生成する。フィルリスト情報1203には、オブジェクトに塗られている色の色値、およびパターンに関する色情報である使用色テーブル1204が格納される。使用色テーブル1204は、フィルリスト情報のオブジェクト種別(Image、FlatFill等)とオブジェクトに塗られている色とにのみ着目した、フィルリスト情報を簡易的に示すテーブルである。図12に示す例では、ID(FillID)が1であるFillのオブジェクト種別が、一様に同じ色で塗られるFlatFillであり、赤色で塗られることを表している。また、IDが2、3であるFillも同様にFlatFillであり、それぞれ緑色、青色で塗られることを表している。なお、オブジェクト種別とオブジェクトに塗られている色以外の情報については本実施形態では説明不要なため、使用色テーブル1204では省略されている。
次のS1102~S1107では色情報解析処理が行われる。即ち、留め置き処理におけるS605の色情報解析処理と同様の処理が行われる。
S1102にてDL生成部204は、色の識別情報とその色値を取得する。ここでは、色の識別情報として、色が塗られるオブジェクトの属性や、色数などが取得される。S1103にてDL生成部204は、取得したオブジェクトの属性がイメージであるかを判断する。
オブジェクトの属性がイメージでない場合(S1103のNO)、S1105にてDL生成部204は、S1102で取得した色値を変換前の色値として図7に示す色変換テーブル700に格納(登録)する。このとき、色変換テーブルが生成されていなければ、DL生成部204は、色変換テーブルを生成する。S1102で取得した色値と同じ色値が既に色変換テーブル700の変換前の色値として登録済みであれば、DL生成部204は取得した色値の登録を行わない。
S1106にてDL生成部204は、新規に色値を登録した場合、色変換テーブル700に登録されている色数のカウント値(色カウント)をインクリメントする。色カンウトは、DL生成部204によって保持される。S1107にてDL生成部204は、色カウントが所定の閾値を超えているかを判断する。
色カウントが所定の閾値を超えていない場合(S1107のNO)、処理対象のページに対して階調性は求められていないと考えられるため、DL生成部204は、色変換方式として第1の色変換方式を選択する。この場合、色変換テーブルは、図7(a)に示すように登録IDと変換前の色値のみが格納された状態となる。
オブジェクトの属性がイメージである場合(S1103のYES)、または色カウントが所定の閾値を超えている場合(S1107のYES)、S1104の処理に移行する。
S1104にてDL生成部204は、色変換方式として第2の色変換方式を選択する。そして、DL生成部204は、色情報解析処理を中止してS1108の処理に移行する。このとき、DL生成部204は、生成中の色変換テーブルを削除する。色カウントが所定の閾値を超えた場合、またはイメージオブジェクトが検出された場合は処理対象のページに多数の色が含まれており、処理対象のページに対して階調性が求められていると考えられる。第2の色変換方式による色変換処理は階調性が求められる原稿には有効であることから、DL生成部204は、色変換方式として第2の色変換方式を選択する。
S1108にてDL生成部204は、オペレータ情報からレベルリスト情報を生成する。レベルリスト情報は、ページ内に配置されるオブジェクトをZオーダー量(X方向およびY方向に直交するZ方向での値)で表現した情報である。例えばレベルが2であるオブジェクトは、レベルが1であるオブジェクトより上側(Z方向におけるプラス側)に描かれることを示す。レベルリスト情報については、オペレータ情報に含まれるROP(Raster OPeration)情報等を考慮しながら、原則としてオブジェクトの処理順にレベルが決定される。図12に示すように、S1101で生成されたフィルリスト情報1203はレベルリスト情報1202からリンクされる。
S1109にてDL生成部204は、オブジェクトのパス形状情報からエッジリスト情報を生成する。図12に示すように、S1108で生成されたレベルリスト情報1202は、エッジリスト情報1201からリンクされる。これによりエッジリスト情報とレベルリスト情報とフィルリスト情報を取得することができる。図12に示す例では、IDが1であるエッジのレベルが2であり、IDが2であるエッジのレベルが3であり、IDが3であるエッジのレベルが1であることを示している。以下、IDがnであるエッジを、単にID#nと表現する場合がある。S1110にてDL生成部204は、上記のようにリンクさせた、エッジリスト情報1201、レベルリスト情報1202、及びフィルリスト情報1203を、DLにマージ(合成)する。
DL生成部204は、すべてのオブジェクトに対し、S1101~S1110の処理を繰り返し実行する。
図10の説明に戻る。S1006では選択された色変換方式に従って色変換方式を切り替える。なお、本ステップの判定方法は、処理対象ページの色変換テーブルが保存されている場合は、第1の色変換方式が選択されたと判定し、処理対象のページの色変換テーブルが保存されていない場合は、第2の色変換方式が選択されたと判定してもよい。
色変換方式が第2の色変換方式である場合(S1006のYES)、S1007にて第2の色変換部206は、第2の色変換処理(全カラー対象色変換処理)を行う。白黒弁別の設定がされている場合、第2の色変換部206は、全カラー値を一律にグレー値に変換するグレースケール変換方式を用いて変換前の各色値からグレー値を導出する。そして、第2の色変換部206は、導出したグレー値をそのまま変換後の色値として、生成されたDLの使用色テーブル1204の色値を差し替える。
印刷ジョブのヘッダ情報に「CUD」指定がある場合、S1007では第2の色変換部206は何もしない。即ち、使用色テーブル1204の色がそのまま使用される。
色変換方式が第1の色変換方式の場合(S1006のNO)、S1008にて第1の色変換部205は、DLに対して第1の色変換処理を実行する。第1の色変換部205は、S608の第1の色変換処理と同様に、図8に示すフローに従い処理を実行する。ただし、S1008の第1の色変換処理におけるS804の処理は、S608の第1の色変換処理とは異なる。S1008におけるS804では、第1の色変換部205は、S1005で生成されたDLの使用色テーブル1204に格納されている色値を、色変換テーブル700に従って、変換後の色値に差し替える。
図13を用いて、DLの使用色テーブル1204に格納されている色値の差し替え処理(S804)について説明する。まず、第1の色変換部205は、S1005で生成されたDLの使用色テーブル1204を取得する。
次に、第1の色変換部205は、使用色テーブル1204内に、色変換テーブル700の変換前の色値と一致する色値があるか探索を行う。一致する色値があった場合、第1の色変換部205は、その色値を色変換テーブル700の変換後の色値に差し替える。この処理を色変換テーブル700に格納されている色値について繰り返し行うことで、図13に示すように、差し替え後の使用色テーブル1301が完成する。
S1009にてRIP処理部207は、S1004~S1008の処理にて生成されたDLに基づき、処理対象のページをラスタライズする。これにより、色変換後のラスタライズ画像が生成される。その後、CPU101は生成されたラスタライズ画像に対して画像処理を施して、エンジン105は、画像処理後のラスタライズ画像を記録媒体に印刷する。
一方、印刷ジョブのヘッダ情報のカラーモードに「白黒弁別」又は「CUD」が設定されていない場合、または色変換状況フラグが「済」に設定されている場合は(S1003がNO)、S1010に進む。
S1010~S1012では、S1001で取得した印刷ジョブの描画コマンドがページごとに読み出され、全ページ終了するまでS1010~S1012の処理が各ページに対して繰り返し実行される。
S1011にてDL生成部204は第2DL生成処理を行う。第2DL生成処理では、S1005の第1DL生成処理と同様に、S1002で生成されたオブジェクトからDLを生成する。DLの生成方法は、S1101およびS1108~S1110の処理と同一であるため説明を省略する。なお、第2DL生成処理では、色変換済みのページ又は色変換不要なページを処理対象とする処理ため、S1005と異なり色情報の解析処理(S1102~S1107)が不要となる。
S1012にてRIP処理部207は、生成されたDLに基づき、処理対象のページをラスタライズする。その後、CPU101は生成されたラスタライズ画像に対して画像処理を施して、エンジン105は、画像処理後のラスタライズ画像を記録媒体に印刷する。
以上のように、本実施形態では、留め置き印刷において、受信した印刷ジョブに弁別性向上の設定がなされている場合には、印刷ジョブの留め置き中に色変換方式の選択及び色変換処理を実行する。このように印刷ジョブを留め置きしている時間を有効に使うことで、印刷処理の負荷が分散され、印刷開始指示を受け付けてから印刷完了までの処理負荷を軽減することができる。それにより、受信した印刷ジョブに弁別性向上の設定がなされている場合でも、印刷開始指示を受け付けてから印刷完了までの処理時間を増大させることなく所望の画像を印刷することができる。よって、本実施形態によれば、留め置き印刷において、印刷画像の弁別性を向上させるための色変換処理を効率的に行うことができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
<第2実施形態>
留め置き印刷が可能な印刷装置には、「後から設定」機能を有するものがある。「後から設定」機能は、ユーザが印刷装置のUI(ユーザインタフェース)画面を直接操作して、留め置かれた印刷ジョブの印刷設定を後から変更することができる機能である。また、印刷装置にはページ集約(Nin1)設定ができるものがある。例えば、2ページを1枚に印刷する2in1設定がある。
「後から設定」機能でNin1設定が行われた場合、ページを結合する前の各ページの色変換テーブルを用いると、結合後の各ページ内において同じRGB値(色)が異なるグレー値にマッピングされるなどの不整合が生じる可能性がある。よって、留め置き中の印刷ジョブに対して第1実施形態で説明したような色変換処理がすでになされている場合において、「後から設定」機能でNin1設定が行われると、ページの結合によって弁別性が担保されなくなるおそれがある。
そこで、本実施形態では、弁別性向上の設定がなされた印刷ジョブが留め置かれていて、かつ、ユーザが「後から設定」機能を用いてNin1設定を行った場合に、色変換テーブルを生成し直す印刷制御装置について説明する。なお、本実施形態の印刷制御装置の構成は、図1に示す第1実施形態の構成と同様である。以下では、第1実施形態と異なる点について説明する。
図14は、第2実施形態におけるS503の留め置き処理の例を示すフローチャートである。S1401にて留め置き制御部202は、RAM102に格納されている印刷ジョブを取得する。ここでは、図15に示す印刷ジョブ1500が取得されるものとして説明する。S1402にて印刷ジョブ解釈部203は、印刷ジョブ1500のヘッダ情報を解析する。
S1403にて印刷ジョブ解釈部203は、印刷ジョブ1500のヘッダ情報のカラーモード設定に「白黒弁別」又は「CUD」が指定されていれば(S1403のYES)、S1404~S1406の処理を行う。設定されていなければ(S1403のNO)、S1407に移行する。なお、ここでは、S1404~S1406の処理を行うか否かをヘッダ情報のカラーモード設定から判断しているが、印刷制御装置100の本体設定の値など、他の情報から判断しても良い。
S1404~S1406において印刷ジョブ解釈部203は、S1401で取得した印刷ジョブ1500の描画コマンドをページ毎に読み出し、全ページ終了するまで、S1405,S1406の処理を繰り返し実行する。まず、S1405にて印刷ジョブ解釈部203は、S1401で取得した印刷ジョブ1500の描画コマンドを解析し、色情報解析処理を行う。色情報解析処理は、S605の処理と同様であるため説明を省略する。ただし、本実施形態の色情報解析処理では、ページ毎の色変換方式の選択は行っていない。
S1405の色情報解析処理において、ページの最後まで解析を終えて、処理対象のページにイメージオブジェクトが含まれておらず、色カウントが所定の閾値以下であれば、弁別性が求められていると考えられる。よって処理対象の色変換テーブルは削除されない。このとき、図15に示すように登録IDと変換前の色値のみが格納された状態の色変換テーブル1501~1503となる。
また、4ページ目はイメージオブジェクトが含まれていたか、または色カウントが所定の閾値を超えていたため、4ページ目に対応する色変換テーブルは削除されている。このため、図15の破線で示される枠1504は、4ページ目に対応する色変換テーブルはが存在しないことを表している。
S1406にて印刷ジョブ解釈部203は、S1405で作成した処理対象ページの色変換テーブルを、HDD106に格納する。
S1407にて留め置き制御部202は、図15に示すように、各ページの色変換テーブル1501~1503と印刷ジョブ1500とを紐付けてHDD106に格納する。
図16は、本実施形態の留め置き処理された印刷ジョブを印刷する処理の例を示すフローチャートである。例えば、ユーザが印刷装置(印刷制御装置100)の前に移動して、留め置かれた印刷ジョブの印刷指示を印刷制御装置100に入力した場合に処理が行われる。
S1601にて留め置き制御部202は、HDD106に留め置かれている印刷ジョブ1500と各ページの色変換テーブル1501~1503を取得する。
S1602にて印刷ジョブ解釈部203は、印刷ジョブ1500のヘッダ情報を解析する。また、印刷ジョブ解釈部203は、印刷ジョブ1500の描画コマンドを読み出し、読み出した描画コマンドを解釈してオブジェクトを生成する。印刷ジョブ解釈部203は、生成したオブジェクトをDL生成部204に渡す。
S1603にて、印刷ジョブ1700のヘッダ情報のカラーモードに「白黒弁別」又「CUD」が設定されていてかつ、色変換状況に「未」が設定されているかが判定される。
S1603の判定がYESであれば、色変換切り替え判定のための処理が行われる。本実施形態では、色変換切り替え判定を行うか否かを、カラーモードと色変換状況フラグとに基づき判断しているが、印刷制御装置100の本体設定の値や他の情報を用いて判断しても良い。
S1603の判定がYESの場合、S1604にて留め置き制御部202は、「後から設定」機能でNin1設定が行われたかを判定する。Nin1設定が行われている場合(S1604のYES)、処理はS1605に移行する。
S1605~S1611では、S1601で取得した印刷ジョブ1500の描画コマンドがページ毎に読み出され、全ページ終了するまで、S1605~S1611の処理が繰り返し実行される。
S1606にて留め置き制御部202は、Nin1設定に合わせて、印刷ジョブ1500に紐づけられた各ページの色変換テーブル1501~1503をもとにNin1用色変換テーブルを作成する。
ここで、図17を用いて、4ページ分のデータを含む印刷ジョブ1500に対して2in1設定が行われた場合について説明する。まず、留め置き制御部202は、変換前の色値のみが格納された1ページ目の色変換テーブル1501と2ページ目の色変換テーブル1502とをマージ(結合)した2in1用の色変換テーブル1701を生成する。2in1用の色変換テーブル1701を作成する際、留め置き制御部202は、まず1ページ目の変換前の色値を色変換テーブル1701に追加し、次に2ページ目の変換前の色値を色変換テーブル1701に追加する。このとき、留め置き制御部202は、2ページ目の変換前の色値の中に1ページ目と同じ色値が含まれている場合は色変換テーブル1701にはそれらの色値を追加しない。
また、テーブルの結合により色カウントが閾値を超えた場合は、留め置き制御部202は、生成中のマージ後の色変換テーブル1701を削除し、第2の色変換方式を選択する。テーブルの結合後においても色カウントが閾値以下である場合は、第1の色変換方式を選択する。このようにして、変換前の色値のみが格納されたマージ後の色変換テーブル1701が作成される。
また、3ページ目と4ページ目を2in1する際、3ページ目は色変換テーブル1503を有するが、4ページ目は色変換テーブルを有さない。色変換テーブルを有していないということは、4ページ目は留め置き処理における色情報解析処理において、イメージオブジェクトが検出されたか、色カウントが所定の閾値を超えたと判定されたことになる。このため4ページ目は階調性が求められているため、留め置き制御部202は、3ページ目も4ページ目に合わせて第2の色変換方式を選択する。その際、留め置き制御部202は、3ページ目と4ページ目を2in1して得られるページについて色変換テーブルを作成しない。
S1607にてDL生成部204は、S1602で生成されたオブジェクトからDLを生成する。S1607のDL生成処理は、S1011の第2DL生成処理と同様であるため説明を省略する。
S1608にてDL生成部204は、各ページに設定されている色変換方式に従って、ページごとに色変換方式を切り替える。色変換方式として第2の色変換方式が選択されている場合(S1608のYES)、S1609にて第2の色変換部206は、DLに対して第2の色変換処理(全カラー対象色変換処理)を実行する。S1609の第1の色変換処理は、S1007と同様であるため説明を省略する。
色変換方式として第1の色変換方式が選択されている場合(S1608のNO)、S1610にて第1の色変換部205は、DLに対して第1の色変換処理(特定色対象色変換処理)を実行する。S1610の第1の色変換処理は、S1008(図8に示すフロー)と同様である。
図17を用いてS1606で色変換テーブルのマージが行われている場合の本ステップの処理を説明する。初めに、マージ後の色変換テーブル1701が取得され(S801)、マージ後の色変換テーブル1701に基づき、変換後の色値が導出される(S802)。色変換テーブル1701に、色変換後の色値を格納して色変換テーブル1702が作成される(S803)。そして、S1607で生成されたDLの使用色テーブル1204に格納されている色値が、色変換テーブル1702に従って差し替えられる(S804)。
S1611にてRIP処理部207は、生成されたDLに基づき、処理対象のページをラスタライズする。これにより、色変換後のラスタライズ画像が生成される。その後、CPU101は生成されたラスタライズ画像に対して画像処理を施して、エンジン105は、画像処理後のラスタライズ画像を記録媒体に印刷する。なお、Nin1設定前の元の印刷ジョブ1500に紐づけられた、変換前の色値のみが格納された色変換テーブル1501~1503は再印刷に備えて、印刷ジョブ1500が削除されるまで保持される。
一方、Nin1設定が行われていない場合(S1604のNO)、S1612に進み、S1601で取得した印刷ジョブ1500の描画コマンドがページ毎に読み出され、全ページ終了するまで、S1613~S1617の処理が繰り返し実行される。S1613の処理は、S1011の処理と、S1614~S1617の処理は、S1006~S1009までの処理と同様であるため説明を省略する。
S1603の判定がYESであれば、S1618に進み、S1001で取得した印刷ジョブの描画コマンドがページごとに読み出され、全ページ終了するまでS1619~S1620の処理が各ページに対して繰り返し実行される。S1619~S1620の処理はS1011~S1012の処理と同様であるため説明を省略する。
以上のように、本実施形態では、弁別性向上の設定がなされている留め置き印刷ジョブに対して、ユーザが「後から設定」機能で印刷設定の変更を行っている場合、変更後の印刷設定に対応するように色変換テーブルを印刷実行時に生成し直すようにしている。これにより、上記のように印刷ジョブの留め置き中に該印刷ジョブに対するNin1設定が変更された場合でも、印刷画像の弁別性を低下させることなく、所望の画像を印刷することが可能となる。また、第1実施形態と同様に、印刷ジョブが留め置きされている間に色変換処理の一部(色情報解析)を行うようにしているので、印刷開始指示を受け付けてから印刷完了までの処理負荷を軽減することができる。
<第3実施形態>
第3実施形態では、弁別性向上の設定が行われていない留め置き印刷ジョブに対して、ユーザが「後から設定」機能で弁別性の向上の設定をして印刷を行う実施形態について説明する。なお、第3実施形態の印刷制御装置の構成は、図1に示す第1実施形態の構成と同様である。以下では、第1実施形態及び第2の実施形態と異なる点について説明する。
図18は、第3実施形態におけるS503の留め置き処理の例を示すフローチャートである。S1801にて留め置き制御部202は、RAM102に格納されている印刷ジョブを取得する。ここでは、図15に示す印刷ジョブ1500が取得されるものとする。
S1802にて印刷ジョブ解釈部203は、印刷ジョブ1500のヘッダ情報を解析する。S1803~S1805にて印刷ジョブ解釈部203は、S1801で取得した印刷ジョブ1500の描画コマンドをページ毎に読み出し、全ページ終了するまで、S1804,S1805の処理を繰り返し実行する。
S1804にて印刷ジョブ解釈部203は、印刷ジョブ1500のヘッダ情報のカラーモードに「白黒弁別」又は「CUD」が指定されているか否かに関わらず、印刷ジョブ1500の描画コマンドを解析する。そして、印刷ジョブ解釈部203は、色の識別情報とその色値を取得して色情報解析処理を行う。色情報解析処理は、S605の処理と同様であるため説明を省略する。ただし、本実施形態の色情報解析処理では、ページ毎の色変換方式の選択は行っていない。
色情報解析処理を終えて、処理対象のページにイメージオブジェクトが含まれておらず、色カウントが所定の閾値以下であれば、弁別性が求められていると考えられる。よって色変換テーブルは削除されない。その場合、S1804にて生成された色変換テーブルは、色変換テーブル1501と同様に登録IDと変換前の色値のみが格納された状態となる。
S1805にて印刷ジョブ解釈部203は、S1804にて生成された色変換テーブルを、HDD106に格納する。S1806にて留め置き制御部202は、印刷ジョブ1500を、S1804にて生成された色変換テーブルと紐付けてHDD106に格納する。
S1806でHDD106に留め置かれた印刷ジョブ1500を各ページの色変換テーブルを用いて印刷する処理については、第2実施形態の図16に示す処理と同様であるため省略する。
以上のように、本実施形態では、弁別性向上の設定が行われているデータであるか否かに関わらず、ユーザが「後から設定」機能で弁別性向上の設定を行うことを想定して、留め置き中に事前に色変換処理の一部(色情報解析)を行っておく。よって、弁別性向上の設定がなされていない留め置き印刷ジョブに対して「後から設定」機能で弁別性向上の設定がなされた場合でも、印刷開始指示を受け付けてから印刷完了までの処理負荷を増大させないようにすることができる。したがって、そのような場合でも、ユーザの利便性を低下させることなく、印刷画像の弁別性を向上させることができる。
<第4の実施形態>
留め置き印刷が可能な印刷装置には、「プレビュー」機能を有するものがある。「プレビュー」機能は、留め置かれた印刷ジョブを印刷する前に、画面上で印刷ジョブのプレビュー画像を表示させて、ユーザが確認することができるようにするための機能である。プレビュー画像は、ユーザが印刷装置のUI(ユーザインタフェース)画面を直接操作することにより、表示させることができる。
ユーザによって、印刷ジョブのプレビュー画像を画面上に表示させるための指示であるプレビュー指示が行われた場合、プレビュー指示されたタイミングで印刷制御装置が印刷ジョブを解析してプレビュー画像を生成することがある。この場合、プレビュー指示を受けてからプレビュー画像を表示するまでの処理時間が長くなり、印刷装置の前でユーザが待機する時間が長くなるため、ユーザの利便性を低下させてしまう。特に弁別性向上の設定がされている場合、ページごとに色変換テーブルが生成され、生成されたテーブルに基づいてプレビュー画像が生成される。よって、プレビュー画像を生成するための処理時間が長くなる。このため、ユーザがプレビュー指示をする前に、印刷制御装置が事前にプレビュー画像を生成して保存しておくことが考えられる。しかし、この場合は保存するデータ量が増加し、記憶容量を圧迫する虞がある。
そこで、本実施形態では、弁別性向上の設定がされた印刷ジョブが留め置かれていている間にDLと色変換テーブルとを生成し、そのDLと色変換テーブルとをプレビュー画像の生成に利用する印刷制御装置について説明する。なお、本実施形態の印刷制御装置の構成は、図1に示す第1の実施形態の構成と同様である。以下では、第1の実施形態と異なる点について説明する。
図19は本実施形態におけるS503の留め置き処理の例を示すフローチャートである。S1901にて留め置き制御部202は、RAM102に格納されている印刷ジョブを取得する。ここでは、図15に示す印刷ジョブ1500が取得されるものとして説明を行う。
S1902にて印刷ジョブ解釈部203は、印刷ジョブ1500のヘッダ情報を解析する。S1903にて印刷ジョブ解釈部203は、S1902における解析の結果に基づき、印刷ジョブ1500のヘッダ情報のカラーモード設定に「白黒弁別」又は「CUD」が指定されているかの判定を行う。
ヘッダ情報のカラーモード設定に「白黒弁別」又は「CUD」が指定されていると判定された場合(S1903のYES)、S1904~S1906の処理が行われる。S1904~S1906では、S1901で取得した印刷ジョブ1500の描画コマンドがページ毎に読み出され、全ページ終了するまで、S1904~S1906の処理が各ページに対して繰り返し実行される。
なお、本実施形態ではS1904~S1906の処理を行うか否かヘッダ情報のカラーモード設定に基づき判定するが、印刷制御装置100の本体設定の値など、他の情報に基づいて判定してもよい。
S1905にてDL生成部204は、第3DL生成処理を行う。図20は本実施形態の第3DL生成処理の詳細を示すフローチャートである。図20を用いて本実施形態における第3DL生成処理の詳細を説明する。
S2001~S2007の処理は、S1101~1107までの処理と同一である。即ち、DL生成部204は、オブジェクトに紐付く色情報を解析し、解析した色情報に基づいて第2の色変換方式か、第1の色変換方式かを選択する。色カウントが閾値以下である場合(S2007がNO)、第1の色変換方式が選択され、生成された色変換テーブル700は削除されない。
ここで、本実施形態のS1905における第3DL生成処理と、図11に示すS1005の第1DL生成処理との異なる点を説明する。第3DL生成処理では、第1の色変換方式が選択された場合、S2008に進み、第1の色変換処理の一部の処理であるS802と同様の処理が行われる。S2008では、ページ内で使用される各色の色値を書き換えるための変換後の色値が導出される。変換後の色値は各色の色値に対応する色の弁別性を向上させるための色値である。
そして、S2009では第1の色変換処理の一部の処理であるS803の処理と同様の処理が行われる。即ち、変換後の色値がページ内で使用される変換前の色値に対応付けられて色変換テーブル700に格納され、図7(b)に示す変換後の色値が格納された色変換テーブル700が生成される。
S2010~S2012の処理は、S1108~1109までの処理と同一であり、印刷ジョブからDLを生成する処理である。
図19に戻り留め置き処理の説明に戻る。S1906にてDL生成部204は、S1905において生成されたDLと色変換テーブル700とをHDD106に格納する。DLと色変換テーブル700とは、印刷ジョブ1500と紐付けて管理される。
印刷ジョブ1500のヘッダ情報のカラーモード設定に「白黒弁別」又は「CUD」が指定されていない場合(S1903のNO)、S1907~S1909の処理が行われる。S1907~S1909では、S1901で取得した印刷ジョブ1500の描画コマンドがページ毎に読み出され、全ページ終了するまで、S1907~S1909の処理が各ページに対して繰り返し実行される。S1908にてDL生成部204は、S1901で取得した印刷ジョブに対して第2DL生成処理を行う。S1908の第2DL生成処理は、図10のS1011の第2DL生成処理と同様であるため説明を省略する。S1909にてDL生成部204は、DLと印刷ジョブ1500とを紐付けてHDD106に格納する。以上が本実施形態における留め置き処理である。
図21は本実施形態における、印刷装置へのログイン後にプレビュー処理をしてからログアウトするまでの一連の処理の例を示すフローチャートである。S2101にて留め置き制御部202は、ユーザのIDカードがカードリーダにかざされたことに応じて、ユーザ情報を取得してログイン処理を行う。また、留め置き制御部202は、認証したユーザを識別するためのユーザ情報を保持する。次に、留め置き制御部202は、認証したユーザの印刷ジョブ一覧を操作パネル等のUI画面に表示する。ログイン処理については操作パネル等から入力されたユーザ情報とパスワードを取得してユーザ認証を行う方式など他の公知の認証方法が用いられてもよい。
S2102にて留め置き制御部202は、ユーザによって特定の印刷ジョブに対しプレビュー指示がされた場合、プレビュー処理する。プレビュー処理の詳細は後述する。
S2103にて留め置き制御部202は、ユーザによるログアウト指示に応じて、保持したユーザ情報を破棄する。また、留め置き制御部202は、保持したプレビュー画像がある場合はログアウト時に破棄する。
図22は本実施形態におけるS2102のプレビュー処理の例を示すフローチャートである。本フローチャートでは、印刷ジョブ1500のページのうちユーザが指定した指定ページを画面上にプレビュー画像を表示する一連の処理について説明する。
S2201にて留め置き制御部202は、RAM102に格納されているユーザからプレビュー指示のあった印刷ジョブ1500を取得する。S2202にて印刷ジョブ解釈部203は、ユーザからプレビュー指示のあった印刷ジョブ1500のヘッダ情報と指定ページを解析する。
S2203にて指定ページのプレビュー画像(ラスタライズ画像)が既にHDD106に記憶されているか判定される。指定ページのラスタライズ画像がHDD106にある場合(S2203のYES)、S2213へ移行し、CPU101はそのラスタライズ画像を用いてプレビュー表示する。ラスタライズ画像がない場合(S2203のNO)、S2204へ移行する。
S2204にて印刷ジョブ解釈部203は、印刷ジョブ1500のヘッダ情報を解析し、「白黒弁別」又は「CUD」が指定されているかの判定を行う。印刷ジョブ1500のヘッダ情報のカラーモード設定に「白黒弁別」又は「CUD」が指定されていると判定された場合(S2204のYES)、S2205へ移行する。
S2205にて留め置き制御部202はDLと色変換テーブルとが生成されているか判定を行い、DLと色変換テーブルとが生成されていない場合(S2205のNO)、S2206へ移行する。S2206の処理は、図10のS1005の第1DL生成処理と同様であるため説明を省略する。
DLと色変換テーブルとが生成されている場合(S2205のYES)、S2207へ移行する。即ち、図19の留め置き処理が行われている場合は、印刷ジョブが留め置かれている間にDLと色変換テーブルとが生成されている。よって、S2207へ移行する。このため、留め置き処理においてDLと色変換テーブルとを生成することにより、プレビュー処理において第1DL生成処理を実行することを省くことができる。
S2207にてDL生成部204は、指定ページに選択されている色変換方式に従って、色変換方式を切り替える。指定ページに選択されている色変換方式が第1の色変換方式か第2の色変換方式かの判定については、S1006と同様に判定される。
色変換方式として第2の色変換方式が選択されている場合(S2207のYES)、S2208にて第2の色変換部206は、DLに対して第2の色変換処理(全カラー対象色変換処理)を実行する。第2の色変換処理の方法は、S1007と同様であるため説明を省略する。
色変換方式として第1の色変換方式が選択されている場合(S2207のNO)、S2209にて第1の色変換部205は、DLに対して第1の色変換処理(特定色対象色変換処理)を実行する。S2209の第1の色変換処理は、図10のS1008と同様である。ただし、本実施形態では変換後の色値が格納された色変換テーブル700が生成済みである場合がある。図19の留め置き処理が行われている場合は、変換後の色値が格納された色変換テーブル700が本フローを開始する前に生成されている。この場合、第1の色変換部205は、S1905で生成された変換後の色値が格納された色変換テーブル700を用いて、DLの使用色テーブルの色値を変換後の色値に書き換えることができる。
このため、図19の留め置き処理が行われている場合におけるS2209の第1の色変換処理は図10のS1008の第1の色変換処理と異なる。図19の留め置き処理が行われている場合におけるS2209の第1の色変換処理では、まず、印刷ジョブ1500と紐付けられて管理されている色変換テーブル700が取得される(S801)。次に、印刷ジョブ1500と紐付けられて管理されているDLが取得され、色変換テーブル700に基づき、そのDLの使用色テーブルの色値を変換後の色値に書き換える処理が行われる(S804)。図8のS802とS803との処理は行われない。このため、プレビュー画像を生成するための第1の色変換処理をS1008における第1の色変換処理に比べて短くすることができる。
一方、印刷ジョブ1500のヘッダ情報のカラーモード設定に「白黒弁別」又は「CUD」が指定されていないと判定された場合(S2204のNO)、S2210へ移行する。DLが生成済みの場合(S2210のYES)、S2212へ、DLが未生成の場合(S2210のNO)S2211へ移行する。S2211にてDL生成部204は、S2201で取得した印刷ジョブからDLを生成する。S2211の第2DL生成処理は、図10のS1011の第2DL生成処理と同様であるため説明を省略する。
S2212にてRIP処理部207は、生成または取得したDLに基づき、指定ページをラスタライズする。これにより、指定ページのラスタライズ画像(プレビュー画像)が生成される。生成されたラスタライズ画像はプレビュー用に解像度を落として生成しても良いし、印刷で利用できるように印刷時と同様の解像度でラスタライズしても良い。S2213にて、CPU101は生成されたラスタライズ画像を表示させるための表示制御を行い、ラスタライズ画像を印刷装置の操作パネル等のUI画面に表示させる。
プレビューする指定ページがユーザによって切り替えられた場合、そのページをプレビューとして表示するために本フローのS2202~S2213の処理が再度行われる。この場合、直前に生成したラスタライズ画像は破棄してもよい。または、ユーザがログイン中に生成されたラスタライズ画像のページに対して、ログイン中に再度プレビューの指示がされることがある。このため、留め置き制御部202は、生成されたラスタライズ画像を印刷ジョブ1500と紐付けてHDD106に保持しておいてもよい。
以上のように本実施形態では、印刷ジョブの留め置き中に、色情報解析と、第1の色変換処理の一部である変換後の色値の導出と、を行って色変換テーブルの生成が行われる。よって、留め置きされた印刷ジョブに対してプレビュー指示がユーザによってされた場合でも、プレビュー指示を受け付けてからプレビュー表示までの処理負荷を増大させないようにすることができる。これにより、ユーザの利便性を低下させることなく、弁別性の向上が設定されたプレビュー画像を表示することができる。
また、弁別性向上の設定がされている場合、本実施形態の留め置き処理された印刷ジョブを印刷処理するときは、全ページのDLに対してS2207~S2209の色変換処理が行われる。その後RIP処理部207はDLに基づき、印刷時との解像度で、ラスタライズ画像を生成する。その後、CPU101は生成されたラスタライズ画像に対して画像処理を施して、エンジン105は、画像処理後のラスタライズ画像を記録媒体に印刷する。このため、本実施形態の留め置き処理された印刷ジョブを印刷処理する場合も、DL生成処理および一部の色変換処理は行われない。よって、印刷開始指示を受け付けてから印刷完了までの処理負荷を軽減することができる。
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。